【色々】世界でひとり、恋をしよう?【短編】

作者/ささめ ◆rOs2KSq2QU

You are mine.


 「…………あのー、この状況、どういうことでしょーか?」
 「だって蛍(けい)が最近俺を避けてるから」
 「いや避けてないっての」
 「……じゃあ何で今日勝手に俺を置いて学校に来たんだよー!」
 「それは……ってかさぁ」

 ―――――おい、相良(さがら)。痛いっての。
 
 誰も居ない放課後。保健室で相良に押し倒されている俺は、そんなことを思いつつ溜め息をつく。


 「……これで俺が押し倒される回数、見事10回なんスけど」
 「そしてその度、10回共俺とメイキングラヴしてる……もがもが」
 「わーお、ついに下ネタ発言キター!! ……ってことで帰るから退けコラ、殴るぞ」
 「じゃあ犯していい?」
 「……阿呆か、ここは保健室だぞ、公共の場なんだぞ」
 「じゃー俺の家行こうよ、今日は親いねーし、妹いねーし、準備万端」
 「黙れ万年発情期、去勢されたいか」

 もう一度、深い溜め息。
 てゆーか、誰かこの俺の上に乗っかってるでけー犬をぶち蹴ってくれ、頼む。こいつ背ぇ高いし、握力ばねーから、さっきから上の方で纏められてる手首が痛い。てか限界に近い。あー、明日赤くなってるかもな。

 「……もしかして、蛍って、マゾ?」
 「俺はいつも怒りを露わにすることはあまり好ましくないと思っていたが―――今回は言おう、砕け散れ! 血まみれになって! 鯉の餌となれ!」
 「きゃーん、蛍ってアプローチ激しいー! ってことでヤろう、今すぐ」
 「だ・ま・れ!!」
 
 押し倒されているせいか、いくら暴言を吐いても、相良には通用しないようだ。実際、にやにやと相良は笑ってやがる。まじ誰か潰して、コイツ。てか誰かヤり殺.してくんないかなホント。

 「掘られるこっちの気持ちも考えろ、この●モ野郎っ! 毎晩毎晩盛りやがって! 俺はノーマルだ、なのにテメーがいっつも流れで押し倒してヤるから!」
 「そ、そんなこと言って蛍だっていつも流れに逆らわねーじゃんか! この前も体育倉庫でヤってたら普通に感じてたし、喘いでぶごふおっ」
 「うるせーう.ぜー気持ち悪いっ、黙れ黙れ黙れえっ!」
 「け、蛍……地味にジタバタしてるのすげぇ可愛い……嗜虐心をくすぐられるというか小動物系っていうかでも股間を蹴らないでほしいというか」
 「黙れ!」

 そんな感じでもみくちゃになってぎゃーぎゃーしてたら――――突然ベッドのカーテンを開けられた。
 誰だ、と目を見張ると、いつも物静かでおしとやかで清楚な保健室の先生が、額に青筋をたてて微笑んでいた。

 「……お願いだから、盛るのは保健室以外のところでして欲しいのだけれど……ていうか下ネタぎゃーぎゃーうるさいんだよこのBL2人。毎回毎回ここで押し倒してにゃーにゃすんなよと言っておくわ」
 
 「「ごめんなさいっっ!!」」

 
 ……相良のスライディング土下座は、いつもの通り見事な速さだった。