二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: 第百四十一話 一位 ( No.280 )
日時: 2014/12/02 22:54
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「至福のひと時を、ブラッキー」
ラピスの二番手は、以前マゼンタを散々苦しめ、リョーマをも手こずらせたブラッキー。
「出よったね、ブラッキー。けど、うちのバフォットは今攻撃力が最大まで上がってる。いくらそのブラッキーでも、今のバフォットは止められへんで」
「そうね。いくら覚醒を使ったとはいえ、確かに攻撃を止める術は難しいかもしれない」
だけど、とラピスは続け、
「だったら、無理に攻撃を止める必要はない。攻撃を止めなくても、勝つ手段はいくらでもある。あと、積み技を使う相手に私が滅法強いってことも忘れないでね」
「ふうん。だったら、見せてもらうで」
マゼンタの言葉と共に、バフォットが吠える。
「行くでー。バフォット、メガホーン!」
バフォットが頭を屈め、角を突き出して突進する。
一撃必殺と言っても過言ではない威力の一撃が、恐るべき勢いでブラッキーに迫る。
「ブラッキー、躱しなさい」
対してブラッキーは近くまでバフォットを引きつけ、当たる寸前で横に大きく跳び、メガホーンを躱す。
さらに、

「行くわよ。ブラッキー、イカサマ」

バフォットの猛進を躱したブラッキーが、その横からバフォットに突っ込む。
だがその威力が尋常ではない。
タックルを受けたバフォットが大きく吹っ飛ばされ、壁に激突する。
「バフォット!? な、何や今のは……?」
予想だにしていなかった突然の事態に、驚きを隠せないマゼンタ。
「何が起こったのか分からないみたいね」
対するラピスは、その様子を見て余裕の笑みを浮かべる。
「イカサマは相手の力を利用して攻撃する技。つまり、今の攻撃でブラッキーはそのバフォットの攻撃力で攻撃したってわけ。元々攻撃の高いバフォットが、さらに攻撃力を最大まで上げている。これだけの威力の技を受ければ、流石に大ダメージは免れないみたいね」
バフォットはどうにか起き上がるが、ダメージは効果今一つとは思えないほど大きい。
「っ、バフォット、メタルブラスト!」
バフォットが大きく雄叫びを上げ、鋼の力を集結させ、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「ブラッキー、守る」
対するブラッキーは守りの結界を張り、メタルブラストを完全に遮断する。
「バフォット、ぶち壊す!」
「ブラッキー、イカサマ」
バフォットが立ちふさがるもの全てを破壊する勢いで猛進し、ブラッキーはそのバフォットの力を一時的に利用し、真っ向からバフォットを迎え撃つ。
お互いが正面から激突する。
攻撃力は完全に互角、だが技の威力で僅かにバフォットが勝り、競り合った末にブラッキーを吹き飛ばすが、
「ブラッキー、もう一度イカサマ」
ブラッキーは上手く着地すると、すぐさま地を蹴って飛び出し、バフォットに突撃。
最大の攻撃力でバフォットを吹き飛ばし、バフォットは床に叩きつけられ、戦闘不能となってしまった。
「……バフォット、よう頑張ったで。ゆっくり休んどき」
マゼンタは屈んでバフォットを労い、ボールに戻す。
「これでポケモンの数は同じになった。加えて私はさらにもう一体のポケモンの体力を半分まで減らしている。腹太鼓から一気に抜き切る作戦だったんだろうけど、そうは行かないわよ」
「ふふふ、こうなることも予測しとらんかった訳やないで。イカサマは確かに面倒やけど、その種が分かればどうにかするのは簡単や。バトルはこっからやで、あんたもそう簡単に勝てると思わんときや」
ラピスの挑発を受け流し、マゼンタは気持ちを切り替え、次のボールを手に取る。




「ホムロソク、熱風!」
「グライオン、砂風だ!」
セイラとメジストのバトル。
ホムロソクが灼熱の風を起こし、グライオンは風に砂を乗せた砂嵐を放って対抗する。
「炎の牙!」
その激しい風の中にグライオンは突っ込む。
牙に炎を灯し、自らの放った砂の風に乗り、急加速してホムロソクに牙を剥く。
「ホムロソク、躱してシャドーボール!」
ホムロソクは片手を突き出し、後ろに下がり、影の弾を撃ち出す。
グライオンの牙は空気を引き裂くに止まり、直後、影の弾がグライオンの顔面を捉える。
「チィッ、グライオン、ストーンエッジ!」
首を振って体勢を整え、グライオンが周囲に無数の岩を浮かべる。
グライオンの合図で、尖った岩が一斉に撃ち出される。
「ホムロソク、サイコキネシス!」
ホムロソクは強い念力を操作する。
全ての岩を食い止め、さらにその向きを変え、岩を放ったグライオン本人にその矛先を向ける。
「甘い! グライオン、ハサミギロチン!」
グライオンの鋏が光り、白く長い刃のように伸びる。
その鋏を斜め十字に振り抜くと同時、全ての岩が一瞬で砕け散る。
「ゴーストタイプなんか出しやがって。そうじゃなければ、一瞬でハサミギロチンの餌食にしてやったのによお!」
「ふふ、それが分かっていたからゴーストのホムロソクを出したのさ。一撃必殺の使い手と馬鹿正直に殴り合ってたまるかって話だよ。ホムロソク、火炎放射!」
グライオンに忍び寄り、ホムロソクが灼熱の業火を放つ。
「グライオン、炎の牙!」
グライオンは牙に炎を灯し、灼熱の炎の中へ飛び込む。
燃え盛る炎を牙に吸収してさらに力を強め、ホムロソクに牙を突き立てる。
対して、
「掛かったな。ホムロソク、サイコキネシス! 絶対逃がすなよ」
グライオンに噛みつかれたまま、ホムロソクは強い念力を放ち、グライオンの動きを念力で封じる。
「決めろ。シャドーボール!」
ホムロソクの両手に、二つの影の弾が作り出される。
グライオンを挟み込むように、両手の影の弾がゼロ距離でグライオンに直撃した。
影の弾の炸裂によって吹き飛ばされ、グライオンは戦闘不能となってしまう。
「チッ、ここまでか。グライオン、戻って休んどきな」
物足りなさそうにボールを取り出し、メジストはグライオンをボールに戻す。
「どうもお前と戦うと、上手く俺のペースに持っていけねえな。手を抜いてるつもりはねえんだが」
「ふふ、私が強いからじゃないのか?」
「ギャヒャヒャ、そうだといいんだがな! それじゃ、次行くぜ!」
猛獣のような笑みを浮かべ、メジストが次のボールを掲げる。
「捻り潰せ、リーフィア!」
メジストの二番手はリーフィア。タイプ相性だけで見れば、ホムロソクには不利だ。
「タイプ相性なんざ関係ねえ。行くぜ! リーフィア、リーフブレード!」
リーフィアの尾の葉が鋭く逆立つ。
地を蹴って飛び出し、ホムロソクとの距離を一気に詰め、尾を振りかざしてホムロソクを切り裂く。
「ホムロソク、躱して火炎放射!」
後ろに下がってリーフブレードを躱し、ホムロソクが灼熱の炎を噴き出す。
「リーフィア、躱しな!」
対してリーフィアは大きく跳躍し、炎を躱してホムロソクの上を取る。
「シャドーボール!」
「甘い! はたき落とす!」
ホムロソクが影の弾を撃ち出すが、リーフィアは尾を振り下ろしてシャドーボールを打ち返す。
シャドーボールが勢い付いて跳ね返り、撃ったはずのホムロソクに直撃。
体勢を崩したところに、リーフィアの尾の打撃がホムロソクを地面に叩き落とした。
効果抜群の攻撃を立て続けに受け、これでホムロソクも戦闘不能となる。
「よく頑張った。ホムロソク、休んでいろ」
ホムロソクをボールに戻し、すぐにセイラは次のボールを手に取る。
「さて、次は誰だ? 以前お前とやり合った時も、忍者の長と戦った時も、消化不良で終わっちまったからよ。そろそろ、ガチのバトルを最後までやりてえところなんだがなあ!」
「ふふ、安心しろ。今回は途中で撤退したりはしないさ。少なくとも、私の方はな」
ボールを取り出し、セイラは次のポケモンを繰り出す。



「頼んだぞ、パンプッチ!」
「サンダース、まずは貴方です」
レオのポケモン、パンプッチに対し、オパールのポケモンは全身に鋭い黄色の体毛を持つ四足歩行の獣型ポケモン。
サンダース、雷ポケモン。電気タイプで、ブースターやエーフィと同じイーブイからの進化系だ。
「よし、行くぞ! パンプッチ、シャドーボール!」
先攻を取ったのはレオ。
パンプッチが木の葉の杖を取り出し、それを振り抜いて影の弾を撃ち出す。
「サンダース、シャドーボール」
対するサンダースも影の弾を放ち、お互いの技が相殺させられる。
「磁力線です」
さらにサンダースは強い電流を発生させて磁力を歪ませ、磁力の波を飛ばす。
「パンプッチ、もう一度シャドーボール!」
再びパンプッチは杖を振るって影の弾を放ち、磁力線を相殺、さらにもう一発をサンダースへと放つ。
「サンダース、こちらもシャドーボール」
再び影の弾がぶつかり合い、爆発するが、
「まだだ! エナジーボール!」
煙の奥から撃ち出された草木の生命の力を集めた念弾がサンダースを捉える。
「目くらましですか。サンダース、十万ボルトです」
エナジーボールを喰らったサンダースだが、すぐに起き上がり、全身の体毛を逆立たせ、火花を散らしながら高電圧の電撃を放つ。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
ふわりと浮き上がって電撃を躱し、パンプッチは杖の先から大量の水を噴射するが、
「サンダース、もう一度十万ボルト」
再びサンダースが強い電撃を撃ち出す。
ハイドロポンプの勢いを打ち消し、さらに水を伝ってパンプッチに電撃を浴びせる。
「今ですよ。サンダース、シャドーボール」
動きが鈍った隙を逃さず、サンダースの放った影の弾がパンプッチを捉え、吹き飛ばす。
「っ、流石第一位、なかなかやるな……パンプッチ、大丈夫か?」
パンプッチは起き上がり、レオの言葉に頷くと、再び宙に浮かび上がる。
「いまいち攻め切れていない様子ですね。ですが、本当の恐ろしさはここからですよ」
柔和な笑みのまま、オパールがそう告げる。
そして、
「サンダース、ミサイル針!」
刹那。

サンダースが、消えた。

「なっ……!?」
風を切るような音が周囲に響く。
次の瞬間。
パンプッチの周囲360度から、無数の針がパンプッチに襲い掛かる。
「何だこれ!? パンプッチ、薙ぎ払え! ハイドロポンプだ!」
慌ててパンプッチが杖を振り、大量の水を鞭のように振るうが、針の量が多過ぎて対応し切れない。
前方のものは撃ち落とせるが、後ろから来るものまで対応する余裕もなく、残った針が次々とパンプッチに突き刺さる。
「サンダースは特攻に優れるポケモンですが、やはり一番優れているのはそのスピードです。ここまで殆ど動かず単調に攻撃していたために、突然の速攻に戸惑ったのではないですか?」
聖天のオパールは正確にレオの考えを見透かしてくる。
「勿論、常に今のスピードを出せるわけではありませんけれど。動き回る戦いであればもう少し遅くなりますが、瞬間的な動きであれば、あれくらいの動きが容易く可能になります」
「ッ、マジかよ……パンプッチ、ここから立て直して行くぞ」
気持ちを切り替え、パンプッチも再び戦闘態勢に入ったところで、
「ああ、ちなみに」
言い忘れていたかのようにオパールが告げる。

「天将第一位である私は、『覚醒』を使用せずとも、覚醒したセドニーさんやガーネットさんともほぼ互角に戦うことが出来ます。一応、その事も覚えておいてくださいね」

Re: 第百四十二話 熱戦 ( No.281 )
日時: 2014/12/16 16:46
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: j0x8WVaG)

「さあ行ってきな、ハガネール!」
ライロウの二番手は、巨大な鋼の塊をいくつも連結させたような無骨な蛇のようなポケモン。
10メートルに迫るほどの巨体を持ち、顎が大きく発達しており、岩を容易く噛み砕くほどの力と非常に硬い体を併せ持つ。
鉄蛇ポケモンのハガネール。鋼・地面タイプ。
「また地面タイプか。それにしてもでっけえな、ただのデカブツじゃないといいんだがな」
「もしそう思ってんなら、速攻後悔させてやるぞ。ハガネール、ストーンエッジ!」
ハガネールが顔の周囲に尖った岩を纏い、それらを一斉に撃ち出す。
「フワライド、ゴーストダイブ!」
対して、フワライドが虚空に姿を消す。
ストーンエッジを躱し、絶対に見えないところからハガネールに迫り、
突然姿を現して四本の腕を叩きつける。
しかし、
「効かんぞ! ハガネール、アイアンテール!」
ハガネールは怯まず、白く輝くほどに硬化させた大きな尻尾をフワライドへ叩きつける。
脳天に直撃し、フワライドが吹き飛ばされる。
「決めろ。ストーンエッジだ!」
さらにハガネールが無数の尖った岩を撃ち出す。
フワライドの体に岩が次々と突き刺さり、力を使い果たしたフワライドがゆっくりと地面に落ちた。
「よく頑張った。フワライド、休んでろ」
フワライドをボールに戻し、セドニーはハガネールを見上げる。
「随分と硬いな、そのハガネール。フワライドのゴーストダイブを食らって、びくともしねえとはよ」
「だから言っただろうが。ただのデカブツだと思ってんなら後悔させてやるってよ」
「だが」
セドニーの表情に焦りはない。
「物理耐久の高さは確かに一級品だが、特殊が相手ならどうするよ?」
次のボールを取り出したセドニーが、不敵な笑みを浮かべる。
「行って来な、シャワーズ!」
セドニーの二番手はシャワーズ。
ハガネールほどではないが高い耐久を持ち、水技で弱点を突ける。
「シャワーズか。このまま押し切る……と言いたいところだが、このハガネールじゃ厳しそうだな」
それなら、とライロウはボールを二つ取り出す。
ハガネールを一旦戻し、別のポケモンを繰り出す。
「行ってきな、ベタデーム!」
ライロウが出したポケモンは、直方体に近い体つきの魚型のポケモン。
上部は黒く、それ以外の部分は赤で、左右をヒレは体を覆うほど大きい。
闘魚ポケモンのベタデーム。気性の荒いポケモンで、水・炎という極めて珍しい複合タイプを持つ。
「なるほどベタデームか。つーか、ここまで見る限り攻撃的なポケモンばっかだな」
「守りのスタイルなんざ俺には合わねえからな。攻撃あるのみだぜ! ベタデーム、熱湯だ!」
先に動いたのはライロウ。
ベタデームが体内で水を急激に沸騰させ、煮えたぎる熱湯を放つ。
「シャワーズ、こっちも熱湯だ!」
シャワーズも高熱の熱湯を噴射するが、ベタデームの方が強いようで、シャワーズの放った熱湯が打ち破られる。
「マジかよ、だったらシャワーズ、シグナルビーム!」
熱湯を躱し、シャワーズは激しく光を点滅させている光線を放つ。
「ベタデーム、エナジーボール!」
対するベタデームは溜め込んだ自然の命の力を発射し、シグナルビームを打ち消し、
「放電だ!」
ヒレを振動させて電気を起こし、周囲に電撃を撒き散らし、シャワーズに電撃を浴びせる。
「くっ、やるじゃねえか。見たところ特殊技ばっかりみたいだから溶けるもあんまり有効じゃねえし、しょうがねえな! シャワーズ、シャドーボール!」
電気を浴びたシャワーズだがすぐに体勢を立て直し、黒い影の弾を何発も浮かべ、次々に撃ち出していく。
「ベタデーム、もう一度放電だ!」
再びベタデームは電撃を周囲に撒き散らす。
何発も襲い来るシャドーボールを破壊し、反撃に出ようとするが、
「シャワーズ、熱湯!」
ベタデームが電撃を終えたところでシャワーズが煮えたぎる熱湯を放ち、ベタデームに浴びせかける。
「畳み掛けるぜ。シグナルビームだ!」
さらにシャワーズは激しく光を放つ光線を撃ち出す。
「好き勝手させねえぞ。ベタデーム、熱湯!」
だがベタデームは赤い目を見開き、灼熱の熱湯を放ち、シグナルビームを打ち消すと、
「反撃だ! エナジーボール!」
自然の命の力を凝縮し、シャワーズに向けて発射する。
「シャワーズ、シャドーボール!」
シャワーズも三発の影の弾を周囲に浮かべ、一斉に放つ。
白い弾と黒い弾が激突し、爆発を起こす。



「次はこいつだ。行け、マリルリ!」
ネクロシアを戻し、ロフトの二番手は水タイプのマリルリ。
「まずはそのゲンガーを仕留めさせてもらうぞ。マリルリ、アクアテール!」
マリルリが尻尾に手をかけ、水を纏った尻尾を振り回し、勢いをつけて荒波のように尾の一撃を放つ。
「ゲンガー、躱しなさい」
ゲンガーが後ろに飛び退くが、しかし、マリルリの尻尾のリーチが思ったよりも長い。
エフィシの予想の二倍ほどの伸びを見せた尻尾がゲンガーを叩き飛ばし、ネクロシア戦でのダメージもあったゲンガーはここで戦闘不能になる。
「思ったよりも伸びますね……ゲンガー、よく頑張りましたね。休んでいてください」
エフィシはゲンガーを労い、ボールに戻す。
「マリルリが相手ならば、次はこのポケモンで行きましょう。お願いしますよ、アルデッパ!」
エフィシの二番手はアルデッパ。タイプ相性で見れば、マリルリに対しては有利。
「草タイプか。だが、タイプ相性だけで私のマリルリを止められると思うなよ! マリルリ、気合パンチ!」
拳を構えたマリルリが地を蹴って飛び出す。
ありったけの力を拳に集中させ、渾身のパンチを繰り出す。
「アルデッパ、パワーウィップです!」
対してアルデッパは腕の蔓を伸ばし、マリルリに向けて力一杯叩きつける。
拳と蔓が正面から激突するが、威力は互角。
「マリルリ、捨て身タックル!」
「アルデッパ、躱して凍える風!」
一旦下がったマリルリが守りを捨て、全力で突撃するが、アルデッパはそれを躱すと、凍える冷たい風を飛ばす。
効果は今一つで威力も低く、マリルリには大したダメージも入らないが、エフィシがこの技を指示した目的はそこではない。
「今です。アルデッパ、パワーウィップ! マリルリを捕らえなさい!」
アルデッパが両腕から蔓を伸ばし、瞬く間にマリルリに蔓が絡みつく。
凍える風によって動きを鈍らされたマリルリは咄嗟の反応が出来ず、蔓にあっさりと捕まり、アルデッパのすぐ近くまで引き寄せられる。
「よくやりましたよ。アルデッパ、メタルニッパー!」
アルデッパの牙が鋼のように硬化し、マリルリに噛み付く。
「ッ、いい気になるなよ! マリルリ、抜け出せ! 気合パンチだ!」
マリルリもただ捕まっているだけではない。
自らに突き刺さる牙も気にせず、両手に精一杯の力を溜め込み、拘束する蔓を緩ませようともがく。
「このくらいが限界でしょうか。アルデッパ、ハイドロポンプ!」
アルデッパが蔓の拘束を解き、間髪入れずに大量の水を噴射し、マリルリを吹き飛ばす。
「くっ、好き勝手やってくれる。だが、メタルニッパーもハイドロポンプもマリルリには効果今一つ。この程度で勝てると思うなよ」
ロフトの言葉とともに、瞳に闘志を込めたマリルリが再び立ち上がる。



「ルカリオ、悪の波動!」
ジンの二番手、テイルーンに対し、ルカリオは悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「テイルーン、躱してブレイブバード」
だがテイルーンは軽やかな動きで悪の波動を躱し、頭の雲を鳥の形に変えると同時に凄まじい量の激しいオーラを纏って突貫する。
圧倒的なスピードの前にルカリオは反応が間に合わず、直撃を受けて吹っ飛ばされる。
「仕留めろ。テイルーン、影討ち」
何とか起き上がろうとするルカリオだが、影を伸ばしたテイルーンが背後から一撃を浴びせ、ルカリオにとどめを刺す。
「先制技持ちとは、抜かりないわね。ルカリオ、お疲れ様」
「まあこんなところか。テイルーン、休憩だ。一旦戻っていろ」
アスカが戦闘不能となったルカリオを戻すのを見て、ジンもテイルーンを戻す。
「よし、行って来なさい、ユニサス!」
「次はお前だ、リーフィス」
ジンのポケモンはリーフィス。
アスカの二番手は、白く輝く体に紫色の体毛を持つ馬のようなポケモン。
額には眩しく光る立派な黄金の角が生えている。
ユニサス、角馬ポケモン。鋼・エスパータイプだ。
ユニサスはリーフィスを鋭く睨み、威嚇する。
そして、テイルーンが場を離れたことによりエアロックが解け、再び雨が降り始める。
「雨なんて気にならないわ。ユニサス、行くわよ! 思念の頭突き!」
ユニサスが嘶き、額に思念の力を集めて突進する。
「リーフィス、ハイドロポンプ」
リーフィスはユニサスの額を狙い、大量の水を撃ち出す。
ハイドロポンプは雨に強化されて勢いを増し、ユニサスを押し戻す。
「だったらユニサス、メタルブラスト!」
ユニサスが角に力を溜め込み、強大な鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「リーフィス、もう一度ハイドロポンプだ」
再びリーフィスは大量の水を放つ。
鋼の砲撃と大量の水がぶつかり合うが、今度はメタルブラストの方が強く、水が打ち破られ、砲撃がリーフィスに命中する。
「今よユニサス、メガホーン!」
ユニサスが再び駆け出し、黄金の角を突き出す。
「なるほどメタルブラストは破れないか。リーフィス、大地の怒りだ」
リーフィスが床に力を送ると、次の瞬間、ユニサスの足元が割れ、瓦礫と土砂が噴き出し、ユニサスを吹き飛ばす。
「あら? アジト壊しちゃって大丈夫なのかしら」
「どの道貴様らに場所を知られてしまった時点で、このアジトはもう使えん。何の問題もないだろうよ」
余裕を見えるアスカに、ジンは僅かに、小さく、不気味な笑みを浮かべる。

Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.282 )
日時: 2014/12/16 23:26
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「空から降ってくる系のしがないヒーローよお。よろしくねえ☆」

サクラ(女)24歳
容姿:桃色の髪を左右で団子にし、瞳は赤く、目がくりっとして大きい。腹を露出させた中華風の服に短い赤のスカート。露出させた腹や腕、足には、ピンクや黄色のリボンが巻きついている。体つきは華奢だが力は強い。
性格:モミジとは違った方向で恐ろしくマイペース、決して自分のペースを崩さない。わざとらしい甘ったるい猫撫で声で話し、男女、種族問わずかわいいものが大好きで、年下は誰彼構わずちゃん付けで呼び、ターゲットを定めると鬱陶しいほどに粘着する。実地での仕事やバトルは好きだが、デスクワークは大嫌い。
備考:『ブロック』シヌマ支部統括。リョーマの同期。

手持ちポケモン

・ガーメイル(♂)
特性:色眼鏡
技:蝶の舞 虫のさざめき エアスラッシュ 目覚めるパワー炎

・チェリム(♀)
特性:フラワーギフト
技:ウェザーボール エナジーボール バグノイズ 日本晴れ

・ヘラクロス(♀)
特性:根性
技:メガホーン インファイト ぶち壊す ???

・カビゴン(♀)
特性:厚い脂肪
技:ぶち壊す ギガスパーク スプラッシュ ギガインパクト

Re: 第百四十三話 仇 ( No.283 )
日時: 2014/12/23 09:04
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

テペトラーを戻し、ホロは次のボールを出す。
「行くぜ、ムクホーク!」
最初に姿を見せたムクホークが、再び戻ってくる。
「さっきのムクホークね。残り体力の少ないグレイシアを仕留めに来たんだろうけど、そうは——」

「ムクホーク、敵討ち!」

ガーネットには構わず、ホロが指示を出す。
敗れたテペトラーの力を受け継ぎ、ムクホークは一気に距離を詰め、テペトラーの無念を力に変えてグレイシアに一撃を叩き込む。
グレイシアは猛烈な勢いで吹き飛ばされ、壁に激突し、さらにその壁にめり込んで戦闘不能となった。
「……!?」
ひび割れた壁を見て某然とするガーネットと、
「どんなもんだ! ムクホーク、まずは一体、よくやったぞ!」
ムクホークと一緒に喜び回るホロ。
「……甘く見過ぎたようね。グレイシア、お疲れ様。休んでて」
ガーネットはグレイシアを戻し、次のボールを手に取る。
「っと、はしゃいでばかりもいられないな。さあ、次のポケモンはどいつだ?」
「それじゃあ貴方にしようかしら。我が誇りにかけて、エルレイド!」
ガーネットの二番手はエルレイド。ムクホークとの相性はタイプで見れば不利だが、
「ここまでの技でムクホークの型は分かったわ。蜻蛉返りで削りつつ引き、交代際に敵討ちで全抜きを狙う。だったらここは引くわよね。一応言っておくけど、この子はムクホークへの有効打を持ってるわよ」
ガーネットの言葉を聞いてホロは考える。
確かにムクホークならエルレイドとの相性はいい。このムクホークはホロのエースだ。エルレイドには勝てるだろうが、しかし、だからこそここでムクホークの体力を消耗させたくはない。
「……なら、ムクホーク、蜻蛉返り!」
ムクホークが飛び上がり、非常に素早い動きでエルレイドに突進する。
「やっぱりね! エルレイド、躱しなさい!」
ムクホークのスピードを見極め、エルレイドはムクホークの突進を躱す。
しかし、
「甘いぜ! ムクホーク!」
素早く旋回したムクホークが再び突進を仕掛け、エルレイドの背後からぶつかり、さらにその勢いのままボールへと戻る。
「よっし命中! このまま頼むぜ、ガブリアス!」
代わりに出て来たポケモンは、ガブリアスだ。
「ふうん、ガブリアスねえ。確かに強そうなポケモンだけど、私のエルレイドに勝てるかしら」
「勝てると思わなきゃ、出さねえよ! ガブリアス、地震!」
ガブリアスが地面を思い切り踏みつけ、床を揺らして地震の衝撃波を飛ばす。
「エルレイド、躱してサイコカッター!」
対するエルレイドは跳躍して地震を躱し、腕の刃を伸ばして念力の刃を放つ。
「砕け! ガブリアス、炎の牙!」
牙に炎を灯し、ガブリアスは襲い来る刃を全て噛み砕き、破壊するが、
「エルレイド、冷凍パンチ!」
その隙を狙って、拳に冷気を込めたエルレイドが距離を詰めてくる。
「来るぞ! ガブリアス、ダブルチョップ!」
エルレイドの拳に対し、ガブリアスも腕を構える。
左手でエルレイドの冷気の拳の威力を弱め、動きが止まったところを二発目の右手で相殺し、
「炎の牙!」
牙に炎を灯し、エルレイドの腕に牙を突き立てる。
「チッ、エルレイド、サイコカッター!」
片腕を焼かれるエルレイドだが、もう片方の腕の刃に念の刃を纏わせ、腕を振るって刃を飛ばし、ガブリアスを切り裂く。
ガブリアスの牙が離れ、エルレイドは一旦距離をとって腕の煤を払い、体勢を立て直す。
「ガブリアス、もう一度炎の牙!」
「エルレイド、マグナムパンチ!」
ガブリアスが牙に炎を灯し、エルレイドはミサイルの如く勢いを込めた拳を突き出し、双方の技が正面からぶつかり合う。



セラーナの動きについて行けず、シーアスの二番手、ビビッドンは、対したダメージを与えられないままセラーナに敗れる。
「うう、ビビッドン、ありがとう。ゆっくり休んでてね」
ビビッドンをボールに戻すと、シーアスは天井を見上げる。
天井では相変わらずセラーナが打ち上げた小型太陽が光を放っている。
(葉緑素さえなければもっとどうにかなったんだけど……うう、これは勝ち目ないかも。最悪でも、引き分けには持ち込みたいけど……)
焦燥を抱えたまま、シーアスは最後のポケモンを繰り出す。
「頼んだわよ、ヤミクラゲ!」
シーアスの最後のポケモンはヤミクラゲ。
水タイプを持っているため、セラーナとの相性は悪い。
「最後は水タイプのヤミクラゲですか。降参してもいいですけど、そうしないのであれば容赦はしないで行きますわよ。セラーナ、ソーラービーム!」
ヤミクラゲの周りを超速で駆け回り、ヤミクラゲに反撃の隙を与えず、セラーナは太陽の力を受けた白く輝く光線を放つ。
(来た……!)
シーアスが目を見開く。
しかし、それは焦燥によるものではない。

「ヤミクラゲ、ミラーコート!」

太陽光線を受ける直前、ヤミクラゲの体が光のベールに包まれる。
光のベールはソーラービームを吸収し、セラーナへと眩い光を放つ。
ヤミクラゲに与えるはずだった二倍のダメージを受け、セラーナが吹き飛ばされる。
「チャンス! ヤミクラゲ、ギガドレイン!」
ヤミクラゲの触手が伸び、動きの止まったセラーナに絡みつく。
さらにその触手が光を発し、セラーナの残っていた体力を全て吸い尽くした。
触手がほどかれると、セラーナは戦闘不能となって床に倒れた。
「降参なんてするわけないでしょ! あたし、そういう平和主義嫌いなんだよね。始まった戦いを途中でやめるなんて、ありえない」
シーアスの抱えた焦燥は、セラーナを突破出来ないことではない。
彼女が抱いたのはあくまで、テレジアに勝てるかどうかの焦りだ。
そして、上手い具合にセラーナを突破出来たことにより、シーアスの心に落ち着きが戻ってくる。
「ミラーコートですか……完全に油断していましたね。セラーナ、休んでいてください」
セラーナをボールに戻したところで
「おいおい、何やってんだ? 反撃してもいいんですわよ? なんて、カッコつけてたくせ……おっと黙りまーす」
後ろのリョーマを視線だけで黙らせ、テレジアは最後のボールを取り出す。
「本当は特殊技主体のポケモンには出したくないのですが、他に有効打を持つポケモンがいないので仕方ありませんわね。お願いしますわ、カイリキー!」
テレジアの最後のポケモンは、エースのカイリキー。
「こうなったら後は攻めるだけですわ。カイリキー、爆裂パンチ!」
カイリキーの四本の拳が、一斉にヤミクラゲを狙う。
「ヤミクラゲ、躱してハイドロポンプ!」
シーアスが回避を指示する。
しかし、ヤミクラゲは躱せなかった。いや、躱さなかった。
正面からカイリキーを迎え撃ち、大量の水を噴射する。
ハイドロポンプがカイリキーの腕の二本の勢いを止めるが、残り二本は止められず、ヤミクラゲはカイリキーに殴り飛ばされる。
「え……?」
「回避は出来ませんわよ」
戸惑うシーアスに、テレジアが告げる。
「このカイリキーの特性はノーガード。お互いの攻撃が必ず命中しますわ。ここから始まるのは単純な殴り合い、もし勝ちたければ、このカイリキーのパワーを上回るしかありませんわよ」



「行って来い、ペガーン!」
セイラの二番手は、羽馬ポケモンのペガーン。
エスパー・飛行タイプと、タイプ相性ではリーフィアには有利。
「飛行タイプか。確かに潜るは効かねえし、リーフブレードも通りが悪い。だがそんなもん知ったこっちゃねえ! リーフィア、シザークロス!」
リーフィアがペガーンを見据え、飛び出す。
一直線に距離を詰め、前足の葉を伸ばし、交差させてペガーンを切り裂く。
「ペガーン、躱して熱風!」
ペガーンは翼を広げ、羽ばたいて飛び上がり、リーフィアの攻撃を躱すと、翼を羽ばたかせ、灼熱の風を放つ。
「リーフィア、潜る!」
金属の床を容易く砕き、リーフィアは床下に身を隠す。
熱風をやり過ごすと、リーフィアはペガーンの真下から姿を現し、
「リーフブレード!」
額の葉を鋭く伸ばして、今度こそペガーンを切り裂く。
「ペガーン、構うな! 暴風だ!」
激しく翼を羽ばたかせ、ペガーンは暴風を吹き荒らす。
リーフィアを吹き飛ばし、壁に叩きつける。
「サイコバーン!」
ペガーンは体内に念力を集中させ、それを爆発させて衝撃波を飛ばす。
「リーフィア、動け! 躱してはたき落とす!」
何とか体勢を立て直し、リーフィアは壁を蹴って飛び、衝撃波を躱す。
そのままペガーンの上を取り、尻尾を振り下ろしてペガーンに叩きつけ、ペガーンを床に叩き落とす。
「切り裂け! シザークロス!」
リーフィアの前足の葉が伸びる。
二対の刃となり、ペガーンの喉元を狙う。
「させない。ペガーン、サイコキネシス!」
しかしペガーンが頭を上げ、強い念力を放ち、リーフィアの動きを止める。
念力を操作してリーフィアを投げ飛ばし、その隙に体勢を整えて立ち上がる。
「面倒くせえことして来やがるぜ。リーフィア、リーフブレード!」
額の葉を鋭く伸ばし、ペガーンに切りかかる。
「ペガーン、熱風!」
翼を羽ばたかせて、ペガーンは灼熱の風を起こす。
「リーフィア、躱しな!」
足に力を込め、リーフィアは思い切り跳躍して熱風の範囲から逃れる。
「よーし! リーフィア、シザークロス!」
前足の葉を伸ばし、その葉を交差させて上空からペガーンを切り裂く。
斬撃を受け、ペガーンが仰け反る。
「リーフィア、はたき落とす!」
さらにリーフィアはその場で一回転し、ペガーンの額へ尻尾を叩きつける。
「その辺にしておけよ。ペガーン、サイコバーン!」
だがそれよりも早くペガーンが溜め込んだ念力を爆発させて衝撃波を飛ばし、リーフィアを吹っ飛ばす。
「終わらんぞ! リーフィア、潜る!」
床へと着地するその瞬間に、リーフィアは床に穴を開け、その中へ潜る。
「リーフブレードだ!」
刹那、ペガーンの正面から姿を現したリーフィアが、額の鋭い葉を振り回してペガーンを切り裂く。
「攻めたてろ! リーフィア、シザークロス!」
「好き勝手はさせない。ペガーン、サイコキネシス!」
さらにリーフィアが前足の葉を伸ばすが、ペガーンは強い念力を操作し、念力の波を放って何とかリーフィアを食い止める。
「むー、ここまで攻撃的なリーフィアも珍しいものだな」
「ペットは飼い主に似るんだよ。一応言っとくが、この後に出てくる奴らはもっと凶暴だぜ、覚悟しとけよ?」
メジストが獰猛な笑みを見せ、それと共にリーフィアもセイラを威嚇するように低く唸る。

Re: 第百四十四話 安定 ( No.284 )
日時: 2015/01/25 00:35
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「祝福せよ、オオイナリ!」
ブレイズの二番手は、ガーメイルに有利な炎タイプのオオイナリ。
「炎タイプねえ。相性が悪いけど、このまま行くわよお! ガーメイル、エアスラッシュ!」
ガーメイルが翅を大きく羽ばたかせ、空気の刃を飛ばす。
「オオイナリ、サイコキネシス」
対して、オオイナリは強い念力を操り、刃を捻じ曲げると、
「熱風です」
口を開き、灼熱の風を放つ。
「ガーメイル、躱して虫のさざめき!」
風を躱して、ガーメイルは翅を激しく振動させ、音波と共に衝撃波を撃ち出す。
「オオイナリ、もう一度熱風です」
オオイナリは再び灼熱の息を吹き、衝撃波を打ち消し、さらに、
「動きを止めなさい。サイコキネシス」
強力な念力をガーメイルに仕掛け、ガーメイルの動きを封じてしまう。
「ガーメイル、抜け出して! 負けちゃだめよお!」
「無駄ですね。床に叩き落として、熱風です」
念力を操作してガーメイルを床へと落とし、すかさず灼熱の息を放つ。
風がガーメイルの体を焦がし、ガーメイルの残った体力を削り取る。
「ありゃりゃ、ここまでねえ。ガーメイル、よく頑張ったわあ」
ガーメイルをボールに戻し、サクラは次のポケモンを繰り出す。
「それじゃあ次は……ヘラクロス、頼んだわよお!」
サクラの二番手はヘラクロス。
タイプ相性だけで見れば、不利な相手。
「ヘラクロスですか。何か策でもあるんでしょうが、こちらにとっても都合のいい相手。オオイナリ、ここは確実に取りますよ」
「そんなに上手く行くかしらねえ? ヘラクロス、メガホーン!」
ヘラクロスは翅を広げて飛び、硬い角を突き出して突撃する。
「止めなさい。オオイナリ、サイコキネシス」
オオイナリが強い念力を操り、ヘラクロスを止めようとする。
しかしヘラクロスの勢いの前に打ち破られ、オオイナリは角の一撃を正面から食らって吹き飛ばされる。
「おやおや、押し負けますか。ならばオオイナリ、瞑想です」
オオイナリは起き上がると、精神を研ぎ澄ませて特殊能力を上昇させる。
「させないわよお! ヘラクロス、ロックブラスト!」
ヘラクロスが岩を連続で飛ばす。
オオイナリに命中するが、瞑想は止められなかった。
「さて、それでは反撃です。オオイナリ、シャドーボール」
首の札を怪しく光らせ、オオイナリは影を固めた複数の黒い弾を放つ。
「ヘラクロス、躱してぶち壊す!」
ヘラクロスは無数の影の弾を掻い潜り、角を振り上げ、オオイナリへと叩きつけようとするが、
「熱風です」
待ち構えていたオオイナリが口を開き、灼熱の息を放つ。
逆風と熱によってヘラクロスの勢いは徐々に削がれ、やがて押し戻されてしまう。
「瞑想によって強化された私のオオイナリの力、正面衝突で突破出来るとは思わないことです」
オオイナリの背後に立つブレイズが、薄ら笑いを浮かべる。



「ほな行くでー、ポリゴンZ!」
マゼンタが繰り出すポケモンはポリゴンZ。
攻撃力も平均並みにあるが、特殊技主体で戦うため、イカサマはそれほど怖くない。
「思った通り特殊型のポケモンで来たわね。行くわよブラッキー、バークアウト」
ブラッキーが先攻を取り、怒鳴り声のような咆哮を放つ。
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
咆哮を一発食らうが、返す刀でポリゴンZは電撃を素早く溜め込み、電気の光線を撃ち出し、ブラッキーに直撃させる。
「イカサマでは物理主体のポケモンしか見れへんし、特殊ポケモンへの対策もあるはず。バークアウト辺りやと思ったけど、その通りやったな」
バークアウトによって下がった特攻も、チャージビームの追加効果で打ち消せる。
「ポリゴンZ、磁力線!」
周囲に強い電気を放ち、ポリゴンZは周囲の磁力を歪ませ、強烈な磁力の波を飛ばす。
「打ち合いでは勝ち目はなさそう、かと言ってここでブラッキーを戻しても結果は知れてるわね。ブラッキー、サイコキネシス」
ブラッキーは強い念力を操作し、念力の壁を作って磁力の波を食い止める。
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
念力の壁が消えた瞬間を狙って、さらにポリゴンZが電気の光線を放つ。
咄嗟にブラッキーは避けようと動くが躱しきれず、ブラッキーの足元に命中、ポリゴンZはさらに特攻を上げていく。
「ポリゴンZ、さらにチャージビーム!」
「一旦体制を立て直すわよ。ブラッキー、守る」
ポリゴンがさらに攻撃を仕掛けるが、ブラッキーは守りの結界を張り、チャージビームを遮断する。
「ちょっと厳しいわね……ブラッキー、バークアウト」
「ポリゴンZ、チャージビーム!」
再びブラッキーが怒鳴るような咆哮を放ち、ポリゴンZは溜め込んだ電撃を光線として撃ち出して相殺。
「イカサマよ」
ブラッキーが一気にポリゴンZに接近し、ポリゴンZの攻撃力を利用した一撃を放つ。
ポリゴンZに直撃するが、
「それくらいなら問題あらへんね。ポリゴンZ、チャージビーム!」
すぐにポリゴンZが返しの電気の光線を放ち、ブラッキーに電撃を浴びせる。
「イカサマのダメージもそんなに大きくない……はぁ、今回のブラッキーのチューニングは失敗ね。また新しい戦法を考える必要がありそう」
ラピスは残念そうに息を吐くが、バトルはまだ続いている。
「ブラッキー、サイコキネシス」
「ポリゴンZ、磁力線!」
ブラッキーが放つ強い念力の波と、ポリゴンZが起こした磁力の歪みが正面からぶつかり合う。



「サンダース、シャドーボール」
「パンプッチ、こっちもシャドーボール!」
サンダースが影の弾を放ち、同時にパンプッチも杖を振るって影の弾を飛ばす。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
シャドーボールの威力は互角、相殺されるのを見越して、レオは次の指示を出すが、
「サンダース、磁力線です」
既にサンダースも動いている。
磁力を歪ませて波を飛ばし、パンプッチの放つ大量の水を再び相殺させる。
「もう一度行きますか。サンダース、ミサイル針」
一瞬動きを止めるサンダース。
次の瞬間、床を蹴って音速の如きスピードでパンプッチの周りを駆け回り、全身の体毛を逆立たせてパンプッチを取り囲むように硬い針を放つ。
「……これだ! パンプッチ、ギリギリまで引きつけて飛び上がれ!」
レオの指示通り、パンプッチは針を直前まで引きつけ、当たる寸前で大きく飛ぶ。
急に標的を見失った無数の針はそのまま直線に飛び、中央でぶつかり合って打ち消される。
「おやおや、こんなにも早く攻略されてしまいましたか。流石は我らの主が警戒するお方ですね」
そう言うオパールの口調からは、焦りも不安も感じない。
この戦いを楽しむように柔和な笑みを浮かべ、戦況を見据えるのみ。
「二度目の戦法は通用しないぞ。パンプッチ、エナジーボール!」
パンプッチは指揮者のように杖を振るい、自然の力を凝縮した波動の弾を連続で放っていく。
「サンダース、全て躱しますよ」
サンダースは素早い動きでエナジーボールを躱していく。
上を飛び越え、横に逸れ、掻い潜りつつ、着実に距離を詰めていく。
「見えた! パンプッチ、シャドーボール!」
パンプッチが杖を横に振り、影の弾を飛ばす。
サンダースが横に素早く逸れ、影の弾を躱そうとするが、パンプッチの杖で操られた影の弾はカーブを描き、サンダースを確実に捉える。
「見事です。サンダース、こちらも反撃しますよ」
シャドーボールの直撃を受けたサンダースだが、すぐに体勢を立て直す。
そして、

「行きます。サンダース、ミサイル針、十万ボルト、そして磁力線です」

サンダースが全身の鋭い体毛を逆立たせて、無数の硬い針を飛ばす。
さらに間髪入れずに飛び上がり、上空から落雷のように高電圧の強力な電撃を放つ。
「!? パンプッチ、なぎ払え! ハイドロポンプだ!」
パンプッチが杖を振り、大量の水を飛ばす。
ミサイル針は全て撃ち落とす。
十万ボルトも相殺することは出来なかったが、威力を削いだ上に、効果は今一つ。
しかし、サンダースが着地と同時に放った磁力の波を止めるには間に合わず、パンプッチは磁力の波の直撃を受けてしまう。
「……マジかよ。こんな連続攻撃、初めて見たぞ」
「だろうと思いましたよ。今まで、この連続攻撃を初見で全て捌けた人は一人もいません。我らの主ですら、最初はこの全てに対応は出来なかったのですよ」
「……くっそ、パンプッチ、ここからだ! シャドーボール!」
パンプッチが杖を構え、影の弾を放とうとするが、
「いいえ、これで仕留めます。サンダース、シャドーボール」
サンダースが床を蹴り、一瞬のうちに姿を消す。
レオが気づいた時には既にサンダースはパンプッチの背後まで回り込み、影の弾を放っている。
この至近距離からの攻撃を躱すことは出来ず、パンプッチは効果抜群の一撃をまともに受け、床に倒れて戦闘不能となってしまう。
「っ、マジかよ……。パンプッチ、よく頑張った。休んでてくれ」
レオはボールを取り出し、パンプッチをボールに戻す。
(流石に強いな。セドニーやガーネットをまともに相手取れるだけはある)
現在のオパールの彼らとの決定的な違いは、安定性だろう。
覚醒によって力を引き出した天将たちは、トパズを除けば使える力が不安定なものである。
しかし現在、オパールは覚醒を使っていないため、覚醒の割合によって力を増減させられることがなく、非常に安定した力を発揮出来ているのだ。
「でも、ここで負けるわけにはいかない。お前たちのリーダーの顔を、この目で見ないといけないからな」
気持ちを切り替え、レオは次のボールを取り出す。


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