二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達
- 日時: 2016/01/11 01:36
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: 21getbfq)
クリックありがとうございます。酩酊です。
今回私は、『ポケットモンスター』の二次小説を執筆させていただきます。
『kskと世界の仲間達』という作品は、2年程前にもこちらのサイトで執筆させて頂きましたが、
執筆メンバーの都合などにより已む無く執筆を中止致しました。
そこで今度は私一人でのリメイクとして投稿させていただきます。
題名は変わらず、『kskと世界の仲間達』です。
未だに、検索すると昔の方のスレッドがヒットしますが、
【ポケモン二次創作】←これがあるかないかで判断してください。
『1日1レス』を目標としてやっていきたいと思います。
あくまで目標なので二転三転するかも知れません。
書き溜める性格なので、余裕が出来ればもっと投稿できるかも。
執筆経験は浅く、ストーリーの展開などに多少のグダりが生じますが、ご容赦ください。
気になった点は指摘して頂けると助かります。
ジャンルはバトル物です。
痛々しい表現や卑猥な表現はなるべく避けていきます。
※この作品はフィクションです。
実際の人物、事件、団体、秩序とは一切関係ありません。
どこか似つかわしく感じてもそれは他人の空似です。幻想です。
追記:形だけですが次スレを作りました
www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=29916
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200
- Re: 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達 ( No.265 )
- 日時: 2015/04/30 20:51
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: J69v0mbP)
一方その頃。
白、たま、ksk、五月雨、ケフィの5人は、グレイフィアから離れる為に山を下っていた。
急斜や岩場、獣道など、近道出来そうならばすべてそこを通った。
精霊をフルに使って難なく突破して行き、一行は洞穴に辿り着いた。
「よし!! 着きました!! 目標の場所に!!」
白は怪我人を担ぐ筋力は無いため、
ねーちんがたまを、五月雨がksk、バハムートがケフィを担ぐ。
「うおぉ……!! しんどかったぜぇ〜……」
ケフィを地面に降ろし、バハムートが肩をゴリゴリと回す。
「うへぇ……感覚だけリンクしてるから、
濡れてないのに腕が血でベチャベチャするぜ…気持ち悪ィ……」
バハムートは自分の腕をかきむしりながら言う。
白は怪我人の血に自分の手を浸し、赤色を入手した。
そして五月雨が持ってきた薪に火をつける。
「薪、ありがとうございます。それじゃあ早速……」
そう言うと、白はねーちんと共に重症を負った3人の元へ動いた。
「ああ……これは3人の中では結構軽い方ですね」
たまの傷口を眺めて言う。
「背中に氷が刺さってます、傷口が良く見えないんで抜きましょうか」
白が救急箱からガーゼを取り出し、
それを当ててたまの背中に刺さっていた氷を引き抜く。
「痛ッ……!!」
「背骨には異常なし、内蔵も大丈夫ですね……刺さった勢いが強かったせいか、
傷が深くて出血も多いけど止血すれば問題なし……と、全治1週間って所ですかね」
そう言って、白はたまの上着を脱がせ、
治癒の色を傷口に与えた後、ねーちんが包帯で巻いた。
「流石フミキさん、救急箱に一通り医療器具が入っているや、これはやりやすい……」
次にkskを診る。
「うわっ、相当酷いや……刺さった氷が左肺まで届いてる……
出血はそれ程でもないけど、このままじゃその内酸欠になって、
下手したら窒息死してしまう……あっ」
白が救急箱からある物を見付けた。
「『ジェネシス』のプログラム設定だ……『自己再生プログラム』?
いや、これはどうやらトムさん本人の起動承認が必要みたいだし……
この『酸素供給プログラム』ってのを設定すれば良いのかな?
水中での活動用にあるみたいだけど……一応地上でも使えるみたい……
これでしばらくは正常に酸素が回るはず……」
認証パスを作動させ、『酸素供給プログラム』を作動させる。
「……ふぅ、外から作動させるのは大変なんだな……
トムさんの認証ならすぐなのに……次々っと……」
呼吸の正常化を確認し、治癒の色を与えてからケフィを診る。
「あー……右腕に筋肉の断裂と骨の損傷あり、
ねーちん、無理ない姿勢で腕をギプス固定しておいて……
背中は傷は浅いけど範囲が広いな……消毒して包帯を巻くか……」
ギプスを付け、包帯を巻き、治癒の色を与える。
「この『治癒の色』、そんなに大きな傷は治療出来ないんだよなぁ……
止血は出来るけど……本格的に回復させるにはやっぱり安静にさせなきゃ……」
ここまで三人を診終わって、ようやく五月雨がポカーンとしている事に気付く。
「白、たまじゃあねぇが第一の質問をする。
俺はお前が不相応に金持ちなただのガキだと思ってたが、違うのか?」
白は五月雨の癖である煽りには反応せず、むしろきょとんとした。
「あれ? フミキさんから聞いてませんか?
私、キャスファー医学学校の小等部選抜奨学クラスなんですよ、
フミキさんから聞きませんでした?」
「私は白のお勉強を手伝う内に覚えました」と、ねーちん。
「キャスファー医学学校ゥ!?
あのエリート中のエリートが通いつめてるっていうあの!?
しかも小等部選抜だと!?」
「で、でもよォォォ〜!! あたしには良くわかんねーけど、
そんな所を抜けて旅に着いてこれたり出来んのォ?
何か特別な理由でもない限り……」
その点なら大丈夫です、と白。
「学校には、フミキさんが直々に先端医療を学ばせたいので、
しばらくお休みを頂きたいとお願いしてくれました……
私のおばあちゃんは昔医学校の教師だったので、協力して何とかして貰いました」
フミキ恐るべし、白も恐るべしと五月雨。
「今までのお前の印象、やはり捨てなくてはならないようだな。
まさか超有能医師の金ピカ卵だったとは……」
- Re: 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達 ( No.266 )
- 日時: 2015/04/30 23:48
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: J69v0mbP)
そんな程じゃあありませんよ、と白は言いながら後ろを向いた。
たまが能力を使おうとしていたのである。
「許せ……やらなきゃならん事がある……」
そうですか、と白は言った。
「負担にならない程度にして下さいね……!!」
たまは頷くと、右手で能力発動の構えに入った。
すると、一つの魂がたまの右腕から出現し、鳥の形に変貌した。
「今の俺の精神テンションだと……ゲホ…この一匹が精一杯か……
魂が小さく弱い生き物なら、解放した後も多少だが任意で操作出来る……
こいつにフミキの魂の波長を記憶させる……
そして……そうだな……『左腕』だ、左腕にしよう……」
そしてたまは、自分の服を引き千切り、鳥の尾に結び付ける。
それと同時に、たまの左腕が『消失』した。
息を飲む白と五月雨にたまが言う。
「俺の左腕はきっと大丈夫だ……心配も追及もしないで欲しい。
そしてフミキ……気付いてくれ……!!」
鳥を手から離すと、翼を広げ洞窟から飛び去って行った。
一方その頃フミキとタートナックは。
崖に張り付いていた。どこぞの伝説ポケモンみたいに。
「タートナックをオメガの前足に掛けて……一応リロードをしておくか……」
フミキがリボルバーを外し、一発弾丸を込めたその瞬間。
「右前方ヨリ高速デ接近スル物体有リ。対応ノ命令ヲ」
その声を最後に聞いたのは確か二十代の時だったか十代後半だったか
まあ、十年位前であろう。声の主は、オメガだった。
(こ……こいつ喋ったのかッ!?
オメガは……昔からあまり喋るタイプの精霊じゃなかった!!
カーネルの様に無口って訳じゃあ無く……白の様に人見知り?
ってのか……って訳でもなく!!
言うなれば『ネコ被り』って感じだッ!!
他の研究員にはパワハラかってぐらい偉そうにするけども……
俺にはあんま喋らないというか……本当に重要な事しか言わない!!
だからいつもこいつの言葉に驚くッ!!
それと……多分こいつを他の精霊に会わせたら……
リーダー的な存在になるんじゃあないか……
バハムートとは合わなそうだが……トムやカーネルとは合いそうだな……
ってそんな悠長な事を考えてる場合じゃあない!! 右前方!! 確認!!)
ちなみに、ここまでの思考に掛かる時間!! 0.2秒!!
確認した先には!!
先には!! 先には!!
「グ、グレイフィアァァァーーッッ!!」
グレイフィアが滑っていた!! 崖を!! 垂直にッ!!
気付いた時にはもう遅い!! グレイフィアとの距離!! 約1m!!
「逃がしませんわ……逃がしませんわッ!!
氷技『金剛氷結乱舞(ダイヤモンドダンス』ッ!!」
グレイフィアの周囲に氷が大量に出現!! そしてフミキに襲い掛かる!!
(なんという執念!! なんという執着心ッ!!
そして言うのが遅いんだよッ!! オメガッ!!
すぐ向かなかった俺のせいでもあるがッ!! もう回避は不可能!! こうなればッ!!)
「戻れオメガーーッ!!」
オメガを戻し、落下して回避ッ!!
「うぐッ……あッ!!」
しかし、数個の氷がフミキの左腕に直撃!!
そして……落下!!
- Re: 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達 ( No.267 )
- 日時: 2015/04/30 23:55
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: J69v0mbP)
「ぐううううッ!!」
フミキの落下ルートに合わせて、血の糸が垂らされる。
(ひ、左腕が……一撃一撃は大した事ないダメージだが……
こうも連続して重なると中々どうしてキツいな……)
グレイフィアは滑りの勢いを止めず、
フミキの方へ反転する勢いを利用し、氷を投げ付けて来る。
「避けなくてはッ!! オメガ!! 『コメットパンチ』!!」
オメガの腕で崖を殴り付け、その反動で崖際から離れる。
(まずい……右手はタートナックを掴んでいる、
左腕は引き金を引ける状態じゃあない……
この空中では四つん這いタイプのオメガは踏ん張りが効かず
大幅にパワーとスピードダウン……オメガに乗って浮遊して逃げるにしても、
『電磁浮遊』は二人も乗せられない……
それにこのスピードで鋼鉄のオメガに乗ったら、
どっちみち足の骨がバラけて落下するぜ……となると!!)
「これしかねえ!!」
フミキは銃のレバーを口で引き、フックショットを発射した。
しかし。
「グレイシアちゃん!!」
一瞬だけ現れたグレイシアの冷凍ビームが直撃し、ロープは切断された。
「逃がしませんわ……絶対に……」
(クソッ……こうなると、もう残された手はこの弾丸一発のみ……
引き金を引く指はない、しかも俺は奴にまだ一度も弾丸を当ててない……
この状態で奴のガードをくぐれるか? そして引き金を引けるか!?)
そんな事を考えている間に、またグレイフィアは崖を凍らせて直角に滑る。
(来るか……!! ウダウダやっている暇はない!! アレをやるしかない!!)
フミキは覚悟を決めた。
ふぅ、と息を吐いて右足を上げた。
そして。
拳銃の引き金を!! 足の親指に掛けたのだ!!
ブーツを捨てた事により右足は素足!!
引っ掛かりは十分ッ!!
「このまま左足を添え!! 左足を押し右足を引けば発射出来る!!
食らえィグレイフィアーッ!!」
流石のグレイフィアもこれは意外!!
一瞬氷のガードが遅れたッ!!
しかし、銃弾はグレイフィアの右腕を掠めただけ!! 直撃はしなかった!!
「ク……フフフ……万事休す、ですわねェェェェーーッ!!」
「いいや、違うね!!
てめぇのその綿人形の様に千切れそうな右腕をよーく見てみろ!! マヌケ!!」
瞬間、グレイフィアは停止した!!
「な……何故進みませんの……まさか!!」
グレイフィアが右腕を見るとそこには!!
ベルトだ!! ベルトだった!!
ベルトが崖に固定されていた!!
「特殊弾丸!! 『釘弾』!! 最初から狙っていたのはベルトだったのさ!!
釘に似せた弾丸でベルトを崖に打ち付け固定した!!
そのバクーダ二匹でも千切れない硬質のベルト!!
腕を巻き込まずに外してみなーッ!!」
落ちながら、フミキは銃を仕舞う。
そして、ふぅ、と息をつく。
(落下を防ぐ方法はもうない……崖から遠すぎる……
だが、地面に激突する瞬間、タートナックを上へ投げれば、
タートナックだけは助かる……何とか逃げ延びてくれよ……)
そう思った瞬間。
理解した!! フミキは理解した!!
上空から何かが超高速で飛来するのを理解した!!
(あ……あれは……ハヤブサ!!
しかも!! 尾に巻き付いているのは……あのデザイン!! たまの服の袖だッ!!)
瞬間!! フミキの中に眠る、生きようとする何かが爆発した!!
動かない筈の左腕が、必然的に動くのを感じた!!
ハヤブサの下降最大スピードは生物界最速の時速300kmと言われる!!
しかし!! フミキもまた相当のスピードで落下しているのと、
異常なまでの精神テンションによってハヤブサの動きを見切り、掴んだのだ!!
ハヤブサを掴んだ!!
そして、それはハヤブサを遠隔操作していたたまにも当然伝わる!!
(気付いたか……そして掴んだか!!)
「『ソウルシフト』ッ!!」
たまが右手を振るうと、フミキは物凄いパワーで引き戻されるのを感じた!!
そして、気が付くと退避組が隠れていた洞穴に立っていた!! たまの目の前に立っていた!!
「『ソウルシフト』は……俺が解放した魂を瞬間的に俺の元へと戻し、
それに巻き付かれたり掴んだりしていたヤツも同時に瞬間移動させる……
しかし、この技は自分の体の一部を賭けなくてはならない。
もし体の一部を託した魂が対象に触れれずに一生を終えたら、賭けた部位は戻ってこない。
なにはともあれ……フミキとタートナックの救助は終わったぜ……」
そう言って、たまは倒れた。
- Re: 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達 ( No.268 )
- 日時: 2015/04/30 23:57
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: J69v0mbP)
「よくやってくれた……たま、恩に着るぜ、腐っても最強だな」
そう言って、フミキは洞穴の中を見渡す。
「そして白、中々の応急処置だ……将来キングダムで雇いたいな……
昔のりかけいを見ている様だ……あいつは何処か腹立つ奴だったが……まあいい」
フミキはタートを丁寧に寝かして、携帯電話を取り出した。
「オイオイおいおい……いくらなんでも山ン中で電話なんて無理じゃあねーのォ?
あたし電話なんて持ってねーし詳しくねぇけどよー」
それなら問題ない、とフミキはバハムートを制し、ダイヤルをプッシュして行く。
「つい2年前に俺専用の電波塔と回線を大量に作ったばかりだ……
キャスファー周囲ならどこにでも通じる……」
その場に居た誰もが口をあんぐりと開けた。
初めに声を発したのはバハムート。マヌケっぽいいつものロングトーンだ。
「こんの……応援で使うボンボンすら全部カーボン素材でないと
気がすまねー様なボンボン野郎がァァァーーッ!!」
フミキはさもうるせぇと言いたそうな顔をして、業務的な事だけを告げた。
「昼はグレイフィアに見つかり、再び襲撃に遭う可能性がある……
しばらくは待機……音が立つ行動は一切しない。穴の外に出るのは論外。良いな?」
全員が頷いた。
一方その頃。
グレイフィアは苛立っていた。
この硬質なベルトを無理矢理切ったり千切ったり凍らせて砕いたりすれば
ダメージのある右腕が更に酷い事になる。
グレイフィアは歯で長い時間かけて岩から釘を引き抜き、崖を凍らせて滑り降りた。
「逃がしませんわ……絶対に……見つけ出してやりますわ……ッ!!」
その時、グレイフィアのポケットの中で通信機が震えた。
舌打ちしながらも、グレイフィアは通信電源を入れた。
「用なら後にして下さいません? ……今は取り込み中ですのでッ」
「……遅いでしょう……」
グレイフィアの声を遮って、一人の男の声がした。
「紳士的に考えて……女性に文句を言うのは良くない事でしょう……
しかし、あまりにも遅すぎるでしょう……会議の時間に遅れるでしょう……」
「そんな事よりも、大事な……」
今、と男の声が低くなる。
「戦った、な?」
今までの口振りは一変し、通信越しにグレイフィアを見えない力で威圧する。
「一見クールな様で戦闘狂……良いギャップです……
それは言葉通り『戦闘』に『狂っている』……戦闘に対する執着も異常……」
しかし、と男は続ける。
「戦闘に狂っているからこそ、戦闘に執着するからこそ、
戦いを引き上げ、分析し、次の戦いに備える……
という選択肢もしっかりと頭の中にある筈でしょう……
一体何故そこまで熱くなる、貴女は氷の女だろう」
グレイフィアは唇を噛み締めた。
「私の氷を……破った者が居た」
フミキやタートナックとは自然から逃げながらの戦いであり、
その上自分の氷攻撃はほぼ全て通じていた。
場所が場所でなければ確実に勝っていただろう。
しかし。
奴は。事もあろうに奴は。
正面から一人で立ち向かい、氷の壁を唯一突破した男。
「……kskと、トムか」
ええ、とグレイフィアは答えた。
圧倒的有利な条件下でのあの攻防、そして最後の最後まで隠し玉を用意する周到さ。
勝った戦いだが、どうも腑に落ちなかった。
フミキからはマトモな攻撃を受けていないし、タートナックからも急な不意打ちのみ。
一対一の戦いでありながら、あそこまで善戦させてしまった自分が許せなかった。
抉られた左腕、切り落とされた髪の毛は、千切れた右腕よりも屈辱だと感じた。
「……まぁいいでしょう、それより、例の物は」
男は落ち着きを取り戻して言った。
それを聞くなり、グレイフィアはポケットから一つの石を取り出す。
「ええ、無事発見しましたわ……この『翠色の玉』を……
これと、『紅色の玉』『藍色の玉』が揃えば……遂に……!!」
クフフ、とグレイフィアは笑いを堪えきれなくなった。
電話の向こう側に居る男も同様だ。
「ええ……『ポケモン』を利用した……破壊と創造の世界がッ!!
新たなるアラシの世界がッ!! 誕生するのでしょうッ!!」
それから、しばらく二人は笑った。
笑わずには居られなかった。
「ふ……これにて貴方の仕事は一先ず終了ですね、後は軍曹隊及び曹長隊に任せましょう。
決行の日は近い、会議の為に早く戻るでしょう」
すっかり落ち着きを取り戻したグレイフィアは、それに従う事にした。
「そうそう、それともう一つ」
電話の男は、切り際に静かに、しかし力強く言い放った。
「貴女ではkskを殺せない。kskとトムに引導を渡すのは……」
そこまで言って、急に通信機の様子がおかしくなった。
おそらく、相手が通信機を切ったのだろう。
『物理的』に。
「この私でしょう」
ここで、通信は完全に途絶えた。
「…………ワット……」
グレイフィアは帰路に向けて崖を凍らせはじめた。
かくして、日は落ちていく。
ネオポケモンワールド存亡の危機は確実に着実に近づいて来ている。
- Re: 【ポケモン二次創作】kskと世界の仲間達 ( No.269 )
- 日時: 2015/05/01 23:13
- 名前: 酩酊 ◆D2kEwyIYmo (ID: J69v0mbP)
ー 第15話 『とある手記』 ー
【キャスフィの項】
手記を残そうと思う。
何故この様な発想に至ったのかは私自身良く分かっていない。
予想だが、もう何年もしない内に戦争も終わり、世界は再び平和を取り戻すだろう。
そうなれば私はキャスファー軍最高司令官を辞任するだろう。
これからの世界は若い世代に作って貰いたい、と私は考える。
そう、ちょうどkskやトム、そしてtruthの様に、
優秀な若い世代が創りあげていくのだ。
第一、最高司令官とは名ばかりで、
私はただ座って部下の報告を聞いたり調書に印を押すのみ。
この老いぼれに他に何が出来ると言われればそれしか無いのだが、
こんな椅子に縛られる様なつまらん仕事、自分から辞めてやるさ。
戦争が終われば軍などただの置物にしかならん。
そんな愚痴を一人呟く老人が
余暇を潰す為に手記を書くなど、どこでもありそうな話である。
やはり私はキャスファーのトップなどではなく、
ただのしみったれた老いぼれなのかも知れないな。
そんな老いぼれがトップに君臨する、このキャスファー。
広い世界の内にある小さな島国の一つだ。
「我々の世界には『ポケモン』と呼ばれる生物がいたる所に生息しておる」
(フン、まさか頭のお固い研究者サマのありがたーいお言葉を
自分の手記に書くとは予想もしなかったね)
我がキャスファー地方の首都、『キャスファー』
(これまた安直だ事。だーれが考えたんだか……ま、覚えやすくていーけど)
では、現在戦争が行われている。
厳密に言うと首都だけでは無いが、首都付近が特に激しい。
『チルドリッシュ5』とかいう謎のウィルスをバラ撒いた連中が居て、
それの感染者や、バラ撒いた奴等達との戦争をしている。
患者は隔離病棟に次々捕らえてブチ込んではいるが、治る気配一切ナシ。
恐らくバラ撒いた奴等が治療の方法を知っているのだろう。
(間違っててめーが感染しちまったらやばいし)
kskとトムはギャンブルによる対決を得意とし、
勝負に破れた相手の精神的隙を突いてショック状態に陥れ、
病棟に連行する手段を取っている。(こーでもしないと話通じないし、
だからと言って射殺する訳にもいかないしね。
そういやkskは何故か頭がおかしい連中にも普通にギャンブルが出来た。
何故かね? まぁ興味無いしそんな能力あっても使わんけど)
恐らく奴等の狙いは、キャスファーの住民を全て感染させ、
この地方を乗っとる事だと思っている。
敵の幹部格の名前は……
『おかか』『ロキ』『プリン姫』『キティ』『グレイフィア』
『イエロー』『NK』『あ』『ネイマール』
(なんつーふざけた名前してやがんだ と私は思ったね
こんな名前の奴らが世界征服なんて世も末だよな。
あ、まぁでも『世も末』はこのご時勢じゃ笑えない冗談だわ。
うんうん、こいつ等にウチの可愛い軍隊が被害被ってんだよなー)
こいつらを倒さない限り、キャスファーに平和は訪れない。
キャスファーは山が多い。
資源も多く採れるので、戦争が終われば一気に発展するだろう。
(まあその頃には私は隠居してると思うがね、泉の近い森なんかどうだろう)
そういえばkskとトムに持たせた人工知能を持つ携帯端末、『ワット』はどうしてるだろう。
あれは中々どうして今の科学を超越した出来だったからな、気掛かりだ。
はてさて、キャスファーを包む戦乱の雲は一体何時晴れるのかね。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200
この掲示板は過去ログ化されています。