二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: 第九十九話 水柱 ( No.215 )
日時: 2014/01/06 17:18
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9pFPYMWe)
プロフ: このハイドロポンプ率はなんなんでしょうか。

至近距離から、ルナバインのハイドロポンプが放たれる。
今のギャロップに、躱す術はない。
「っ、これしかねえ! どの道喰らえばもう持たねえし、ギャロップ、フレアドライブ!」
一か八か。
ギャロップは、全身を激しく燃え盛る業火で包み込む。
フレアドライブはギャロップを覆う炎の盾となり、ハイドロポンプを少しづつ蒸発させていく。
とはいえ炎ではやはり水には勝てない。やがて炎の盾は弱まっていき、破られ、ハイドロポンプの残りがギャロップに直撃する。
「ふーっ、危なかったぜ。まともに喰らったら間違いなく終わってたな」
リョーマの機転で、どうにかギャロップは持ち堪えた。
「どうせもう一発喰らえば体力持たねえし、特攻かけるぞ! ギャロップ、フレアドライブ!」
業火をその身に纏い、ギャロップは地を駆ける。
「ルナバイン、ハイドロポンプ」
ルナバインが翳した手から水柱の如く大量の水が放たれ、ギャロップの行く手を阻むが、
「躱しな!」
地を蹴って大きく跳び上がり、ギャロップはハイドロポンプを躱す。
「っ、ルナバイン、サイコバーン!」
慌ててルナバインは念力を溜め込み、衝撃波を放つが、少し遅かった。
大きな嘶きが響き、巨大な火炎弾がルナバインへと激突した。
ルナバインが吹っ飛ばされると同時に、ギャロップも技の反動を受け、その場に倒れた。
「……ちっ、最後のサイコバーンさえなけりゃな」
リョーマが呟いた直後、床に倒れていたルナバインがゆっくりと起き上がる。
サイコバーンにより少しだが威力を削られた。
それがなければ、今の一撃でルナバインを仕留められていただろう。
結果として、ギャロップだけが反動で力尽きてしまった。
「結果論を考えてもしょうがねえな。ギャロップ、よくやった」
ギャロップをボールに戻し、気持ちを切り替え、リョーマは次のボールを取り出す。
「飛翔せよ、トロピウス!」
リョーマの二番手は、度々出て来ているトロピウス。
「まずはそいつを倒さねえとな。トロピウス、龍の波動!」
トロピウスは衝撃波と共に龍の力を込めた波動の弾を撃ち出す。
「ルナバイン、躱しなさい」
ルナバインは上空へ跳び上がり、龍の波動を躱すと、
「気合玉」
気合を一点に集中して念弾を作り上げ、その弾を掴み、トロピウスへと投げつける。
しかし、
「甘い! トロピウス、リーフストーム!」
トロピウスは草の翼を思い切り羽ばたかせ、鋭く尖った無数の葉の嵐を起こす。
風に乗って飛ぶ無数の葉——刃は、気合玉を容易く切り裂き、破壊し、ルナバインの体をも切り裂いていく。
嵐がおさまった時には、既にルナバインは倒れていた。
「ここまでね。ルナバイン、戻りなさい」
表情を変える事もなく、ルナバインをボールに戻し、二つのボールを取り出すラピス。
「……やっぱりこの子ね。相性が不安だけど、この子じゃないと突破出来ないわ。積み技も使ってこなさそうだし」
片方のボールを仕舞い、残したボールから次なるポケモンを繰り出す。
「プラネム、素敵なひと時を」
ラピスのポケモンは小惑星のような形のポケモン、プラネム。
「どんな魂胆かは知らねえが、岩タイプはありがてえな。リーフストームが通ってくれるぜ」
「一概に有利とは言い切れないんじゃないの? こっちには岩技があるのよ」
「有利だなんて言ってねえよ。寧ろ覚醒されてる時点で俺は不利なんだって。相手が健気な女の子なら尚更だ」
「つまらない冗談ね」
簡単に会話を挟んだ後、双方が戦闘状態に入り直す。
「トロピウス、リーフストーム!」
「プラネム、スターフリーズ」
トロピウスが嵐のような大風に乗せて無数の尖った葉を放つと同時に、プラネムが星型の巨大な氷塊を撃ち出す。
初っ端から、お互いの大技が激突する。



(奴は確かポリゴン2を持ってたよな。そこを考えると、へラクロスを残さないといけない。となると……)
レオとソライトのバトル。
残りポケモンは互いに三体。戦況的には今のところ互角。
しかし、ソライトは『覚醒』を使用している。
「ここはお前だな。頼んだぜ、アブソル!」
悩んだ末に出した二番手はアブソル。
「それでは行きますよ! ジバコイル、雷!」
いきなりジバコイルはユニットをフル回転させ、雷に匹敵するほどの超高電圧の電撃を撃ち出す。
「アブソル、躱して火炎放射!」
これくらい火力がある相手だと、相殺は狙わない方が安全。
アブソルは電撃を躱すと、灼熱の炎を放って反撃する。
ジバコイルの鋼のボディが炎に焼かれる。効果抜群だが、相手は覚醒した天将のポケモン。これくらいではびくともしない。
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
どこからかジバコイルは大量の水を出現させ、太い水柱のように撃ち出す。
「躱して辻斬り!」
しかし一直線の単調な攻撃なら回避は容易い。
水柱を躱し、一気にジバコイルとの距離を詰め、アブソルは額の鎌を振るってジバコイルを切り裂く。
しかし、
「逃がしませんよ! ジバコイル、磁力線!」
空中でぐらつくジバコイルだが、三つのユニットを回転させ、荒れた磁力の波を起こす。
ただでさえ空中にいるアブソルは体勢が不安定、さらに軌道の見えない磁力線を避けることは出来ず、磁力の波を喰らってしまう。
(流石に覚醒してるだけあるな。ちくしょう、一発一発が重い!)
普通の磁力線でさえ、相当な威力だ。
幸いジバコイルがアブソルに効果抜群を取れる技はなさそうだが、もし効果抜群を喰らえば致命傷は免れないだろう。
「さあ攻めていきましょう。ジバコイル、雷!」
地面に倒れるアブソルに対し、ジバコイルは上空から雷の如き電撃を放つ。
「まずいっ! アブソル、身代わりだ!」
直後、ジバコイルの雷がアブソルを貫く。
しかし、瞬時にそのアブソルは破裂して消えてしまう。
その少し後ろに、体勢を立て直した本体のアブソルが現れる。
「おや、そう言えば報告がありましたね。貴方のアブソルの身代わりはガーネットから聞いていましたが、忘れていました」
「本当はまだ見せたくなかったけど、そんなこと言ってられないしな」
出し惜しみする余裕はレオには無い。
「アブソル、サイコカッター!」
アブソルは額の鎌に念力を纏わせ、鎌を振るって二発の念力の刃を飛ばすと、
「火炎放射!」
念力の刃の後に続け、灼熱の業火を放つ。
「ジバコイル、サイコカッターは耐えなさい。雷!」
二発の刃をそれぞれ左右のアームに喰らうジバコイル。
少しぐらつくが、それでも踏みとどまり、超高電圧の電撃を撃ち出して反撃する。
流石に万全の威力は出せなかったようだが、それでも火炎放射が相殺される。
「磁力線!」
さらにジバコイルはユニットを回転させ、強い磁力の波を起こす。
技こそ見えないが、磁力線が近づいてくると耳鳴りがする。
「アブソル、火炎放射!」
アブソルは灼熱の炎を放ち、磁力線を止め、
「辻斬り!」
一瞬でジバコイルとの距離を詰め、すれ違いざまに額の鎌を振り抜く。
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
「読めてるぜ! アブソル、サイコカッター!」
ジバコイルが大量の水を撃ち出そうとユニットを構えるが、それよりも早く念力を纏ったアブソルの鎌がジバコイルを切り裂き、その動きを止める。
「ふむ、翻弄されていますね。一発当てれば勝ちなのですが……セドニーのバジリールでも苦戦するのも頷けますね」
困ったように呟いた上で、なおソライトは余裕の表情を崩さず、何かを計るようにアブソルの動きをうかがう。



「リーフィス、行って来い」
ジンの二番手は、透明な花瓶に入った、植物の体を持つ爬虫類型のポケモン。
観葉ポケモンのリーフィス。水・草タイプ。
「あらあ? 虫タイプのへラクロスに対してリーフィス? 何か策でもあるのかしらあ」
サクラの質問にジンは答えず、リーフィスへと指示を出す。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスは瓶の中の水を体内に汲み込み、激流の如き水柱を発射する。
雨の力も重なり、その威力は相当なものだ。
「へラクロス、メガホーン!」
へラクロスは翅を広げ、角を構えて思い切り突撃する。
しかし、メガホーンでもハイドロポンプを打ち破る事が出来ず、水柱を相殺するに留まる。
「リーフィス、大地の怒り」
リーフィスが瓶の下から根を伸ばし、床に突き刺し、力を送る。
直後、へラクロスの周囲の床が吹っ飛び、大量の砂や瓦礫がへラクロスに襲い掛かる。
効果は今一つだが如何せん技の威力が高く、へラクロスは吹っ飛ばされる。
「ハイドロポンプだ」
その隙を逃さず、リーフィスは激流の如き水柱を撃ち出す。
宙を舞うへラクロスに直撃し、へラクロスはさらに吹っ飛び、地面に落ちて戦闘不能となった。
「うーん、まあ、しょうがないわねえ。へラクロス、よく頑張ったわあ」
へラクロスを労い、ボールに戻すサクラ。そして次のボールを取り出す。
「さあ、ドータクンはもういないし、チェリム、行くわよお!」
サクラの次のポケモンは先ほどのチェリム。
「チェリム、日本晴れ!」
待ってましたとばかりに、チェリムは小さい擬似太陽を打ち上げ、周囲の雨雲を晴らす。
同時に、チェリムの姿が花開いた桜のようなポジフォルムへと変化する。
それを見て、ジンはふとモンスターボールを取り出すが、
「……どうせ晴天か。これなら交代する必要もないな。こいつでは例のカビゴンは厳しいしな」
小さく呟き、そのボールを再び仕舞う。
「さあ、これで自慢のハイドロポンプは使えないわよお。どうするのかしらあ?」
「天候を変えただけでそこまでアドバンテージを取ったつもりか? 羨ましい思考回路だな」
サクラの挑発を、ジンは逆に皮肉を込めて一蹴する。
「ふふん、まあいいわあ。チェリム、ウェザーボール!」
チェリムは大きく跳び上がり、白い玉を放り投げる。
日の光を浴びたその白い玉はどんどん赤くなり、炎を纏い、リーフィス目掛けて落下する。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスは頭上に水柱を撃ち出すが、先ほどとはうってかわってその勢いは弱い。
日差しが強い状態のため、水技の威力が落ちてしまうのだ。
水柱は炎の玉を止められず、リーフィスに直撃する。
「この程度のダメージか。それなら十分やりあえるな」
リーフィスがすぐに体勢を立て直したのを確認し、ジンはサクラの方に向き直る。
「生憎だが、天候が雨から晴れになったところで、こちらとしては何の支障もない。寧ろ、こっちの方がありがたいかもな」
「あらあ? 何よ急にぃ。そんなに強がらなくてもいいのよお?」
「口で説明するより、実際にやった方が早いか」
ジンの口元が、ほんの僅かに緩む。
そして。

「リーフィス、ソーラービーム」

Re: 第百話 矛盾 ( No.216 )
日時: 2014/01/11 17:49
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: mKkzEdnm)
プロフ: 冬の小説大会銅賞を頂きました! ありがとうございます!

カンタロウのポケモンはドンカラス、対するセドニーのポケモンはサーナイト。
「行くぜ。サーナイト、十万ボルト!」
サーナイトは右手を翳し、高電圧の電撃を撃ち出す。
先程のシャワーズのハイドロポンプに比べれば劣るが、それでも普通のものより明らかに威力は高い。
「ドンカラス、躱して悪の波動!」
羽ばたいて飛び上がり、ドンカラスは電撃を躱すと、上空から咆哮と共に悪意に満ちた波動を放つ。
サーナイトは正面から悪の波動を喰らうが、
「……特防でも鍛えてるだか、そのサーナイト」
見た感じではあるが、効果抜群にしてはサーナイトへのダメージは驚くほど少ない。
「どうだろうな。サーナイト、十万ボルト!」
再びサーナイトは強烈な高電圧の電撃を放つ。
「ッ、ドンカラス、悪の波動!」
ドンカラスも再び悪意に満ちた波動を放つが、しばらく競り合うものの、電撃に押し返される。
「チッ、ドンカラス、回避だべ!」
素早くドンカラスは飛び上がり、何とか電撃を躱す。
「ナモの実さ持っとった訳でもなさそォだが……ドンカラス、熱風だべ!」
「サーナイト、アクアボルト!」
ドンカラスは大きく羽ばたき、灼熱の風を起こすが、サーナイトが放つ電気を含んだ水にかき消されてしまう。
「そこだべ! ドンカラス、悪の波動!」
しかしその瞬間を狙い、ドンカラスは悪意に満ちた波動を撃ち出す。
波動は再びサーナイトを捕らえるが、やはり大きなダメージはない。
(どォいう事だ、ちくしょう! 本当に特防さ鍛えてるだけだか?)
バトルから気を逸らさず、かつ脳をフル回転させてカンタロウは考える。
「悩んでる暇はないぜ? サーナイト、アクアボルト!」
「チッ、ドンカラス、躱すべ!」
思考の暇を与えず、サーナイトが電撃を含んだ水をドンカラスへと浴びせかける。
ドンカラスは大きく飛び上がり、水を躱すが、
「十万ボルト!」
そこにサーナイトは強烈な電撃を放って追撃。
「避けきれねェな……悪の波動!」
ドンカラスは悪意に満ちた波動を放ち、電撃を迎撃する。
波動は次第に電撃に押し戻され、ドンカラスは電撃を浴びてしまうが、ダメージはある程度軽減する。
「それでも痛ェだな……襲撃だ!」
体勢を立て直したドンカラスが一瞬で消える。
次の瞬間にはサーナイトの後ろまで移動し、横薙ぎに翼を振るい、サーナイトを切り裂く。
が、
「そげな……馬鹿な」
明らかに効果抜群のダメージを受けたようには見えない。
サーナイトは体勢を崩すものの、すぐに立て直す。
(ちくしょう、どォなってやがるだ! 今の襲撃もさっきまでの悪の波動も、直撃が決まってるべ。クソが、オラとしたことが、何さ起こっとるか全く分かンねェだ!)
いよいよ本格的に焦ってきたカンタロウ。
特防も高ければ防御も高いのか。しかしそれでは、そこからさらに特攻まで鍛える余裕は無い。
そして特攻を鍛えていなければ、十万ボルトで悪の波動は破れない。
「さあ、悩めるだけ悩めよ。最も、結論が出る前に勝敗が決まるかもしれねえがな」
セドニーが挑発するが、それを無視し、カンタロウは考える。
全てを結びつけられない。何をどう繋げても、矛盾が発生する。
もしくは、これが『覚醒』の力なのか。
仮にそうだとしたら、このセドニーで最弱なら、他の連中はどこまで規格外なのか。
得体の知れない恐怖と焦燥が、カンタロウに襲い掛かる。



「ネクロシア、シャドークロー!」
こちらはロフトとマゼンタのバトル。
不規則な動きで、しかし確実にネクロシアはラムパルドへと近づき、黒い影を纏った爪を振りかざす。
「諸刃の頭突きが使えへんのはきついけど、ラムパルド、逆鱗!」
対して、ラムパルドの目が赤く光る。
直後、怒りに狂ったようにラムパルドが暴れ出す。
振り下ろされた爪を弾き飛ばし、ネクロシア諸共吹っ飛ばした。
「くっ、やはり火力では敵わないか」
ネクロシアはまだ何とか起き上がる。
「へえ、まだ耐えるん? せやけど、次喰らったらもう倒れてまいそうやね」
技構成を見るに、耐久面もそこそこ鍛えているのだろう。
「せやけど、逆鱗は一撃では終わらへんよ?」
マゼンタがそう言った直後、ラムパルドはネクロシアに再び襲い掛かる。
「ネクロシア、回避だ!」
ラムパルドの猛攻を、ネクロシアは何とか躱し切る。
「そこだ! ネクロシア、乗り移る!」
ラムパルドの動きが止まった隙を突き、ネクロシアは自身の体から魂を抜け出させ、ラムパルドへ憑依する。
ラムパルドは一瞬動きが止まるが、すぐに何かに憑かれたかのようにのたうち回る。
「続けて行くぞ。ネクロシア、シャドークロー!」
素早く魂を元の体に戻し、まだ動けないラムパルドを影を纏った爪で切り裂く。
ラムパルドはそれを躱すことが出来ず、爪の一撃を喰らい、

地面に倒れ、戦闘不能となってしまう。

「……は?」
呆然とするロフト。それもそのはず、まだネクロシアは二発しか攻撃を入れていないのだ。
対象的に、マゼンタは特に驚くこともなく、
「ラムパルド、よく頑張ったで。休んでてやー」
ラムパルドをボールに戻し、最後のボールを取り出すところで、マゼンタはロフトが呆然としていることに気付く。
「うちのラムパルド、攻撃力はピカイチやねんけど、打たれ弱いんや。二発も喰らえば、まず耐えられへん」
「……そんなので大丈夫なのか」
「問題あらへんよ? そのネクロシアにも十分なダメージ喰らわせたし」
にこりと笑い、マゼンタは最後のボールを取り出す。
「ほな、一番最後やし、エースで行かせてもらうでー」
マゼンタが掲げたボールは、彼女のエース。
「さあ行くでー、フローリア!」



「トロピウス、龍の波動!」
「プラネム、ダイヤブラスト」
リョーマとラピスの戦いは、今のところほぼ互角。
トロピウスの放つ龍の力を込めた波動の弾を、プラネムは青白く煌めく爆風を起こし、相殺する。
「それにしても、第三位のあたしと互角の戦いが出来るなんて。もうちょっと弱いと思ってたけど」
「へっ、これでも『ブロック』副統率だからな。これくらいは戦えねえと他のメンバーへの示しがつかねえ」
ここまでは、両者ともほぼ互角に戦いを進めている。
「ところで夜天将、今お前はその覚醒率とやらをどれくらい出している?」
「五割くらいかしら。別に狙って五割にしてる訳じゃないけど」
「どういうことだ?」
「覚醒の力は使うたびに覚醒率が変わるのよ。どれくらいの力が出せるかは覚醒するまで分からない、特にあたしの場合はね。そんな事よりバトルを続けるわよ。プラネム、スターフリーズ」
話の流れを切り、ラピスはプラネムに指示を出す。
プラネムは星型の巨大な氷塊を作り上げ、トロピウスへと放つ。
「氷技は喰らえねえな。トロピウス、ハリケーン!」
トロピウスは植物の翼を思い切り羽ばたかせ、大嵐のような風を起こす。
吹き荒れる風の壁を氷塊は突破出来ず、破壊されてしまう。
「リーフストーム!」
トロピウスは羽ばたきを止めず、その大風に鋭く尖った葉を乗せて葉の嵐を巻き起こす。
「これで防げるかしら。プラネム、ダイヤブラスト」
プラネムも周囲を爆発させ、青白く煌めく爆風を起こすが、リーフストームを押し返すことは出来ず、岩の体が鋭い無数の葉に切り裂かれる。
「プラネム、熱風」
プラネムもそれくらいでは倒れず、灼熱の風を放って反撃する。
「トロピウス、ハイドロポンプ!」
トロピウスは大量の水を噴き出し、熱風を止めると、
「龍の波動!」
体内に眠る龍の力を一点に集め、波動として放出する。
「このまま戦ってても動きがないわね……プラネム、スターフリーズ」
技と技がぶつかり合っているが、まだバトルに大きな動きがない。
プラネムは星型の氷塊を作り上げ、龍の波動を破壊する。
「そうよ、こうすればいいじゃない。プラネム、黒い霧」
ここでプラネムは真っ黒な霧を周囲に放つ。
この部屋はそこそこ広いが、それでもリョーマとトロピウスの視界を奪うには十分。
「お前分かってねえな。こっちには風を使う技が二つもあるんだぜ? トロピウス、ハリケーン!」
トロピウスは羽ばたき、嵐のような風を起こす。
黒い霧はたちまちにして隅へと追いやられるが、
「無駄よ」
ラピスがそう呟いた直後、真っ黒な霧がふたたび戻ってくる。
「分かってないのは貴方なんじゃない? ここは今ほとんど密室よ。霧を風で吹き飛ばしても、霧の出口が無かったら何にもならないわよ。暫く消えるまで待つしかないわ」
「だが向こうが見えないのはお前も同じだぜ。条件は変わってねえ」
「そうかしら」
返って来たラピスの言葉に、何か嫌なものを感じるリョーマ。
「向こうの見えないこの濃い霧の中から、突然大量の攻撃が出て来たら、貴方のトロピウスはそれを全て躱せるのかしら」
「それはお前も同じだぜ。トロピウスと同じように、プラネムだって動きは遅そうだしな」
「じゃあその技によるダメージは?」
ラピスの口調に、力が篭っていく。
「貴方のトロピウスのこちらへの有効打はハイドロポンプとリーフストーム。だけどハイドロポンプはともかく、風を使うリーフストームなら技を放った瞬間に霧が一瞬晴れる」
ようやくリョーマは気付いた。
プラネムの覚えている、こちらへの有効打には何があったか。
「……そういうことか」
「そういうことよ」
そして。
夜天のラピスは、それを迷わず実行する。

「プラネム、スターフリーズ発射」

刹那。
真っ黒な霧の向こう側から、星型の氷塊が飛び出してくる。
そしてそれは一発ではない。向こうで力を溜めていたのだろうか、五発もの巨大な氷塊がトロピウスへと襲い掛かる。
「やってくれるな! トロピウス、ハリケーン!」
トロピウスは嵐のような暴風を起こすが、防げるとしても一つか二つ。
残りの氷塊を避ける術はなく、トロピウスは氷点下の星に押し潰される。

Re: 第百一話 二連発 ( No.217 )
日時: 2014/01/25 21:51
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: BoToiGlL)
プロフ: いろんな奴のバトルが混ざるとタイトルを付けづらい。

リーフィスが光を吸収する。
次の瞬間、その植物の体から、太陽光線の如き白い光が発射される。
「速いっ! チェリム、ウェザーボール!」
チェリムが白い玉を打ち上げるが、それが落下するよりも早く太陽光線が直撃し、チェリムを吹っ飛ばした。
「にゃるほど。ソーラービームを持ってるのねえ」
ソーラービームは草タイプの技の中でもとりわけ強力な技だが、技の出が非常に遅いという弱点がある。
しかし、日差しが強ければ話は別。太陽の光を借りることで、技の出が非常に早くなるのだ。
「だけどそれじゃダメなのよねえ。チェリムには特性フラワーギフトがあるからあ、効果今一つの特殊技じゃチェリムは倒れないわよお」
フラワーギフトは、日差しが強い時に味方及び自身の攻撃と特防が上がる特性だ。
「そうか、フラワーギフトを忘れていたようだ。ならばリーフィスでは厳しいか」
少し考えるジンだが、やがてボールを取り出し、
「リーフィス、一旦戻れ」
リーフィスを戻し、別のボールを取り出す。
「やはり最初からこいつを出すべきだったな。出て来い、テイルーン!」
代わりに出て来たのは、イーブイの進化系によく似たシルエットの、四足歩行の獣型のポケモン。
体色は緑色で、宙に浮いており、頭と背中を覆うように雲が掛かっている。
雲ポケモンのテイルーン。ゴースト、飛行タイプだ。
テイルーンが場に出たその時、頭上の小型太陽がフリーズしたように止まる。
同時、チェリムの姿もネガフォルムに戻ってしまう。
「テイルーンの特性、エアロックだ。こいつが場にいる限り、天候の影響は全て無効化される」
「うーん、これはちょっと厳しいわねえ。でもここでこの子を戻しても何も変わらないしい、チェリム、このまま頼むわよお」
蕾の姿だが、チェリムは頷く。
「よおし! チェリム、バグノイズ!」
チェリムは耳をつんざく甲高い雑音を起こす。
テイルーンの動きを止めつつ、体の内側からダメージを与え、
「エナジーボール!」
自然の力を一点に集めた弾を撃ち出す。
テイルーンに連続攻撃が命中するが、いずれも効果は今一つ。
「所詮はその程度か。テイルーン、さっさと決めるぞ」
ジンの言葉を受け、素早く体勢を立て直すテイルーン。
そして、
「テイルーン、ブレイブバード」
テイルーンの背中を覆う雲が、鳥のような形に変化する。
直後、テイルーンが輝くオーラを纏ったかと思うと、チェリム目掛けて猛スピードで突貫する。
「これも速いっ! チェリム、躱して!」
だがそのスピードが桁違いだった。
躱す隙も無く、テイルーンの突貫を正面から喰らい、チェリムは吹っ飛ばされる。



「ジバコイル、雷!」
「アブソル、躱して火炎放射!」
ジバコイルがユニットを回転させ、雷に匹敵する高電圧の電撃を撃ち出す。
対してアブソルは電撃を最小限の動きで躱すと、すかさず灼熱の炎を放って反撃する。
「辻斬りだ!」
さらに額の鎌を振るい、ジバコイルを切り裂く。
「ううむ、押されていますね。こちらの指示が雑なのか、貴方が慎重なのか……」
確かにソライトが覚醒してから、レオはかなり慎重に戦っている。
なかなか隙を晒さないアブソルの長所も活かし、相手の僅かな隙を見つけて攻撃し、出来るだけ深追いはしない。
「あんたのジバコイルは、一撃一撃はかなり重いけど、その分攻撃は単調だ。攻撃を確実に躱し、欲張らずに攻撃を仕掛ければ、負けるような相手じゃない」
「なるほど……電磁波でも覚えさせておけばよかったですかね」
結果論を言っても仕方ありませんね、とソライトは続け、
「ジバコイル、ハイドロポンプ!」
ジバコイルは大量の水を水柱のように噴射する。
「アブソル、躱してサイコカッター!」
アブソルは横に素早く逸れて水柱を躱し、鎌に念力を纏わせる。
「逃がしませんよ! ジバコイル、磁力線!」
しかしアブソルが鎌を振るうよりも早く、ジバコイルは周囲の磁力を強め、磁力の波を起こす。
軌道の見えない技が突然に襲い掛かり、アブソルは逆に吹っ飛ばされてしまう。
「ジバコイル、雷!」
その隙をソライトが見逃すはずがない。
ジバコイルはユニットをフル回転させ、雷の如き超高電圧の電撃を撃ち出す。
「まだだ! アブソル、身代わり!」
直後、アブソルを電撃の槍が貫く。
しかし、そのアブソルはまるで風船のように弾き飛んでしまう。
「読み通りなのですがねえ! ジバコイル、磁力線!」
本体のアブソルがジバコイルのすぐ近くに現れるが、それを見越していたソライトはすかさず指示を出す。
ジバコイルが周囲に磁力の波を放ち、確実にアブソルを捕らえる。
だが。

磁力線をまともに喰らったアブソルが、再び風船のように弾け飛んだ。

刹那。
「アブソル、火炎放射!」
ジバコイルの真っ正面に現れたアブソルが、灼熱の炎を噴き出す。
「ッ……! 身代わりを二回重ねて来ましたか!」
ジバコイルの鋼の体が業火に焼かれ、その銀色のボディを焦がしていく。
「止めだ! アブソル、辻斬り!」
それでもまだジバコイルは倒れていなかったが、体勢を立て直すよりも早く、鋭い鎌の一撃がジバコイルに止めを刺す。
赤い目を点滅させ、やがてその目から光が消え、ジバコイルは戦闘不能となった。
「危なかったぜ。何とか体力は残ってたみたいだな」
身代わりは自身の体力を少しではあるが消耗するため、連打は出来ない。
今の戦術は半ば賭けのようなものだったが、上手く行った。
「身代わりの二連発は想定外でした。お見事です」
「敵に褒められても、嬉しくないぜ」
「おやおや、これは手厳しい。私は本心で述べているのですがねえ」
まあ構いませんが、と呟き、ソライトは次のポケモンを繰り出す。
「行きなさい、ポリゴン2!」



マゼンタの最後のポケモンは、白い着物を着た雪女のようなポケモン。片目は青い髪に覆われている。
フローリア、雪女ポケモン。見たとおりの氷タイプ。
「貴様の手持ちを見たところ、今までの三体は全て格闘タイプに弱いようだが」
「せやねー。ま、あんまり考えたことないし、関係あらへんよ」
「それはそれで、私にとっては好都合だ」
ロフトが小さく笑みを浮かべ、
「では行こうか。ネクロシア、シャドークロー!」
ネクロシアが鋭い影の爪を手に纏わせ、静かに忍び寄る。
「フローリア、躱してアイスバーン!」
フローリアは影の爪を最小限の動きで避け、氷の衝撃波を周囲に放つ。
ネクロシアは衝撃波をまともに喰らい、吹っ飛ばされ、体の一部を凍りつかせて戦闘不能になった。
「ラムパルドを倒せば上出来だな。ネクロシア、よくやった。戻って休んでいろ」
ロフトはネクロシアを労い、ボールへと戻し、最後のボールを取り出す。
「これで最後か。行け、エルレイド!」
ロフトの最後のポケモンは、セドニーの持つサーナイトとよく似たポケモン。
足はサーナイトと比べ、太くは無いが頑丈になり、足を覆うドレスのような部分はなく、頭には赤い突起、両肘には鋭い刃を持つ。
刃ポケモンのエルレイド。エスパー、格闘タイプ。
「まずはエルレイド、剣の舞!」
「ほな、フローリア、悪巧み!」
エルレイドは戦いの舞により攻撃力を、フローリアは脳を活性化させて特攻を底上げする。
「行くぞ! エルレイド、サイコカッター!」
「ほな行くでー! フローリア、気合玉!」
エルレイドは右肘の刃に念力を纏い、それを振り抜いて念の刃を飛ばす。
フローリアは気を一点に凝縮し、その気合を溜め込んだ弾を撃ち出す。
双方の技は一直線に飛び、激突し、衝撃で爆炎と煙が上がる。
「エルレイド、インファイト!」
エルレイドは煙の中に突っ込み、煙の向こうのフローリアに猛攻を掛ける。
「フローリア、ハイドロポンプ!」
対するフローリアは大量の水を噴射するが、エルレイドは両腕の刃を構えてハイドロポンプを突っ切り、フローリアに渾身の拳の一撃を叩き込む。
ハイドロポンプに威力を削がれたとはいえ、剣の舞で攻撃が上がったエルレイドの効果抜群の一撃は重い。
「こら痛いわー……フローリア、アイスバーン!」
一撃でやられるほどフローリアは弱くない。
すぐに立ち上がり、氷の衝撃波を放って反撃する。
「エルレイド、リーフブレード!」
エルレイドは緑色に光る刃を振り抜いて衝撃波を破ると、さらにもう片方の刃を伸ばし、フローリアを切り裂く。
「フローリア、躱してアイスバーン!」
後ろに飛び退いてリーフブレードを躱し、フローリアは再び氷の衝撃波を周囲に放つ。
今度は衝撃波が決まり、エルレイドは強烈な一撃に大きく押し戻されるが、なんとか踏みとどまる。
「火力だけはあるようだな! エルレイド、サイコカッター!」
「火力だけやないで? フローリア、気合玉!」
再びエルレイドは念力の刃を、フローリアは気を凝縮した弾を撃ち出す。
お互いの技は再び激突し、爆発を起こす。

Re: 第百二話 フェアリー ( No.218 )
日時: 2014/02/01 17:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)

トロピウスが無数の氷塊に押し潰される。
氷が消えると、既にトロピウスは戦闘不能となっていた。
「トロピウス、よくやったぜ。戻って休んでな」
トロピウスをボールへと戻し、次のボールを取り出すリョーマ。
「それじゃ、次はこいつだ。遊泳せよ、マンタイン!」
リョーマの三番手は、青い大きなエイ、つまりマンタのようなポケモン。
頭には二本の触角があり、背中にはいくつか二重丸の模様がある。
カイトポケモンのマンタイン、水・飛行タイプ。普通は水中に住むポケモンだが、尾びれで器用に立っている。
「ちなみに、俺は今までの三体の力を借りれば、世界のどこだって行けるんだぜ」
「ふうん。だから何?」
「おいおい、そういう時は棒読みでもいいから『うわーすごーい』くらい言ってくれよな」
「始めるわよ。プラネム、ダイヤブラスト」
リョーマの言葉は無視され、プラネムは青白く煌めく爆風を起こす。
「マンタイン、ハイドロポンプ!」
対するマンタインは、大量の水を噴射し、爆風を相殺、さらに、
「アイアンヘッドだ!」
頭を鋼の如く硬化させ、プラネムへと頭突きを喰らわせる。
「決めるぜ! マンタイン、種爆弾!」
マンタインはどこからか植物の種のようなものを飛ばす。
体勢を立て直したプラネムに当たると、次々と炸裂し、プラネムをさらに吹っ飛ばした。
効果抜群の連続攻撃を喰らい、プラネムはここで力尽き、戦闘不能となる。
「プラネム、よくやったわ。休んでいなさい」
ラピスはプラネムをボールに戻し、マンタインを見つめる。
「やけに攻撃的なマンタインね。本来は特攻が並程度、攻撃力は低いポケモンなはずだけど」
「俺が育てたポケモンだぜ? そんなつまんねえ型には当てはまらねえよ」
「ポケモンの本来の能力はどう説明するのよ」
まあいいわ、とラピスは呟き、次のボールを取り出す。
「ブラッキー、優雅なひと時を」
ラピスの三番手は、以前コウホクでマゼンタを散々苦しめたブラッキー。
「出たなブラッキー。戦術はマゼンタから聞いてるぜ。だが俺のマンタインは積み技は持ってねえぞ」
「それだけで負けるようじゃ、あたしは第三位になんかいられないわよ」
「言うねえ。じゃあその力を見せてみろよ! マンタイン、ハイドロポンプ!」
先攻で動いたのはマンタイン。
水柱の如き大量の水を噴き出し、ブラッキーを狙う。
「ブラッキー、コスモパワー」
対するブラッキーの体の、黄色い模様の部分が輝き出す。
宇宙の神秘の力を得て、耐久力を高め、ハイドロポンプを耐え切り、
「バークアウト」
怒声のような咆哮を放ち、マンタインを押し戻し、同時に特攻を下げる。
「……ッ、コスモパワーを持ってんのか。こりゃ、きついかもな」
小さく、少し苦々しく、リョーマは呟く。



一つだけ、思い付いた。
常識では考えられないことだが、相手は常識外れのN・E団だ。
どれだけあり得ないことをしていようが、その可能性はある。
「……まさかとは思うが」
ゆっくりと、カンタロウは口を開く。
未だ確信が持てない自分の答えを、紡ぎ出す。

「そのサーナイト、エスパータイプでねェだか……?」

思えばおかしい点はあった。
悪タイプのドンカラスを見て、セドニーがタイプ相性で不利なはずのサーナイトを自信満々に出したこと。
ラッキーだと思って見逃したが、確かにヒントはあったのだ。
悪の波動や襲撃のダメージ量も、等倍だと考えれば辻褄が合う。
「やるじゃねえか。正解だ」
感心したような口調で、セドニーは告げる。
「ポケモンのタイプの改造だか。そげな非人道的集団とまでは考えてなかっただが」
「おいおい、勘違いするな」
カンタロウの言葉に、セドニーは反論する。
「流石にそこまでの外道じゃねえよ。自分で言うのも何だが、特に俺は他の天将と比べりゃまだまともな方なんだからよ」
まあ聞けよ、とセドニーは続け、
「同僚から聞いた話だが、カロス地方ってとこで、フェアリーって新たなポケモンのタイプが発見されたらしい」
「カロス地方……聞いたことはあるだが」
「で、そこでは新発見されたポケモンだけじゃなく、既存のポケモンにもフェアリータイプを持つポケモンがいるんだとよ」
「なるほど。そげなら、ラルトス系統がカロス地方ではフェアリータイプさ持っとるってことだか」
「そういうことだ。俺も詳しくは知らねえが、カロス地方から送られて来た、ワクチン……つったか? それを使って、サーナイトにフェアリータイプを付与したのさ。つまり、俺のサーナイトはエスパー・フェアリータイプってことだよ」
これで全てが繋がった。
加えて、カンタロウにとっては嬉しい情報だ。
先ほど、受けたダメージが少なすぎると考えたが、それはあくまで効果抜群を考えた場合の話。
等倍であれなら、十分戦える。
が。
「それじゃあ、答え合わせと行こうか」
不敵な笑みを浮かべて、セドニーが告げる。
正解者には、敗北をプレゼント。

「サーナイト、ムーンフォース!」

サーナイトの頭上に、月のように白い球体の光が現れる。
白い光はサーナイトを照らし、それに共鳴するように、サーナイトの体が白く輝く。
刹那。
目の前の敵を浄化すべく、純白の光線が放出される。
「な、なンだべこりゃ……! ドンカラス、悪の波動だ!」
咄嗟に悪の波動を撃ち出すドンカラス。
だが、その波動は白い光に呑み込まれ、さらにドンカラスも白い光線を喰らい、吹っ飛ばされる。
効果抜群なのだろうか、ダメージは相当大きい。
(ッ、見た感じ、効果抜群みてェだな)
恐らく悪タイプに効果抜群なのだろう。
悪の波動のダメージ量からしても、フェアリーによって半減されたと考えるのが妥当だし、それならばフェアリー技は悪タイプに効くと思ってほぼ間違いない。
「何であれ、オラがやることは変わンねェだ! ドンカラス、熱風!」
一撃くらいで倒れるほどドンカラスは弱くはない。
体勢を立て直すと、翼を羽ばたかせ、灼熱の風を起こす。
「サーナイト、サイコキネシス!」
対するサーナイトは念力の波を周囲へ放ち、熱風を遮断し、
「十万ボルト!」
強力な高電圧の電撃を撃ち出し反撃。
「ドンカラス、襲撃!」
ドンカラスが一瞬のうちに電撃を躱し、サーナイトの背後に回る。
サーナイトが次の動きを見せるよりも早く、黒い翼を振り抜き、サーナイトを切り裂く。
「悪の波動!」
「シャドーボール!」
ドンカラスが追撃に放った悪意に満ちた波動を、サーナイトは影の弾を両手から撃ち出して相殺し、
「反撃だ! 十万ボルト!」
高電圧の強力な電撃を放って反撃する。
「ッ、躱せドンカラス!」
慌ててドンカラスは飛び上がるが、電撃が翼を掠めた。
翼への痺れを感じ、空中でドンカラスがぐらつく。
「隙あり! サーナイト、ムーンフォース!」
サーナイトの体が白い光に包まれ、その光が純白の光線として放出される。
ドンカラスは躱そうと上空に飛び上がろうとするが、少し遅かった。
その黒い体が、純白の光に覆われる。

Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.219 )
日時: 2014/02/01 22:07
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 こちらにコメントするのは久しぶりですね、白黒です。この場で改めて申し上げますが、冬の小説大会銅賞受賞、おめでとうございます。

 さて、久々すぎてどこからコメントすればいいものか迷うので……気の向くままに、適当な順番でコメントしようと思います。ごめんなさい。

 マゼンタとロフトのバトルは、思ったより順当に進んでいますが、やっぱり格闘タイプ相手がきつそうですね……兄の方はしっかり対策していたのに。双子ですけど。

 サクラとジンも、天候という要素を上手く利用してバトルが進んでいるので、読んでいて面白いです。しかし、サクラはとことん天候に恵まれませんね……まあ、ジンの戦術がそういうものなんですけど……

 ドロポンは便利ですよね。威力高くて覚えるポケモンも(非公式なら特に)多くて描写もしやすい、バトルを売りとしたポケモン小説なら必須なのではないかと白黒は考えています。
 波乗りだと範囲が広すぎますし、水の波動とかじゃあ威力が低い。意外と水の特殊技って、手頃な技がないんですよね。だからハイドロポンプが多くなるんですかね。

 話をバトルに戻して……と言っても、リューマとラピス、レオとソライトのバトルは順当な感じですし……あ、でもラピスのブラッキーが出たのは嬉しいです。コスモパワーを積んでバークアウトとか、マンタインにはきついですね。物理技があることと、マンタインの特防が高いことが救いですか。

 複数のバトルを散りばめて描写すると、タイトルが付けにくいというのも分かります。どちらのバトルに関連してタイトルにしたらいいか迷うんですよね。どちらも大きな動きがなく、タイトルにできそうなことがないときもありますし。

 ……ああ、誰か忘れていると思ったら、カンタロウとセドニーがいましたね。
 ちょっと読み返してみると、何気にオオペラーが第六世代の爆音波を使用していますね。バトルハウスでは白黒も世話になりました。オンバーンの横に変幻自在のゲッコウガを置いて、影討ちor畳返し→爆音波を撃つ流れが楽しかったです。
 そして遂にフェアリータイプの技、ムーンフォースがお披露目ですか。
 しかし、カンタロウって何気に凄いですよね。ほとんど予備知識がない状態でサーナイトのタイプが変更(実際には追加ですけど)されていることに気づいたり、ドンカラスもサーナイトのタイプ一致ムーンフォースを喰らってもまだ戦闘不能じゃないですし。流石に二発目は耐えられそうにない感じですけど。

 さて、そろそろ各人のバトルも大詰めになってきましたが……やっぱり気になるのは、まだ切り札を隠しているソライトとラピスですね。特にラピスは、予想できるタイプも絞り込めないです。
 とりあえずこの二人のことを念頭に置きつつ、他の人たちがどう戦いを締めてくれるのか、楽しみにするとします。
 白黒もあまり人のことは言えませんが……忙しいと思いますけど、頑張ってください。
 それでは、今回はこれにて。


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