二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスター 星と旋風の使徒
- 日時: 2017/01/28 12:25
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22078
どうも、初めましての人は初めまして、そうでない人はこんにちは。パーセンターです。
えー、また始まってしまいました。四作目ですね。
今作は前作の完全続編となっております。
参照をクリックすれば、前作に飛びます。
レオの新しい冒険が、始まります。
※注意
・例によって例のごとくノープランです。
・パーセンターは大学生でございます。現在数々の課題に追われて更新頻度が非常に低いですがご了承ください。
・登場するポケモンが色々とややこしいです。詳しくは近々やるオリキャラ募集のときに説明しますが、簡単に言うと『プラチナのシンオウ図鑑に載っているポケモン+ベガでのみ登場するポケモン』となります。
これくらいですね。
内容としては、前作と同様、オリジナルの地方でのゲームのような冒険ものとなります。
それでは、よろしくお願いします。
登場人物
味方side >>25
N・E団side(ネタバレ注意)>>153
用語(ネタバレ注意)>>342
プロローグ >>1
シラハタウン&メガキタウン編
>>6 >>20 >>22
ハスバナシティ編
>>27 >>31 >>32 >>34 >>36
デンエイシティ編
>>39 >>40 >>41 >>42 >>45 >>46 >>50 >>53
アカノハシティ編
>>55 >>57 >>58 >>62 >>63 >>64 >>65 >>68 >>70 >>72 >>74 >>75 >>79 >>80
コウホクシティ編
>>81 >>82 >>83 >>84 >>87 >>88 >>89 >>93 >>94 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>106 >>107 >>108 >>111 >>112 >>115 >>116 >>117 >>118
ツクモシティ&スティラタウン編
>>121 >>122 >>123 >>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>133 >>138 >>145 >>152 >>157 >>158 >>159 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>171 >>172 >>173 >>175 >>176 >>177
シヌマシティ編
>>178 >>179 >>180 >>185 >>186 >>188 >>189 >>190 >>193 >>194 >>195 >>199 >>200 >>206 >>207 >>210 >>211 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>221 >>222 >>223 >>224 >>227 >>229 >>230 >>233
ヨザクラタウン編
>>234 >>235 >>236 >>242 >>243 >>246 >>247 >>248 >>251 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>264 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>280 >>281 >>283 >>284 >>285 >>288 >>289 >>290 >>291 >>294 >>295 >>296 >>297 >>298 >>299 >>300 >>301 >>303 >>304 >>305
テンモンシティ編
>>306 >>309 >>310 >>311 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>322 >>324 >>325 >>326 >>327 >>328 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>340 >>341
四天王&チャンピオン編
>>343 >>344 >>345 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>352 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>378 >>379 >>380
N・E団編
>>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390
決戦編
零節 都市
>>391 >>392
一節 碧天
>>393 >>400
二節 緋天
>>394 >>401
三節 蒼天
>>395 >>404
四節 破天
>>396
五節 夜天
>>397
六節 輝天
>>398
七節 聖天
>>399
非公式(ベガ)ポケモン図鑑 >>5
- Re: 第七十九話 乱入 ( No.175 )
- 日時: 2014/07/08 09:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 0.f9MyDB)
「さあアルデッパ、パワーウィップです!」
アルデッパは右手を伸ばし、ミロカロスへと叩きつける。
「先程よりも威力が上がっている……ミロカロス、冷凍ビーム」
ミロカロスはまだ倒れず、冷気の光線を放って反撃。
「アルデッパ、メタルニッパーです!」
しかしアルデッパは歯を鋼のように硬化させ、冷凍ビームを噛み砕いてしまう。
「トレーナーとポケモンとの力関係ですか。トレーナーが最高の状態であって初めて、ポケモンは全力を引き出せる。ミロカロス、ドラゴンテール」
「アルデッパ、受け止めなさい!」
ミロカロスが振るう青く光る尻尾の一撃を、アルデッパはまた噛み付いて受け止める。
「何度言ったら分かるのです? 同じ戦法は私には通用しない。ミロカロス、ハイドロ——」
「誰が同じだと言った? アルデッパ、放り投げなさい!」
アルデッパは噛み付いているミロカロスの尻尾を思い切り引っ張る。
そのままハンマー投げのように勢いを付けて回転し、ミロカロスを投げ飛ばす。
ミロカロスの体が、木へと叩きつけられる。
「ッ……まだです。耐久力に優れる私のミロカロスはまだ戦える。ミロカロス、自己再生」
「させない! アルデッパ、最高火力のパワーウィップを叩き込みなさい!」
ミロカロスは何とか起き上がり、細胞を回復させて傷を癒そうとする。
しかし、その時にはアルデッパがすぐそこまで迫っていた。
両手の蔦を伸ばし、最大の力を込めてミロカロスへと叩きつける。
ミロカロスの体がぐらりと揺れ、ゆっくりと地面に倒れる。
今度こそ、ミロカロスは戦闘不能となった。
「ミロカロス、よく頑張りました。戻りなさい」
ミロカロスをボールに戻すと、ブレイズは素早くフライングボードに飛び乗り、上昇する。
「さてと、私は負けてしまいましたが、いい時間稼ぎになったでしょう。そろそろ今回のターゲットも手に入る頃だと思いますし、私はこれで帰るとしましょう」
エフィシに言っているのか独り言かも分からない口調でブレイズは話す。
「待て、N・E団。今回の貴方たちの目的は、一体何だ? 貴方たちが探しているものは何だ?」
「教えませんよ」
エフィシの問いを、ブレイズは一蹴する。
「と言うか、私も知らないのですよ。蒼天将様が知っているようですが、教えていただけませんでした」
それでは、とブレイズは言い残し、『ホエール』の元まで飛び去っていった。
「最後はお前だ。頼んだぞ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンはやはりポッチャマ。
「セドニーたちから聞いてた通り、やっぱりそのポッチャマね。貴方の手持ちの中では一番らしいけど、どこをどう頑張っても私のフィニクスには勝てないわよ」
「やってみなきゃ分からねえだろ! ポッチャマ、水の波動!」
上空のフィニクスを見据え、ポッチャマは水の力を溜め込んだ波動の弾を発射する。
「フィニクス、大文字!」
対してフィニクスは燃え盛る大の字型の炎を放つ。
水の波動に威力を削がれるものの、水の波動を打ち消し、ポッチャマに大文字が迫る。
「ポッチャマ、アクアジェット!」
ポッチャマは水を纏って突貫する。
炎の隙間を潜り抜け、そのままフィニクス目掛けて突撃、フィニクスの体勢を崩す。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
「フィニクス、ドラゴンビート!」
ポッチャマは冷気の光線を放つが、フィニクスが放った龍の心臓の鼓動のような大きな音波に掻き消され、ポッチャマも吹っ飛ばされる。
ポッチャマは地面へと落ちるが、すぐに起き上がる。
さらに、
「残念だったな。ドラゴンビートの効果で、ポッチャマの攻撃力が上がったみたいだ」
ドラゴンビートは強力な技だが、相手の攻撃力を上げる事があるという欠点を持つ。
「多少の能力上昇くらいでは、私のフィニクスは止まらないわ。フィニクス、エナジーボール!」
「ポッチャマ、躱してドリル嘴!」
フィニクスは自然の力を吸収し、エネルギー弾に変えて撃ち出す。
それをポッチャマは跳んで躱し、嘴を伸ばすと、ドリルのように回転しながら突っ込む。
「フィニクス、もう一度!」
フィニクスは再び自然のエネルギー弾を放ち、強引にポッチャマの攻撃を相殺、さらに、
「大文字!」
放たれた大の字型の炎が、ポッチャマを襲う。
炎をまともに浴びるポッチャマ。効果今一つのはずなのに、ダメージは大きい。
「これが『覚醒』か……!」
小さくレオは呟く。
ただ、こうして戦ってみると、今のフィニクスの力はセドニーのバジリールと同じくらいだ。
前回のセドニーは絶好調だったようだし、ガーネットは先程調子が優れないと言っていたのもあるが、恐らくガーネットも覚醒した時の序列はそうでもないのだろう。
とはいえ、恐ろしい敵であることは間違いない。
「フィニクス、ドラゴンビート!」
フィニクスは龍の心臓の鼓動のような音波を放つ。
「ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
ポッチャマは後ろに跳び退いて音波を躱し、水を纏って突進する。
「フィニクス、大文字!」
「ポッチャマ、躱して突っ込め!」
フィニクスは煌々と燃え盛る大の字型の炎を放つが、ポッチャマは空中で軌道を変えて炎を躱し、さらにフィニクスへと突っ込む。
先程のドラゴンビートにより、威力が上がっている。
「あー鬱陶しい、とっとと黒焦げになりなさい! フィニクス、大文字!」
もう一度フィニクスは燃え盛る大の字型の灼熱の炎を放つ。
「まずい! ポッチャマ、水の波動!」
攻撃直後で、ポッチャマは避ける余裕はない。
咄嗟にポッチャマは水の力を溜め込んだ波動の弾を放ち、炎の威力を軽減する。
それのおかけで、ポッチャマは大文字を喰らうが、まだ何とか倒れていない。
しかし、
「あと一撃喰らえば、それで終わりだな……」
フィニクスの攻撃力が桁違いだ。もう一撃喰らえば、ポッチャマは戦闘不能になってしまうだろう。
「ふふふ、終わりね。悪いんだけど、もう決めさせてもらうわ」
紅色に輝くガーネットの瞳が、さらに大きな光を放つ。
「これで終わりよ! フィニクス、龍星——」
「カビゴン、のしかかり!」
ガーネットが龍星群を指示する直前、空から女性の高い声が聞こえた。
「!?」
レオとガーネットは、同時に空を見上げる。
黒と白を基調とした、ひどく太った大きな怪獣のようなポケモンが、空から落ちて来たのだ。
その大きなポケモンは、重力に従って猛スピードで落下し、真下にいたフィニクスに激突、そのまま地面へ押し潰した。
「……え?」
レオが唖然としているのに対し、
「このカビゴンは……まさか!」
ガーネットには心当たりがあるらしい。
レオは咄嗟に図鑑を取り出す。
そいつの名はカビゴン、居眠りポケモン。ノーマルタイプ。
しかし、このカビゴン、かなり大きい。四メートルほどある。
そのカビゴンは見た目に反して素早い動きで起き上がると、真上に手をかざす。
その手の中に、一人の女性が落ちてきた。
カビゴンの手の上に綺麗に着地し、両手を広げる。
桃色の髪を左右で団子にし、着ている中華風の服と短いスカートは共に赤。さらに服をある程度捲り、腹は露出させている。
腕や足、腹には、ピンクと黄色のリボンが絡みついている。
その女はカビゴンの手の上から飛び下り、ガーネットを見据えてにやりと笑う。
「あらあ? シヌマであたしにボコられて泣いて帰ったガーネットちゃん。腹いせに一般トレーナーを泣かそうとしたってワケぇ?」
「ッ……うっさいわね! あの時は覚醒が使えなかったし、それに私は泣いてなんかないわよ!」
その時、地面に埋れていたフィニクスが、バサァッ!と飛び上がった。
「ふふ。あれくらいで私のフィニクスはやられない。丁度いい機会だし、先に貴女を焼き尽くしてやるわ!」
「キャハハ! 必死になって強がってるガーネットちゃん可愛いー」
ガーネットとその女が互いを見据える中、
「あの……誰ですか?」
急に空気になったレオが尋ねる。
んー? とその女はレオの方を向く。
そして、
「あたしは『ブロック』シヌマシティ統括、サクラ。よろしくねえ☆」
- Re: 第八十話 達成 ( No.176 )
- 日時: 2013/08/15 14:42
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「焼き尽くしてやる! フィニクス、大文字!」
フィニクスは煌々と燃え盛る大の字型の炎を放つ。
カビゴンは避けることもなく、そのまま炎がカビゴンに命中する。
しかし、
「キャハハ! 熱い熱い!」
サクラが笑った直後、カビゴンを覆う炎が吹き飛んだ。
カビゴンは何事もなさそうに、平然と立っている。
「あたしのカビゴンの特性は厚い脂肪よ。そんな炎、カビゴンには殆ど効かないわあ」
「だったら、フィニクス、ドラゴンビート!」
今度はフィニクスは龍の心臓の鼓動のような音波を放つ。
「とりあえず森も火事だし、さっさと終わらせないとね。カビゴン、ぶち壊す!」
対してカビゴンは全力の右拳を突き出す。
音波と競り合うが、やがて音波が打ち勝ち、カビゴンは後ろへ仰け反る。
「どうしたカビゴン? こんな奴に負けちゃだめよお! ギガスパーク!」
カビゴンは右手にバチバチと破裂音を立てる大きな電撃の砲弾を作り上げ、それを思い切り投げつける。
「フィニクス、エナジーボール!」
フィニクスは自然の力を凝縮したエネルギー弾を放ち、ギガスパークを相殺、さらに、
「フィニクス、龍星群!」
フィニクスは龍の力を体の一点に集める。
十分に溜まったところで、龍の力をエネルギー弾として真上に放出する。
エネルギーは上空で弾け、無数の流星となってカビゴンに次々と降り注ぐ。
「カビゴン、受けきれる?」
サクラの言葉に、カビゴンは頷く。
「よーし、カビゴン、全部受け切っちゃえ!」
サクラのとんでもない指示に、傍にいたレオは思わず目を見開く。
「ふん、馬鹿ね。私のフィニクスの龍星群を受けて、耐えられるとでも思ってんの?」
ガーネットが嘲笑するが、サクラの表情は揺るがない。
無数の流星は次々とカビゴンを捉え、砂煙が巻き起こる。
やがて、煙が晴れると、
「ふっふーん、どんなもんよ!」
カビゴンは、まだ立っていた。
「!?」
「何……ですって!?」
レオはさらに目を見開き、ガーネットも驚愕している。
「きゃー☆ 明らかに想定外の事態に焦っちゃってるガーネットちゃん可愛いー! カビゴン、よく耐えたわ! 反撃よ! ぶち壊す!」
勿論カビゴンとて無傷ではない。それどころかダメージは非常に大きい。
それでもカビゴンは耐えた。
持ち前の耐久力を生かし、龍星群を耐え切った。
巨体に似合わず、カビゴンは跳び上がる。
一気にフィニクスに迫り、全力の右拳を放つ。
「っ、フィニクス、ドラゴンビート!」
咄嗟にフィニクスは龍の鼓動のような音波を撃ち出すが、龍星群で特攻が下がっており、カビゴンの拳を弾き返せず、相殺に留まってしまう。
「そこまで火力を減らせれば十分! カビゴン、のしかかりよ!」
一旦着地したカビゴンは再び跳び上がる。
先程よりも高く跳び、フィニクスの真上から落下し、フィニクスを押し潰す。
「フィニクス、相殺は無理よ。躱しなさい!」
フィニクスは横に飛んでカビゴンの落下を躱す。
カビゴンは地面に勢いよく落ち、地面が揺れた。
「まだまだ! カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが腕に水を纏う。
水飛沫を上げながら、その腕をフィニクスに叩きつける。
「フィニクス、ドラゴンビート!」
フィニクスは龍の鼓動のような音波を放つが、やはり相殺止まり。
「こうなったら! フィニクス、もう一度龍星群!」
再び、フィニクスは龍の力を溜め込む。
十分に凝縮された力を、一気に放出しようとしたところで、
「ガーネット、そこまでです」
空から、突然声が聞こえた。
現れたのは、ジバコイルに乗った蒼天のソライト。
「今回の目的のものは入手しました。トパズの輝天隊も貴女の緋天隊も『ホエール』に乗り込みました。後は貴女だけです」
「うっさいわね! こっちはこの女を倒すまで気が済まないの! 先に帰っててよ!」
引き下がろうとしないガーネット。ソライトが何か言おうとしたその時、
「でもお、ガーネットちゃん」
猫撫で声でサクラが言う。
「ガーネットちゃんは一対一で戦いたいかもしれないけどお、あたしの仲間はどうかしら? もうN・E団はガーネットちゃんだけだからあ、全員でかかれば一巻の終わりよお☆」
ま、あたしはその方が楽しいけどお、とサクラは続ける。
「そこの女性の言う通りです。ガーネット、貴女の気持ちも分かりますが、自分の立場を考えるのも大事ですよ。さあ、戻りましょう。ブレイズが貴女に紅茶を用意しています」
「……分かったわよ」
小さく呟き、ガーネットはフィニクスに乗り、空へと飛び上がる。
「おい、ソライト」
ここで、レオが声を上げる。
「今回のお前たちの目的は、何だったんだ」
「さて、何でしょうねえ。それよりも、私に関わるより森の火を早く消した方がいいのでは?」
そう言われ、レオは森の方を見る。
だが、炎は既に大分消えていた。
「あ、くそ、ソライト!」
慌ててソライトの方を振り向くが、ソライトは高く飛び去っており、いるのはガーネットのみ。
「シヌマ統括、覚えときなさいよ! 次に会ったら叩き潰してやる!」
「きゃー涙目のガーネットちゃん超可愛い☆」
ガーネットはまだ何か言いたそうだったが、フィニクスに指示し、『ホエール』へと飛び去っていった。
それから間も無くして、森の火は全て消えた。
木は大分燃えてしまったが、『ブロック』やスティラの住民が少しづつ直していくらしい。
マリアの姿は誰も見なかったそうだが、エフィシが一週間ほど隠れていろと言ったため、どこかに隠れているのだろう。
エフィシ曰く、マリアは隠れるのが非常に上手いらしい。
「それにしても」
全員が揃ったところで、エフィシが声を上げる。
「サクラさん、来るのが遅すぎます。あと来るなら連絡くらいくださいよ」
「だってえ、連絡したらあたしが来るって分かっちゃうじゃん。いつ来るかも分からず、でも最後には絶対来るのがヒーローでしょ?」
「早く来て始めから手伝ってくれた方がよっぽどヒーローです! あと貴女は女性なのだからヒーローではなくヒロインでしょう!」
エフィシが思わず声を大きくするが、サクラは反省の色もなく笑う。
「何か、凄いキャラの濃い人だな」
傍ではホロが何故か震えており、
「……この人、いつもこんな感じなんですか?」
「ええ、毎回こんな感じですわ。仮にも一支部の統括なのですから、もう少し真面目にやってほしいものです」
レオとテレジアは半ば呆れたような感じで話す。
「まあ、とにかく」
サクラにこれ以上何を言っても無駄だと判断したらしく、エフィシはサクラとの話を止めて全員に声を掛ける。
「N・E団との戦い、お疲れ様でした。今日はゆっくり休んでください」
「全く、本当に疲れましたわ。私はまだアカノハの方で仕事が残っていますのに」
テレジアが急に愚痴りだす一方、
「レオにーちゃん、腹減ったな」
「ああ」
「じゃあさ、ポケモンセンターでさ、どっちが沢山夜ご飯食べられるか勝負しない?」
「お? いいぜ。ポケモンバトルでは負けたけど、その勝負は負けないぜ」
ホロとレオの二人はまだ元気そうだった。
そしてそこにサクラが入り込む。
「あらあ? じゃああたしも交ぜて貰えるかしらあ? 大食いには自信あるわよお?」
「お! いいぜ、サクラねーちゃん。じゃあ、負けた人の罰ゲームどうする?」
盛り上がる三人の様子を見て、テレジアがエフィシに呟く。
「全く、三人とも子供ですわね」
「その言葉を九歳の貴女から聞くと何とも返答し辛いですが、まあ子供はあれくらいがいいんじゃないですか? サクラはさておき」
とりあえず、N・E団の脅威はスティラタウンから去った。
今日はゆっくり休み、明日はレオはシヌマシティに出発だ。
シヌマシティでは、ジムリーダー・ママルが待っている。
- Re: 行間 ( No.177 )
- 日時: 2013/08/10 20:18
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
彼女は森の中に隠れていた。
彼女の友だちが作ってくれた家の、すぐ近くにある茂みの中に隠れ、さらに森のポケモンの力を借りて穴を掘り、茂みの下の地面の中に隠れていた。
途中で、大きな音が聞こえた。同時に、たくさんの人たちの怒ったような声が聞こえた。
しかし、彼女は動かなかった。
ここにいれば、絶対に安全だと思っていた。
隠れている間の食べ物は、鳥ポケモンたちが木の実を持ってきてくれる。
水ポケモンたちが飲み水を作ってくれるから。
何だか暑くなってきた。
おかしい。こんな夜なのに、そんなに暑くなる季節じゃないのに。
ふと穴の外を見上げると、とても明るい。
彼女はどうしても気になって、穴の中から顔を出した。
森が、炎で覆われていた。
その瞬間。
町に危ない人たちがやってくること、自分は隠れていなければならないことなどは、彼女の頭から完全に吹き飛んだ。
大慌てで彼女は穴から飛び出す。
近くの木の上の自分の家にまでは、まだ火は来ていないようだった。
よく見ると、水ポケモンたちが、炎に水を吹きかけ、何とか炎を止めようとしていた。
しかし、炎に対する水の量が少なすぎる。
このままでは、ここまで火が来るのも時間の問題だ。
「たいへん! あぶないよ! みんな、にげて!」
彼女は叫ぶ。
しかし、水ポケモンたちは絶対に引き下がらなかった。
自分たちの友だちを、何としても守り切るのだ。そう言うかのように、水ポケモンたちは懸命に火を止めようとする。
彼女には、何も出来なかった。
ただ、必死に祈る事しか出来なかった。
だから、
(かみさま、おねがいです! 私を、私の友だちを、この火からたすけて!)
座り込み、手を合わせ、目を瞑り、彼女は心の中で何度も何度もそう叫んだ。
そして、その時は来た。
バシャアッ! と。
突然、辺りに水が弾け飛び、周りの炎が一瞬で消えた。
勿論、森の炎が全て消えたわけではない。
しかし、彼女の周りの炎は、全て消えた。
それに気付き、彼女は目を開く。
目の前に、知らない男の人がいた。
その人の目は青く光っており、白い服の下から、うっすらと光が漏れていた。
「大丈夫ですか?」
その人は彼女の前に屈み込み、手を差し伸べる。
「驚かないでください。私はレオ君の知り合いです。貴女を助けに来ました」
その人の後ろには、青いポケモンがいた。
彼女の見た事もないポケモンだった。
「……うん、だいじょーぶ」
彼女は何とか答えた。人前では、泣きたくなかった。
「この炎の中でも泣かず、むしろ立ち向かっていけるとは。強い子ですね」
その人は、彼女の頭を優しく撫でた。
そして、急に彼女を抱きかかえ、立ち上がる。
「ここは危険です。周りの火は消しましたが、またすぐにここに燃え移って来る。その前に、私が安全な場所まで貴女を連れて行ってあげましょう」
そう言って、その人は歩き出そうとする。
「ちょっとまって」
彼女はその人を止める。
「エフィシに伝えたいの。私はだいじょーぶだって」
彼女がそう言うと、木の影から一羽のクロッチが一枚の大きな葉と枝を持って飛んで来た。
彼女はそれを受け取ると、枝を使って、葉に器用に文字を刻んでいく。
メッセージを書き終わると、クロッチはそれを受け取り、森の外へと飛んでいった。
「貴女は、ポケモンになってみたいそうですね」
灰色の物体に乗り、空を飛びながら、彼女を抱えたその人は語りかけて来た。
この灰色の物体も、ポケモンらしい。
「うん。いちどでいいから。ポケモンになってみたい」
「もしかしたら、その願い、私が叶えられるかもしれません」
「ほんと!?」
「ええ。私は、嘘は言いませんよ」
その人は、腕の中の彼女に、柔和な笑みを浮かべた。
助けられて良かった。とてもいい人が助けてくれた。
そう思った直後、彼女を睡魔が襲う。
気付かないうちに、彼女自身も疲れ切っていたようだ。
やがて、彼女の意識は夢の中に攫われてしまった。
- Re: 第八十一話 虫使い ( No.178 )
- 日時: 2013/11/16 21:28
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CWUfn4LZ)
次の日の朝。朝食を食べ終えた後のこと。
「そおだ、レオちゃん」
サクラがいつもの猫撫で声でレオに声を掛ける。
「どうしました?」
「あたし、小型飛行機でここまで来たんだけどお、よかったら乗ってく? ここからシヌマシティまで、意外と遠いからねえ」
思いも寄らない申し出だ。もしかしたら今日中にもママルに挑戦出来るかもしれない。
「はい! ぜひお願いします!」
「よおし、決まりねえ。もう準備は出来てる?」
「え、今すぐですか? まあ大丈夫ですけど」
「じゃ、呼ぶわよお」
サクラはポケットから何かの機械を取り出し、ボタンを押す。
飛行機内にサクラからの信号とサクラの位置が伝わり、飛行機が飛んで来る。
飛行機と言うよりも、ヘリコプターの形状に近かった。プロペラも付いている。
「さあ、乗った乗った。それじゃあ、行くわよお!」
サクラの掛け声と共に、プロペラが回転し、小型飛行機が飛び上がる。
シヌマシティに向けて、一っ飛びだ。
シヌマシティ。
割と大きな町だが、木や草がそこら中に生えており、人口もそこまで多くない。
道が舗装されているが、道の脇はたくさんの池があったり、地面が泥濘んでいたりと、湿地帯に町を作ったような感じだ。
「さあ、着いたわよお」
木で作られた小屋のような建物の裏に飛行機が着地する。
「シヌマ支部って、こんな小さいんですか?」
「地下に広がってるのよお。大っきくしても町の景観に合わないしねえ」
確かに、この町にはあまり大きな建物はない。
一番大きな建物で、ジムくらいだろう。
「レオちゃん、ジムに挑戦するんでしょお? ママルの虫ポケモンたちは強いわよお、頑張ってねえ☆」
「ありがとうございます。絶対勝ってきます!」
サクラに別れを告げ、一旦レオはポケモンセンターに向かう。
少し休んで、いよいよジム戦だ。
シヌマジムは、木製の建物だった。
大きさは他のジムとほとんど同じくらいだが、屋根が無い。
繋がっている小さめの小屋には屋根が付いている。恐らくそこでジムトレーナーたちが日々鍛えているのだろう。
「お願いします!」
扉を開け、大きく叫んで、レオは中へと踏み入る。
バトルフィールドには何本か木が生えており、床には草と、所々濁った水溜りがある。
シヌマシティの特徴をよく表したフィールドだ。
そして、
「おーう! 今日は朝早くから挑戦者が来たね……って」
懐かしい彼女が出てくる。
赤髪のロングヘアー、露出の高めの緑を基調とした服、羽織った茶色のコート。
「レオじゃん! 久しぶりね、やっと来てくれたんだ!」
「ママルさん、お久しぶりです。元気でしたか?」
「そりゃもうめっちゃ元気だったよ。さあ、もう早速始めるよ!」
「いつでもいいですよ。望むところです!」
「そうこなくちゃね! バトルは三対三、それじゃ、スタート!」
その言葉を引き金に、二人はポケモンを繰り出す。
「まずはトゲチック、頼んだぞ!」
「バトルスタート、ストライク!」
レオの一番手は虫タイプに有利な飛行タイプのトゲチック。
対するママルのポケモンは、蟷螂のような大きな鎌と翅を持つ緑を基調とするポケモン。
蟷螂ポケモンのストライク、虫・飛行タイプだ。
「さあ、行くよ! ストライク、燕返し!」
ストライクは空高く飛び上がると、滑空するように猛スピードで突っ込む。
「ッ、速い! トゲチック、原始の力!」
トゲチックは前方に岩を盾のように浮かべ、ストライクの攻撃を防ぐ。
「よし、今だトゲチック!」
ストライクの動きが止まったところで、トゲチックが岩を一斉に放つ。
「ストライク、真空波!」
対してストライクは素早く空気の波動を放って岩の一つを破壊すると、
「燕返し!」
そこを突破口にして猛スピードで突貫し、今度はトゲチックを吹っ飛ばす。
「さあ攻め立てるよ! ストライク、シザークロス!」
さらにストライクは鎌を交差させてトゲチックに切りかかる。
「トゲチック、エアスラッシュ!」
体勢を崩しながらも、トゲチックは羽ばたいて空気の刃を飛ばし、ストライクを迎え撃つ。
ストライクの鎌は、空気の刃と相殺される。
「神通力!」
「躱してシザークロス!」
トゲチックは念動力でストライクの動きを止めようとするが、そへよりも速くストライクが動き、再び鎌を交差させ、トゲチックを切り裂く。
「くっ、やっぱり速い! あのスピード、誰も追い付けないぞ……!」
「当ったり前よ! 私のエースを舐めんなよ! ストライク、真空波!」
ストライクは素早く空気の波動を撃ち出す。
トゲチックは横に飛び退き、何とか回避。
それにしても、
「エースだって……?」
どうやらママルは先鋒にいきなり切り札を出してきたらしい。
「そ。このストライクは私のエースだよ。そんじょそこらのただ弱点突ける程度のポケモンじゃ、この子には勝てないよ! ストライク、燕返し!」
翅を広げ、ストライクは突貫する。
「そこだ! トゲチック、神通力!」
ストライクが激突する寸前、トゲチックは念動力を放ち、ストライクの動きを操る。
「叩き落として原始の力!」
念力を操作し、トゲチックはストライクをフィールドの水溜りに叩きつけ、さらに無数の岩を宙に浮かべ、一斉に放つ。
「ストライク、躱して!」
ストライクは何とか起き上がり、間一髪で岩を躱す。
しかし、先ほどより明らかにスピードが落ちている。
水溜りに落ちた事により、翅が濡れ、スピードが出せなくなっているらしい。
「スピードさえなくなればグッと楽になるはずだ。反撃だぞトゲチック、エアスラッシュ!」
「っ、ストライク、シザークロス!」
トゲチックは羽ばたいて、空気の刃を飛ばす。
対してストライクは鎌を交差させて振り抜き、エアスラッシュを相殺。
どうやらこのストライク、翅が濡れたことにより、スピードが落ちただけでなく、思ったように飛べなくなるらしい。
「さあママルさん、どうします? ジムリーダーは原則としてポケモンの交代は不可なんですよね!」
「そうなんだよねー。地上から真空波で地道に攻撃するしかないかな、なーんて」
そこでママルが言葉を切った。
不敵な笑みを浮かべ、そして再びママルは口を開く。
「そんな戦術、本当に私の前で通用すると思ってる?」
刹那。
「ストライク、蜻蛉返り!」
ストライクが地面を蹴り、凄まじいスピードでトゲチックに突貫する。
トゲチックに激突し、その勢いのままストライクはママルの元まで戻り、さらにモンスターボールの中に戻ってしまう。
「トレーナーが交代させられないなら、技で交代すればいい話。さあ、バトルスタート、トノッパー!」
そして代わりに出て来たのは、頭に卵の殻を被った、大きなバッタのようなポケモン。
バッタポケモンのトノッパー。虫タイプ。
「ま、こんな感じ。そう簡単には勝たせないよ?」
「……っ」
小さくレオは舌打ちする。
レオが思うに、ストライクの蜻蛉返りには二つの意味がある。
まずはストライクが不利になった時に、素早く交代させるため。
それと同時に、これで戦いやすくなる、と考える相手の思考や流れを崩し、こちらに流れを引き寄せるため。
「まあでも、まだまだここからだ。やるぞ、トゲチック!」
レオの言葉を受け、トゲチックは頷く。
「よし、トゲチック、エアスラッシュ!」
「トノッパー、エアスラッシュ!」
トゲチックが放った空気の刃を、トノッパーも空気の刃も放って相殺し、
「トノッパー、飛び跳ねる!」
トノッパーは思い切り地面を蹴り、大きく跳び上がる。
建物をはるかに超えるほど高くジャンプし、その姿がほとんど見えなくなる。
そして、十秒ほど過ぎた後。
超高速で落下してきたトノッパーがトゲチックに激突、トゲチックは大きく吹っ飛ばされる。
壁に激突、トゲチックはまだ倒れていないようだが、
「エアスラッシュ!」
トノッパーの放つ空気の刃が飛ぶ。
トゲチックは躱せず、空気の刃の直撃を受け、早くも戦闘不能になってしまった。
- Re: 第八十二話 跳躍 ( No.179 )
- 日時: 2013/08/15 15:52
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
- プロフ: 思うところがあって後書きを消すことに。
「トゲチック、ありがとう。休んでてくれ」
トゲチックを戻し、レオは次のボールを取り出す。
「次はお前だ。任せたぞ、レントラー!」
レオの二番手はレントラーだ。
「あら、ルクシオが進化したんだ」
「はい。でもママルさん、僕のルクシオ見たことありましたっけ?」
「ユカっちが言ってたんだよ。電気タイプに負けたーって、悔しがってたよ」
だけど、とママルは続け、
「ユカっちが負けても、私は負けないよ! トノッパー、虫のさざめき!」
トノッパーが翅を細かく振動させ、衝撃波を飛ばす。
「レントラー、十万ボルト!」
対してレントラーは高電圧の強力な電撃を放って衝撃波を打ち消すと、
「怒りの炎!」
憤怒の感情の如く荒れ狂う炎を撃ち出す。
「トノッパー、飛び跳ねる!」
トノッパーは地を蹴り、炎を躱すと共に空高く跳び上がる。
十秒ほどして、トノッパーが超高速で落下してくる。
「レントラー、十万ボルト!」
レントラーは上空を見上げ、トノッパー目掛けて高電圧の強力な電撃を撃ち上げる。
トノッパーに命中するのだが、それでもトノッパーは電撃を打ち破り、レントラーに直撃。
十万ボルトで軽減され、さらに飛び跳ねるは飛行タイプの技なので、致命傷となるダメージではないが、それでも威力は高い。
恐らくこの技がトノッパーの主力技なのだろう。
「この子の飛び跳ねるはそう簡単に跳ね返せないよ! トノッパー、ダイヤブラスト!」
トノッパーは周囲に爆発を起こし、ダイヤのように青白く煌めく爆風を起こす。
「レントラー、躱して氷の牙!」
レントラーは地を蹴って跳び、爆風を躱すと、牙に鋭く長い氷を纏わせる。
鋭い氷の牙が、トノッパーに突き刺さる。
「それくらい問題ない! トノッパー、虫のさざめき!」
氷の牙のダメージを耐え切り、トノッパーはすぐさま反撃に出る。
翅を細かく振動させ、衝撃波を飛ばし、レントラーを吹っ飛ばす。
「まだまだ行くよ! トノッパー、ダイヤブラスト!」
トノッパーは青白く煌めく爆風を放ち、さらに追撃をかける。
「レントラー、怒りの炎!」
体勢を崩しながらも、レントラーは荒れ狂う憤怒の業火を放ち、爆風を何とか相殺する。
「よし! レントラー、十万ボルト!」
体勢を取り戻し、レントラーは高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
「トノッパー、虫のさざめき!」
トノッパーは翅を振るわせて衝撃波を飛ばし、電撃を相殺。
「氷の牙!」
「飛び跳ねる!」
レントラーが牙に鋭く長い氷を纏わせ、トノッパーに襲いかかるが、トノッパーは空高く跳び上がって牙を躱した後、数秒置いて急降下攻撃する。
「レントラー、躱して怒りの炎!」
レントラーは大きく横へ跳ぶ。
刹那、レントラーが先程まで立っていた場所にトノッパーが直撃した。
しかしその瞬間は大きな隙。
レントラーの放った憤怒の感情の如く燃え盛る炎に、トノッパーは呑み込まれてしまう。
「レントラー、十万ボルト!」
そこにレントラーが高電圧の強力な電撃を撃ち込む。
炎の中にいるトノッパーに直撃し、炎が消えると、トノッパーは戦闘不能となっていた。
「トノッパー、よく頑張ったね。戻って休んでて」
ママルはトノッパーを労い、ボールに戻す。
「トノッパーは耐久力はそんなにないからね、よく頑張った方だよ」
そう言いながら、ママルは次のボールを、いや、先程のボールを取り出す。
「バトルスタート、ストライク!」
ママルのポケモンは再びストライク。先程濡れた翅はもう乾いたようで、休んでいた分少しだけだが疲労回復もしているようだ。
「電気タイプのレントラーに、飛行タイプを持つストライクですか?」
「まあね。そのレントラーに対しては、パワーで撃ち合うよりスピードを重視した方がいいと思ってね」
そして、
「ストライク、真空波!」
ストライクが先手を取り、素早く空気の波動を放つ。
「レントラー、十万ボルト!」
先制攻撃を喰らったレントラーだが、体勢を崩さず、高電圧の強力な電撃を放って反撃。
「ストライク、躱してシザークロス!」
しかしストライクは素早く飛び上がって電撃を躱し、両鎌を交差させてレントラーを切り裂く。
「やっぱり速い……レントラー、怒りの炎!」
レントラーは憤怒の感情の如く荒れ狂う炎を放つ。
ストライクは壁際におり、さらに広範囲から炎が襲いかかるが、
「ストライク、真空波!」
ストライクは素早く空気の波動を放ち、炎の一点に穴を開ける。
当然すぐに塞がってしまう穴だが、ストライクは高速でその穴を潜り抜け、喰らうダメージ最小限に留める。
「氷の牙!」
そこへレントラーが鋭い氷の牙を伸ばし、ストライクに噛み付く。
「ッ、ストライク、シザークロス!」
しかし、レントラーに噛み付かれながらもストライクは両鎌を振り抜き、レントラーを切り裂く。
「ストライク、真空波!」
レントラーの牙が離れたところで、さらにストライクは空気の波動を素早く放ち、レントラーへと追撃を喰らわせる。
「よぉーし調子出て来たよ! ストライク、燕返し!」
ストライクは宙に飛び上がり、翅を広げて高速で突貫する。
「レントラー、十万ボルト!」
レントラーが高電圧の電撃を放って迎撃を狙うが、ストライクは僅かな動きで確実に電撃を躱し、そのままレントラーへと突っ込む。
効果は今一つだが、それでも威力はなかなかのもの。さらに、
「ストライク、シザークロス!」
両鎌を交差させて振り抜き、レントラーを切り裂く。
「くっ、レントラー、怒りの炎!」
「させないよ。ストライク、真空波!」
レントラーが炎を放つより早くストライクが空気の波動を撃ち出し、レントラーの攻撃を止める。
「シザークロス!」
そこにストライクが両鎌を振るい、レントラーを切り裂く。
レントラーの体がぐらりと揺れる。ダメージが大分溜まってきているのだ。
「これを逃す手はないね! ストライク、もう一度シザークロス!」
「レントラー、来るぞ! 怒りの炎だ!」
両鎌を構えて突っ込んでくるストライクへと、レントラーは荒れ狂う怒りの炎を撃ち出す。
「ストライク、真空波!」
しかし、ストライクは素早く空気の波動を撃ち出し、先程のように炎の壁に穴を開ける。
炎がストライクを掠めるが、それでもストライクはその穴を高速で潜り抜け、両鎌を振るい、レントラーを切り裂いた。
レントラーの体が傾く。そのまま草の生えた地面に倒れ、戦闘不能となってしまった。
「レントラー、よく頑張った。休んでてくれ」
レオはレントラーを戻し、最後のボールを取り出す。
「これで最後だ。頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンは、エースのポッチャマだ。
「あら、そのポッチャマ、まだ進化してないんだ。それでもなかなか強そうだけど」
「ええ。進化してないだけで、ポッチャマは僕のエースですよ」
「そうこなくちゃね。じゃ、そのポッチャマの攻撃パターンを調べさせてもらうわ」
ポッチャマを見据え、にやりと笑ってママルは呟く。
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