二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第十話 天使の笑み ( No.40 )
- 日時: 2013/08/15 13:35
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
ポニータの足の一撃と、トゲピーの頭突きが激突する。
威力はトゲピーに分があり、ポニータは押し負け、後退する。
「そこだ! 原始の力!」
トゲピーは周囲にいくつかの岩を浮かべ、その岩をポニータへと飛ばす。
体勢を崩していたポニータには、全て避けることは出来ず、何個か岩が命中する。
原始の力は岩タイプの技。ポニータには効果抜群だ。
「そのトゲピー、なかなかやるな。卵から孵ったばかりとは思えないぜ」
少年はトゲピーの実力を賞賛し、
「それならポニータ、高速移動だ!」
刹那、ポニータの素早さが格段に上昇する。
先ほどの二倍ほどもあるスピードで、ポニータは一気にトゲピーまで近づき、
「二度蹴りだ!」
回避する暇も与えず、ポニータはトゲピーを連続で二度蹴り飛ばす。
二度蹴りはそこまで威力は高くない技だが、効果は抜群、結構痛い。
「まだだ! トゲピー、神通力!」
トゲピーは神々しい念道力をポニータ目掛けて放つが、ポニータは上昇した素早さを生かし、巧みに念力を避けると、
「ニトロチャージ!」
体に炎を纏い、一直線に突っ込んでくる。
(こうなったら……賭けだけど、これを使うしかないか)
そして、レオはトゲピーの最後の技を指示する。
「トゲピー、指を振る!」
トゲピーは指を左右に振りだす。すると、その指が青く光っていく。
指を振るとは、その名の通り指を振って、原理は不明だがランダムで別の技を繰り出すという技。
完全に運任せだが、いい技が出れば一発逆転を狙える。
そして、トゲピーの指の光が最高潮に達する。
次の瞬間、トゲピーの指先から灼熱の炎が噴き出し、ポニータへと襲い掛かる。
「! 火炎放射か!」
炎の勢いは強く、突っ込んでくるポニータと激突する。
しかし、
「残念だったな」
トゲピーが放つ灼熱の炎は、何故かポニータにどんどん吸収されていく。
「俺のポニータの特性は、炎技を吸収して自らの炎の力に変える貰い火だぜ。これならニトロチャージの威力が上がる!」
「何ッ!?」
さらに大きな炎が、ポニータを包む。
そしてそのまま、トゲピーへと激突する。
「トゲピー!」
トゲピーは吹っ飛ばされ、戦闘不能となっていた。
「トゲピー、よく頑張った。初めてのバトルにしては、とてもいい動きだったぜ」
レオはトゲピーの頭を撫で、トゲピーを褒める。
「そのトゲピー、卵から孵ったばかりにしてはいいバトルをするじゃねえか。ちゃんと育てれば、かなり強くなりそうだぜ」
少年もポニータを戻し、そう言った。
「ああ。これから頑張って育てていくよ。いろいろ世話になったよ、ありがとうな」
「おう。例には及ばんよ」
レオと少年は握手を交わし、そしてポニータ使いの少年は去っていった。
ところで、レオはまだデンエイシティを全く見て回っていない。
なので今、レオはデンエイシティを見て回っている。
まず、何と言っても一番目を引くのが、町の中央にそびえ立つ大きな塔である。
この塔、上層部の外壁が全てソーラーパネルで作られている。
その内部には『ペタメモリ』という、小さいが膨大な容量を持つメモリーカードが組み込まれているらしい。
そのメモリーカードを通じて、町全体に電気が送られている仕組みらしい。
さらに、全ての民家の屋根にもソーラーパネルが取り付けられている。
どうやら、これらは全てジムリーダーが考案した設計のようだ。
少しでも電気代を下げ、住民の負担を少しでも減らそうという考案らしく、ソーラーパネル取り付けの際にはジムリーダーも負担したという。
「どれだけ金持ちなんだろうな、ここのジムリーダー」
そんなことを呟きつつ、レオはジムの前にやってくる。
ジムの外観は工場のようになっており、光沢のある灰色に黄色く長いテープが張られたような柄になっている。
だが、まだレオは挑戦はしない。
「トゲピーを、もうちょっと鍛えてあげないとな……」
塔の周りは結構広く、ストリートバトルも結構行われている。
今日はトゲピーを育て、ジムは明日挑戦だ。
次の日。
昨日のトゲピーの戦績は、三勝二敗。
本当に、このトゲピーは卵から孵ったばかりとは思えないくらいの実力があった。
「心強い戦力も加わったし、ジム戦頑張るぞ!」
ジムまでやってきたレオは、重めのジムの扉を開け、中へと入る。
「お願いします!」
ジムの内装も、やはり工場のようにも見える。
壁は黒い金属で作られ、ところどころ黒いパイプが通っている。
バトルフィールドの床も、ところどころ凸凹した黒い金属で作られている。
そして、そのバトルフィールドの向こうに立つ女が一人。
金髪を長いポニーテールにし、オレンジ色の服の上から赤いコートを羽織った、優しげな表情の二十歳くらいの女が、こちらを眺めている。
「おはようございます。ここに来たってことは、ジムの挑戦者さんね?」
その女が口を開く。表情と同じように、ゆったりとした優しげな口調だ。
「はい、ジムへと挑戦に来ました、レオと言います」
「レオ君ね。私は電気タイプ使いのユカリ、デンエイシティのジムリーダーよ」
その女——ユカリは、柔和な笑みを浮かべて名を名乗る。
「ジムリーダーになってからは、この町を発展させるためにいろいろ頑張ってきたわ。今はもう自立してるけど、私の家は結構な大きいお屋敷で、お金が余ってたから、この町の為に使ったってわけ。町の皆にも好評でよかったわ」
ユカリはにっこりと笑い、そしてモンスターボールを取り出す。
「さて、私の大まかな自己紹介も終わったし、そろそろジム戦を始めましょう。楽しいバトルを期待してるわよ」
「臨む所です。僕も全力で行きますよ」
デンエイシティでのジム戦が始まる。
『デンエイシティジム ジムリーダー ユカリ 輝くスマイルガール』
- Re: 第十一話 黒金属 ( No.41 )
- 日時: 2013/08/15 13:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「まずは貴方よ、スミロドン!」
ユカリの一番手は、青い体毛を持つ、四足歩行の肉食獣のようなポケモン。口から突き出した二本の鋭い牙が特徴的だ。
スミロドン、サーベルポケモン。岩・電気タイプ。
「スミロドンか、懐かしいポケモンだな。岩タイプが付いてるから……ポッチャマ、行くぞ!」
レオの一番手は、いきなりのポッチャマだ。
「あら、電気タイプ使いの私に、初手から水タイプ? 何か策でもあるのかしら」
「ですがスミロドンは岩タイプも持っています。だから水技がよく効く。水タイプを出すならこのタイミングでしょう」
簡単に言えば、レオはここ以外でポッチャマを出し辛いということだ。
なるほどね、とユカリは頷き、
「じゃあ行くわよ。スミロドン、マッハボルト!」
スミロドンは瞬時に電気エネルギーを作り出し、素早く電撃を放つ。
「ポッチャマ、アクアジェット!」
対してポッチャマも素早く水を纏い、跳び上がって電撃を避けると、そこからスミロドン目掛けて突撃する。
「先制技には先制技か……スミロドン、原始の息吹!」
スミロドンは古代の力の込められた息吹を放ち、ポッチャマのアクアジェットを相殺する。
「シャドークロー!」
そこにスミロドンが跳び、影で作った爪でポッチャマを切り裂く。
「ならポッチャマ、バブル光線!」
ポッチャマはすぐに体勢を整え、上手く着地し、勢いよく泡の光線を噴射する。
「スミロドン、シャドークローで破壊!」
襲い来る無数の泡を、スミロドンは影で作った爪で次々と破壊していく。
「今だぜ、アクアジェットだ!」
泡を破壊し、影の爪が尽きたところを狙って、ポッチャマは水を纏って突撃し、今度はスミロドンを吹っ飛ばす。
スミロドンが地面に落ちると、ガキン、と痛そうな音がする。
普通のバトルフィールドと違い、このフィールドは硬い黒金属で出来ている。
地面や壁へ叩きつけられたときのダメージは、通常よりも大きくなるだろう。
「いいとこ狙うね。スミロドン、原始の息吹!」
スミロドンは原始の力を込めた息吹を放つ。
「ポッチャマ、躱せ!」
ポッチャマは息吹を避けるが、一撃では終わらない。
ポッチャマに反撃の隙を与えず、執拗にポッチャマを狙い続ける。
(大丈夫だ。これは息吹、だから途中で息継ぎが必要になる。ずっと続くわけじゃない)
だからポッチャマは息吹を避けつつも、少しづつスミロドンに近づいていく。
そして、そのレオの考えは、すぐに的中する。
スミロドンの息吹が、次第に弱くなってきた。
「よし、ポッチャマ、バブル光線!」
スミロドンの息が切れた瞬間を狙って、ポッチャマは泡の光線を放つ。
「まずっ……原始の息吹!」
すぐさまスミロドンは息を吸い、原始の力を込めた息吹を噴き出す。
技の出が少し遅れ、少し泡を喰らってしまうが、致命傷には至らない。
「へえ。タイプ上では不利なのに、なかなかやるねそのポッチャマ」
そんなことをいうユカリだが、表情は全く変わらない。相変わらずのにこやかな笑みを浮かべている。
「だったら、次はこうしちゃおっかな」
ユカリは一拍置き、そして。
「スミロドン、雷の牙!」
スミロドンは長く鋭い牙に電撃を纏わせ、次の瞬間、その牙を金属の床へと思い切り突き刺す。
そう、突き刺したのだ。金属の床が、容易く貫通された。
「……! すごいパワーだな。でも、一体何を……」
スミロドンの奇怪な行動に怪訝な表情を浮かべるレオだが、その答えはすぐに分かった。
突如、ポッチャマが電撃を受けたように体を痙攣させ、苦しい表情を浮かべる。
「!? ポッチャマ、どうした!?」
少ししてポッチャマの痙攣は止まるが、相変わらず辛そうな表情を浮かべ、肩で息をついている。
「……まさか」
「ええ、そのまさかよ」
ユカリは相変わらずの笑顔だが、その笑顔に別の何かが込められているようにも見える。
「この床は知ってのとおり金属で出来てるの。電気をよく通す金属が、床を伝って貴方のポッチャマに伝わり、貴方のポッチャマは雷の牙の電撃を浴びた。そんなところね」
自慢げにユカリは言う。
「なるほど、それは厄介だな……」
「でしょ。スミロドン、マッハボルト!」
スミロドンは瞬時に電撃を発生させ、そこから電撃を放つ。
「くっ、ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
ポッチャマは横に跳び、すんでのところで電撃を避け、さらにそこから水を纏い、地を蹴って跳び出す。
「スミロドン、シャドークロー!」
突っ込んでくるポッチャマに対し、スミロドンは影で作った爪を振りかざし、ポッチャマを迎撃する。
しかし、
「ポッチャマ、回避!」
間一髪でポッチャマは軌道を変えて爪の一撃を躱し、スミロドンに激突した。
「ッ、スミロドン! まだよ、雷の牙!」
スミロドンは何とか体勢を取り戻すと、今度は地面に突き刺すのではなく、そのままポッチャマへと向かってくる。
「上等だぜ! ポッチャマ、バブル光線!」
ポッチャマは向かってくるスミロドンへと、大量の泡の光線を放ち、迎撃を狙う。
だが、
「かかったわね! スミロドン!」
スミロドンは一瞬で横へ逸れて泡を避け、その牙を思い切り床へと突き刺した。
「……ッ! まずっ……!」
しかし既に遅い。
スミロドンの牙から瞬時に電撃が伝えられ、ポッチャマへと伝わり、ポッチャマは電撃を浴びる。
「これで決めるわ! スミロドン、シャドークロー!」
スミロドンは地を蹴り、大きく跳び、影の爪を作って、思い切りポッチャマへと斬りかかる。
だが、これはユカリにとっては失策だった。
具体的には、不用意にスミロドンをポッチャマへと近づかせたことが。
「舐めるな! ポッチャマ、アクアジェット!」
ポッチャマは痺れる体を無理やりに動かし、水を纏って突撃する。
スミロドンの爪を掻い潜り、その腹に思い切り激突した。
「スミロドン!」
スミロドンは吹っ飛ばされ、金属の床へと落ち、戦闘不能となった。
「スミロドン、よくやったわ。休んでいてね」
ユカリは屈みこんでスミロドンの頭を撫で、ボールへと戻す。
「まさか有利なはずの水タイプに先手を取られちゃうなんてね。でも、バトルはここからよ」
「ええ、分かってますよ。まだまだここからです」
ユカリは柔和な笑顔を浮かべたまま、次のボールを取り出す。
- Re: 第十二話 磁力 ( No.42 )
- 日時: 2013/08/15 13:37
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「じゃあ、次は貴方ね、コイル!」
ユカリの二番手は、鋼の丸い体に一つの目があり、左右にはU字型磁石のようなユニットが、上下に合計三本のネジが填められたようなポケモン。
磁石ポケモンのコイル。電気・鋼タイプ。
「コイルは見たことあるぞ。確か特攻と防御が高いんだったな」
ウチセトでの記憶をたどり、レオはコイルの特徴を記憶から引っ張り出す。
「だったら特殊技だな。ポッチャマ、バブル光線!」
ポッチャマは勢いよく泡の光線を発射する。
「コイル、電撃波!」
対してコイルは素早く電撃の波を撃ち出し、泡を破壊。
「磁力線!」
さらにコイルは左右のユニットを回転させて磁力を操作し、磁力の波を放つ。
磁力線は軌道が見えない攻撃のため、避け辛い。効果今一つだが、軌道の見えない一撃をまともに喰らい、ポッチャマは大きく体勢を崩す。
「そこよ! 電撃波!」
その隙を逃さず、コイルは素早く電撃の波をポッチャマに浴びせる。
電気技は効果抜群。加えてスミロドン戦でのダメージもあり、ポッチャマは戦闘不能となって倒れてしまう。
「ポッチャマ、よく頑張った。戻って休んでてな」
レオはポッチャマを労い、ボールへと戻す。
(次はどっちがいいかな。コリンクもトゲピーも特に有効打はないけど、エースにトゲピーをぶつけるのも危ないか。だから……)
「次はお前だ。頼んだぞ、トゲピー!」
レオの二番手はトゲピー。だがこの意図としては、ここでトゲピーを出したいというより、ここでコリンクはとっておきたい、といったものだ。
「へえ、珍しいポケモン。どこでゲットしたのかしら?」
「父の知り合いから卵を貰ったんです。その卵から孵りました」
それを聞くと、ユカリは、へえ、と頷き、
「じゃ、始めましょうか。コイル、目覚めるパワー!」
コイルはユニットから水色のパワーの球体を放つ。
「色的にそのパワーは水タイプだな。トゲピー、躱して神通力!」
トゲピーはジャンプして球体を避けると、神々しい念動力を放って反撃。
コイルの動きを操り、コイルを地面へと叩きつける。
「やるねえ。だけど私のコイルの体は硬い鋼で出来ている。金属に叩きつけられたくらいでは、そうダメージは大きくないわよ」
実際、コイルは硬い床に叩きつけられた直後とは思えないように、即座に宙へと浮かび上がってくる。
「コイル、次は凍える風!」
コイルは凍りつくような冷たい風を放つ。
「トゲピー、原始の力で防御だ!」
対してトゲピーは宙に浮かべた岩をトゲピーの前まで移動させ、風を受け止める。
「今だぜ、原始の力発射!」
コイルの放つ風が尽きたところを狙って、トゲピーはその岩をコイル目掛けてぶつける。
しかし、やはり効果は今一つ。コイルへのダメージはそう多くない。
「その程度じゃ私のコイルは倒せないわよ。コイル、電撃波!」
すかさずコイルは反撃に出る。
電撃の波を放ち、その波は素早くコイルへと襲い掛かる。
トゲピーは電撃をまともに喰らうが、勿論それだけでは倒れない。
「だったらこれを使ってみるかな。トゲピー、まずは神通力!」
トゲピーは神々しい念道力を操り、コイルの動きを止め、地面へと叩きつける。
「よーし、運試しだ! トゲピー、指を振る!」
トゲピーは素早く指を振り、指が青白く輝いていく。
そして。
今回は相当な運が向いたらしい。
トゲピーの手に、ドリルにも見えるオーラが宿っていき、トゲピーはそのドリルを思い切りコイルへと振りかざす。
「いいぞ、ドリルライナーだな!」
ドリルライナーは地面技。加えて、コイルはようやく神通力から抜け出せたばかりで、ドリルライナーを避けることは不可能だ。
しかし。
ユカリは、その不可能を容易く可能へと変えてしまう。
「コイル、磁力を強めるのよ」
その指示で、コイルは素早く右のユニットを持ち上げて壁へと向け、磁力を思い切り強める。
次の瞬間、コイルの体が思い切り横へとブレた。
「!?」
突然とんでもない動きをしたコイルに、驚くレオ。
パッと横を見ると、コイルはユニットを使い、金属で出来た壁にくっついていた。
「君には言ってなかったと思うけど、壁や床の金属は鉄でできているのよ。鉄は磁石にくっつくのは知ってるわよね」
つまり、コイルの強めた磁力により、鉄の壁がコイルを引き寄せ、コイルは高速で移動できた、ということだ。
「なるほど……。くっ、せっかくのドリルライナーだったのにな……」
トゲピーの指先から出ていたドリル状のオーラは、既に消滅してしまっていた。
「作戦としては上手いものだったし、運もよかったみたいだけど、私の方が一枚上手だったってことね。コイル、磁力線!」
コイルは壁から離れると、磁力を操作し、軌道の見えない磁力の波を発射する。
磁力線は軌道が見えず、避け辛い。
「くっ、トゲピー、原始の力!」
トゲピーは宙に岩を浮かべ、その岩で防御しようとするが、磁力線は岩には強い鋼タイプの技。
磁力線は岩を突き破り、岩の破片が飛び散り、トゲピーは磁力線に吹っ飛ばされる。
しかし、思ったよりもダメージが少ない。
(……? どうしたんだ……?)
そう言えば、先ほどの神通力も、やや威力が上がっていた気がする。
最初は効果今一つで大したダメージは無かったはずなのに、指を振るの前に放ったものはそこそこの威力があった。
レオは頭を回転させ、考える。
トゲピーの特性は……。そしてトゲピーが行った技は……。
(! 原始の力か!)
そう。
原始の力により、今のトゲピーは全能力が上がっているのだ。
本来、原始の力のその追加効果は簡単には発動しないが、トゲピーの特性は天の恵み。追加効果が発生しやすい。
「よし、賭けるか! トゲピー、原始の力!」
トゲピーは宙に岩を浮かべ、その岩をコイル目掛けて放つ。
「そんなに効かないわ。コイル、耐えてからの電撃波!」
コイルは動かず、すぐさま反撃の準備をするため、電撃を溜め込む。
しかし、その岩にはユカリが思っていたよりも大きい威力があったらしく、コイルは思わぬ一撃に体勢を崩す。
「……え? あ……!」
「ようやく気づきましたか! トゲピー、頭突きだ!」
その隙を逃さず、トゲピーは地を蹴って跳び出す。
体勢が整っていないコイルに、堅い頭突きを喰らわせ、コイルを吹っ飛ばす。
効果今一つだが、思いもよらない威力。
「くっ、コイル、磁力線!」
「なら、トゲピー、神通力!」
コイルの放つ、軌道の見えない磁力の波を、トゲピーは正面全体に神々しい念動力を放つことで、磁力線を相殺する。
「もう一撃だ!」
間髪入れず、トゲピーはもう一度その念動力を操作し、コイルの動きを操ってしまう。
「原始の力!」
トゲピーは念力を操り、コイルを思い切り地面へと叩きつけると、宙に岩を浮かべ、コイル目掛けて放つ。
「避けきれないわね……コイル、壁へ!」
コイルは再びユニットの磁力を強め、壁へと移動しようとするが、
「その手はもう通じませんよ! トゲピー、神通力!」
コイルが高速で動く寸前、トゲピーはコイルへと念力を掛け、コイルが動こうとしていた方向へとコイルを投げ飛ばす。
そちらへ動こうとしていたコイルは、念動力の力も上乗せされ、とんでもない勢いで壁へと叩きつけられる。
「ッ、コイル!」
あろうことか金属の壁にめり込み、コイルは戦闘不能になっていた。
「うーん、コイルも負けちゃったか。ありがとうコイル、休んでてね」
ユカリの立っている位置から直接ボールに戻すこともできたが、ユカリはコイルのところまで近づき、コイルを壁から引き抜くと、その頭を撫で、ボールへと戻す。
スミロドンの時と言い、ユカリはポケモンに愛情を注いでいるのがよく分かる。
「さあ、遂に私のエースの登場よ。覚悟はいい?」
ユカリは自信に満ちた笑顔を浮かべ、最後のボールを取り出す。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.43 )
- 日時: 2013/02/16 16:39
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
そろそろこの切り出しもマンネリかな、と思いつつ続けている白黒です。
卵から孵ったのはトゲピーでしたか。白黒はプラチナのポケモンということでリオルだと予想していたのですが、外れてしまいました。
でも確かに、卵と言えばトゲピーですね。というより、金銀で一番最初に手に入る卵って、トゲピーの卵じゃないですかね? そう思うと卵=トゲピーの図式が出来上がるのも納得……
そしてジム戦も始まりましたね。ただ、ツバキのインパクトが強すぎて、どうにもユカリのイメージが湧かない……まあ、そのうち慣れるでしょう。
でもバトルはユカリの方が特徴的と言いますか、確かに地形を上手く利用したバトルですね。電気を流すのは僕も思いつきましたが、磁力で高速回避は流石に予想外でした……二回目では思い切り叩き付けられていますが。
さて、ユカリのエースが遂に登場らしいですが、一体なんなのか。ポケモンがプラチナベースだと考えると、予測はつかなくもないのですが、前作ではことごとくエースの予想が外れましたからね……ヤシロとかシオンとか。
まあ予想が外れてもいい方向に裏切られるので問題ないですけどね。ともあれ、ユカリのエースとレオがどう戦うのか、楽しみです。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.44 )
- 日時: 2013/02/16 17:11
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: gpFiwkqb)
>>白黒さん
卵と言えばトゲピーのイメージが強かったのですが、なるほど、リオルでも良かったかもしれませんね。
あと、D・Pでは確かピンプクも卵でしたね。あとアルタイルではプレシオンが卵だった覚えがあります。
ちなみにココロンは卵未発見なんですよ……卵にしか見えないのに。
ツバキに比べると特徴が地味ですからね。最初からインパクトのあるキャラを出すと、その次のキャラがあまり目立たなくなるということを学びました。
コイルの戦法はちょっと無理しすぎましたかね? 自分的に最後のやられ方は結構ツボですが。
ユカリの性格を考えると、今回は分かりやすいかもしれないです。
とは言ってもあくまで僕の主観なので、読者の皆さんと考えが同じわけではないかもしれませんが。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81