二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: 第百五十六話 爆進 ( No.300 )
日時: 2015/04/14 08:31
名前: パーセンター (ID: 8uCE87u6)

ティラノスの太い尾と、ヒョウカクのドリルのような角が激突する。
しかし、パワーでは明らかにティラノスの方が上。
ティラノスの力の前に押し負け、ヒョウカクは吹き飛ばされてしまう。
「ティラノス、フレアドライブ!」
ティラノスが雄叫びを上げ、激しく燃え盛る炎を纏う。
「ヒョウカク、躱してハイドロポンプ!」
巨大な火の弾のようにティラノスが突っ込んで来るが、ヒョウカクは尾ビレで床を蹴って飛び上がり、ティラノスの背後から大量の水を放つ。
「ティラノス、グランボールダ!」
フレアドライブを解いたティラノスが床を踏み鳴らすと同時、大量の岩が出現する。
立ち塞がる岩が水を遮断し、残った岩は一斉にヒョウカクへ襲い掛かる。
「ヒョウカク、守る!」
「無駄だ! ティラノス、もう一度グランボールダ!」
ヒョウカクは守りの結界を張るが、ティラノスはさらに大量の岩を向かわせる。
結界を張るヒョウカクが動けないのを利用し、無数の岩を積み上げ、ヒョウカクを岩の中に閉じ込めてしまう。
「ギャヒャヒャ! こうすりゃ守るなんざ何の意味も持たねえ! ティラノス、ぶち壊す!」
眼を血走らせ、ティラノスが大きく鋭い鉤爪を備えた両腕を突き出す。
岩など何の障害にもならない。積まれた岩を容易く破壊し、中に閉じ込められたヒョウカクを貫く。
はずだったのだが。

岩が崩れ去ったその時、ヒョウカクはどこにもいなかった。

代わりにメジストが見たものは、床に開く一つの穴。
「なに……ッ!? 下か!」
「ふふ、ご名答。ヒョウカク、ドリルライナー!」
刹那。
ティラノスの足元の床を突き破り、ヒョウカクが姿を現す。
ドリルの如き角の一撃がティラノスの岩肌を削り、突き飛ばす。
「ヒョウカク、吹雪!」
さらにヒョウカクは雪を乗せた暴風を起こす。
ティラノスを押し戻し、その身を少しずつ凍りつかせる。
「ティラノス、フレアドライブ!」
ティラノスの体が炎上する。
爆発的に展開された炎が、吹雪を一瞬で振り払い、
「ぶち壊す!」
その巨体が大きく跳躍した。
ヒョウカクの目の前まで迫り、太く大きな尻尾を渾身の力で振り下ろす。
「っ、ヒョウカク、守る!」
咄嗟にヒョウカクは守りの結界を張る。
ティラノスの尻尾の一撃が重くのしかかるが、流石にこの結界は打ち破れない。
だがそれでもティラノスは退かない。
両腕を突き出し、鉤爪を結界に突き刺す。
恐ろしいのは、並の攻撃なら容易く跳ね返してしまうほど強力な守りの結界を相手に、ティラノスは競り合えているということだ。
「そろそろ結界も切れるか……! ヒョウカク、後ろに飛べ!」
結界が消える寸前に、ヒョウカクは尾ビレを受かって後ろに大きく飛び退く。
次の瞬間、先ほどまでヒョウカクがいた床を、ティラノスの鉤爪が抉り取った。
「逃がさねえ! グランボールダ!」
大地を揺るがし、ティラノスは出現させた無数の岩をヒョウカクへ放つ。
「躱し切れないか……ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクの角が伸び、ドリルのように高速回転する。
襲い来る岩を片っ端から壊していくが、全てに対応することは出来ず、いくつかの直撃は受けてしまう。
「ぶち壊す!」
「躱してハイドロポンプ!」
体勢を崩したヒョウカクへ、ティラノスの靭尾が振り下ろされる。
どうにか躱そうと体を反らすヒョウカクだが、間に合わずに尻尾の一撃を食らってしまう。
「急所を外して致命傷は逸らしたか。だが次だ! ティラノス、馬鹿力!」
力のリミッターを外し、ティラノスは突撃する。
破壊の鉤爪が、立ち塞がるもの全て粉砕する勢いで襲い掛かる。
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
床に角を差し込み、角を高速で回転させ、ヒョウカクは地面に潜る。
「引きずり出せ! ティラノス、グランボールダ!」
「ならばこちらから出向く。ヒョウカク、ドリルライナー!」
ティラノスが床を踏み付けるより早く、ヒョウカクがティラノスの横から飛び出し、その胴体に角を突き刺す。
「ぶち壊す!」
そしてドリルライナーを食らってもティラノスは全く怯まない。
太い尻尾を横薙ぎに思い切り振り抜き、ヒョウカクを振り払う。
咄嗟に飛び退いたヒョウカクだが、尻尾の一撃が尾ビレを掠めた。
「……どこまで脳筋なんだ。そろそろスタミナ切れしてもいいんだぞ」
「こいつにスタミナ切れはあり得ねえ。少なくとも、お前を叩き潰すまではなぁ! ティラノス、フレアドライブ!」
「……化け物め。ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
灼熱の豪華を纏ったティラノスの爆進を躱し、ヒョウカクは大量の水を噴射する。
「無駄ぁ! ティラノス、グランボールダ!」
ティラノスが床を踏み鳴らすと共に、大量の岩が浮かび上がる。
ハイドロポンプを打ち消し、ヒョウカクを無数の岩の中に封じ込めてしまう。
「馬鹿力!」
間髪入れずにティラノスは太い尻尾を思い切り叩き込む。
岩を容易く粉砕し、その中のヒョウカクを渾身の力で叩き飛ばした。
「これで終わりだ! ティラノス、ぶち壊す!」
大地を揺るがす咆哮を上げ、ティラノスは爆進する。
目を血走らせ、牙を剥いて大口を開き、鋭い鉤爪の生えた両腕をヒョウカクへと突き出す。
脅威と畏怖がセイラを呑み込まんと迫るその瞬間。
セイラは、全く恐怖などしていなかった。

「ここしかない。ヒョウカク、ドリルライナー!」

力を振り絞って、ヒョウカクが前へ飛ぶ。
ティラノスの右腕、左腕を躱して懐へ飛び込み、ドリルの如く高速回転させた黄金の角でティラノスの下顎を突き上げる。
予想もしていなかった反撃を急所に食らい、ティラノスは大きく仰け反った。
「ハイドロポンプ!」
ようやくティラノスが見せた明確な隙。
その隙を、セイラは見逃さない。
ヒョウカクが大きく息を吸い、大量の水を撃ち出す。
効果抜群の連続攻撃を受けたティラノスが、吹き飛ばされる。
「やりやがったな。だが今度こそこれで終わらせる! ティラノス、ぶち壊す!」
「上等。こっちもこれで終わらせる。ヒョウカク、ドリルライナー!」
ティラノスとヒョウカクが同時に動いた。
ティラノスが両腕を突き出して悪魔の鉤爪を振りかざし、ヒョウカクが高速回転させた光り輝く黄金の角を突き出す。
ティラノスの爪がヒョウカクを切り裂いたのと、ヒョウカクの角がティラノスを突き刺したのはほぼ同時だった。
双方の動きが止まり、床へと崩れ落ちる。
その刹那だった。

心臓に突き刺さるような鋭い痛みが、一瞬セイラを襲った。

「くッ——?」
顔をしかめるセイラだが、痛みはすぐに引いた。
ティラノスとヒョウカクは、共に力を使い果たし、戦闘不能となっていた。
「……ちっ、ここが限界か。ティラノス、よく頑張った。休んでな」
セイラの僅かな反応には気付かなかったようで、メジストは悔しそうな表情を浮かべてティラノスを戻す。
同時に顔に浮かぶ黒い光が消え、メジストはフードを被り直す。
「……ヒョウカク、よく頑張った。お疲れ様」
セイラもヒョウカクを労い、ボールへ戻す。
「ハンッ、結局勝てなかったか。まあ久々に最後まで戦えたし、バトルに関しては満足だがな。出来ることならお前一人くらいは沈めたかったぜ」
「ふふ。貴様如きに屈しはしない。寧ろ貴様が私に負けなかったことに驚いているよ」
「今回の実力が100パーセントの本気だと思うなよ。覚醒率が最大なら……いいや、何かこの言い方は負け犬みてえだな。じゃあこう言うか。次に会った時は、今度こそ全力で、俺様の力の全てをぶつけてやるぜ。それまで楽しみにしてな。ギャヒャヒャ!」
最後に高笑いし、メジストは床に空いた無数の穴の中へ飛び込み、セイラの前から姿を消した。
(……流石は第四位。少しでも気を抜けば、私はやられていただろうな。N・E団で最も危険な男の呼び名を持つだけのことはあるな)
それにしても、とセイラは脳内で続け、
(一瞬感じた、さっきの痛みは何だ? 今まで感じたこともないようなものだったが……いや、まあ気にすることもないか。とにかく、ここからも警戒して進むとしよう)
気持ちを切り替え、バトルを終えたセイラはアジトのさらに奥へと進んでいく。

Re: 第百五十七話 闇 ( No.301 )
日時: 2015/04/15 10:29
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: iTHoKTwe)

ライチュウの鋼の尻尾が、バジリールの放った電撃を突き破り、バジリールに直撃する。
「バジリール、サイコバーン!」
体勢を崩しながら、それでもバジリールは体内に念力を溜め込み、それを爆発させて周囲に放ち、ライチュウを吹き飛ばす。
「大成長!」
バジリールの足元の床が割れ、硬い杭のような無数の蔦が飛び出し、ライチュウに襲い掛かる。
「ライチュウ、アイアンテール!」
硬化させた尻尾を振り回し、ライチュウは向かってくる蔦を次々と弾き飛ばす。
「シグナルビーム!」
「躱して瓦割りだ!」
その無数の蔦の真ん中を、激しい光を放つ光線が突き進む。
ライチュウはそれを躱してバジリールに急接近し、手刀を振り下ろす。
「バジリール、躱して大成長!」
素早く一歩後ろへ下がり、バジリールは手刀を躱す。
ライチュウの一撃は床を凹ませ、直後、ライチュウの真下の床から蔦が飛び出し、空中へと突き上げる。
さらにその刹那、ライチュウを囲むように四方から蔦が床を突き破って出現、一斉にライチュウへ襲い掛かる。
「一気に打ち破るぞ! ライチュウ、ボルテッカー!」
ライチュウが青白く輝く爆発的な電撃を身に纏う。
四方から襲い掛かる蔦を纏めて突き破り、一直線にバジリールへ突っ込む。
「バジリール、大成長!」
そしてバジリールがそれを迎え撃つ。
十本ほどの蔦を固めたような、最早巨大な鈍器と化した蔦を二本出現させ、ライチュウへと向かわせる。
二本の蔦とボルテッカーが激突する。
ライチュウが最初の蔦を打ち破り、さらに突き進むが、二本目の蔦にほとんどの勢いを削がれてしまう。
「サイコバーン!」
その隙をバジリールは見逃さない。
念力を爆発させて衝撃波を飛ばし、ライチュウを押し戻す。
「バジリール、十万ボルト!」
「効かん! ライチュウ、アイアンテール!」
バジリールが高電圧の強力な電撃を放つが、ライチュウは硬化させた尻尾で電撃を両断し、そのまま突き進む。
「それくらいは分かってら。バジリール、大成長!」
自ら放った電撃を打ち消すように無数の蔦が出現し、ライチュウの行く手を遮る。
「ライチュウ、躱してアイアンテール!」
「バジリール、弾き返せ! サイコバーン!」
横っ飛びに蔦を躱し、ライチュウが硬化させた尻尾を叩き込む。
同時にバジリールも念力を爆発させ、衝撃波を飛ばす。
鋼の尻尾と念力の衝撃波が激突し、激しくせめぎ合い、やがて爆発を起こし、両者が吹き飛ばされる。
「そろそろ大詰めだなぁ! バジリール、大成長だ! 最大火力!」
「望むところだ! ライチュウ、ボルテッカー! 最高出力だ!」
バジリールを囲むように、十本の蔦を固めたような巨大な三本の蔦が飛び出す。
その蔦が、ライチュウを叩き潰さんと正面から迫る。
対して、ライチュウも爆発的な超高電圧の電撃を纏う。
激しく音を立てて放電を放ちながら、バジリールへ一直線に突っ込む。
三本の蔦がライチュウを連続で殴りつけるが、ライチュウは蔦に目もくれず、その勢いのままバジリールに激突、大爆発を起こした。
「くっ……!」
爆風の衝撃に身を屈めるセドニーとライロウ。
煙が晴れた、そこには。
「……ちっ、俺の負けだ」
肩で息をつくライチュウの足元で、バジリールが力を使い果たし、倒れていた。
残念、といった様子で、セドニーはバジリールをボールへと戻す。
同時に、セドニーの手に輝く龍爪のような翠の光が消える。
「あーあ、負けちまった。これで残りは……おいおい、あと二人だけじゃねえか。他は全員やられたのかよ」
スマートフォンのような機械を取り出し、セドニーはぼやく。
「ま、それで構わねえ。何せ」
そこまで言って、セドニーはライロウの方へ向き直る。
「ここには、俺たちを束ねるボスがいるからな。こんな言い方したかねえが、俺相手に苦戦してるようじゃ、ボスにはどう頑張っても勝てねえぞ」
「俺だけが勝つ必要はない。こっちには戦いを終えたメンバーに、まだ無傷のリョーマもいる。お前たちのボスが誰かは知らんが、それだけの戦力相手に勝てるとは思えんな」
「ケッ、ムカつく物言いだぜ。まぁ信じるか信じないかは自由だ。俺はもう負けたし、おさらばするぜ。じゃあな」
そう言い残し、セドニーは踵を返して去っていった。



「ムクホーク、インファイト!」
「フィニクス、大文字!」
ムクホークが一気にフィニクスとの距離を詰めるが、フィニクスが素早く退いて初撃を躱し、激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
「蜻蛉返りだ!」
「引き離しなさい! ドラゴンビート!」
蜻蛉返りのスピードを生かしてムクホークは大文字を躱しつつフィニクスに突っ込むが、フィニクスが龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、ムクホークを吹き飛ばす。
「フィニクス、大文字!」
「ムクホーク、ブレイブバード!」
フィニクスが激しく燃え盛る大文字の炎を放つが、吹き飛ばされたムクホークもすぐさま反撃に出る。
青い炎のような勇気のオーラを纏い、空気を切り裂き突貫する。
「フィニクス、大文字!」
フィニクスが煌々と燃え盛る大の字型の炎を撃ち出すが、炎の中ををムクホークは突破し、そのままフィニクスを捉える。
「まだよ! エナジーボール!」
命の力を集め、フィニクスは自然の力の波動を放つ。
「ムクホーク、敵討ち!」
翼を縦に振り下ろし、ムクホークはエナジーボールを粉砕、さらに、
「インファイト!」
再びフィニクスへ一気に急接近する。
「邪魔よ! フィニクス、ドラゴンビート!」
龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、フィニクスは迫るムクホークをなぎ払う。
「そろそろ墜としてやるわ! フィニクス、龍星群!」
フィニクスが三度目の龍星群を放つ。
打ち上げられた龍のエネルギーが炸裂し、無数の流星となって次々とムクホークへ降り注ぐ。
「やられてたまるかよ。最後に勝つのは、俺だぜ! ムクホーク、ブレイブバード!」
降り注ぐ流星に、ムクホークは正面から挑む。
勇気の青い炎のオーラに身を包み、流星の雨の中へ飛び込んでいく。
無数の流星がムクホークを襲うが、それでもムクホークの勢いは止められない。
今度こそ、ムクホークの最高の一撃が、フィニクスを貫いた。
「ッ、フィニクス!」
フィニクスの翼を覆う灼熱の炎の勢いが、みるみるうちに衰えていく。
その巨体が床に墜ち、力を使い果たしたフィニクスは目を回して動かなくなった。
「……くっ、どうやらここまでのようね。フィニクス、お疲れ様。戻って休んでなさい」
ガーネットがフィニクスを戻すと同時に、ガーネットの足から光を放つ龍の尾のような紅の光が消える。
バトルが終わってみれば、床や壁が龍星群などによってボロボロに破壊されていた。
「これだけ派手にやっちゃったら、このアジトももう使えないわね。めちゃくちゃ悔しいけど、もう手持ちのポケモンもいないし、今回は引き上げるわ。次にあったら、今度こそ容赦しないわよ。それまで覚えてなさい!」
そう言い放ち、ガーネットは振り向き、アジトの奥へと走り去っていく。
「ふぅ……。お疲れ、ムクホーク。よくやった」
ムクホークの頭を撫で、ホロはムクホークをボールへ戻す。
「N・E団なんかに負けられないからな。ちゃんと勝ててよかったぜ。レオとかエフィシのにーちゃんも、勝ててるかな?」
仲間のことを思い浮かべながら、ホロもさらに奥へと足を進める。



「ご苦労様です、ブレイズ。貴方には迷惑を掛けてしまいましたね。ラピスの容態はどうですか?」
アジトの一角、大研究室。
ソライトが、仕事を終えたブレイズを労う。
「強引に意識を奪ってしまいましたので、当分は目覚めないかと。当然ですが命には別状はありません」
「そうですか。それでは、ラピスを先にドックの中に乗せてあげてください。どの道、もうすぐここも撤収することになるでしょう」
「了解です」
ブレイズが敬礼し、部屋を出ていく。
「ソライト様、こちらの準備も整いました! これで、全て完成です!」
部屋の奥で作業をしていたシーアスが仕事を終え、ソライトの近くに来る。
「ご苦労様です。では後は自由にしていて構いませんよ。先にドックに乗り込んでいてもいいですし、ここに残っていても結構です」
その時、部屋の奥側の扉が開く。
「おや、お疲れ様です。バトルはどうでしたか?」
「あぁ? どうせモニターで全部見てたんだろうが。勝ち切れなかったよ。ま、久々に最後までバトル出来たことだけは評価点かねぇ」
姿を現したのは、戦いを終えたメジスト。
「これで、こっちの残りの戦力はオパールだけか。向こうはまだ副統率が無傷、こっちの負けだな、っと」
「向こうは、そう思っているでしょうねえ」
「? ソライト様、メジスト様、どういうことです?」
ソライトとメジストが笑みを浮かべる中、シーアスだけが状況を理解出来ていない様子だ。
「何だ、聞いてねえのか? 今回は、ボスもここに来てるって言ってただろ?」
「加えて、たった今『兵器』の最終調整も終わりました。今回の戦いの全ては、この時間稼ぎに過ぎません。『兵器』が完成した以上、今回の戦いは、私たちの勝ちです」
「そういうこと。正直オパールには悪いが、俺はオパールにさっさと負けてほしいと思ってる。奴らが絶望を見せるか、それとも怒りを見せるか、楽しみで仕方ねえ。ギャヒャヒャ!」
「さて、どうなるでしょう。そもそも、彼にオパールを突破する力があるかどうか、という問題もありますがね」
刹那。

「例の『兵器』が、完成したようですね」

尋常でなく恐ろしい気配が、研究室全体を包む。
部屋の最奥部、暗闇から、一人の人物が姿を現した。
「……ッ!?」
「……ええ。準備は、全て整いました。あとは、三つの宝玉を手に入れるのみです」
「……にしても、やっぱ怖えわ。面と向かって、あんたと話すのは」
声と気配だけでシーアスは震え上がり、ソライトの声も僅かに上ずる。
メジストも口調こそ変わらないが、声にいつもの勢いはない。
「ソライト、ご苦労でした。それでは、後は彼らが来るのを待つとしましょうか」
恐怖と戦慄をばら撒き、その人物は告げる。
「裁きの時はもうすぐです。愚かな民に、神の裁きを」

Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.302 )
日時: 2015/04/20 06:01
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「能ある鷹は、爪さ隠すもンだべ」

カンタロウ(男)16歳
容姿:髪は白く、短髪で、瞳は黒く、黒い翼の模様が描かれた白い半袖の服に、黒いジーンズを履いている。服装は非常に軽く、動きやすそうな格好。
性格:陽気で調子のいい性格。嫌なことがあっても落ち込まず、ポジティブな方向に自己解決させてしまう。バトルに置いては非常に熱い心を持っており、その性格からかバトルスタイルも攻め重視のものになっている。
その反面意外と頭脳派な面も持つ。よく考えが回り、非常に賢く、洞察力にも優れている。
備考:ホウエン地方出身のトレーナーで、レオとはポケモンリーグウチセト大会で知り合った。鳥ポケモンを好んで使用する。言葉の訛りが激しい。

手持ちポケモン

・コクジャク(♀)
特性:不眠
技:目覚めるパワー(地面) 瞑想 シャドーボール サイコキネシス

・ペラップ→オオペラー(♂)
特性:鋭い目
技:暴風 ドラゴンビート サイコキネシス 爆音波

・ドンカラス(♂)
特性:強運
技:襲撃 熱風 サイコキネシス 悪の波動

・ペリッパー(♀)
特性:鋭い目
技:??? ??? ??? ???

・プテリクス(♂)
特性:威嚇
技:怒りの炎 ドラゴンダイブ ストーンエッジ ゴッドバード

・ムクバード→ムクホーク(♂)
特性:威嚇
技:インファイト 鋼の翼 襲撃 ブレイブバード

Re: 第百五十八話 到来 ( No.303 )
日時: 2015/04/20 22:30
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: 某漫画リスペクト。

「行くぞ! ポッチャマ、水の波動!」
先攻を取ったのはポッチャマ。
溜め込んだ水の力を、波動の弾として撃ち出す。
「フーディン、シャドーボール」
対するフーディンは影を集めた黒い弾を放ち、水の波動を打ち消す。
「攻撃力じゃ負けてないな。っし、ポッチャマ、冷凍ビーム!」
水の波動が相殺されると、すぐさまポッチャマは冷気の光線を放つ。
「フーディン、躱してダイヤブラスト」
座禅を組んで超能力で浮かび上がり、冷気の光線を躱すと、フーディンは手にしたスプーンを掲げる。
同時にダイヤのように青白く煌めく爆発が起き、爆風がポッチャマを襲う。
「くっ、ポッチャマ、連続で水の波動!」
爆発で吹き飛ばされるが、素早く受身を取って起き上がり、ポッチャマは水の力の波動を連続で放つ。
しかし狙いはフーディン本体ではない。
フーディンの周囲を取り囲むように波動を放って、その逃げ道を塞ぎ、
「ドリル嘴!」
本命はこっち。
嘴を伸ばし、高速回転しながらポッチャマが突撃する。
水の波動の真ん中を潜り抜け、逃げ道のないフーディンへ突撃する。
対して。
「なるほど、いい戦法です。ですが」
オパールが、次の手に出る。

「フーディン、フラッシュです」

スプーンを突き出し、フーディンが強い光を放つ。
薄暗いホール全体を眩しく照らすほどの光を至近距離で受け、ポッチャマの目が眩んで動きが止まる。
「フーディン、シャドーボール」
オパールがその隙を逃すはずもなく、フーディンの放った影の弾がポッチャマに直撃する。
「マジかよ……! ポッチャマ、大丈夫か?」
ポッチャマは起き上がり、問題ないと言うように頷く。
「ちっ、いい戦法だと思ったんだけどな……!」
「発想自体はいいと思いましたね。しかし、私が貴方の戦術を上回っていた」
「へっ、まだ最初の戦術を潰されただけだ。これで終わりなんて思ってると痛い目見るぞ。ポッチャマ、切り替えていくぞ! スプラッシュ!」
ポッチャマが水を纏う。
水飛沫を上げながら、猛スピードでフーディンへ突っ込む。
「フーディン、ダイヤブラスト」
フーディンの周囲に爆発が起き、爆風が周囲をなぎ払うが、
「そう来ると思ったぜ! ポッチャマ、飛び上がって水の波動!」
ダイヤブラストを予測していたポッチャマが大きく飛び上がる。
爆風を躱して、真上から水の波動をフーディンへと叩き込む。
「やりますね。フーディン、シャドーボール」
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
素早く体勢を整え、フーディンが影の弾を放つ。
同時に、ポッチャマも凍える冷気の光線を撃ち出す。
双方の技は激突し、互いに相殺される。
「スプラッシュ!」
巻き上がる煙の中を、水を纏ったポッチャマが突き進む。
水飛沫を上げながら、フーディンとの距離を詰めていく。
「フーディン、サイコキネシス」
強い念力を発生させ、フーディンはその念力を衝撃波にして飛ばす。
「だったら、躱して冷凍ビーム!」
衝撃波を躱してポッチャマは飛び上がり、凍える冷気の光線を放つ。
「サイコキネシスです」
フーディンが今度はスプーンに念力を溜め込み、冷気の光線を防ぐ。
とはいえ完全な防御は出来ず、直撃は防いだものの、体の一部が氷に覆われる。
「これくらいはどうということはありません。振り払いなさい」
念力で氷を剥がすと、座禅を組んで再びフーディンは浮き上がる。
「シャドーボールです」
フーディンが両手のスプーンを突き出し、その先端から連続で影を集めた黒い弾を次々と撃ち出す。
「数はすごいが、全部弾き返してやるぜ! ポッチャマ、その場でドリル嘴!」
嘴を伸ばして真上を見上げ、ポッチャマはその場でドリルのように高速回転する。
回転によってシャドーボールを片っ端から弾き、フーディンへとはね返す。
「受け止めましょう。サイコキネシス」
構えを崩さず、両手のスプーンから念力を放ち、フーディンは逆に自分へと向かってくる影の弾を容易く止めるが、
「そこだ! ポッチャマ、そのまま突っ込め!」
フーディンの両手が塞がったその隙を狙い、ポッチャマはドリル嘴で特攻を仕掛ける。
動きの止まった影の弾の間を突き進み、一気にフーディンへと迫る。
「回避する余裕はありません、シャドーボールを潰しなさい。そしてダイヤブラスト」
念力を強めて影の弾を破壊し、フーディンはさらにポッチャマを迎撃すべく動くが、爆風を放つよりも早くポッチャマの嘴がフーディンを捉えた。
ドリルの如き嘴がフーディンを抉るように突き、吹っ飛ばす。
「まだ終わらないぜ! 水の波動!」
吹き飛ぶフーディンへ、ポッチャマはさらに水の力を凝縮した波動を撃ち出す。
「フーディン、サイコキネシスです」
体勢を崩しながらも、フーディンは念力を操作する。
万全の念動力は出せなかったものの、水の波動に念力を掛け、軌道を逸らして何とか回避する。
「冷凍ビーム!」
「ダイヤブラストです」
さらにポッチャマが凍える冷気の光線を放って追撃を掛けるが、その一撃は体勢を立て直したフーディンの煌めく爆風によって防がれる。
「そろそろ調子づいてきたようですね。最初と比べて格段に動きがよくなっているように見えます。流石は主が注目する人物」
ですが、とオパールは続け、
「ここまででそのポッチャマの動き、技は大体把握しました。加えて、ここまでの三体による戦闘で、貴方のバトルスタイルも把握。ここからは、より厳しい戦いになりますよ」
「それはどうかな。こっちもそのフーディンの技は全て確認したし、どんな戦法を取ってくるかもある程度分かった。条件は互角だぜ」
「そうですか」
レオの返答を聞いた上で、表情一つ変えずにオパールは告げる。

「では、知能指数5000を超える、私のフーディンの全てを計算され尽くした戦術を超えて見せてください」

刹那、フーディンが動く。
「シャドーボールです」
再びスプーンを突き出し、次々と影の弾を放つ。
「知能指数5000、確かに圧倒的だけど、それがどうした! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマが嘴を伸ばして高速回転する。
シャドーボールなら怖くない。ドリル嘴によって弾き飛ばし、フーディンとの距離を一気に詰められる。
ここまでは先ほどと同じ。だが、
「サイコキネシスです」
フーディンが強い念力を発生させる。
念力を仕掛ける対象は、ポッチャマではなく、自らが放ったシャドーボール。
それら全てを一箇所に集め、巨大な影の弾を作り上げる。
「どうってことないぜ! ポッチャマ、突き破れ!」
対してポッチャマはそのまま影の弾の中に突っ込む。
巨大シャドーボールを貫き、フーディンの目の前に迫る。
「フラッシュです」
「甘い! 水の波動!」
フーディンのスプーンから眩い光が放たれるが、それを予期していたレオの指示によってポッチャマはその場から離れ、水の波動を放った。
眩しいとはいえただの光。水の波動にとっては、何の障害にもならない。
しかし。
「ダイヤブラストです」
光に隠れていつの間にかポッチャマへの後ろへと回り込んでいたフーディンが煌めく爆風を放ち、ポッチャマを吹き飛ばす。
「一度見た戦法を忘れるほどあなたは愚かではない。そんな貴方がフラッシュを警戒することなど、読めていましたよ。フーディン、サイコキネシス」
フーディンは強い念力を操作し、ポッチャマへと念力を仕掛け、その動きを完全に掌握してしまう。
「ようやくこの状況を作れましたよ。フーディン、振り回して壁に叩きつけなさい」
フーディンが両手のスプーンを指で回転させる。
見えない糸でも付いているかのように、ポッチャマが抵抗することも出来ずに空中を振り回される。
やがてフーディンがスプーンを突き出し、ポッチャマはその方向に投げ飛ばされ、壁に思い切り叩きつけられる。
「っ!ポッチャマ、大丈夫か!」
壁を凹ませ、ヒビが出来るほどの勢いで激突したポッチャマが、壁の破片と共に床へと落ちる。
まだ辛うじて体力は残っているらしく、起き上がろうとするが、
「残念、これで終わりです。フーディン、シャドーボール!」
フーディンがシャドーボールを一点に固める。
巨大な影の弾が、ポッチャマへと叩きつけられる。
「やばい! ポッチャマ、立ってくれ!」
レオの声が、響く。
巨大な影の弾が、ポッチャマに直撃する。

刹那。
爆発的な輝きが、影の弾を消し飛ばした。

「っ……?」
一点を見据える、オパールの目が細くなる。
「これは……!」
立ち上がったポッチャマを覆うのは、圧倒的な生命エネルギーが溢れ出す激しい光。
光に覆われたポッチャマのシルエットが、みるみるうちに変化していく。
頭身の高い、がっしりした姿のシルエットへ変化していくが、有り余るエネルギーがその変化をさらに進ませる。
体はさらに大きく、より頑強そうなものに変化し、翼もより大きく鋭くなる。
光がようやく収まった時。
非常に精悍な顔つき、紺色の体、鋼の刃が付いたような鋭く大きい翼、そして王冠を模す三つ叉の槍のような角を持つ、巨大なペンギンのようなポケモンがその場に立っていた。
皇帝ポケモン、エンペルト。水・鋼タイプを持つ、ポッチャマの最終進化系。
本来ポッチャマは途中進化であるポッタイシを経てさらにエンペルトへ進化するのだが、爆発的な進化エネルギーが、ポッチャマの進化を加速させたのだ。
「……エンペルト。遂に、遂に進化してくれたのか!」
レオの声に応えるようにエンペルトは僅かに振り向き、頷く。
同時に、エンペルトの体が青いオーラに包まれる。
体力を消耗したことで、特性の激流が発動したのだ。
「……まさか、まさかポッタイシを飛び越え、エンペルトまで最終進化してしまうとは。流石です、これも貴方たちの絆が成した奇跡なのでしょうね」
ようやくオパールが口を開く。
「ですが、私の優位は変わりません。エンペルトの戦術も貴方のバトルスタイルも、根本的なところは変わらない。私とフーディンの計算され尽くしたこの戦闘、例え進化というイレギュラーが起こったとして、結果は変わりなどしないのです」
「それはどうかな。エンペルト、ここまで来たらやることは一つだ。目の前の敵を打ち破るぞ。最後の壁を、超えてみせるぞ」
フーディンが両手のスプーンを構え、宙に浮かび上がる。
対するエンペルトは一歩進み出し、その鋭い瞳にフーディンの姿を捉える。

Re: 第百五十九話 黒幕 ( No.304 )
日時: 2016/09/17 07:32
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「フーディン、シャドーボールです」
スプーンを突き出し、フーディンが連続で影を集めた弾を撃ち出す。
「エンペルト、お前の力を見せてやれ! ハイドロポンプ!」
エンペルトは大きく啼き、極太の水柱を放つ。
シャドーボールを纏めて薙ぎ払い、さらにフーディン本体を狙う。
「フーディン、サイコキネシス」
対するフーディンは強い念力を操作してハイドロポンプを押し返そうとするが、激流が発動したエンペルトの火力に押し負け、吹き飛ばされてしまう。
「今だ! エンペルト、ドリル嘴!」
ドリルのように高速回転し、エンペルトが飛び出す。
回転の速度も、特攻の勢いも、ポッチャマの時より遥かに上回っている。
「フーディン、もう一度サイコキネシス」
押し流されたフーディンが再び強い念力を操る。
エンペルトに念力を仕掛け、その動きを止めてしまうが、
「エンペルト、打ち破れ! ジオインパクト!」
翼に光り輝く銀色のオーラを纏い、エンペルトは力を振り絞って、念力を強引に打ち破ってしまう。
そのまま翼を床に叩きつけ、衝撃波を飛ばす。
「……! フーディンのサイコキネシスを、打ち破るとは……」
衝撃波を受けたフーディンが、再び吹き飛ばされる。
「これで、とどめだ! エンペルト、ハイドロポンプ!」
力を溜め込み、エンペルトは大量の水を込めた極太の水柱を撃ち出す。
「……終わりましたね。今のフーディンでは、この水柱ははね返せません」
オパールが目を閉じる。
水柱は一直線に突き進み、フーディンを捉えて吹き飛ばし、壁に叩きつけた。
フーディンが床に倒れ、その手からスプーンが落ちる。
戦闘不能となって、倒れていた。
「……フーディン、お疲れ様でした。休んでいてください」
フーディンをボールに戻し、オパールはレオの方へ歩み寄る。
「フーディンの計算され尽くしたはずの戦いの外へ、貴方は飛び出せた。それは貴方だけの力ではない、貴方とエンペルト、二人がいたからこそです。貴方とポケモンの絆、お見事でした」
そう言って、オパールは柔和な笑みを浮かべる。
「最後の壁である私を乗り越えた貴方たちには、真実を知る権利がある。さあ、先に進みなさい」
ちょうどその時。
「ここが最奥か?」
「どうやら、そのようですわよ」
別の扉からリョーマとテレジアが、
「なるほど、この先ですか」
ロフトを連行したグライオンと共に、エフィシが姿を現わす。
「おい、オパール。彼らの代表として、僕はお前に勝利した。だから、僕の仲間も、真実を知る権利がある。リョーマさんたちも、先に進まさせてもらうぞ」
「構いませんよ。ただし、そちらの貴方、碧天将直属護衛はこちらに引き渡してもらいます。それを受け入れ、なおかつ、彼らもそれを望むのであれば」
オパールがエフィシの方を向く。
「……いいでしょう。グライオン、戻ってください」
エフィシがグライオンをボールへと戻し、ロフトがオパールの元へ駆け寄る。
「オパール様、面目ありません。ありがとうございます」
「礼には及びませんよ。仲間を助けるのは、当たり前ではありませんか」
そして、オパールは自身の後ろにある扉の鍵を開き、一歩下がる。
「勇気ある者たちよ。この先に進み、真実をその目で確かめるのです。我らの主が、貴方たちをお待ちです」
オパールは最後にそう言い、目を閉じて黙り込んでしまう。
「レオ、よくやった。遂にN・E団のボスとお目見えだ」
「この先に、全ての黒幕がいるんですのね」
「臆することはありません。最後まで、油断しないでいきましょう!」
リョーマとテレジア、エフィシが、レオに歩み寄る。
「はい。それじゃ……行きますよ」
レオが扉に手を掛ける。
『ブロック』の四人が、最後の部屋へと進む。



最後の部屋。
そこは、巨大な研究室だった。
「ようこそ、我らのアジトへ。よくぞここまで辿り着いたものです。その力、賞賛に値する」
手を叩きながら姿を現したその男は、蒼天のソライト。
その後ろには直属護衛シーアスが控え、さらにフードを被ったメジストが立ったまま壁にもたれかかっている。
「何だ、蒼天将か。そういや今回はお前の姿を全く見ねえと思ったぜ。で、何だ。やるってのか?」
モンスターボールを手にしたリョーマが、一歩進み出る。
「いえいえ。先ほどまでの戦いを私はずっと見ておりました。皆様と今さら戦っても、時間の無駄というものです」
「だから、今回はお前らにいいものを見せてやろうと思ってよお」
ソライトの言葉に、メジストが続く。
「悪いが、今回はお前らのボスにしか興味ねえんだよ。茶番はいらねえ」
「まあまあ、そう焦らずに。シーアス、例の物を」
ソライトの指示を受け、シーアスが50センチほどの立方体の箱をソライトの前に置く。
「それでは、解放しましょう。私たちの、究極兵器を!」
ソライトが、目の前の箱を解放する。
そこから現れたのは。

翼こそあるが、手も足もない天使のような姿、顔は骸骨そのものという、悍ましい生物だった。

白い尾の先が、鎖で繋がれている。
「……! あれは……何だ?」
「もしかして……ポケモン、ですの?」
テレジアの言葉を聞いたレオが図鑑を取り出す。
図鑑は情報を出さないが、何かおかしい。
そもそも、それがポケモンでないのなら、図鑑は何も反応しない。
だが今回は違う。図鑑が、情報を探しているのだ。
そして、
「いかにも」
ソライトが不敵な笑みを浮かべて、口を開く。

「これこそが、我らの目的の鍵。我らの知識を総結集して作り上げた最高傑作。人工ポケモン、オルディナです」

思考に、空白が生じる。
四人が、一斉に言葉を失った。
「そういう、ことですのね」
「……そりゃあ図鑑も情報出せねえわ。にしても、人工ポケモンとはな。お前ら、重罪だぞ」
テレジアとリョーマがようやく言葉を紡ぎ出すが、この時、レオとエフィシの脳内には全く同じ考えが浮かんでいた。
感覚でそう考えてしまう。しかし、絶対にそうであってはならない。そのような疑惑を。
そして無情にも、ソライトはその疑惑を、確信へと変えてしまう。
「さて、それではオルディナ、自己紹介の時間です」
ソライトに促され、オルディナが言葉を紡ぐ。
ゆっくりと。

「……ゴ……メン……ネ……」

しかし、

「……レオ、エフィ……シ……」

確実に。


「……マリ……ア……、バケ……モノ、ニ……ナッ……チャッ……タ……」


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
刹那。
レオとエフィシの、絶叫が響く。
無意識のうちに、二人はポケモンを繰り出していた。
「エンペルト、ハイドロポンプ!!」
「グライオン、スカイアッパー!!」
エンペルトの大量の水柱が、グライオンの握り締めた鋏が、ソライトへと一直線に放たれる。
だが。

「メタルブラスト」

突然、ここにいる誰のものでもない声が響く。
同時、絶大な鋼エネルギーの砲撃がどこからか打ち出され、エンペルトとグライオンを吹き飛ばした。
「!?」
「誰だ!」
テレジアが驚き、リョーマがボールを構える。
刹那、部屋全体が畏怖と戦慄に呑み込まれる。
「お待たせしました。私が、この組織を束ねるリーダーです」
聞くだけで恐怖を誘うような、酷く邪気を含んだ声。
だが、レオにとって、もっと恐ろしいことがある。
この声には、聞き覚えがあるのだ。
「折角の客です。丁重にもてなしましょう」
忘れたくても、忘れられるはずのない声。
声の正体が、闇の中から現れる。
まず、その人物の横に控えるのは、非常に頑強な体つきのポケモン。
恐竜のような姿をし、その大きさは2メートルを軽く超える。
瞳からは真紅の輝きを放ち、口や尾は巨大な刃のように鋭い。
切っ先ポケモンの、ブレイドンだ。
そして。
「まずは、自己紹介をしましょうか」
黒幕が、姿を現す。
闇のように黒く長い髪は後ろで括られ、その毛先は血のように赤い。
瞳は青く、悪魔のように暗く鋭い。
右手には、機械の爪が装着されていた。
酷く痩せ細っているが、その瞳からは圧倒的な邪気を放つ。

「私が、N・E団——『ネオイビル』のリーダー、マターです。以後、お見知り置きを」

N・E団、いや、ネオイビル。
そのボスの正体は。
かつてウチセトで世界の支配を企み、謎の失踪を遂げた男、マターだった。


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