二次創作小説(新・総合)

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とある彼らの日常日和SP
日時: 2025/05/25 16:15
名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)

初めまして、こんにちは。そしてお久しぶりの方はお久しぶりです。元ユリカこと夢見草と申します。改めて小説カキコでクロスオーバー・日常系二次創作小説を書かせて頂くことになりました。何かと至らないところは多いですが、どうぞよろしくお願いします。



<注意>
・このスレッドは「二次創作・クロスオーバー」を中心にしています。
・作品はスマブラ・ぷよぷよ・ダンガンロンパ・ポップンミュージック・オリジナルキャラクター…など様々です。またキャラクターによっては出番数や扱いに差があります、あらかじめご了承ください。
・二次創作ならではの「オリジナル設定」がかなりありますので注意して下さい(一部のキャラクターの不憫設定化、ギャグとカオス大好物組化、「裸族」化など)。また各キャラクターの設定や世界観は随時更新していきます。
・CP要素(男女カップリング/NL)があります。苦手な方は注意して下さい。
・小説の感想などの書き込みは歓迎します。ただし内容とあまり関係ないレスや誹謗中傷、他の人が見て気分を害する書き込みはしないで下さい。
・コラボの依頼やキャラクターの貸し出し・提供などは歓迎します。その時はコメントでお知らせ下さい。ただし、誹謗中傷や他の読者の迷惑となる行為や書き込みなどは絶対にやめて下さい。
・不定期更新です。あらかじめご了承下さい。



最終更新日:5月25日



<目次>
【世界観】
・ご挨拶 >>1
・おおまかな世界観の設定 >>211 
・各キャラクターイメージボイス集一覧 >>88
・簡易的なキャラ分類表 >>269 

【簡易的なキャラ設定】(随時追加&更新予定)
・矢島、真理子、美園、凛音、奏 >>139-140
・ロッシュ、ミシェル、フレドリカ、ケン >>185
・ニコラス、サイモン、マリー >>186
・ラクーナ、アーサー、ルナ >>187
・宮藤、坂本、バルクホルン、サーニャ >>212 
・音也、真斗、那月 >>270 
・トキヤ、レン、翔 >>271 
・セシル、嶺二、蘭丸 >>272 
・藍、カミュ >>273
・苗木、日向、霧切 >>387
・七海、十神、狛枝 >>388



【短編】
・パシフィカ・リベンジ >>122-123
・SP組紹介!(キャラ紹介あり) >>190-202
・春日差す 藤の裏葉の うらとけて >>216-221 
・バレンタイン・トロイメライ >>421-423


【長編】
「アイドルロンパ」(ダンガンロンパパロ)
・プロローグ&Chapter1 >>240-247 
・Chapter2 >>253-262 
・Chapter3 >>277-286
・Chapter4 >>293-303 
・Chapter5&エピローグ >>310-315


「ポプって料理対決!」
・ポプって料理対決~どうあがいても、絶望~(準備編) >>7-15
・嫌な予感しかしない試食その1 >>25-31
・嫌な予感しかしない試食その2 >>39-45
・嫌な予感しかしない試食その3 >>55-61
・嫌な予感しかしない試食その4 >>71-78
・嫌な予感しかしない試食その5 >>89-97
・嫌な予感しかしない試食その6 >>107-114
・それなりに平和な結果発表 >>130-136
・修羅場の先は阿鼻叫喚 >>145-153
・オシオキとフィナーレ! >>161-173
 


「チームで料理対決!!」
・チームで料理対決!!(準備編)          >>322-340
・チームで料理対決!!その1(1番~4番)     >>347-358
・チームで料理対決!!その2(5番~8番)    >>368-378
・チームで料理対決!!その3(9番) >>389-395
・チームで料理対決!!その4(10番~12番) >>404-415
・チームで料理対決!!その5(13番)    >>430-439
・チームで料理対決!!その6(14番~16番) >>448-461
・結果発表(前編)     >>470-489
・結果発表(後編)     >>491-505
・残りのオシオキとフィナーレ >>508-514



「テストネタ おかわりっ!」
・1時間目      >>517-527
・2時間目      >>533-542
・3時間目      >>552-562



「それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA」
・導入編 >>567-573
・準備編 >>574-590(NEW!!)




【夢見草版裸族による裸族のための裸族講座】
・裸族講座1 >>226-232 



<タグ>
クロスオーバー ギャグ カオス キャラ崩壊要注意・オリジナル設定あり スマブラ ぷよぷよ ダンガンロンパ 世界樹の迷宮 ストライクウィッチーズ ポップンミュージック うたプリ SB69 QMA オリジナルキャラクター NL  クロスオーバーカップリング コラボあり 

それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.587 )
日時: 2025/05/25 15:57
名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)




コリエンテ「ふーん?……あ。今更だけど、あたしめちゃくちゃ気になってた。そういやオンゲキバトルってどうやって勝ち負けを決めてるの?」
雷那「そうですね…。基本はポイントゲージを元にしたHP制で、相手により大きなダメージを与えてゲージを削れるか。そしてオンゲキ自体が音楽ゲームを元にした競技なので、どれだけリズムに乗りながら自分のところに来た弾幕を正確に打ち抜けるかの判定で決まります。一応、競技設立当初のハンデのようなものとして、人数が多いグループ……『ASTRISM』や『R.B.P』などのトリオグループにはより多くの弾幕が打ち出されるんですが、トップ層のユニットにとってはそれはもうハンデですらないですね。トップ層のユニットだと流れるような大量の弾幕を撃てるのは当たり前ですし、実際、連携して弾幕を撃ち抜いた分のボーナスポイントもあるので」
美園「つまり、音ゲーでよくあるよくある『コンボボーナス』ってことね。この間サーニャちゃんが『公式試合で1vs3で1側が勝利するのは極めて難しい』といったのはこのためかしら。……ね?」
サーニャ「あ……うん、そうなの!それに、単純にチームの人数が多い方が出来ることが増えるわ。コンビネーションアクションとか。例えば弾幕を……かの名大名だった、織田信長さんがやったような『三段撃ち』でリズムに合わせて弾幕を撃ち抜くパフォーマンスを見せたグループもいて!確かそれが、一昨年のシューターフェスでの『R.B.P』の見せた最高評価のパフォーマンスだったわね」
真理子「うんうん。確かあのパフォーマンスが決め手になって、一昨年のシューターフェスの優勝は茜ちゃんたち『R.B.P』になったんだよね〜!」
真斗「なるほど。要約すると正確に己のチームのところにきた弾幕を全て撃てるか、そしてそれによりどれだけ相手にプレッシャーとダメージを与えられるか……という点が勝負を決める焦点になるのか。そして演出の仕様上、どうしても人数の多いトリオユニットの方が有利だと……」



 なにせ夢見草の世界のキャラクターでオンゲキバトルについてある程度以上知っているのがゲーマー少女と元ナイトウィッチのみであり、他の5人は練習試合の前に説明を求める。そのため、ツインカラー・ツインテールのオンゲキプレイヤーは細かにオンゲキバトルの詳細を説明することに。ここでも雷那のようなソロプレイヤーは演出上取れる手段が少なく、公式試合では不利になってしまうことがわかった。



カミュ「…….おい、女の愚民。そういや依頼時に貴様は『希望のオンゲキ』だの、『負のオンゲキ』だの言っていたな?それに奏坂学園に致命的な被害を出した皇城セツナなる不敬な女は『負のオンゲキ』使いだとも。この違いは何だ?貴様は部外者の俺たちにも分かりやすいように説明する義務がある。話せ」
雷那「あ、そうでしたね。これは確かに分かりづらかったわ。ごめんなさい。……オンゲキは確かに音楽ゲームの技術やセンスが色濃い競技なんですが、このオンゲキに使う武器……モデルガンなどを扱うためには心のエネルギーが必要なんです。なぜかというと、奏坂のOGの方が開発したオンゲキ用の武器がそういう仕様になっていて…。『希望のオンゲキ』に使われる『希望のエネルギー』は嬉しい、楽しい、安らぎ、気持ちいい、ときめいている……そんなプラスで前向きな気持ちです。これを武器に乗せて、弾幕に向かって放つんです」
コリエンテ「へー、そうなんだ!いい感じだね!」
雷那「それで、基本的には前述したようなプラスの感情を活かした『希望のオンゲキ』が奏坂のスタンダードでした。……ですが、皇城セツナの使ってきた戦法は今まであたしたちの使っていたものとはまるで異なるものでした。それが彼女の使用する『自分に逆らうもの全てを屠る負のオンゲキ』です」
タロー「え?えーと……、それってどういうこと?」
雷那「えっとね…。彼女は怒りや悲しみ、さらに己に向けられる恐怖や妬みの感情……あらゆる負の感情を利用して、それをオンゲキバトルに活用してきたの。実際に皇城セツナの利用してきた負の感情……特に周囲が皇城セツナに対して向ける恐怖や怒り、不満の感情は非常に強いパワーを持ったもので、『R.B.P』をはじめとする有力オンゲキグループの皆さんも敵わなかったわ……」
カミュ「……ふむ。つまり、このオンゲキバトルにおいて歓喜や安堵の感情などよりも、憤怒や哀愁などの感情の方が攻撃力が高いということになるのか?しかしこの理屈だと、今まで次期理事候補と言われてきた珠洲島有栖ら、及び他の生徒会の愚民どもなどの、トップ層のオンゲキプレイヤーたちの掲げてきたものが無駄になりかねないが……?」
雷那「……で、でも!負の感情はパワーが強い分、プレイヤー側のコントロールが効かなくて扱うのはとても難しいと言われているの!実際に昔、相手選手に負の感情を利用したオンゲキのせいで過剰なケガを負わせてしまって問題に発展した例もあるわ!その危険性から、今まで奏坂のみんなは安全な希望のオンゲキをメインにしようね、ということになっていたんだけど……」
コリエンテ「はえ〜…。そんな事情もあって、皇城セツナは『今までの奏坂学園の全てを壊しにきた』ってことかぁ〜……;」
タロー「もしセツナって人が奏坂のリーダーになっちゃったら、奏坂の雰囲気だけじゃなくて、みんなのやってきたオンゲキが今までとは全く違うものになっちゃうかもしれないんだね……」



 ここで伯爵アイドルの提示した疑問から、改めて「希望のオンゲキ」とオンゲキの違いについても説明された。
 希望のオンゲキはプラスの感情を活かした、出力も安定している危険性の少ない華やかなエネルギー。現在の奏坂学園のオンゲキパフォーマンスの主流派だ。一方で負のオンゲキはマイナスの感情を利用しており、コントロールが難しく暴走の危険があるものの、出力そのものは希望のエネルギーよりもより高いということだった。そして皇城セツナは「己に向けられる負の感情」をも利用して、有栖ら有力プレイヤーたちを次々に屠っていったのだという。



雷那「……と。皆さん。これでオンゲキの公式試合のルールについて、ある程度は分かりましたか?」
美園「ええ、分かったわ」
雷那「迅、アンタ、少しオンゲキのルールは分かるでしょ。簡単でいいから審判役をお願い。あたしは着替えてくるから」
迅「お、おう……。人遣いが荒いことで」



 10分後、己のシュータードレスに着替えた雷那が登場した。彼女のシュータードレスはサバゲーをプレイしていた過去からか、迷彩柄の軍服をモチーフにしたものであり、少女らしい華やかさや可愛らしさというよりかは、クールな印象が引き立つものだった。オンゲキでも使用可能なライトボウガンを持ち、練習着姿の「マリーニャ」と対峙する雷那。こうして、彼女たちの「練習試合」が始まったのだが……。





BGM:破滅の純情(「マクロス△」より)




雷那「……ッ!」





サーニャ「……!!」
真理子「!?」



パシフィカの5人「はあっ!?」
迅「ら、雷那……!?」



 夕立雷那が繰り出したのは、先ほど自分が語っていた「コントロールは難しいが出力は非常に高い」、「負のエネルギーによる弾幕」だったのだ!?





それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA ( No.588 )
日時: 2025/05/25 16:25
名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)

雷那「……ッ!!」





 激しいBGMに乗せリズム良く、高出力の負のエネルギーをゲーマー少女と元ナイトウィッチにひたすら撃ち込むツインカラー・ツインテールの少女。目の前の相手の態度が急変したことによる動揺もあるからか、「マリーニャ」コンビは彼女の織りなす弾幕を避けられずに数発食らってしまう!



サーニャ「……っ!」
真理子「うぐっ!?」



タロー「あばばばばば……」
真斗「おい、緋桐…!一体これは、どういうことだ…!?」
迅「し、知りません!俺は何も知りません!!…雷那、一体、どうして……!?」
美園「迅くん!今すぐ練習試合を中止させなさい!!これじゃもう練習どころじゃないわよ!!」
迅「はい、はい!!……落ち着け、雷那!!今すぐ止まれ!!」
雷那「……、これで……ッ!!」



 パートナーの声は彼女に届かず。ツインカラー・ツインテールの少女は弾幕を食らって体勢を崩した真理子とサーニャに向かって、より強い攻撃を放とうとする。たとえ熟練の音楽ゲームプレイヤーでも、いきなり目の前に出されたらタイミングよく反応するのが難しい、長いトリル(音ゲーの長押しのところ)と多量の弾幕を放とうとしたツインカラー・ツインテールの少女だったが……。





コリエンテ「『ユニコーンブルー!!』」
カミュ「『Melting of Snow』!!」





 外野の攻撃が彼女を阻んだ。スイマーギタリストが愛用しているギターの第2形態であるシャワー型の武器『シークレットドロップ』で彼女へ水を放ち、ツインカラー・ツインテールの少女の周囲は水浸しに。そしてその水が顔面に当たったことで雷那は一瞬怯む。間髪入れずに伯爵アイドルがレイピア型武器「コンジェラシオン」でコリエンテの放った水に反応する氷属性の攻撃を放ち、雷那の足場はあっという間に凍り付いた。急に足元が氷の足場となったことで雷那はバランスが取れなくなり、そのまま彼女は大きく体勢を崩して転ぶ。その結果として雷那が放ったトリルと多量の弾幕は「マリーニャ」へ直撃する前にかき消えた。
 雷那の動きと攻撃が完全に止まったことを確認して、和風アイドルと旋律紡ぎし少女はゲーマー少女と元ナイトウィッチの元へ慌てて駆け寄る。サーファードラマーはアワアワと狼狽ながらも、先ほどからいきなり豹変した少女を見つめている。そして雷那の課外活動のパートナーである見習いDJの少年はパートナーが突然起こした出来事に焦りと困惑を隠せないながらも、座り込む雷那の元へ静かに歩みを進めた。



タロー「ね、ねえ、雷那ちゃん。何でさっき、あんな攻撃をしたの……?」
美園「あんた…。今、一体何をしたか分かっているの!?」
真斗「もし当たりどころが悪ければ、リトヴャクと田名部は大怪我を負うところだったんだぞ……!?」
雷那「……」



コリエンテ「……あのさ。ホントにコレ、一体どういうこと?」
カミュ「……貴様、この行いは完全にレッドカードだ。愚かにも程がある。もはや愚民未満の振る舞いだぞ」
迅「……なあ、雷那。教えてくれよ。何で、こんなことをしたんだよ……?」
雷那「…………」



雷那「…………どうして、」
真理子「え?」





雷那「どうして…!あなたたち2人は、あっという間に、あたしの手に入れられなかったものを手に入れられたの……!?」
サーニャ以外の夢見草サイドのキャラ「……?」
迅「は……?」
サーニャ「!」





 震えながらツインカラー・ツインテールの少女が絞り出した言葉はそれだった。思わぬ言葉に迅を含む場にいたほぼ全員が呆気に取られるが、元ナイトウィッチだけは彼女の言いたかったことを何となく予測していたようで、彼女に目線を合わせ、雷那の問いかけを促した。



サーニャ「……雷那ちゃんの、欲しかったものって、何?」
雷那「2人は、あたしの欲しかったものを、全部持ってるのよ……!」
真理子「全部?」
雷那「……あなたたち2人は、パートナー同士のコンビネーションも、体力も、身体能力も、音楽センスも。オンゲキに必要な才能を全て持ち合わせている逸材よ」
タロー「いつざい……?」
雷那「……あなたたちは、本当に恵まれているのよ。例えオンゲキ推進校と言われていても、奏坂はオンゲキに対して興味のない生徒も多い。1年の頃のあたしは一緒にオンゲキをやるパートナーや仲間を探したけど、オンゲキをやりたいという人には誰にも巡り会えなかったわ」
サーニャ「そうだったんだ……」
雷那「それに、例えオンゲキに興味を持っていて、運良く仲間を見つけられたとしても、オンゲキは才能……プレイヤーセンスもある程度は求められる競技。体力と運動神経。弾幕を撃ち抜くための動体視力やリズム感、音楽センスとかね。たとえ奏坂の有名オンゲキプレイヤーに憧れて入学しても、上手に体力作りができなかったり、リズムに合わせて弾幕に反応できずに上手く動けなくてオンゲキを辞めていく新入生も多くいるわ。もちろん、最初はウマが合っていたけどそれらの焦りが原因で解散したりケンカ別れしてしまうユニットもある……」
サーニャ「そうなのね。カラフルな弾幕とBGMとダンスで華やかに見えても、実際は体力勝負で厳しい世界でもある……」
雷那「……それらの関門を乗り越えてきたとしても。先輩であるオンゲキのトッププレイヤーたちが高く厚い壁となって立ち塞がるわ。特に近年は『オンゲキ黄金期』と言われるくらいに有力グループや選手たちが多く集まっていた世代。『ASTRISM』や「R.B.P」をはじめ、ヒメ先輩たちの『7DAYS HOLYDAYS』や『⊿TRiEDGE(トライエッジ)』や『Bitter Fraver』。中等部の子たちの有力グループ『マーチングポケッツ』。決勝グループの常連は大体彼女たち。新人オンゲキプレイヤーやオンゲキユニットが大会で結果を残すどころか、1回戦の突破すら非常に厳しいオンゲキ大戦争時代よ……」
サーニャ「うん…。あなた、確かに言っていたわね。……その有力グループの中でも、よりによって最上位のトップ層のユニット。さらに多くのファンの人々から支持を得ているアイドル的存在・プリメラである『ASTRISM』と今年のシューターフェスの1回戦で当たってしまったって」
雷那「……もし、もしも。あたしにあかりにとっての柚子や葵。有栖さんにとっての茜先輩や楓先輩。ヒメ先輩にとっての小星先輩。……そして、あなたにとっての真理子さん。もし、そんな人たちが、その人たちのような『オンゲキを一緒にやる同志』があたしの元にいれば!あたしはもしかしたら、今年のシューターフェスで初戦負けしなかったかもしれない……!それか、皇城セツナのような独りでも戦えるような絶対的な力があったのなら……!!」



 ここで、今までずっと俯いていた雷那が顔を上げた。彼女の瞳には大量の涙が溜まっており、精神的に追い詰められているであろうことが窺えた。



迅「で、でも雷那!お前、シューターフェスのそれは!負けたことは、もう吹っ切れたって、前に言ってただろ…!?それで今後はオンゲキをやめて、俺との音楽活動をメインでやるって……!」
雷那「……アンタ、策士ぶってるくせに意外と単純なのね。数ヶ月やそこいらでそう簡単に振り切れるわけ、ないじゃない……」
迅「……っ!」
真斗「…………夕立。もしやお前が羨んでいたのは、そして焦っているのは、リトヴャクと田名部の絆とコンビネーション。そして彼女たちの音楽センスをはじめとしたオンゲキに必要な素質だけではないな?」
雷那「……」



 先ほどまでの怒りを隠しきれていなかった反応から一転、和風アイドルから静かに問いかけられた言葉に、ツインカラー・ツインテールの少女は反応する。



雷那「……あたしは、オンゲキで、あたしならではの存在証明がしたかったの」
コリエンテ「『存在証明』?」
雷那「あかりたちでも、有栖さんでも、ヒメ先輩でも、他の有力グループの人たちでも。ましてや、皇城セツナでもない。彼女たちでは絶対にできない、『あたし=夕立雷那』にしかできないことを。コレしかないって定めた、あたしの特技やセンスを活かせる、大好きなオンゲキでやりたかった……」
美園「…………」
雷那「……でも、現実はこのザマよ。あたしと一緒にオンゲキをやってくれる同志は誰も現れない。たとえ1人で頑張ったって、あかりたちみたいに才能もチームワークもある有力グループには絶対に敵わない。そもそも個人の実力だって、皇城セツナみたいな圧倒的な実力者には及ばなかった。……茜先輩たちだって今頃、あたしみたいなひとりでずっとパッとしないやつより、元から才気あるサーニャさんたちみたいな子たちに注目した方がって、思ってるはずよ……!!」
カミュ「……おい。そこの愚民……緋桐迅は貴様の言う『同志』とは違うというのか?それに貴様の存在証明は、あくまでオンゲキ競技でないといけないのか?」
雷那「もちろん、迅は、あたしにとって大切な存在です。魑魅魍魎の課外活動を共に戦う、大事なパートナー。……でも、迅とは一緒にオンゲキのフィールドには、立てないじゃないですか!迅はオンゲキプレイヤーじゃない!真理子さんにとってのサーニャさんでも、サーニャさんにとっての真理子さんでもないじゃないですか!!それなら、オンゲキのステージであたしが独りぼっちのままなのは変わらない!!あたしと一緒に一緒に音楽に乗ってくれる人はいない!!あたしの撃つ弾幕に合わせてくれる人は誰もいない!!小さな練習試合でも、シューターフェスのような大きな大会でも、喜びや悲しみを分け合うことはできない……!!」
夢見草のキャラクター「…………」
雷那「真理子さんやサーニャさんは、それに『パシフィカ』の皆さんも。例えオンゲキやバンド活動でなくても、どこでも素晴らしい『存在証明』ができると思う…。あなたたちならではの輝きで。……でも、あたしはどんな風に足掻いたってそんな風には、絶対になれやしないんだ……。ずっと独りぼっちの、オンゲキプレイヤー未満の何かのままで、消えていくんだ…………」





 ツインカラー・ツインテールの少女は最後はもはや会話というより、己に対して刻むかのように言葉を吐き、顔を覆いながら地下フロアのダンスホールを、クロスオーバーギルドを飛び出していってしまった……。それはまるで、彼女自身が「夕立雷那」に呪いを掛けるかのようだった……。



迅「……師匠、サーニャさん、皆さん。ご迷惑をお掛けして本当にごめんなさい。これはパートナーの精神状態を把握しきれなかった俺の失態です……」
真理子「……とりあえず、今はいいから。当日までにちゃんとさせな」
カミュ「余計な御託はいい。さっさとあ奴を追いかけんか、愚民」
タロー「雷那ちゃん、全然前を見ないで出ていったでしょ?あのまま事故に遭っちゃうよ!」
迅「そ、そうですね…!すみません、土産はここに置いておきます!皆さん、本日は本当に申し訳ありませんでした!!」



 DJ見習いの少年は一堂に向かって深く一礼したのち、土産物のカレーパンとクロックムッシュの入った袋をテーブルに置き、代わりに雷那が置き忘れた荷物を掴み、慌ててパートナーを追い掛けていった……。ゲストキャラクターたちが立ち去ったことで、ダンスホールは先ほどまでとは違う、不気味なまでの静寂に包まれる。




それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.589 )
日時: 2025/05/25 16:04
名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)




美園「真理子。サーニャちゃんも、大丈夫?」
真斗「田名部、リトヴャク……。その、平気か?」
真理子「へーき。…………はぁ。まさか、ああ思われていたとはね」
サーニャ「…………ごめんね、真理子ちゃん。みんな」
真理子「ん?何が?」
サーニャ「……私、雷那ちゃんの様子が何となくおかしいことには何となく気付いていたんだ」
コリエンテ「ええっ!?」
カミュ「おい、いつからだ。あの愚民の様子が変化したのは」
サーニャ「ちょうど、数週間前くらいからです。彼女の……私たちを見る視線が、少し変わったような気がしたのは」
タロー「ええっ…?な、何で……?」



 サーファードラマーの呆然とした呟きに重ねるように、元ナイトウィッチは己の見解をはっきりと語り出した。



サーニャ「……….恐らく、雷那ちゃんは私と真理子ちゃんに強いコンプレックスを持ったんだと思います。自分のメインフィールドであるはずのオンゲキなのに、元は部外者でオンゲキど素人の私たちが急激にプレイスキルを上達させたことで混乱したのと、それと同時に私たちへ強い嫉妬心を持ったんじゃないかと思います。『どうしてたったひと月で、こんなにオンゲキスキルが上達したのか』って……。それが、さっき彼女が言っていた『オンゲキの才能』ってことなんじゃないかしら」
タロー「才能…。嫉妬心……」
コリエンテ「そういえば、確かさっき言ってたよね?オンゲキはやろうと思ってパッとできるものじゃないって。オンゲキをやるための体力とか、動体視力とか、音感とか……。素人だったはずなのに、最初からそれができてたから、何で!?って思ったのかな?」
サーニャ「うん。あと、練習の最初からツインユニットのような形になった私たちや、あかりちゃんたちや有栖ちゃんたちと違って、一緒にオンゲキユニットを組む仲間たちを見つけることができなかったのも、ずっと雷那ちゃんのストレスになっていたんだと思う。……そして、その上で、奏坂学園を蹂躙しにやって来た皇城セツナの実力の目の当たりにしてしまったこと。そして彼女の『負のオンゲキ』を見てしまったことが、彼女の心の平穏や均一が崩れる決定的な原因になった……」
真斗「なるほど…。もともとソロプレイヤーとしてはある程度の結果を残していた夕立だったが、本当はひとりではなく、仲間と共に課外活動を楽しみたかった。だがそれを押し殺し、『ひとりでもそれなりに結果を残せたから』『もうすぐオンゲキはやめるから』と自分の中で折り合いを付けようと思っていたが…。それと同時期に皇城セツナから同じソロプレイヤーとしても格の違いを見せつけられてしまったから……」
カミュ「かの生徒会役員の実姉……皇城セツナは人格的には有り余る問題を抱えているようだが、あいつが慕っていた生徒会のトリオグループや指導役の女のグループをはじめとした、多くの実力者を屠っていった。……あ奴も馬鹿ではない。『本当の実力者なら自分の実力程度では終わらない。このようなことができる』と認識した愚民の女は絶望したのだな」
美園「彼女には1番の理解者ともいっていい迅くんがいたけど、彼はあくまでシンセサイザーやDJミュージック、DTMの専門であって、オンゲキはやったことがないし、出来ない。だからあの子は『迅くんとは一緒にステージに立つことができない』と言った。……それで、この間の真理子の話を参考にするなら、恐らく他にはオンゲキ推進校があるわけでもない。オンゲキは奏坂学園のみを中心に行われている。それなら、外部の友人や相談相手も出来ない……」
真理子「そうだね。それに、多分雷那は今の自分の悩みを誰にも相談できてなかったんだろうね。……今の奏坂学園は皇城セツナの襲来のせいでめちゃくちゃ。尊敬していて大好きな茜ちゃんたちも皇城セツナの試合の敗北の動揺と、それで大混乱している生徒たちをまとめなきゃいけないから必要以上に迷惑は掛けられない。他の有力プレイヤーの生徒たちも下手に声を掛けられる状態じゃないし、雷那の他の友だちは別にオンゲキプレイヤーじゃないから、オンゲキに関する専門的な話や相談はできない。ワンチャンあるとしたら迅くんだったけど……。さっきの発言的にシューターフェスで負けた悔しさは話していたとしても、それをずっと引きずってたことは言えなかったんだろうね」



 今までWSTメンバー…真理子とサーニャに対して協力的だった雷那が急に豹変した理由が、同じソロプレイヤーである皇城セツナとの実力差を認識してしまったことと、元はオンゲキ素人だったはずの真理子とサーニャが予想外の躍進を見せたことを目撃してしまったこと。これらの要因が重なったことにより、本人が以前から抱えていた心の問題が爆発してしまったことだと共有した7人。



タロー「そ、それで、真理子ちゃんたちはこれからどうするんだよ?」
コリエンテ「そうだよね…。真理子、サーニャ。今回の依頼を下りるの?」
カミュ「愚民、ああ、緋桐迅はまだしも…。愚民の女は契約者である俺たちに対して無礼を働いた。貴様らの処罰感情次第では契約違反で奴にペナルティを与えることも、考える必要があるが」
美園「野外フェスは私たちが盛り上げる。仮に真理子やサーニャちゃんたちが登板せずとも、私たちが必ず成功させる。……だから、2人が必ずしも出るべき案件ではなくなったのよ」
真斗「田名部。リトヴャク。……どう、するんだ?」





真理子「え?依頼?下りないよ?」
サーニャ「私も真理子ちゃんも、今回の依頼は最後までやり遂げるつもりよ。それに雷那ちゃんに対するペナルティも必要ありません」
パシフィカの5人「へ?」





 「マリーニャ」の2人は今回の依頼を下りることも、雷那に対してペナルティを与えることも望まなかった。これに「パシフィカ」の5人は全員困惑するが……。



真理子「みんな混乱してるね〜?……んじゃ、あたしたちの考えを話そっか?ね?」
サーニャ「うん!……まずひとつ目の理由。これは私たちのオンゲキの練習を監督してくれた咲姫ちゃんやあかりちゃんたち、シュータードレスの被服会社について教えてくれた楓ちゃんたちに対して申し訳ないこと。仮にトラブルがあったとしても、5日前でいきなり『イベントに出ることはやめます』なんて言う方が失礼だし、彼女たちも混乱してしまうでしょう?」
コリエンテ「あ、そっか。今回は雷那の他にも奏坂の協力者の子がいるんだっけ」
タロー「たしかに、約束をドタキャンする方が迷惑だよね……」
真斗「そしてシュータードレス…オンゲキの専用の衣装は、仮にその者たちの伝で格安で用意できるとしても費用が掛かるのだろう?その上で唐突にイベントへの登板を中止するとなると…。動いてくれた生徒会のものたちに対して不義理を働くことになるだろうな……」
真理子「そういうこと。次にふたつ目!1回限りの付き合いならまだしも、今までにもそれなり交流があるキャラに対して変な接し方をしたら、あっちのキャラとのやり取りにも影響が出るじゃん。交流がこれきりになるかもしれないよ?クロスオーバーワールドの発展的にもそれはよくないじゃん。……それに雷那自身に負の感情の自覚や罪悪感はあるっぽいし、これ以上追い詰めるのはあんまりよくない判断なんじゃないの?あたしたちはただのギルドメンバー。別に警察でも裁判官でもないんだからさ」
カミュ「…………それでも、甘いと思うが?契約違反に連なる行動を、奴がしたのは事実だろう。」
真理子「まー、さすがにちょっと言いたいことはあるから、それは言わせてもらう予定だけどね」
美園「ふぅん。……それで、向こうが話を聞いてくれるかどうかの策はあるの?」
真理子「あるよ!…あー、上手くいくかは多分1/3くらいだけど」
美園「1/3ってどうなのよ……。それで、理由はまだあるの?」
サーニャ「うん…。最後にひとつ!この依頼は『舞ヶ原の生徒と奏坂の生徒、そして関わる人々の全てにエールを送ること』が目的のはず!だから、七々瀬さんや白奈ちゃん、『R.B.P』などの有力オンゲキグループの子たちはもちろん。そもそも依頼を持ち込んできた迅くんや雷那ちゃんも、この対象者たちのひとりなのよ!」
タロー「……ああっ、そういうことか!!」
コリエンテ「他の学園のみんなだけじゃない!!迅や雷那も元気をもらって、初めて成功ってことだね!誰かひとりでも沈んだままなら、あたしたちの今回の依頼は成功っていえなくなる!!」
カミュ「……ふん。それならなおさらあの状態で女の愚民を放置するのは愚策、ということか」
真理子「うん!それにさっきも言ったけど、もしここの対応を間違ったら、今後色々とやりにくくなる……。ま、終わりよければ全てよしってことで、ここは丸く収めた方がいいでしょ!」
サーニャ「雷那ちゃんのことは私たちが何とかするわ。これは依頼を受けた私たちの責任です。だから、5人はまず自分たちのパフォーマンスと演奏に専念してください。……心配してくれて、ありがとう」
真斗「なるほど、承知した。……頼むぞ、2人とも」
美園「野外フェスのパフォーマンスを成功させて、生徒の皆さんに活力を与える…。私たちの本分は、きちんとこなさないと……」





……

それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA ( No.590 )
日時: 2025/05/25 16:13
名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)

「幕合」

 野外フェス開始まで、あと2日。
 あの出来事から3日後。依頼に参加する彼らは、ギルドの地下フロアで野外フェスに向けての最終調整を行なっていた。ダンスホールで最後のオンゲキのステップの確認を終えたゲーマー少女とナイトウィッチの元へ、これまたバンドの合同演奏の練習を終えた5人がダンスホールへ入室してきた。



真理子「美園!みんなもお疲れ!そっちはどう?」
美園「うん、そうね。まあ順調……といっていいかしら」
真理子「良かった!あとさ、いい加減みんなの担当曲教えてよ!担当曲〜!」
美園「それはダメ。ぜひ当日のお楽しみに?」
真理子「ちえーっ、ケチ!」
美園「そのセリフ、シュータードレスについてずっと黙ってるアンタには言われたくないわよ?」
真理子「へへ〜♪」



 幼馴染2人がそんな気の置けないやり取りをしたあと。集合した彼らは今回の依頼に関する人物について振り返る。まず、手始めにスイマーギタリストが口火を切る。



コリエンテ「ねー、みんな。……今回の依頼さ、関わってる人たち、結構色々と『囚われちゃってる』よね」



 コリエンテが室内にあるカーテンタイプの投影プロジェクトを一気に下ろす。そのスイッチを付けると、プロジェクトに今回の関連人物たちの顔写真が映し出された。その人物たちの中でも、特に「囚われている」者たちを、タローとカミュが小型のライトで照らす。



タロー「……例えば、舞ヶ原高校の関連人物の人たち!昔の『体育館ジャック』で起こった暴動に巻き込まれた萩原七々瀬さんは、そのトラウマのせいで心を閉ざしちゃった…。『Hanamina』のバンドのメンバーになったあとでも必要以上に他の人とは関わろうとしていないみたいだし、俺たちみたいな外部の人間には特に心を許していないみたい。そりゃ七々瀬さんのやられたことからしたら当然だと思うけど、ずっとこのままじゃ、やっぱり悲しいよね……」
カミュ「同じく、舞ヶ原高校の愚民の1人。『イロドリミドリ』の月鈴白奈。奴も類い稀な才能と非常に高い実力を持つ姉との周囲の比較やそれによる失望感から、自ら作り上げた姉の幻影に囚われた。奴が真摯に音楽に取り組み、相応の実力を持ち、そして音楽を愛しているのは真実のようだが…。かつてのトラウマとこの幻影のせいで奴は研鑽を積んでも『月鈴白奈ならではの音楽面の飛躍』にまで至っていない。…箱部なる、小仏凪らといった信頼できる人物が周囲にいてもなお、己が作り上げた姉の幻影を打破するまでには至らなかった」



 彼らの言葉に続き、他のギルドメンバーたちも、投影プロジェクトに向けて小型のライトを照らす。



美園「姉、といえば……、奏坂学園の珠洲島有栖さん。彼女は実のお姉さんである皇城セツナのせいで、今、愛している学園を真正面から壊されるかもしれない大ピンチに追い込まれている。なぜ皇城セツナが奏坂学園の改革を急進しようとしているのかは分からないけれど。それには彼女なりの考えや思うことがあるのかもしれないけれど。……それでも、現場の生徒たちのことを一切何も知らないで、自分勝手に進めようとしているこの横暴は決して許されるべきことではないわ。例えいくら自分が優れているからって、自分の力だけで全てができると思わないで欲しい。ましてや実妹に対してあれだけの暴言……。幸い彼女は逢坂茜さんや久城楓さんらといった信頼できる人たちや協力してくれる人たちのおかげで孤独ではないし、この中ではまだ冷静さを保っていられているようだけど……。ともかく、『R.B.P』は皇城セツナに真っ先に敗北した以上、今回の総選挙に対するフォローは必要といえるでしょう」
サーニャ「……それで、先日の夕立雷那ちゃん。彼女は有栖ちゃんたちの生徒会オンゲキグループ『R.B.P』に憧れながらも、一緒にオンゲキをやる仲間とは出会えずにずっとソロでオンゲキをやってきた。それこそ星咲あかりちゃんたち『ASTRISM』といったトップクラスの実力を持つユニットとも、1人でそれ相応に張り合えるくらいには。……だけど、彼女の心の中ではあかりちゃんたちに対する嫉妬心や己への孤独からなる寂しさや怒り、悲しみが常に渦巻いていた。『何故自分だけが、オンゲキをやる仲間、環境に恵まれなかったんだ』……そんな感情がね。それは迅くんという一緒に課外活動に取り組むパートナーに巡り会えたとしても変わらなかった。いえ、変われなかった。……そして1年弱もの時間、独りで抱えていた思いが、皇城セツナによる奏坂学園の侵寇と、オンゲキど素人の私たち、サーニャ・V・リトヴャクと田名部真理子を見たことで爆発してしまった……」
真斗「……だから、夕立雷那は奏坂学園が提唱してきた前向きな感情を元にした『希望のオンゲキ』ではなくマイナス感情を元にした、『負のオンゲキ』に覚醒した。なにせ彼女が深層心理や己の心のうちの根底で強く抱いていたものが『嫉妬心、憤怒、寂寥』だからな…。こうなるのは当然だ。先日、彼女がいきなりリトヴャクや田名部にオンゲキを撃ち込んできた時は流石に衝撃や怒りが先に浮かんでしまった。……だが夕立も今まで長らく、この感情の行き先をどこに、誰に向けかねるか。そしてどう昇華するかで悩んできたのだろう。何より伊吹が前述した通り、今までの負のオンゲキの見本は奏坂学園の破壊者・皇城セツナによる全てを蹂躙するもの。仮に彼女がオンゲキのプレイスタイルを変更するとして、今後負のオンゲキを使い続けて、自分がそのような怪物になってしまわないかと恐れる思いもあるのかもしれんな……」



 このように今回の依頼の関連人物を振り返ったところで、一同は改めて振り返る。



真理子「今回の関係者たちにはそれぞれ内心に抱える問題や事情がある。でも、それが今回の野外フェスのライブだけで解決できる……とは、みんな思ってないよね?」
カミュ「わざわざ愚問を言うな。仮にそれだけで解決する問題なら、誰しも苦労はしない。」
コリエンテ「……でもでも!きっと、『きっかけ』にはできるよね!?」
美園「そうね……。己の悩みを振り返り、解決しようとするきっかけになら、出来るはず」
タロー「だよね、だよね!俺たち、みんなを勇気付けることだったら出来るよね!よーし!!」
サーニャ「そうだね!......部外者の私たちがこう言うのは勝手だと思うけど。それでも、少しでもお手伝いができるなら、私は助けたいな...。ずっと囚われ続けるのは苦しいもの」
真斗「……ああ、そうだな。今回は俺たちで彼らの、そして観客の皆の解放の手助けになるパフォーマンスをしよう!」
真理子「そうと決まれば!野外フェス、全力でやるぞー!!!!!」
コリエンテ&タロー「おー!!」
次回。野外フェス、遂にオンステージ。





今回はここまでです。 ここまでで何か感想があるようでしたら、是非コメントからどうぞ。





感想OK

Re: とある彼らの日常日和SP ( No.591 )
日時: 2025/05/25 20:36
名前: 夢見草(元ユリカ) ◆AGji55qubQ (ID: vnwOaJ75)

てすと1234


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