二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第百十二話 隠れ里 ( No.235 )
- 日時: 2014/03/17 09:19
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「ジムリーダーが、二人?」
よく分からないコタロウの発言に戸惑うレオとアスカ。
「ジムリーダーが二人と言えど、ジムが二個ある訳ではない。寧ろ俺はジムリーダーとしては二番手だ」
「つまり、貴方は臨時ってことですか?」
レオの言葉に、コタロウは首を横に振る。
「いや、そうではない。この町のジムリーダーは、この町全体を纏めるお方。それ故、ジムリーダーの仕事のみに専念してはおれぬ。そのため、俺が第二のジムリーダーを引き受けておるのだ」
「でも、この町の民家って五、六軒でしょ? それくらいの余裕はあるんじゃないかしら」
「ああ、そうか。お前たちはまだ、この町の全景を見ていないのであったな」
では、とコタロウは続け、
「先程も言ったが、これからお前たちを俺たちの集落へ案内する。ついて来い」
そう言って、コタロウはジムを出る。
レオとアスカも、後に続く。
「あの、もうすぐ夜ですけど、大丈夫なんですか?」
レオが訊く。
「ああ、それなら問題ない。あのお方はいざとなれば最低でも三日三晩なら眠らずに過ごせるお方だ」
ここまで来るとレオもアスカもその人物が気になる。
メジストの能力が効かず、ジムリーダーの仕事と両立が出来ないほど広いらしい町を一人で治め、さらに三日三晩眠らずに過ごせる人物とは、一体どんな人物なのだろうか。
「こっちだ。ここからは道が草木に覆われるから、俺を見失うなよ」
コタロウは森の中へ入って行った。
それを追い、レオとアスカも茂みに飛び込む。
十分ほど歩くと、コタロウが足を止める。
「着いたぞ」
茂みを掻き分け、レオとアスカもコタロウに追いつく。
そこには、非常に開けた集落が存在していた。
昔にあったような家が無数にあり、家の中は明かりもついている。
巧妙に残された木の位置によって、木の葉が、町が上空から見られることを完全に防いでいる。
一番奥には、一際大きな屋敷があった。
「ここが、俺たちの町、ヨザクラタウンの全貌だ。現代の他の町の科学力と、昔からの伝統が組み合わさって発展してきた、我々の誇りの町だ」
そう言われると、確かに家の見た目は昔のものに似ているが、その家の中を照らす明かりは電灯によるものだ。
過去と現在の文化が、見事に適合している。
「ちなみに、この町に住む者の7割以上が忍びの者。ここは、隠された忍者の町でもあるのだ」
レオもアスカも、まさか森の奥にこのような集落があるとは予想していなかった。
「さて、この町の主、ミヤビ様に、お前たちを紹介しなければならんな」
再びコタロウが歩き出す。
恐らく、一番奥の屋敷に、ミヤビと言う人間がいるのだろう。
屋敷に着くと、コタロウが扉を叩く。
扉が開かれて、出て来たのは、ピンク色の忍者服に、紫色でショートヘアの髪に赤い花を付けた少女だった。
「あら、コタロウ様? どうされたのですか?」
「アヤメか。今、ミヤビ様に会えるか? 無理なら構わぬが、早急な事態だ。出来れば早く話しておきたいことがある」
「了解しました。すぐに確認してまいります」
そう言って音もなく少女は消えてしまう。
二回に主の元へ行ったのだろう。
「今のは名をアヤメという。ミヤビ様の一人娘で、町の中でも優秀な忍者だ」
どのような忍者が優秀なのかレオには分からないが、単純にポケモンか強いとか、そういうことだろうか。
そんな事を考える暇もなく、アヤメは戻って来た。
「コタロウ様。父上が、上がって来いと」
「分かった。お前たち、ついて来い」
コタロウは一礼し、屋敷へと入る。
レオとアスカもとりあえず一礼し、コタロウに続く。
階段を登り、一番奥の部屋へと辿り着く。
「失礼します」
そう言って、コタロウは襖を開く。
コタロウの後に続き、レオとアスカも部屋の中へ入る。
そこにいたのは、一人の男性だった。
髪は白く、目は細く目付きは非常に鋭い。
紋の入った紫の着物を着、腰には刀を差し、座禅を組んで座っているその様子は、忍者というよりは武士に近い。
「コタロウか。何用だ」
その声は低く鋭い。
「ミヤビ様、例の『ブロック』の使いの者です。私が話を聞いたのですが、どうやらこの者たちの話は、私が一人で解決するには重すぎる内容だと判断し、ミヤビ様の元へ来た次第です」
「分かった。して、使いの者とはお主らか」
ミヤビの瞳が、レオとアスカを見据える。
「は、はい」
ミヤビの発する威圧感に圧倒されながらも、レオは答える。
このミヤビという男は、今までレオが体験したものとは全く違う威圧感を持っている。
「私の名はミヤビ。この町を治める者であり、ヨザクラタウンのジムリーダーである。ここまで連れて来られたと言う事は、相当な事態なのだろう。まずは座れ」
そう言われ、レオとアスカはミヤビの前に座る。
とてもではないが正座以外では座れない。
そして、レオはN・E団の事を話し出す。
「なるほど」
全てレオの話を聞き終わった後、ミヤビは目を開く。
「つまり、そのN・E団という者どもが、我が町にまつわる宝玉を奪うと。ふっ、面白い」
ミヤビは小さく、不敵に笑う。
「我々忍びの者から、我々が一番の宝とするものを奪うと申すか。面白い、受けて立とう。やれるものならやってみよ」
「ミヤビさん、N・E団を甘く見ないでください」
そこで口を開いたのはアスカだ。
「奴らは目的を達成するためには手段を選びません。町全体を制圧し、もしかすると町自体を破壊してしまうかもしれません」
アスカの言い方はまったく大げさではない。
一度コウホクシティはN・E団に完全に制圧され、スティラタウンでは町全体を襲う大火事になりかけた。
「お主らこそ、我々を甘く見てもらっては困る」
アスカのN・E団への警告にも怯む様子すら見せず、ミヤビはそう返す。
「我々の先祖も、そして我々も、危険だと呼ばれる集団を無数に倒してきたのだ。なあ、コタロウよ。N・E団とやらがどれほどの集団かは知らぬが、我々の恐れる相手ではないわ」
「はい。ですがミヤビ様、妙ではありませんか。奴らは、この町の者しか知らぬはずの、宝玉の存在を知っております。我々の文明を否定する集団なら何度も潰していますが、この手の集団は初めてです。私は、その者たちは怪しいと、警戒をより強めた方がよいと考えております」
「ほう。お主がそこまで慎重になるとは、珍しい。だが確かに、お主の言う事も一理ある」
その時。
「失礼します」
襖が開き、アヤメが入って来た。
「どうした、アヤメ」
「父上、今し方、ポケモンセンターの方から、ジムリーダー宛に書かれた手紙を預かりました」
そう言ってアヤメはミヤビに手紙を渡す。
ミヤビがそれを広げ、レオたち近くにいた者がそれを覗き込む。
『この手紙が届いた四日後の、十五時丁度に、隊を率いてヨザクラタウンへ侵攻する。目的は町の制圧ではなく、三つの宝玉の回収である。抵抗したくば、戦力を集め、我々の侵攻に備えよ。——輝天将トパズ』
「ミヤビさん、こいつは危険です」
真っ先に口を開いたのはアスカだった。
「こいつが、コウホクシティを完全に制圧し、目的物回収だけのためにスティラタウン全体を戦火に巻き込んだ張本人です」
レオも分かっている。輝天将を出して来る時のN・E団は、本気だ。
「ミヤビさん、お気を悪くするような事を言いますが、いくら忍者でも、こいつの前では小細工は通用しません。こいつが出て来る時は、目的物の回収のために町全体を破壊してしまってもおかしくありません」
アスカの言葉を受け、再びミヤビは目を閉じ、考え込む。
やがて、
「分かった。お主らの言う通りにしよう。こちらとて、我が街に伝わる秘宝を部外の者にみすみす渡す気は無い」
そう言って、ミヤビはコタロウの方を向く。
「コタロウ、明日の朝一番で町全体にこの事を伝え、腕の立つ者を集めよ。アヤメはコタロウを手伝え。四日後の十五時までに、各自、万全な状態で敵襲に備え、迎え撃つのだ」
「了解しました」
コタロウとアヤメは同時に頷く。
「さて、『ブロック』の使いの者よ。私はまだお主らの名を聞いておらぬ。申せ」
「あ、はい。僕はレオといいます。ライオの息子です」
「私はアスカ、こいつの幼馴染です」
二人が名乗ると、ミヤビは小さく口元を緩める。
「レオにアスカか、いい名だ。お主らは、ポケモントレーナーだな?」
ミヤビの問いに、二人は頷く。
すると、ミヤビはニヤリと笑い、
「よし、明日、ジムに来い」
「ミヤビ様! ジム戦なら私が引き受けます。ミヤビ様は最近ポケモンをお使いになっておりませんでしたし、ここは私が」
コタロウが声を上げるが、ミヤビはそれを制する。
「お主の言う通り、調子を取り戻さねばならぬ。それには実戦が一番だ。いつもはコタロウに任せているが、今回はこの私が相手をしよう」
- Re: 第百十三話 黒影 ( No.236 )
- 日時: 2014/03/17 09:15
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
その後、レオとアスカはミヤビやコタロウから様々な話を聞いた。
ミヤビやアヤメは、かつて大きな勢力を誇った忍びの一族の血を受け継いでおり、彼らの先祖は森から別の森へと移り住んでいたという。
その後、科学技術が発達し、彼らの文化が一部の集団に否定され始めると、彼らは山奥へと身を隠し、同じような忍びの子孫を集め、さらに小さい村を装い、隠れ里を作った。
そして出来たのが、このヨザクラタウンだという。
この地に住む者は皆、忍びとしての修行を重ねており、普段は普通の生活をしているが、いざとなれば忍者服の姿となり、ミヤビの元へと結集する。
町の外の者で、ヨザクラタウンの全貌を知っている者は殆どいない。
ちなみに、彼らは生涯をこの地で過ごすが、全く外に出ないわけではなく、普通の服装で他の町に買い物にいったりすることもあるらしい。
ミヤビは、N・E団襲撃まで、屋敷の空いている部屋をレオとアスカに貸すと約束した。
そこそこの広さはあり、布団の寝心地も悪くない。
また、アヤメはレオたちと同い年で、すぐに仲良くなった。
彼女曰く、外の町の者をこれだけ丁寧にもてなすのは彼女の知る限りこれが初めてらしい。
「父上は人を見る目は一流だからね。父上に受け入れられた貴方たちなら、安心して話せるわ」
アヤメはそう言ってくれた。
ジム戦の順番は、じゃんけんの結果、レオが先になった。
翌日。
早速、レオはジムを訪れていた。
本来ならばカラクリの屋敷を攻略していかなければならないのだが、今回はミヤビの調整も兼ねているため、すぐにジム戦が出来るようにコタロウが事前に屋敷の進み方を教えてくれた。
最後の扉に辿り着き、レオは扉を開く。
「お願いします!」
最後の部屋に入ると、そこはバトルフィールド。
ここのバトルフィールドには木や草が生えている他、部屋全体がやや薄暗い。
「待っておったぞ」
フィールドの向こう側には、ミヤビが腕を組んで立ち、鋭い眼光でレオを見据えている。
「早速始めるとしよう。私が操るのは、変幻自在の妖しの技を使いこなす、毒タイプのポケモンだ」
それと、とミヤビは続け、
「忍びは突然の任務にも備え、常に全力を出せるようにするもの。調整を兼ねたバトルとは言え、手加減などしない方がよいぞ」
「当然じゃないですか。どんな時でも、僕は本気ですよ」
「そうでなくてはな。では、始めようか」
その言葉を引き金に、二人は同時にボールを取り出す。
「頼むぜ、トゲキッス!」
「出でよ、ゲンガー!」
レオの初手はトゲキッス。
対するミヤビの一番手は、一頭身の影の体を持つポケモン。
頭には二本の角、背中は無数の棘が生えたような形をしており、目は大きく、赤い。足があるが宙に浮いている。
シャドーポケモンのゲンガー。ゴースト・毒タイプ。
「ゲンガーか。ウチセトで見たことはあるけど、戦うのは初めてだな」
「まずは私から行かせてもらおう。ゲンガー、鬼火だ」
ゲンガーの周囲に、不気味な青い炎が揺らめく。
「サイコキネシス!」
ゲンガーが強い念力を操り、火の玉を操作する。
全ての鬼火を一点に集め、大きな火の玉に変え、念力を操って撃ち出す。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
トゲキッスは羽ばたき、上昇するが、念力により操られた火の玉はそれに合わせて軌道を変えてくる。
トゲキッスが空気の刃を放つが、火の玉を相殺するに止まる。
「トゲキッス、サイコバーン!」
トゲキッスは念力を体内に溜め込み、爆発させて衝撃波を起こす。
「ゲンガー、シャドーボール!」
ゲンガーは影の弾を作り上げ、それを投げつけ、衝撃波を相殺する。
「次だ! トゲキッス、エアスラッシュ!」
トゲキッスは連続で羽ばたき、次々と空気の刃を放っていく。
無数の刃が、様々に軌道をかえてゲンガーを狙う。
「ゲンガー、ヘドロ爆弾!」
対して、ゲンガーはヘドロの爆弾をゲンガーの真下の床へ投げつける。
着弾すると爆弾は破裂し、煙幕のように周囲に爆風と煙を放ち、空気の刃を防ぐ。
「やっぱり戦い方も忍者みたいだな……」
慣れない戦法に苦戦しそうだと考えるレオだが、とりあえずゲンガーの技は全て見ることが出来た。
少なくとも、トゲキッスに致命傷を与える技は持っていない。
こちらは波動弾が使えないが、向こうもシャドーボールが使えない。
「トゲキッス、大文字!」
大きく息を吸い、トゲキッスは大の字の形に燃え盛る炎を放つ。
「ゲンガー、鬼火からサイコキネシス!」
ゲンガーは鬼火を周囲に浮かべ、念力で操り、青い炎の壁を作る。
大文字を正面から受け止め、爆発と共に黒煙が巻き起こる。
「トゲキッス、エアスラッシュ!」
トゲキッスが連続で羽ばたき、無数の空気の刃を飛ばす。
黒い煙ごと空気を貫き、刃がゲンガーに迫る。
だが。
煙が晴れたその時、ゲンガーはどこにもいなかった。
「は……?」
上を取られている訳でもない。木の後ろに隠れてもいない。
フィールド全体を見渡したが、どこにもいないのだ。
(嘘だろ、いくら忍者のポケモンだからって、雲隠れする能力まで身につけるのは流石に無理があるだろ……待てよ)
そこでレオは気付く。
(ゲンガーは毒とゴーストタイプ! まさか!)
「トゲキッス、飛び上がれ!」
「ゲンガー、ヘドロ爆弾!」
レオとミヤビが次の指示を出したのはほぼ同時だった。
トゲキッスが真上に飛び上がった刹那、フィールドに立つ木の中からゲンガーが現れ、ヘドロの塊を放った。
「やっぱりか。ゴーストタイプのゲンガーなら、壁や木の幹をすり抜けて移動することくらい出来ますもんね」
「よく気づいたな、その通りだ。この程度は造作もない」
忍者らしい戦い方だ、とレオは思う。
影に潜み、相手の予想もしないところから奇襲する。常人にとっては奇抜でも、忍びの者にとっては常套手段だろう。
だが、対抗策がないわけではない。
レオの手持ちには、このような相手に対して力を発揮出来るポケモンがいる。
「トゲキッス、一旦戻ってくれ」
バトルは始まったばかりだが、レオは一度トゲキッスを戻す。
「頼んだせ、レントラー!」
代わってレオが出したポケモンはレントラー。
「この場面でレントラーか。となれば、お主の考えは予想出来る。レントラーの透視能力を使い、ゲンガーが隠れた場所を見つけ出そうというのだろう」
「流石ジムリーダーですね。その通りですよ。物陰に隠れても壁の奥に潜んでも、こいつには通用しませんよ」
「ゲンガーを侮るな。この能力がゲンガーの全てではない。これが使えなくとも、十分に戦える力を持っている」
「ジムリーダーのポケモンなんですから、それくらいは分かりますよ」
「ふむ。では、ゲンガー、シャドーボール!」
ゲンガーは構えた手に影を集める。
それを黒い弾に変え、レントラーへ投げつける。
「レントラー、氷の牙!」
対して、レントラーは牙に長く鋭い氷を纏わせ、影の弾に突き刺し、破壊する。
「ゲンガー、ヘドロ爆弾!」
ゲンガーは上昇し、ヘドロの爆弾を撒き散らす。
次々と床に着弾し、無数の煙幕が上がる。
「レントラー、来るぞ! ギガスパーク!」
レントラーの瞳が金色の光を放つ。
煙に紛れるゲンガーの場所を確実に捉え、バチバチと破裂音を立てる大きな電撃の砲弾を撃ち出す。
「ゲンガー、躱してシャドーボール!」
電撃の砲弾が煙幕を薙ぎ払うが、既にゲンガーはそこにはいない。
無数の煙幕を次々と不規則に、かつ素早く潜り抜け、黒い影が静かにレントラーに迫り来る。
「くそっ、レントラーの透視が追いつかないのかよ! だったら、怒りの炎!」
レントラーは周囲に荒れ狂う怒りの業火を放つ。
炎が辺りを照らし、ゲンガーの位置を映し出し、さらにその体をじりじりと焼いていく。
「ッ、ゲンガー、退け」
ゲンガーは素早く床の下に消え、ミヤビの元へ戻ってくるが、その体の一部が焦げている。
顔をしかめ、煤を払うと、ゲンガーは再び裂けた口を釣り上げて笑う。
「お主、なかなかやりおるな。ポケモンのみならず、お主自身も優れたトレーナーであるな」
「ありがとうございます。これでも一応、ウチセト地方のポケモンリーグで三位になってます」
レオの言葉を聞き、ミヤビは目を閉じて頷く。
「だが、変幻自在、怪しの技を使いこなす忍びと戦うのは初めてであろう。少しでも気を抜けば、次の瞬間には忍びは後ろに迫っておる。常に警戒せよ」
ミヤビの瞳が見開かれ、鋭い眼光がレオを捉える。
『ヨザクラタウンジム ジムリーダー ミヤビ 背中刺す毒牙』
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.237 )
- 日時: 2014/03/17 17:30
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
遠征というか練習試合というか合宿というか、ともかく部活動の遠出から帰ってきた白黒です。
N・E団アジトの強襲もひとまず終了し、次の街はヨザクラタウンですか。
ジムリーダーの名前がミヤビで、使用ポケモンが毒タイプ使いということなので、まあ忍者っぽいところなのかなーとは思いましたが、まさか本当の忍の里だとは。周りの町とはかなり隔たれているようですが、この町というか村というかは、治外法権か自治区みたいになってるんですかね?
さて、とりあえずヨザクラタウンに着いて、ジムリーダーのコタロウが登場と……あれ?
最初見た時、文字を読み間違えたかと思いました。二人いたんですね、この町のジムリーダーは。
存在を隠すような町だと、やっぱり管理するのも大変なんですかね。
次にN・E団がやって来そうなところで、その前にジム戦ですか。というかやっぱりトパズが果たし状というか宣戦布告というか、また手紙を出すんですね。正直、文面も合わせてまた(お前)かという感じがしますが、トパズはまだ覚醒していなかったので、そういう点では楽しみかもしれません。
そしてやっとジム戦、よく考えればもう七つ目のジムなんですね……結構進んでいるなぁと思いますが、やはりN・E団の謎が多く残っているので、まだ先があるように感じられます。
ジム戦では、ミヤビはゲンガーですか。覚えている技は、状態異常にさせる鬼火や、その鬼火を操作するサイコキネシスなどはそれっぽいですが、思ったよりもトリッキーな感じがしないですね。ただ、地形をすり抜けて移動するのは、成程それらしい、と思いましたが。
とはいえまだ一体目で、後続にはまだまだポケモンが残っていますし、ミヤビというキャラクターから見ても油断はできませんね。
関係ない……というわけでもないですが、ミヤビを見ていると前々作のSを思い出します。ミヤビ共々、パーセンターさんらしいキャラだなぁ、と勝手に思いながら読んでいます。
そしてことあるごとに三位をアピールするレオ。いや、凄い結果なんですけど。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.238 )
- 日時: 2014/03/18 22:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
>>白黒さん
白黒さんって部活何やってるんですかね?その言い方だと登山部とかですか?
ヨザクラタウンは隠された忍びの町です。
表向きは山奥にあるほんの小さな村のような町ですが、実態は空からも見えない大きな集落です。
まあ自治区みたいな感じですね。この町の外のほとんどの人はヨザクラタウンをジムとポケセンがあるだけのほんの小さな町としか認識しておりません。
本来のジムリーダーはミヤビなのですが、コタロウの方がジムにいることが多い設定です。
この町に来るチャレンジャーには、コタロウが代理だという話にしています。
輝天将が来る時のN・E団は、本気です。
本来彼は略奪行為はあまり好まないのですが、大事な任務には彼が使われることになってるので、このような略奪を行うことになってしまいます。
それだけ、今回の宝石回収任務は大事だということです。
ジム戦ですが、前作の四人目のジムリーダー・ヤシロの時も感じましたが、どうも私はトリッキーなバトル展開が苦手なようです。
一応、この先の奴らは忍者っぽい戦い方をしていく予定ですが、上手くいかないかもしれません。
忍者キャラクターって好きなんですよね、僕は和風が好きなので。
だからエンジュシティとかホウオウが出て来るとこのBGMとかは大好きです。
本家キャラだとエリカとかアンズが好きです。
初挑戦ウチセトリーグ三位は彼の誇りなので、大目に見てやってください(笑)。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.239 )
- 日時: 2014/03/21 18:24
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: uY/SLz6f)
- プロフ: http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?no=15685
お知らせ
雑談掲示板の方に、設定資料集を立てました。
私の今までの作品の設定資料を、少しづつ書いていく予定です。
暇な時など、是非お越し下さいね。私の作品なんて知らねえよ、な方も、是非。
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