二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ポケットモンスター 星と旋風の使徒
日時: 2017/01/28 12:25
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078

どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。

※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。

これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。

それでは、よろしくお願いします。

登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342

プロローグ >>1

シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390

決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399


非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5

Re: 第百二十一話 偽り ( No.255 )
日時: 2014/06/16 22:52
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

念力を突っ切り、マニューラはエーフィの脳天に手刀を振り下ろす。
エーフィの周囲を守っていたリフレクターが、一瞬で砕け散った。
「なるほど、そう来るか。エーフィ、シグナルビーム!」
瓦割自体はエーフィに効果は今一つ。
すぐに体勢を立て直し、額の珠から激しく発光する光線を撃ち出す。
「マニューラ、躱して辻斬り!」
「吹き飛ばせ。エーフィ、ダイヤブラスト!」
シグナルビームを躱し、鉤爪を構えて一気に距離を詰めるマニューラ。
しかしエーフィが青白く煌めく爆発を起こし、周囲をマニューラもろとも吹っ飛ばす。
「エーフィ、シグナルビーム!」
「まだまだ! マニューラ、氷柱落とし!」
エーフィが激しく発光する光線を放つが、マニューラはそれを躱すと、冷気を頭上に打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
「エーフィ、サイコキネシス!」
エーフィは額の珠を青く光らせ、強力な念力を操り、氷柱の動きを止めてしまう。
その氷柱の軌道を変え、マニューラに狙いを定めるが、
「マニューラ、辻斬り!」
そのマニューラは既にエーフィの横を通り抜け、鉤爪を構えている。
斬撃がエーフィを捉えた。同時にエーフィの念力の集中が切れ、念力が崩れる。
辻斬りを受けたエーフィに追い打ちをかけるように、鋭く尖った氷柱がエーフィへと降り注いだ。
それでもまだ起き上がろうとするエーフィだが、
「マニューラ、とどめよ。辻斬り!」
マニューラの鉤爪がエーフィを逃がさない。
一瞬のうちに切り裂かれ、エーフィは戦闘不能となった。
「まあよいだろう。エーフィ、戻って休め」
特に表情を変えず、焦る様子もなく、トパズはエーフィをボールに戻す。
「せっかく我から先手を取ったのだ、一ついいことを教えてやろう」
「負けてるってのに、随分と上から目線ね」
「この勝負、我は最後の一体となるまで『覚醒』を使用しない。我が最後の一体を出すまでに、出来るだけアドバンテージを取っておくんだな」
「大層な余裕ね。あんまり私を甘く見ない方が身のためよ」
「軽視しているつもりはない。何しろお前の情報は殆ど我々に伝わっておらぬからな。戦闘においては、未知の敵と戦う時こそが一番警戒しなければならない時だ。未覚醒とは言え、我は慎重にお前の戦術やその癖を分析しているつもりだ」
無駄話はこの辺にしておこう、と最後に告げ、トパズは次のボールを取り出す。
「撃墜せよ、ガルラーダ!」
トパズの二番手はガルラーダ。圧倒的な空中戦性能を誇るが、マニューラとは相性が悪い。
「あんたの手持ちは三体とも聞いてるわよ。残りのチリーンも、マニューラとは相性よくないわよね」
「タイプ相性だけで敗れるほど、我は弱くはないぞ」
「そうでなくっちゃね! マニューラ、氷柱落とし!」
マニューラが頭上に冷気を放つ。
冷気はいくつもの氷柱となり、ガルラーダへと降り注ぐ。
「ガルラーダ、ブレイブバード!」
対して、ガルラーダも動く。
翼を広げ、激しいオーラを身に纏い、凄まじい勢いで突貫する。
アスカに回避の指示をさせる暇も与えず、マニューラを吹っ飛ばす。
「ッ、なんてスピード……! マニューラ、立て直して! 辻斬り!」
「ガルラーダ、攻め立てよ! 悪の波動!」
マニューラが起き上がったところに、悪意に満ちた波動が襲い掛かる。
持ち前の俊敏さを生かして何とか悪の波動を躱し、一気にガルラーダとの距離を詰め、すれ違い様に鉤爪を振るう。
「逃さんぞ! ガルラーダ、襲撃!」
その場で辻斬りを耐え切り、ガルラーダは超スピードでマニューラを追う。
「させないわよ! マニューラ、サイコパンチ!」
マニューラが握り締めた拳に念力が宿る。
念力で強化されたパンチを繰り出しガルラーダが高速で振るう翼と競り合う。
「悪の波動!」
「辻斬り!」
ガルラーダが悪意に満ちた波動を繰り出すが、マニューラはそれよりも早くガルラーダの背後へと回り込み、ガルラーダの背中を切り裂く。
鉤爪が背中の卵の殻を切り裂いたと同時に、ガルラーダが大きく体勢を崩す。
「なるほど、弱点は背中の殻ね! マニューラ、氷柱落とし!」
「そう簡単に弱点は晒さんぞ。ガルラーダ、躱して熱風!」
マニューラが冷気を打ち上げ、無数の氷柱を落とす。
しかしガルラーダは既に氷柱の射程圏を逃れている。
激しく羽ばたき、灼熱の風を起こす。
「マニューラ、躱しなさい!」
マニューラは距離を取って、さらに大きく飛び上がり、熱風の範囲から逃れるが、
「ガルラーダ、襲撃!」
既にガルラーダはすぐそこまで迫っている。
「マニューラ、サイコパンチ!」
ガルラーダが横薙ぎに振るった翼と、念力を込めたマニューラの拳が、再び激しく競り合う。



「くっ、オオペラー、ハイパーボイス!」
「ディザソル、躱して辻斬り!」
レオとマツリのバトル、オオペラー対ディザソルは、ディザソルが優位にバトルを進めている。
オオペラーの補助技は全て躱され、さらにディザソルの攻撃を躱し切れていない。
オオペラーが大音量の音波を放つが、ディザソルは素早くそれを躱して一気にオオペラーとの距離を詰め、額の刃を振り抜き、オオペラーを切り裂く。
急所を狙い澄ました一撃を喰らい、オオペラーはここで戦闘不能となってしまう。
「オオペラー、ありがとう。休んでてください」
マツリはオオペラーを戻すと、すぐに次のポケモンを繰り出す。
「行きますよ、フォリキー!」
マツリの二番手はフォリキー。しかし相変わらずディザソルとの相性は悪い。
「またエスパータイプか。僕のディザソルには不利じゃないのか?」
「そうでもないですよ。私のフォリキーは、こんな技を持ってますからね」
それでは始めましょう、とマツリは続け、
「フォリキー、鬼火!」
フォリキーは無数の青い火の玉を放つ。
不規則に、しかし確実にディザソルとの距離を詰めて行く。
「なるほど、火傷狙いか! だがそうは行かないぜ、ディザソル、怒りの炎!」
ディザソルは憤怒の感情の如く荒れ狂う炎を放ち、無数の鬼火を打ち消す。
「それならこれはどうですか? フォリキー、もう一度鬼火!」
再びフォリキーは無数の青い火の玉を宙に浮かべる。
ここまでは先ほどと同じだが、
「サイコキネシス!」
ゆっくりと動く火の玉を強い念力が操る。
先ほどまでと違い、極端にスピードアップした青い炎がディザソルに襲いかかる。
だが、
「ディザソル、神速!」
ディザソルは既にそこにはいない。
一瞬でフォリキーの真横まで移動し、フォリキーを吹っ飛ばしている。
「辻斬り!」
さらに額の鎌を振るい、フォリキーを切り裂く。
効果は抜群、ダメージは大きい。
「くっ、速い……!」
「さっきも言っただろ。そんな安い小細工、僕のディザソルには通用しないんだって。搦め手を上手く決めたけりゃ、ミヤビさんに特訓でもしてもらうんだな」
歯噛みするマツリに対し、レオが浮かべる表情は余裕。
「ッ、あまり私を馬鹿にしない方が身のためですよ。N・E団の恐ろしさを、貴方はまだ分かっていない」
怒りを浮かべるマツリ。しかし、
(……と、まあここまではこんなものですかね)
表情の内側で、マツリは小さく笑う。
(そろそろ、彼にも余裕が出てくる頃ですよね。そこを見計らって、彼がいい気になったところで一気に突き落とすとしましょうか)
マツリは変装の天才である。多種多様な変装、演技の出来る彼にとって、表情を偽ることなど造作もない。
(こういうやり方はあんまり好きじゃないんですが、トパズ様の命令には逆らえませんしね。フォリキーには悪いですが、必勝の作戦のために、ここで負けてもらうことになりそうです。そして、レオ君、最後に負けるのは貴方です)
表情という仮面の奥で、マツリは不敵に笑う。

Re: 第百二十二話 狂人 ( No.256 )
日時: 2014/06/18 15:58
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

スモーガスの灼熱の業火に、眠り状態のドクケイルはなす術もなく焼かれていく。
炎が消えると、ドクケイルは戦闘不能になっていた。
「ちっ、ドクケイル、戻れ」
表情は見えないが少し悔しそうにドクケイルを戻し、ケケは次のボールを取り出す。
「それじゃあ、次はこいつだ! 行きな、プラネム!」
ケケの最後のポケモンはプラネム。ルナトーンが進化したのだ。
「さあ、まずはそいつを倒すぜ。プラネム、サイコバーン!」
プラネムが念力を体内に溜め込む。
次の瞬間、プラネムの目が発光すると共に周囲が爆発し、念力の衝撃波が撃ち出される。
「スモーガス、火炎放射!」
スモーガスは灼熱の業火を放つが、サイコバーンに打ち破られ、衝撃波の直撃を受けてしまう。
「ダイヤブラスト!」
さらにプラネムの周囲が再び爆発する。
青白く煌めく爆風が放たれ、スモーガスを襲う。
「ならばスモーガス、ダークリゾルブ!」
「させねえよ。プラネム、大地の怒り!」
スモーガスが闇のオーラを纏う。
だが、同時にスモーガスの足元の地面が割れ、大量の土砂や瓦礫が噴き出す。
無数の瓦礫が、大地ごとスモーガスを吹っ飛ばし、スモーガスを戦闘不能にする。
「スモーガス、よく頑張った。戻って休め」
スモーガスをボールに戻すと、コタロウは次のボールを取り出す。
「出て来い、アルデッパ!」
コタロウの最後のポケモンは、植物の怪物のようなポケモン。
水草のような腕や足には触手を備え、体長の二分の一ほどもある大きな口を持つ。
水草ポケモンのアルデッパ。分類通り、水・草タイプ。
「タイプ相性重視か。だがそれだけで勝てると思うなよ。自分で言うのも何だが、このプラネムは強いぜ」
「その言葉は真実であろう。先程の技の威力を見れば分かる。だが、それでもお前は俺には勝てん」
表情を変えず、コタロウは対峙している笑う仮面を見据える。



「アゲハント、サイコキネシス!」
「ゴルバット、守る!」
アゲハントとゴルバットの攻防が続くが、アゲハントは猛毒により徐々に体力を奪われている。
「この辺で決めるわよ! ゴルバット、ベノムショック!」
ゴルバットが特殊な毒液を放つ。
アゲハントに降りかかると、毒の傷口に染み込み、毒のダメージをさらに加速させる。
遂にアゲハントが力を毒に蝕まれ、地面に落ちる。
起き上がろうと体を震わせるが、そこで力尽き、戦闘不能となった。
「随分とえげつない戦法を使うのね。アゲハント、休んでなさい」
アゲハントを戻し、次のボールを取り出すキキ。
「二対二だからこれで最後か。行きなさい、プラネム!」
キキのポケモンは、ケケと同じくプラネム。ルナトーンとソルロックは、同じポケモンに進化するのだ。
「まずはその面倒なゴルバットを倒すわよ。プラネム、ストーンエッジ!」
プラネムの周囲に尖った岩が浮かぶ。
無数の岩が一斉に放たれ、ゴルバットに襲い掛かる。
「ゴルバット、守る!」
ゴルバットは守りの結界を作り上げ、岩を全て弾く。
「毒々!」
さらに猛毒の毒液を放つが、
「プラネム、怒りの炎!」
プラネムの放つ憤怒の業火が毒液を焼き払い、さらにゴルバットの体をも焦がしていく。
「隙あり。プラネム、サイコバレット!」
プラネムが念力を実体化させ、念力の銃弾をマシンガンのように撃ち出す。
体を焼かれ、体勢を崩していたゴルバットに念弾が直撃する。
翼を撃ち抜かれたゴルバットがバランスを失い、空中でふらつく。
「ストーンエッジ!」
そしてキキがその隙を逃すはずもない。
無数の尖った岩が放たれ、ゴルバットに突き刺さる。
効果抜群の攻撃を立て続けに喰らい、ゴルバットは戦闘不能になってしまう。
「ゴルバット、ありがとう。休んでてね」
ゴルバットをボールに戻し、アヤメはプラネムに視線を戻す。
(アゲハントの実力を見て油断してた。あのプラネム、なかなかの曲者ね)
気を取り直し、次のボールを取り出す。
「行くわよ、コモラゴン!」
アヤメの最後のポケモンは、いかにも凶暴そうなポケモンだ。
二足歩行の頑強な恐竜のような姿をし、紫の体の所々に黒い独特な模様を持つ。
コモラゴン、毒トカゲポケモン。毒・ドラゴンタイプ。
「あぁーら、見るからに強そうなのが出て来たわね。だけどプラネムとの相性は悪いんじゃない?」
「タイプ相性だけ見ればね。でもバトルはタイプ相性だけじゃ決まらない。常識でしょ?」
双方共に余裕を浮かべ、互いの敵を見据える。



ミヤビの言葉は真実だった。
メジストのグライオンは、カミギリーに一撃も与えられず、敗れてしまった。
「……」
グライオンをボールに戻し、メジストは俯く。
暫く何の動きも見せないメジスト。
しかし、
「ぅぅぅぅぅ……」
低い呻き声がミヤビの耳に入った。
音源は、メジストの被るフードの下。
よく見れば、メジストの肩が小刻みに震えている。
「ぅぅぅぅぅぅうううううあああああああぁぁぁぁぁァァァァァァ!!」
バッ! と顔を上げ、天を仰ぎ、メジストは咆哮する。
周囲に恐怖と戦慄をばら撒き、獣のように吼える。
そして。

「ぶっ殺す!!」

あらん限りの大声で叫び、メジストは自身の顔を覆うフードを掴み、そのまま思い切り捲り上げる。
短いぼさぼさの黒髪、右目についた大きな傷、我を忘れて暴走する猛獣のような眼光。
メジストが、その素顔を晒したのだ。
さらに。
一瞬遅れて、メジストの瞳から黒い光が放たれる。
同時に、メジストの顔に鋭い牙を持つ龍の顔面のような黒い光の模様が浮かび上がる。
破天のメジストが、覚醒を使用した。
「これでお前は終わりだ! 覚醒したこの俺様には絶対に勝てねえ! 俺様に本気を出させたことを、後悔するんだな! ギャヒャヒャヒャヒャ!」
喉が枯れるくらいの勢いで叫び続け、気が狂ったかのように高笑いするメジスト。
その姿は、百戦錬磨のミヤビにすら、恐怖を感じさせるほどだった。
壊れそうなほどに強くモンスターボールを握りしめ、メジストは叫ぶ。
「ひねり潰せ、オニゴーリ!」
メジストの二番手はオニゴーリ。メジストの覚醒の影響を受けてか、瞳には強い戦意が宿っている。
「いくらポケモンが変わろうと同じだ。貴様がカミギリーの動きを見切ることが出来なければ——」
「うっせえ黙れ! オニゴーリ、絶対零度!」
ミヤビの言葉を遮ってメジストが叫ぶ。
オニゴーリが氷点下の氷のエネルギーを溜め込み、氷の砲弾を撃ち出す。
一本の木の幹に着弾した、刹那だった。

瞬間冷凍されたかのように、周囲の森が一瞬で凍結した。

ポケモンだけでなく、トレーナーを巻き込んでもおかしくない一撃だった。
咄嗟にミヤビは離れることが出来たが、カミギリーに指示を出している余裕は無かった。
−273℃の絶対零度に封じ込まれ、カミギリーは一撃で戦闘不能となった。
「……ッ」
僅かにミヤビが驚愕の表情を見せる。
あらゆる状況を想定、把握し、常に適した反応が出来るミヤビにしては、極めて珍しいことである。
「カミギリー、お前は責務を果たした。休んでおれ」
カミギリーを戻し、ミヤビは辺りを見回す。
周囲の草木は完全に凍り付き、溶ける気配を見せない。気温も大きく下がっている。
瞬時に極寒の地獄に封じ込める、恐怖の絶対零度。しかし、対抗策が無いわけではない。
「出でよ、ドクロッグ!」
ミヤビの次なるポケモンはドクロッグ。氷の上でも、滑ることなく体勢を保つ。
「何が出て来ても同じだ! 極寒地獄に呑まれて消えろ! オニゴーリ、絶対零度!」
再びオニゴーリが氷のエネルギーを溜め込む。
力を最大まで溜めると、一撃必殺の氷の砲弾が撃ち出される。
しかし、
「ドクロッグ、身代わり!」
ドクロッグが自らの分身を作り出す。
再び周りが凍結されるが、極寒の地獄に呑まれたのはドクロッグの身代わりのみ。
「マグナムパンチ!」
直後、オニゴーリの背後からドクロッグが姿を現し、ミサイルの如き勢いで拳を放ち、オニゴーリを殴り飛ばす。
「ドクロッグ、毒突き!」
さらにドクロッグは毒を帯びた手の甲の針をオニゴーリに突き刺す。
反撃しようと振り向くオニゴーリだが、既にドクロッグは間合いを取って、ミヤビの元へと戻っている。
(これで一応絶対零度には対抗できる。だが、こちらの不利に変わりは無いな。この男、一見すれば我を忘れて暴走しているが、状況判断力は寧ろ上がっているようにも見える)
一度使った手は、次からはメジストも対策してくるだろう。ミヤビにとっては苦しい戦いになりそうだ。
「絶対零度を躱したくらいでいい気になるんじゃねえぜ? これが封じられたところで、バトルは振り出しに戻るだけだ。お前に勝ち目なんかないんだよぉ! ギャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
狂人と化した破天将メジストの笑い声が、森の中に響き渡る。

Re: 第百二十三話 余裕 ( No.257 )
日時: 2014/06/24 11:22
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

マニューラとガルラーダの、一進一退の攻防が繰り広げられている。
「マニューラ、氷柱落とし!」
「ガルラーダ、ブレイブバード!」
マニューラがガルラーダの頭上に冷気を放つが、ガルラーダは激しく燃えるオーラに身を包み、氷柱の雨を突っ切って突貫する。
氷柱はガルラーダに突き刺さるが、ガルラーダの全力の突撃をマニューラも躱せず、ブレイブバードの直撃を喰らって吹っ飛ばされる。
「ガルラーダ、襲撃!」
ブレイブバードの反動などものともせず、ガルラーダは更なる追撃を仕掛ける。
吹っ飛ぶマニューラとの距離を一気に詰め、翼を横薙ぎに振るう。
「くうっ、マニューラ、辻斬り!」
間一髪、マニューラが翼の一撃をギリギリの距離で躱す。
ガルラーダが急所、背中の殻を見せたその瞬間を逃さず、白く鋭い鉤爪を突き刺した。
「相打ち上等、ただでは負けんぞ! ガルラーダ、襲撃!」
殻を貫かれたガルラーダの動きは止まらなかった。
渾身の力を込めて、翼を振るい、マニューラを叩き飛ばす。
効果抜群の一撃を立て続けに喰らい、エーフィ戦でのダメージも重なり、マニューラは戦闘不能となるが、同時に力を使い果たしたガルラーダも床へと落下し、戦闘不能となった。
「マニューラ、ありがとう。二体も倒してくれたのは大きいわよ」
「ここまでだな。ガルラーダ、戻って休め」
お互いにポケモンを戻し、次のボールを取り出す。
「行って来なさい、チルタリス!」
「占領せよ、チリーン!」
トパズのチリーンに対し、アスカのポケモンは白い雲のような翼を持つ青い鳥ポケモン。
ハミングポケモンのチルタリス、ドラゴン・飛行タイプ。見た目からは想像し辛いが、龍の血を持つ歴としたドラゴンポケモンである。
「随分余裕な表情をしてるじゃない。だけどそろそろ危ないんじゃないかしら?」
「戦闘では弱みを見せた方が負ける。如何に自分が不利な状況であろうとも、怯まずに構えておかねばならんのだよ」
アスカの言う通り、トパズは全く焦りを見せない。
(この男、何か隠してる気がするのよね……。いくら何でも表情の変化がなさすぎる。戦闘のプロだからって、感情が無いはずがない)
とはいえ、そこばかりを警戒してバトルへの集中を切らす訳にはいかない。
「さあ行くわよ! チルタリス、大文字!」
チルタリスが大きく息を吸い、灼熱の火の玉を放つ。
火の玉は燃え盛る大の字に形を変え、チリーンに襲いかかる。
「チリーン、サイコキネシス!」
対してチリーンは強い念力を操り、念力を集中させ、炎にぶつける。
大文字の中心に穴が空き、チリーンに炎は当たらない。
「次だ。チリーン、ハイパーボイス!」
チリーンも負けじと大きく息を吸い、こちらは大音量の音波と共に衝撃波を撃ち出す。
「チルタリス、コットンガード!」
チルタリスの綿のような羽毛が膨れ上がり、チルタリスの体を包む。
衝撃波で綿は吹き飛ばされるが、チルタリスには傷一つ付いていない。
「チルタリス、龍の波動!」
さらにチルタリスは龍の力を一点に凝縮させ、波動の弾に変えて撃ち出す。
「チリーン、躱してシャドーボール!」
「させないわよ! チルタリス、冷凍ビーム!」
チリーンがふわりとした動きで波動を躱し、布のような下半身を振って影の弾を放とうとするが、それよりも早くチルタリスが冷気の光線を放つ。
「ッ、チリーン、神秘の守り!」
チリーンの体が光のベールに包まれる。
冷凍ビームはチリーンに直撃するが、体は全く凍りつかない。
「でもダメージがないわけじゃないはずよ。チルタリス、ガンガン行くわよ! 龍の波動!」
「果たしてそう上手くいくかな? チリーン、サイコキネシス!」
チルタリスが放つ龍の力を溜め込んだ波動の弾と、チリーンの操る強い念力の塊が激突する。



マツリとレオのバトルは、現状、ディザソルが圧倒している。
「フォリキー、電磁砲!」
「ディザソル、辻斬り!」
フォリキーが電気を集めた巨大な電撃の砲弾を放つが、既にディザソルはフォリキーのすぐ近くまで接近している。
額の対の黒鎌が、フォリキーを切り裂く。
「これさえ当てられればいいのですが……! フォリキー、鬼火!」
「当たらねえよ! ディザソル、神速!」
フォリキーが鬼火を放つよりも早く、ディザソルが超速で動き、フォリキーを吹っ飛ばす。
「辻斬りだ!」
容赦のない黒鎌の一撃がフォリキーを襲う。
双の刃が一瞬の連続攻撃を放ち、フォリキーにとどめを刺した。
「フォリキー、よく頑張りました。戻って休んでてください」
フォリキーをボールに戻し、最後のボールを取り出すマツリ。
「何だ、軍神の直属護衛だから戦闘慣れしてるかと思ったけど、大したことないな」
次第に余裕が出来、挑発を入れるレオ。
対して、マツリはまっすぐにレオを見つめる。
「一つ、言っておきます」
急に真剣な口調になり、マツリは続ける。
「正直なところ、私はバトルが好きではありません。例え敵でも、その人にとって大切なポケモンたちは、あまり傷つけたくはない」
ですから、とマツリは続け、
「降参したくなったらいつでも言ってください。そこでバトルは終わりです。今回の私たちの目的は宝玉の回収ですから、私たちが勝っても貴方たちに危害を加えるつもりはありません」
「何言ってんだ。この状態で降参しろなんて、よくそんな大口が叩けるよな」
「私はトパズ様の命令で戦っていますから、途中でバトルを投げ出すわけにはいかないのです。どうです、ここでバトルを終わらせましょうよ」
「ふざけんな」
マツリの提案を、レオは一蹴する。
「そんな馬鹿みたいな提案、絶対に乗れない。それに、僕はお前たちのことをそこまで信頼してるわけでもない」
「そうですか……残念です」
そう呟き、マツリは最後のボールを掲げる。
「お願いします、ポリゴンZ!」
マツリの最後のポケモンは、ソライトが使うポリゴン2の進化系、ポリゴンZ。
体のつくりはポリゴン2に似ているが、首と胴体が不自然に分離し、カクカクとした予測不能で不規則な動きをしている。
「最後はポリゴンZか。ディザソル、やるぞ」
レオの言葉にディザソルは頷き、一歩踏み出す。
「よっし! ディザソル、辻斬り!」
ディザソルがポリゴンZとの距離を一気に詰める。
一瞬の早業。次の瞬間には、二対の黒鎌が目前にある。
ポリゴンZは動かなかった。
しかし、それは躱す暇がなかったからではない。
躱す必要が、なかったからだ。

「ポリゴンZ、破壊光線!」

ポリゴンの体が、一瞬赤く発光する。
刹那、爆音と共に必殺の赤黒い光線が撃ち出される。
正面にいたディザソルに、これ躱す術はなかった。
凄まじい勢いでディザソルは吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられて、一撃で戦闘不能となった。
「……は?」
呆然とするレオ。何が起こったのか、理解するまでには何秒か必要だった。
「……ディザソル、よくやった。休んでてくれ」
ディザソルをボールに戻し、ポリゴンZに視線を戻す。
(……正直、こいつは弱いと思って油断してた。それは間違いない。だけど、今の一撃の威力は何だ? 火力が桁違いだぞ……!)
ここに来てのマツリの隠し球。こちらに余裕が出来てきたところで、一気に流れを変え、相手のペースを崩す。
「……考えてるばかりじゃ始まらない。次はお前だ、頼んだぞ、ヘラクロス!」
レオの二番手はヘラクロス。格闘タイプを持っているので、ポリゴンZに効果抜群の攻撃を与えられる。
「残念ですけど、タイプ相性くらいじゃ、私のポリゴンZは止められませんよ」
「もしそうだとしても、こっちにはヘラクロスを含めて二体残ってる。万が一ヘラクロスが負けても、最後の一体がとどめを刺すぜ」
思っていたよりも相当厳しい戦いになることをレオは予感し、先ほどと一変して余裕を浮かべるマツリの表情を見据える。

Re: 第百二十四話 共通点 ( No.258 )
日時: 2014/07/05 20:16
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「アルデッパ、パワーウィップ!」
アルデッパが腕の無数の蔓を伸ばし、プラネムへ叩き込む。
「プラネム、サイコバーン!」
対してプラネムは念力を体内に溜め込む。
溜め込んだ念力を瞬時に解放させて爆発を起こし、衝撃波を飛ばして、蔓を弾き飛ばした。
「ならばアルデッパ、ハイドロポンプ!」
アルデッパはその大口を広げ、大量の水を撃ち出す。
「プラネム、ダイヤブラスト!」
プラネムは爆破と共に青白く輝く爆風を放つが、水柱を完全に食い止めることは出来ず、ハイドロポンプを喰らってしまう。
「プラネム、大地の怒りだ!」
宙に浮くアルデッパの真下の地面が割れ、大量の土砂と瓦礫が噴き出すが、
「知らないのか? アルデッパの特性は浮遊だ。地面技は効かんぞ」
土砂や砂煙がアルデッパの周囲を覆うが、瓦礫はアルデッパに届かない。
しかし、
「いいや、知ってるさ。プラネム、サイコバーン!」
直後、アルデッパの右側から烈風が放たれ、砂煙が吹き飛ぶ。
直後、砂煙に紛れてアルデッパの横まで接近していたプラネムが衝撃波を放ち、アルデッパを吹っ飛ばす。
「畳み掛けるぜ! プラネム、ダイヤブラスト!」
「ッ、アルデッパ、パワーウィップ!」
プラネムが周囲を爆破し、青白く煌めく爆風を放つ。
アルデッパは体勢を崩しながらも、大量の水を噴き出し、どうにか爆風を相殺する。
「やるな。長年忍びの修行を積んできたこの俺に、気配を感じさせないとは」
「俺たちも厳しい裏社会を生き延びて来たからな。その為の術は、少なくともお前らに劣らない程度には身につけているつもりだぜ。ま、流石にここの長には及ばねえだろうがな」
つーか、とケケは続け、
「そういう点では、俺たち破天隊とお前ら忍びは共通点が多い。表社会から隔離された場所で生活し、自分たちの生活を否定する奴等から逃げ、時には撃退する。だから俺たち破天隊が動員されたのさ。N・E団の中でお前ら忍びとまともにやり会えるとしたら、俺たちだけだからな」
「なるほど。確かに、そうかもしれぬ。だが」
ケケの話を聞いた上で、コタロウは続ける。
「いくら社会から隔離されようと、俺たちは表社会に攻撃を仕掛けたことはない。攻められれば防衛はするが、それ以上の事はしない。自分たちの都合だけで無関係な人々を攻撃するお前たちと我々を、一緒にするな」
「ハンッ、心配すんな。犯罪グループ出身の俺たちは皆クズ野郎さ。それくらいは自覚してるぜ」
はぁ、とケケは息を吐き、
「バトルを続けるか。プラネム、熱風!」
プラネムが回転し、灼熱の風を起こす。
「アルデッパ、吹雪だ!」
アルデッパも雪を風に乗せて吹雪を起こし、熱風を相殺、さらに、
「パワーウィップ!」
腕の無数の蔓を伸ばし、プラネムへと叩きつける。
「プラネム、サイコバーン!」
「アルデッパ、ハイドロポンプ!」
プラネムが念力を溜め込み、それを爆発させて衝撃波を放つ。
蔓が衝撃によって弾かれるが、アルデッパの動きはそこで止まらない。
口を大きく開き、太い水柱を噴射する。
衝撃波と水柱が激突し、爆発が巻き起こる。



「さあ行くわよ! コモラゴン、ぶち壊す!」
先手を取ったコモラゴンが動く。
キキのプラネムとの距離を一気に詰め、力を込めた太い尻尾を横薙ぎに振るう。
「プラネム、ストーンエッジ!」
プラネムが周囲に尖った岩を浮かべる。
それを一斉に撃ち出し、コモラゴンの尻尾の勢いを止める。
「コモラゴン、ドラゴンクロー!」
コモラゴンの爪が蒼く輝く。
龍の力を込めた爪を振り抜き、プラネムの岩で出来た体を切り裂く。
「プラネム、もう一度ストーンエッジ!」
ドラゴンクローの直撃を受けたプラネムだが、すぐに反撃の体勢に入る。
再び周囲に尖った岩を浮かべて一斉に撃ち出し、コモラゴンに岩を突き刺す。
「プラネム、追撃するわよ。怒りの炎!」
「そう上手くは行かせないけどね! コモラゴン、火炎放射!」
プラネムが憤怒の感情の如く燃え盛る炎を放つが、コモラゴンも灼熱の業火を撃ち出し、怒りの炎を迎え撃つ。
双方の炎がぶつかり合い、大きな爆発と共に爆風を飛ばし、両者共押し戻される。
「気持ち悪い見た目の割にやるじゃない。さっきのアゲハントを見る限り、もっと弱いと思ってたけど」
「年上の女性に対する言葉遣いがなってないんじゃないかしら? あんた見たいな生意気な子には、お仕置きが必要みたいね」
「はぁ? やれるもんなら、やってみなさいよ! コモラゴン、ダストシュート!」
戦闘になると派手に暴れてしまうのが忍びとしてのアヤメの欠点なのだが、彼女はそれに気づいていない。
コモラゴンが大きなヘドロの塊を放ち、それを思い切りプラネムへと投げつける。
「プラネム、破壊しなさい。サイコバレット!」
プラネムが念力を実体化させ、無数の銃弾に変えて撃ち出す。
弾幕によってヘドロの塊は破壊されるが、
「ぶち壊す!」
ヘドロの塊の後ろからプラネムへと接近していたコモラゴンが、思い切り尻尾を振るい、プラネムを叩き飛ばす。
効果抜群の一撃をまともに受け、プラネムは大ダメージを喰らってしまう。
「一発防いだくらいで油断しちゃダメだって。忍びはどこから襲って来るか分からないんだから」
得意げな表情を浮かべるアヤメだが、
「どっちが油断してるって? プラネム、ストーンエッジ!」
コモラゴンが叩き飛ばしたプラネムが、風船のように破裂した。
直後、コモラゴンの真上から現れたプラネムが、無数の尖った岩をコモラゴンへと放つ。
「ッ、身代わり……! コモラゴン、火炎放射!」
咄嗟にコモラゴンは真上に灼熱の炎を放つ。
全ての相殺は出来なかったが、ダメージはどうにか最小限に留める。
「私たちもあんたら忍びと同じように、危険な裏社会を生き延びて来てるのよ。私を見下してかかるのは勝手だけど、油断してると潰すわよ」
そう言うキキの口調には、珍しく真剣味が篭っていた。
(っ、私としたことが。常に油断するなって父上にいつも言われているのに。周りから優秀だって言われるけど、私もまだまだね)
「もう油断はしないわ。全力で叩きのめしてあげる。貴女たちなんかに、私たちの宝は渡さない」
気持ちを切り替え、アヤメは表情を隠す黒い紙袋を見据える。



「ギャヒャヒャヒャヒャ! オニゴーリ、絶対零度!」
狂ったように笑い、叫び、メジストは恐怖を撒き散らす。
オニゴーリが氷のエネルギーを溜め込み、絶対零度の氷の砲弾を発射する。
「ドクロッグ、躱して悪の波動!」
対してドクロッグは大きく跳躍し、絶対零度の冷気を躱すと、上空から悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「オニゴーリ、ダイヤブラスト!」
オニゴーリは周囲を爆発させ、青白く煌めく爆風を放ち、悪の波動を防ぐ。
「次だ! オニゴーリ、噛み砕く!」
藪の後ろに着地したドクロッグに狙いを定め、オニゴーリは突撃する。
目の前にある障害物、枝や藪全て食い破り、噛み砕き、一直線にドクロッグに迫る。
「ドクロッグ、マグナムパンチ!」
だが正面からの攻撃なら恐れるに足らず。
オニゴーリの牙が届く範囲外に逸れると、オニゴーリが軌道を修正するよりも早く、ドクロッグがミサイルの如き勢いで拳を振るう。
しかし、
「引っかかったな馬鹿が! オニゴーリ、ダイヤブラスト!」
オニゴーリが急に動きを止め、周囲を爆発させる。
ドクロッグは爆発に巻き込まれ、さらに爆風を受けて吹っ飛ばされる。
「ギャヒャヒャ! 凍え死ね! オニゴーリ、絶対零度!」
オニゴーリが冷気のエネルギーを溜めていく。
この体勢では、ドクロッグの回避は間に合わない。
「ドクロッグ、身代わり!」
咄嗟にドクロッグは自らの身代わりを作り出す。
「そりゃそうするしかねえよなあ! 完全に読み通りだぜ! オニゴーリ!」
ドクロッグの動きを読んでいたメジストの指示で、オニゴーリは振り返る。
(っ、やはりこの男、状況を分析する力が上がっているな)
一見すればタガが外れて暴走しているように見えるメジストだが、実際はそうではない。
感情こそ高ぶっているが、その一方でより冷静かつ狡猾に状況を判断している。
しかし。
それはミヤビにとって、不利になるものとは限らない。
「引っかかったな。ドクロッグ、マグナムパンチ!」
オニゴーリが後ろを向いた瞬間、元の位置にいたドクロッグがミサイルの如き勢いで拳を突き出す。
「なにっ!? オニゴーリ、後ろだ!」
慌てて元の位置に向き直ろうとするオニゴーリだが、そんな隙をミヤビが与えるはずもない。
全力の拳の一撃が、オニゴーリの横顔に叩き込まれる。
「ドクロッグ、毒突きだ!」
凍りついた藪を使い、巧みに気配を消しながら、ドクロッグはオニゴーリに忍び寄る。
「どこからでも来いよ! 纏めて吹っ飛ばしてやるぜぇ! オニゴーリ、ダイヤブラスト!」
オニゴーリが自分を中心として広範囲に爆発を起こす。
爆風で周囲が吹き飛ばされる。藪に隠れている限り、ドクロッグに逃げ場は無いが、
「甘い」
ミヤビが短く告げた直後、木の上からドクロッグが飛び降り、オニゴーリの額に鋭い毒針を突き刺す。
「最初に言ったであろう。密林は我々忍びの主戦場。オニゴーリの広範囲への一撃必殺も、一度見た技であれば対策はいくらでも出来る」
「ケッ、その言葉はどうやら真実みてえだな」
ミヤビの言葉に対し、素直にメジストは認めた。
「絶対零度は通用しねえ、それじゃあ第二プランだ! オニゴーリ、氷柱落とし!」
オニゴーリが頭上に冷気の光線をばら撒く。
冷気は空中で凝結し、無数の大きな氷柱を作っていく。
「ただの氷柱落としじゃねえぜ? 何発か絶対零度を使った影響で、気温は大きく下がってる。冷たい空気も味方して、氷柱も普通より大きくなるんだよ! さあさあこれを全て躱せるか? ギャヒャヒャヒャ!」
鋭く尖った氷の凶器が、次々と降り注ぐ。
勝利に執着する狂人メジストの執念が、ミヤビにしぶとく喰らい付く。

Re: 第百二十五話 反撃 ( No.259 )
日時: 2014/07/09 19:13
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「チリーン、ハイパーボイス!」
アスカとトパズとのバトル。
チリーンが大きく息を吸い込み、体内で音を反響させ、大音量の音波を放つ。
「チルタリス、コットンガード!」
チルタリスは羽毛を身体中に纏わせ、衝撃波を防ぐと、
「龍の波動!」
龍の力を凝縮させ、波動の弾として撃ち出す。
「チリーン、サイコキネシス!」
チリーンが強い念力を操る。
念力を一点に集め、龍の波動にぶつけて相殺するが、
「大文字!」
既にチルタリスが次の技を放っている。
燃え盛る大の字型の炎が、チリーンに襲い掛かる。
「ッ、チリーン、神秘の守り!」
チリーンの体がベールに包まれる。
灼熱の業火がチリーンの体力を奪うが、体が焦がされることはない。
「息つく間もあげないから! チルタリス、龍の波動! 連射しなさい!」
チルタリスが龍の力を溜め込む。
それを一点に凝縮した龍の波動を、次々と撃ち出していく。
「やむを得ん。チリーン、サイコキネシス!」
チリーンは強い念力を操作し、波動を一つずつ操っていく。
別の龍の波動と激突させ、二つずつ潰していくが、残った一つは防ぎ切れず、直撃を受けて吹っ飛ばされる。
「チルタリス、冷凍ビーム!」
吹っ飛ぶチリーンに狙いを定め、チルタリスが冷気の光線を放つ。
「調子に乗るなよ! チリーン、ハイパーボイス!」
チリーンが体勢を強引に整える。
そのまま大きく息を吸い込み、大音量の声と共に衝撃波を撃ち出し、冷凍ビームを相殺する。
「さて、反撃といこうか。チリーン、まずはシャドーボール」
チリーンが影の弾を周囲に浮かべる。
それも一つではない。四つものシャドーボールを作り上げ、
「サイコキネシスだ!」
その影の弾に念力を掛ける。
不規則な動きで、影の弾がチルタリスに襲い掛かる。
「チルタリス、大文字!」
チルタリスが煌々と燃え盛る大の字型の炎を撃ち出すが、影の弾は大きく軌道を変えて炎を避け、横からチルタリスに命中する。
「チリーン、ハイパーボイス!」
チルタリスが体勢を崩したところに、チリーンが大音量の音波を放つ。
「チルタリス、コットンガード!」
チルタリスの体を羽毛が包み込む。
音波によって全て吹き飛ばされるが、チルタリス自身はほぼダメージを負わない。
「反撃よ! チルタリス、冷凍ビーム!」
チルタリスが息を吸い込み、冷気の光線を放つ。
「チリーン、神秘の守り!」
チリーンはその体を光るベールに包み、冷気を遮断し、ダメージを抑え、
「サイコキネシス!」
すぐさま念力の波を放って反撃、チルタリスを押し戻す。
「下手に躱したり、相殺したりすると、反撃が遅れる場合がある。相手の技によっては、あえてダメージを抑えて受けることで、より確実に反撃出来ることもあるのだよ」
「なるほどね! チルタリス、龍の波動!」
チルタリスが龍の力を波動に変えて撃ち出す。
「チリーン、サイコキネシス!」
対してチリーンは再び念力の波を放ち、相殺する。
「大文字!」
「サイコキネシス!」
チルタリスが大の字型の炎を撃ち出すが、またもチリーンは念力を操り、今度は念力を一点に集めて炎の中心部にぶつけ、大文字に穴を開ける。
「シャドーボール!」
炎に開いた突破口から影の弾を撃ち出し、的確にチルタリスを狙う。
シャドーボールが命中し、チルタリスが空中でバランスを崩す。
「もう一度ハイパーボイス!」
「二度も通用しないわよ! 大文字!」
再びチリーンが大音量の衝撃波を放つが、チルタリスも素早く立て直し、激しく燃え盛る大の字型の炎を放つ。
お互いに競り合うが、やがて炎が衝撃波を打ち破り、チリーンに大文字が命中、今度こそその体を焼き焦がしていく。
「まだ終わらんぞ! チリーン、サイコキネシス!」
チリーンが強い念力を操り、それを周囲に集めていく。
最大まで強めた念力を一点に集め、光線のように撃ち出す。
「随分と応用が効くみたいね。チルタリス、負けないわよ! 龍の波動!」
チルタリスもよりたくさんの龍の力を一点に溜め込み、波動の弾に変えて撃ち出す。
お互いの一撃が激突し、激しく競り合うが、やがてその均衡は崩れる。
チルタリスの波動が、念力の光線を打ち破り、チリーンを吹っ飛ばした。
「これでとどめよ! チルタリス、大文字!」
チルタリスが煌々と燃え盛る大の字型の業火を放つ。
大きく体勢を崩したチリーンに、これを躱す術はなかった。
炎が消えたその時、チリーンは体を真っ黒に焦がし、戦闘不能となって倒れていた。



「ポリゴンZ、雷!」
ポリゴンZが全身をガクガクと震わせ、雷に匹敵するほどの超高電圧の電撃を放つ。
「ヘラクロス、躱して瓦割!」
翅を広げて飛び上がり、電撃を躱すと、ヘラクロスは一気にポリゴンZへ接近し、硬い角を振り下ろす。
「ポリゴンZ、サイコキネシス!」
しかしポリゴンZには届かない。
ポリゴンZが放つ強い念力の前に、ヘラクロスの攻撃は弾かれ、逆に吹き飛ばされてしまう。
「まだ終わりませんよ。ポリゴンZ、冷凍ビーム!」
狂ったような挙動と共に、ポリゴンZが冷気を帯びた光線を撃ち出す。
「くっ、ヘラクロス、岩雪崩!」
ヘラクロスは自分の正面に無数の岩を落とし、冷凍ビームを遮断する。
岩の表面は瞬く間に凍りついていくが、ヘラクロスには届いていない。
「その程度の岩なら、ポリゴンZ、雷!」
ポリゴンZが雷の如き電撃を放つ。
ヘラクロスを守る岩は衝撃によって吹き飛ばされるが、
「ヘラクロス、襲撃!」
ヘラクロスは既にそこにはいない。
一瞬でポリゴンZの背後へと回り込み、角を振るってポリゴンZを弾き飛ばす。
「瓦割だ!」
ヘラクロスが追撃をかける。
吹っ飛ぶポリゴンZを追って飛び、硬い角を振り下ろす。
「ポリゴンZ、サイコキネシス!」
しかしポリゴンZは体勢を崩しながらも念力を放ち、何とかヘラクロスの角の一撃を止める。
(とりあえず、全ての技は確認出来た。だけど、このポリゴンZの実力、半端ないな……)
マツリの最初の二体は、戦法をある程度知っていたとはいえそこまで強くはなかったが、このポリゴンZだけは違う。
こいつだけは、天将が持っていてもおかしくないほどの強敵だ。火力だけなら、ソライトのジバコイルに匹敵するかもしれない。
そんなレオの思惑など知らず、マツリは次の指示を出す。
「さあ、次はこっちのターンです。ポリゴンZ、冷凍ビーム!」
ポリゴンZは冷気を溜め込み、冷寒の光線を撃ち出す。
「ヘラクロス、瓦割!」
対して、ヘラクロスは角を思い切り振り下ろし、冷凍ビームを強引に止めると、
「岩雪崩!」
ポリゴンZの頭上から、無数の岩を落としてポリゴンZの動きを止める。
「もう一度瓦割だ!」
岩に覆われたポリゴンZに、上空からヘラクロスが狙いを定める。
威力は十分。岩もろともポリゴンZを吹っ飛ばそうと、硬い角を振り下ろすが、
「ポリゴンZ、サイコキネシス!」
岩の内側で、ポリゴンZが念力を一点に溜め込み、一斉に周囲に撃ち出す。
トパズのチリーンのサイコキネシスと、ほとんど同じ応用。
力を瞬時に解き放つことで衝撃波を起こし、周囲の岩を吹っ飛ばした。
弾け飛んだ岩を前に、ヘラクロスの動きが一瞬止まる。
「ポリゴンZ、もう一度サイコキネシス!」
その隙を逃さず、第二波が放たれる。
強い念力の波が撃ち出され、ヘラクロスは直撃を受けて吹っ飛ばされる。
効果抜群の一撃、ダメージは相当大きい。
「だから言ったでしょう?」
小さく笑みを浮かべて、マツリが告げる。
「タイプ相性如きじゃ、私のポケモンZは止められないんですよ。貴方のポケモンでは、私のポリゴンZには勝てません」
「……うるせえよ」
マツリの言葉に対し、レオも言い返す。
「やってみなきゃ分かんねえだろ! ヘラクロス、瓦割だ!」
ヘラクロスが翅を広げ、ポリゴンZを見据えて飛び出す。
「ポリゴンZ、雷!」
対してポリゴンZは雷に匹敵する超高電圧の電撃を撃ち出すが、ヘラクロスは僅かに逸れて電撃を躱し、ポリゴンZに角の一撃を叩き込む。
ポリゴンZが吹っ飛ばされる。効果は抜群だ。
「あくまで戦いを選ぶみたいですね。分かりました、まだ早いですが、それならここで終わらせますよ」
マツリの表情から笑みが消える。
「ポリゴンZ、サイコキネシス!」
ポリゴンが強い念力を操作する。
周囲に念力を掛け、ヘラクロスの動きを止め、地面へと叩き落とす。
そして。

「ポリゴンZ、破壊光線!」

念力を解除し、瞬時にポリゴンが赤黒い光を放つ必殺の破壊光線を撃ち出す。
念力が解けたとはいえ、先ほどまで押さえつけられていたヘラクロスに、この一撃を躱すことは出来なかった。
破壊光線がヘラクロスに命中し、爆発を起こす。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。