【色々】世界でひとり、恋をしよう?【短編】
作者/ささめ ◆rOs2KSq2QU

嘘つ.きみーくんと壊れたま.ーちゃんよりまーみー(♀)
メランコリー・ナイト
うおぁぁぁ、と悲鳴なのか叫びなのかよく分からない規制をあげた後、まーくんはいつもように壊れた。元からぐちゃぐちゃだった部屋が、投げ込まれる花瓶は本によってさらに混沌とした状況を作り出していく。
手に持った大きめのお皿を、床に叩きつけようとまーくんが振りかぶったところで、私はのそのそとまーくんの傍へと近寄った。その際に膝をガラスですっぱり切ったのか、赤い血が、私の通った後を濡らしていく。ひどく不快だ。
「まーくん」
呼びかける。反応はない。まーくんは掻き乱した前髪の隙間から、濁った瞳でこちらを睨み、
「××の嘘吐き」
とだけ、呪うような、低く暗い声で呟くと、疲れたのかそのまま崩れるようにして倒れこんでしまった。行き場のなくなった重力に沿って、大皿が不協和音を奏でて砕け散る。その破片が頬に当たり、切れたらしい。ぬるりとして液体が頬を伝った。
「……知ってるの、そんなこと」
呆然と、誰かが呟いた。
復活!より骸(♀)+山ヒバ(♀)
人間は外見じゃないでしょう
「雲雀君。人間は外見じゃない、中身だと思いますよ? だから山本君だって、雲雀君がたとえ、猫だろうと犬だろうと口リでもショタでもおっさんでもおばさんでも男でもなめくじでも好きになってたんだと思います。それを雲雀君、貴方はさっきからおかしいですよ。山本君は貴方が貴方であるならそれに満足しててますし、勿論、気持ち的にも肉体的にも愛してるんだと思います! 更に言うなれば、雲雀君。人間には未来という、素敵でもあり恐怖でもある魅惑の存在である時があるでしょう? ……ですからね。以上のことから、今の雲雀君はそんな悩む必要はないんだと思いますよ?」
「……そんなこと言っても、僕のAカップは変わらないよ」
鰤より(♂)ルキイチ(♀)
深夜2時の月明かり
深夜2時。
とある家の一室では、オレンジの髪の少女が、緑の黒髪を持つ青年と背中合わせにして座っていた。
カーテンを付けていない窓からは、外からの月の白い光が幾度も射し込み、部屋の中を白く浮き立たせる。そのせいか、2人の存在がより曖昧なものに見えた。
オレンジの髪の少女――――一護は、不安そうな面持ちで、背中越しの青年―――ルキアに問いかけた。
「なあ、ルキア」
「何だ、一護」
「……あたしが、ルキアの目の前から消えちゃったら、ルキアはどうする?」
「私は…………そうだな――――」
そこで言葉を切ったルキアは、こつんと自分の膝頭に額をくっつけ、黙り込む。そして、数秒経つと、顔を上げ、静かに言い放った。
「―――――きっと、私はどうもしないだろう。そもそも、何人もの死神や人間が消えることなぞ、私は何度も見てきたのだから」
「……そっか」
ルキアの素っ気無い返事に対して、背中合わせの一護は、向こうに見られないようにしているのか、顔を伏せた。
しかしやがて――――沈んだ、暗い表情のまま顔を上げ、苦笑しつつ、呟く。
「……良かった。ルキアはそのままで居てくれよ? ……たとえ、あたしが変わっても」
「ふん、私が変わるわけないだろうが。勝手な意見を言うな、一護。…………この―――――」
たわけが、と叱ったルキアの手は、ほんのりと暖かくて。月に照らされている横顔は、とても優しそうで。
(……ああ、だからあたしは戻ってこられる)
ふと、一護は月へと手を翳した―――――

小説大会受賞作品
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