二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: ポケットモンスター 星と旋風の使徒 ( No.220 )
日時: 2014/02/07 21:30
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9pFPYMWe)

>>白黒さん
ありがとうございます。ちなみに今回が初の入賞です。

まあ手持ち全員が格闘タイプに弱いですしね。
格闘技は範囲優秀なので結構メジャーですし。
でも言い換えれば対策無しでも苦手なタイプ相手に互角以上に戦えるのは強みですね。

今回のサクラは相手が悪いですね。
他のポケモンはともかく、チェリムは天候にかなり依存しますから、ジンのような戦術相手だと力を存分に発揮出来なくなってしまいます。
へラクロスとかカビゴンはそうでもないんですが。

ベガではドロポンが教え技になっているので、覚えるポケモンが非常に多いです。
小説でも非常に使い勝手がいいので、技に困ったらとりあえず入れとけ的な感覚で使ってると、いつの間にかドロポンばっかりになってたりします。
そうですよね、波乗りは使いづらいし、他に実用的な水特殊技は熱湯くらいですかね。

ラピスのブラッキーの戦法は一部変わっています。
マゼンタ戦では完全に相手依存でしたが、今回はコスモパワーによってある程度は依存せずに戦えるようになっています。
本来ブラッキーはコスモパワーを覚えませんが何か使えそうなので採用しています。

そうなんですよ、こういう展開の時は毎回タイトルに悩みます。
一話分書き上げてもタイトルが思いつかずになかなか更新出来ないなんてこともあります。
例外はありますが、基本的にはより大きな動きがあった方のバトルからタイトルを持ってきています。
ですがどっちもあまり動きがない時とかは割と真剣に悩みますね。

なるほど、その手はなかなか使えそうですね。
自分はほぼシングルなんでダブル、トリプルは全く手をつけてません。
ムーンフォースは描写にかなり悩みましたね。ゲームの技説明も曖昧だし、最近のアニメもほとんど見ていないので。
そうですね、自分もカンタロウは「意外と頭脳派」キャラで書いてます。
前作とかの熱血キャラに慣れてる方から見ると意外かもしれないですね。
ちなみに設定上は現在のカンタロウはレオよりも強いです。まあ昔からの仲間も連れていますから当たり前と言えば当たり前ですが。

私立入試が終わったんで少し余裕が生まれましたね。本命は国公立ですけど。
勉強第一で、更新も少しづつゆっくり進めていくつもりです。

Re: 第百三話 無痛 ( No.221 )
日時: 2014/02/07 21:33
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: d1Bequrp)

ブレイブバードの直撃を受け、吹っ飛ばされたチェリムは、壁に激突し、戦闘不能となってしまう。
「チェリム、お疲れ様。休んでてねえ」
チェリムを労い、ボールに戻すサクラ。
「この子で最後ねえ。頼むわよお、カビゴン!」
サクラの最後のポケモンは、やはりカビゴン。
「ふん、そいつがいることは知っていると教えた上、最後のポケモンもゴーストタイプと教えてやったのに、それでもカビゴンを出すか」
「それで逆に貴方が負けちゃったらあ、すっごく恥ずかしくないかしらあ?」
「……まあいい。テイルーン、一旦戻れ」
ジンはボールを取り出し、テイルーンを戻すと、
「リーフィス、行ってこい」
先ほど戻したリーフィスを繰り出す。
同時に、フリーズしていた小型太陽が再び動き出す。
「にゃるほど、エース対決の前に、ちょっとでも削っとこうってわけねえ? 無駄よおそんなの! カビゴン、ギガスパーク!」
先に動いたのはカビゴン。
バチバチと音を立てて弾ける巨大な電撃の砲弾を作り上げ、リーフィスへと投げつける。
「リーフィス、ソーラービーム」
対してリーフィスは白い太陽光線を撃ち出すが、ギガスパークを押し返すことが出来ず、電気の砲弾がリーフィスに命中する。
「カビゴン、ぶち壊す!」
カビゴンがゆっくりとリーフィスに近づき、その腕を振り回す。
動きは遅いが、その分火力は非常に高い。
「リーフィス、大地の怒り」
カビゴンの拳が届くより早く、リーフィスは地面を揺らし、カビゴンの足元の床を割り、無数の瓦礫を飛ばし、カビゴンを上へと打ち上げる。
「リーフィス、ソーラービーム」
上空のカビゴンに向けて、リーフィスは太陽光線の如き白い光を撃ち出す。
その瞬間。
ジンは己のミスに気付いた。

「これはチャンスよお! カビゴン、ギガインパクト!」

上空に打ち上げられたカビゴンの重量級の体が、重力に従い、勢いをつけてリーフィスに襲い掛かる。
さらにその身には、凄まじい量のオーラを身に纏っている。
ソーラービーム如きでは押し返せるはずもなく、リーフィスはカビゴンの全力の一撃に文字通り叩き潰された。
カビゴンが立ち上がると、既にリーフィスは戦闘不能になっていた。
「打ち上げてくれて助かったわあ。あの体勢なら確実に攻撃出来るしねえ」
「リーフィス、戻って休んでいろ」
サクラの言葉は無視し、リーフィスをボールに戻すジン。
そしてすぐに、最後のボールを取り出す。
「行って来い、テイルーン」
ジンのエース、テイルーンが再び姿を現す。
「ふっふーん、これで最終戦ねえ」
楽しそうな笑みを浮かべ、サクラは目の前の敵を見据える。



ソライトの三番手は、ノーマルタイプの人工ポケモン、ポリゴン2。
「来たなポリゴン2。アブソル、行くぜ! 辻斬りだ!」
アブソルが先攻を取る。
一瞬でポリゴン2へと近づき、額の黒鎌を振り抜き、ポリゴン2を切り裂く。
「ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
だがポリゴン2は体勢を一切崩さず、周囲へと青白く煌めく爆風を放ち、アブソルを吹っ飛ばす。
大量を相当消耗していたアブソルは、この一撃で戦闘不能となった。
「アブソル、よくやった。ジバコイルを倒せば上出来だ」
レオはアブソルをボールに戻し、ポリゴン2を見る。
(そうだ、確かこいつは痛みを感じないようにプログラムされてるんだったな。これを意識しとかないと危ないかもな)
痛みを感じないと言っても、ダメージ自体は通るのだが、すぐに反撃されるのは厄介だ。
「とにかく、次はお前だ。頼んだぜ、へラクロス!」
レオの次のポケモンはへラクロス。ポリゴン2には効果抜群が取れるが、すぐに反撃が飛んでくるため油断は出来ない。
「行くぞへラクロス、まずは瓦割だ!」
翅を広げてへラクロスは飛ぶ。
ポリゴン2へと一気に近づき、大きな角を思い切り振り下ろす。
「ポリゴン2、十万ボルト!」
あろうことか吹っ飛ばされながらもポリゴン2は正確にへラクロスを狙って電撃を放ってくる。
「マジかよ……へラクロス、躱して岩雪崩!」
へラクロスは再び翅を広げ、大きく飛んで電撃を躱すと、ポリゴン2に狙いを定め、無数の大きな岩を落とし、ポリゴン2の動きを封じてしまう。
「瓦割だ!」
そこへへラクロスが突っ込む。
硬い角を思い切り振り下ろし、岩を粉々に砕き、勢いを衰えさせることなくポリゴン2に角を叩きつける。
「それくらいではやられませんがねえ。ポリゴン2、トライアタック!」
ポリゴン2の周囲に赤、青、黄の三色のエネルギーの玉が浮かぶ。
直後、その玉からそれぞれ三つの光線が撃ち出される。
「へラクロス、躱して襲撃!」
三本の光線を掻い潜り、ポリゴン2との距離を一気に詰めるへラクロスだが、
「ポリゴン2、ダイヤブラスト!」
それよりも早くポリゴン2が周囲に煌めく爆風を放ち、逆にヘラクロスを吹っ飛ばした。
「今です! ポリゴン2、破壊光線!」
ポリゴン2の口元が光を放つ。
刹那、轟音と共に凄まじい威力の赤黒い光線が撃ち出される。
「まずいっ! ヘラクロス、これは躱せ!」
吹っ飛ばされるヘラクロスは、それでも何とか空中で体勢を立て直し、間一髪で破壊光線を躱した。
「危ねえな、やってくれるじゃねえか」
「出来ればここ一番で、決め技として使いたかったのですが、タイミングを間違えてしまいましたね」
「残念だな。僕のポケモン達は、これくらいでやられるほど弱くないぜ」
「そうでなくては。仮にも我々N・E団の要注意人物なのですからね」
ヘラクロスが着地し、改めて体勢を立て直す。
感情のこもらないポリゴン2の無機質な瞳が、それをじっと見据える。



「エルレイド、サイコカッター!」
「フローリア、気合玉!」
ロフトとマゼンタの最後のポケモン同士の戦い、その二体はほぼ互角。
しかしエルレイドには決め手となり得るインファイトがあるため、少々マゼンタが不利。
エルレイドの放った念力の刃が、フローリアの放つ気合玉とぶつかり合い、相殺される。
「こうなれば! エルレイド、剣の舞だ!」
ここに来てエルレイドが再び積み技を使う。
戦いの舞により、攻撃力がさらに強化される。
「ほなうちも、フローリア、悪巧み!」
それに合わせ、フローリアも瞬時に脳を活性化させ、特攻をより強化する。
「行くぞ! エルレイド、インファイト!」
守りを捨て、エルレイドが特攻を仕掛ける。
「それだけは喰らわへんで! フローリア、アイスバーン!」
対するフローリアは氷の力を一点に集中、そして爆発させ、冷気の衝撃波を撃ち出す。
しかし、
「甘い! エルレイド、そのまま突っ込め!」
エルレイドは右拳の一撃で衝撃波を粉砕し、左の拳を握り締め、フローリアに殴りかかる。
「そこやで! フローリア、ハイドロポンプ!」
一瞬の隙を突いてフローリアはエルレイドの側面へ跳び、大量の水を噴き出す。
「ッ! エルレイド!」
咄嗟に左拳を突き出すエルレイド。
しかし大量の水に押し負け、吹っ飛ばされる。
「アイスバーン!」
「させん! サイコカッター!」
フローリアが追撃に放つ氷の衝撃波を、エルレイドは念力の刃を放ち、何とか防ぎ切る。
お互いに突破力が底上げされているこの勝負では、最早、先に攻撃を当てた方が勝ちという戦いになる。
「そろそろ決めるぞ! エルレイド、リーフブレード!」
自然の力を込めた両腕の刃を伸ばして構えを作り、エルレイドはじっとフローリアを見据える。
フローリアの動きを見る。少しでも隙を見せれば、次の瞬間には双刀がフローリアを切り裂く。
対して、マゼンタは迷わなかった。
こちらから出来ることは、攻撃を撃つことだけだ。
「フローリア、ハイドロポンプ!」
マゼンタがそう叫んだ直後、両者が動く。
エルレイドが一気に迫る。
水技に相性のいいリーフブレードは、ハイドロポンプを突っ切り、確実にフローリアを切り裂く。
はずだったのだが。

「フローリア、アイスバーン!」

フローリアはハイドロポンプをすぐに止め、すぐにアイスバーンに切り替える。
放たれた氷の衝撃波は、先に撃ち出されたハイドロポンプをあっという間に凍りつかせてしまう。
つまり。
ハイドロポンプを突っ切っていたエルレイドが、氷漬けになった。
「くっ……何だとッ……!?」
ロフトの表情に浮かぶのは驚愕。
対するマゼンタが浮かべるのは、勝ち誇った笑み。
「決めたるで! フローリア、アイスバーン!」
フローリアは氷の力を一点に集中させる。
それを瞬時に爆発させ、衝撃波を起こし、エルレイドを吹っ飛ばす。
「ッ、エルレイド!」
体を半分ほど凍りつかせ、エルレイドが地面に倒れる。
既に目を回し、戦闘不能になっていた。

Re: 第百四話 聖剣 ( No.222 )
日時: 2014/02/09 16:40
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: uY/SLz6f)

「エルレイド、よく頑張った。戻って休んでいろ」
エルレイドをボールに戻すと、ロフトはマゼンタの方へと向き直る。
「この戦いは私の負けだ。だがそれで我々に勝ったと思うなよ。ここにはまだ私と同等以上の力を持つ直属護衛、さらに天将の方々もいらっしゃるのだ。私一人に勝ったからと言って油断していると、痛い目を見ることになるぞ」
「忠告ありがと。で、ここにあんたらの戦力はあと何人おるん?」
「そこまで教えるほど、私は敵に甘くはない。さらばだ」
それだけ言って、ロフトは踵を返し、暗い通路の奥へと行ってしまう。



純白の光線が、ドンカラスを吹き飛ばした。
「ッ、ドンカラス!」
吹っ飛ばされた勢いをそのままに、後ろの壁へと叩きつけられる。
効果抜群の高威力の技を立て続けに喰らい、流石のドンカラスでも耐えられず、ここで戦闘不能になってしまう。
「ドンカラス、よォやっただ。休んどけ」
ドンカラスをボールに戻し、カンタロウはすぐさま次のボールを取り出す。
「こォなりゃ次はお前しかいねェだ! 羽ばたけ、プテリクス!」
カンタロウの三番手は、以前ケケのスカタンクを圧倒したプテリクス。
低く唸り、鋭い眼光でサーナイトを睨み、威嚇する。
「おっと、破天隊から報告のあったプテリクスってのはそいつだな」
「あ? ああ、この前の仮面男だか。確か破天隊直属護衛とか言ってただな」
「まあ、俺のポケモンに勝てるとは思えんがな! サーナイト、十万ボルト!」
両手を翳し、サーナイトは高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
「プテリクス、躱してドラゴンダイブ!」
プテリクスは上空へ飛び上がり、電撃を躱すと、龍の力を纏い、凄まじい殺気と共に急降下する。
だが。
「効かねえんだよなあ! サーナイト、サイコキネシス!」
プテリクスの全力の突撃は、サーナイトが片手を添えるだけで容易く止められてしまう。
そのままサーナイトは念力の波を放ち、逆にプテリクスを吹っ飛ばした。
「なるほど、ドラゴン技を無効化するだか! そげなら、プテリクス、ストーンエッジ!」
フェアリータイプにドラゴン技の効果がない事を瞬時に把握するカンタロウ。
そしてプテリクスは周囲に尖った岩を無数に浮かべ、一斉に撃ち出す。
「サーナイト、纏めて薙ぎ払え! サイコキネシス!」
襲い来る無数の岩を、サーナイトは強い念力を放ち、全て吹き飛ばし、
「シャドーボール!」
サーナイトが構えた両手から、影の弾が放たれる。
「躱して怒りの炎!」
二発の影の弾を躱し、プテリクスは憤怒の感情の如く燃え盛る業火を放つ。
「サーナイト、吹き飛ばせ! ムーンフォースだ!」
サーナイトが白い光を纏い、直後に純白の光線を撃ち出す。
襲い来る灼熱の業火は、ムーンフォースにまとめて吹き飛ばされるが、
「ストーンエッジ!」
間髪入れず、プテリクスの周囲から無数の尖った岩が撃ち出され、サーナイトの体に突き刺さる。
「おいてめえ! 俺のサーナイトに岩を突き刺すとは、よくもやってく」
「うるせえ! プテリクス、怒りの炎!」
セドニーの怒声は一蹴され、プテリクスは再び荒れ狂う灼熱の業火を放つ。
「サーナイト、サイコキネシス!」
サーナイトは強い念力を操り、強引に炎の動きを止めると、
「十万ボルト!」
反撃の高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
「プテリクス、怒りの炎!」
再びプテリクスは荒れ狂う灼熱の業火を放つが、十万ボルトが炎を突き破り、プテリクスを撃墜する。
「サーナイト、ムーンフォース!」
サーナイトの頭上に月のようや白い光の玉が浮かび、サーナイトが白い光に包まれる。
「そげなら、プテリクス、ゴッドバード!」
プテリクスも、神々しい白い光をその身に纏う。
「力を溜めてる隙に決めてやるぜ! サーナイト、やれ!」
刹那、サーナイトが純白の光線を放つ。
神の光を纏うプテリクスを、月の光が呑み込まんと迫る。



リョーマとラピスの戦いは、ラピスが優勢。
コスモパワーで耐久を上げ、さらにバークアウトでこちらの特攻を削ってくるブラッキーは、積み技の無いマンタインでは非常に戦いづらい。
加えて、先ほどブラッキーに毒々撃たれ、マンタインは猛毒を浴びている。
普通の毒と違い、時間が経つ毎にそのダメージが増えていくのだ。
「きっついな……マンタイン、アイアンヘッド!」
頭を鋼のように硬化させ、ブラッキーへと頭突きを繰り出す。
「ブラッキー、サイコキネシス」
対するブラッキーは強い念力を操り、念力の壁を作ってマンタインの攻撃を受け止める。
「種爆弾!」
マンタインはどこからか植物の種のような爆弾を無数に放つ。
ブラッキーに当たり、種が炸裂するが、既にコスモパワーを最大まで使っているブラッキーには対したダメージは入らない。
「ブラッキー、サイコキネシス」
再びブラッキーが念力を操る。
今度はマンタインに念力を掛け、その動きを封じ、
「投げ飛ばしなさい」
念力を操作し、マンタインを壁に向かって投げつけ、叩きつける。
「バークアウト」
「アイアンヘッド!」
さらにブラッキーは咆哮を放つが、マンタインはその咆哮を突っ切り、ブラッキーに鋼の如く硬化された頭突きを繰り出す。
しかしそれもダメージはあまり入らない。
「無駄よ。コスモパワーを六回、つまり最大まで防御と特防を高めたあたしのブラッキーには、どんな攻撃も通用しないわ」
「それでもやるしかねえんだよ。どの道ここでマンタインを戻してもその後の役割が持てねえ。少しでもそいつの体力を削る! マンタイン、ハイトロポンプ!」
マンタインは大量の水を噴き出すが、
「無駄だってば。ブラッキー、バークアウト」
特攻の下がったマンタインのハイドロポンプは、ブラッキーの咆哮の前に容易く打ち破られ、
「サイコキネシス」
念力を操作し、再びマンタインの動きを封じてしまう。
「もう決めてしまいましょう。ブラッキー、叩きつけなさい」
ブラッキーは念力を操り、マンタインを床に繰り返し叩きつける。
ブラッキーが念力を解くと、既にマンタインは毒と打撃によって体力を奪われ、戦闘不能になっていた。
「おいおい、何もそこまでするかよ? マンタイン、よく頑張った。後は任せとけ。こいつがお前の仇を取ってやる」
リョーマはマンタインの頭を撫で、ボールに戻すと、すぐに最後のボールを取り出す。
「さてこれで最後か。言うまでもねえが、一番最後に出て来るのは勿論俺のエースだ。覚悟して挑めよ」
「どうしてそんなに上から目線なのかしら。あたしに勝てるかどうかも怪しいのに」
「ハンッ、俺のエースに舐めてかかるのは結構だが、後悔しても知らねえぞ」
そして、リョーマが最後のボールを投げる。

「行くぜ相棒! 出て来い、ブレイオー!」

リョーマの最後のポケモンは、鋼の体を持つ、獣人のようなポケモン。
同じ獣人型のポケモン、ルカリオとやや似ているが、あちらと違い、顔は怪獣に近い。
高さはリョーマより少し低いほど。最大の特徴は、右手にある金色の剣。
剣道ポケモンのブレイオー。鋼・格闘タイプ。
「さあ、ブレイオー、久々にガチで戦える相手が来たぜ」
リョーマの言葉に、ブレイオーは頷き、右手の剣を構える。
「確かにタイプ上は有利みたいね。だけど、耐久力が最大まで上がったあたしのブラッキーに、どうダメージを与えるつもりかしら」
「俺のブレイオーの前では、そんなもん関係ねえんだよ」
それを聞き、ラピスは呆れたようなため息をつく。
確かにラピスの言う通りだ。いくらブレイオーが格闘技を持っていようと、今のブラッキーに致命傷は与えられない。
「根性論者かしら? それとも馬鹿なだけ? まあいいわ。ブラッキー、サイコ——」

「ブレイオー、聖なる剣!」

一瞬だった。
ブレイオーが一歩進み出たかと思うと、次の瞬間には、ブラッキーの横を通り過ぎ、右手の剣でその黒い体を切り裂いていた。
ブレイオーが構えを解いたと同時に、ブラッキーがその場に倒れる。
「ッ!? ブラッキー……?」
ブラッキーは目を回し、戦闘不能となっていた。
「だから言ったじゃねえかよ、覚悟して挑めってよ」
リョーマの表情に、勝ち誇った笑みが浮かぶ。
「聖なる剣の前では能力変化は意味をなさねえ。そんな小細工、聖なる剣の前では通用しねえんだよ」
聖なる剣は、相手の能力変化を無視して攻撃する技。
そのため、コスモパワーで上昇した防御が無視されたのだ。
「多少はやるみたいね。ブラッキー、よくやったわ。休んでなさい」
ブラッキーをボールに戻し、ラピスは最後のボールを取り出す。
そのボールには内部のものを封印するように二重の鎖の模様が描かれ、今、その鎖は紫色の光を放っている。
「それが噂の『覚醒』だな。楽しみじゃねえか」
「余裕でいられるのも今のうちよ。確かに今のは意表を突かれたけど、あたしの最後のポケモンの前ではそんなもの意味をなさないわ」
ラピスが最後のボールを掴み、前へ突き出す。
「夜天を司るあたしに与えられたのは、闇に蠢く霊の力。怨念をその身に受け、苦しみ抜いて地に伏せなさい」
ラピスの瞳が、冷たい紫の光を湛えるその瞳が、カッと見開く。

「夜天の闇に蠢け、ネクロシア!」

ラピスの最後のポケモンは、ロフトも使っていたネクロシア。
しかし彼女の個体と比べ、こちらの個体はより異形だった。
無数の瞳は充血し、赤い残光を放ち、爪はより長く、下半身の鎌はより鋭い。
並の人間なら、その姿を見ただけで畏怖し動けなくなるほどの悍ましさがある。
「なるほどな。それがお前のエースか」
しかし、それほどまでの恐ろしさを放つネクロシアを見ても、リョーマは顔色一つ変えない。
寧ろ強者との戦いを楽しむような笑みを浮かべ、ネクロシアを見据える。
「やってやろうぜ、ブレイオー。天将三位の切り札に勝てれば、こっちのモチベーションも上がるってもんだ」
「今のうちに余裕を味わっておきなさい。すぐに恐怖のどん底に叩き落としてあげるわ」
両トレーナーの言葉と共に。
片方は黄金の剣を、片方は漆黒の爪を構え、互いの敵と対峙する。

Re: 第百五話 狩人 ( No.223 )
日時: 2014/02/10 21:50
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)

「テイルーン、十万ボルト」
先攻を取ったテイルーンが、高電圧の電撃を撃ち出す。
「カビゴン、ぶち壊す!」
対してカビゴンは右拳を突き出し、電撃を弾き飛ばすと、
「ギガスパーク!」
左手に電気を集め、破裂音を立てるほどの強力な電撃の砲弾を作り上げ、それを投げつける。
「テイルーン、躱せ」
しかしテイルーンはふわりとした動きで容易く砲弾を躱してしまう。
「見た感じ火力と耐久だけのようだな。緋天将のフィニクスのような火力バカには強いが、俺のテイルーンのスピード型にとっては脅威でも何でもないぞ」
「あらあ? 仮にも身分が上の人のエースをバカなんて言っちゃっていいワケぇ?」
「俺は別に緋天将の部下ではない。奴の何を言おうが俺の勝手だ」
「ガーネットちゃんが聞いたらブチ切れそうだけどねえ。カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが腕に水を纏う。
鈍重そうな見た目に反し、一気にテイルーンの所まで飛び上がると、水飛沫を撒き散らしながらその腕を振るう。
「遅い。テイルーン、躱してサイコバーン」
だがテイルーンは振り下ろされる直前にその腕の下をくぐり抜け、スプラッシュを躱し、念動力を爆発させて衝撃波を飛ばす。
「甘い甘い! カビゴン、スプラッシュ!」
だがカビゴンは吹っ飛ばされなかった。
それどころか体勢すら殆ど崩さず、水を纏ったままの腕をアッパーのように突き上げ、テイルーンを吹っ飛ばす。
「なるほど、そう来るか」
「まあねえ。見た感じ、そのテイルーンは総合的には貴方の手持ちで一番強いんだろうけどお、火力はさっきのリーフィスの方が高いみたいねえ。それくらいの攻撃なら、カビゴンは余裕で受けられるわよお」
あんまり甘く見ないでよお、とサクラは続ける。
「その程度で勝ったつもりか? とことん甘い思考回路だな」
「その甘い思考回路相手に一体一まで追い詰められてるのは貴方だけどねえ」
ジンの蔑みを、サクラはのらりくらりと躱していく。
「カビゴン、ぶち壊す!」
カビゴンが右腕を振り回し、全力の拳の一撃を放つ。
「テイルーン、躱して十万ボルト」
それをテイルーンは後ろに下がって躱すと、その位置から高電圧の電撃を放つ。
「カビゴン、躱してスプラッシュ!」
カビゴンはあろうことか大ジャンプし、電撃を躱すと、今度は腹部全体に水を纏い、テイルーンを押し潰さんと迫る。
「テイルーン、躱してサイコバーン」
それでもテイルーンは持ち前のスピードでスプラッシュの範囲内から逃れ、カビゴンが床に落ちた隙を狙って念力の爆発の衝撃波を叩きつける。
「今のを避けるなんて、なかなかやるわねえ」
「寧ろ今の程度の攻撃で当たると思っていたのか?」
「正直当たると思ってたわあ。カビゴン、ギガスパーク!」
カビゴンの両手に電気が集まり、バチバチと音を立てる電撃の砲弾が作り上がる。
それを順番に投げつけ、二発の電撃の砲弾がテイルーンに襲い掛かる。
「テイルーン、躱して十万ボルト」
しかしそれもテイルーンは砲弾の隙間を掻い潜って躱し、高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
耐久力の高いカビゴンとて無敵ではない。
少しづつだがダメージは蓄積され、限界を超えれば倒れてしまう。
「あんまり弱音は吐きたくないけど、ちょっと厳しいわねえ……カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが右腕に水を纏わせ、水飛沫を上げながらその腕を叩きつける。
だがやはりテイルーンの動きを捉えられず、スプラッシュは空振りに終わる。
「テイルーン、サイコバーンだ。奴を転倒させろ」
ここでテイルーンはカビゴンの懐へと突っ込み、足元まで一気に距離を詰め、念力を爆発させた衝撃波をカビゴンの足へと放つ。
短い足に衝撃波を受け、カビゴンが体勢を崩し、そのまま背中から転倒する。
「これは……! カビゴン、起き上がって! 追撃が来るわよお!」
うつ伏せならまだ起き上がれるのだが、背中から倒れてしまったため、手足がなかなか届かず、上手く起き上がれないのだ。
「テイルーン、十万ボルト」
そしてその隙を逃すほどジンは甘くない。
高電圧の強力な電撃を撃ち出し、カビゴンにまともに命中する。
「行け。テイルーン、ブレイブバード」
テイルーンの背中を覆う雲が、鳥の形になる。
激しいオーラを纏い、転倒と電撃の痺れで上手く起き上がれないカビゴンに標的を向け、全力で突貫する。
ようやくカビゴンは起き上がったが、そこからブレイブバードを躱す術は無い。
テイルーンの突貫が、カビゴンの腹に直撃した。



「ポリゴン2、トライアタック!」
ポリゴン2の周囲に三色の光の玉が浮かび、炎・氷・電気を模した三色の光線が放たれる。
「へラクロス、躱して瓦割!」
へラクロスは翅を広げ、上空へ飛んで光線を躱すと、硬い角をポリゴン2へと叩きつける。
「ポリゴン2、十万ボルト!」
ポリゴン2は高電圧の強力な電撃を放ち、へラクロスを迎撃する。
角と電撃が競り合うが、次第にへラクロスが押されていき、やがてへラクロスが吹き飛ばされる。
「今です、ポリゴン2、破壊光線!」
へラクロスの隙を逃さず、ポリゴン2は赤黒く光る必殺の光線を撃ち出して来る。
「またこれか! だったらこっちにも考えがあるぜ。へラクロス、行くぞ!」
吹っ飛ばされたへラクロスだが、素早く受け身をとって起き上がる。
すぐそこには、極太の破壊光線が迫る。

「勝負かけるぞ! へラクロス、最大パワーで瓦割!」

破壊光線に合わせ、へラクロスは渾身の力を込め、大きな角を思い切り破壊光線に叩きつける。
「無駄です。十万ボルトにすら打ち負けた瓦割で、破壊光線に対抗するなど不可能ですよ。それくらい分かるでしょう?」
実際。
へラクロスの最高火力を以ってしても、破壊光線を押し返せていない。
ソライトの予想通り、すぐに破壊光線がへラクロスを押し戻している。
十秒もしないうちに、へラクロスが吹っ飛ばされた。
だが。
「どうかな」
レオの表情に浮かぶのは小さな笑み。
「やってみなきゃ、無駄かどうかはわかんないぞ!」
破壊光線を止める必要は無い。へラクロスが倒れない程度に威力を削げば、それで上等だ。
吹っ飛ばされたへラクロスは、空中で体勢を整える。
すぐ後ろの壁を蹴り、翅を広げ、ポリゴン2に突っ込む。
ここで。
「……まさか」
ソライトがようやくレオの作戦に気付く。
レオが注目したのは、破壊光線のその性質だった。
破壊光線はノーマルタイプ最強の大技。
しかし、その強力さが災いし、攻撃を命中させた場合、反動でしばらく動けなくなってしまう。
レオはその隙を突いた。
いくら即座に反撃を撃てるポリゴン2でも、攻撃の反動には逆らえない。
そして、その反動は、レオにとってこれ以上無いまでのチャンスとなる。
「狙い通りだぜ! へラクロス、もう一回、最大パワーで瓦割だ!」
ポリゴン2との距離を一気に詰め、もう一度へラクロスは渾身の力を振るい、大きく硬い角を全力でポリゴン2に叩きつけた。
効果抜群の一撃が見事に直撃し、ポリゴン2は吹っ飛ばされる。
「まだです! ポリゴン2、トライアタック!」
ようやくポリゴン2の反撃が消える。
周囲に三色の玉を浮かび上がらせるが、
「遅えんだよ! へラクロス、襲撃だ!」
ポリゴン2の目の前に瞬時に迫ったへラクロスが、角を横薙ぎに振るい、ポリゴン2を叩き飛ばす。
壁に激突したポリゴン2は、そのまま地面に落ち、動きを止め、戦闘不能となった。
「流石ですね。ポリゴン2、よく頑張りましたね」
ソライトはポリゴン2をボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「さてと、貴女をバトルで使うのは久し振りですね」
その言葉はボールの中のポケモンへのもの。
ボールに描かれた二重の鎖は、蒼い光を放っている。
同時に、ソライトの瞳が輝きを増す。
「想像はついているでしょうが、私の最後のポケモンは水タイプ。荒れ狂う大波を巻き起こし、貴方を敗北へ引きずり込んで差し上げましょう」
ソライトが、最後のポケモンを繰り出す。

「蒼天に嵐を起こせ、オールガ!」

ソライトの最後のポケモンは、鮫やシャチに似たポケモン。
体は深海のように深い青、額には角が生えており、その赤い眼光は非常に鋭い。
口を開けば、びっしりと鋭利な牙が生え揃っている。
オールガ、シャチポケモン。水・悪タイプ。
場に出るや否や、オールガは大気を震わす程の大きな咆哮を上げる。
「ッ……!」
思わず耳を塞ぐレオ。
咆哮によってソライトの後ろのガラスの壁が振動し、次々と砕ける。
「水タイプってとこまでは想像通りだけど……まさか典型的なアタッカーとは思ってなかったな」
まだそうと決まったわけではないが、このオールガは小細工を仕掛けて来るようなタイプでは無い。
瞳に赤い光を滾らせ、対峙する敵を睨みつける。
その赤い目は狩人の目。いざバトルが始まれば、小細工無しに襲い掛かってくるだろう。
だが、レオはそれくらいで怯む男ではない。
「行くぞ、へラクロス。こいつを倒せば、僕らの勝ちだ」
レオの言葉に応えるように、へラクロスは角を振り回し、一歩進み出る。
「オールガ、手加減は必要ありません。ただ目の前の邪魔者を蹴散らすだけでいいのです。貴女の一番の得意分野でしょう?」
こちらもソライトの言葉に応えるように、オールガは再び天に向かって咆哮する。

Re: 第百六話 剣豪 ( No.224 )
日時: 2014/02/15 20:59
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: .1vW5oTT)
プロフ: ミスでサーナイトの技が五つになってます。今回は見逃してやってください。

純白の光線が、プテリクスに直撃する。
月の光に呑み込まれ、プテリクスの姿が見えなくなってしまう。
だが。

「プテリクス、ゴッドバード発動!」

刹那、月の光が薙ぎ払われ、消滅した。
代わりに光り輝くのは、プテリクスを覆う神の光。
その光は巨大な鳥の形に姿を変え、直後、プテリクスがその光を纏い、凄まじい速度で突貫する。
「こいつのゴッドバードに勝てると思っただか? プテリクス、ぶっ飛ばすべ!」
サーナイトが回避する隙も与えず、巨大な光の鳥がサーナイトに激突した。
サーナイトは後ろへ吹っ飛ばされ、壁に打ち付けられて遂に戦闘不能となる。
「……! サーナイト、大丈夫か? このバトルが終わればすぐに回復させてやるから、しばらく休んでな」
先程までのセドニーからは想像も出来ないような優しい声をサーナイトにかけ、ボールに戻し、すぐに次のボールを繰り出す。
「仇を取ってこい、フワライド!」
セドニーの三番手は、やはりフワライド。
「やっぱりフワライドか。そいつの情報がほとンどねェから、ここで仕入れさせて貰うだ」
「そういやこいつをお前らとのバトルで使うのは初めてだな」
確かに、このフワライドだけはその存在以外の事前情報が全く無かった。
「まあ何にせよ、オラがやることは変わンねェだがな! プテリクス、ストーンエッジ!」
相手が飛行タイプなら好都合。プテリクスが周囲に無数の尖った岩を浮かべ、一斉に撃ち出す。
対して、
「フワライド、ゴーストダイブ!」
フワライドの姿が消えた。
何処かに隠れた、などの話ではない。
一瞬ののちには、その場から消えたのだ。
「ッ!? ゴーストダイブ……?」
聞いたことのない技だが、何か嫌な予感がする。
(ゴーストダイブ……シャドーダイブと似た技名だが……)
カンタロウがそこまで考えついた瞬間。
何もなかったはずの空間から突如フワライドが飛び出し、その腕をプテリクスに叩きつけ、地面へと撃墜する。
「ッ、やっぱシャドーダイブと同じだか」
「まあな。一瞬でその場から消え、しばらく間を置いて虚空から現れ敵を攻撃する。分かってても防げるもんじゃねえぜ」
「……お前本当に最弱だか? オラにはとてもそォは見えねェだが」
「ポケモンの力的にはな。加えて他の奴らは俺の戦い方を熟知してるから、総合的に見りゃ俺が最弱になっちまう」
だが裏を返せば、初めて戦う相手には強いということ。
サーナイトのフェアリータイプや、フワライドのゴーストダイブなどは、確かに初見の相手には厳しいだろう。
「その点お前は何なんだよ。俺のサーナイトのタイプ変更を見抜き、フワライドのゴーストダイブをすぐに理解した。N・E団のメンバー以外でお前みたいな切れ者に会ったのは初めてだぜ」
「ハンッ、そりゃありがてェだな。だが無駄話はここまでだべ。プテリクス、怒りの炎!」
地面へと落ちたプテリクスだが、硬い体のおかげで衝撃は少ない。
すぐに荒れ狂う灼熱の業火を放ち、反撃する。
「フワライド、ハリケーン!」
フワライドは嵐のような暴風を巻き起こし、炎を纏めて吹き飛ばし、
「サイコキネシス!」
念力を操り、波として撃ち出す。
「プテリクス、ストーンエッジ!」
プテリクスは空へと再び舞い上がると、尖った岩を一斉に放ち、念力を相殺し、
「ドラゴンダイブ!」
さらに上へと飛び上がり、龍の力を身に纏い、凄まじい殺気と共に急降下する。
「フワライド、ゴーストダイブ!」
しかしプテリクスの一撃が直撃する寸前、フワライドは消えた。
標的を見失い、プテリクスはそのまま地面へ激突する。
プテリクスが起き上がった瞬間を狙い、フワライドが現れ、プテリクスに襲い掛かる。
「プテリクス、ストーンエッジ!」
フワライドの襲撃を受けるが、それでもプテリクスは踏みとどまり、尖った岩を撃ち出して反撃、フワライドに岩を突き刺した。
「プテリクス、もう一度だべ!」
再びプテリクスは周囲に岩を浮かべ、フワライドに向けて一斉に撃ち出す。
体勢の整わないフワライドに、再び無数の岩が突き刺さる。
その寸前。

「甘い! フワライド、小さくなる!」

フワライドの体が、空気が抜けたように一気に縮小化した。
その大きさは、先程の四分の一ほど。
小さくなったフワライドの体は、上手く岩と岩との間を潜り抜け、無傷でストーンエッジをやり過ごした。
しかも、大きさは元に戻らず、そのままである。
「俺のフワライドの一番の技、小さくなるだ。文字通り小さくなるだけだが、それだけで攻撃は躱しやすくなる。勿論火力は変わらないぜ」
確かにセドニーの言う通りだ。
周り全体への攻撃ならともかく、特にストーンエッジのような攻撃では、フワライドの動きを捉え辛くなるだろう。
しかし、その一方で。
カンタロウは、これを寧ろ好機と見ていた。
(ハッ、やっぱ所詮は最弱だか。確かに小さくなるはストーンエッジに対して相性さええが、プテリクスがさっき使った技さお前はもォ忘れただか)
表情には出さず、カンタロウは心の中で静かに笑う。



双方が同時に動いた。
「ブレイオー、リーフブレード!」
「ネクロシア、シャドークロー」
ブレイオーは右手の剣に自然の力を込め、ネクロシアは黒く鋭い影の爪を右手に纏い、前方へ跳び出す。
お互いの斬撃が交錯し、金属のこすれたような音が鋭く響く。
「ブレイオー、メタルブラスト!」
すぐさま振り返り、ブレイオーは鋼エネルギーを一点に集め、砲撃を放つ。
「ネクロシア、スプラッシュ」
対してネクロシアは下半身の鎌に水を纏い、その場で一回転しながら鎌を振り抜き、砲撃を両断、さらに、
「サイコバレット」
念動力を実体化させ、それを無数の銃弾に変えて撃ち出す。
「ブレイオー、聖なる剣!」
ブレイオーは剣を振るい、襲い来る銃弾を全て斬り裂き、撃ち落とし、
「ストーンエッジだ!」
周囲に尖った岩を浮かべ、一斉に放つ。
「ネクロシア、もう一度サイコバレット」
対してネクロシアは再び念動力の銃弾をマシンガンのように撃ち出し、ストーンエッジを相殺する。
「ブレイオー、リーフブレード!」
一歩前へ進み、剣に自然の力を込め、一気にブレイオーが跳ぶ。
「ネクロシア、ギガスパーク」
ネクロシアは素早く後ろへと退き、巨大な電撃の砲弾を放ち、ブレイオーの行く手を阻む。
ブレイオーの剣に砲弾は真っ二つに斬られるが、ネクロシアには届かない。
「まだ終わらねえぜ! メタルブラスト!」
「こっちも同じよ。シャドークロー」
ブレイオーが鋼エネルギーの砲撃を放つが、ネクロシアはそれを躱し、一瞬でブレイオーとの距離を詰め、鋭い影の爪を振り抜き、ブレイオーを切り裂く。
「リーフブレード!」
ブレイオーは体勢を崩さなかった。
シャドークローをその場で耐え、自然の力を込めた剣を振る。
ネクロシアは素早く後ろへと下がるが、剣先がネクロシアを掠めた。
「メタルブラスト!」
勢いをそのままにブレイオーは一歩前へ踏み出し、左腕を翳し、鋼エネルギーの砲撃を放つ。
「それは効かないって分かってるでしょ。ネクロシア、スプラッシュ」
ネクロシアは下半身の鎌に水を纏い、それを縦に振るって砲撃を両断するが、
「同じ手は通用しねえぜ? ブレイオー、リーフブレード!」
すぐそこにブレイオーが迫っていた。
自然の力を溜め込み、淡く光る黄金の剣が、今度こそネクロシアを捉えた。
「……ネクロシア、立て直しなさい。サイコバレット」
「そんな隙やらねえよ! ブレイオー、メタルブラスト!」
ネクロシアは起き上がるが、攻撃を放つよりも早くブレイオーが鋼エネルギーの砲撃を放出する。
「っ、ネクロシア、シャドークロー!」
ラピスの声に僅かに焦りがこもる。
ネクロシアは両手に黒い影の爪を纏い、襲い来る砲撃に正面から爪を突き刺し、ダメージを最小限に抑える。
「休む隙なんかやらねえぞ! ストーンエッジだ!」
ブレイオーの周囲に尖った岩が浮かび、ブレイオーが左手を突き出すと共に一斉に撃ち出される。
「鬱陶しいわね……ネクロシア、サイコバレット」
ネクロシアは念力を実体化させ、マシンガンのように念力の銃弾を撃ち出し、岩を次々と破壊していく。
だが、
「リーフブレード!」
ストーンエッジの真ん中を突っ切るように、剣を構えたブレイオーが突っ込んで来る。
サイコバレットを剣で捌き、撃ち落とし、その切っ先をネクロシアへ向けて突き刺す。
「受け止めなさい! ネクロシア、シャドークロー!」
ラピスの声が次第に大きくなっていく。
右手の爪に黒い影を纏い、ブレイオーのリーフブレードを正面から受け止める。
さらに左手にも影が宿る。
拮抗して両者迂闊に動けない隙を狙い、黒い爪を突き刺そうとするが、
「読めてるぜ! メタルブラスト!」
ブレイオーの方が動きが早かった。
翳した左手から鋼エネルギーの砲撃が放たれ、ネクロシアを吹っ飛ばす。
(馬鹿な……圧倒的に押されてる。N・E団三位の、覚醒状態のあたしが、押されてるなんて……!)
薄々、ラピスは気付いていた。
目の前にいる、リョーマという男。
そして、彼の操るポケモン、ブレイオーの、戦慄を覚えるほどの飛び抜けた実力に。
(認めたくはないけど、これは認めざるを得ないわね……)
正直な所、ラピスはリョーマを甘く見ていたところはあった。
情報が殆どないとは言え、覚醒状態でN・E団七天将三位の自らの力を持ってすれば、恐れる相手ではないと考えていた。
しかし、違う。
確かに今のラピスの力は全力の半分ほどだが、それでも分かる。
この目の前の男は、その実力は、まさに本物だった。


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