二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.85 )
- 日時: 2013/03/07 02:14
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: u.mhi.ZN)
どうも白黒です。
うーむ……最初はなかなかの強敵に見えたセドニーですが、発言と序列五位という事実を知ってからは、どうにも小物に見えてしまいます……セドニーのキャラは意外と白黒好みだったので、是非とも頑張ってほいところです。
そして遂にN・E団に対抗する組織が出ましたね。『ブロック』ですか……今後どのようにレオやN・E団と関わるのか、楽しみです。
レオの四体目はヘラクロスですか。白黒も虫ポケは嫌いじゃないですし、ヘラクロスもそうなんですが、如何せん虫タイプは魅力的なポケモンが多く、僕の中ではヘラクロスは埋もれちゃってる感があるんですよね……ハッサム、メガヤンマ、ウルガモス辺りが白黒の好みです。
何気にここでもライブキャスターのミニゲーム機能が活躍してますね。
さらに新たな天将、メジスト登場。今までは色関係でしたが、メジストは破天ですか。性格が破綻してるとか、破天荒だから……とかじゃないすよね、流石に。
見たところ二重人格っぽいですが、まだまだ謎が多いですね。なにやら恐ろしい能力を持っているようですが……戦意を削ぐって、トレーナーキラーじゃないですか。
メジストが通行止めをしていたのは、街を制圧するためだったんですか。正直、通行止めする必要がなくなったのならそのまま街に向かえばいいと思いましたが、まあ何かあるんでしょうね。
輝天将のトパズは……戦闘だと序列四位の強さだけど、戦争なら強いってことですかね? なんだか前々作のOみたいだ……確か彼も軍隊を率いてましたよね。
最後にどうでもいいことですが、瓦割りって、瓦を割るほどの破壊力があるわけですから、生身の人間が喰らったら骨折どころじゃ済まさそうですね……下っ端は相変わらず哀れです。南無。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.86 )
- 日時: 2013/03/08 16:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: bn3dqvGS)
>>白黒さん
どうもこいつからはヘタレ臭がしてしまいますね。殴られて気絶した時といい。
心の純粋さはある意味でN・E団一位ですが。
何回か言ってた気もしますが僕は虫タイプが大好きです。
そいつらは僕も大好きです。そこにヘラクロスを加えた四体が大好きです。
破綻の破が名前の理由ではないですが、確かにこいつは性格が破綻してますね。
バトルも速攻で終わってしまいましたから、まだ謎が多いです。
どうせなら直接的なバトル物に出ているべき能力を持っていますからねこいつは。一応強靭な精神力を持っていれば何とかなりますが、そんな人は多くはないですね。
メジストがどこかへ行ってしまった理由は後々回収する予定です。ですが大した理由ではないのでカットするかもしれません。
そうですね、大体Oみたいな立ち位置ですね。下っ端軍の扱いや、集団戦に非常に長けています。
下っ端は……毎度毎度不遇ですが、今作では特に不遇ですね。
熱湯を浴びせかけられる者、緋天将に叩きのめされる者、レオの手持ちにボコボコにされる者……。
- Re: 第三十五話 粗雑 ( No.87 )
- 日時: 2013/08/15 13:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「ポッチャマ、アクアジェット!」
まずはポッチャマが動く。
体に水を纏い、一直線にチリーンへと突っ込んでいく。
「チリーン、ハイパーボイス!」
対してチリーンは大音量の声を発して衝撃波を放ち、逆にポッチャマを吹き飛ばしてしまう。
カンタロウのペラップも使っていた技だが、威力はこちらの方が高い。というより、発声の仕方そのものが違っていた気がする。
「チリーンは空洞の体を利用し、音を反響させる。その音は、麗しき音色にも敵を吹き飛ばす音波にも自由自在に作り替えられる」
やはりレオの推測通り、音の出し方が違うらしい。
「それでは次だ! チリーン、シャドーボール!」
チリーンは短冊状の下半身を振るい、影の弾を二発発射する。
「それなら! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら突撃する。
回転によって影の弾は弾かれ、シャドーボールは逆にチリーンを捕らえる。
さらに体勢を立て直す隙を与えず、ドリルのような嘴の一撃がチリーンに命中する。
「チリーン、サイコバーン!」
チリーンは何とか体勢を立て直すと、溜め込んだ念動力を爆発させ、周囲に衝撃波を放つ。
しかしチリーンが体勢を整えている間に、ポッチャマは後ろへと下がっており、衝撃波は当たらない。
「冷凍ビーム!」
衝撃波が切れた瞬間を狙って、ポッチャマは冷気を込めた光線を発射する。
しかし。
「チリーン、神秘の守り!」
チリーンの体が、薄い光を放つベールに包まれる。
次の瞬間、冷気の光線がチリーンに直撃した。
しかしそこまで。チリーンの体は凍りつかないどころか、氷が付着することすらない。
「!?」
「チリーン、ハイパーボイス!」
トパズは驚くレオには目もくれない。
チリーンは大音量の声を上げて衝撃波を起こし、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「何だったんだ……?」
「よそ見をしている暇はないぞ! チリーン、シャドーボール!」
さらにチリーンは下半身を振り、影の弾を飛ばす。
トパズが今の技が何だったのか教えてくれなさそうなので、レオはポッチャマに回避を指示、さらに素早くポケモン図鑑を取り出す。
「神秘の守り……状態異常を防ぐ、か!」
つまり、冷気の光線を受けたチリーンから、ベールが氷状態から身を守り、冷凍ビームを防いだように見えた、ということだ。
「ってことは、一応ダメージは通っていないことはないってことだな」
とは言え、普通にあてた時と比べればダメージは少なそうだ。
「しかし、それが気づかれたところで大した損害にはならぬがな。チリーン、サイコバーン!」
チリーンは溜め込んだ念動力を爆発させ、衝撃波を起こす。
「ポッチャマ、躱して水の波動!」
ポッチャマは跳び上がって衝撃波を躱すと、水を凝縮した球状の波動を発射し、チリーンを吹っ飛ばす。
「チリーン、立て直せ。シャドーボールだ!」
チリーンもまだ倒れない。体勢を立て直すと、下半身を振って影の弾を発射する。
「それは効かねえぜ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは嘴を伸ばして、ドリルのように回転しながら突貫する。
シャドーボールを別の方向へと弾き返し、ドリルのような嘴がチリーンへと襲い掛かる。
「ハイパーボイス!」
激突の直前で、チリーンは大音量の声を発して衝撃波を起こす。
回転の勢いもあり、ポッチャマは吹っ飛ばされることは無いが、勢いは止められる。
「アクアジェット!」
しかしその後の動きはポッチャマの方が速い。
すぐさま水を纏い、ポッチャマは再び突撃、今度こそチリーンを吹っ飛ばす。
「やってくれるな! チリーン、サイコバーン!」
チリーンは体内に念動力を溜め込み、一気に爆発させて衝撃波を巻き起こす。
「ポッチャマ、躱して水の波動!」
「させぬぞ! チリーン、シャドーボール!」
ポッチャマは跳び上がって衝撃波を躱し、水の波動を放とうとするが、そこにチリーンは影の弾を放ち、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「まだだ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
「無駄だ! チリーン、神秘の守り!」
空中からポッチャマは冷気の光線を発射するが、チリーンの体は再び光を放つベールに覆われ、氷を防いでしまう。
しかし。
「貰った! ポッチャマ、ドリル嘴!」
チリーンの真上から、ポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら急降下する。
落下の勢いも追加された嘴の一撃を喰らい、チリーンは大きく吹っ飛ばされる。
「とどめだ! ポッチャマ、水の波動!」
ポッチャマは水の力を波動上に凝縮し、チリーン目掛けて撃ち出す。
体勢を崩していたチリーンに命中し、チリーンは再び宙を舞い、地面にドサリと落ちる。
戦闘不能となって、目を回していた。
「こんなところか。チリーン、休んでいろ。お前は責務を果たした」
チリーンを労い、トパズはチリーンをボールへと戻し、レオの方へと向き直る。
「少しはやるようであるな。今から三十分の間、下っ端にお前を襲うことの休止命令を出す。その間にポケモンセンターへ行くがいい。ジムリーダーを始めとした残存戦力が残っているはずだ」
「なぜお前たちはそこを攻めない?」
「攻める必要が無いからだ。ポケモンセンター以外は全てこちらの手中にある。しばらくすれば食料が尽き、向こうから降参するからだ。無駄な勝負で無駄にこちらの戦力を削ぐ必要はない」
そして、トパズは別のモンスターボールを取り出す。
「出でよ、ガルラーダ」
中から出て来たのは、背中に卵の殻を残した、オレンジ色の、ガルダという神鳥に似たポケモン。
ガルラーダ、ガルダポケモン。飛行タイプのみという、珍しいタイプだ。
トパズはもうレオには目もくれず、ガルラーダに掴まり、飛び去って行った。
下っ端もいつの間にかいなくなっていた。
「……ちっ」
レオはポッチャマを戻し、僅かに舌打ちする。
ある程度余裕でバトルに勝ったが、レオには満足感が無かった。手ごたえを意図的に外された感覚が残っている。
「……小手調べかよ」
思えば、トパズはチリーンに一回も回避行動を指示しなかった。
輝天のトパズは、レオの力を測るために、わざと手加減していたのだ。
もう一度レオは小さく舌打ちすると、トパズの助言通り、ポケモンセンターに向かう。
- Re: 第三十六話 大男 ( No.88 )
- 日時: 2013/08/15 13:57
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
レオは急いでポケモンセンターへ向かった。
三十分たったら襲ってくる下っ端が怖い訳ではなく、この町の人の中でどれくらいの人が無事なのかを早く確認したかったからだ。
ポケモンセンター付近にも下っ端はいたが、レオの方を睨むだけで、襲ってはこなかった。
理由は分かってはいるが、その現象に違和感を感じつつ、レオはポケモンセンターへと入る。
二十人ほどの人が集まり、何かを話し合っていた。よく見るとアスカもいた。
そしてその集まりの中心にいるのは、座っていても背が高いことがよく分かる大男。
おそらく、立てばその身長は二メートル弱はあるだろう。
その男は、オレンジ色の髪を立たせ、炎のような真っ赤なジャージを着ており、非常に体つきがいい。
そして、その集団はポケモンセンターの扉が開いたことに気づき、こちらを振り向く。
次の瞬間、赤いジャージの男が、バッ! と立ち上がった。本当に大きい。
「N・E団め、ついにここまで攻め込んできたか。見たところ下っ端ではないな、天将とやらの一人か」
「え? いや、違いま——」
「だがそうはさせないぞ。コウホクジムリーダーの名に懸け、このカラタチ、全力でお前を叩き潰す!」
「ちょっ、だから違——」
「問答無用! 出て来い、チャーレム!」
レオの言葉など全く聞かず、カラタチと名乗った男は、人に近い姿をし、赤い脚はやや膨らんでいるポケモン、瞑想ポケモンのチャーレムを出す。
そのチャーレムは、ポケモンセンターの床を蹴り、拳を構えて一直線にレオへと突っ込んでくる。
しかし、
「カラタチさん、待ってください!」
間一髪で、アスカがカラタチを止めた。
「彼は私の幼馴染です。N・E団ではありません」
「何!? チャーレム、止まれ!」
レオの顔面に、拳が激突するまであとわずか。すんでのところで、拳はレオの顔を潰さずに終わった。
そして、カラタチはすぐにチャーレムを戻すと、レオに頭を下げた。
「すまなかった。町がこんな状況だったとは言え、もう少しで何の罪もない少年に重傷を負わせてしまうところだった」
「いえ、僕は無事でしたから。それにこの状況では仕方がありませんし」
冷や汗をかきつつも、レオはそう言った。
「本当にすまなかった。しかし、そうだとしたら君は何者なんだ?」
「僕の名前はレオです。さっきこの町に来たら、町の人は何も見当たらず、輝天のトパズとかいう天将と戦い——」
「レオ?」
突然、その集団の中から、自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
しかし、それはレオを呼んだようには聞こえなかった。むしろ、名前だけ知っているひとを話題に出すような言い方だった。
レオとカラタチはそちらを見る。一人の少女が立ち上がった。
やたらと跳ねているピンクの髪を、無理に束ねてポニーテールにし、紅色の浴衣とサンダルという、あまり場に合わない格好をした少女。
しかし、レオはその少女の顔を見ていた。
その少女の顔に何かが付いているわけではない。一目惚れしたわけでもない。
その少女の顔が、とある知り合いによく似ていたのだ。
一年前、ウチセトの旅の途中で出会った、シアンという少年に。
周りの目が自分に向けられていることには気も留めず、その少女は立ち上がり、
「あんたがレオ君かー。何か思ってたんと少しちゃうなー」
あたかもこちらのことを知っているように話しかけてくる。
これは、もしや、
「お前……もしかしてシアンの兄妹か……?」
レオがそう言うと、その少女はにんまりと笑い、
「せや。うちはシアンの双子の妹、マゼンタ。よろしゅうなー」
そう、名乗った。
「おや、二人とも、知り合いか?」
横にいたカラタチが会話に入ってくる。
「いえ、僕が知っているのはこの子の双子のお兄さんです」
「ほう。そこのアスカちゃんといい、君はどうやら顔が広いようだな」
「いえいえ、偶然ですよ。それほど顔が広い方ではありません」
一応レオの父は博士ではあるが、そっちの方面の知り合いもほとんどいないので、レオはそんなに顔は広くない。
「シアンがやられたゆーて、いっぺん会ってみたかったんやけど、こないなとこで会えるとは思ってなかったわ」
「それほ僕もだよ。自分を知ってる人とこんなところで会えるとは思わなかったよ」
「二人とも」
初対面なのに話が盛り上がってきている二人を、アスカが呼ぶ。
「盛り上がってるとこ悪いんだけど、カラタチさんの話が途中よ」
「あ、せやったなー。ほな、ジムリーダーさん、話の続きを。レオくん、あんたも来いや」
「あ? あ、うん」
アスカの声で、マゼンタはレオを引っ張り、カラタチを中心としたそのグループに戻る。
そして、カラタチが口を開く。
「見てのとおり、現在この町は危機的状況にある。一応予備の食料などもポケモンセンターにはあるが、それがいつまで持つかは分かったものではない」
そこでアスカが手を挙げる。
「どうした?」
「N・E団は、どうしてこの町を襲ったのでしょう? 本拠とするなら、もう少し小さく、目立たないところの方が良かったはずなのに」
「おそらくは、この町がホクリクのほぼ中心に位置しているからだろう。中央の町を抑えてしまえば、以降の周りへの侵略はぐっと楽になる。その分目立つのは間違いないが、それを抑えるだけの自信があるのだろう」
一旦言葉を切り、さらにカラタチは続ける。
「輝天のトパズは強い。一対一のバトルならまだしも、奴は戦闘というものをよく知っている。レオ、君は知らないだろうからもう一度言っておくが、奴はこの町に奇襲を仕掛けてきたわけではない」
「え?」
「奴は私に手紙を送りつけて来た。時間を指定し、その時間にコウホクに攻め込むと。そしてその時間丁度にやってきた。大軍を率いてな」
その言葉を聞いてレオは息をのむ。他の皆はすでに聞いている話らしく、特に反応はない。
「私やジムトレーナーを中心として、この町全体で戦った。しかし勝てなかった。町の住民の多くが捕まった。他の町から来ていたアスカやマゼンタにも迷惑をかけてしまった」
となると、ここにいる多くのトレーナーはジムトレーナーなのだろう。
「しかし、レオ、君がここに来たことで、私たちはある程度外の状況が分かるかもしれない。何か知っていることはあるか」
カラタチがそういうと、周りの視線が一斉にこちらへ向けられる。
「え、えーっと、あ、そうだ。僕は昨日、破天のメジストと名乗る天将と戦いました。そいつに負けてしまったんですが、そいつは敵の精神力を奪うという厄介な能力を持った奴だったんです。そいつが、もう少ししたらここに来るらしいと、下っ端が言っていたのを聞きました」
あと、とレオは話を続け、
「こっちは吉報です。アカノハシティの『ブロック』の人たちも、もう少ししたら来るといっていました」
『ブロック』が何か分かるかどうかが心配だったが、カラタチは分かったようだ。
「おお、そうか。それはよかった。——ああそうだお前たち、『ブロック』というのは、犯罪団体壊滅組織だ。レオ、『ブロック』と連絡は取れるか?」
「はい。ライブキャスターで——」
その続きの言葉は、カラタチやアスカたちの耳には入らなかった。
ズガァン!! と。
ポケモンセンターの外で、爆音が響き渡ったからだ。
「何事だ!?」
慌ててカラタチが立ち上がる。
「なんや、まさか今言うとった破天のメジストが攻めて来よったんちゃうか?」
「そうだとしたらまずいわよ。敵の精神力や戦意を奪い取る敵なんて……」
後ろでマゼンタとアスカが話す声が聞こえた。
その時。
ポケモンセンターのドアが開いた。
「よう。大変なことになってんなあ、コウホクシティ」
軽い口調で入ってきた、その男は、
- Re: 第三十七話 応援 ( No.89 )
- 日時: 2013/08/15 13:59
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「よう。大変なことになってんなあ、コウホクシティ」
軽い口調で入ってきた、その男は、男としてはやや長めの黒髪に、青い瞳の青年。
「リョーマさん!」
『ブロック』副統率にして、アカノハ支部統括、リョーマだった。
「ヒーローは遅れてやって来るって言うだろ?」
ニヤリと笑ってリョーマは言い、カラタチの方に向き直る。
「コウホクのジムリーダー、カラタチさんですね? 自分は『ブロック』副統率兼アカノハ支部統括、リョーマです。N・E撃退の応援に参りました」
「それは助かる。見ての通り、現在コウホクはN・E団に占領されている。貴方たちの力が必要だ」
「そのことですが」
リョーマは扉の外を示し、
「俺と統括補佐で、町にいる下っ端どもは殲滅しました。今は統括補佐を中心とするうちの部隊が、奴らの拠点と見られる高層ビルを包囲しています」
「そうか。しかし、そのビルの中には捕らわれたこの町の住民がたくさんいる」
「そうですか。だとすると、あまり状況は変わっていませんね」
メジストのこともありますし、とリョーマは続ける。
「時間がありません。皆さん、いいですか。今から、俺の指示に従ってください」
リョーマの言葉に反論する者はいなかった。リョーマは『ブロック』の副統率だ。ある意味では、カラタチよりも頼りになるだろう。
「これ以上の増援を待つのは無駄でしょう。あまり時間をかけすぎると破天将が到着してしまう恐れがある。これから、奴らの拠点を叩き、この町を解放していきます」
何名かざわめく者がいたが、無視してリョーマは続ける。
「まず、カラタチさん。この中で——レオの力は俺も知ってますから、彼を除いて——、特に腕の立つ人は?」
「そうだな。そこの女の子二人と、あとうちのジムトレーナーに三人ほど強い者がいる」
カラタチは順にアスカとマゼンタを指し、そのあと、ジムトレーナーの中の三人を指す。
「そうですか。では、カラタチさん。レオと、そこの浴衣の子、あとはそこの三人組を連れて、奴らの拠点のビルへと向かってください」
「了解した」
「分かりました」
カラタチとレオは応じたが、マゼンタが疑問の声を上げる。
「そんな少人数でええの? 下っ端が町ん中の奴らで全部っては限らへんで?」
「大丈夫だ。狭いビルの中では、かえって少人数のほうがいい。こちらの動きは捕捉されづらくなるし、何より狭い空間では大人数で動きづらいからな」
リョーマが説明を入れると、マゼンタは納得したようだ。
「で、そこの赤髪ロングの子は、何かあった時のためにここに残って俺をサポートしてくれ。ポケモンセンターはこちらの本拠地だ。こっちを守る隊も必要だからな」
「分かりました。任せてください」
自信たっぷりにアスカは返答する。
「ことが決まれば早い方がいい。皆の者、行くぞ! 準備はいいな!」
「おおっ!」
カラタチの号令に合わせるように、皆の声が響き渡る。
コウホク争奪戦の幕が、切って落とされた。
カラタチを先頭にし、レオとマゼンタ、及びジムトレーナーの三人は、N・E団が本拠地とする、町で一番高いビルへとやってきた。
「アカノハ支部副統括、テレジアでございますわ」
カラタチ一行を確認した、ビルを包囲していた部隊の中心にいたテレジアがこちらへやってきた。
「奴らの動きは?」
「全く動きを見せておりませんわ。正直、この扉が異様に堅く、ここで手詰まりですの」
そう言って、テレジアはビルの自動ドアを軽く叩く。
しまったな、とカラタチが呟いた。
「セキュリティとして、このビルのドアは超強化ガラスで作られている。私の格闘ポケモンですら、このドアは壊せないんだ。まさか、このシステムが仇になるとはな」
悔しそうにカラタチが呟く。とりあえずレオも試してみることにした。
「ヘラクロス、出て来てくれ。このドアに瓦割りだ」
レオはヘラクロスを繰り出し、ヘラクロスは自慢の角を勢いよく、思い切りドアに叩きつける。
しかし、ガキィン! と音がし、ヘラクロスは逆に弾かれてしまう。
「……マジかよ」
「言った通りだろう? 暗証番号とかも作らず、ただ非常時にはロックされる、アナログ的な作りにしていたから、解析で開けることも通用しないしな」
しかし、そこで自慢げに進み出た者がいた。マゼンタである。
「なぁんや。そんなことやったら、うちにお任せやで」
マゼンタは得意げな笑みを浮かべると、モンスターボールを取り出す。
「ほな、私が開けたるさかい、よー見ときや? 行くで、ポコキング」
マゼンタが繰り出したのは、藁傘を被り、『酒』と書かれた瓢箪を持った、大きな狸のようなポケモン。
大狸ポケモンのポコキング、ノーマルタイプ。
「ポコキング、腹太鼓や」
すると、ポコキングはその場で腹を叩き出す。体力と引き換えに、ポコキングの攻撃力は最大まで上昇する。
しかし、
「おそらく無駄だぞ」
カラタチはそう言った。
「いくら攻撃を上昇させようと、このドアは破壊できないように作られている。それこそ、伝説のポケモンでもない限り——」
「へえ」
だがマゼンタの表情は変わらない。
「ジムリーダーさん、今何て言うた?」
「ん? だから、伝説のポケモンでもない限りは、このドアは割れない、そう言ったんだ」
「へえ。ほな、伝説のポケモンよりも高い攻撃力のポケモンをうちが持っとったら?」
「馬鹿な。そんなポケモン、いるはずないだろう」
「ところがどっこい、それがいるんやな」
そして、
「ポコキング、バトンタッチ」
次の瞬間、ポコキングはボールへと戻ってしまう。
「ほな、ラムパルド、次はあんたやで」
次にマゼンタが出したのは、岩のように硬い皮膚を持つ、恐竜のようなポケモン。特に頭の部分は、岩どころではなく、世界で一番硬いと言われるダイヤモンドよりも硬い頭蓋骨をもっていると言われる。
ラムパルド、頭突きポケモン。化石から蘇る古代ポケモンの一匹で、岩タイプだ。
「まさか」
カラタチの言葉が浮つく。しかしレオはこのポケモンを見たことが無いので、その理由がよく分からない。
分かるのは、腹太鼓の攻撃上昇がラムパルドに引き継がれた、ということだけだ。
そして、
「ほなラムパルド、諸刃の頭突きやで」
何気なくマゼンタは指示し、ラムパルドは額に赤い光を浮かべ、ドアに思い切り頭突きをぶちかます。
刹那、超強化ガラスで出来た自動ドアが、粉々に砕け散った。
「……!」
レオは唖然としていた。
強化ガラスは、跡形もなく、粉々になって吹き飛んでいた。
それだけで、今の一撃がどれほどのものだったかが分かるだろう。
「ほな、行こか。正直N・Eなんてけったいな連中なんか知らんけど、町の人らの為や。さっさと終わらせるでー」
そして何事もなくマゼンタはラムパルドを戻し、ビルへと入っていく。
「よ、よし! レオ、私たちも行くぞ!」
「もちろんです!」
カラタチとレオも、ビルの中へと突入していく。
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