二次創作小説(紙ほか)
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.245 )
- 日時: 2014/04/24 22:44
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
>>白黒さん
高校3年生の一年は本当にきついです。
部活が終わっても、そこからは模試ラッシュが待ってます。
おそらく、ミヤビは今までレオが戦ってきた相手(前作も含め)の中で最も搦め手の使い方が上手い相手ですね。
攻撃技と補助技の使い分けが非常に上手く、相手に隙を与えません。
ミヤビの手持ちは、どのような展開においても確実に任務を遂行出来るような面子が揃っていますから、フィールドを一掃したくらいではミヤビの戦術は崩せません。
ミヤビが語ることは全て忍びにとっての常識ですからね。
加えて何と言っても戦闘慣れしていますから、やはりこの手の相手と初めて戦う者たちが意表を突かれるのもまた当然なんですよね。
エースは次回登場予定です。乞うご期待!
- Re: 第百十六話 黒刃 ( No.246 )
- 日時: 2014/04/29 19:16
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「続けようか。ドクロッグ、マグナムパンチ!」
ドクロッグが大きく跳躍し、アブソルに狙いを定め、ミサイルの如き勢いで拳を突き出す。
「アブソル、躱してサイコカッター!」
アブソルは素早く後ろに下がって拳を躱すと、念力を込めた鎌を振るい、刃を撃ち出す。
「ドクロッグ、悪の波動!」
だがドクロッグは素早く左手を翳し、悪意に満ちた波動を放って念力を防ぐと、
「毒突きだ!」
右拳の毒針から猛毒を分泌させ、アブソルへ突き刺す。
「くっ、アブソル、辻斬り!」
咄嗟にアブソルは鎌を振るい、ドクロッグの毒針を弾く。
だがドクロッグの体勢は崩れない。
すかさず左手の毒針がアブソルを襲い、針がアブソルに突き刺さる。
「ッ、アブソル、火炎放射!」
何とか体勢を保ち、アブソルは灼熱の炎を放つ。
「ドクロッグ、回避!」
ドクロッグは素早く飛び上がり、炎を躱そうとするが、完全には躱し切れず、ドクロッグの足が炎に焼かれる。
「フィールドから木が無くなったのはやはり痛いな。草木が残っておれば、身代わりを使ってより撹乱することも出来たのだがな」
だが草木が無くなったからと言って、ドクロッグが不利になる訳ではない。
寧ろ流れはドクロッグの方にある。
「アブソル、辻斬り!」
一瞬でアブソルはドクロッグとの距離を詰める。
そのまますれ違いざまに鎌を振るい、ドクロッグを切り裂く。
「続けてサイコカッター!」
アブソルが振り向き、鎌に念力を纏わせ、直接ドクロッグを切り裂く。
「ドクロッグ、身代わり!」
ドクロッグは瞬時に身代わりを発生させる。
「ドクロッグ、マグナムパンチ!」
「同じ手は喰らいませんよ! アブソル!」
ギリギリのところでアブソルは攻撃を止める。
後ろから出て来たドクロッグが攻撃を仕掛けるより先に、アブソルの鎌がドクロッグを切り裂く。
だが。
アブソルが切り裂いた後ろのドクロッグは、風船のように破裂し、消えてしまった。
「……! しまッ……!」
気付いた時にはもう遅い。
本物のドクロッグのミサイルの如き拳の一撃がまともにアブソルを捉え、吹き飛ばす。
「恐らく、先ほどの身代わりで警戒していたのだろうが、その逆手を取らせてもらったぞ。早々の思い込みは禁物、あらゆる可能性を想定せよ」
つまり、レオはミヤビの心理作戦にまんまと引っ掛かったということだ。
身代わりを警戒してはいたが、まさか本体をそのままに残すとは全く予想していなかった。
そして、効果抜群の大技を二発も受ければ、流石のアブソルでも致命傷は避けられない。
「仕留めよ。ドクロッグ、毒突きだ」
それでも何とか立ち上がろうとするアブソルに、ドクロッグが静かに迫る。
両手の毒針から猛毒を分泌させ、アブソルへと突き刺し、確実にとどめを刺す。
その瞬間、ドクロッグが吹き飛ばされた。
「……何だ」
冷静沈着なミヤビの表情に、僅かに驚きが現れる。
その瞳がじっと見据えるアブソルの体は、青く光り輝いていた。
「これは……進化の光!」
光り輝くアブソルのシルエットが、その形を変えていく。
進化が終わり、光が消えていくと、そこにいたのはアブソルとは違う姿のポケモン。
体格はアブソルとそれほど変わらないが、額の黒鎌はより鋭く、さらに二本に増えている。
悪魔の翼のような黒い尾も二本になり、さらに踵にも黒い刃が生えている。
より凶悪そうな風貌になった、そのポケモンの名前はディザソル。
分類は災害ポケモン、悪タイプ。
「ほほう、ここに来て進化か。これは面白い戦いになって来たようだ」
「そうですね。進化したこいつの力を、見せてやりますよ」
レオは図鑑を取り出し、ディザソルの技を確認する。
身代わりは消えてしまったようだが、代わりに強力な技を覚えたようだ。
「それでは、見せてもらおう。ドクロッグ、マグナムパンチ!」
ドクロッグが拳を構える。
ミサイルの如き勢いで、ディザソルに殴りかかろうとするが、
「ディザソル、神速!」
それよりも速い速度でディザソルが動く。
ほんの一瞬でドクロッグとの距離を詰め、そのままドクロッグを弾き飛ばす。
「サイコカッター!」
さらにディザソルは念力を込めた黒鎌を振り抜く。
今度こそ綺麗に命中し、ドクロッグはそのまま地面に落ち、戦闘不能となる。
「進化を遂げただけでここまで能力が上がるとは、流石だな。ドクロッグ、戻って休め」
ディザソルを称賛し、ミヤビはドクロッグをボールへと戻す。
「よもやこの私が先に最後の一体を出すことになろうとは。だが、私の切り札は強いぞ。油断するな、警戒せよ、常に気を配れ」
ミヤビの口元に、僅かに笑みが浮かぶ。
そして、ミヤビが最後のポケモンを繰り出す。
「出でよ、クロバット!」
ミヤビの最後のポケモンは、紫の蝙蝠のようなポケモン。
瞳は赤く、四枚の翼を持ち、小さい後ろ足がある。
クロバット、蝙蝠ポケモン。毒、飛行タイプ。
だが、普通のサイズより少し小さい。
「こいつが最後のポケモンか……ディザソル、こいつはミヤビさんの切り札だ。相当な曲者だと思うけど、気をつけろよ」
レオの言葉に、ディザソルは頷き、クロバットを見据える。
「行くぞ。クロバット、シザークロス!」
ミヤビが指示をした、刹那だった。
クロバットが、消えた。
「……ッ!?」
慌ててクロバットを探すレオだが、その必要は無かった。
羽音すら立てず、クロバットは一瞬でディザソルの真ん前まで忍び寄り、翼を振るってディザソルを切り裂いたのだ。
「クロスポイズン!」
さらにクロバットは目にも留まらぬ速度でディザソルの後ろへ回り込み、毒を帯びた翼を交差させてディザソルを切り裂く。
しかも二発目は的確に急所を捉えた一撃。
反撃する暇もなく、ディザソルは戦闘不能となってしまった。
「……ありがとう、ディザソル。戻って休んでてくれ」
レオはディザソルを労い、ボールへと戻す。
(速い……速すぎる! 流石にシュウヤさんのテッカニン程ではないけど、このクロバット、相当素早いぞ!)
このクロバットは、レオがホクリクで戦ったポケモンの中の誰よりも素早い。
しかもそれだけではない。
ウチセトリーグの準決勝で戦った相手、シュウヤのテッカニンと違い、このクロバットは一切羽ばたく音を立てないのだ。
どこにいるのか、全く気配を掴めない。
「これが私の切り札、クロバット。何らかの搦め手を使いこなす今までの者とは違い、クロバットには搦め手など必要ない。普通に飛ぶだけでも相手は戸惑い、普通に攻撃を仕掛けるだけでも相手はこちらの動きに対処出来ぬ。これこそ忍びの究極系よ」
ミヤビの言うことは間違っていない。
先程の動きでは、クロバットは全く気配を感じさせなかった。
だが。
だからと言って、それは諦める理由にはならない。
「確かに、そのクロバットは僕が今まで見た中で一番隙の無いポケモンです。たくさんの忍び達を束ねる、忍びの長の切り札だけはある」
でも、とレオは続け、
「だからこそ、そのクロバットを、僕が越えて見せます!」
そして、レオは最後のボールを取り出す。
「頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンはやはりポッチャマ。
進化せずとも、レオの一番のポケモンだ。
そして、そんなレオとポッチャマを見て、ミヤビは頷く。
「よかろう。全力を以って、かかってくるがよい」
ミヤビの言葉に応じるように、クロバットが瞳を動かし、ポッチャマを見据える。
ポッチャマも一歩踏み出し、クロバットに対峙する。
- Re: 第百十七話 宵闇の翼 ( No.247 )
- 日時: 2014/05/04 13:40
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
先手を取ったのはポッチャマ。
冷気を込めた光線を、クロバットへと撃ち出す。
「クロバット、躱せ」
しかし、やはりクロバットは桁違いのスピードで冷気の光線を躱し、一気にポッチャマとの距離を詰める。
「クロバット、クロスポイズン!」
「させるか! ポッチャマ、ドリル嘴!」
毒を帯びた翼を交差させ、ポッチャマを切り裂こうとするクロバットだが、ポッチャマの高速回転によって弾かれる。
さらにポッチャマはそのままクロバットに狙いを定めて跳び、嘴でクロバットを突き刺す。
「戦法は悪くないな。だが遅い。クロバット、シザークロス!」
一瞬の隙を突き、クロバットはポッチャマの後ろまで瞬時に移動する。
そのまま翼を振るい、今度こそポッチャマを切り裂く。
「ポッチャマ、スプラッシュ!」
だがポッチャマもただではやられない。
シザークロスを耐え切り、体に水を纏って突撃を仕掛け、クロバットを吹っ飛ばす。
「ほう。シザークロスをまともに受けても、すぐにそこまで動けるか」
ミヤビが感心したように言う。
「僕のエースですからね、今までとは一味違いますよ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
吹っ飛ぶクロバットへ、ポッチャマはさらに冷気を込めた光線を放つが、
「クロバット、躱してエアスラッシュ!」
途中で体勢を立て直したクロバットに躱され、さらにクロバットは素早く羽ばたき、空気の刃を飛ばす。
「ポッチャマ、水の波動!」
ポッチャマは水を凝縮した波動の弾を放ち、空気の刃を相殺、続けて、
「ドリル嘴!」
嘴を伸ばし、ドリルのように回転させて地を蹴り、クロバットへと突貫する。
「クロバット、クロスポイズン!」
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
クロバットがポッチャマの後ろへと回り込み、毒を帯びた翼を振るう。
だが、それを予測していたポッチャマはドリル嘴の勢いを抑え、後ろへ振り向き、冷気の光線を放つ。
冷凍ビームがクロバットを捉え、吹き飛ばす。
「流石だな、このクロバットの速度を上回るか」
効果抜群の一撃、ダメージは大きいが、しかし、それだけではクロバットはやられない。
「私は先ほど、クロバットに搦め手は必要無いと言ったな」
無表情でミヤビは語る。
「前言撤回する。お主ほどのトレーナーに、搦め手無しで戦うのは、少々無理があったようだ」
それはレオへの賛辞の言葉。レオとポッチャマの力を讃える言葉。
それと同時に。
レオとポッチャマに、絶望を与える言葉。
「クロバット、黒い霧!」
クロバットが、漆黒の霧を起こす。
ただでさえ薄暗いフィールドが、闇の霧に覆われ、完全に視界が奪われてしまう。
「ッ……嘘だろ……?」
「いいや、現実だ。一応言っておくが、クロバットは超音波によって闇の中でも敵や障害物の位置を完全に把握する。姿の見えぬ闇の中の襲撃に、お主は対応出来るかな」
もはやクロバットの姿をその目で捉えることすら出来ない。
羽音もせず、気配すら感じられない。
(最後は煙幕か……忍者らしいといえばそうだけど、この状況、やばいな……)
必死に打開策を探すレオだが、
「クロバット、エアスラッシュ!」
ミヤビはその時間を与えてはくれない。
漆黒の霧を貫き、空気の刃が襲い掛かる。
「ポッチャマ、水の波動!」
水を凝縮した波動を撃ち出し、空気の刃を相殺する。
切り裂かれた闇の向こうに一瞬、クロバットの姿が写るが、すぐに霧が立ち込め、見失う。
「くそっ、どうにかこの霧を払うぞ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転する。
ポッチャマの周囲の霧は一時的に晴れるが、フィールドの霧全体を晴らすことは出来ない。
「それならポッチャマ、跳び上がれ!」
ドリル嘴を真上に放ち、ポッチャマは大きく跳ぶ。
天井までは霧は立ち込めておらず、フィールド全体が見渡せる。
が、
「クロバット、シザークロス!」
霧の中から姿を現したポッチャマは格好の的。
闇の中からクロバットが現れ、ポッチャマを切り裂く。
「くそっ、ポッチャマ、冷凍ビーム!」
空中で体勢を立て直し、ポッチャマは冷気の光線を放つが、既にクロバットは霧の中に隠れてしまっている。
ポッチャマも着地し、霧の中に戻って来る。
「無駄だ。今のお主とポッチャマでは、私のクロバットを捉えることは出来ぬ。クロバット、クロスポイズン!」
闇の中でミヤビの声が響く。
次の瞬間、ポッチャマが毒の翼に切り裂かれる。
「シザークロス!」
「ドリル嘴だ!」
再び静かに襲い来るクロバット。
対して、嘴を伸ばし、ポッチャマは高速回転する。
周りの霧が晴れて、一瞬クロバットの姿が写る。
さらに、翼の一撃は、ポッチャマの回転によって弾かれる。
「今だ、ポッチャマ、スプラッシュ!」
「甘い。クロバット、シザークロス!」
水を纏い、ポッチャマはクロバットへと突っ込むが、クロバットはそれを躱し、翼を交差させて振り抜き、今度こそポッチャマを切り裂いた。
(くっそ、どうしたらいいんだよ……!)
最早打つ手は無い。今のポッチャマでは、この状況を打破する手は——
(ん……待てよ。霧……翼……!)
一つだけある。
ポッチャマが、クロバットの攻撃をどれだけ耐えられるかに懸かってくるが、勝機はこれしかない。
「ポッチャマ、後もう少しだけ、クロバットの攻撃を耐えてくれ」
小さく、ミヤビには聞こえないように、レオはポッチャマに呟く。
ポッチャマは振り向き、小さく頷いた。
「さて、見せてもらおう。ここから反撃の策を思いつくのか、それとも、漆黒の闇の中に沈むのか。クロバット、クロスポイズン!」
クロバットが静かに、かつ高速でポッチャマに迫る。
毒を帯びた翼が、ポッチャマを切り裂く。
一拍置いて再び、さらにもう一発。ポッチャマの体は、毒に切り刻まれていく。
しかし、レオはポッチャマを見ていなかった。
レオが見据えるのは、漆黒の霧。
(確かに、一切羽音を立てないクロバットの飛行能力は脅威だ。ましてこの霧の中じゃ、気配なんて掴めるはずもない)
ポッチャマの体がぐらつく。
(だけどミヤビさん、貴方は二つ、ミスを犯している。一つは、この黒い霧を使ったこと)
毒を帯びた翼がポッチャマを切り裂く。
じわりじわりと、毒がポッチャマの体力を蝕む。
(もう一つは、それによってクロバットの位置が分かるということに、気づいていないことだ)
先に、そのことにレオは気づいた。
クロバットが、とどめを刺さんと迫る。
漆黒の霧が、蠢く。
「そこだ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
ポッチャマがカッと目を見開く。
霧の動いた場所——クロバットの羽ばたきによって、霧が払われた場所へ、蒼白い光が一閃する。
「……ッ! ば……馬鹿な」
起死回生の反撃。
クロバットの素早さを持ってしても反応することが出来ず、クロバットは冷気をまともに浴びてしまう。
「……そうか。お主、クロバットの羽ばたきによる、霧の動きを見ていたのか」
「ええ、その通りですよ」
しかし、ミヤビは気づくのが遅すぎた。
冷凍ビームをまともに喰らい、クロバットの足の翼二枚が凍りついてしまった。
そして。
ポッチャマが、蒼いオーラを身に纏う。
極限まで追い詰められたことで、ポッチャマの特性、激流が発動したのだ。
そして、最高のタイミングで、黒い霧の効果が切れ、霧が晴れる。
「……まだ終わってはいない。多少スピードは落ちるが、私のクロバットはまだ止まらんぞ。クロバット、クロスポイズン!」
両足の翼が使えなくなったクロバットだが、それでもポッチャマとの距離を一気に詰め、毒を帯びた翼を振るう。
スピードは落ちているが、それでも相当な素早さ。
「ポッチャマ、ドリル嘴!」
対して、ポッチャマは嘴を伸ばし高速回転する。
「それで弾くつもりだろうが、その手には乗らぬ。クロバット、翼を叩きつけろ!」
毒を帯びた翼を、クロバットは回転の中心に向けて上から振り下ろす。
「ポッチャマ、スプラッシュ!」
しかし、ポッチャマは回転の勢いをそのままに、体に水を纏う。
凄まじい量の水飛沫が飛び散り、クロバットの動きを止める。
「そこだ! ポッチャマ、突っ込め!」
水をまとったままポッチャマはクロバットへ激突。
特性の激流も重なり、渾身の一撃を喰らったクロバットは大きく吹っ飛ばされる。
「とどめだ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
最後の力を振り絞り、ポッチャマは冷気を込めた光線を放つ。
流石のクロバットでも、一対の翼を封じられた上、体勢を大きく崩されたこの状態で、冷凍ビームを躱すことは出来なかった。
「……ここまでか」
ミヤビが呟く。
全ての翼を凍りつかせ、クロバットは地面に落ち、戦闘不能となった。
「変幻自在、怪しの技を使いこなす忍びの戦いを、お主は打ち破った。見事であった」
「ミヤビさんのポケモンも、強敵揃いでしたよ。正直、今までで一番戦いづらかったです。流石は忍びの長ですね」
「それは光栄だ。久々にここまで熱い戦いが出来た、礼を言うぞ」
そして、ミヤビは玉手箱のような箱を取り出す。
その中には、紫色の手裏剣のような形のバッジ。
「ヨザクラシティのジムを踏破した証、ゲンマバッジ。受け取るがよい」
「はい、ありがとうございます!」
これでレオのバッジは七つ。ホクリク地方ポケモンリーグまで、あと一つだ。
しかし、喜んでばかりはいられない。
これから攻めてくるN・E団から、何としてもこの町を守り抜かなければならない。
- Re: 第百十八話 破襲 ( No.248 )
- 日時: 2014/05/06 14:42
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
レオがミヤビに勝利した次の日に、アスカもヨザクラジムに挑戦した。
最後にはアスカの切り札、モウカザルが進化したポケモン、ゴウカザルと、ミヤビのクロバットとの勝負になり、ギリギリのところでアスカが勝ったらしい。
そして、アスカがジム戦を終えた後は、いよいよ本格的に作戦会議が始まった。
町に住む、戦闘経験のある忍びの者たちが皆ミヤビの屋敷に集まった。
「今回の敵の目的は、我が一族が代々守り続けてきた、三つの宝玉だ。先祖、そして子孫のために、何としてでもこれだけは守り通さねばならぬ」
そして、ミヤビはレオやアスカを含む、この場にいる全員にその宝玉を見せた。
一つは炎のように紅に光る赤の宝玉、もう一つは海のように蒼い光を反射する青の宝玉。そして最後には、若葉のように美しい翠の光を放つ緑色の宝玉だ。
「これを、この屋敷の最奥に置く。何者かがその部屋に入れば、その時点で罠が発動、それと同時に、瞬時に我々全員に伝わる。奴らが罠に掛かっているその隙に、奴らを一網打尽に捕らえるのだ」
これが、ミヤビが伝えた今回の作戦。
さらに、宝玉の部屋には十人の忍びが控え、罠を掻い潜って来た者にとどめを刺す。
「奴らが攻めてくるのは二日後。今日と明日は各自準備を整え、明後日は決戦だ」
そして決戦の日。
レオとアスカ、コタロウやアヤメを始め、ヨザクラの腕の立つ者たちが、屋敷に全員集結した。
その中央に座るは、ヨザクラシティ最強の忍び、ミヤビ。
「父上、町の他の者たちは、全員ポケモンセンターに避難させました」
アヤメが進み出る。
「うむ。宝玉の方は」
「この屋敷の最奥に設置致しました。全ての罠も正常に動くことを確認済みです」
「そうか。ご苦労であった」
部屋全体に、張り詰めた緊張感がある。
しばらく、無言の時間が続くが、
「そろそろか」
ミヤビが顔を上げ、立ち上がる。
レオがライブキャスターで時間を確認する。
トパズが指定した時間は十五時。現在時刻は十四時五十分。
宝玉の護衛を十人ほど屋敷の中に残し、ミヤビを中心とする忍び達は外へ出る。
「行け」
ミヤビが短く、そう告げる。
次の瞬間、忍び達は一斉に消えた。
木の影や建物の影に隠れ、敵襲に備えているのだろう。
ミヤビの元に残っているのは、レオ、アスカ、アヤメ、コタロウ。そして十人ほどの忍びの者たち。
レオのライブキャスターが、十五時を示す。
「時間です」
そう告げるレオ。
しかし、スティラタウンの時とは違い、全く動きが無い。
「……どういうこと?」
「臆病風に吹かれたか、それとも俺たちを欺くつもりか」
アスカやコタロウも、状況が変化しないことを疑問視している。
しかし。
敵は確かに、その場に迫って来ている。
「そこか!」
突如、ミヤビが手にしたクナイを投げる。
クナイは一本の木の中に吸い込まれるように飛び、木の幹に刺さる。
一瞬の沈黙。そして、
「流石は忍びの長。よく俺様がここにいることに気づいたな」
木の上から飛び降りて来たのは、黒い服を身に纏い、顔を真っ黒なフードで覆った男。腕には黒い蛇のような模様の刺青。
N・E団で最も危険な男、破天のメジスト。
僅かに見える左の頬から、血が垂れている。先ほどのクナイが顔を掠めたようだ。
「貴様がN・E団の刺客か」
ただならぬ威圧感を放つメジストに全く怯む様子も見せず、ミヤビが一歩進み出る。
「ご名答。俺様はN・E団七天将が一人、破天のメジスト。この町の宝玉を戴きに来たぜ」
「我々忍びの一族から、我らの一番の宝を奪えると思っているのか?」
「まあな。いくら俺と言えど、流石に一人じゃ無理だ。だが」
メジストがそう言った直後。
バキバキバリ! と、木の葉や枝を突き破って、巨大な飛行機、N・E空中輸送ドッグが姿を現す。
ドッグが開き、中からは十人ほどの人間が次々と飛び降りてくる。
「遅かったじゃねえか、ソライト。1分の遅刻だぜ」
『申し訳ない。何せ森に囲まれたこの地ですから、位置取りに少々手間取ってしまいまして。とりあえず、破天隊は全員お連れしましたよ』
飛行機の中から、マイクを通したソライトの声が聞こえる。
「まあいいや。サンキューな、ソライト。あとはこっちに任しとけ」
そしてメジストは再びミヤビ達に向き直る。
「さあ行くぜ、俺たち破天隊の力を見せてやろうじゃねえか」
その言葉に続き、メジストの後ろの者たちが立ち上がる。
全員が、何かしらで顔を覆っていた。
覆面、ジャック・オ・ランタン、ひょっとこ仮面、ピカチュウの顔……など、素顔を一切見えない十人ほどの集団が立ちはだかる。
「ミヤビさん、こいつは危険です」
レオがそっと進み出て、ミヤビに耳打ちする。
「こいつは破天将メジスト。戦った相手の戦意や精神力を吸い取る、天性の能力を持っています。強靭な精神力を持っていれば、大丈夫だと聞いていますが……」
「分かった」
小さく頷き、ミヤビはメジストに向き直る。
「メジストと言ったな。私が相手になってやろう」
ミヤビがそう言った途端に、メジストの口元が歪む。
「ギャヒャヒャヒャ! いいねえ、そういう好戦的なのは大好きだぜ! じゃあ早速始めるか! おいキキ、ケケ!」
本性を現したメジストが、狂ったように笑う。
「お前ら二人を中心に、こいつらを叩きのめせ。俺様はこの忍者長を相手取る。それじゃあ、行くぞ!」
「いや、戦場はここではない」
「なに?」
「戦場は……こっちだ!」
刹那、ミヤビは森の中に飛び込んだ。
「上等だ。森の中なら俺を惑わせると思ってんだろうが、そうは行かねえぞ。覚悟しろや! ギャヒャヒャヒャヒャ!」
メジストもミヤビを追い、森の中へ飛び込む。
残されたのは、破天隊の面子と、レオたち。
「さあ、残った貴方たちは私たちが始末してあげる」
「宝玉を渡すか、俺たちに潰されるか、どっちか選びな」
紙袋を被った女、キキと、白黒マスクを被った男、ケケが進み出る。
「ハッ、以前僕に負けた雑魚のくせに、口だけは上等だな」
レオがモンスターボールを取り出すが、その刹那だった。
ズガァァァン!! と。
屋敷の奥から、大きな爆発が起こる。
「!?」
慌てて屋敷を振り返るレオたち。
宝玉のある部屋付近から、煙が上がっている。
「……ッ! まさか、トパズか!」
すぐにレオは気づいた。
恐らく、N・E団はこの展開を予測していたのだろう。
メジストの能力を知る者、レオをヨザクラに行くように仕向け、彼の能力を知らせた上であえてメジストを送り込み、N・E団にとって一番厄介な存在であるミヤビを戦線から引き剥がす。
そこをトパズが単身で宝玉の部屋を直接襲撃し、宝玉を回収する。
「あぁーら、気づいたみたいね」
「どうせ罠でも張ってんだろうが、トパズ様の前では無意味だ。今頃宝玉は回収されてんじゃねえの?」
嘲笑うキキとケケ。
「……レオ、アスカ」
その時、コタロウが小さく二人に声を掛ける。
「お前たちは、屋敷に戻り、宝玉を守ってくれ。恐らく控えの者たちがトパズとやらと戦っているが、それだけでは不安だ。頼む」
「……分かりました」
「任せてください」
レオとアスカは一度だけ顔を見合わせ、頷き、屋敷へと走り出す。
「させねえぞ! 行きなドクケイル、ヘドロ爆弾!」
ケケがドクケイルを繰り出し、屋敷へと向かうレオとアスカにヘドロの塊を放とうとするが、
「そうは行かぬぞ! 出て来いスモーガス、火炎放射!」
コタロウが繰り出した、紫色の楕円形の体をし、上下に銀色の角を持つポケモン、スモーガスが灼熱の炎を噴き出し、ヘドロ爆弾を止める。
「貴様らの相手は俺たちだ。アヤメ、お前はそこの紙袋女を頼む」
「言われなくても、そのつもりですわ。出番よ、ゴルバット!」
アヤメの繰り出すポケモンは、大口を持つ青色の蝙蝠のようなポケモン、ゴルバット。
「あぁーら、私の相手はこんな子供? 悪いけど、お姉さん手加減はしないわよ?」
猫撫で声で挑発し、キキもモンスターボールを取り出す。
コタロウ、アヤメ率いる忍びの一族と、キキ、ケケ率いる破天隊が対峙する。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.249 )
- 日時: 2014/05/06 17:55
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
最近、一日の終わりが妙に怖くなる白黒です。まあ、一日の終わりと言っても、大体日付が変わる頃には起きてますけどね。
ミヤビ戦も決着がつきましたね。ドクロッグとのバトル中にアブソルが遂にディザソルに進化しましたが、続くクロバットにはやられてしまいましたか。
ドクロッグに限った話ではないんでしょうが、特にドクロッグは、単純に技の組み合わせだけでなく、本体を残して身代わりを向かわせたように、技の使い方そのものからしても曲者な感じがしました。
順番が前後しましたが、ミヤビのエースはクロバットでしたか。思ったよりもメジャーなポケモンというか、すごくらしいチョイスだったので、違う意味で意表を突かれました。変化球が来ると思ったらストレートが来た、と言えば伝わるでしょうか。
そしてこのクロバットの戦法も、圧倒的なスピードで相手に対応させる暇を与えずに倒す、というものなんですね。小細工なしでも一方的になぶり倒せるようなスペックを備えているようですが、いつかのシュウヤのテッカニン戦の経験が役立ったのか、よくもまあクロバットの攻撃を捌けますね。
それでも、黒い霧を放たれてからは一気にピンチになってしまったようですが、克服しようのないクロバットの羽ばたきを利用して位置を特定するとは。冷凍ビームの直撃を喰らって耐えたクロバットも流石と言うべきなんでしょうが、羽の一部を凍らされたのは痛かったみたいですね。
さて、ヨザクラジムも攻略したところでN・E団が襲撃してきましたが、メジストが思ったより落ち着いていたので、一瞬偽物かと思ってしまいました。忍の皆さんに影響されすぎてますね。
というか一分の遅刻て……確かにこの手の襲撃で、一分のタイムロスは痛手でしょうが、メジストって意外と時間にうるさいんでしょうか。
さらに破天隊は皆なにかしらの被り物をつけているんですね。ジャック・オ・ランタンくらいまではともかく、ひょっとこお面にピカチュウって……顔を隠すものなら他にいくらでもあるだろうに、一体どんな考えがあってそんなものを付けているのか。いやまあ、ピカチュウは単純に好きなだけかもしれませんけど。
ミヤビを遠ざけた隙にトパズが屋敷に侵入(いや突入ですかね?)し、そこへ向かったレオとアスカ。覚醒する(と期待している)トパズのバトルが楽しみですが、メジストの方も気になりますね。
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