二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第九十六話 開戦 ( No.210 )
- 日時: 2013/12/21 11:06
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: d1Bequrp)
「行くぜ、シャワーズ!」
「羽ばたけ、オオペラー!」
セドニーの初手はシャワーズ。
対するカンタロウの一番手は、非常にカラフルな羽毛に、音符の形をした頭の鳥ポケモン。
お喋りポケモンのオオペラー。ペラップの進化系で、エスパー・飛行タイプ。
「一応言っとくが、『覚醒』の力を馬鹿にしない方がいいぞ。どれくらいの力を引き出せるか分からねえが、覚醒率が最低でも、俺の力はアカノハの時よりもずっと強いぜ」
「そォでねェとつまんねェだ。お前がどンだけ強かろォが、全力で叩き潰してやるだべ」
「やれるもんならな! シャワーズ、ハイドロポンプ!」
まずはシャワーズが先手を取る。
大きく息を吸い、激流の水柱のような大量の水を噴射する。
「オオペラー、サイコキネシス!」
対してオオペラーは強い念力を操作し、念の壁を作って大量の水を受け止める。
しかしハイドロポンプの勢いに押し負け、壁は破られ、水の直撃を喰らってしまう。
「ッ、サイコキネシスで弱めても、威力高えべな」
ある程度は抑えたが、それでもダメージは大きい。
「オオペラー、ドラゴンビート!」
オオペラーは龍の心臓の鼓動のような音波を放ち反撃。
「シャワーズ、冷凍ビーム!」
対してシャワーズは冷気を一点に集中させ、光線に変えて撃ち出し、ドラゴンビートを打ち破る。
「タイプ相性が悪いだな……オオペラー、サイコキネシス!」
冷凍ビームを躱すと、オオペラーは強い念力を操り、今度は念力の波を攻撃として放つ。
「シャワーズ、ハイドロポンプ!」
シャワーズは大量の水を噴き出し、念力を突破するが、
「オオペラー、暴風だべ!」
既にそこにはオオペラーはおらず、シャワーズの上方から羽ばたき、嵐のような暴風を巻き起こす。
シャワーズは吹き荒れる風に呑まれて吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「それが最高火力だな。シャワーズ、ハイドロポンプ!」
だがシャワーズはすぐに起き上がると、大きい水柱のような大量の水を噴射して反撃。
「オオペラー、暴風!」
再びオオペラーは羽ばたき、嵐のような暴風を起こす。
だが、この荒れ狂う暴風ですら、ようやくハイドロポンプを何とか防げるほどだ。
覚醒の力が如何に強力かがよく分かる。
(様子見も兼ねて器用なオオペラーさ出したけンど、甘かったべ。こっちもパワーで押してかねェと、こりゃ勝てそうにねェだな)
表情には出さないが、心の内でカンタロウは呟く。
「こないならこっちから行くぜ? シャワーズ、シャドーボール!」
シャワーズは影の弾を作り上げ、何発も連続して撃ち出す。
「これなら、オオペラー、暴風!」
オオペラーは羽ばたいて荒れ狂う風を巻き起こし、シャドーボールを纏めて吹き飛ばす。
「サイコキネシス!」
さらに強い念力を操り、念の波を飛ばす。
シャワーズに命中するが、覚醒によってパワーアップしたシャワーズには大きなダメージではない。
(やっぱし耐久も上がってるだな。こりゃ長い戦いになりそうだべ)
苦しい戦いになることを予感し、小さくカンタロウは舌打ちする。
「行くぞ、マリルリ!」
「頼むで、トリデプス!」
ロフトのポケモンは、青い体に白の水玉模様があり、兎に似た長い耳を持つポケモン。
水兎ポケモンのマリルリ。水タイプ。
一方マゼンタのポケモンは、鋼鉄の盾のように分厚い顔を持つ、鈍重そうな怪獣型ポケモン。
シールドポケモンのトリデプス。化石から復元される古代ポケモンの一種で、鋼・岩タイプ。
「マリルリ、まずはアクアテール!」
最初に動いたのはロフトのマリルリ。
水を纏った尻尾を振り回し、水飛沫を飛ばしながら、トリデプスへと叩きつける。
「効かへんでそんな攻撃。トリデプス、ストーンエッジ!」
尻尾の一撃がトリデプスの顔面に命中するが、トリデプスは全く動じない。
寧ろ打ち付けられた尻尾が弾かれるほどの硬さで、トリデプスはマリルリの攻撃を止め、尖った岩を周囲に浮かべる。
「流石に硬いな。だがそれは正面だけだ。マリルリ、気合パンチ!」
トリデプスがストーンエッジを放つが、出が遅く、見切られてしまう。
マリルリは既に岩の射程範囲から逃れており、トリデプスの側面から思い切り力を込めた渾身のパンチを放つ。
「トリデプス、アイアンヘッド!」
トリデプスはただでさえ硬い頭をさらに硬化させ、マリルリの拳を迎撃する。
両者がぶつかり合うが、技の威力、攻撃力で大きく勝っているはずのマリルリが押し負ける。
それだけトリデプスの顔は硬いのだ。
「それならば! マリルリ、草結び!」
突如トリデプスの足元に結ばれた草が出現し、トリデプスの足を引っ掛け、転ばせる。
トリデプスは特防も高いが、硬い頭で受けられず、トリデプス自身も重いため、ダメージは比較的大きい。
「そやけど、マリルリの特攻もそんな高くないはずやで。これくらいならまだまだ余裕や」
トリデプスはゆっくりと立ち上がるが、
「マリルリ、草結び!」
立ち上がった直後のトリデプスの足元に、マリルリは再び草の罠を仕掛ける。
それとほぼ同時に、
「トリデプス、メタルバースト!」
地面に倒れたトリデプスの体から銀色の光が放たれ、マリルリを貫く。
「ッ、メタルバーストを持っているか……!」
忌々しそうにロフトが呟く。
メタルバーストは最後に受けたダメージをより高火力で相手に返す技。
マリルリは体力が多いポケモンだが、それでも大きなダメージが入っただろう。
「だがその手が分かった以上、もう安々とは引っかからないぞ」
「そりゃ当たり前やで。トリデプス、ストーンエッジ!」
トリデプスは尖った岩を周囲に出現させるが、やはり放つまでが遅い。
「マリルリ、アクアテール!」
大きく跳んでマリルリは岩を躱し、水を纏った尻尾を振り回し、トリデプスの背中へと叩きつける。
トリデプスが小さく呻く。大きなダメージが入ったのは明らかだろう。
「そのトリデプスは正面こそ硬いが、逆に言えば側面や背後なら攻撃が通る。そこにマリルリの火力を持ってすれば突破など容易い事だ。そのトリデプスは技の出も遅いしな」
そして、とロフトは続け、
「勝ち筋が分かれば、後はそれをやるだけだ。少々早いが、決めるとしよう。マリルリ、アクアテール!」
マリルリは水を纏った尻尾を振るう。
狙いはトリデプスの足。長い尻尾をトリデプスの足に巻きつけ、その尻尾を思い切り引っ張り、相当な重さのあるトリデプスを転ばせてしまう。
「気合パンチ!」
直後。
拳を握り締め、無防備なトリデプスの体へと、マリルリが渾身のパンチを繰り出す。
レオの進んだ通路の先には、さらに下へと続く階段があった。
そこを降りると、通路は一本しかなく、すぐに扉が見えた。
迷わずレオはその扉を開く。
中は薄暗い実験室のような所だった。
何に使うのかも分からない機会が、ガラスで分けられた部屋の向こう側に並べられている。
そして。
「これはこれはレオ君、お久しぶりです」
N・E団蒼天将、ソライトが、こちらに背を向けて立っていた。
レオが来ると、ソライトはゆっくりと振り返る。
「ここが一番奥だな。となるとここを仕切ってるのはお前か」
「ご名答。私を倒せば、貴方達の勝ちとなります」
「だったら話は早い。さっさと決めてやるぜ」
意気込んでボールを取り出すレオ。
「さて、私が貴方と戦うことについては何の問題もありませんが、『覚醒』はどうしましょうか」
ソライトの言葉は、独り言のような話し方だ。
「まずは様子見といきましょうか。無闇に手の内を晒すのは好きではありませんし、『覚醒』が必要なら使う、といった形で構いませんね」
「舐めやがって。お前がそれでいいならいいけど、正直第七位のお前なんか怖くもなんともないぞ」
「ふふふ。その威勢がどこまで続くか、見せてもらいましょう」
ソライトも静かにボールを取り出し、不敵な笑みを浮かべてレオに対峙する。
- Re: 第九十七話 様子見 ( No.211 )
- 日時: 2013/12/24 00:00
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: IvdLyRwl)
「ルナバイン、神秘のひと時を」
「疾走せよ、ギャロップ!」
ラピスのポケモン、ルナバインに対し、リョーマのポケモンは額に角の生えた、炎を纏う馬のようなポケモン。
火の馬ポケモンのギャロップ、炎タイプだ。
「初手からぶっ飛ばしてくぜ! ギャロップ、フレアドライブ!」
ギャロップは荒れ狂う炎を全身に纏い、大きな火炎弾のように突撃する。
「ルナバイン、サイコバーン」
対してルナバインは念力を体内に溜め込み、一気に放出して念の衝撃波を起こす。
正面から突っ切ろうとするギャロップだが、衝撃波の威力も高く、相殺に終わってしまう。
「なかなか火力はあるじゃねえか。ギャロップ、メガホーン!」
今度は額の角を構え、再びギャロップは突進する。
「ルナバイン、ウッドハンマー」
ルナバインは手にした杵を振り回し、突っ込んでくるギャロップへと叩きつける。
またしても威力は互角だが、
「ルナバイン、ハイドロポンプ」
直後、より早く動いたのはラピスの方だ。
ルナバインが構えた両手から大量の水が撃ち出され、ギャロップを直撃し、部屋の端まで吹っ飛ばした。
効果抜群の技の直撃を喰らい、ダメージは相当大きい。
「おいおいマジかよ。やってくれるじゃねえか」
しかしリョーマの表情に変化はない。
相変わらず余裕の表情を浮かべ、相手のポケモンを見据える。
彼はギャロップの方を見なかった。これくらいではやられないことは分かっているからだ。
「さあ反撃だ。ギャロップ、ワイルドボルト!」
今度はギャロップが激しい電気を纏い、ルナバインへと突っ込む。
「ルナバイン、気合玉」
ルナバインは気を一点に凝縮させた弾を作り出し、それを掴み投げつける。
「ギャロップ、躱しな!」
だがギャロップは電気を纏いながらも地を蹴って跳び上がり、気合玉を躱す。
そのまま突っ込み、ルナバインに激突する。
「っしゃ! ギャロップ、メガホーン!」
角を構え、ギャロップは先程よりもさらに勢いをつけてルナバインへ突進する。
だがルナバインは壁に激突する寸前、上手く壁に手をつき、受け身を取る。
「ルナバイン、ウッドハンマー」
素早く体勢を立て直し、杵を振り上げ、ルナバインが大きく跳ぶ。
ギャロップの上を取って角の一撃を躱し、上空から勢いをつけて杵を思い切り振り下ろす。
「空中にいると逃げ場が無くなるぜ? ギャロップ、フレアドライブ!」
全身に業火を纏い、ギャロップはルナバインを迎え撃つ。
ルナバインと正面から激突し、今度は押し勝ち、ルナバインを吹っ飛ばした。
「まだ終わらねえぞ! ギャロップ、メガホーン!」
「立て直しなさい。ルナバイン、気合玉!」
吹っ飛ぶルナバインを追って、ギャロップは角を構えて突撃する。
対してルナバインは壁で再び上手く受け身を取り、瞬時に体勢を立て直すと、構えた手に気を一点に凝縮した波動の弾を作り上げ、それを投げつける。
気合玉と角の一撃が激突し、双方の技が再び相殺される。
だが、
「ルナバイン、ハイドロポンプ」
いつの間にかルナバインはギャロップの真上に跳び上がっていた。
攻撃直後のギャロップに、今のルナバインの攻撃を躱す術はない。
ルナバインのかざした手から、大量の水が放たれる。
「行きなさい、ブースター!」
「最初は頼んだぜ、トゲキッス!」
ソライトの一番手はブースター、レオの一番手はトゲキッス。
「おや、私の渡したトゲピーが最終進化を迎えましたか。それはよかったです」
「あんたがN・E団じゃなければ礼を言ってたところだけどな」
「おやおや、これは手厳しい。ま、それはさておき、始めましょう。ブースター、大文字!」
先手を取ったのはブースター。
大の字型に激しく燃える炎を、トゲキッスへと撃ち出す。
「トゲキッス、躱してエアスラッシュ!」
トゲキッスはふわりと飛び上がって大文字を躱すと、翼を羽ばたかせ、空気の刃を放って反撃。
「ブースター、アイアンテール!」
ブースターは尻尾を鋼のように硬化させ、その尾を振るって空気の刃を破壊、さらにそのままトゲキッスへ飛びかかるが、
「波動弾だ!」
尻尾が当たるよりも早くトゲキッスは波動を凝縮した念弾を撃ち出し、逆にブースターを吹っ飛ばす。
「サイコバーン!」
さらにトゲキッスは体内に念力を溜め込み、それを爆発させて衝撃波を飛ばす。
「ッ、ブースター、大文字!」
体勢は崩れたままだが、それでもブースターは大の字型の炎を撃ち出す。
状態が不安定だった分、大文字の威力は先程より低く、サイコバーンに破られてしまうが、ダメージは最小限に留める。
「波動弾だ!」
しかしトゲキッスの攻撃はまだ終わらない。
まだ体勢を完全に戻せていないブースターに、トゲキッスの放った波動の念弾が襲い掛かる。
「ブースター、炎の牙!」
ブースターは牙に炎を纏わせ、波動弾に噛み付き、破壊する。
「反撃といきましょうか。ブースター、大文字!」
「悪いがお前のターンはねえ! トゲキッス、サイコバーン!」
ブースターが大の字型に燃える炎を、トゲキッスが念力を爆発させた衝撃波を放つ。
しかしブースターは特攻がそれほど高くないのか、トゲキッスのサイコバーンが打ち勝ち、ブースターも衝撃波を浴びる。
「エアスラッシュ!」
そのチャンスを逃さず、トゲキッスは羽ばたいて空気の刃を飛ばす。
N・E団の七天将の一人と言えど、覚醒もしていない第七位など、レオの敵ではない。
「ブースター、アイアンテール!」
ブースターは尻尾を硬化させ、空気の刃を破壊し、
「炎の牙!」
牙に炎を纏わせ、口を大きく開き、トゲキッスに飛びかかる。
だが、ここであえてレオは回避させなかった。
ブースターがトゲキッスに噛み付き、炎の牙を食い込ませる。
その瞬間。
「そこだ! トゲキッス、サイコバーン!」
トゲキッスが体内に念力を溜め込み、一気に爆発させ、周囲へと衝撃波を撃ち出す。
当然、この至近距離では衝撃波を躱せるはずもなく、ブースターは勢い良く吹っ飛ばされ、壁に激突する。
「エアスラッシュ!」
炎の牙から解放されたトゲキッスが、空気の刃を飛ばす。
ブースターに直撃し、これでブースターは戦闘不能となってしまう。
「へっ、悪いけど、天将最弱のお前なんか敵じゃないぜ」
余裕の笑みを浮かべ、挑発するレオ。
「どうやらそのようですね。ブースター、戻りなさい」
ソライトは焦る様子も見せず、ブースターをボールに戻す。
「仕方がありませんね。では、私も覚醒させていただくとしましょうか」
ソライトがそう言った直後。
その瞳が、藍色の光を放つ。
同時に、ソライトが白衣を開くと、下の黒い服の上から、藍色の刺々しい鱗が集まった龍の胴体のような模様が浮かび上がる。
蒼天将ソライトが、『覚醒』を使用したのだ。
「さて、これで私はN・E団第五位。同時にポケモン達の力も大きく向上。これでもまだ余裕でいられますかねえ?」
因みに、とソライトは続け、
「私の切り札となるポケモンは、ガーネットのフィニクスに比べるとやや劣ります。ですが、その分他のポケモン達がより強化される。ガーネットのようにエースが飛び抜けるのではなく、私の覚醒は全員を均等に強くします」
しかし、それだから何だという訳でもない。
どちらにせよ、これから出てくるポケモンが難敵である事に変わりはないのだ。
「それでは、続けましょう。行きなさい、ジバコイル!」
ソライトの二番手はジバコイルだ。
だが、覚醒した影響か、以前に見た時と比べ、強者の気と言うべきか、そのようなものが明らかに違う。
「タイプ相性は不利だけど、トゲキッス、削れるだけ削ってくぞ」
レオの言葉にトゲキッスは振り向いて頷き、ジバコイルと対峙する。
「よし! トゲキッス、大文字!」
煌々と燃え盛る、大の字型の業火を放つトゲキッス。
しかし、
「ジバコイル、雷!」
ジバコイルはユニットをフル回転させ、雷にも匹敵するような超高電圧の電撃を発射する。
電撃は大文字の中心を貫き、炎を一瞬で打ち消し、トゲキッスを捕らえた。
「嘘だろ!? トゲキッス!」
雷撃に貫かれたトゲキッスが、地面に落ちる。
ブースター戦でのダメージが多少あったとは言え、ほぼ一撃で戦闘不能になったようなものだ。
「ッ……トゲキッス、ありがとう。戻って休んでてくれ」
トゲキッスをボールに戻すレオに、僅かな焦りが見られる。
(嘘だろ……今の火力を持つ相手が、こいつを含めてあと三体もいるのかよ)
だが、ソライトはレオの僅かな感情の変化を見抜いていた。
「そう焦ることもありませんよ。今の一撃は、急所に当たっていますからね」
(……ちっ、全部お見通しってことか)
ソライトの言葉には答えず、レオは次のボールを取り出す。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.212 )
- 日時: 2013/12/24 14:08
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
冬休みに入りましたが、来年へのカウントダウンが始まって戦々恐々の白黒です。
N・E団との戦いも着々と進んでいますね。カンタロウとセドニー、マゼンタとロフトのバトルは、どちらも大きな動きはありませんが、この先どうなるのやら。
リョーマとラピスのバトルは、これまた凄いことになってますね。
個人的にギャロップというポケモンは微妙な感じがするのですが、ルナバインがやたら壁を使ってアクロバティックな動きをするので(白黒ヴィジョン)ギャロップの格好良く見えてしまうのだから不思議です。
流石、覚醒状態で序列三位は強いですね。でも、そんなラピス相手にここまで戦えているリョーマって、実はかなりの手練れなんですかね? 今までの描写からはそんな感じはしませんでしたが……また白黒のリョーマ株が上がりました。
そして、やっぱりレオの相手はソライトなんですね。
覚醒していない状態では、先発のブースターはもあっさりやられてしまいますか。というか炎の牙を覚えさせている時点で実力は察し……
そういえばXYで唯一王は念願のフレアドライブを習得しましたね。ブースター好きの白黒としては嬉しいです。もう唯一王なんて言わせない! ……と言いたいですが、ブースターって体力少ないから、あんまフレアドライブを使いこなせないんですよね。
それはともかく、一度レオの力を見てからソライトは覚醒するんですね。その辺、科学者らしくていいですね。
序列は五位……なんか微妙な感じがしますが、エースが特に強いのではなく、全ポケモンまんべんなく強化されるというのは新しいですね。エース同士だと、五位のソライトでも六位のガーネットに勝てないのか……あれ? でも蒼天将ってことはエースのタイプは……
ソライトのエースが気になるところですが、そもそもレオはジバコイル、そしてその後に続くポリゴン系統を倒せるのか。レオの手持ちだとジバコイルはきつそうですが……
やはり注目なのは、今回新しく覚醒した二人のバトルですかね。今までのポケモンがどれほど強くなったのか、そしてエースのポケモンは何なのか。ついでにエースが繰り出される時の台詞も楽しみだったりします。
勿論、他の直属護衛たちのバトルも気になるんですけどね。セドニーは……とりあえずサーナイトがいれば、それで。
毎度毎度長々とした文章ですみません。今回は千文字程度に収めたので、わりと少ない方です。
もうすぐ年末で、この時期も忙しいと思いますが、無理なさらず頑張ってください。
それではこれにて。
- Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.213 )
- 日時: 2013/12/28 14:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 8.dPcW9k)
>>白黒さん
そうですねー、もう今年も今日入れて四日です。
ギャロップって、使えそうな技がほとんど突進系なんですよ。
どうしても動きが単調になってしまうので、その分ルナバインを結構派手に動かすことにしています。ルナバイン見た感じ身軽そうですし。
『ブロック』のナンバー2ですからね。ちらっと言ってますが、N・E団に入る前のメジストの組織を壊滅させたのも彼ですし、相当の実力は持ってますよ。
ただ、ラピスもこれで三位ですから、もっと強いのがまだ二人いるんですけどね……。
覚醒してないと七位、最弱ですからね。そのままではレオの敵ではないですね。
そうですね、ブースターは素早さも遅いし耐久もそんなにないですし、聖なる炎くらいないとダメなんじゃないですかね。エンテイが聖なる炎を貰ったらしいですが。
ソライトの覚醒はあれです、白黒さんの二作目の黄色い執事の人みたいな感じです。彼に比べると数段劣りますが。
ガーネットのエースのフィニクスはドラゴンも入ってますし、エナジーボールもありますからね。僕がこんなことを言ってる時点でソライトのエースのタイプをばらしている気がしますが、まあ問題ないでしょう。
確かにレオの手持ちって電気タイプ重いんですよ。
電気単ならパンプッチがいますが、コイル系統は確かにかなり重くなりますね。
天将のエースのポケモンは想像してみてください。ソライトの方はタイプは分かると思いますので、主にラピスの方を。
……まあセドニーの今回の見所はサーナイトのフェアリータイプだけですからね。
いえいえ、文が長いと読むの楽しいですし。
白黒さんも二作同時進行は大変だと思いますが、体調に気をつけて頑張ってください。
受験シーズンは本当に時間なくなるんで、今のうちに更新進めておくといいかもしれません(何様
- Re: 第九十八話 爆音 ( No.214 )
- 日時: 2013/12/28 20:38
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Yry.8Fde)
- プロフ: サクラの「にゃるほど」は打ち間違いではありません
マリルリの全力を込めた渾身の拳が、トリデプスの体へ叩き込まれる。
横倒しになった状態では防御も出来ない。回避など言うまでもない。
だが。
「トリデプス、カウンター!」
渾身のマリルリの一撃が、跳ね返された。
勢いよくマリルリは吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
地面に落ちたマリルリは、既に戦闘不能になっていた。
「ふう、危なかったわ。最後まで隠しといて助かったわー」
カウンターは、物理攻撃を受けた時に、ダメージを二倍にして相手に返す技。
トリデプスは格闘技に非常に弱いが、それ故カウンターの威力も凄まじいものになる。
しかし、今の気合いパンチで、トリデプスも戦闘不能になってしまった。
「ちっ、まさかこんなに早くマリルリがやられるとは。だが一体は倒した。次はこいつだ、行け、ネクロシア!」
マリルリを戻したロフトは、次なるポケモンを繰り出す。
かなり歪なポケモンだった。顔には目が三つ、口の部分は包帯が巻かれたようになっており、腹にも目と口があり、さらに下半身は非常に鋭利な鎌になっており、そこにも目が付いている。
死神のようにも見えるこのポケモンの名は、ネクロシア。ゴースト・悪タイプを持ち、ホクリク地方では弱点がない。
「ほな、うちはこの子や。頼むで、ラムパルド」
マゼンタのポケモンは、超強化ガラスをぶち抜いたあのラムパルド。
「では行くぞ! ネクロシア、シャドークロー!」
「ラムパルド、諸刃の頭突き!」
ネクロシアが爪を構え、静かに、しかし素早く動く。
対して、ラムパルドは一発目からフルパワー。
自身への反動も顧みず、全力を込めた頭突きを放ち、ネクロシアの爪を容易く弾き返し、ネクロシア本体をもぶっ飛ばした。
「っ、なんという攻撃力!」
ロフトも驚きを浮かべるほどの威力の頭突きを受けて吹っ飛んだネクロシアは、それでもまだ倒れてはいない。
「やるな。だがそれが最高火力だろう。ならばネクロシア、金縛りだ!」
ネクロシアは起き上がると、ラムパルドに素早く術を掛ける。
「うぅ、諸刃の頭突きが……」
呻くマゼンタ。金縛りは、直前に相手が出した技をしばらく封じる技だ。
「さらに保険も掛けておくか。黒い眼差し」
ネクロシアの額の目が妖しく光る。
黒い光が、モンスターボールとのつながりを一時的に遮断してしまう。
「さて、これで準備は整ったな。では、改めて攻めていくか」
ロフトの言葉を受け、ネクロシアがその爪を構える。
カンタロウのオオペラーは、善戦しているものの、シャワーズに押されている。
「シャワーズ、ハイドロポンプ!」
「オオペラー、暴風だべ!」
シャワーズの大量の水とオオペラーの荒れ狂う風が激突するが、やがて遂に暴風が破られてしまう。
(ちっ、オオペラーの疲れがかなり溜まっとるべや)
戦いが長引き、オオペラーもかなり疲労して来ている。
それに比べ、シャワーズは未だ疲労が見えない。
勿論疲れはあるだろうが、オオペラーのそれに比べればかなり少ない。
「おいおい、最初の大口はどうした? やっぱ口だけかよ、つまんねえな」
セドニーも相変わらず余裕を浮かべている。
「そろそろ決めちまいな! シャワーズ、ハイドロポンプ!」
シャワーズが大きく息を吸い、そして大量の激流を吐き出す。
暴風では、打ち破られる。
(そげなら、これさあんまり使いたくねェだが、仕方ねえだ!)
バッと顔を上げ、カンタロウは最後の技を指示する。
「オオペラー、爆音波!」
刹那、オオペラーが、爆弾が爆発したような轟音を放った。
同時に、爆発の衝撃波のような強烈な音波が放たれる。
とんでもない轟音と衝撃に、セドニーはおろか、使用者のトレーナーであるカンタロウすら耳を塞ぐ。
衝撃波は水を蹴散らし、シャワーズを吹っ飛ばした。
耳を塞いだまま、カンタロウは叫ぶ。
「もう一発ぶちかますだ! 爆音波!」
その超強烈な音波を、オオペラーは再び放つ。
まだ体勢の整わないシャワーズに再び命中し、シャワーズは壁へと激突し、戦闘不能となった。
気が付けば部屋の中はめちゃくちゃになっていた。
椅子などが吹っ飛び、棚は破壊され、壁もひびが入っていたり、壊れている箇所もある。
「くっそ、派手にぶっ放してくれたしゃねえか」
忌々しそうに呟き、セドニーはシャワーズをボールに戻す。
カンタロウもオオペラーを戻した。戦闘不能ではないものの、習得したばかりの爆音波を二発も連続で使い、もう体力が持たないと判断したのだ。
「しかもうるせえし。耳が壊れるかと思ったぜ」
「壊れてくれりゃ、後のバトルさ楽になっただがな」
ニヤリとカンタロウは笑う。
「次はお前だべ! 羽ばたけ、ドンカラス!」
カンタロウの二番手は、何かとと出番の多いドンカラス。
対して、セドニーが不意に薄ら笑いを浮かべる。
「悪タイプのドンカラスか。ムカついたし、ちょうどいいな」
そんなセドニーを怪訝な顔で見るカンタロウだが、セドニーは特に気にせず、次のボールを取り出す。
「それじゃあ、頼んだぜ、サーナイト!」
繰り出されるセドニーの二番手はサーナイト。
(悪タイプにサーナイト? ああ、そォいや後はサーナイトとフワライド、覚醒の何かだべな。フワライドは悪さ弱点だし、おかしくはねェだな)
この時。
サーナイトがボールから繰り出されるという異変に、そしてサーナイトが何か今までと違うという事に、カンタロウは気づかなかった。
サクラはチェリムをボールに戻し、へラクロスを出してバトルが再開する。
ふとジンは天井を見上げ、
「そろそろ効果が切れる頃か。ドータクン、日本晴れだ」
ドータクンは小さい太陽のような火の玉を打ち上げる。
小さくなってきた雨雲が晴れ、周りが明るくなるが、
「雨乞いだ」
すぐにまた黒い雨雲が戻ってきて、雨が降り出した。
「にゃるほど。雨乞いのターンをリセットしたのねえ」
それじゃ、とサクラは続け、
「へラクロス、こっちも行くわよお。メガホーン!」
へラクロスが翅を広げて飛び上がる。
ドータクンに全力で突撃し、額の硬い角を思い切り突き刺す。
ドータクンが仰け反り、後ろへ下がる。耐久力に自信のあるドータクンでも、ダメージは大きかったようだ。
「火力だけはあるようだな。ドータクン、サイコキネシス」
赤い目を点滅させ、ドータクンは強い念力の波を飛ばす。
「へラクロス、ぶち壊す!」
だがへラクロスは念力の波に角を叩きつけ、強引にサイコキネシスを相殺してしまう。
そして、
「インファイト!」
守りを捨て、へラクロスはドータクンへと突っ込む。
まずは角の一撃をぶつけ、そこから怒涛の連続打撃攻撃を浴びせ、とどめに思い切り角を突き刺し、ドータクンを吹っ飛ばした。
「まだ倒れんぞ。ドータクン、ジャイロボール」
それでもドータクンはまだ倒れない。
体を高速で回転させ、そのまま回転する大きな球のように突撃する。
「へラクロス、ぶち壊す!」
へラクロスは角を思い切り叩きつけるが、ドータクンの回転によって弾かれ、ジャイロボールを喰らってしまう。
「サイコキネシス」
その隙を逃さず、ドータクンは強い念力を発生させる。
今度はへラクロスを操り、その動きを止めるつもりだったのだが、
「へラクロス、貴方のパワーを見せてあげなさいよお! メガホーン!」
へラクロスは動きを妨げる念力に打ち勝ち、強引に打ち破り、渾身の力ドータクンへと硬い角を突き刺す。
ドータクンは吹っ飛び、地面に落ちる。
起き上がろうと体を震わすが、そこで力尽き、戦闘不能となった。
「ドータクンでは無理があったか。だが最初の時点で役割は果たしたな。ドータクン、戻れ」
特に表情を変えず、ジンはドータクンを戻す。
「いいわよおへラクロス! 流石ねえ」
まるで子供のような笑みを浮かべるサクラ。
対するジンは次のボールをゆっくりと取り出す。
「たかがドータクンを倒したくらいで喜べるのか、ぬるい思考回路だな」
「何よお。こっちはまだ三体、貴方は後二体なのよお? こっちが有利なのは明白じゃないのよお」
「その思考回路がぬるいと言ったんだ」
ジンの口元が僅かに緩む。
「確かに数の面では俺が不利だ。だが俺は、お前の三体のうち二体の戦法を把握し、加えてエースと思われるカビゴンの情報も緋天将から得ている。ここまで説明してもまだ分からなければ、病院にでも行ってくるといい」
「あらあ? ガーネットちゃんから聞いてるんだあ。ガーネットちゃん元気にしてる? 泣いてなかった? うふふ」
話がまるで通じない相手に、ジンは呆れと蔑みを込めた視線を送ると、次なるポケモンを繰り出す。
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