二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: 第百五十一話 一角 ( No.295 )
日時: 2015/02/25 11:43
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「エルレイド、サイコカッター!」
エルレイドが両腕の刃に念力を纏わせ、念の刃を連続で二発放ち、さらにその刃を追うように飛び出す。
「グライオン、スカイアッパー!」
グライオンも両腕の鋏を振り上げ、刃を粉砕するが、
「リーフブレード!」
淡い光を放つ刃を構えたエルレイドがすぐそこまで迫る。
「グライオン、受け止めなさい!」
両鋏で刃を挟み、グライオンはエルレイドの刃を何とか受け止める。
「ならばエルレイド、インファイト!」
エルレイドは両腕を振り下ろし、グライオンを床へ叩きつける。
その衝撃でグライオンの鋏を引き剥がし、間髪入れずに苛烈な連続攻撃を叩き込み、最後に渾身の拳の一撃でグライオンを吹き飛ばす。
効果今一つだが、剣の舞により攻撃を高めているその火力は相当なものだ。
「グライオン、反撃ですよ! 地震です!」
グライオンは立ち上がると、尻尾を床に叩きつけて地面を揺らし、衝撃波を飛ばす。
「エルレイド、躱してリーフブレード!」
大きく跳躍し、エルレイドは衝撃波を躱す。
両腕の刃を伸ばし、上空から斬りかかろうとするが、
「グライオン、アクロバット!」
グライオンは軽やかな動きで一気にエルレイドの背後まで回り、鋏を振り抜く。
「っ、エルレイド、後ろだ!」
空中で腕を後ろに振るい、どうにかグライオンの鋏を止めるが、
「スカイアッパーです!」
続くもう片腕の鋏には対応出来ず、アッパーを食らって打ち上げられる。
「グライオン、もう一度アクロバットです!」
吹き飛ぶエルレイドに先回りし、グライオンは今度こそ鋏を振り下ろし、エルレイドを叩き落とす。
「グライオン、地震!」
すぐさまグライオンは急降下し、床に落ちたエルレイドへ鋏を叩きつける。
「そうはいかない! エルレイド、リーフブレード!」
床に倒れたままエルレイドは両腕の刃を伸ばし、身を守るように腕を交差させ、どうにかグライオンの鋏を食い止める。
「グライオン、アクロバット!」
「エルレイド、サイコカッター!」
グライオンが立ち上がったエルレイドの背後まで回るが、エルレイドは鋏を躱し、念力を纏った刃でそのまま斬りかかる。
「グライオン、スカイアッパー!」
グライオンは右鋏を勢いよく振り上げ、エルレイドの刃を迎え撃つ。
激しく拮抗するが、威力は互角。やがてお互いに一旦離れる。
「そろそろ決めたいところだな! エルレイド、リーフブレード!」
「真っ向勝負ですか! グライオン、スカイアッパー!」
エルレイドが両肘の刃を伸ばし、自然の力を込めた淡く光を放つ刃を携え、床を蹴って飛び出す。
対するグライオンも両鋏を固く閉じ、翼膜を開き、一直線に飛ぶ。
お互いの技が、正面から激突する。
まさにその直前。

「グライオン、アクロバット!」

尻尾で床を蹴って飛び上がり、グライオンはエルレイドの刃を躱す。
「……っ! エルレイド、後ろだ!」
咄嗟にロフトが指示を出すが、時すでに遅し。
空中で宙返りし、背後を取り、両鋏でエルレイドを叩き飛ばした。
効果抜群の一撃を食らい、エルレイドは吹き飛ばされて床に落ちる。
目を回し、既に戦闘不能となっていた。



「マニューラ、氷柱落とし!」
マニューラが打ち上げた冷気が無数の氷柱となり、体勢を崩したテイルーンに降り注ぐ。
「テイルーン、全て躱せ」
少しふらついていたテイルーンだが、それでも持ち前のスピードを生かし、氷柱を次々と躱していく。
しかし、
「マニューラ、辻斬り!」
一本の氷柱に乗ったマニューラが、鉤爪をテイルーンへ突き刺す。
「サイコパンチ!」
さらにマニューラは拳に念力を纏わせ、動きが止まったテイルーンを殴り飛ばす。
「……テイルーン、立て直せ。十万ボルト」
「遅い! マニューラ、辻斬り!」
テイルーンがマニューラから距離を取り、高電圧の強烈な電撃を放とうとする。
しかしそれよりも早くマニューラがテイルーンとの距離を詰め、その鉤爪を振りかざす。
「テイルーン、躱してブレイブバードだ」
十万ボルトを中断し、テイルーンは素早く後ろへ退き、背後の雲を鳥の形に変えると共に青い炎のオーラを纏い、マニューラへ突貫する。
スピード特化のマニューラでも流石に躱せず、直撃を受けて吹き飛ばされる。
「テイルーン、十万ボルト」
「マニューラ、サイコパンチ!」
吹き飛ばされたマニューラは受身を取って起き上がり、撃ち出された高電圧の電撃を、念力のこぶしで迎え撃つ。
「テイルーン、影撃ちだ」
「マニューラ、もう一度サイコパンチ!」
影に身を隠し、テイルーンはマニューラの背後から襲撃を仕掛ける。
だがそれを予測していたマニューラは拳に念力を纏わせ、テイルーンの攻撃を受け止める。
「だんだん余裕が無くなって来てるんじゃない? マニューラ、氷柱落とし!」
大きく跳躍し、マニューラは冷気を放って無数の氷柱を落とす。
「テイルーン、ブレイブバード」
青い炎のオーラを纏い、テイルーンは降り注ぐ氷柱の中へ突撃する。
氷柱を突破し、その上にいるマニューラ諸共吹き飛ばす。
「あら、そう来るのね」
はずだったのだが。

「いくつか反撃を予測していたけど、その手はちょっと悪手じゃないかしら?」

氷柱の上に、マニューラはいなかった。
「マニューラ、辻斬り!」
ジンがそれに気づいた、その刹那。
マニューラが飛び出し、一瞬で両手の鉤爪を二度振るう。
狙い澄ました鉤爪で切り裂かれ、テイルーンはゆっくりと地に落ちる。
床に着いた時には、既にテイルーンは戦闘不能だった。
「……ここまでか。テイルーン、戻って休め」
テイルーンをボールに戻し、ジンはアスカの方を向きもせず、そのまま立ち去ろうとするが、
「待ちなさいよ」
マニューラを控えさせたまま、アスカが詰め寄る。
「倒した敵をここで逃すわけないでしょ。ここで捕まってもらおうかしら」
「……」
少しだけジンはアスカの方を振り返り、懐から小さな機械を取り出し、そのボタンを押す。
直後。
天井から鉄の壁が落ち、アスカとジンを分断してしまう。
「っ! 出て来なさいゴウカザル、気合玉! マニューラ、サイコパンチ!」
咄嗟にアスカはゴウカザルを繰り出し、気合玉を撃たせ、さらにマニューラも念力の拳を飛ばす。
鉄の壁が音を立てて崩れ落ちるが、すでにジンはどこにもいなかった。



「ミカルゲ、岩石封じだ!」
オニゴーリの行く手を遮るように、ミカルゲは何重にも岩をばら撒く。
「それくらいで止められると思ってんのかぁ!? オニゴーリ、突き進め!」
立ち塞がる岩をいとも容易く噛み砕き、オニゴーリはその奥にいるミカルゲへ一直線に突き進む。
しかし、
「影撃ちだ!」
その岩の先にはすでにミカルゲはいない。
オニゴーリの背後から姿を現し、襲い掛かる。
「効かねえっつってんだろうが! オニゴーリ、氷柱落とし!」
「ふふ、だがダメージが通っていないわけではないだろう? ミカルゲ、不意打ちだ!」
オニゴーリが攻撃に入る直前、ミカルゲがオニゴーリの背後に回り、一撃を浴びせる。
だがオニゴーリは怯まず上空に冷気を打ち上げる。
冷気は急速に凝固して無数の巨大な氷柱となるが、今回オニゴーリが打ち上げた冷気はオニゴーリの真上。
「そいつを逃がすなよ! オニゴーリ、噛み砕く!」
要石に噛みつき、オニゴーリはミカルゲの動きを止める。
つまり。
巨大な氷柱が、ミカルゲだけでなくオニゴーリ本人にも襲い掛かってくる。
オニゴーリの顎から抜け出せず、ミカルゲに氷柱が次々と突き刺さる。
同時に、オニゴーリにも氷柱の雨が打ちつけられる。
「オニゴーリ、吹き飛ばせ! ダイヤブラスト!」
無数の氷柱を浴びても、オニゴーリは体勢を崩さない。
口を開くと同時に青白く煌めく爆風を周囲へ放ち、ミカルゲを吹き飛ばす。
「道連れもあるからな、倒し切らない程度にじわじわ追い詰めてくぜ。氷柱落とし!」
オニゴーリがミカルゲの真上に冷気を打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
「むぅ、ミカルゲ、影撃ち!」
すぐに回避は出来ないこの体勢で、ミカルゲが出来る行動はこれしかない。
影を伸ばして潜り込み、氷柱を躱し、オニゴーリの背後から

「絶対零度!」

姿を現したその瞬間。
オニゴーリが振り向き、絶対零度の氷の砲弾を放つ。
着弾した刹那、周囲が凍りつき、ミカルゲを絶対零度の氷の中に閉じ込めてしまう。
「一丁上がりだ。あんなこと言ってた直後に絶対零度を使ってくるとは思わなかっただろ? これだからこういう騙し討ちはやめらんねえぜ。ギャヒャヒャヒャ!」
満足そうにメジストは高笑いする。
「むー、これは一本取られたよ。ミカルゲ、よくやった。ゆっくり休んでいろ」
ミカルゲをボールに戻し、セイラは新しいエースが入った、最後のボールを手に取る。
「さて行くか。相手は強敵だが、確実に勝ってくれよ」
モンスターボールが、開く。

「こいつに勝てるか? 出て来い、ヒョウカク!」

セイラの最後のポケモンは、白く美しい体に、銀色に輝く長い尾ビレを持つ魚のようなポケモン。
頭部は非常に硬く、額からは金色の鋭く長い角が生えている。
一角ポケモンのヒョウカク。氷タイプだ。
「ヒョウカクか。珍しいポケモンだが、オニゴーリとの相性がいいわけでもねえ。どれくらいの力があるのか、見せてもらおうじゃねえか」
「ふふ、いいだろう。ヒョウカク、ドリルライナー!」
ヒョウカクが動く。
尾ビレで床を蹴って飛び上がり、ドリルのように高速回転しながら突撃する。
「正面突破なら好都合! オニゴーリ、絶対零度!」
だが。
オニゴーリが絶対零度を放つ隙など与えず、ヒョウカクのドリルの如く重い一撃がオニゴーリを捉え、吹き飛ばした。
「っ、速え……! オニゴーリ、ダイヤブラスト!」
「そうはさせない。ヒョウカク、吹雪!」
オニゴーリが体勢を整え、青白く煌めく爆風を放つが、ヒョウカクが放つ猛烈な吹雪に掻き消され、
「もう一度ドリルライナー!」
次の瞬間には、高速回転するドリルの如き勢いでヒョウカクが突撃し、オニゴーリに迫って来る。
顔のど真ん中に直撃し、オニゴーリは再び吹っ飛ばされ、戦闘不能となった。
「ハッ、思ってたよりやるじゃねえの。オニゴーリ、休んでな」
オニゴーリを戻し、メジストは凶悪な笑みを浮かべる。
「そうこなくっちゃなあ! この俺様とまともに戦おうってんだ、それくらいの力があってこそ、俺様の相手をするのに相応しいってもんだよなあ! ギャヒャヒャヒャヒャ!」
狂ったような高笑いをあげ、メジストは最後のボールを手に取る。
「さあて、俺様のエースだ。覚悟はいいな?」

Re: 第百五十二話 名 ( No.296 )
日時: 2015/03/04 13:32
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「カビゴン、スプラッシュ!」
「ミロカロス、躱してハイドロポンプ」
カビゴンが水を纏った右腕を振り下ろし、対するミロカロスは長い体を大きく動かしてカビゴンの拳を躱し、大量の水を噴き出す。
「どうってことないわよねえ! カビゴン、ぶち壊す!」
腹に水の直撃を受けるが、気にせずカビゴンは左腕を振り回し、ミロカロスへ叩きつける。
カビゴンの鉄拳を食らい、ミロカロスは吹き飛ばされる。
「今よお! カビゴン、ギガスパーク!」
カビゴンが両手を構え、巨大な電撃の砲弾を作り上げる。
「させません。ミロカロス、ダイヤブラスト」
鱗を輝かせて青白い光を放つと共に、ミロカロスは周囲に爆風を起こし、砲弾をどうにか防ぐ。
「ガンガン行くわよお! カビゴン、ぶち壊す!」
「ミロカロス、ドラゴンテールです」
カビゴンが右腕を振り下ろし、対するミロカロスは輝く尻尾を大振りする。
お互いの打撃がせめぎ合うが、カビゴンの拳が勝り、ミロカロスが押し戻される。
「カビゴン、スプラッシュ!」
「今です。ミロカロス、冷凍ビーム」
右腕に水を纏うカビゴンだが、その腕にミロカロスが冷気の光線を放つ。
一筋の光線は、瞬く間にカビゴンの腕を凍結させていく。
「特性が厚い脂肪であろうと、水技を利用して封じれば問題ありませんね。さあ、どうします?」
「一択よお! カビゴン、ぶち壊す!」
自らの左手を凍った右腕に叩きつけ、カビゴンは強引に氷を砕くが、
「そう来ると思っていましたよ。ミロカロス、ドラゴンテール」
その隙を狙い、ミロカロスが青く輝く尻尾を横薙ぎに振るう。
尻尾を叩きつけられ、カビゴンは大きく吹き飛ばされる。
「ハイドロポンプです」
さらにミロカロスは大量の水をカビゴンの顔面に撃ち込む。
しかし、
「それくらいでやられると思ったのかしらあ? カビゴン、ぶち壊す!」
水を真っ向から突き破り、渾身の拳がミロカロスを捉えた。
顔面に拳の一撃を受け、ミロカロスが大きく仰け反る。
「カビゴン、ギガインパクト!」
床を力一杯蹴り、カビゴンは飛び上がる。
圧倒的なエネルギーを放つオーラをその身に纏い、そのまま落下し、ミロカロスを潰さんと迫る。
「これは……ミロカロス、ドラゴンテールです」
ミロカロスに躱す余裕はなかった。
青く輝く尻尾を思い切り振り上げ、威力を削いだものの、ギガインパクトを相殺するには及ぶはずもなく、ミロカロスは圧倒的なオーラの前に押し潰される。
「あらあ? よく耐えたわねえ」
ドラゴンテールのおかげか、どうにかミロカロスは耐え切った。
しかし、バトルはもう出来そうもない。既に体が疲労で震えており、立っているのが精一杯の様子。もう一撃受ければ、確実に倒れてしまうだろう。
「……万事休すですかね。勝負を諦めるのは私の性に合いませんが……ん」
ピピピッ……と。
ブレイズの執事服の中から、短い電子音が響く。
「……蒼天将様でしたか。こちらブレイズです。ただ今、侵入者と戦闘中ですが……」
黒い小さな機械を取り出し、誰かと話すブレイズ。
通話の向こうの誰かの声を聞いている途中で、ブレイズの表情が僅かに変わる。
「承知いたしました。直ちに向かいます。失礼します」
通話を切り、機械を執事服に仕舞うと、ブレイズはサクラの方に向き直る。
「失礼、急用が出来ました。貴女との戦闘は、ここで終わりです」
「あらあ? あたしと戦うのがガーネットちゃんの命令なんでしょお? いいのかしらあ?」
「命令にも優先度があります。ガーネット様の命令遵守も大切ですが、今回の指令はそれを上回るほどの重要な指令です。ミロカロス、最後に一つお願いします。ドラゴンテールを」
ミロカロスが最後の力を振り絞って、尻尾を床に叩きつける。
部屋の床が陥落し、大穴が開く。
「ミロカロス、お疲れ様です。戻って休んでいてください。ああ、それから」
最後にブレイズはサクラに言葉を残す。
「この戦闘は貴女の勝ちで構いません。いつか必ずこの借りは返させていただきます。それでは、これにて」
ミロカロスをボールに戻し、ブレイズはその穴に飛び込み、アジトのどこかへと消えていった。



気合玉を顔面に受けたプラネムは、戦闘不能となってゆっくりと床に落ちる。
「プラネム、お疲れ様。休んでなさい」
プラネムを戻し、最後のボールを取り出そうとするラピスに、
「なあ」
マゼンタが声を掛ける。
「……何よ」
敵との会話など求めていなかったのだろう、如何にも面倒そうな声と共に、ラピスはマゼンタの方を向く。
「あんた、何でN・E団なんかに加わったん」
「っ……貴女なんかに関係ないでしょ 」
ラピスが小さく舌打ちする。
そんなラピスの様子を見て、マゼンタは話を続ける。
「それが、関係あるんよ。うちも本当はN・E団なんてけったいな組織なんてどうでもよかったけど、直接頼まれたら断れへんよ」
「頼まれた? 誰に、何を」
「あんたの、お姉さんに」
ラピスの表情が僅かに引きつり、目が細くなる。

「あんたのお姉さん、シズカさんに、妹のマイカを助けてほしいって」

「ッ……」
ほとんど無表情を貫いていたラピスが、明確な嫌悪を表情に浮かべる。
「マイカって、あんたのことよね。お姉さんから全部聞いたで。シズカさん、すごい後悔しとった。妹の気持ちを、分かってあげられなかったって言っとったよ」
「……黙って」
「昔シズカさんとあんたに何があったんか、うちは知らへん。せやけど、そこまであんたのことを思ってくれとる人がおるんに、何で——」

「黙れって言ってるだろうが」

ラピスの口から、信じられないほど低く重い声が飛び出した。
「あたしの過去なんて知らないくせに、よく好き勝手喋ってくれたわね。あたしに家族などいない。あたしに姉なんていない」
明確な怒りを込め、ラピスは感情のままに言葉を紡ぐ。
「あたしを、その名で呼ぶな。シズカの妹マイカは、ずっと前に死んだ。あたしの名前は、夜天のラピス。N・E団七天将の一人、夜天を司る者。二度と間違えるな」
そこでマゼンタは気づく。
ラピスの冷たい瞳から、燃え盛る炎のように膨大な量の紫の光が放たれている。
いや、瞳だけではない。口から吐息のように光が放たれ、さらに覚醒で生まれた腕の傷からも光が漏れ出す。
「苦しみを受けて地に伏せなさい。夜天の闇に蠢け、ネクロシア!」
ラピスの最後のボールから、切り札ネクロシアが現れる。
紅に充血した無数の目を動かし、マゼンタに恐怖を植え付ける。
「ネクロシア、シャドークロー!」
ネクロシアの両手が黒い影を纏う。
黒い鋭爪を形作り、音もなく一瞬のうちにフローリアとの距離を詰める。
「っ! フローリア、アイスバーン!」
咄嗟にフローリアは氷の衝撃波を放つが、ネクロシアは右手の爪を突き刺して衝撃波を打ち消し、左手の爪を振り抜いてフローリアを切り裂く。
「ギガスパーク!」
さらにネクロシアは両手から破裂音を立てる巨大な電撃の砲弾を放つ。
「フローリア、躱してハイドロポンプ!」
電撃の砲弾を何とか躱し、フローリアは大量の水を放つ。
「ネクロシア、スプラッシュ!」
下半身の鎌に水を纏わせ、ネクロシアは水の中に切り込む。
ハイドロポンプを容易く両断し、水の鎌を振るってフローリアを切り裂く。
「興醒めだわ。もうちょっと頑張ってくれると思ってたけど、その程度であたしに、N・E団になんて勝てるはずもない」
ラピスが失望したような、蔑むような目でマゼンタを見下ろす。
「ネクロシア、もういいわ。止めを刺しなさい。ギガ——」
刹那。
機械が電源を切られたように、ラピスの動きが止まる。
瞳や傷口からの光が消滅し、ラピスは眠ったように動かなくなる。
ラピスの異変を感じたネクロシアも攻撃を止め、ラピスの元に戻る。
「……どう、したん?」
「私ですよ」
いつの間にいたのか、ラピスの背後から現れたのは、赤髪に執事服の男。
この男が、ラピスを気絶させたようだ。
「お初にお目にかかります、緋天将直属護衛、ブレイズと申します。」
「緋天将? 夜天将の護衛やあらへんの?」
「今動けるのは私だけでしたので、確実に動ける私が伺った次第です。この夜天将様は、感情が高ぶると覚醒の箍が外れ、力が暴走し、制御出来なくなってしまうのです。そのまま放っておけば、人格の破綻にも繋がりかねない」
ですから、とブレイズは続け、
「万が一力が暴走すれば、今のように外部から強引に覚醒を止めなければならないのです。よかったですね、一命を取り留められて。このまま戦い続けていれば、貴女、確実に死んでいましたよ」
ブレイズは気絶したラピスを抱え、その懐からボールを取り出し、ネクロシアを戻す。
「最後に」
マゼンタに向き直り、ブレイズは話を続ける。
「昔この方に何があったか、直属護衛程度の私には知る由もありませんが、この方の前で昔話はしない方がいいですよ。命を大切にしたいのなであればね。それでは、さようなら」
最後に一礼し、ブレイズは部屋を出て行った。
「……」
ブレイズが去った後も、マゼンタはしばらく動けなかった。
(シズカの妹マイカは、ずっと前に死んだ。あたしの名前は、夜天将ラピス。N・E団七天将の一人、夜天を司る者。二度と間違えるな)
ラピスの言葉が、マゼンタの脳の中で渦巻く。
何も考えられず、マゼンタは座る者がいなくなった車椅子を見つめていた。

Re: 第百五十三話 流儀 ( No.297 )
日時: 2015/03/13 14:10
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ハガネール、アクアテール!」
ハガネールの尻尾とサーナイトの念力が激しく拮抗するが、ハガネールの尻尾がさらに水を纏い、より勢いをつけて振り下ろされる。
念力を打ち破り、サーナイトを吹き飛ばす。
「ハガネール、氷の牙!」
ハガネールが牙から長く鋭い氷を伸ばし、大口を開けてサーナイトに食らいつく。
「マジかよ! サーナイト、気合玉!」
吹き飛ばされながらも、サーナイトは右手にありったけの気合を溜め込み、ハガネールへ投げつける。
「噛み砕いてアイアンテールだ!」
しかし、ライロウの方が一枚上手だった。
ハガネールが気合玉を氷の牙で噛み砕き、体を大きく捻って鋼鉄よりさらに硬く巨大な尻尾を振り抜き、サーナイトを叩き飛ばした。
「っ!? サーナイト!」
効果抜群の一撃を食らって勢いよく壁に叩きつけられ、サーナイトは戦闘不能となってしまった。
「サーナイト、大丈夫か? よく頑張ったな、ゆっくり休んでてくれよ」
サーナイトに駆け寄り、その頭を撫でながら、セドニーはサーナイトをボールに戻すと、ライロウの方に向き直る。
「よくもやってくれたじゃねえか。ムカついた、こうなりゃもう容赦しねえ! 俺の切り札で叩き潰してやるぜ!」
セドニーが大きく目を見開く。その瞳から、さらなる翠の光が漏れ出す。
「碧天に火花を散らせ、バジリール!」
セドニーの最後のポケモンは、碧天将の切り札、バジリール。
「悪いが、叩き潰されるのはそっちだ! ハガネール、アイアンテール!」
雄叫びを上げ、ハガネールが鋼鉄よりさらに硬い尻尾を思い切り振り下ろす。
「ほざけ。バジリール、大成長!」
バジリールの足元から、大量の太い蔦が飛び出す。
ハガネールの尻尾に絡みつき、瞬く間にその動きを食い止めてしまう。
「ちっ、ならハガネール、氷の牙!」
「バジリール、もう一度大成長!」
ハガネールが牙から鋭く長い氷を伸ばす。
だが、もう一度バジリールが足元から無数の蔦を放ち、氷を砕き、ハガネールを殴り飛ばし、鋼の巨体を床に叩きつけ、戦闘不能にする。
「……流石の火力だな。ハガネール、よくやった。戻って休んでいろ」
ハガネールをボールに戻し、ライロウは最後のボールを取り出す。
「それじゃあ、俺も切り札を出すか。ぶちかませ、ライチュウ!」
ライロウの最後のポケモンは、エースのライチュウ。
「そいつがてめえのエースか。だが、タイプ的にはバジリールとの相性は悪いぞ」
「例え相性が悪くとも、相手の切り札にはこっちの切り札をぶつける。それが俺の流儀ってもんだ」
セドニーの言葉に対し、ライロウは笑みを浮かべてそう返す。
ライチュウも頬袋からバチバチと電気を発し、気合を高める。
「へえ。だったら、かかって来いよ。全力で来ねえと、俺のバジリールには傷一つ付けられねえぞ」
セドニーの言葉に呼応し、バジリールも尻尾を激しく点滅させ、肩を回す。



ジバコイルが、黒い闇のオーラに覆われる。
「ロズレイド、ギガドレイン!」
その闇のオーラの中に、ロズレイドは花束から伸ばした棘だらけの鞭を撃ち込み、ジバコイルをがんじがらめに拘束する。
鞭が淡く発光し、ジバコイルの体力を吸い取る。
刹那。

「ジバコイル、大爆発!」

ジバコイルの赤い目が光を放ち、次の瞬間に大爆発を起こす。
「っ!? ロズレイド、離れなさい!」
ガーネットが叫ぶが、間に合わない。
そもそも、爆心地のすぐ近くにおり、さらにジバコイルに鞭を絡みつかせていた状態のロズレイドが無事でいられるわけがない。
爆発に巻き込まれて派手に吹き飛ばされ、壁に激突して戦闘不能となる。
「くっ、強引に倒しに来たわね。ロズレイド、よくやったわ」
「ジバコイル、よく頑張った。後はムクホークに任せとけ」
お互いにポケモンを戻し、最後のボールを手に取る。
「ここまで私と互角に戦えて来たことは評価してあげるわ。でも、私の最後の切り札に勝てるかしらね」
「当たり前だろ。俺たちは勝つぜ、どんなに強い敵が出て来てもな」
双方のエースが、ボールから現れる。
「緋天に舞い上がれ、フィニクス!」
「最後は頼んだぞ、ムクホーク!」
ホロのボールから勢いよくムクホークが飛び出し、ガーネットのボールからは火の粉を撒き散らしながらフィニクスがゆっくりと舞い上がる。
「行くぜ! ムクホーク、敵討ち!」
「迎え撃つわよ! フィニクス、大文字!」
倒れたジバコイルの無念を力に変え、ムクホークは翼を力一杯叩きつける。
対するフィニクスは煌々と燃え盛る巨大な大の字型の炎を撃ち出す。
互いの全力の一撃が、初っ端から炸裂する。



「カバルドン、サンドソニック」
「ディザソル、躱して辻斬り!」
カバルドンが背中から砂を吹き出し、地を這う砂の衝撃波を放つ。
対してディザソルはそれを躱しながらカバルドンに接近し、額の二対の鎌を振るう。
「カバルドン、グランボールダ」
斬撃を受けたカバルドンは痛みに顔を引きつらせるが、すぐさま周囲に大量の岩を浮かべ、ディザソルを押し潰すようにその岩を飛ばす。
「ディザソル、神速だ!」
目にも留まらぬスピードでディザソルは大量の岩を潜り抜け、そのままカバルドンへと突撃するが、
「ならばカバルドン、砂嵐です」
カバルドンが背中から大量の砂を吹き出し、竜巻を作り上げる。
一直線に迫って来たディザソルへ、竜巻を振り下ろす。
神速の勢いによって曲がることが出来ず、ディザソルは竜巻を叩きつけられ、大きく吹き飛ばされてしまう。
「これを待っていました。カバルドン、グランボールダ」
カバルドンが床を踏み鳴らし、大量の巨大な岩を浮かべ、吹き飛ぶディザソルへ向かわせる。
「まずい……! ディザソル、神速だ!」
最初の岩にどうにか張り付くことに成功し、ディザソルは神速を発動させ、何とか無数の岩を躱し切った。
「よく躱しましたね。ではカバルドン、サンドソニック」
「ディザソル、サイコカッター!」
カバルドンが砂を吹き出して二対の衝撃波を放つが、ディザソルは念力を込めた鎌を振り抜き、衝撃波を破壊し、
「辻斬りだ!」
さらに一瞬でカバルドンとの距離を詰め、カバルドンを切り裂く。
「最初はやけに硬い難敵だと思ったけど、まあ確かに硬いとはいえ、思ってたほどではないみたいだな。ダメージが溜まっているのが見えるぜ」
最初のうちは攻撃を食らってもびくともせず、目を少し細めるくらいだったカバルドンが、今は明確な痛みを表情に表すようになっている。
「そうですね。そのディザソルの攻撃力が予想以上だったのもありますが、確実にダメージは蓄積しているようです」
ですが、とオパールは続け、
「それはそちらも同じなのでは? 寧ろ砂嵐がある分、そちらの方が消耗しているようにも見えるのですが」
カバルドンと違い、ディザソルは砂嵐によって少しずつ体力を奪われている。
そう考えると、体力がより削れているのはディザソルかもしれない。
「確かにな。だからもうそろそろ決めたいところだぜ。ディザソル、火炎放射!」
「そうは行きません。カバルドン、サンドソニック」
ディザソルが放つ灼熱の業火を、カバルドンは砂の衝撃波で相殺する。
「ディザソル、サイコカッターだ!」
額の鎌に念力を纏わせ、素早く鎌を振り抜いてディザソルは二本の念力の刃を飛ばす。
「辻斬り!」
サイコカッターのすぐ後を追うように、ディザソルは一気に距離を詰める。
念力の刃が命中、さらにディザソルの鎌がカバルドンを切り裂く。

「カバルドン、噛み砕く」

その直前。
カバルドンが大口を開き、目にも留まらぬスピードでディザソルの鎌に噛み付いた。
「っ、しまった……! ディザソル、抜け出せ! サイコカッターだ!」
「無駄です。このカバルドンの顎の力にはどうやっても勝てませんよ。カバルドン、投げ飛ばしてグランボールダ」
頭を大きく振ってカバルドンはディザソルを放り投げ、周囲に大量の岩を出現させ、ディザソルへ放つ。
今度は流石のディザソルでも躱せず、無数の岩の中に閉じ込められてしまう。
「終わりです。カバルドン、砂嵐」
カバルドンが背中の穴から砂を吹き上げ、一際巨大な竜巻を作り上げる。
その竜巻を、岩に囲まれて動けないディザソルへ叩きつける。
無数の岩を容易く粉砕し、ディザソルを叩き飛ばして壁に激突させ、ディザソルを戦闘不能にした。
「くっ……ディザソル、よく頑張った。休んでてくれ」
ディザソルをボールに戻し、レオは最後のボールを取り出す。
最後のポケモンを選ぶのに迷いはなかった。こいつしかいない。
「後はお前が頼りだ。頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの三番手は、エースのポッチャマ。レオの手持ちで一番小さいが、一番強いエースだ。
「やはりポッチャマで来ましたか。妥当な判断です。カバルドン、砂嵐」
カバルドンが再び砂を吹き上げ、竜巻を作り上げるが、
「遅い! ポッチャマ、スプラッシュ!」
水を纏ったポッチャマが水飛沫を上げながら猛スピードで突撃し、カバルドンの脳天に直撃する。
カバルドンが仰け反り、竜巻が霧散する。
「カバルドン、噛み砕く」
「させるかよ! ポッチャマ、水の波動だ!」
カバルドンがポッチャマを捕らえんと大口を開くが、その口の中にポッチャマは水の力を凝縮した波動の弾を放つ。
カバルドンの口の中で水の弾が炸裂し、カバルドンの巨体が吹き飛ばされる。
「とどめだ! ポッチャマ、スプラッシュ!」
再び水をその身に纏い、ポッチャマは突貫する。
水飛沫を散らしながらカバルドンに激突、効果抜群の攻撃を立て続けに食らって、カバルドンは戦闘不能となる。
「おやおや、思っていたよりも火力があるようですね。カバルドン、ご苦労様でした。戻ってお休みなさい」
カバルドンをボールに戻し、オパールは最後のボールを取り出しながらレオの方を向く。
「その小さい体にそこまでの攻撃力があるとは思いませんでした。やはり流石ですね」
「そりゃあ僕の頼れるエースだからな。油断してるとあっという間にやられるぞ」
「そのようですね。では、私も最後まで全力を持ってお相手いたしましょう」
オパールが手にしたボールを高く掲げる。
「最後は貴方です、フーディン」
オパールの最後のポケモンは、異質なポケモンだった。
顔は長い髭の生えた狐か何かのようにも見えるが、体格は人型。非常に細く華奢な体型をしており、両手にスプーンを持っている。
念力ポケモンのフーディン。エスパータイプで、強大な超能力と非常に高い知能を両立したポケモンだ。
「ちなみに、このフーディンの特性は珍しい隠れ特性のマジックガード。砂嵐のダメージを受けるのは、そちら側だけです」
「……なるほど。ポケモンの並びも計算されてるってわけか。でも、負けないぜ。勝つのは僕だ。最後の壁、僕が越えてみせる」
「いいでしょう。では、 私に貴方の全力を見せてください」
対峙するポケモンはお互い最後の一体。
N・E団の真実を知る戦いの、最終楽章が始まる。

Re: 第百五十四話 覚悟 ( No.298 )
日時: 2015/03/20 15:39
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: qUgMea5w)

「……及ばなかったか。ふっ、直属護衛がこれでは、部下に顔向け出来ないな」
そう言って立ち上がるロフトの背後には、鋏を構えたグライオンがいる。
「ここの最下層まで案内してもらいましょうか。捕まってもらうのはその後です」
「……っ。セドニー様、ソライト様、申し訳ございません」
反抗することを諦め、ロフトはゆっくりと歩き出し、エフィシがその後に続く。
「だが、これで我々に勝ったと思うなよ」
ロフトが小さく振り向き、口を開く。
「貴様らの突入が分かった時点で、ソライト様からトパズ様に連絡が入っている。トパズ様自身は動けないが、誰か一人が敗れた時点で直属護衛マツリとその部下総員が圧倒的な統率力でここに突入する」
ロフトが勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「敗れた者の場所を正確に把握し、勝負を終えて油断しきった者を背後から叩く。副統率のところには行くなとの指示が出ているらしいがな。そして残った副統率は、天将様と我らのリーダーが叩き潰す。私たちの勝ちだ」
「なるほど、確かに完璧な作戦だ。ですが、我らが副統率はそれくらいのこと、お見通しだったみたいですよ」
ロフトの言葉を聞いても、エフィシの態度は揺るがない。
「貴女の言葉が真実であれば、今頃うちの優秀な兵士が仕事をしているところでしょう」



「はーい、そン通りだなや、っと」
木の枝上に腰掛けながら、厚着のカンタロウは手の中でモンスターボールを弄んでいた。
彼の座る木の下には、無数の黒服の人間が気を失って山積みになっていた。
その下敷きになって動けないまま、マツリは木の上のカンタロウを見上げる。
「……そんな馬鹿な。下っ端たちとはいえこれだけの数を、ここまで短時間で蹴散らすなんて……!」
「あぁ、バトるのも面倒だったンで、人間の方さ直接やっツまっただ。後はそれさ積み上げて、最後に来たお前さ下敷きにしちまえば、オラが任務は終了だべ」
カンタロウがやったことは簡単なことだ。
手持ちポケモンを総動員して、下っ端がポケモンを出す前にその下っ端に木の上から奇襲、直接攻撃を加えて気絶させ、コクジャクとオオペラーの念力を使って気絶させた下っ端の山をマツリの上に落とす。
ついでにマツリの持っていた無線機も回収。
「お前、オラの記憶さ正しけりゃ、輝天将の直属護衛だったべな。わざわざお前らが送られてきたッつーことは、輝天将はいねェって考えてええって事だなや。これで少しは気が楽になるってモンだべ」
つーわけで、とカンタロウは続け、
「全部終わったって報告さ受けたら解放してやッから、もー少し大人しくしてるだ。分かっただな?」
ニヤリと笑みを浮かべ、カンタロウは戦闘不能となった輝天将軍を見下ろす。



「破天を食らえ、ティラノス!」
薄暗いアジトの通路に、メジストの切り札、ティラノスが降臨する。
軽く尻尾を一振りしただけで壁を破壊し、その咆哮が壁の破片を粉々に砕く。
「それがお前の切り札か。見た感じだと、難敵だな」
「ギャヒャヒャヒャ! その難敵にお前はどう立ち向かうよ? 頼むからさぁ、何も出来ずに倒れるなんてことはやめてくれよぉ?」
「ふふ、勿論だ。存分に戦おうじゃないか」
「いいねぇ! それじゃあ行くぜ、ティラノス、グランボールダ!」
ティラノスが大きく足を踏み鳴らす。
周囲の壁が破壊されて無数の岩が飛び出し、一斉にヒョウカクに襲い掛かる。
「ヒョウカク、守る!」
対するヒョウカクは守りの結界を張り、襲い来る岩を完全に防御すると、
「ドリルライナー!」
額の角を伸ばして高速回転し、ティラノスに突っ込む。
「ティラノス、ぶち壊す!」
咆哮し、ティラノスは全力を込めて尻尾を振るう。
だがヒョウカクは僅かに軌道を逸らしてその尻尾を躱し、角をティラノスへ突き刺す。
「ヒョウカク、吹雪!」
さらにヒョウカクは寒く凍える吹雪を放ち、ティラノスを押し戻す。
「舐めんな! ティラノス、フレアドライブ!」
ティラノスが青く燃え盛る炎を纏う。
吹き荒れる吹雪を吹き飛ばし、その炎の勢いをさらに強めて突進する。
「ヒョウカク、ハイドロポンプ!」
対するヒョウカクは大量の水を吹き出す。
勢いも水の量も一線級、しかしそれだけの力を持ってしてもティラノスの炎を打ち消すことは出来ず、ヒョウカクは吹き飛ばされる。
「無駄無駄ァ! そんなんじゃ止めらんねえぞ! ティラノス、馬鹿力!」
さらにティラノスは猛攻を仕掛ける。
力のリミッターを無視し、渾身の力でヒョウカクへ激突する。
「そうはいかない。ヒョウカク、守る!」
再びヒョウカクは守りの結界を張り、ティラノスの全力の一撃を防御する。
「チッ! ティラノス、グランボールダ!」
「ヒョウカク、ドリルライナー!」
ティラノスが再び大量の岩をヒョウカクに向かわせるが、ヒョウカクは持ち前のスピードで岩を躱し、避けきれない岩は角で破壊し、ドリルのように高速回転しながら一気にティラノスに迫る。
「ティラノス、ぶち壊す!」
ティラノスは再び尻尾を思い切り振るう。
先ほどと同じようにヒョウカクは軌道を僅かにずらすが、今度はティラノスの動きもそこで終わらない。
裏拳のように拳を振り抜き、ヒョウカクのドリルライナーと激突。
しかし攻撃面では圧倒的にティラノスが勝る。
ヒョウカクが押し負け、吹き飛ばされる。
「流石に攻撃力は凄まじいな。体も硬い。パワータイプとしては今まで見てきた中でトップクラスだ」
「くっくく、そりゃあありがてえ。何しろこいつは——」
「だが」
メジストの言葉を遮り、セイラは続ける。
「スピードとテクニックはこちらの方が上だ。お前のティラノスのパワーを上回るほどの速さと技術を、私のヒョウカクは備えている」
「へえ」
メジストの表情は変わらない。
相変わらず、邪悪な笑みを浮かべたままだ。
「だけどよぉ、俺様はそういう連中を何人も見てきたぜ? そういう連中の殆どは、決まって俺様の前にひれ伏してきた」
(まぁ、ほんの少しだけ例外もあるんだが)
ヨザクラタウンのジムリーダーの顔を僅かに思い浮かべるメジスト。
「ちなみに俺様の切り札は、第三位の切り札より強い。まあ第三位の情報が分かんなきゃ、言ってることも分からんだろうけど」
「なあ。お前、どれくらいの覚悟で戦ってる?」
唐突に、セイラが質問する。
「あぁ?」
「覚悟を決めた人間は強い。だからヒーローってのは強いんだろうな。俺が負けたら、この子は二度と笑うことが出来なくなる。俺が負けたら、世界が終わってしまう。そんな覚悟を持ってるから、ヒーローってのは強いんだろうな」
「へえ、なるほど。それじゃあ逆に聞くがよお、肝心のお前はどうなんだ? これに負けたらただではいられない、それくらいの覚悟は出来てるんだよなあ?」
「ふふ、私か。そうだな」
セイラは目を閉じる。
記憶が、風のように脳裏を突き抜ける。

「命を投げ捨てる覚悟くらい、私はとうに出来てるよ」

「……」
メジストの表情が、明確に変化する。
「前にも言ったが、私は元々お前たちのような組織の出身だ。それが潰れた時点で、私は死んだも同然だ。だが、私はこうして闇の外へ戻って来た。勿論精一杯生き抜くつもりだが、一度失くしたはずのこの命を捨てる覚悟くらい、私は一年前からとうに出来ている」
そこだけは真剣に、セイラは告げる。
「だから、私は負けない。私をこの光の世界に戻してくれたあいつのためにも、私は負けられないんだよ」
「……くっだらねえ」
セイラの話を黙って聞いた上でなお、メジストは吐き捨てるように呟く。
「覚悟くらい、俺でも出来てるっつうの。腕を傷つけ、自身の顔に紋章を刻み込んでまで破天将という位に立ってる理由は分かるか。俺様にもなぁ、それくらいの覚悟はあんだよ。勝負を決めるのは覚悟じゃねえ、勝ちに食らいつく執念だ。そのためなら俺様は何でもやるぜ。敵の戦意と意識を奪い、足元にひれ伏させることくらい平気でやる。勝つためだ」
語るメジストの表情に、笑みはない。
「すまないな、少々無駄話が過ぎた。バトルを再開しようか。ヒョウカク、ドリルライナー!」
「ケッ、俺としたことが、馬鹿みてえに語っちまったよ。ティラノス、ぶち壊す!」
ヒョウカクが角を伸ばしてドリルのように高速回転し、突貫する。
対するティラノスは渾身の力を込め、太い尻尾を思い切り振り抜く。
覚悟と執念が、正面から激突する。

Re: 第百五十五話 突貫 ( No.299 )
日時: 2015/04/11 10:59
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ライチュウ、まずは光の壁!」
ライチュウが周囲に光り輝く透明な壁を作り上げる。
これで、バジリールからの特殊技のダメージは全て半減される。
「なるほど、光の壁か。厄介な技だが、構わずぶち抜いてやるぜ。バジリール、大成長!」
バジリールの足元から無数の太い蔦が飛び出し、一斉にライチュウへ襲い掛かる。
「ライチュウ、躱してアイアンテール!」
素早く飛び退き、ライチュウは初撃を躱す。
間髪入れずに第二波が迫り来るが、ライチュウはその蔦すら足場に利用し、一気にバジリールとの距離を詰め、鋼の如く硬化させた長い尻尾を振り下ろす。
「ちぃっ、バジリール、シグナルビーム!」
アイアンテールの直撃を受けたバジリールだが、すぐに反撃に出る。
激しく光を放つ光線が、ライチュウを捉える。
「効かんわ! ライチュウ、ボルテッカー!」
爆発的な電撃を纏い、ライチュウは突貫する。
「バジリール、大成長!」
バジリールは足元から大量の蔦を放ち、無数の鈍器を振るうようにライチュウへ叩きつける。
光の壁で威力を削いだと言えど、その威力は凄まじい。
それでもライチュウのボルテッカーは止まることなく突き進み、バジリールに激突する。
「負けんな! バジリール、サイコバーン!」
ボルテッカーに押し戻されるが、何とかバジリールは踏み止まり、溜め込んだ念力を爆発させて衝撃波を放ち、逆にライチュウを吹き飛ばす。
「シグナルビームだ!」
尻尾のイルミネーションを点滅させ、バジリールは宙に舞うライチュウを捉え、激しく光る光線を放つ。
「ライチュウ、瓦割り!」
空中で体勢を整え、ライチュウは手刀を振り下ろし、シグナルビームを打ち消し、
「ボルテッカー!」
青白く輝く爆発的な電撃を纏い、周囲に放電しながら突撃、バジリールに回避の隙すら与えず、今度こそ大きく吹き飛ばした。
「なんつー威力だ……! バジリール、十万ボルト!」
「突き進め! ライチュウ、瓦割り!」
起き上がったバジリールが尻尾を激しく光らせ、高電圧の強烈な電撃を撃ち出す。
だがライチュウはその電撃の中に自ら飛び込む。
手刀を振るい、電撃の中へ切り込み、一気にバジリール目掛けて突き進み、
「アイアンテール!」
鋼の如く硬化させた尻尾を振り下ろし、バジリールの脳天に叩きつける。
「ムカついた、やられっぱなしは性に合わねえ! バジリール、大成長!」
ライチュウの足元から二本の蔦が飛び出し、ライチュウを打ち上げる。
刹那。
間髪入れずに、蔦を十本ほど固めたような巨大な二本の蔦がライチュウの左右から飛び出す。
巨大な蔦が、力尽くでライチュウを押し潰しに来る。
「ライチュウ、光の壁!」
ライチュウが両腕を開き、掌から光の壁を放つ。
腕から嫌な音が響くが、それでもライチュウは何とか蔦を退ける。
だが、
「バジリール、シグナルビーム!」
バジリールがすぐさま次の一手に出る。
尻尾から激しい光を放つ光線を撃ち出し、ライチュウに次なる一手を放つ。
対して、
「舐めんな! ライチュウ、ボルテッカー!」
ライチュウのとった行動はシンプルだった。
光り輝く爆発的な電撃を纏い、正面から突撃する。
シグナルビームを容易く粉砕し、そのままバジリールに激突、再びバジリールを吹き飛ばした。
「っああ、くそっ! バジリール、十万ボルト!」
「ここがテメェの限界だ! そろそろ観念するんだな! ライチュウ、アイアンテール!」
憤怒の形相を浮かべてセドニーが吼え、バジリールが強烈な高電圧の電撃を放つ。
対するライロウは勝ち誇った笑みを浮かべ、ライチュウがそれに続いて鋼の如く硬化させた尻尾を振り下ろし、電撃の中を突き進む。



緋天を司る者は、初っ端から容赦しない。
「フィニクス、龍星群!」
フィニクスが頭上に龍のエネルギーを凝縮した波動を打ち上げる。
エネルギー弾は上空で炸裂し、数多の流星となって降り注ぐ。
「ムクホーク、躱してブレイブバード!」
ムクホークが甲高く啼き、勇気の炎のオーラを纏う。
恐るべき飛行性能で流星を全て潜り抜けると、一直線にフィニクスへ突貫する。
「……! フィニクス、大文字!」
フィニクスが灼熱の炎を吹き出そうとするが、それよりも早くムクホークの一撃がフィニクスを捉える。
「吹っ飛びなさい! フィニクス、ドラゴンビート!」
ブレイブバードを受けたフィニクスの眼球が動き、ムクホークを見返す。
龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、フィニクスを吹き飛ばすと、
「エナジーボール!」
命の力を集めた、自然の波動を発射する。
「ムクホーク、敵討ち!」
どうにかムクホークは体勢を取り戻し、翼を振り下ろして波動を打ち消す。
「フィニクス、大文字!」
フィニクスが炎の力を解放する。
煌々と燃え盛る大の字型の炎を、ムクホークへ向けて撃ち出す。
「躱してインファイト!」
炎の隙間を高速で飛び抜け、ムクホークは一気に距離を詰める。
フィニクスに翼を叩きつけると、怒涛の連続攻撃を食らわせ、最後に翼を横薙ぎに振るってフィニクスを叩き飛ばす。
「一気に行くぜ! ムクホーク、ブレイブバード!」
「あまり調子に乗らないことね。フィニクス、ドラゴンビート!」
勇気の青い炎のオーラを纏い、ムクホークが突貫する。
対するフィニクスは龍の心臓の鼓動のような音波を放ち、ムクホークを迎え撃つ。
音波が炎のオーラを削ぐが、全てを吹き飛ばすことは出来ず、フィニクスもムクホークの突撃を食らう。
「大文字!」
だがその後の動きはフィニクスの方が速かった。
煌々と燃え盛る大の字型の炎がムクホークを捉え、その身を焼き焦がす。
「フィニクス、龍星群!」
フィニクスが頭上に龍の力を凝縮したエネルギー弾を打ち上げる。
上空で炸裂したエネルギー弾は、無数の流星となり、ムクホーク目掛けて一斉に降り注ぐ。
「ムクホーク、負けないぞ! ブレイブバード!」
全弾回避は不可能。
それを瞬時に理解したホロは迷わなかった。
勇気のオーラをその身に纏い、自らを焦がす炎を吹き飛ばし、自ら流星の雨に捨て身で突っ込んでいく。
躱せるものは全て躱し、躱し切れないものは無理やり突破し、勢いを衰えさせることなく、フィニクスへと迫る。
「しつこいわね、そろそろ焼き尽くしてあげようかしら! フィニクス、大文字!」
フィニクスが激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
対して、
「ムクホーク、急上昇!」
ムクホークが天井のすぐそこまで一気に上昇する。
炎を躱すと同時に、急降下の勢いを得てさらに勢いを増したブレイブバードが、フィニクスを貫いた。
「くっ、まだよ! フィニクス、エナジーボール!」
「させるか! ムクホーク、インファイト!」
強引に体勢を整え、フィニクスが命の力を集めた波動の弾を撃ち出そうとするが、それよりも早くムクホークが高速旋回し、守りを捨ててフィニクスの懐へ飛び込み、怒涛の連続攻撃を浴びせる。
それでも最後の翼の一撃まで、フィニクスは耐え切った。
「どうだ! そろそろレスキューが必要なんじゃないのか?」
「言ってくれるわね。この緋天将を、甘く見るんじゃないわよ!」
しかしホロは見逃さなかった。
フィニクスの体が、ついに空中でふらつく。
ホロの勝利が、ようやく見えてきた。


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