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妖と人の子
日時: 2019/01/03 08:23
名前: 大寒波 (ID: yEPZlZK/)

[夏目友人帳]二次創作話
先生:斑と夏目の ほのぼのBLです

現在、短編[2話]中編[2話]長編[2話]があります
これらは全て原作に準拠した内容で完結しております

 現在更新中の
「長編(3)」
※[レス№61が第1話〜]は
平安時代を舞台として
夏目は盲目で在野の鍼医 (当時の漢方医)、
先生(斑)は斑の読替えの 『むら』と呼ばれている設定で展開しております



失礼ながら書込みは遠慮します

Re: 妖と人の子 ( No.56 )
日時: 2018/04/16 01:24
名前: 大寒波 (ID: JYq9u7Yl)

夏目中編(2)
 10.
「あれ ニャンコ先生は行かないのか」

「昼寝だ 昼寝」
フンとそっぽを向きながら饅頭猫が渋い顔で言い 座布団の上で丸くなる。
分かった 遅くはならないよ と夏目は鷲羽根の妖と共に家を出た


駅に近い喫茶店で羽根妖と紅茶を飲みながら
先ずは、と夏目は快癒の挨拶と無理を強いた事の詫びを受けた。


夏目としてはそれよりも この妖はともかく、奥山育ちの連れ妖二匹のレイコとの接点が不思議でならなかったので 訊いてみると 昔この地で祭りがあった時に請われて二匹を連れて行き そこで夏目レイコに逢い 勝負を持ち掛けられた という話だった。

「なるほどなぁ 初めてのお祭りの宵に浮かれてたんだろうに気の毒だったな」レイコならありそうな話に夏目が微笑った


それを見て羽根妖が それでは用件をと話し始める 
斑と夏目の間の、友人帳に関する約束の条項を 知っており、それを破棄した上で羽根妖を守護者とした新たな契約を結んではどうかという内容だった。

「えっ あの約束の相手をあんたに変えろって事なのか」

「そう 守るのも妖について教えるのも私に変更するという条件でね 不在がちで隙だらけの大福猫よりは巧く守護できると思いますよ」

驚く夏目に 妖は誘いを続ける

「あの約束は 夏目殿が妖物や友人帳に関して無知だったからこそ成立したのでしょうな
しかも契約の場合には一般的に用いる血判や紙面での約定を交わしてないので破棄が可能です
違約条項を定めていないのだから
斑もそこは承知ですよ」
「今にして思えば 斑は夏目殿に友人帳の件で接触した一番最初の妖だったという事になるのでしょうが それ以上でもそれ以下でも無い

もっと貴方に有利な手厚い条件と完全な守護者を求める事が出来るのだから夏目殿はそうするべきです
‥その方が長く生きられる確率が高くなる」


端的で いかにも明晰な妖の手短な説明を聞き 複雑な表情になった夏目は考え込んでいる


一番最初…

俯き加減で呟いた。

Re: 妖と人の子 ( No.57 )
日時: 2018/04/27 23:16
名前: 大寒波 (ID: zt./Gg/M)

夏目中編(2)
 11.
一心に考えていた夏目は顔を上げテーブルの向こうの鷲羽根の妖を見る

妖は急かす事もなくティーカップを持って夏目のつむじ辺りを眺めていた目が合い羽根妖は軽く笑う
本当に人間みたいだな と思いながら夏目は纏めた考えを話し出した

「これは俺にも良い話だと思う 声を掛けてくれて有り難う。でも俺には今の“用心棒が先生で 死後に友人帳を譲る約束”という関係性以外には考えられない。だから契約は断るよ」

「ふむ もし斑と出逢った当初に より良い条件を示す妖が二番目三番目と 次々に現れていたら どうしましたか 危険に曝されて来た貴方なら 生き残りに有利な方を選択したでしょう」
羽根妖は重ねて言ったが夏目の返答は意外なものだった

「違うんだ 有利も何もこの約束は俺の方が先生に頼んだ事なんだ」
「というと」

「先生は偶然出会った俺がレイコさんの遺品・友人帳を持ってると聞いて奪おうとしただけだ

俺は妖怪達に名を返還していくから 先生にやり方を教わりながら手助けして貰う事を、途中で俺が落命したら友人帳を譲るから、と言って頼んだんだよ」

「それでは貴方には本当にデメリットしか無い 命を危うくする面倒事を背負い込んだだけではないか」

「俺がレイコさんの血族の最後の一人だから負の面も受継ぐのは仕方ない。その面倒事を先生は一緒に引受けてくれた
だから俺にとって一番目も二番目も三番目もないんだ 最初にやって来てぶつぶつ言いながらも手助けしてくれた先生がすべてだよ

あんな風に感情が動いたのは初めての事だったから」
柔らかく微笑みながら 夏目の口調は決然としていた。

「あんな風に‥?」

「先生と初めて出逢った時、俺は生まれてこの方 あんなに綺麗な生きものを見た事が無かったんだ 人でも動物でも妖でも。

この生きものを 行かせたくない、離れたくない ずっと一緒にいたいと自分でも不思議なくらい強く願った  だから今の生活はその願いが叶った事なんだ

望外の喜びなんだよ」


熱い告白の様にも聞こえる話を聞き終えた妖は
横を向いて窓の外を見た
相手の話について考えている様子だった。

Re: 妖と人の子 ( No.58 )
日時: 2018/04/28 07:12
名前: 大寒波 (ID: DOGptLfT)

夏目中編(2)
 12.
ややあって妖は視線を正面の夏目に戻し真剣な顔で言った

「これから私と共に旅に出て世界を見ませんか 何処までも共にゆこう

私と一緒に来てくれないか」

「えっ」

「と、最初に言うべきだった。契約の話など二の次でどうでも良い事だったが こんな気持ちになるのが久し振りで巧く伝えられなかったな‥」

飄々とした羽根の妖にも似合わぬ自嘲めいた口調と苦い顔付きに 夏目の方が慌てた

真剣に誘っているとは思っていなかったのだ

本気だったのか、悪かったな 謝ろうかとも考えたが こうした経験の浅い夏目でもそれは違う様な気がした
ありがとうと言うのも又違うだろうとも。


黙って外を見ていた妖は はっとテーブルの上を見た 自分の右手を夏目が握っている

「元気でな」真剣な顔をして言った

一瞬驚きの顔を見せた妖は 強く握り返して笑った。


もう出立する、と腰を上げかけた妖はそう言えば、
怪我をしたり妖力を失って弱った妖物を回復させ救える即効性高い治療法があるが知りたいか と意外な事を言い出した。


願っても無い話に
勿論知りたい と熱心に夏目が言うと 妖は手招きして近寄ってきた彼の耳に口を寄せて何事かを囁いた。


言った通り夕方前に 藤原家に帰り着き 藤原夫妻にただいまを言った夏目は 昼寝と称して家に残ったニャンコ先生のいる自室にまっすぐ上って行く


部屋には座布団の上で丸くなった饅頭猫が寝ていたが、欠伸をしながら目を細く開けて帰ってきた部屋主を横目で ちらりと見る。

早かったな と言うのに

ただいま 羽根の妖は仲間と旅立って行ったよ

上着を脱ぎながら夏目が報告する。

Re: 妖と人の子 ( No.59 )
日時: 2018/08/29 06:03
名前: 大寒波 (ID: .H8Y6m32)

夏目中編(2)
 13.

「ふん そんな事聞いておらん」鼻を鳴らした猫を 膝にそっと抱きあげて

あの妖がこんな事を教えてくれたぞ
と何やら夏目が言い出す

あいつが? 一体何をだ
疑り深い目付きになった猫が問う。


「怪我や戦闘で弱った妖物は 霊力や妖力の強い人間と交わると劇的に治癒するんだってな。つまり生かしておく方の“喰う”だよな」


「だから今度 先生が怪我したり弱ったりした時には俺で試してみたら良いって。」



「……何だと? お前交わるって意を、」

「ああ性交渉の意味だろ 人と妖とかでも やる事ができるんだなぁ あ、でもお伽噺や説話ではよく出てくるもんな 」


「ってお前! 何が“やる事ができるんだなぁ〜“だ! 恋愛に疎くて経験値さっぱりのクセして こういう所だけは現代っ子か!JKか!
てかお前 相手は妖だぞあやかし 妖怪相手に少しは嫌がらんか

ええぃそこに座れ 朝まで説教だ!」


「経験値さっぱりとは何だよ 失敬な」
「ホントの事だろうが
って問題はそこじゃない」


いきり立って畳をドンドン叩いては夏目に正座を促す饅頭猫に
俺の何が問題なんだよと夏目が抗議する

わぁわぁぎゃあぎゃあと いつもの 犬も喰わない喧嘩となった


心地よく暖められた部屋から賑やかな声が外まで漏れ聞こえている
窓の外の木立は冷たい風に曝されてすっかり葉が落ちている 季節はもう冬だった。

◇夏目中編(2)END◇

Re: 妖と人の子 ( No.60 )
日時: 2018/08/29 06:22
名前: 大寒波 (ID: RO./bkAh)

  夏目中編(2)
 [レス番№47〜№59] 
    END


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