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妖と人の子
日時: 2019/01/03 08:23
名前: 大寒波 (ID: yEPZlZK/)

[夏目友人帳]二次創作話
先生:斑と夏目の ほのぼのBLです

現在、短編[2話]中編[2話]長編[2話]があります
これらは全て原作に準拠した内容で完結しております

 現在更新中の
「長編(3)」
※[レス№61が第1話〜]は
平安時代を舞台として
夏目は盲目で在野の鍼医 (当時の漢方医)、
先生(斑)は斑の読替えの 『むら』と呼ばれている設定で展開しております



失礼ながら書込みは遠慮します

Re: 妖と人の子 ( No.101 )
日時: 2018/11/10 03:11
名前: 大寒波 (ID: rDOS.pEA)

夏目長編(3)41.
「夏目話・平安編41」 寝床から半身を起こして夏目は躯を伸ばす  束の間の睡眠だったが 体調が かなり戻った様に感じて意外であった
ニ刻(1時間)程眠っていたらしい。

巨大な風避けは居なくなっていたが 眠っている間は終始 傍らがとても暖かかった事を思い出す
お陰で 冷え切った躯は温もって気分も良くなっていた

妖が伏せていた所に夏目 が顔を向ける
触れば まだ温かいのではないか ふとそんな事を思った

身繕いをしながら御簾の隙間から空を窺うと 顔と体に陽光が当たり熱も感じる 視力を失った眼には 薄暗い視界に飛び込んできた滲んだ光となって視えているのだ

陽光の当たる位置と角度で もう陽が傾いて夕方に差し掛かっているのが分かる
これから 勤めから帰って来る三人の子息達を 順次診て廻れば 今回のこの家での主な仕事は終わるのだ
夏目は背筋を伸ばし休息で弛緩した心身を改めて引き締めた。


この家の三人の子息は
太郎君(長男)と三郎君(三男)が武官で次郎君(次男)が文官として宮中に出仕している

何れも優秀な若者でその点は末の姫同様 優れた才覚を持つ兄弟達といえる

Re: 妖と人の子 ( No.102 )
日時: 2018/11/14 06:17
名前: 大寒波 (ID: n.VB6khs)

夏目長編(3)42.「夏目話・平安編42」
衣服を整え 顔と手を洗い清めて 支度を終えた夏目の元へ 次郎君が帰宅した と女房が伝えに来た
了承して暫くのちに 客間を出て次郎君の私室へ向かう

三人の子息達には 誰にも持病が無く健康なので 携えてゆく薬剤は少なく 且つ ほぼ同世代の男同士なので 四角四面な夏目といえども やはり気が楽なのである

当の三兄弟も この博識多才の鍼医の診察、というより 才気煥発な会話のやり取りと 異業種の珍しい話を 沢山聞かせてくれる怜悧な若者の逗留を いつも 心待ちにしているのだった

その鍼医が 大変な美貌とあれば尚更である
それは又 三人が疾病を抱える者の深刻さとは無縁ゆえの気安さとも言えた 
次郎君じろうぎみは着替えを済ませ 自室で紙を片手に唸っていた 文机には筆記具を出している

夏目が様子を訊ねるまでもなく 墨の清々しい匂いと うんうん呻吟する声が洩れ聞こえている

これは 末の姫が散々噂していた 例の積年の想い人へ贈る文の文面を、帰宅そうそう次郎君が考えている最中か と夏目は思った

察するに 今夜逢いに行く、という事なのだろう

Re: 妖と人の子 ( No.103 )
日時: 2018/11/16 08:28
名前: 大寒波 (ID: rDOS.pEA)

夏目長編(3)43.
「夏目話・平安編43」 部屋の前で声を掛けるとすぐに応えがあり 夏目は
「無事のお帰りで 良うございました 御役目お世話様でございました」
挨拶をしながら 部屋に足を踏み入れた

次郎君は 戸口まで出て御簾を持上げ 夏目を通しながら

「ただ今帰りました して瑠璃殿 此の度の滞在はいつ迄の予定でしょうか
聞くと占卜うらないではなく医の仕事に変更となったとか」
幼い妹と 同じ事を訊いてくる。

日程を聞くと

それじゃあ此度は 時間があるので 皆で遊興に出ましょう などと目を輝かせている


遊びに来た訳ではございませぬゆえ

夏目が にべも無く言うが 気にする様子も無く次郎君は あれこれ心積もりをしている模様である

太郎君(たろうぎみ:長男)も勤めから帰宅しだい 診るのだが 一方の三郎君(さぶろうぎみ:三男)は、と問うと

「あれは宿直とのいで昨昼から 今夜深更迄の勤めなので 帰宅は更に遅くなるかと」


そんなに終業が 遅ければ 仮眠して朝を待ってから帰宅するのでは、と夏目が 至極当然の事を訊いた

Re: 妖と人の子 ( No.104 )
日時: 2018/11/16 08:31
名前: 大寒波 (ID: DOGptLfT)

夏目長編(3)44.
「夏目話・平安編44」 実際そこから供の者達を叩き起こして 車に牛を繋ぎ荷を積み 徹夜明けで青い顔の主人が乗込み 松明で路を照らしながら のっそり帰って行く事を思うと 夜間の帰宅はすこぶる効率が悪い。

「三の弟は 瑠璃殿が昨夜から うちに来られる事を承知でしたから、車(牛車)ではなく馬で出仕して行きましたからなぁ…
たぶん夜の間に駆け戻って来るでしょう」

次郎君は 少し苦笑して言う。

これには夏目が眉をひそめた。この屋敷は宮中からは馬で一刻(30分)程の距離だが 宿直明けの身体では無謀に思える 一瞬眠り込んだだけで落馬に繋がるのである ましてや

「あれの乗馬のりうまは駿馬で 弟も馬術を得意としています
子一刻(23時)頃に交代となるそうですから子ニ刻(23時30分)前には帰り着くつもりかと。
あやつ襲歩(乗馬の最速の走法,競馬での走り方)ですっ飛んできますよ」


そう言って兄は からからと笑うのだが 聞いている方は笑えない 

真暗闇の深夜の路で 馬を襲歩しゅうほで走らせるなど危険極まりないからである

溜め息をつく夏目に

大丈夫ですよ と次郎君はあくまで軽い

Re: 妖と人の子 ( No.105 )
日時: 2018/11/23 08:56
名前: 大寒波 (ID: DOGptLfT)

夏目長編(3)45.「夏目話・平安編45」それはさておき、と次郎君は話を変えた 先程唸っていた文についての助言が要るらしい 長男の帰宅を待つ間に完成させたいのだ

いつもの様に 下書きの文を読むように促すと 夏目は その朗読を聞きながら部屋の主が座る文机に近付いていった
文中の和歌は 申し分ない出来であったので それを聞いた次郎君は さっそく清書を始める

想い人を想起させる 風雅な歌を詠込んだ恋文でありつつ 今夜の予定連絡でもあるので 当然ながら少しでも早く 先方に届ける必要があるのだが、次郎君が書き上げた文をたたんで引き結んで そのまま使いに出す者を呼ぼうとするので 少し装飾をしてみましょうか、と夏目が言った

「どの様にしましょうか」 文の書き手が首を傾げて素直に問うた
そこで 中秋の月の夜にも 逢う予定なのかと訊ねると、 勿論ですとも と勢い込んだ答が返って来た

その宵は 宮中でも盛大な月見の宴や 歌合わせ等の大々的な催しがあり 文官達は 準備に進行にと息つく間もなく仕事に忙殺されるのだが、
そうは言っても流石に 頷いてくれたばかりの恋人を 名月の宵に独りにさせていては男側の誠意を疑われかねない。

中秋の名月(十五夜)は 恋人達にとっても 盛り上がる行事なのだ


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