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妖と人の子
日時: 2019/01/03 08:23
名前: 大寒波 (ID: yEPZlZK/)

[夏目友人帳]二次創作話
先生:斑と夏目の ほのぼのBLです

現在、短編[2話]中編[2話]長編[2話]があります
これらは全て原作に準拠した内容で完結しております

 現在更新中の
「長編(3)」
※[レス№61が第1話〜]は
平安時代を舞台として
夏目は盲目で在野の鍼医 (当時の漢方医)、
先生(斑)は斑の読替えの 『むら』と呼ばれている設定で展開しております



失礼ながら書込みは遠慮します

Re:妖と人の子 ( No.21 )
日時: 2018/03/03 08:43
名前: 大寒波 (ID: n.VB6khs)

夏目長編(1)
 4.
「あの祓い屋の人格がどうだか知らんが 少なくとも今回は違う」

「どういう事です」重ねて紅峰が訊いた


「私に向けて射った矢の前に飛び出して来た阿呆がいたのだ」

紅峰は 今度はあからさまに眉をひそめた

「あの ほっそいエノキみたいな体で一人前に斑様をかばった と?」


「夏目が他者を庇って 身代りになろうとするのは日常茶飯事だ」


紅峰は目を伏せて 先ほどの夏目を思い出していた


留守の夏目の帰りを待ちながら
うちの主様は勿論、三篠様 ヒノエ殿から中級低級に至るまで この辺の妖は皆 夏目を気に入って下にも置かない

ましてや 斑様は命を危うくしてまで彼を守護している 夏目はその厚意の上に胡座をかいて 当然の様に ただ守られ斑様を使役しているのではないか、

人嫌いの紅峰はそう考え 業腹だった

Re:妖と人の子 ( No.22 )
日時: 2018/03/03 08:45
名前: 大寒波 (ID: uV1PemL6)

夏目長編(1)
 5.
夏目に会うのは久し振りだった

珍しく姿を見せた紅峰に 少々 不審そうな様子の夏目だったが ぽつりぽつり世間話をする内に 表情が和らいでゆき 何故か 妖物の体温の事を訊いてきたかと思うと そこからは 

やれニャンコ先生がどうした ニャンコ先生がこうした ああ言ったこう言った、の先生エピソードに終始するのだった


その時の夏目は 普段のきつい生意気な表情が 驚くほど柔和になり 白い頬には血の気を上らせて 実に楽しげに見えた。


以前会った時には こんな表情を見せる子供では無かった。

祖母夏目レイコに瓜二つの綺麗な顔に 警戒を浮かべ、いつ気が変わり襲ってくるかも知れぬ妖怪共に隙を見せぬ様にと 常に気を張っていた


あの 今にも弾けんばかりに ぴんと張りつめた糸みたいなものが無い。
あの痛々しさが消えていた。

Re:妖と人の子 ( No.23 )
日時: 2018/03/03 08:46
名前: 大寒波 (ID: uV1PemL6)

夏目長編(1)
 6.
その変わり様に 一体何が あの生意気なガキを変貌させたのかと 紅峰は思いを廻らせたが 考えるまでも無い事だった


『ニャンコ先生は 』

『ニャンコ先生が 』


あの口下手な子供が 饒舌に語っては笑い、不在の用心棒の 空の座布団を見ては 怪我から回復した途端に呑み会だと ぼやいては笑う


こういうのを 幸せそうな顔というのだろうか

ふと思った。

Re:妖と人の子 ( No.24 )
日時: 2018/03/03 08:48
名前: 大寒波 (ID: uV1PemL6)

夏目長編(1)
 7.
ところで その腕の傷はどうしたんだい

再会した瞬間に 気づいていた夏目の左腕の傷が
少々気になり 紅峰が訳を訊くと、

ちょっとヘマした とっくに塞がった と言うが 服の下に隠していても 血の匂いが鮮明だった


妖とのトラブルで生傷が絶えない上に 毒気に当てられて寝込む事も多いが 回復が早い夏目にしては珍しい


妖力が強い人間にとっては 鉄の武器で受けた傷は妖物同様にダメージが大きい
治りにくいのだ


もしやあれは矢で負った傷では無いのかと 紅峰は考えていた

もしそうなら 斑が矢を射たれた時に夏目も負傷した事になる

矢を射った祓い屋は あんな子供にも平然と傷を負わせる者なのかと紅峰は驚き 不快感がつのった

Re:妖と人の子 ( No.25 )
日時: 2018/03/03 08:55
名前: 大寒波 (ID: 3f2BBQD7)

夏目長編(1) 
 8.
考え込んでいると 先生の帰りが遅いし と夏目が改めて用件を訊いてきた

斑様の見舞いだと告げ 昏睡していた時の様子を 尋ねてみると その表情がみるみる曇ってゆく


夏目の話だと 
ニャンコ先生は 矢を射たれ かなり出血した後 数日間無反応で眠り続けた

獣医には診せられないのでヒノエに診て貰い 何日かしたら目を覚ますだろうという見立てで
ついこの間 目覚めたばかりだ という事だった


用心棒の怪我の話を始めた途端に 顔を強張らせて蒼白になった夏目に 思わず

そんなにヤバかったのかい その祓い屋は

などとなだめる様な物言いをした紅峰だったが


『あの場にいた妖物で 祓い屋の的場さんの矢を射たれた者は みんな滅せられてしまった…』

『先生だって下手したら その場で消滅させられていたかも知れない

ニャンコ先生は強いけど でも 何が起こるかは分からない 気を抜いてはいけないんだ 』


紅峰に話しながらも
自分に言い聞かせるような硬い顔をしていた


目の前の子供が 最も恐れている事が何なのか、
さすがの 人間嫌いの紅峰の目にも明らかだった。

人の子に使役されて 面倒事に巻込まれている、お気の毒な斑様を連れて帰ろう と思っていたが
筋違いだったろうか

こりゃあ余計なお世話だったかね

紅峰は やれやれとため息をついた。


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