二次創作小説(紙ほか)
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第二百六話 濁流 ( No.365 )
- 日時: 2016/08/15 17:35
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: wGslLelu)
吹っ飛ばされたガブリアスが起き上がり、自身を鼓舞するように吼える。
「ガブリアス、怒りの炎!」
「ディザソル、火炎放射!」
ガブリアスが荒れ狂う爆炎を放ち、対するディザソルは灼熱の業火を噴き出す。
両者の放った炎が激突し、爆発を起こす。
「突撃です、ガブリアス! ドラゴンダイブ!」
ガブリアスが地を蹴り、爆煙の中を一気に突っ込む。
龍の力をその身に纏い、凄まじい殺気と共に突撃する。
「ディザソル、躱してサイコカッター!」
小さく跳躍し、ディザソルは最低限の動きでガブリアスの突撃を躱す。
勢い余って後方に飛んでいくガブリアスへ、念力を纏った鎌を振って二枚の念力の刃を飛ばす。
「躱して地震!」
地面を思い切り蹴り、ガブリアスは飛び上がった。
念力の刃を躱すと、上空から脚を構えて急降下する。
「ディザソル、躱してぶち壊す!」
ガブリアスが地面に激突し、フィールドを激しく揺らす。
だがディザソルは跳躍して地震の衝撃波を回避、フィールドに置かれた岩山を足場に、ガブリアスの元へと突貫する。
「ガブリアス、迎え撃ちなさい。辻斬り!」
ガブリアスが両手の爪を黒く染め、迫り来るディザソルを迎え撃つ。
ディザソルが渾身の力で二枚の鎌を振り下ろすが、ガブリアスの両爪に阻まれる。
「怒りの炎!」
「神速!」
目の前にガブリアスが荒れ狂う灼熱の炎を撃ち出す。
しかしそれよりも早くディザソルがガブリアスの背後に回り、背後からガブリアスを突き飛ばす。
つまり、
「……! ガブリアス!」
ガブリアスは自らが放った爆炎の中に押し込まれ、その身を焼かれていく。
「今だディザソル! 火炎放射!」
炎に焼かれるガブリアスへ、ディザソルはさらに灼熱の業火を放つ。
「そこまでですぞ。ガブリアス、ドラゴンダイブ!」
炎の海の中で体力を削られながら、それでもガブリアスは龍の力を纏って突貫する。
炎の中を突っ切り、ディザソルに激突し、吹き飛ばした。
「ガブリアス、辻斬り!」
吹き飛ぶディザソルを追うガブリアスの爪が黒く染まる。
起き上がったばかりのディザソルへ、二本の爪を振り下ろす。
「ディザソル、躱せ!」
その寸前。
ディザソルが横に飛び、間一髪でガブリアスの爪を躱した。
両手の鋭い爪は、地面に深々と突き刺さり、
「ぶち壊す!」
その隙を逃さず、渾身の力を込めてディザソルは額の二枚の鎌を振り下ろし、ガブリアスを吹き飛ばした。
ガブリアスは叩き飛ばされ、岩山に激突。
今までのダメージも蓄積し、ついに限界を超え、ガブリアスは戦闘不能となった。
「ここまででしたか。ガブリアス、休んでいなさい」
ガブリアスを戻すセンドウの表情に、変化は見られない。
それもそのはず。パンプッチとディザソルに決して小さくないダメージを負わせ、さらにトゲキッスを倒したのだ。先鋒として充分すぎる仕事をしたと言えるだろう。
「ディザソル、一旦休んでてくれ」
レオも疲れているであろうディザソルをボールに戻す。
「私のガブリアスの速度を上回るとは。お見事ですな」
それでは、とセンドウは次なるボールを取り出す。
「潤せ、トリトドン!」
センドウの二番手は青色の首の長いウミウシのようなポケモン。昔は背中に殻があったらしく、背中にはその名残のような突起がある。
何を考えているのか分からない三つの目が、じっとレオを見据えている。
ウミウシポケモンのトリトドン。水・地面タイプで、住む環境によって姿を変えてきたポケモン。この青い姿は東の海の姿と言われている。
「トリトドンか。水・地面タイプなら、頼んだぜ、パンプッチ!」
レオの繰り出すのは最初に出て来たパンプッチ。ガブリアス戦でのダメージはあるが、まだ充分戦える。
「やはりですな。ここはパンプッチで来ると思いましたぞ。ですがトリトドンを使う以上、草タイプ対策は万全。冷凍ビーム!」
トリトドンが口を開き、凍える冷気の光線を放つ。
「パンプッチ、躱してエナジーボール!」
軽やかな動きで冷気の光線を躱し、パンプッチは葉の杖を振って、自然の力を込めた光の弾を放つ。
「トリトドン、躱して濁流!」
見た目に似合わない身軽な動きでトリトドンは跳躍し、光の弾を躱す。
着地すると同時に、トリトドンは腹下から泥で濁った水を周囲に放つ。
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
杖を振り、パンプッチは大量の水を噴射する。
泥水の波と水柱が激突し、お互いに勢いを失う。
「シャドーボール!」
流れるような動きで杖を振り、パンプッチは黒い影の弾を撃ち出す。
トリトドンに直撃して影の弾が炸裂し、
「続けてエナジーボール!」
攻撃の手を緩めず、パンプッチはさらに杖を振るが、
「トリトドン、冷凍ビーム!」
シャドーボールを受けても全く体勢を崩す様子もなく、トリトドンは凍える冷気の光線を放ち、放たれた光の弾を防ぐ。
「私のトリトドンの特性は粘着。本来は道具を取られなくなる特性ですが、私のトリトドンはこれを生かしてフィールドに張り付くことが出来る。どんな技を受けても、吹き飛ばされることなく耐えて反撃に出ることが出来ますぞ」
つまり、先ほどトリトドンは特性によって地面に張り付き、シャドーボールを耐え切ったのだ。
「それでは反撃と行きますぞ。トリトドン、濁流!」
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
トリトドンの腹下から濁った水が放たれ、濁流の波が襲い掛かる。
パンプッチは杖から大量の水を放ち、再び濁流を相殺する。
「それならば、冷凍ビーム!」
「パンプッチ、躱してもう一度ハイドロポンプ!」
さらにトリトドンが凍える冷気の光線を放つが、パンプッチはふわりと飛び上がって濁流を躱し、杖を振り、その先から再び大量の水を噴き出す。
「トリトドン、躱しなさい」
再びトリトドンは大きく飛び上がり、水柱を回避する。
「そこだ! パンプッチ、エナジーボール!」
淡く光る杖を振り、パンプッチは自然の力を込めた光の弾を放つ。
いくら特性が粘着でも、空中にいれば張り付く場所がない。
加えて翼のないトリトドンでは空中では自由に動けない。
と。
そう、レオは考えたのだが。
「トリトドン、ヘドロウェーブ!」
トリトドンの腹下から、見るからに毒々しい紫色に濁った水の波が放たれる。
紫水の波が光の弾を飲み込み、さらにパンプッチを押し流す。
「っ! 毒技を持ってるのか!」
幸いパンプッチはゴーストタイプも持っているので効果抜群にはならないが、それでもダメージは大きい。
「言ったはずですぞ。トリトドンを使う以上、苦手な草タイプ対策は万全だと」
センドウの表情は全く変わらない。
「ちっ……パンプッチ、大丈夫か?」
毒の波から抜け出し、パンプッチは頷く。
流石は四天王のポケモンだ。ガブリアスが飛び抜けていたというだけで、このトリトドンも充分に強い。
「トリトドン、濁流!」
無機質な瞳をギョロリと動かし、トリトドンが腹下から泥で濁った水の波を起こす。
濁った荒波が、パンプッチへと襲い掛かる。
- Re: 第二百七話 紫水 ( No.366 )
- 日時: 2016/08/16 19:44
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
トリトドンの放つ濁った荒波が、パンプッチへと襲い掛かる。
「そうだ、水技ならこれで防げる! パンプッチ、杖を構えて放電!」
ここでレオは閃く。
パンプッチは杖を構え、体から電撃を前方へ撒き散らす。
パンプッチの前方に電撃の壁が作られ、濁流を遮断する。
「トリトドン、ヘドロウェーブ!」
「パンプッチ、ハイドロポンプ!」
再びトリトドンが飛び上がる。
今度はトリトドンの腹下から毒素が滲み出し、毒を含んだ水の波が放たれる。
しかし事前に杖を構えていたパンプッチがそれよりも早く大量の水を放つ。
ヘドロウェーブが放たれるより先にパンプッチの放った水柱がトリトドンを直撃、空中にいたトリトドンは吹き飛ばされる。
「今だぜパンプッチ! エナジーボール!」
「ほう、やりますねぇ。トリトドン、冷凍ビーム!」
さらに杖を振ってパンプッチは自然の力を込めた光の弾を撃ち出す。
対してトリトドンは吹き飛ばされながらも凍える冷気の光線を放つ。
中途半端な体勢で技を繰り出したため相殺しきれずにエナジーボールを受けてしまうが、威力はかなり削いだ。とはいえ効果抜群なのでダメージは大きいが。
「僕のパンプッチは放電だけは杖を使わずとも撃てるんですよ。放電を使いながら杖を構えれば、すぐに次の攻撃に出られるってわけです」
「なるほど。ポケモンの特徴を上手く活かした、いい戦法ですな」
しかし、とセンドウは続け、
「種が分かれば攻略は容易い。私のトリトドンはまだ充分戦えますぞ。ヘドロウェーブ!」
着地したトリトドンが、再び腹下から毒素を含んだ紫の水の波を放つ。
「パンプッチ、躱してエナジーボール!」
「逃がしませんぞ。冷凍ビーム!」
ふわりと飛び上がってパンプッチは毒の波を躱すが、その動きを読んだトリトドンは上を向いて凍える冷気の光線を放つ。
光の弾が放たれるよりも早く冷気の光線がパンプッチを直撃し、その身を吹き飛ばす。
「そろそろ仕掛けますかな。トリトドン、大地の力!」
トリトドンの三つ目が光を放つと同時、トリトドンの足元から土砂が噴き出す。
四天王の一番手、イダも見せた手だ。土砂の力を利用し、天高く跳躍する。
吹き飛ぶパンプッチに対してその上を取り、
「ヘドロウェーブ!」
腹下から毒の波を起こし、パンプッチを押し流す。
「まだいける! パンプッチ、ハイドロポンプ!」
何とかパンプッチは起き上がり、杖の先から大量の水を放射する。
パンプッチの放つ水柱が、毒の水の波を食い止める。
「トリトドン、冷凍ビーム!」
「させるか! パンプッチ、地面にハイドロポンプ!」
トリトドンが上空から凍える冷気の光線を撃ち出すが、パンプッチは水柱を放つ杖を地面に突き立て、水流を使って空中へと飛び上がった。
「シャドーボール!」
「っ、もう一度冷凍ビーム!」
杖を突き出し、パンプッチは黒い影の弾を放つ。
やや対応が遅れるも、トリトドンは再び凍える冷気の光線を放ち、シャドーボールを何とか相殺。
しかし、
「今だ! エナジーボール!」
その次の攻撃には対応しきれなかった。
淡く輝く杖から自然の力を込めた光の弾が飛び出し、トリトドンに直撃。
最大の弱点、草技を食らってトリトドンは大きく吹き飛ばされ、地面に落ちた時には戦闘不能になっていた。
「トリトドン、休んでいなさい」
トリトドンをボールに戻し、センドウは次のボールを手に取る。
数の上ではレオが有利となったが、油断は禁物。
「私のトリトドンは今まで多くの挑戦者の草ポケモンを倒して来ましたが、さすがに貴方のような実力者の持つ草ポケモンと戦わせるのは無理がありましたかな」
「へへっ。僕のポケモンは皆、一味違いますからね」
レオの言葉を聞いてセンドウは頷くと、
「それでは、次はこのポケモンです。揺るがせ、バーネッコ!」
手にしたモンスターボールを投げる。
次なるセンドウのポケモンは、太く長い木の根のようなポケモン。根元の部分が顔になっている。
根っこポケモンのバーネッコ。草・地面タイプ。
「それでは始めますぞ。バーネッコ、穴を掘る!」
開始早々、バーネッコは地面の下へと潜ってしまう。
(浮遊のパンプッチには地面技には効かないし、センドウさんもそれは分かってる。何か仕掛けてくるか? それとも、身を隠しながら戦うスタイルか?)
「気をつけろパンプッチ。どこから来るか分からないぞ」
杖を構え、パンプッチは全神経を集中させてバーネッコが現れるのを待つ。
「アイアンテール!」
「躱してシャドーボール!」
パンプッチの足元からバーネッコが硬い鋼のような長い尻尾を突き出す。
しかしそれよりも一瞬早く、パンプッチが飛び上がってバーネッコの一撃を躱すと、杖の先から影の弾を飛ばす。
だがバーネッコは尻尾の一撃が躱されたと見るや、すぐさま地中へと姿を隠してしまう。
フィールドにシャドーボールが当たるが、特にバーネッコへの影響はなさそうだ。
「またか……パンプッチ、次に出て来た瞬間にエナジーボールだ」
淡く光る杖を構えて宙に浮き、パンプッチは地中に潜ったバーネッコを迎え撃つ体勢をとる。
フィールドに転がる石ころが、僅かに揺れる。
「そこだパンプッチ! 放て!」
レオは見逃さなかった。
パンプッチが杖の先から光の弾を放った直後、ちょうどその位置からバーネッコが飛び出して来る。
しかし。
「バーネッコ、クロスポイズン!」
勢いよく地面から飛び出したバーネッコが毒を帯びた尻尾を振るい、光の弾を破壊。
さらに一回転してもう一度尻尾を振り抜き、パンプッチを地面へと叩き落とした。
「っ、パンプッチ!」
「決めますぞ! バーネッコ、アイアンテール!」
地面に落ちたパンプッチはまだ何とか起き上がる。
しかし、直後にバーネッコが鋼のように硬化させた長い尻尾をパンプッチの脳天に叩きつけた。
パンプッチがその場でよろめき、地面に倒れる。
蓄積していたトリトドン戦でのダメージもあり、ここで戦闘不能になってしまった。
「パンプッチ、よく頑張った。休んでてくれ」
パンプッチをボールに戻し、レオは次のボールを手に取る。
「バーネッコの地中強襲に対応出来るのは……こいつだな。頼んだぜ、ディザソル!」
レオのポケモンはガブリアスを破ったディザソル。
バーネッコの地中からの攻撃に素早く反応出来るが、ガブリアス戦でのダメージがあるのが気掛かりなところ。
「ほう、先ほどのディザソルですな。私のバーネッコ相手にどこまで戦えるか、見せてもらいますぞ」
「上等です。行くぞディザソル、火炎放射!」
大きく息を吸い込み、ディザソルは灼熱の業火を噴き出す。
「バーネッコ、穴を掘る!」
しかしバーネッコは再び地面に潜り、炎を躱すとともに姿を隠してしまう。
「また穴を掘るか……だけどこれならどうだ! ディザソル、地面にぶち壊す!」
ディザソルが額の鎌を思い切りフィールドへと叩きつける。
地面が揺れるほどの威力で、バーネッコを地中から引きずりだそうとしたのだが、
「無駄です。バーネッコ、アイアンテール!」
直後にディザソルの背後からバーネッコの尻尾が伸び、それを振るってディザソルを叩き飛ばす。
「バーネッコは元々地中に生息するポケモン。地面が揺れたところで、バーネッコを引きずり出すことは出来ませんぞ」
センドウの言葉に合わせて、バーネッコはケラケラと笑う。
「なるほど。ディザソル、立て直していくぞ」
起き上がったディザソルが、バーネッコを睨む。
「バーネッコ、穴を掘る!」
「ディザソル、神速!」
再びバーネッコが地面に潜ろうとするが、今度はディザソルがそれを許さない。
神がかった速度で一瞬のうちにバーネッコとの距離を詰め、ディザソルはバーネッコに激突し、吹き飛ばす。
「火炎放射!」
さらに宙を舞うバーネッコに対してディザソルは灼熱の炎を放つが、
「バーネッコ、ストーンエッジ!」
襲い来る灼熱の炎を、バーネッコは鋭く尖った無数の岩を撃ち出して防ぐ。
「地中からの攻撃だけがバーネッコの全てではありませんぞ。バーネッコ、アイアンテール!」
着地したバーネッコがディザソル目掛けて跳ぶ。
宙返りし、鋼のごとく硬化させた尻尾を振るう。
「迎え撃てディザソル! サイコカッター!」
対してディザソルは額の鎌に念力を纏わせ、バーネッコを正面から迎え撃つ。
鋼の尻尾と念力の鎌が激突、威力は互角。
「今です、穴を掘る!」
だがセンドウは攻撃後のディザソルの一瞬の隙を見逃さなかった。
その隙に、再びバーネッコは穴を掘って地中へと消えてしまう。
「っ、またか……ディザソル、気をつけろ。どこから来るか分かんないぞ」
全神経を集中させ、ディザソルはバーネッコの気配を探る。
静かに、しかし確実に、地中からの攻撃が迫る。
- Re: 第二百八話 鎧 ( No.367 )
- 日時: 2016/08/18 18:03
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: wGslLelu)
地中から、静かにバーネッコが迫り来る。
「クロスポイズン!」
大地が割れる。
バーネッコが飛び出すはディザソルの左。ディザソルがほんの少し右に目をやった瞬間に飛び出し、毒を帯びた尻尾を振るう。
だが、
「甘い! ディザソル、神速!」
バーネッコの尾がディザソルを切り裂く寸前、ディザソルの姿が消えた。
一瞬のうちに遠くの岩山まで飛び、その次の瞬間には岩山を足場にバーネッコの懐に飛び込み、激突してバーネッコを吹き飛ばした。
「サイコカッター!」
さらに額の鎌に念力を纏わせ、首を振って念力の刃を飛ばす。
宙を舞うバーネッコを切り裂き、地面に叩き落とす。
「まだです。穴を掘る!」
地面に激突する瞬間、バーネッコは強引に体勢を整える。
そのままフィールドに穴を掘り、またも地面に潜る。
「もう穴を掘るは効きませんよ。僕のディザソルには神速がある」
地中に潜ったバーネッコを見てもレオは余裕を崩さないが、
「さて、それはどうですかな」
一方、センドウも表情を変えない。
「我がバーネッコの主戦場は地中。地上では出来ないことが、地中では出来ますな」
例えば、とセンドウは続け、
「バーネッコ、ストーンエッジ!」
ディザソルの足元が揺れる。
直後、ディザソルの逃げ道を断つようにディザソルの周囲から無数の尖った岩が飛び出してくる。
「なにっ!?」
「今です、アイアンテール!」
周囲を覆う岩を警戒して動きを止めた瞬間、ディザソルの足元から鋼のように硬化させたバーネッコの尻尾が飛び出し、ディザソルを天高く吹き飛ばす。
「バーネッコ、さらにクロスポイズン!」
「くっ、ディザソル、サイコカッター!」
姿を現したバーネッコが毒を帯びた尻尾を振り抜き、十字型の毒の刃を飛ばす。
対してディザソルは宙に打ち上げられながらも額の鎌に念力を纏わせ、何とか毒の刃を防いだ。
「ほう、お見事です。それではバーネッコ、もう一度穴を掘る!」
毒の刃が防がれたのを見るや、バーネッコは再び地中へと身を隠す。
「ストーンエッジ!」
今度は間髪入れず、地中に潜ったその箇所から無数の尖った岩が飛び出してくる。
無数の岩は空中で弧を描き、ディザソルへと襲い掛かる。
「ディザソル、こいつは躱せ!」
ディザソルは素早く後方へと飛んで無数の岩を回避する。
先程までディザソルが立っていた場所に、次々と岩が突き刺さる。
しかし、
「読み通り! バーネッコ、アイアンテール!」
岩を回避し、着地したディザソルの足元が揺れる。
直後に、鋼の如く硬化させたバーネッコの尻尾が、ディザソルの足元から飛び出す。
対して。
「こっちもですよ! ディザソル、火炎放射!」
それよりも早くディザソルは跳躍し、真下に灼熱の業火を噴き出す。
バーネッコの尻尾はディザソルを捉えきれず、逆にその尻尾が灼熱の業火に焼かれていく。
「センドウさんなら絶対そう来ると思いましたよ。相手の隙を見逃すような人じゃありませんもんね。だからこそ、それを利用させてもらいましたよ!」
確かにバーネッコの攻撃のタイミングも絶妙だった。普通のポケモンであれば、今のタイミングでの攻撃を防ぐことは出来ないだろう。
だがレオのディザソルは、反応速度という点において他のポケモンとは一味も二味も違う。
「流石、一筋縄では行きませんな。そうとなれば後はやることは一つ、全力の一撃で行きましょう! バーネッコ、アイアンテール!」
バーネッコが尻尾だけを出して地中に潜り、尻尾を硬化させてディザソルに突撃する。
獲物を見つけ、背ビレを水面に出した鮫のように、一気にディザソルとの距離を詰める。
「ディザソル、神速で躱せ!」
対するディザソルは一瞬にして飛び上がり、バーネッコの鋼の尻尾を躱すが、
「逃がしませんぞ! ストーンエッジ!」
尻尾も地中に隠し、直後にバーネッコは四方八方へと尖った岩を乱射する。
岩のいくつかがディザソルへと突き刺さり、その神速の動きを止める。
「今です! バーネッコ、クロスポイズン!」
地中から飛び出し、全身を露わにし、バーネッコは毒を帯びた尻尾を振り回しながらディザソルへと飛びかかる。
「やるしかねえ! ディザソル、ぶち壊す!」
何とかバランスをとって着地すると、ディザソルも迎撃の体勢を取る。
振り下ろされる毒の尻尾に対し、渾身の力を込めて額の鎌を振るった。
二者の攻撃が正面から激突。激しく競り合った末に、最後は両者とも吹き飛ばされる。
吹き飛ばされて岩山に激突し、バーネッコは戦闘不能となる。
地面に落ちたディザソルはまだ何とか起き上がるものの、蓄積したダメージが限界を超え、再びその場に倒れた。
「バーネッコ、休んでいなさい」
「ディザソル、よくやった。流れは元に戻ったぜ」
レオとセンドウがそれぞれのポケモンをボールへと戻す。
「さあ、ガブリアスで取られた分はこれで取り返しましたよ」
「そうですな。しかし、戦況は五分に戻ったのみ。ここから先、まだどちらに転ぶか分かりませんぞ」
両者が、次のボールに手を掛ける。
「頼むぜ、ヘラクロス!」
「穿て、メダゲラス!」
レオの四番手はヘラクロス。
対するセンドウのポケモンは、身体中に装甲を纏った四足歩行の恐竜のようなポケモン。
体の各所に棘を備え、尻尾は棘だらけの鉄球のよう。さらに額には、剣のように長い角を持っている。
鎧角ポケモンのメタゲラス、鋼・地面タイプ。ヘラクロスと同じく、パワーに優れるポケモンだ。
「次はメタゲラス….鋼タイプを持ってるから打点はあるけど、油断は禁物だな」
パワーを売りにするのは両者同じだが、メタゲラスはヘラクロスにはないものがある。
硬い装甲による防御力、これを破らなければ、メタゲラスに勝つことはできない。
「でも考えてても仕方ない。行くぞヘラクロス! マグナムパンチ!」
強く拳を握り締め、ヘラクロスは大砲の如く飛び出して、メタゲラスへ殴りかかる。
対して、
「メタゲラス、アイアンヘッド!」
拳の直撃を受けたメタゲラスが、低く唸ってヘラクロスを睨む。
硬化させた額の角を振り抜き、逆にヘラクロスを弾き返した。
「続けて地震!」
さらにメタゲラスは地面を踏み鳴らし、ヘラクロスの着地に合わせてフィールドを揺らす。
揺れによってヘラクロスの動きを止め、衝撃波で吹き飛ばす。
「ヘラクロス! 大丈夫か!?」
吹き飛ばされたヘラクロスはすぐに起き上がり、レオの声に応えて頷く。
「我がメタゲラスの防御力、どう攻略しますかな? メタゲラス、ギガスパーク!」
メタゲラスの咆哮と共に、その口元へ電気が一点に集まり、電撃の砲弾を作り上げる。
バチバチと音を立てるその砲弾を、ヘラクロスへと発射する。
「ヘラクロス、躱してストーンエッジ!」
翅を広げて飛翔し、電撃の砲弾を躱すと、ヘラクロスは空中から無数の岩の刃を一斉に発射する。
「アイアンヘッドで破壊!」
メタゲラスの角が鋼のように硬化する。
剣のようなその角を振るい、メタゲラスは岩の刃を全て破壊してしまう。
「だったらシャドークロー!」
ヘラクロスが両手に長く鋭い影の爪を纏わせる。
すれ違いざまに両腕を振るってメタゲラスを切り裂き、さらにメタゲラスの後方に飛び去ることで追撃を逃れる。
「メタゲラス、ギガスパーク!」
「ヘラクロス、ストーンエッジ!」
メタゲラスが口元に電気を集めていくが、それに対してヘラクロスは無数の尖った岩を撃ち出し、電撃の砲弾を破壊してしまう。
「今だヘラクロス! メガホーン!」
メタゲラスの眼前で爆発が起こる。
爆煙の中を潜り抜け、ヘラクロスは硬い角を突き出し突貫する。
「メタゲラス、迎え撃て。アイアンヘッド!」
至近距離の爆発をまともに浴びても全く動じず、メタゲラスは鋼の如く硬化させた角を構え、ヘラクロスを迎え撃つ。
両者の角の一撃が激突、激しく競り合い、火花を散らす。
- Re: 第二百九話 岩窟 ( No.368 )
- 日時: 2016/08/21 07:24
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
双方の一撃がぶつかり合い、一歩も引かずにせめぎ合う。
「ヘラクロス、マグナムパンチ!」
だがそこでレオが動いた。
角の勢いを維持しながらも、さらにヘラクロスは大砲のような拳を突き出し、メタゲラスの頬を殴り飛ばした。
吹っ飛びこそしなかったものの、メタゲラスは大きく押し戻される。
「今だぜ! ストーンエッジ!」
さらにヘラクロスは無数の尖った岩を一斉に発射する。
放たれた岩はメタゲラスの硬い鎧にも弾かれず、鎧に次々と突き刺さる。
「畳み掛けろ! マグナムパンチ!」
硬く拳を握り締め、ヘラクロスは大砲の如く飛び出す。
一気にメタゲラスとの距離を詰め、拳を振り上げる。
だが。
「メタゲラス、怒りの炎!」
メタゲラスが怒りに満ちた咆哮を上げ、憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を放つ。
炎の波が次々とヘラクロスに襲い掛かり、逆にヘラクロスを飲み込む。
「っ!? しまった、ヘラクロス!」
「吹き飛ばしなさい。アイアンヘッド!」
さらにメタゲラスは鋼の如く硬化させた角を突き出し、炎に焼かれるヘラクロスを突き飛ばした。
「ヘラクロス! まだ行けるか!?」
炎にその身を焼かれ煤だらけになりながらも、ヘラクロスは起き上がった。
「くそっ、炎技を持っていたのか……!」
実に上手いタイミングでの反撃だ。レオが流れを掴んだところで、隠していた技を使用しカウンターを決める。ヘラクロスに大ダメージを与え、センドウが一気に流れを引き戻した。
「ほう、まだ倒れてはいませんか。しかし、どこまで持ちますかな? ギガスパーク!」
ようやく立ち上がったヘラクロスへ、メタゲラスが激しく破裂音を立てる電撃の砲弾を放つ。
「僕のヘラクロスの根性、甘く見ないでくださいよ! ストーンエッジだ!」
翅を広げて飛翔し、ヘラクロスは電撃の砲弾を躱す。
体は傷だらけだが、その動きは万全の状態と変わらない。空中で周囲に無数の尖った岩を浮かべ、一斉に発射する。
「メタゲラス、アイアンヘッド!」
メタゲラスの角が鋼の如く硬化する。
剣のように角を振り、飛来する全ての岩を破壊し、
「もう一度ギガスパーク!」
口元に巨大な電撃の砲弾を作り上げ、再びヘラクロスへ撃ち出す。
「壊せ! シャドークロー!」
両手に黒い影の爪を纏わせ、ヘラクロスが突撃を仕掛ける。
影の爪を突き立てて電撃の砲弾を破壊し、そのまま正面からメタゲラスへと突っ込み、
「メガホーンだ!」
硬い角を構えてメタゲラスに激突、そのままメタゲラスの後方へと飛び去る。
「動きが全く衰えない……さすがですな、見上げた根性です。体力が尽きるまでは全力、ですがそれはメタゲラスも同じこと。メタゲラス、もう一度ギガスパーク!」
旋回してレオの元へ戻るヘラクロスに対し、メタゲラスは立て続けに電撃の砲弾を発射する。
「ヘラクロス、躱してマグナムパンチ!」
急降下して電撃の砲弾を躱すと、ヘラクロスは拳を構え、大砲の如き勢いで突撃。
「ならばメタゲラス、怒りの炎!」
そのヘラクロスに対し、メタゲラスは咆哮と共に憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を放つ。
「もう回避は間に合わない……ヘラクロス! 突っ切れ!」
ヘラクロスに残された道はこの炎の中を潜り抜け、メタゲラスを殴り飛ばすのみ。
拳を固く握り締め、ヘラクロスは炎の中へと飛び込んでいく。
灼熱の炎が、ヘラクロスの身を焼く。
それでもヘラクロスは炎の中を潜り抜け、メタゲラスの目前に迫る。
だが。
その拳は、メタゲラスまで届かなかった。
炎によるダメージがヘラクロスの限界を超え、ヘラクロスの勢いが急速に衰え、力なく地面に落ちる。
構えた拳はメタゲラスのすぐ目の前の地面に突き刺さった。
ほんの僅かに、炎のダメージの方がヘラクロスの残り体力を上回っていた。
「っ……ヘラクロス、よく頑張った。ゆっくり休んでてくれ」
ヘラクロスをボールに戻し、レオは最後となるボールを取り出す。
「最後はお前しかいない。頼んだぜ、エンペルト!」
レオの最後のポケモンは、勿論エンペルト。
地面技で弱点こそ突かれるものの、強力な水タイプの技を二つも使えるレオのエース。選出しない理由はない。
「最後はエンペルトですか。ほう、よく鍛えられているのが分かりますぞ。今までのポケモンもそうでしたが、このエンペルトは別格だ」
「勿論ですよ。エンペルトは僕のエースですからね。こいつと一緒に、センドウさんの残りの二体、倒してみせます!」
レオの力強い言葉を聞いてセンドウは頷き、
「ならば見せてもらいましょうぞ。メタゲラス、地震!」
メタゲラスが地面を踏み鳴らし、フィールドを大きく揺らす。
「エンペルト、ジオインパクト!」
対してエンペルトは銀色に輝く翼を思い切り地面へと叩きつける。
目の前の地面を叩き割り、地震の衝撃波を防いだ。
「ならばギガスパーク!」
「もう一度ジオインパクト!」
続けてメタゲラスは巨大な電撃の砲弾を撃ち出すも、エンペルトは再び銀色に輝く翼を振るい、砲弾を弾き返す。
「怒りの炎!」
弾かれた砲弾がメタゲラスに直撃するが効果はない。
咆哮と共に、メタゲラスは憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を噴き出す。
「今だエンペルト! ハイドロポンプ!」
対するエンペルトは大きく息を吸い込み、激流のような大量の水を放つ。
炎の波を容易く貫き、その奥にいるメタゲラスを捉え、吹き飛ばした。
「ぬぅ、メタゲラス!」
メタゲラスの身体が吹き飛び、そのまま岩山へと激突。
地面に落ちた時には、既に戦闘不能だった。
「メタゲラス、休んでいなさい」
メタゲラスをボールへ戻すと、センドウはレオの方へ向き直る。
「予想以上のパワーを持っているようですな。相性が悪いとはいえ、我がメタゲラスの技が何一つ通用しないとは、驚きです」
しかし、とセンドウは続け、
「私が今から繰り出すのは、勿論エースポケモン。僅差ではありますが初手のガブリアスをも上回る強さを持つポケモンです。果たして、貴方に勝てますかな」
「勝てます。いや、勝ちます! センドウさんのエース、僕とエンペルトで超えてみせる!」
「よろしい。それでは、我がエースの登場です」
センドウが、最後のボールを掲げる。
「崩せ、ドサイドン!」
センドウの最後のポケモンは、岩のプロテクターで体を覆った重量級の岩窟王、ドサイドン。
通常の個体よりも一回り大きなその巨体が、レオとエンペルトを見下ろす。
「最後はドサイドンか……見ただけで分かるぜ、こいつの戦闘経験、そしてこの威圧感。強敵だな」
「このドサイドンと共に、私はリカルドに敗れるまでの十年間、チャンピオンの座を守ってきました。今は四天王に地位を落としたとはいえ、その実力は未だ健在。生半可な実力のポケモンでは、このドサイドンには傷一つ付けられませんぞ」
「僕のエンペルトが、そんな生半可なポケモンに見えますか?」
「ふっ、ここは正直に答えましょう。とても生半可とは言えませんな。少なくとも、我がドサイドンに匹敵するくらいには強い」
しかし、とさらにセンドウは続け、
「ポケモンの力が互角であれば、トレーナーの腕がものを言う。このセンドウ、ポケモントレーナーとしての力は、誰にも負けぬ自信がありますぞ」
「そうこなくっちゃ。それだけの強い相手だからこそ、やりがいがあるんです! 行くぞ、エンペルト!」
レオの声に応えるように、エンペルトは大きく啼く。
「最後まで、面白い戦いになりそうですな。それではそろそろ始めましょうぞ。ドサイドン、ドリルライナー!」
ドサイドンの額のドリルのような角が、音を立てて高速回転する。
巨体に似合わぬ動きでドサイドンは思い切り地面を蹴って飛び出し、エンペルトとの距離を詰めていく。
「エンペルト、ドリル嘴!」
それに対するエンペルトも嘴を伸ばし、ドリルのように高速回転しながら突撃。
お互いの攻撃が激突、威力は互角。
「なるほど、ドサイドン、アームハンマー!」
「エンペルト、ジオインパクト!」
ドサイドンが腕を振り上げ、鈍器のように振り下ろしてエンペルトへその腕を叩きつける。
対してエンペルトは銀色の光を纏わせた右翼を振り上げ、振り下ろされるドサイドンの腕を真っ向から迎え撃つ。
正面から技と技がぶつかり合うが、またも威力は互角。
「今だエンペルト! ハイドロポンプ!」
お互いにせめぎ合った末、ドサイドンが一旦腕を引いたその瞬間。
エンペルトが大量の水を噴き出し、ドサイドンに直撃、その巨体をセンドウの元まで押し戻す。
しかし、
「このドサイドンの特性はハードロック。効果抜群の攻撃を受けても、そう簡単には倒れませんぞ」
四倍弱点を受けたというのに、ドサイドンは余裕の表情を浮かべてエンペルトを見据えている。
「とんでもない耐久力だな、おまけに攻撃力も飛び抜けてる。相手にとって不足はないぜ」
そしてそれほどの強敵を前にしても、レオの闘志は揺るがない。
やることはただ一つ。エンペルトと共に、最後の四天王の切り札を打ち破るのみ。
- Re: 第二百十話 砲弾 ( No.369 )
- 日時: 2016/08/22 22:16
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「ドサイドン、氷柱落とし!」
ドサイドンが目の前に冷気を発射する。
冷気は急速に無数の氷柱を形作り、エンペルトへと一斉に撃ち出される。
氷柱落としというよりは氷柱の弾だが、
「エンペルト、受け止めろ!」
鋼の翼で防御体制を取り、エンペルトは無数の氷柱を受ける。
エンペルトの翼に氷柱が飛来するも、それらを難なく耐え切り、
「ハイドロポンプ!」
返す刀で大量の水を放射し、すぐさま反撃に出る。
「ドサイドン、アームハンマー!」
対してドサイドンは鈍器を振るうように、振り上げた腕を垂直に振り下ろす。
腕の一撃が、襲い来る水柱を容易くねじ伏せた。
「続けてドリルライナー!」
ドサイドンの額のドリルが、超高速で回転する。
あまりに激しい回転によって周囲の空気が渦巻き、空気の衝撃波が放たれる。
「飛び道具としても使えるのか……! エンペルト、躱してジオインパクト!」
ドリルライナーをこのように使ってくる相手は初めて見たが、当たらなければ問題はない。
跳躍して空気の渦を躱すと、エンペルトは銀色に輝く翼を振り抜き、鋼の衝撃波を起こす。
「ドサイドン、そのままドリルライナー!」
ドサイドンの額の角が、さらに回転を続ける。
鋼の衝撃波を、ドリルの角の一突きで砕き、
「氷柱落とし!」
冷気を発射し、空中のエンペルトに向けて無数の氷柱を撃ち出す。
無数の氷柱が次々とエンペルトに突き刺さり、エンペルトは地面に落とされる。
効果今一つの割にしてはダメージが大きい。やはりこのドサイドンの攻撃力がそれだけ高いということだろう。
「だったら効果抜群の技はなおさら受けられないな。エンペルト、立て直すぞ!」
撃墜されたエンペルトはすぐに起き上がると、気合を入れ直して構え直す。
「ドサイドン、アームハンマー!」
丸い岩石のような尻尾で地面を叩き、ドサイドンは地を蹴ってエンペルトとの距離を詰めてくる。
「エンペルト、躱してジオインパクト!」
ドサイドンが腕を振り上げ、エンペルトに狙いを定めるが、その腕が振り下ろされる直前、エンペルトは横へと飛び、ドサイドンの腕の一撃はエンペルトを捉えられずに終わる。
そこに間髪入れず、エンペルトが銀色の光を纏った翼を、ドサイドンの顔を狙って叩きつける。
頬に一撃叩き込まれ、ドサイドンがよろめいて後退りする。
「今だぜエンペルト! ハイドロカノン!」
その隙を逃さず、エンペルトは大きく息を吸い込む。
口元の一点に膨大な水の力を凝縮させ、巨大な水の砲弾を作り上げ、ドサイドン目掛けて撃ち出す。
だが。
「ドサイドン、岩石砲!」
ドサイドンが右拳をフィールドに叩きつけ、地中へ腕をねじ込む。
地中からドサイドンは巨大な岩を取り出し、掌の穴に詰め、腕の筋肉の力だけで大砲のようにその岩を撃ち出した。
水の砲弾と巨大な岩が激突、大爆発を起こすも、
「……っ!」
爆煙が晴れた時、向こう側に立つドサイドンにダメージはない。
「ハイドロカノンを、防いだ……!?」
今までエンペルトのハイドロカノンを破ったのは、父親ライオが持つ猛火を発動させたコマレオンのみ。
その芸当を、このドサイドンは火力の補強なしに普通にやってのけた。
「岩石砲は岩タイプ最強の大技。覚えるポケモンはかなり限られますが、技の威力はハイドロカノンに並びます。確かに今のハイドロカノンは強力な一撃でしたが、我がドサイドンなら防ぐことも可能」
センドウの口元が僅かに緩み、それに呼応してドサイドンもしてやったりとでも言うかのようにニヤリと笑う。
「それではこちらからも行きますぞ。ドサイドン、ドリルライナー!」
ドサイドンが額の角を高速回転させて飛び出し、エンペルトへ襲い掛かる。
「エンペルト、ドリル嘴!」
エンペルトも嘴を伸ばして高速回転し、そのまま突撃してドサイドンの角の一撃を迎え撃つ。
「アームハンマー!」
激しい競り合いを続けたまま、ドサイドンが両腕を振り上げる。
「まず……っ! エンペルト、躱してハイドロポンプ!」
地に足をつけ、大きく横へ飛び、エンペルトは振り下ろされるドサイドンの両腕を間一髪で躱す。
そこから大きく息を吸い込み、大量の水を放射するが、
「もう一度アームハンマー!」
振り下ろした腕を思い切り振り抜き、ドサイドンは一撃で水柱を打ち破り、
「ドリルライナー!」
角を高速で激しく回転させて渦を起こし、空気の衝撃波を連続でエンペルトへと撃ち出す。
「エンペルト、ジオインパクト!」
エンペルトの両翼が銀色の光に覆われる。
翼を振り抜いて銀色の衝撃波を飛ばし、衝撃波を打ち消し、
「もう一度ハイドロポンプ!」
すぐさま大量の水を噴き出して反撃する。
しかし。
「それを待っていましたぞ。ドサイドン、岩石砲!」
ドサイドンが拳を地面にめり込ませ、地中から巨大な岩を取り出し、掌から砲弾のように放つ。
大砲のような巨大な岩石はハイドロポンプを持ってしても止める事ができず、エンペルトに激突、大きく吹き飛ばした。
「エンペルト!? しまった……ここで仕掛けてくるか……!」
「確実にダメージを与えるにはこのタイミングしかありません。ドサイドン、アームハンマー!」
吹き飛ばされるエンペルトを追い、ドサイドンがその巨体で飛び出す。
巨大な鈍器のような二本の腕が、エンペルトの頭上へと迫る。
「くっ、エンペルト、ジオインパクト!」
どうにかエンペルトは起き上がり、銀色の光を纏った翼を構えて、振り下ろされる両腕を何とか防いだ。
「ドリルライナー!」
しかし、次の一撃までは防げなかった。
ドサイドンが角を激しく高速回転させ、勢いよくエンペルトへと突き出す。
振り下ろされる両腕を防ぐのが精一杯だったエンペルトにこの一撃をどうにかする術はなく、再びエンペルトは吹き飛ばされる。
ついに命中してしまった効果抜群の一撃。ダメージは相当なものだろう。
「エンペルト! 大丈夫か!?」
岩石砲とドリルライナーを立て続けに受け、それでもまだエンペルトは起き上がった。
「ほう、まだ起き上がりますか。ですが、次の一撃で終わらせますぞ。ドサイドン、アームハンマー!」
地を蹴ってドサイドンは飛び出し、鈍器のような腕を振り回し、狙いをつけてエンペルトへと振り下ろす。
起き上がったばかりのエンペルトには、これを躱すだけの余裕はない。
だが。
打つ手は、まだ無くなってはいない。
「ここからだ! エンペルト、ハイドロポンプ!」
エンペルトがカッと目を見開く。
刹那、エンペルトの体が青い水のオーラを纏う。
水の力を受け、エンペルトは先程よりもさらに強い大量の水を噴き出した。
「っ! 激流の特性が発動しましたか!」
格段にパワーアップしたハイドロポンプは、ドサイドンの腕の一撃でも打ち破れず、逆に弾き飛ばされてしまう。
「もう一度ハイドロポンプ!」
間髪入れず、エンペルトは再び大量の水を放つ。
体勢を崩したドサイドンの腹に直撃し、ドサイドンを吹き飛ばした。
「ぬぅ……! ドサイドン、まだ行けますかな」
低く唸りながら、ドサイドンは起き上がる。激流の発動したエンペルトのハイドロポンプを受けても、それでもまだ立ち上がった。
「流石の耐久力ですね。でも、次の一撃で決めます!」
「いいでしょう。激流が発動しているということは、エンペルトの体力も残りわずか。こちらとしても、そろそろ決めさせていただきますぞ」
両者が。
最後の攻撃の構えに入る。
「エンペルト、ハイドロカノン!」
「ドサイドン、岩石砲!」
エンペルトの体を覆う全ての水のオーラが、口元のその一点に凝縮する。
圧倒的な水の力を極限まで凝縮させ、エンペルトはさらに巨大な水の砲弾を作り上げる。
対して、ドサイドンは咆哮と共に両拳を地面へと叩きつける。
両手に巨大な岩石を掴み、それを掌へ装填する。
「「放て!」」
超巨大な水の砲弾と、二発の巨大な岩石が同時に撃ち出された。
両者の放った弾が、フィールド中央で激突。
ピキピキと砕けるような音が、周囲へと響く。
そして。
ドサイドンの放った二つの岩が、粉々に砕け散った。
「……一歩及ばず、ですか」
センドウが小さく呟いた、その直後。
巨大な水の砲弾がドサイドンへと直撃し、大爆発を起こした。
「お見事です。ここまで進んできた貴方の実力は、やはり本物だったわけですな」
「ありがとうございます。でも、僕の力だけじゃありません。エンペルトを始め、ポケモンたちがいるから、ここまで来れたんです」
レオの言葉を聞き、センドウは笑みを浮かべる。
「ポケモントレーナーとして大事なもの、よく分かっているようですな。よろしい。それでは最後の部屋への扉を開きましょう。最後の一人、チャンピオンが、貴方を待っていますぞ」
ポケモンリーグも、いよいよ最後の一人。
残すは、ホクリク地方最強のトレーナー、チャンピオンのリカルド。
「ありがとうございます。絶対、勝ってみせます」
四天王を全員倒し、いよいよレオは最後の部屋へと足を進める。
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