二次創作小説(新・総合)
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- とある彼らの日常日和SP
- 日時: 2025/05/25 16:15
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
初めまして、こんにちは。そしてお久しぶりの方はお久しぶりです。元ユリカこと夢見草と申します。改めて小説カキコでクロスオーバー・日常系二次創作小説を書かせて頂くことになりました。何かと至らないところは多いですが、どうぞよろしくお願いします。
<注意>
・このスレッドは「二次創作・クロスオーバー」を中心にしています。
・作品はスマブラ・ぷよぷよ・ダンガンロンパ・ポップンミュージック・オリジナルキャラクター…など様々です。またキャラクターによっては出番数や扱いに差があります、あらかじめご了承ください。
・二次創作ならではの「オリジナル設定」がかなりありますので注意して下さい(一部のキャラクターの不憫設定化、ギャグとカオス大好物組化、「裸族」化など)。また各キャラクターの設定や世界観は随時更新していきます。
・CP要素(男女カップリング/NL)があります。苦手な方は注意して下さい。
・小説の感想などの書き込みは歓迎します。ただし内容とあまり関係ないレスや誹謗中傷、他の人が見て気分を害する書き込みはしないで下さい。
・コラボの依頼やキャラクターの貸し出し・提供などは歓迎します。その時はコメントでお知らせ下さい。ただし、誹謗中傷や他の読者の迷惑となる行為や書き込みなどは絶対にやめて下さい。
・不定期更新です。あらかじめご了承下さい。
最終更新日:5月25日
<目次>
【世界観】
・ご挨拶 >>1
・おおまかな世界観の設定 >>211
・各キャラクターイメージボイス集一覧 >>88
・簡易的なキャラ分類表 >>269
【簡易的なキャラ設定】(随時追加&更新予定)
・矢島、真理子、美園、凛音、奏 >>139-140
・ロッシュ、ミシェル、フレドリカ、ケン >>185
・ニコラス、サイモン、マリー >>186
・ラクーナ、アーサー、ルナ >>187
・宮藤、坂本、バルクホルン、サーニャ >>212
・音也、真斗、那月 >>270
・トキヤ、レン、翔 >>271
・セシル、嶺二、蘭丸 >>272
・藍、カミュ >>273
・苗木、日向、霧切 >>387
・七海、十神、狛枝 >>388
【短編】
・パシフィカ・リベンジ >>122-123
・SP組紹介!(キャラ紹介あり) >>190-202
・春日差す 藤の裏葉の うらとけて >>216-221
・バレンタイン・トロイメライ >>421-423
【長編】
「アイドルロンパ」(ダンガンロンパパロ)
・プロローグ&Chapter1 >>240-247
・Chapter2 >>253-262
・Chapter3 >>277-286
・Chapter4 >>293-303
・Chapter5&エピローグ >>310-315
「ポプって料理対決!」
・ポプって料理対決~どうあがいても、絶望~(準備編) >>7-15
・嫌な予感しかしない試食その1 >>25-31
・嫌な予感しかしない試食その2 >>39-45
・嫌な予感しかしない試食その3 >>55-61
・嫌な予感しかしない試食その4 >>71-78
・嫌な予感しかしない試食その5 >>89-97
・嫌な予感しかしない試食その6 >>107-114
・それなりに平和な結果発表 >>130-136
・修羅場の先は阿鼻叫喚 >>145-153
・オシオキとフィナーレ! >>161-173
「チームで料理対決!!」
・チームで料理対決!!(準備編) >>322-340
・チームで料理対決!!その1(1番~4番) >>347-358
・チームで料理対決!!その2(5番~8番) >>368-378
・チームで料理対決!!その3(9番) >>389-395
・チームで料理対決!!その4(10番~12番) >>404-415
・チームで料理対決!!その5(13番) >>430-439
・チームで料理対決!!その6(14番~16番) >>448-461
・結果発表(前編) >>470-489
・結果発表(後編) >>491-505
・残りのオシオキとフィナーレ >>508-514
「テストネタ おかわりっ!」
・1時間目 >>517-527
・2時間目 >>533-542
・3時間目 >>552-562
「それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA」
・導入編 >>567-573
・準備編 >>574-590(NEW!!)
【夢見草版裸族による裸族のための裸族講座】
・裸族講座1 >>226-232
<タグ>
クロスオーバー ギャグ カオス キャラ崩壊要注意・オリジナル設定あり スマブラ ぷよぷよ ダンガンロンパ 世界樹の迷宮 ストライクウィッチーズ ポップンミュージック うたプリ SB69 QMA オリジナルキャラクター NL クロスオーバーカップリング コラボあり
- アイドルロンパ Chapter3 ( No.282 )
- 日時: 2021/05/30 16:02
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
3階から1階へ素早く移動出来た理由は?
真斗「おい、シアン、『抜け道』とは…」
シアン「カミュちゃんは藍ちゃんが折り紙を取りに行った少し後に美術室から退出して、3階から1階に繋がる抜け道を利用して大型倉庫内に藍ちゃんより早く移動した。そういえば、カミュちゃんがお手洗いに行ったのって藍ちゃんが退室したほんの少しあとだったよね?…そこで藍ちゃんの首を締めて彼を殺したあと、急いで自分以外のアイドルみんなにも藍ちゃんの殺害可能なんじゃないかと目が向くようにカモフラージュも兼ねてサユリちゃんの情報を利用したトリックで糸を使って部屋を密室状態にしたりコピー用紙やクラフト用紙で満たしたあと、足場を使って上り通気口から素早く脱出、1階から3階へ戻ったのにゃん。こうすれば『部屋の移動には最低往復10分以上は掛かるから自分の犯行は無理だ』と言えるようになる。カミュちゃんが何で抜け道の存在を知っていたのかは知らないけど、3階の探索中に偶然見つけたか…。もしかしたら第2の事件の『動機』の手紙に偶然抜け道の存在が書かれていたのかもしれないにゃん。…もしかしたらカミュちゃんの『動機』もサユリちゃんと同じくらい重いものだったのかもしれないね。メイプルのやることは悪質だから、それくらいは普通にあり得るのにゃん」
凛「確かにあいつの性格やあいつがやることは腐っているから、殺人の動機が出来そうな人へ殺人を起こしやすくするような情報を送り付けることはあり得るわ…!」
サユリ「それに動機のことも…!シアンちゃんや音楽室で話してくれた凛ちゃん、ナカジくんの『動機』はちょっとした秘密や隠しておきたい恥ずかしいこと程度だったけど、私以外のアイドルにもバラされたら他のアイドルの殺害を決意するような爆弾級の『動機』があってもおかしくないわ…!」
那月「でも、もう1度だけいいですかシアンちゃん?何で足場を作る必要があるんですか?ミューちゃんさんは僕よりほんの少し背が低い程度でパワーもあるし、わざわざ上ろうとしなくても手を伸ばして通気口に体を寄せるくらいなら、彼が頑張れば出来るんじゃ…」
シアン「スムーズに通気口へ移動するためにゃん!あの通気口は足場がないと1番体が大きな那月ちゃんでも体を寄せて上るのが厳しい通気口だから、そのままだとモタモタしてたら誰かに見つかる可能性がとっても高くなるにゃん!現に美術室にいなかった翔ちゃんがたまたま1階の大型倉庫の近くのトレーニングルームにいたしね!特に、かく乱用のコピー用紙を準備したあとなら他のみんなにコピー機やコピー用紙が起こす物音から気付かれるかもしれないし、それだと移動時間を誤魔化すためのアリバイトリックが全部無駄になる…!」
那月「!…そう、そうでしたね…!」
サユリ以外のアイドルもコロシアイのきっかけになり得る爆弾級の「動機」を抱えていたこと、メイプルの残酷さから抜け道の存在を前もって彼が知っていた・もしくは知らされていた可能性があると全員が思いつく。シアンの型破りなアイディアがきっかけとなり犯行可能な状況が明かされつつあり顔に冷や汗を浮かばせている伯爵だが、彼はあくまで冷静にシアンに反論した。
カミュ「…お前の提示した、アリバイを無視可能なショートカット可能な抜け道がある可能性は認めよう。だが、この事件の謎はまだ残っているだろう?」
ロージア「!…そうだ、藍を殺した凶器…!」
そう、被害者である藍の命を奪った凶器だ。だがその反論も、シアンの一言によって打ち砕かれることになる。
シアン「…凶器も、多分予想は付いているにゃん。藍ちゃんの命を奪ったのは凛ちゃんの言っていた通り、紐状のものにゃん」
クロウ「まあ、そりゃそうだな。凛の言っていた『藍の首に浮き出ていた跡』はまず『吉川線』だろうし」
シアン「これもサユリちゃんから聞いた話なんだけど、クラフトワークには紐を使った作品もあるんだよね?…サユリちゃん、もう1度知らないみんなのためにも教えてくれる?」
サユリ「え、ええ…。クラフトワークにはいくつかの作品があるのだけど、紐状のものを使った作品も確かにあるの。麻紐を使ったネックレスやアクセサリー、麻紐で編んだトートバッグとかね。初心者でも簡単に出来るのはジュート紐っていう専用の紐を作ったコースターとか…!?」
シアン「あたしは飾りを作っている最中にサユリちゃんから聞いていたから知っていたけど、クラフト作品で使われる材料のひとつに『ジュート紐』っていう専用の麻紐があるのにゃん。それをカギで編んだりして大きなバッグやコースターを作れるんだよね。そういえば、ちょうどクラフト教室でコースターを作っていた子がいたよね?…ちなみにあたしはサユリちゃんと一緒にロゼットっていう飾り、ロージアはビーズでハートとスペードとダイヤとクラブのアクセサリー、凛ちゃんは特製の栞。そして殺された藍ちゃんは初心者用のキットを利用して簡単な刺繍を作っていた…」
アン「待って!待って下さい、シアンちゃん!それって…!?」
シアン「あとカミュちゃん。いつもカミュちゃんが持っている青い綺麗な石の付いているステッキ。あれって石と杖の部分がしっかり繋がっているように見えるけど、本当は石の部分が上手く取れるものなんじゃないの?使用者のカミュちゃんなら自分の持ち歩いているステッキの仕様は分かっているだろうし、もしあたしの言った通りに本当に杖と石の部分が取れるタイプのものなら、その中に藍ちゃんの命を奪ったジュート紐が隠してあってもおかしくないと思うんだけど?」
カミュ「…っ!」
論破!
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter3 ( No.283 )
- 日時: 2021/05/30 16:10
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「滅びゆく祖国」
シアンによって今回の殺人事件のクロと見抜かれた超アイドル級の伯爵は潔くステッキの石部分を取り外し、杖の中からクラフトワークで使用するジュート紐をするすると取り出した。それを机の上に置くと彼は自分の敗北を認めて、藍の殺害に至った動機を口にする。
カミュ「…よく分かったな。俺が美風を殺したと」
那月「そんな…。どうしてなんですか!?ミューちゃんさんは藍ちゃんと仲良しだったじゃないですか!僕はあなたたちがお食事の時に、シンセサイザーやチェロのことで楽しくお話をしているのを聞いていたんですよ…!?」
カミュ「それはな四ノ宮、俺は一刻も早くこの事務所を出たかったからだ。そう、滅びゆく俺の祖国を救うためにな」
真斗「祖国?…待って下さい、カミュさん!それは…!?」
カミュ「聖川、お前は知っていたようだな?そう、俺の祖国『シルクパレス』は北国の小国だ。厳しい自然の中にシルクパレスでさか見ることの出来ない特有の美しさがあり、人々も貴族層から貧しい庶民まで手を取り合って国を支えようとしていた。俺はそのシルクパレスの代表として、祖国の広告塔として働けることを誇りに思っていた」
凛「…立派な、国なのね。でもその国が『滅ぶ』って…!?」
カミュ「第2の事件の小川と同じように俺の『動機』もとんでもない情報が記されていた。元々厳しい自然の北国の小国であるシルクパレスは埋蔵してある資源が少ないが、某大国らから成る国際連合の調査から実は貴重な資源のひとつである『レアメタル』が埋蔵してある可能性が高くなったと報じられたと。そしてその情報により大国や近隣の国々によってシルクパレスは戦火の中心となり、戦争に敗れた我が祖国は各国の領土として没収されて国としては既に滅びていると…!何より俺の敬愛するシルクパレスの統治者である女王陛下は他国に抵抗したとして処刑され、多くの国民たちも他国からの侵入者によって殺されたり人質にされ自由や尊厳を奪われたと…!あの悪趣味な社長が俺を誑かすための作り話だ、そんな事実は信じるかと思ったが、『動機』のことをバラされた小川の様子とそれを巡って中島が連の殺害に至った経緯から俺は『動機』の情報が真実だと認めざるを得なくなった…。俺も結局はあの憎き残虐な社長に踊らされた1人だ。既に滅んでいたとしても祖国の様子を一目でも見たくなった俺は、小川の得意とするクラフト工作のトリックを利用した…!たかが糸やピアノ線や紙の強度が工夫次第であれほど増すとは思わなかった。あれは便利なものだったぞ」
音也「そういや、少し前のニュースでやっていたっけ…!北欧やヨーロッパである小さな国の領土を巡って戦争が起こっていたって…!被害に遭った国の人たちは人質にされたり抵抗したら酷い殺され方で殺されたりしたって…!『あれはない』ってニュース番組の専門の人たちがたくさん非難していたのを俺は覚えているよ!」
サユリ「私の自慢のクラフトワークのことを褒めてくれたのは嬉しいよ…。でも、何でなの…?藍くんを殺したのはどうしてなの…?」
カミュ「第3の動機は『この事務所からの脱出とともにひとつだけクロの願いを叶える』というものだっただろう?はじめは俺も人を殺してまで祖国の様子を確かめようとは考えていなかった。だが美風は、あ奴は…!」
藍『でも、そんなことに反応するバカなんていないでしょ?』
カミュ「俺にとってシルクパレスの件は『そんなこと』程度ではない!生まれ育ち、誇りに思う祖国の一大事だ!それ故に美風のあの発言は、あれだけはどうしても許せなかった…!」
アン「その一言で彼に強い殺意を抱いてしまったんですね…。例え藍くんが誰かを貶める意図のないただの何気ない一言として発言していたとしても、あなたにとって、それは大きな地雷となって彼への殺意を呼び起こしてしまった…!」
被害者:超アイドル級の科学者 美風藍
クロ:超アイドル級の伯爵 クリスザード・R・カミュ
犯行:藍をクラフトワークで使用したジュート紐で絞殺したのち、現場を偽装工作して自殺に見せかけた。『動機』の書かれた紙に同時記載されていたメイプルから知らされていた「抜け道」の存在と第2の事件から立ち直ったサユリがシアンやみんなの目の前で披露していたペーパークラフトや工作の話を思い出し、今回のトリックを思いついた。動機は祖国が滅亡の危機に瀕していることへの焦りと、その際に発せられた藍の何気ない発言によるすれ違い…。
次レスは彼のオシオキ…。感想まだ
- アイドルロンパ Chapter3 ( No.284 )
- 日時: 2021/05/30 16:16
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
前回、前々回と続き注意…
メイプル「『クロの願いをひとつだけ叶える?』…あんなこと嘘に決まってるじゃないですか〜!そんな嘘をあっさり信じちゃうなんて、それこそバカじゃないの?ボクが用意した『抜け道』の情報をあっさり利用したり、冷静な判断が何も出来なくなっちゃったんですね〜!うぷぷぷぷ〜!」
カミュ「そんな…」
ロージア「ふざけんな!そんな言い方はないでしょ!」
メイプル「部外者は黙ってるんですぞ!ところで犯罪者の伯爵さん?最後に何か言い遺すことはないの?」
カミュ「…殺人事件のクロとして暴かれた以上、俺が処刑対象になることは至極当然だ。殺すならさっさと殺せ」
メイプル「最後だけは潔いですね〜?そこは嫌いじゃないですぞ。そんな誇り高いキミにはとっておきのオシオキを用意したからね?結局キミの祖国がどうなったかは、あの世で確かめるんですぞ?あっ、ちょっとしたトラブルで殺しちゃった藍くんへの謝罪も忘れずにね?」
カミュ「…美風…」
カミュが藍を殺した理由とそれに至った動機は明かされたが、第3の動機は結局アイドル同士のコロシアイを誘発するものであり、約束など叶えるつもりもなかったと白状するメイプル。メイプルの完璧な企みに踊らされて人殺しをしたという事実に彼は動揺を見せたが、すぐに平静を取り戻し、潔く他者を殺めた自分を処刑しろと宣言する。そして殺してしまった友人のことを思って顔を歪める…。最後にオシオキ会場へ向かう鎖に繋がれる前、超アイドル級の伯爵は超アイドル級の格闘家に振り向き、こう言い遺した。
カミュ「…来栖、お前を全ての人間から疑わせる状況にしたことは謝罪する。すまなかった」
翔「……」
メイプル「それじゃあ、ワックワクドッキドキのオシオキターイム!」
GAME OVER
カミュくんがクロに決まりました。オシオキを開始します。
ビュォォォォ…
カミュ「…ここは…」
コリエンテ、ナカジと同じように鎖に繋がれ引き摺られた彼はある場所にいた。そこはある外国の城下町であり、吹雪が吹き荒れている…。街の様子はすっかり寂れ切っており、外出する人も非常に少ない。まばらに人の姿は見られるが、その誰もが俯き下を向いており、幸福そうに見えないことは明らかであった…。
「伯爵凱旋」
超アイドル級の伯爵 クリスザード・R・の処刑執行
カミュ「まさかここは、俺の故郷であるシルクパレスなのか…!?」
彼の記憶の中にある、厳しくも美しく栄えていた祖国の城下町の姿は何処にもなく愕然とするが、このまま突っ立っている訳にもいかず、カミュは城下町を歩き出す。目指すのは城下町の奥に聳え立っており彼が敬愛する女王の住まうシルクパレスの城だ。だが、女王の住む城へ向かおうとする彼の足元から、乞食の少年が靴を奪い去っていく。
カミュ「!?」
乞食の少年「そんなに金持ってそうな見た目をしているなら、少しくらい持っていってもいいだろ!」
何をしているんだと思わず言い返そうとしたが少年の逃げ足は速く、あっという間に消えてしまった。構っている暇もなく再び歩みを進めようとしたところで、今度は子どもを抱えた母親が彼の上着を奪い去っていく。
母親「うちには金がないんだ…!この子を生かすのには温かいものが必要なんだよ!ごめんなさい、ごめんよ…!」
カミュ「子どもの見本となるべき母親が盗みを働くのか…」
子どもを抱えた彼女も逃げ足は速く、あっという間に消えてしまった。超アイドル級の伯爵は盗みを働く母親に呆れたものの、今度は理由が理由ということでそこまで追及しようとはせず、気持ちを切り替えてお城へ向かおうとした。だがそんな彼の元に多くの国民が群がり、上品で身なりの良い伯爵の青年に手を伸ばす…!
若い男「あんたの綺麗な金髪が欲しい…!それを切れば高く売れるはずだ…!」
少女「何で男なのにそんなに綺麗な青い目を持ってるのよ…!?あたしのくすんだ目と取っ替えてよ…!」
老婆「白くて澄んでいて陶磁器のような肌だねえ…!あたしの若い頃を思い出すよ…!ねえ、その肌をあたしにくれないかい…!?」
中年男性「長い腕と脚をしてるな…!見るからに健康そうだし、これならいくらでもこき使えそうだ…!」
卑しい男「顔立ちも悪くないな、女ではなく男というのが非常に惜しいが…!」
カミュ「俺の祖国の住人が、こんなに卑しい輩と化しているとは…!?」
貧しいが誇り高い心を持っていたはずの祖国の住人たち。他国の大国や連合軍との敗戦を経験してここまで廃れてしまったのか…。内心やるせない思いを抱える超アイドル級の伯爵だが、それを無視して黙々とお城へと歩み続ける。それは長い髪を切られた上に引っ張られ、石を投げつけられ、包丁や銃などといった凶器を向けられ、彼がいつ暴徒と化した住人たちに襲われてもおかしくない環境であった…。そしてとうとう、目当てであった女王の控えるお城へと辿り着いた!
カミュ「陛下!ただ今帰還しました!」
お城に辿り着いたカミュは酷い姿だった。そこには普段の美しく誇り高き伯爵の青年の面影はなかった。靴や靴下はとっくに剝ぎ取られており裸足、コートや上着は盗まれ薄手のシャツ1枚という恰好、自慢の美しいブロンドヘアは暴徒と化した住人たちによって無理やり切られてざんばら状態、腕や脚にも住人達の狂気によって傷付けられたいくつもの傷が付いており、幾筋も血が滴り落ちていた…。この状態では吹雪が吹きすさぶこの街では非常に苦しいことが理解できるものであり、事実北国出身で寒さに強いはずの彼でも凍えてしまうかと思えるほどだった…。そんな彼の目の前に、遂に女王が姿を現した。
女王「凱旋ご苦労。随分苦労したようだな?」
カミュ「…これほどのこと、私めにとっては取るに足りません。陛下」
女王「そうか?ならば何故我が国民たちの苦悩と訴えに応えず、貴様はのうのうとやって来れたのだ?」
カミュ「…は?」
女王「聞こえてくる民衆の声に耳を傾けず、挙句の果てに殺人まで犯した伯爵は我が国には必要ない」
カミュ「お待ちください、陛下!先日の敗戦によるショックと士気の低下が原因でしょうが、現在の住人たちは強い狂気に囚われております!まずは彼らの精神状態の安定に努めねば、この国は狂気に満たされ滅んでしまいます!」
女王「問答無用」
女王はまるで聞く耳を持たない。腰に装備していたサーベルをすらりと抜き、ぎらつく銀の刃を伯爵の青年の首筋に突き付けた。
カミュ「陛下、お話を…!」
ザシュッ
次の瞬間、『何か』がゴトリと音を立てて落ちた。そして沸き立つ国民たちの歓声をバックに、積もり積もった真っ白な雪で敷き詰められた交道の上に、大量の赤黒い液体が流れだした…。
伯爵のステッキを入手しました!
感想まだ
- アイドルロンパ Chapter3 ( No.285 )
- 日時: 2021/05/30 16:22
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
「格闘家の少年のひとりごと」
メイプル「エクストリィィィィィーム!しかし、あんなのが本当にあれほどまでして守りたかった『祖国』というやつなんですかねー?国民はみんな自分のことしか考えていない最低最悪な奴らで、女王も誰の言うことも効かない高慢ちき!あっ、でもそれを守ろうとしていた伯爵なんて、すぐカッとなって友達を殺すような人殺しでしたね!それじゃ、低俗で落ちるところまで落ちるのも当たり前ですぞ!」
那月「ううっ…!藍ちゃん…!ミューちゃんさん…!」
音也「那月、早くここを出よう…!これは悪い夢だ…!」
前回、前々回と同じように処刑を終えて興奮しきって叫ぶメイプル。尊敬していた人物を一気に失い顔を覆って泣き出す超アイドル級の演奏家と、顔面蒼白になりながらも彼の肩を支え、裁判所からの退出を促す超アイドル級のサッカー選手。彼らに倣い、次々とアイドルたちは裁判所を出ていく。そんな中、ネコ族のミューモンの少女は知人の処刑を目の前にして青ざめつつも何か思い詰めた表情の超アイドル級の格闘家の少年の様子が気になっていた。彼は今回の被害者となった藍と親しかった人物の1人であり、処刑されたカミュから最期に遺言を言い渡された人物であり、アイドル裁判が中盤までの間違った方向のまま進めば他のアイドルたちから殺人事件のクロとして冤罪を着せられていたはずだった。いずれにせよ、今回の事件に何か思うところがあったことは間違いない…。
その夜、中々寝付けずにいたシアンは何か温かいものを飲もうと自室をこっそり抜け出して食堂へ向かった。すると食堂には先客がおり、彼は電子レンジでホットミルクを注がれたマグカップを手に取っていた。
シアン「翔ちゃん…」
翔「…シアン、お前も眠れなかったのか?」
シアン「うん…。だって、さっきあんなことがあったし…」
翔「…まあな。なあ、少し話さねえ?そうしたらお互い上手い具合に眠くなるかもしれないだろ?ちょっとで良いから俺の話に付き合ってくれねえか?」
シアン「うん!あたしで良ければ喜んで!」
ネコ族のミューモンの少女と格闘家の少年はテーブルを挟んで向かい合った。彼らの手元には温かいホットミルクがあり、日中発生したアイドル裁判の緊迫した様子とは打って変わって穏やかな時間と空間が2人を包んでいた。
シアン「…翔ちゃん、もしかして藍ちゃんやカミュちゃんのことを考えていたのかにゃん?」
翔「…ああ。正直、藍とカミュさんの間でコロシアイが起こるなんて全く思ってなかった。俺はあの2人とずいぶん前に共演経験があったけど、その時は普通に仲の良い人たちだったしさ。前回のナカジとタローといい、このコロシアイ生活は俺たちの間に出来た友情や思いや絆をどんどんちぎって潰して台無しにしていくな…」
シアン「シアンは、アイドルのみんなと会うのはこの事務所に閉じ込められてからだけど、メイプルがみんなの気持ちをどんどん踏み躙ってたくさんの揉め事を起こそうとしていることだけは分かるにゃん…!メイプルは絶対に許さない…!」
翔「俺も同じ気持ちだ!それに、結構ショックだったよ。アリバイがないってだけであんなにあっという間に疑われるんだなって。正直疑われている時はめちゃくちゃ怖かったし、あの時はクロを間違えたことによる全員の死を覚悟したぜ…」
シアン「翔ちゃん…」
翔「でもまあ、もし同じ状況だったら俺も同じようにアリバイのない奴を疑って責め立てていただろうから、偉そうなことは言えないけどな!…それにさ、この短い間で少しだけでも考えたんだよ」
シアン「考えた?一体何を?」
翔「…カミュさんが何で最期に俺宛に言葉を残したのかなってこと。あの人は『動機』の件と藍の何気ない発言が原因で人殺しをした。それは決して許されないことだ。だけど、彼は藍を殺す前も殺した後も心のどこかではずっと悩んで葛藤していたのかもしれない。今思えばあの人は俺が疑われている最中、俺に対して何も言わなかったしな」
シアン「…そういえば、そうだったね」
翔「殺される直前、カミュさんはみんなにクロとして疑われて殺されそうになった俺に謝ってくれた。最初は藍を殺した人がいきなり何言ってんだと思ったけど…。俺はあの言葉がさんの本当の本質だと今は思ってる。あの人をあそこまで焦らせて人殺しをさせようと追い詰めたのはメイプルだし、それは前の殺人事件のクロになってしまったコリエンテにしろナカジにしろ同じことだ。もちろん藍もレトリーもタローも、こんなふざけた事務所の中で殺されるような奴らじゃなかったよ。俺は頭は良くないけどこの事務所の中で発生する殺人事件の連続とか、さっきまで笑っていた人が急に殺されていなくなったりとか、惨い処刑方法とか、それらが起こす色々な感情が俺の中をぐるぐる渦巻いていて自分でもよくわからない部分はあるけど…。とにかく俺、絶対に生き残ってこのイカれた事務所を脱出してやるよ。メイプルなんかの思惑には絶対に負けねえ…!」
シアン「それはあたしも同じ気持ちだよ!翔ちゃん、絶対あいつに負けないようにしようね!」
翔「おう!ごめんな、色々話を聞いてもらって。コロシアイの話はデリケートだし、他の奴らにはちょっと話せないし。…今回は特に那月が相当ショックを受けていたみたいだから、明日からはあいつのフォローに動くよ。お前もあいつから話を聞いてみたらどうだ?人と話すと気分が軽くなるしさ」
シアン「そうだね。那月ちゃん、最後凄く泣いていたもんね…」
翔「ああ、あいつはちょっとメンタルが弱いところがあるから心配だ。何か悪い方向に進まなきゃいいんだけど…。じゃあ、そろそろ俺は部屋に戻るよ。おやすみ!」
シアン「うん!翔ちゃん、おやすみなさい!」
今回の事件で特に大きなショックを受けたと思われる、顔見知りの超アイドル級の演奏家の様子に不安を覚えつつも、自分の中に抱えていたどこかモヤモヤとした気持ちや他者に言えなかった本音や現在の心境をシアンに吐露出来たことが良かったのか、翔は笑って自室へと歩いて行った。
シアン「殺人事件のクロとして疑われてショックを受けても、みんなを気遣ってあんなことが言えるなんて…。翔ちゃんは本当に強いね…。あたしも翔ちゃんの心の強さを見習わないといけないにゃん。もうアイドルたちの間のコロシアイなんて、起こさせない…!」
残ったホットミルクを一気に飲み干すと、シアンはマグカップを洗い場に戻して自室へと歩き出す。そんな彼女の様子を、物陰で誰かが伺っていたとは知らずに…。
Chapter3 「操りピエロ」
生き残りメンバー 残り10人
to be continue
次はカミュ様と、今回の被害者である藍ちゃんのオシオキ案。感想まだ
- アイドル ( No.286 )
- 日時: 2021/05/30 16:30
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: rGfwxYhx)
これで最後!
・「伯爵のステッキ」
ある青年が持ち歩いていたステッキ。彼の祖国の特産品である青く美しい宝石が付けられている。一見美しい1本のステッキのように見えるが、実は石と杖の部分が分離して取り外せるようになっており、細長いものや小型のものなら収納可能になっている。
・カミュ「伯爵凱旋」
とある廃れてしまった国の城下町に彼はいた。吹き荒れる吹雪の中カミュは奥にそびえたつお城を目指し、歩みを進める。その途中でこじきの少年が彼の履いていた靴を奪って逃げていく。次に子供を抱えた若い女性が着ていた上着を剥ぎ取る。やがて進む彼のもとには多くの貧しい人間がたかり、「綺麗な髪をくれ」「澄んだ碧眼をくれ」「白い肌をくれ」と口ぐちに喚く。挙句の果てには石を投げつけられたりするが、それでも彼はお城の前に到着した。寒さに強いはずの彼でさえ凍えてしまいそうな中、とうとう目的であった女王に会うことが出来た。だが女王は「聞こえてくる民衆の声に耳を傾けず、挙句の果てに殺人まで犯した伯爵はいらない」とサーベルを抜き…。
死因は女王に首を刎ねられたことによる斬首。モデルとなったのは原作の十神のオシオキ案であり、それをベースに色々考えました。心の支えにしていた祖国の廃れ具合をまじまじと見せられ、最後はやっと会えた女王様に見捨てられ首を刎ねられてしまう無情さ、理不尽さが肝だったりします。
・藍「A.I.〜まだ見ぬ世界〜」
白衣を身にまとい真っ白な広い実験室に佇む藍。彼は実験の最中であり、アシスタントのメイプルが手伝う中薬品を調合している。だが誤ってメイプルが間違った薬品を投入してしまい、部屋に有毒の気体が充満し始める。窓を探すも見当たらず、ハンカチを当ててやり過ごすもこのままでは体に毒が回って死んでしまう。何とか走り回ってドアを見つけたものの、ドアを開けた彼の目に映ったのは血のついたスパナや工具、見るからに怪しげな機械が大量に包まれた部屋だった。本能的にまずいと悟るが直後に科学者の格好をしたメイプルに捕まってしまい、体のあちこちに管を繋がれる。もう助からないと目を瞑った彼を見たメイプルは満足げに機械を作動した…。
最終的な死因は繋がれた管から大量の電撃が流れたことによる感電死であり、実験していた側の藍ちゃんが無能な助手に振り回された挙句、最後に自分自身が実験対象側になっちゃった、というもの。タイトルは彼の楽曲のタイトルのひとつから取りました。
今回は以上です。感想OKです
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