二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第百九話 金獅子 ( No.230 )
- 日時: 2014/03/06 10:39
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「ネクロシア、戻りなさい」
ラピスがネクロシアを戻すと、ラピスの瞳の紫の光は消え、腕に浮かんだ模様が消える。
同時に、ボールに描かれた鎖の模様が光を失う。
「悔しいけど、エース対決は完敗ね」
だけど、とラピスは続け、
「あたしに勝ったからといって、N・E団を甘く見ない方がいいわよ。言い訳するわけじゃないけど、今のあたしの力は半分と少し。今回のバトルくらいで調子に乗ってると、二位とか一位に叩き潰されるわよ」
「忠告ありがとうよ。だが俺はこう見えてバトル中は常にフィールド全体に気を配ってるからな、いつでも油断はしないぜ」
「ま、あたしは貴方が他の誰かにボコられるのを楽しみにしてるわ。それじゃあね」
そう言ってラピスは小さな機械を取り出す。
その機械のボタンを押すと、ラピスの真下の床が開き、ラピスはゆっくりと床の下へと行ってしまった。
「まあこんなもんか。さて、こっからは他の奴らの支援にでも行くか。ブレイオー、まだまだ余裕だよな?」
リョーマの言葉に、勿論、とでも言うようにブレイオーは頷く。
部屋を出ると、逃げ道を塞ぐための壁は消えていた。
改めて最奥を目指そうとするリョーマだったが、そこでふと立ち止まる。
「もうバトルが終わってる可能性が一番高いのは……実力的に見て、サクラだな」
そう呟き、リョーマはライブキャスターを起動させる。
「オールガ、アクアテール!」
「レントラー、躱して十万ボルト!」
レオとソライトのバトルは、両者一歩も譲らない互角の戦いが続いている。
どちらも相応にダメージは受けているが、弱る気配は一向にない。
オールガが宙に跳び上がり、高速回転して勢いをつけ、水を纏った尾ビレを叩きつける。
それをレントラーは躱し、高電圧の電撃を撃ち出して反撃する。
「オールガ、ぶち壊す!」
オールガは尾ビレを振るい、電撃を弾き飛ばす。
「怒りの炎!」
その隙を狙い、レントラーは憤怒の感情の如く荒れ狂う業火を放つ。
効果は今一つだが、それでもそこそこの威力はある。
さらに、炎はオールガを囲み、その視界を狭める。
「馬鹿力だ!」
「そうは行きませんよ! 氷柱落とし!」
隙を狙って、レントラーが渾身の力を込めて突撃を仕掛ける。
対してオールガは冷気を放ち、巨大な氷柱をレントラーの目の前に落とし、行く手を阻む。
「甘い! レントラー、突っ込め!」
しかしレントラーは行く手を遮る氷柱を打ち砕き、オールガに激突し、吹っ飛ばす。
「まだ炎は残ってんだぜ。そんな状態で氷を使っても、レントラーのパワーの前では無意味だ」
だが決してオールガの氷柱落としが弱い訳ではない。
寧ろ、この灼熱の業火の中でもそれなりの強度を保っていることを評価すべきだろう。
「オールガ、アクアテール!」
オールガは素早く体勢を立て直し、尾ビレに水を纏い、水飛沫を撒き散らすようにその場で尾ビレを振るう。
飛ばされた水飛沫は、炎に降りかかり、消火される。
「オールガ、岩雪崩!」
虚空から、レントラー目掛けて大量の岩が降り注ぐ。
「レントラー、躱して十万ボルト!」
襲い来る岩を全て躱し切ると、レントラーは高電圧の強力な電撃を放つ。
「オールガ、もう一度岩雪崩!」
再びオールガは虚空から岩を落とす。
今度はレントラーへとではなく、自身の正面に落とし、電撃を防ぐと、
「シューティングと行きましょうか。オールガ、アクアテール!」
水を纏った尾ビレを振るい、オールガは次々と岩を打ち、レントラー目掛けて飛ばす。
「そう来るか……! レントラー、十万ボルト!」
レントラーも連続で電撃を撃ち出し、岩を破壊していく。
しかしオールガの方が技が早い。
レントラーの電撃が遅れてきたところを狙い、岩が命中する。
「一度当たればこちらのもの! オールガ、一気に決めなさい!」
オールガの尾ビレを振るスピードが加速する。
無数の岩が次々とレントラーに襲い掛かる。
「これしかねえ! レントラー、馬鹿力!」
思い切って正面突破の指示を出すレオ。
レントラーは体勢を取り戻し、守りを捨て、全力で突撃する。
岩が命中、勿論ダメージもゼロではないが、その岩も砕き、オールガへと突っ込む。
「喰らいませんよ! オールガ、躱しなさい!」
「逃がさねえぞ! レントラー、十万ボルト!」
オールガが尾ビレで床を叩き、反動で跳び上がり、レントラーの突撃を躱す。
だがレントラーは素早く技を切り替える。高電圧の電撃が、宙に跳んだオールガを捉えた。
効果抜群、ダメージは大きい。
「ッ、ここは迎え撃つべきでしたね」
だがオールガはまだ倒れない。
瞳に闘志を燃やし、まだ起き上がる。
「マジかよ、相当効果抜群の攻撃喰らってるはずだぞ」
「仮にも天将五位の私の切り札です。甘く見てもらっては困るのですがねえ」
「別に軽視してるつもりはねえけどな。敵が起き上がるなら倒すだけだぜ。レントラー、十万ボルト!」
「そう上手くは行かせませんがねえ。オールガ、氷柱落とし!」
レントラーが高電圧の強力な電撃を撃ち出すが、オールガは冷気を放って大きな氷柱を落とし、電撃を止め、
「ぶち壊す!」
床を蹴って跳び上がり、上空から勢いをつけて尾ビレを叩きつける。
「レントラー、これは躱すぞ!」
頑丈な床を容易く凹ませるほどの一撃だが、レントラーは素早く横へと逸れて尾ビレの一撃を躱し、
「これはどうだ! レントラー、ユカリさんのスミロドンを思い出せ! 氷の牙!」
レントラーがスミロドンと戦った訳ではないが、レオが教えているので、レントラーは指示の意味をすぐに理解する。
牙に氷を纏い、大きく伸びたその牙を床へと突き刺す。
同時に、二連の氷の衝撃波が地を這ってオールガに襲い掛かる。
この戦術もカンタロウとの特訓で編み出した技の一つだ。
シヌマジムの湿地では使えなかったが、ここならば問題なく使える。
「上手い作戦ですが、オールガには効きませんね。ぶち壊す!」
オールガは尾ビレを振り抜き、氷の衝撃波を砕くと、
「アクアテール!」
その尾ビレに水を纏い、レントラー目掛けて跳び、尾ビレを叩きつける。
「躱す余裕は無いか……! レントラー、馬鹿力!」
レントラーも渾身の突進を繰り出し、オールガを迎え撃つ。
しかし単純なパワーではオールガに劣る。
威力こそ削いだが、やがて押し負け、レントラーが押し戻される。
「ぶち壊す!」
だがオールガの攻撃はまだ終わっていない。
勢いをそのままに、渾身の力を込めて横薙ぎに尾ビレを振るい、決して軽くないレントラーを容易く吹き飛ばす。
「レントラー! 大丈夫か!?」
それでも、レントラーは耐えた。
大ダメージには間違いないが、それでもレントラーはまだ倒れてはいない。
だが、
「よく耐えましたね。ですが次で終わりです。オールガ、岩雪崩!」
オールガが虚空から無数の岩を落とす。
オールガの最高火力を受けた今のレントラーには、それを躱す力は残っていなかった。
無数の岩に覆われ、レントラーの動きは完全に封じられてしまう。
「私の勝ちです! オールガ、ぶち壊す!」
床を蹴って、オールガは真っ直ぐに跳ぶ。
尾ビレを二、三度振るって勢いを付け、取り囲む岩ごとレントラーを叩き飛ばし、決着を付ける。
「レントラー!」
レオの叫びと、オールガが尾ビレを岩に叩きつけたのは、ほぼ同時だった。
刹那。
巨大な電撃の砲弾が、オールガを吹き飛ばした。
「ッ!?」
予想外の事態に驚いたのはソライトだった。
吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられたオールガは、それでもまだ起き上がり、赤い瞳に怒りを込めて低く唸り声を上げる。
破壊された岩の中から出て来たのは、瞳を金色に輝かせたレントラーだった。
「これは……透視能力か!」
レントラーというポケモンは、透視能力を持っており、壁の向こうにいる敵などを見つけることが出来る。
そしてそれを行うとき、瞳が金色に輝くのだ。
そして、先程の電撃の砲弾は。
「ギガスパーク……まさか、このタイミングで新技を習得しますか……」
極限まで追い詰められたことで、この状況を打破すべく、新しい技、ギガスパークを覚えたのだ。
そして岩の内側から、オールガが襲い来る方向を確認し、電撃の砲弾を撃ち出したのだ。
「ですが状況は変わりませんよ。どの道貴方のレントラーはあと一撃で終わりです。オールガ、決めなさい! ぶち壊す!」
オールガが部屋を揺るがすほどの咆哮を上げ、尾ビレで床を蹴り、ほぼ床と水平に跳ぶ。
跳んで来てくれるのはレオにとってはありがたかった。
レントラーにはもう、オールガのところまで行く力は残されていなかった。
今のレントラーに出来るのは、最後の一撃で勝負を決めることだけだった。
「レントラー、最大火力でギガスパーク!」
体内の有りっ丈の電気の力を一点に凝縮させ、レントラーは破裂音を立てる巨大な電撃の砲弾を作り上げる。
突っ込んで来るオールガに向けて、砲弾が放たれた。
オールガの最大パワーを持ってしても、ギガスパークを破壊することは出来ず、逆に吹き飛ばされたのはオールガだった。
壁に叩きつけられ、オールガは床へと落ちる。
電気によって体を痙攣させ、戦闘不能となっていた。
それを確認したレントラーも、力尽き、ゆっくりと床に倒れた。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.231 )
- 日時: 2014/03/06 15:04
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
卒業式も終わり、一息……つくことも出来ぬまま、部長の責務に追われている白黒です。
ジンは……まあ、概ね予想通りというか、善戦はしていたようですが、案の定サクラに負けましたね。
ブレイブバードでカビゴンに突っ込んだのはどう考えても脂肪フラグ……もとい死亡フラグだろうに。
それからリューマとラピスのバトルも、リョーマが勝ちましたか。
ラピスはまだ全力ではないとはいえ、天将三位を倒すとは、快挙ではないですか。
ネクロシアを倒すときに言い放った台詞も格好良かったですし、なんだか今回でリョーマの株価が凄まじく高騰しています。
あと、彼はお洒落さんなんですね。これはこれでいいですね。
カンタロウとセドニーは……まあ、頑張ってくださいとしか。
ただ、今までも言ってきたことですが、カンタロウは意外と曲者でしたね。前作で出て来たときは、陽気な単発キャラという印象しかなく、再登場した時も驚きましたが、相手がセドニーとはいえ、覚醒した天将相手にここまで戦えるとは……カロス地方にしかないフェアリータイプのことも、自ら仮説を立てて半ば見抜いていますし。
初期と比べて、カンタロウは評価を見直しました。
最後にレオとソライトですが、流石天将五位のエースなだけあって、オールガは強いですね。ヘラクロスは消耗していましたが、相性の悪い二体を相手に、ここまで戦いますか。
科学者だけれども、最終的には力がすべてという考えも、個人的には好きです。
ただ、最後にはレントラーの新技ギガスパークで、相打ちまで持ち込まれたようですが……いやそれでも相当ですね。これで五位だとすると、レオはさらに上位の天将を相手取る時、どうするのか……
そういえばまだトパズとかメジストとかも覚醒していないんですよね。一位やボスに至っては登場すらない……そもそもN・E団とはなんなのか、という根本的な謎も残っていますし、よくよく考えてみると、ここまで話が進んでいるのに謎だらけですね、N・E団。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.232 )
- 日時: 2014/03/06 20:46
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: FX8aUA2f)
>>白黒さん
こちらも卒業式を終えました。後は合格発表を待つだけです。
ジンは惜しいところまで行きましたね。
最後のブレイブバードは脂肪フラグでしたね。
ブレイオーはある程度余裕を持ってネクロシアに勝っていますから、三位までなら襲って来ても大丈夫ですね。
ただし研ぎ澄まされた精神があるわけではないのでメジストが来るとまずいですね。
リョーマのまともなバトルシーンはこれが初めてでしたからね。肝心のスティラタウン戦では不参戦でしたし。
ちなみに設定上、リョーマとサクラは同期です。
さらに『ブロック』には彼より年齢が高い人もたくさんいることからも、リョーマの出世具合、優秀さが分かると思います。
前作ではレオに負けていますが、カンタロウは非常に頭がいいんですよ。
設定の話になりますが、前作を書いている時は、カンタロウは単発キャラで終わる予定でした。
ただ自分の場合、新しいキャラは楽に思い浮かぶんですが、旅の仲間的なレギュラーキャラ?を考えるのがそんなに得意じゃないんですよ。
で、過去作からその枠を作ろうと思った結果、個人的に好きだったカンタロウになりました。
最終的には今までに無かった、いい感じのキャラに仕上がったと自負しております。
全員が同じくらい強くなる、とソライトは言いましたが、それでもオールガは頭一つ抜けていますね。
小細工を使わない純粋なパワーアタッカーですが、その分強さがはっきりと現れます。
ちなみに、ソライトも言っていますが、オールガ単体ではガーネットのフィニクスに僅かに劣りますから、やはり天将は強敵揃いです。
最大の謎はやはりN・E団の組織としての目的を明らかにしていないということ、さらにN・Eの意味が分からないことですね。
活動が本格化しているのにも関わらず、ここまで詳細を隠している組織となると、やはり相当怪しいですよね。
ただ、もうそろそろ、次第にN・E団の野望が明らかになって来ると思います。
一位やボスの正体も含め、乞うご期待です。
- Re: 第百十話 決着 ( No.233 )
- 日時: 2014/03/06 20:53
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: mGXNpy6x)
決着は付いた。
両者とも戦闘不能になったが、そのタイミングを考えれば、レオの勝ちだ。
「オールガ、よくやりました。戻って休みなさい」
「レントラー、頑張ったな。すぐにポケモンセンターに連れてってやるから、それまで休んでてくれ」
お互いにそれぞれのポケモンを労い、ボールへと戻す。
同時に、ソライトの瞳の蒼い光が消え、ボールの鎖の模様も光を失う。
「さて、負けてしまいましたね。これで残る戦力はセドニー一人……これは勝てませんね。私たちの負けです」
そう言うソライトだが、口調は軽い。
「生憎だがここにはリョーマさんも来てる。お前たちはここで纏めて捕まえられて終わりだぜ」
「それはどうでしょう。まあとにかく、私の話を聞いてください。折角私に勝ったのですから、それを讃え、私たちの次の作戦をお教えしましょう」
上から発言なのが気に食わないが、レオは一先ずソライトの話を聞く。
「私たちの次の作戦は、ヨザクラタウンにある三つの宝玉を頂くことです。それを防ぎたければ、ヨザクラタウンへ行き、N・E団と戦いなさい」
では、とソライトは小さなリモコンのような機械を取り出し、ボタンを押す。
刹那、ソライトの背後にある無数の機械が爆発し、粉々に吹き飛ばされた。
「ッ!?」
爆発と爆風に思わず腕で目を覆うレオ。
「私の研究を見られたくはありませんからね。証拠隠滅させて頂きますよ。それでは、さらばです」
ソライトの足元の床が開き、ソライトはゆっくりと地下に消えてしまう。
同時に、
「レオ!」
後ろの床が開き、リョーマとブレイオーが飛び込んできた。
「リョーマさん……すいません、ソライトを逃がしてしまいました」
「いや、謝る必要はねえ。寧ろ読み通りだ」
「?」
頭に疑問符を浮かべるレオを見て、リョーマはにやりと笑う。
「外にサクラとマゼンタが控えてる。逃げ出そうとするN・E団を、一網打尽にしてやるぜ」
ピピピ……と。
唐突に、セドニーのポケットの中の機械が音を立てる。
「ッ……何だ何だ。こっちはまだ戦闘中だっての」
苛立ちを募らせながら、セドニーは機械を取り出す。
「少し待ってくれ。空気を読めない馬鹿からの着信だ」
バトルを勝手に一時停止し、セドニーは機械を操作し出す。
「何だソライト。こっちはまだバトル中だぞ」
『そうですか。セドニー、今すぐに撤退してください。こちらの戦力で残っているのは貴方だけです』
「は? おいおい、ふざけんなよ。何で七位の俺が残ってて五位と三位が負けてんだよ、おかしいだろ」
『とにかく、この戦いは私たちの負けです。すぐに撤退してください』
「ちっ、後でじっくり話を聞かせてもらうからな」
そして通話は切れる。
「何があっただか」
「何か知らねえが、撤退しろってよ。だから俺はここでおさらばだ。お前よかったな、敗北を免れて」
「なるほど。だけンどそォはさせねェだ。ここは逃がさねェだぞ」
「だよなあ……普通はそう来るんだよな。だから嫌なんだよ、途中で撤退すんのは」
面倒くさそうに頭を掻き、セドニーはぼやく。
そして、
「バジリール、大成長!」
突如、カンタロウとセドニーを分断する形で、無数の蔦が床から現れ、天井に突き刺さる。
「逃がさねェだぞ! ムクホーク、ブレイブバード!」
ムクホークは炎のようなオーラを身に纏い、蔦へと激突する。
しかし蔦は何重にも仕掛けられており、一撃では破れない。
分断された向こう側へカンタロウが踏み込んだ時、そこにはセドニーの姿は無く、床に穴が空いているだけだった。
「逃がしただか……ここに飛び込むのは、危険だべな」
ムクホークを戻すと、カンタロウは急いで部屋の外へ飛び出す。
奴らが外から逃げる可能性も十分にあり得る。もしそうなら、カンタロウの鳥ポケモンたちで追跡出来る。
そう考えていたカンタロウだったが。
唐突に、研究所全体が揺れ始めた。
「何だ!?」
体勢を崩し、カンタロウは転びそうになり、慌てて壁に手を着く。
直後。
カンタロウの数メートル先の床に裂け目が入った。
裂け目はどんどん大きくなっていく。研究所自体が、分断されているのだ。
地上で待つサクラとマゼンタにも、その様子ははっきりと分かった。
「研究所が、分けられとる!?」
「分かったよお! この中から、飛行機か何かが出てくるわあ!」
サクラがそう言った刹那だった。
轟音と共に、地下から、コンテナの付いた飛行機、N・E空中輸送ドッグが現れた。
「来たわねえ! カビゴン、ギガスパーク!」
「フローリア、アイスバーン!」
空中輸送ドッグへと、電撃の砲弾、さらに氷の衝撃波が放たれる。
まともに当たれば、撃墜は免れない。しかし、
「バジリール、十万ボルト!」
ドッグの入り口が開き、ポケモンが現れた。
セドニーの切り札、バジリールが、高電圧の強力な電撃を放ち、砲弾と衝撃波を食い止める。
N・E空中輸送ドッグが、空中へと浮上する。
「バジリール、下だ!」
バジリールがドッグの真下へと電撃を放つ。
追ってきたカンタロウのムクホークに命中し、ムクホークも止められる。
直後。
ドッグの扉は閉まり、N・E空中輸送ドッグは遥か遠くへと飛び去って行った。
戦いを終えた五人は、シヌマ支部の会議室に戻って来ていた。
レオから話を聞き終え、リョーマが口を開く。
「……なるほど。つまり、奴らの次の目標はヨザクラタウンか。正直、あの町についてはほとんど知らねえんだよな」
「あそこは隣町だから少しは知ってるけどお、ヨザクラタウンの宝石なんて初めて聞いたわあ。あそこは辺境の地だし、情報が少ないのよねえ」
サクラ曰く、ヨザクラタウンの住人は非常に少なく、しかも殆どの人が一生涯を町の中で暮らすらしい。
「あそこは文明が遅れてるというか、古い文化のまま発展した町みたいな感じねえ。一応ジムがあるけどお、ホクリクにジムが八つしかないわけじゃないし、誰もあんな山奥には行きたがらないわよねえ」
だが、N・E団がそこを狙っている以上、誰かが行かねばならない。
「それなら、僕が行きますよ」
レオは立ち上がった。リョーマやサクラは『ブロック』としての仕事もあるだろうから、彼らに任せっきりではいけない。
「行ってくれるか、だが気をつけろよ。あそこは情報が殆どない、もしかしたら危険な場所かもしれねえぞ。まずは、ここからの行動を決めようか」
リョーマの言葉を受け、一旦座るレオ。
「まず、レオ、言ってくれた通り、お前はヨザクラタウンに行ってくれ。十分に気をつけて行けよ。やばいと思ったら俺かテレジアに連絡しな。すぐに駆けつけるぜ」
「はい。任せてください」
次に、リョーマはカンタロウの方を向く。
「カンタロウは、俺の方を手伝ってくれ。お前の鳥ポケモンは頼れる面子が揃ってるから、アジト探しにも一役買ってくれそうだ」
「それくれェ楽勝だべ。六匹とも協力できるだ」
カンタロウの言葉を聞いてニヤリと笑い、リョーマは次にマゼンタの方を向く。
「マゼンタ、お前には悪いんだが、サクラの仕事の方を手伝ってくれねえか? 出来るならお前もこっちを手伝って欲しいんだが、サクラが一人になると絶対に仕事をしねえから、厳しくしてやってくれ」
「リョーマ、子供扱いしないでもらえるう? 仕事くらい一人で出来るわよお!」
「その言葉を信用した結果、仕事が溜まりに溜まって、俺のところに泣きついて来て、テレジアが手伝っても一週間終わらなかったあの事件をお前はもう忘れたのか?」
サクラが文句を言うがリョーマはすぐに黙らせる。
「リョーマさん、それならお任せやで。私が仕事するのは嫌やけど、させるんなら任せとき」
「マゼンタちゃん!?」
約一名納得がいかない人がいるようだが、とりあえずここからの動きは決まった。
今日は全員疲れを取り、明日の朝から行動を開始する。
リョーマはトロピウスに乗り、カンタロウはペリッパーの口の中に乗り込み、アカノハシティへと戻る。
マゼンタはサクラと共にシヌマシティに残る。
そしてレオは、次の街、ヨザクラタウンへと進み、N・E団の事を伝える。
- Re: 第百十一話 辺境地 ( No.234 )
- 日時: 2014/04/30 07:21
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
次の日。
レオは早く起き、朝食を食べ、ヨザクラタウンへ向けて進んでいた。
ヨザクラタウンは、山奥にある町らしい。
ジムもあるが、ホクリク地方にはジムが八つ以上あるので、わざわざ山奥へジム戦をするためだけに行く人は殆どいない。
一応地図を貰ったが、大雑把なところもあり、地図だけだと確実に迷子になりそうだ。
「トゲキッスに頼んで、小まめに道を確認してもらうしかないな」
今の所は見晴らしのいい道が続くが、山に入ればそうすることになるだろう。
既に何時間も立っているが、夕暮れまでには着きたい。山の中で夜を過ごしたくはない。
加えて、いつN・E団が襲ってくるのかも分からない。
少し歩みを速めようと考えていたレオだったが、
「レオ! やっと追い付いた!」
唐突に、後ろから声を掛けられる。
振り向くと、そこには見知った顔が。
「そんなに急いでどうしたのよ。何か用事でもあるの?」
声の主は、レオの幼馴染、アスカだった。
「アスカじゃないか。ってか、どこから来たんだ? シヌマにいたのか?」
「違うわよ。テンモンシティから来て、この道路に入った時に、あんたがこっちに向かって進んでるのが見えたのよ」
「テンモンシティ? 確かジムがあったよな。ジム戦して来たのか?」
「まあね。あそこのジムリーダー、滅茶苦茶強かったけど。ボコボコにされたから、一旦こっちの方で鍛えようと思ってね」
ところで、とアスカは続け、
「あんたはどこに行くのよ。まさかヨザクラタウン? わざわざジム戦だけのためにあんな山奥まで行くの?」
やはり普通の人はヨザクラタウンには行かないようだ。
「『ブロック』の人に頼まれてさ、ヨザクラに用があってね。ほら、僕が『ブロック』に入ったって話はこの前しただろ?」
「ええ聞いたわよ。その後私も副統率とかいうチャラ男みたいな人に誘われて入ったけど」
そう言うアスカの胸元には、『ブロック』のバッジが。
どうやらリョーマは色々な人に『ブロック』加入を誘っているらしい。
「そこから頼まれたってことは、N・E団関係?」
「そういうこと。ヨザクラタウンにN・E団が襲って来るらしいから、それを伝えに行くのさ」
ついでにジム戦もするつもりだよ、とレオは続ける。
「へえ。なら、私も行くわ」
「え?」
「あんたがわざわざ山奥まで行ってジム戦するんなら、それだけ厳しい道を行くってことでしょ。あんたには負けられないからね。私も行かせてもらうわよ」
これは有難かった。頼れるアスカが一緒ならば、非常に心強い。
「本当はあんたとバトりたかったんだけど、その様子だと無理なんでしょ。用事が済んだら、私とバトルよ」
「ああ、いいぜ。僕も久々にアスカと戦いたかったところだ」
心強い味方が出来たレオ。
とりあえずは、ヨザクラタウンまで進むのが先だ。
既に日は暮れかけていた。
山路で散々迷ったものの、トゲキッスがポケモンセンターを見つけ、レオとアスカは何とかヨザクラタウンに到着した……のだが。
「……なんだ、ここ?」
「……ポケモンセンターはあるけど……」
ポケモンセンターは確かにあり、さらに不自然な竹林の中に屋敷があり、ジムの看板が建てられているのだが、それ以外は民家が五、六軒。
しかも、随分昔のような作りで、家というよりは集落と言った方が合っているかもしれない。
しかし、看板には確かにヨザクラタウンと書かれている。
「なるほどな。こりゃ誰も来ないわけだ」
「こんなところに来たって、何のメリットもないわね」
一先ずポケモンセンターに入る二人。
トゲキッスを休ませ、ジョーイさんに話を聞こうとするが、
「もしかして、貴方が?」
向こうから先に話を振られた。
「え? 何がですか?」
「貴方が、『ブロック』からの使いかしら?」
どうやら既に話が伝わっているらしい。
「ええ、そうですけど。何で知ってるんです?」
「副統率と名乗る方から、連絡があったの。胸に『ブロック』のバッジを付けた少年が来るから、ジムリーダーのところまで案内してやってくれって」
リョーマが先に簡単に話をしておいてくれたようだ。
「さあ、私と一緒に来て。あそこのジムはカラクリ屋敷になっていて、ジムリーダーに会うまでが難しいんだけど、今回は話を付けてるから、すぐに出て来てくれるわよ」
その前に、とジョーイさんは続け、
「後ろの女の子は? 私が聞いてた限りだと、来るのは一人だって話だったけど」
「ああ、アスカの事ですか? アスカは僕の幼馴染です。『ブロック』にも加入しているから、大丈夫ですよ」
「分かったわ。じゃあ、ついて来て」
ジョーイさんはポケモンセンターを出て、二人を案内する。
屋敷の前に着くと、ジョーイさんは扉を開け、ジムリーダーを呼ぶ。
扉の中は畳が敷かれ、卓と座布団が置かれた、そんなに広くもない部屋だ。
奥には掛け軸があるが、どう見てもジムには見えない。
「『ブロック』の使いの人が来ました。お願いします」
ジョーイさんが声を掛け、しばらくすると、不意に掛け軸がめくれた。
掛け軸の後ろに大きな穴があったのだ。そこから、人が出て来た。
出て来たのは、黒い忍者服を身に纏った少年だった。
見た目で判断すればレオより少し上くらい。二十歳には届いていないだろう。
「ジョーイさん、ありがとうございます。それでは、後はこっちで話すので。ありがとうございました」
その少年はジョーイさんに簡単に礼を告げる。
「お前たちが『ブロック』の使者か。さ、入れ」
少年に言われ、レオとアスカは中へ入り、座布団に座る。
「俺はこの町のジムリーダー、コタロウ。お前たちの事は大体分かっている。率直に聞こう。用は何だ。申せ」
コタロウと名乗った少年は、早口で語る。
年はレオとそんなに変わらない様子だが、相当大人びている。
「N・E団という組織を、ご存知ですか?」
「N・E団とな。ああ、聞いたことはある。各地で悪事を働く組織だと把握しておるが」
コタロウは口調もやや古風だ。
「大体合ってます。でももっと規模が大きいんです。大きな犯罪行為などを平気で犯すような集団で、目的は不明ですが、世界征服などの噂もあります」
「世界征服、とな? ふっ、くだらぬ戯言だ。して、その組織がどうしたというのだ」
「その組織が、この町にある三つの宝石を狙っているんです。僕たちはそれを伝え、この町に協力するために来ました」
目的を伝えたレオだが、
「くだらぬ」
一蹴された。
「N・E団が何者かは知らぬが、我々の村に伝わるあの宝玉を奪うことなど出来ぬわ。ヨザクラタウンの戦力を……ん?」
自慢げに語っていたコタロウだが、ふと話を止める。
「お前、今三つの宝石と言ったな」
「え? はい」
「お前、親はこの町の生まれのものか?」
「いいえ、二人とも違います」
「ならば、なぜ三つの宝石の事を知っている?」
「ですから、N・E団の奴が言っていたんですよ。次の目的は、この町にある宝石を奪うことだと」
「……怪しいな」
コタロウが呟く。
「この町の三つの宝石の事は、この町に住む者しか知らぬはず。それを話した者は、掟を破ったと見なされ、消されることになっている。だが、俺が知る限り、この十年間で、この町や他の町で我々の仲間に消された者はおらぬ」
「あの、どうしてそんなことがはっきりと分かるんですか?」
アスカが話を挟む。
「このヨザクラの町では、秘密事は存在しない。一人がある情報を知れば、それは一日後にはヨザクラの住人全ての者に伝わる。加えて、この十年間、誰かが町の外に出たという情報も聞かぬ」
コタロウは真剣に考え込んでいる様子だったが、
「この件は俺一人で解決するには荷が重すぎる。あの方に話をするしかないようだな」
そう呟き、立ち上がる。
「お前たち二人。お前たちを特別に、我々の集落へと案内する。そこの事は、誰にも口外してはならぬぞ。もしこの約束事を破れば、貴様らの命は無いと思え」
コタロウの言葉に威圧感が篭る。
ただならぬ恐怖を感じるが、レオとアスカは頷くしかなかった。
「まあ、お前たちは約束事を破るような輩では無かろう。目を見れば分かる」
コタロウの顔がほころぶ。レオとアスカは安心したように息を吐く。
「さて、ここで一つ、お前たちに言っておく事がある」
また物騒な発言が飛ぶのではないかと身を強張らせる二人。
しかし、コタロウの口から出た言葉は違った。
「ヨザクラの町のジムリーダーは、もう一人いるのだ」
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