ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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小説第二部 災厄の歌
日時: 2009/08/14 15:32
名前: 鏡 (ID: CSxMVp1E)

ま、楽しんでってください。

目次とかも張らないですがお許しください。

ココに、さまざまな文字入れると、皆さんも序盤から読む気なくしてしまうと思ってやめました。

これは続編です。URLの奴は一部作です。こっちを先に見てもらいたいです。



>>41 イメージソング


というわけで、始めてこの小説を見る方は、上の小説から見ることをお勧めします。

題名ちょくちょく変わるんで、ヨロですw


この小説は、http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=11995で更新を続けています

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Re: 『 n i n e d e v i l s 』 ( No.17 )
日時: 2008/04/06 11:42
名前: 鏡 (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん!

第十七話


天野が取り出したのはメモだった。

だがこの前見たものとは違う。

メモというよりも、会社の企画文かなんかに近いだろうか。

明らかにパソコンか何かで打たれた文字だった。

「これは?」

天野は俺の問いに答えた。

「やつ等の通信記録だ。」

「!?」

俺達が予想しなかった答えだった。

そんなもの・・・どこで手に入れたんだ?

俺の脳裏にまず浮かんだのは、その疑問だった。

天野はその事を察していたのだろうか?

また説明を始めた。

「やつ等による侵略は、既に地球でも始まっているんだ。」

なに!?

「例えば、9・1・1同時多発テロ。アレは実は、9・デファーガが仕組んだ策略だった。やつ等にとっては初めての仕事だったらしい。」

さっきから、天野の口から、衝撃の言葉が発せられ続けている。

「他にも、表だってはいないが、9・デファーガによる事件が、世界中で多発している。」

白王村の事件も、その一環って訳か。

「私は、ふとしたきっかけである事件がやつ等によるものだと知った。そして、現場に駆けつけてみると・・・これが落ちてたんだ。」

そして、天野は俺達にその紙を見せた。

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

通信記録

拝啓、ケオデッツ殿

ある物質を発見しました。

世間ではしられていない、未知の鉱石。

何か、大量のエネルギーを、凝縮したもののようです。

黒く光っていますが、黒曜石などとは、また別の物質です。

私には、詳しい事はよくわからないので、これを貴方に送ります。

出来れば、ズディラに渡してもらえるとありがたい。

ウィップス・ドルトラ

敬具

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

俺達が読み終わったのを確認すると、天野は、また別の紙を出した。

「これは、混沌の宝石を発見したあと、たまたま見つけたものだ」

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

ドルトラへ

なかなかいいもの見つけたな。

やるじゃないか。

結構使えるぞ。

特に、これに秘められた、このエネルギー。

最高だ。私は、コイツを、兵器に使うことを決めた。

複雑だが、一週間もありゃ完成するだろう。

一ヶ月あれば大量生産だって可能だ。

構造とか特徴は、一目見ただけで理解できた。

私はこの鉱石を、混沌の宝石と名づけた。

お前専用の兵器も、後々送る。

この兵器は、動き、知能を持つ、生物兵器。

コイツがあれば、侵略に必要な兵力も補える。

宇宙中からこの宝石を集めて欲しい。

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

「これは、どうやらドルトラと、ズディラという男の通信記録のようだ。」

天野はメモをしまって言った。

「私達も混沌の宝石について研究する事に詩、さまざまな事を知った。私達が混沌の宝石のことを知っているのは、そのためだ。」

天野の言葉が終わった頃には、皆、ただ口をぽかんと開けていた。



裏話〔里奈たちについて〕



まず里奈。

はっきり言って、適当です。

とりあえず、怖いイメージを与えようと思って作りました。

僕が小説下手なので、あまりそう感じなかったと思いますけど。

エー・・・それから香奈。

味方の中にスパイがいるって言う設定は、中盤で考え付きました。

そっちの方が驚きがあると思って。

実は当初、炎斗をスパイにしようと思ってたんです。

ただ、彼はスパイなんかは似合わないので、止めました。

で、迷った挙句こいつにするか、と。

それからリッキー。

杉悠さんに応募もらったんですよね。

実はこの時点で、コイツを悪者にする設定は完成してました。

しかし、どうぶつの森のキャラで、しかも僕系なのに・・・随分変貌を遂げたな、リッキー。

不気味な笑い方するわ、暴言はくわ・・・リッキーファンの方、すみませんでした。

零下。

こいつ覚えている人いるかな・・・。

一応、里奈の腹心だったんですよね。

里奈に命を捧げて死んだんですよね。

命は大事にしないと駄目でござるよ。

ってな感じかな。

里奈軍団は、奇人変人が多いですね。

今回の裏話で、実感しました。

Re: 『 n i n e d e v i l s 』 ( No.18 )
日時: 2008/04/06 11:43
名前: 鏡 (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん!

第十八話   標的


「ハル♪燃料はどう?」

「この寒さで凍結寸前です!南さん、至急電熱を!」

これは、宇宙船内部の会話である。

エウロパの寒さは、薬を飲んだ彼女達には平気でも、燃料にはひとたまりも無いもののようだった。

「電熱・・・のスイッチどれ?」

「圧力制御スイッチのすぐ左です。」

南の問いに、悠はコンピューター画面とにらめっこしながら答えた。

「オッケー・・・そういえば、地球出発の時、圧力制御装置がうまく作動しなかったよね。後で直しとこ♪」

宇宙船の点検に熱心な二人の居る宇宙船。

それより、少しはなれたところで、事件は起きていた。


その場所には、三つの小型宇宙船があった。

よく見ると、その近くで、3人の男達が話している。

「じゃ、アノデロス。頼んだぞ。」

そういったのは、黄緑の仮面を付けた男・・・おそらくカオブディッツだろう。

そう、その場所に居たのは、9・デファーガのミンチゴドン、アノデロス、カオブディッツの三人だった。

他の六人は、もう先に行ってしまったのだろう。

カオブディッツのその言葉に、アノデロスは答えた。

「アア、わかった。この氷の下にあるのは、俺の基地だ。自分の基地の危険は、自分で守る。」

その言葉に他の二人は頷くと、小型宇宙船に乗り込む。


ゴオオォ!!


二機の宇宙船は、大きな音を立て、空へと舞い上がっていった。

その場所に残ったのは、アノデロスと、一機の宇宙船のみ・・・。

「さて・・・まずはやつ等の本部をやるか。」

アノデロスは呟く。

その本部とは、南と高野が居る、宇宙船の事らしかった。


そんな会話は露知らず、悠と南は、宇宙船の点検を行っていた。

「南さん、回路A958の修復お願いします!」

「オッケー!任しときな!」

南も、こういうときは、ちゃんとやるようだ。

ブチッ。(回路が切れた音)

「あっ!やばい、壊れた。」

・・・前言を撤回する。


「あれ?誰かがこの宇宙船に向かってますよ?」

高野が突然言った。

切ってしまった回路を修復するのに大忙しな南はぶっきら棒に言った。

「天野たちじゃん?帰ってきたんだよ!」

「そうかなあ・・・それにしては早いと思うんですけど・・・」

今宇宙船に向かっている者がアノデロスだとは、まだ知る由も無かった。




ちょっと、ここで登場人物とかを整理


調査隊 ←ーーーーー→天野軍団(仮)
       同盟     天野 南 高野
氷介 ダン

紅夜 流丸

美桜


          敵対↓


9・デファーガ

ケオデッツ  ミンチゴドン

カオブディッツ ドルトラ(死)

アノデロス   ズディラ(通信記録のみ)

混沌に住む者(9・デファーガが製造)

楓堵(囚われの身)


重要な点

ドルトラが死んだ分、新たなメンバーが入っていると推測される。(地球での目撃の際、9人いたため)

9・デファーガは、宇宙の支配をもくろんでいる。

氷介たちは、それを阻止するため、天野たちと宇宙へと発つ。


9・デファーガ関連の歴史


ーー今から六年前ーー

9・デファーガ設立

9・1・1同時多発テロを9・デファーガが起こす。

9・デファーガが混沌の宝石を発見。

その事をドルトラが伝えた通信記録を、天野が拾う。

天野たちが、混沌の宝石を発見。その後、研究を重ね、さまざまなことを知る。

ドルトラへの返事の通信記録を、天野が拾う。(研究に半年かかった事を踏まえると、拾う半年以上前に行われた通信だと推測される。)

それらの手紙から、9・デファーガの混沌に住む者大量生産が発覚。

ーー終わりの歌時代(一年前)ーー

氷介たち調査隊が白王村へむかう。

他の調査隊とも合流。

ドルトラ登場。調査隊討伐の任務を受けていた。

ドルトラにより、ダン重症。だが、ドルトラも、氷介と紅夜に殺される。(仲間が助けに来なかったところを見ると、この時点で見捨てられていた)

里奈軍団と調査隊が激突!

炎斗が殺される。

氷介が、里奈を倒す。

調査隊が村を発つ。

災害(本当は里奈ののろい)で白王村全滅。

ーー調査隊と9の悪魔時代(現在)ーー

氷介たちが、一年ぶりに再会

だが、一緒に来ていた流丸の弟、楓堵がさらわれる。

調査隊が、9・デファーガとご対面。

9・デファーガのリーダー、ケオデッツに、目的を聞かされる。

9・デファーガが逃げた後、天野と会う。

天野に、9・デファーガのメンバーや、その関連のことについて聴く。

南と高野に会う。

天野たちの宇宙船に乗せてもらう事にする。

宇宙へ出発

エウロパに到着。

高野と南を残して、調査しに行く。

氷の下の基地で、混沌に住みし者に会う。

倒した後、調査隊が、天野に混沌に住みし者を教える。

9・デファーガのアノデロスが、南と高の討伐に向かう。


フウ・・・かきあげた・・・。

適当でいいですから、覚えといてください。

そうすると、この先わかりやすいと思います。

Re: 『 n i n e d e v i l s 』 ( No.19 )
日時: 2008/04/06 11:46
名前: 鏡 (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん!

第十九話  接触



宇宙船に迫る人物に二人が異変を感じたのは、それからしばらく後だった。

「ねえ、おかしくない?」

ついにそうきっぱりと言い出したには、あのガサツな南だった。

「何がですか?」

高野が聞くと、南は言った。

「だって、一人だけじゃない。それにこの宇宙船にちかづいているのはいいけど、なんだかおぼつかないって言うか・・・。」

「確かに・・・何度か止まってますね?まるで何かの位置を確認しているような・・・探しているような・・・!!」

高野もようやく気がついたようだった。

そして、目を閉じた。

「信じたくないのはわかる。でもこうなってしまったら、戦おう?それで天野たちが帰ってくるのを待とう?」

その言葉に、高野は目を開け、南を向いて、頷いた。


氷介たちは、神殿の最深部を制圧していた。

混沌に住む者たちを、斬って、殴って、凍らせて。

その戦いでわかったのは、さっきあった混沌に住むもの以外にも、種類があるという事だった。

さっき会った混沌に住む者は何も武器を持たなかったが、今度の混沌に住む者は、弓矢を持っている。

ご丁寧に、使い方も心得ていて、それに動きも機敏、頭脳も卓越していた。

それでも、やはり氷介や天野の前では、もろくも敗れた。


基地の最深部には、巨大なモニターがあった。

その下には、膨大な量のコンピューター。

天野は、それを起動させてみる。

すると、上の巨大なモニターに、次のような文章が出てきた。

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

アノデロスへ

残念な知らせだ。

われわれの宇宙船の燃料が尽きた。

そのため、仕方がなく惑星「セラノト」で、燃料補給中である。

おそらく、私達が送ってから、数十分後にこの文章を見ることになると思うが、われわれはこの星に一週間ほど滞在するつもりだ。

お前の小型宇宙船でも、四日ほどでこれるだろう?

基地の様子を調べ、ゆっくりするといい。

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

「つまり・・・逆に言えば、俺達もやつ等のいる間にセラノトって星に辿り着けるのか?」

俺は読み終わるといった。

天野も、喜んでいるようだった。

「ああ・・・私達の宇宙船なら、セラノトへは3日でつくぞ。」

「やった!!!」

皆意気高揚していた。

だが、このとき、俺たちは宇宙船の様子を知らなかった。


氷介達が海底神殿を制圧する5分ほど前の事だった。

南と高野は、自分達の宇宙船に向かってくる人物の事で、緊張していた。

二人の考えでは、向かってきているのは、混沌に住む者か、もしくは・・・。



ドゴオオ!

大きな音がした。

音のした方を見ると、宇宙船の壁に穴が開いている。

「この鋼鉄の壁に穴を開けるなんて・・・。」

南はそう言って冷や汗をたらす。

よく見ると、穴のあいた壁のすぐ下に、一本の矢が落ちていた。

南たちは、その矢を見てすぐわかった。

この宇宙船を襲撃してきた人物が。

9・デファーガで矢を操るのはあの男だけだ。

そう、水色の仮面を纏った・・・

ズガガガガガガ!

大きな音がして、壁に、大量の矢が突き刺さる。

そして最終的には、矢を立て続けに受けて弱った壁は、外にいるあの男によって砕かれた。

「7戦士・アノデロス・・・。」

南は、砕かれた壁の前にたたずむその男の名を呼ぶ。

名を呼ばれたアノデロスは、手に弓矢を持ちながら、不敵な笑みを漏らした。


「私の名を知っているようだな・・・。」

アノデロスは言う。

南は、頷いていった。

「ええ・・・貴方の他にも、半数以上のメンバーの名前を知っているわ。」

アノデロスは、鼻で笑った。

「名前を知った所で、何の得になるわけでもない。」

その言葉に、南は首を振る。

「得になるわ。だって・・・名前を知らない奴を殺すのって決まり悪いじゃない!?」

そういうと、南は掌をアノデロスにかざす。

「烈火球!」

南の声とともに、南の掌から炎の弾が飛び出す。

アノデロスは弓を構え、その火の玉に向け矢を放つ。

矢のスピードで、火の玉は簡単にかき消された。

「不思議な術を使うな・・・」

アノデロスは、南の方を見ていった。

南は答える。

「ああこれ?私の細胞はね。微細な焼却炉を含んでいるの。130兆個ある細胞の焼却炉から、炎を作り出し、汗腺から出してるのよ。」

アノデロスは首を傾げていった。

「ほう・・・そんな能力、生まれ持つものなのか?」

南はチッチッと指を振る。

「残念。天野の発明・・・。天野も凄いわよね。こんな能力開発できるなんて・・・。後、後ろ危ないわよ。」

その言葉に、アノデロスは後ろを向く。

すると、高野が剣を振り下ろそうとしていた。

「疾風切り!」

ブン!

高野の剣が空を切る。

アノデロスは、間一髪かわしたのだ。

だが、完全には避けきれず、ほうがスパッと切れる。

(速い・・・スピードは、私と同等のレベルか。)

高野の予想外のスピードに動揺するアノデロスに、南は再び攻撃をする。

「火舞!」

その言葉と同時に、大量の炎が宇宙船の中を飛び交う。

(こいつは・・・攻撃の範囲は、私より上・・・。)

アノデロスは、舞い散る火の玉をかわしながら考えた。

「もしかしたら勝てるかもしれませんよ?南さん。」

高野は、アノデロスよりも自分達に優勢な部分があるとわかり、少し喜んでいるようだった。

南も頷く。

「ガンガン攻めまくるわよ!烈火球!」

「ハイ!速撃斬!」

襲いくる、炎と剣の猛攻をかわしながら、アノデロスは溜息をついた。

「仕方ない・・・か」

そういうとアノデロスは、つけていた仮面を外した。

Re: 『 n i n e d e v i l s 』 ( No.20 )
日時: 2008/04/06 11:47
名前: 鏡 (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん!

第二十話  惨劇



「意外に楽だったなあ、あいつ等」

俺は、エウロパの氷の下を泳ぎながら、美桜に言う。

「馬鹿、あんた天野に剣をもらっておかなきゃ死んでたでしょ。」

美桜は俺の額を拳でこつんと殴る。

俺達は、こうして、この成果を伝えるためにも、南と高野の待つ宇宙船へと戻った。

だが俺たちは知らなかった・・・。

今、宇宙船では大変な事態が起こっていた事を・・・。



「ゥグ・・・」

南はうめき声を上げてその場に倒れる。

南と高野は、アノデロスの矢によって、ほぼ瀕死と化していた。

仮面をはずしたため、アノデロスは、目の当たりに黒い布を巻いている、普通の青年だと分かった。

「フン、私がこんな奴らにてこづらされるとは・・・」

アノデロスはそういうと、あしもとに倒れている南を、思いっきり蹴飛ばす。

思いっきり飛ばされる南。

「み・・・なみ・・・さん!」

高野は何とか声を絞り出してその名前を呼ぶが、その声は小さすぎて、南には聞こえなかった。

もし聞こえていたとしても、南は、答える事ができなかっただろう。

だがアノデロスは、その高野の小さな声を聞きつけ、高野の倒れている方へと歩いてくる。

そして、至近距離に近づいた所で、再び矢を放った。

「グ・・・アアアアア!」

高野は叫び声を上げるが、アノデロスは気にも留めない。

それどころか、冷淡な声で話しだした。

「私達は・・・普段はこの仮面によって力を3分の一に抑えているんだ。本来の三分の一の私といい勝負のお前達が、本来の私に勝てるはずがない。」

南は悔しさのあまり唇をかむ。

そんな南をよそ目に、アノデロスは、高野ののど下に矢を放とうとした。

(体が・・・動かない・・・。)

高野は、その動かない体を必死に動かそうとした。

だが無駄だった。

動くどころか、呼吸するのさえ難しかった。

アノデロスは、鼻で笑うと、高野ののどに完全に狙いを定めた。

アノデロスのてから、矢が放たれる。


ブスッ


鈍い音がした。


「チッ」

アノデロスは舌打ちする。

なぜなら、高野を射抜くはずの矢は、地面に突き刺さっていたから。

そして、その高野は、数メートル離れたところで、天野に抱えられていた。

高野は、自分を抱えて、攻撃から逃れさせてくれた、天野に言った。

「天野さん・・・増援・・・ありがと・・・う・・・ございます」

そして、高野は、気を失ってしまった。

「お前は・・・9・デファーガだな?」

氷介が聞く。

その言葉に、アノデロスではなく、天野が答えた。

「そう・・・7戦士・アノデロスだ・・・。仮面ははずしているが・・・あの矢から見て間違いない。」

しかし、アノデロスは首を振る。

「今は8戦士。新入りが3戦士の位についたんで。」

「そうか・・・次に来る奴は、ボスの座につくんじゃないか!?」

そういって、天野は走りこむ。

次に来る奴は・・・その言葉の意味はつまり・・・。

「私が・・・殺されるといいたいのですか?」

ガギィ・・・ン!

金属音がする。

アノデロスの矢と、天野の「紫苑」がぶつかり合った音だ。

そして、アノデロスと対峙しながら、天野は静かに頷いた。

「そうですか・・・なめられたものだ・・・。」

アノデロスの声のトーンが、少し低くなった。

黒い布を巻いているので、目からは感情を察する事ができなかった。

だが、そのオーラや、声から、苛立っているようだ。

その途端だった。

ドゴッ!

天野が蹴飛ばされた音だった。

次の瞬間には、天野は空高く打ち上げられていた。

天野は苦しそうな顔をしている。

「サンドルス」

アノデロスが呪文を唱えると、矢が水色のオーラを帯びて光りだした。

そして、その矢を弓にかけると、アノデロスは力をこめ、空高く・・・天野に向かって打ち上げた。

恐ろしいほどの光が放たれた。


それは、ほんの一瞬だった。

俺は、かすかに見える景色の中で、確かに見た。

天野を、恐ろしいスピードで矢が射抜く所を。

嫌、ただいぬいたのではない。

天野はあの時、矢を退けるために、『紫苑』を構えた。

だが、その紫苑は・・・砕けていた。

そう、アノデロスの矢は、剣を貫き、さらに天野の人体までをも貫いたのだ。

しかも、それだけでは矢は威力を失わず、空高く舞い上がり見えなくなってしまった。

天野は、口から血を吹きながら落ちてくる。

そして、落ちてくるそのスピードに合わせて、アノデロスは、天野を殴りつけた。

俺達の方に、物凄い勢いで飛ばされる天野。

俺が何とかキャッチしたが、俺の腕に横たわっていたのは、腹に風穴を開けた、瀕死の天野だった

「オイ!天野!」

俺は天野に呼びかける。

すると、天野はなんと立ち上がったのだ。

「うグッ!氷介助かった・・・アノデロス・・・私は・・・終わって・・・ない」

「天野、無理するな!」

俺の声も、天野にはきこえていなかった。

「ぬオオオ!」

今までよりはるかにおそいスピードで、武器も持たず襲い掛かる天野。

ズボッ!

天野の肩に、何かが刺さる。

それは、さっき天野を貫いた矢だった。

流石に、威力を失って、落ちてきたのだ。

よろける天野に、アノデロスは笑いかける

「同じ矢に、二度も貫かれるとは・・・不幸だな」

まさかコイツ・・・天野のココまでの行動を全て呼んで・・・しかも寸分の狂いもなく、あの時矢を放ったのか?

俺の心を読んだのか、アノデロスは、今度は俺に笑いかけた。

Re: 『 n i n e d e v i l s 』 ( No.21 )
日時: 2008/04/06 11:56
名前: 鏡 (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん!

第二十一話   心声



アノデロスの強さが恐ろしかった。

天野を助けようと思ってもダメだった。

身体が・・・思い通りに動かなくて。

そんな俺達を馬鹿にするかのように、アノデロスはこっちを見て笑う。

そして、ふらつく天野を、アノデロスは思い切り殴りつけた。

「グアッ!!・・・」

天野は吹き飛ばされる。

アノデロスは、天野を吹き飛ばすと同時に、ものすごいスピードで吹き飛ぶ天野に迫る。

そして、今度は天野の頭を抑え、地面に叩きつけた。

「・・・!」

天野は、すでに声が上げられないほど弱っていた。

そんな瀕死の天野を、アノデロスは容赦なく殴る。

バキッ!ドゴッ!

ものすごい音がする。

その音はあまりにリアルで、残酷だった。

「やめ・・・て・・・くれよ・・・」

俺は声を絞り出す。

恐怖からやっと抜け出すことのできた声しかでてこなくて、その声はとても小さい。

いや、大きくて、聞こえていてもアノデロスはやめなかっただろう。

「やめろ・・・」

俺は、無駄だとわかっていながら、声をもう一度絞り出す。


無駄だとわかっているならやめればいいのに。

戦えばいいのに・・・


自分ではそうわかっていた。

でも怖い。もし殺されたら・・・。

そんなことを考えると、とても無理だった。

憎い。意気地なしの自分が。

叫ぶことしかできないので、とりあえず叫ぶしかなかった。

「やめろォオーーー!」


力 を 貸 そ う ・・・ 未 熟 者 ・・・


俺の心の中で、何かが言った気がした。

その瞬間だった。

俺の体中が闇に包まれていく。

自然と、意識が遠のいていった。


我、全 て を 飲 み 込 ま ん と し て。


最後に、この言葉を聞いた。

そして俺は、意識を失った。


氷介は、闇に包まれて、獣のように四つんばいになっていた。

うなり声を上げている。

南が、かすかに開いた目で、かすかな声で言った。

「まさか氷介が・・・闇狼(ダーク・ウルフ)の一人?」

その言葉と同時に、氷介は、アノデロスに飛び掛る。

「貴様・・・闇狼だったのか。なのに、なぜそちら側に居る?本能が・・・騒がぬのか?」

アノデロスはそういいながら弓矢を構える。

「サンドルス」

アノデロスが、あの呪文を唱える。

その瞬間、またあの時と同じように、青い矢がものすごい閃光を放って射られた。

だが・・・。

キイ・・・ン

その音は、氷介の身体を貫いたにしては、ものすごく高い音。

次の瞬間アノデロスは驚愕した。

そこには、片手で矢を弾き飛ばした氷介が、自分にむかって来ていたのだ。

「な・・・なにィ!?」

アノデロスは回避を試みるが、遅かった。

ドゴオオオオオォ!!

トーンノ低い、ものすごい轟音があたりを突き抜ける。

メキメキメキメキメキ!!!

それと同時に、何かが地面にめり込むような音がする。

「ビャアアアアア・・・アアアア・・アア!!!」

轟音に混じり、アノデロスの悲鳴が聞こえた。

そして、間髪いれずに、また轟音が襲う。

そして、何かが美桜のほうへ飛んでいった。

バゴゴゴゴゴゴ!

その何かは、美桜の横合いに思い切り突き刺さり、のめり込み、そして氷を突き抜けて水の中へと沈んでいった。

「今・・・何が起こったっていうの?」

美桜は目の前の情景が信じられずにいた。

その瞬間、今度は、黒い何かが飛んできた。

氷介だった。闇に包まれた氷介だった。

氷介は、さっき何かがのめりこんだ美桜の隣にあるあの穴を見つけると、その中へ、思いっきり黒い衝撃波のようなものを噴射した。

「キャア・・・アアア!」

そのあまりの衝撃に、美桜も吹き飛ばされる。

そして、エウロパの氷の大地に、強く身体を打ちつけた。

痛みに耐えながら、氷介のほうを美桜が見ると、エウロパの分厚い氷に、とてつもなく巨大な穴が開いていた。

そして、そのふちに氷介がたっている。

すると、氷介は、水の中に飛び込む。

そして、まもなく・・・

海底火山が噴火したような水しぶきを上げて、何かが氷穴から、空高く舞い上がった。

アノデロスだった。

体中ぼろぼろである。

片腕は変な方向に折れ曲がり、足が一本なくなってしまっていた。



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