【色々】世界でひとり、恋をしよう?【短編】

作者/ささめ ◆rOs2KSq2QU

イナズマイレブン

予報、貴方の想いは末期でしょう!


 「邪魔なんだよ、お前ら全部。面倒くせぇ想いばっかり抱え込んで、そんでサッカーに支障が出てよ。……ほんと、邪魔なんだよ。お前らのその想い」


 不動はそう呟くと、唇をかみ締めた。背中しか見えないせいか、正確な表情は分からない。だけど、どことなく悲しそうだなというのは、鬼道にもすぐ分かった。


 「……じゃあ、俺のお前に対する想いも、お前にとっては邪魔なのか?」


 その背中に、問いかける。不動は俺の話に一度だけ顔をあげたが、俺に背を向けたままだった。そしてまた、ぽつりと言葉をもらす。


 「分かんねーよ。……考えるのも、面倒だしな……だから、しばらく俺は――――こんままで良いんだよ」
 「じゃあ」


 どこか疲れた様子の不動に、俺は再度声をかけた。その声に反応して、不動が初めて振り返る。言葉を遮られたのによっぽど驚いたみたいだった。その表情を正面に構えつつ、俺は少し微笑んで言う。


 「そのままで良いなら、今、俺がお前を好きでいようと構わないんだろ」
 「…………知るか、そんなの」


 たった一言だけ、不動は言い放った。なぜか、その言葉を境に、2人共口を噤んでしまう。何でかというと、知るかという不動の素っ気無い言葉に、俺は遠まわしに拒絶された気がしたからだ。不動の方は……何で黙ったのかは、分からない。俺が嫌いなら、そのままどこか行けば良いのに。不動はその場に立ち尽くしていた。


 「……」
 「…………」
 「………………」
 「……………………うがーっ! うっぜえ!」


 すると突然不動は奇声を発すと、俺の方にずかずか歩み寄ってきた。なぜか頭を下げたままで。何でだ。というか、背後に殺気が見えた。正直に怖い。どうしたと問う前に、肩を力強くつかまれた。身動きがとれなくなる。当たり前だ。
 そのまま、顔を俯かせた状態の不動と向き合った。唯一俺から見える耳は桃色だ。
 

 「……不動?」
 「てっ、てめえはっ」
 「…………俺が?」
 

 そこでようやく不動は、顔を上げた。少しだが、頬に赤みがさしている。嗚呼、怒っているのだろうかと少し不安になった。しかし当人が激怒している様子はまるで無く、俺は不動が今どういう心境なのか不思議に思う。
 不動は何かもごもごと口の中で言葉を遊ばせていたが、やがて言う決心がついたのか、やけに強気な口調で俺に話しかけてきた。


 「だからてめえはっ、そ、そのままで良いんだよ!」
 「……? あ、ああ。そう言ったが」
 「だからつまりそうじゃなくて、それはっ!」
 「それは?」
 「……それは……それはだな……それは……えーと……んと……う……」
 「それは?」
 「それはつまり、…………つまり………………………………テ、テメェは俺のこと一生ぐだぐだ好きでいれば良いんだよ…………!」


 思ストップした。仮にも天才ゲームメーカーと畏怖される俺の思考が。 それ程、不動の言葉は俺に衝撃(色んな意味で)を与えるもので。そのせいで俺はしばし放心してしまい、気付けば不動は俺に背を向けて部屋へ戻ろうとしている途中だった。
 その後姿に、急いで叫ぶ。


 「っ!? おい不動それもう一度」
 「何だよこのゴーグル野郎バナナの皮で転べ!」
 

 不動はさっきまでの態度とは一変し、俺に暴言を浴びせかけた。俺はそれに対し、今なんつったこの野郎と憤慨する余裕も無く、その小さく消えていく背中を見つめるだけ。
 …………それでも、さっき不動が告げた言葉は耳に余韻を残していて。不動が目の前にいなくても、ずっと消えなくて。


 (あー…………やばいな、これは)


 あぁ、と溜め息をついて苦笑する。そしてその場にうずくまった。そこでもう一度、深い息を吐いて、吸う。それでも俺の顔の火照りは止まらない。
 ……あぁ、俺はこの想いがどれほど手遅れなのか、気付いてしまった。そう思うと、また照れくさくて、俺は自身の体を抱きしめる。
 

 「あー…………末期だ……」


 そんなの知ってる、と自問自答してみた。




予報、貴方の想いは末期でしょう!】


 「邪魔なんだよ、お前ら全部。面倒くせぇ想いばっかり抱え込んで、そんでサッカーに支障が出てよ。……ほんと、邪魔なんだよ。お前らのその想い」


 不動はそう呟くと、唇をかみ締めた。背中しか見えないせいか、正確な表情は分からない。だけど、どことなく悲しそうだなというのは、鬼道にもすぐ分かった。


 「……じゃあ、俺のお前に対する想いも、お前にとっては邪魔なのか?」


 その背中に、問いかける。不動は俺の話に一度だけ顔をあげたが、俺に背を向けたままだった。そしてまた、ぽつりと言葉をもらす。


 「分かんねーよ。……考えるのも、面倒だしな……だから、しばらく俺は――――こんままで良いんだよ」
 「じゃあ」


 どこか疲れた様子の不動に、俺は再度声をかけた。その声に反応して、不動が初めて振り返る。言葉を遮られたのによっぽど驚いたみたいだった。その表情を正面に構えつつ、俺は少し微笑んで言う。


 「そのままで良いなら、今、俺がお前を好きでいようと構わないんだろ」
 「…………知るか、そんなの」


 たった一言だけ、不動は言い放った。なぜか、その言葉を境に、2人共口を噤んでしまう。何でかというと、知るかという不動の素っ気無い言葉に、俺は遠まわしに拒絶された気がしたからだ。不動の方は……何で黙ったのかは、分からない。俺が嫌いなら、そのままどこか行けば良いのに。不動はその場に立ち尽くしていた。


 「……」
 「…………」
 「………………」
 「……………………うがーっ! うっぜえ!」


 すると突然不動は奇声を発すと、俺の方にずかずか歩み寄ってきた。なぜか頭を下げたままで。何でだ。というか、背後に殺気が見えた。正直に怖い。どうしたと問う前に、肩を力強くつかまれた。身動きがとれなくなる。当たり前だ。
 そのまま、顔を俯かせた状態の不動と向き合った。唯一俺から見える耳は桃色だ。
 

 「……不動?」
 「てっ、てめえはっ」
 「…………俺が?」
 

 そこでようやく不動は、顔を上げた。少しだが、頬に赤みがさしている。嗚呼、怒っているのだろうかと少し不安になった。しかし当人が激怒している様子はまるで無く、俺は不動が今どういう心境なのか不思議に思う。
 不動は何かもごもごと口の中で言葉を遊ばせていたが、やがて言う決心がついたのか、やけに強気な口調で俺に話しかけてきた。


 「だからてめえはっ、そ、そのままで良いんだよ!」
 「……? あ、ああ。そう言ったが」
 「だからつまりそうじゃなくて、それはっ!」
 「それは?」
 「……それは……それはだな……それは……えーと……んと……う……」
 「それは?」
 「それはつまり、…………つまり………………………………テ、テメェは俺のこと一生ぐだぐだ好きでいれば良いんだよ…………!」


 思ストップした。仮にも天才ゲームメーカーと畏怖される俺の思考が。 それ程、不動の言葉は俺に衝撃(色んな意味で)を与えるもので。そのせいで俺はしばし放心してしまい、気付けば不動は俺に背を向けて部屋へ戻ろうとしている途中だった。
 その後姿に、急いで叫ぶ。


 「っ!? おい不動それもう一度」
 「何だよこのゴーグル野郎バナナの皮で転べ!」
 

 不動はさっきまでの態度とは一変し、俺に暴言を浴びせかけた。俺はそれに対し、今なんつったこの野郎と憤慨する余裕も無く、その小さく消えていく背中を見つめるだけ。
 …………それでも、さっき不動が告げた言葉は耳に余韻を残していて。不動が目の前にいなくても、ずっと消えなくて。


 (あー…………やばいな、これは)


 あぁ、と溜め息をついて苦笑する。そしてその場にうずくまった。そこでもう一度、深い息を吐いて、吸う。それでも俺の顔の火照りは止まらない。
 ……あぁ、俺はこの想いがどれほど手遅れなのか、気付いてしまった。そう思うと、また照れくさくて、俺は自身の体を抱きしめる。
 

 「あー…………末期だ……」


 そんなの知ってる、と自問自答してみた。