二次創作小説(新・総合)
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- とある彼らの日常日和SP
- 日時: 2025/05/25 16:15
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
初めまして、こんにちは。そしてお久しぶりの方はお久しぶりです。元ユリカこと夢見草と申します。改めて小説カキコでクロスオーバー・日常系二次創作小説を書かせて頂くことになりました。何かと至らないところは多いですが、どうぞよろしくお願いします。
<注意>
・このスレッドは「二次創作・クロスオーバー」を中心にしています。
・作品はスマブラ・ぷよぷよ・ダンガンロンパ・ポップンミュージック・オリジナルキャラクター…など様々です。またキャラクターによっては出番数や扱いに差があります、あらかじめご了承ください。
・二次創作ならではの「オリジナル設定」がかなりありますので注意して下さい(一部のキャラクターの不憫設定化、ギャグとカオス大好物組化、「裸族」化など)。また各キャラクターの設定や世界観は随時更新していきます。
・CP要素(男女カップリング/NL)があります。苦手な方は注意して下さい。
・小説の感想などの書き込みは歓迎します。ただし内容とあまり関係ないレスや誹謗中傷、他の人が見て気分を害する書き込みはしないで下さい。
・コラボの依頼やキャラクターの貸し出し・提供などは歓迎します。その時はコメントでお知らせ下さい。ただし、誹謗中傷や他の読者の迷惑となる行為や書き込みなどは絶対にやめて下さい。
・不定期更新です。あらかじめご了承下さい。
最終更新日:5月25日
<目次>
【世界観】
・ご挨拶 >>1
・おおまかな世界観の設定 >>211
・各キャラクターイメージボイス集一覧 >>88
・簡易的なキャラ分類表 >>269
【簡易的なキャラ設定】(随時追加&更新予定)
・矢島、真理子、美園、凛音、奏 >>139-140
・ロッシュ、ミシェル、フレドリカ、ケン >>185
・ニコラス、サイモン、マリー >>186
・ラクーナ、アーサー、ルナ >>187
・宮藤、坂本、バルクホルン、サーニャ >>212
・音也、真斗、那月 >>270
・トキヤ、レン、翔 >>271
・セシル、嶺二、蘭丸 >>272
・藍、カミュ >>273
・苗木、日向、霧切 >>387
・七海、十神、狛枝 >>388
【短編】
・パシフィカ・リベンジ >>122-123
・SP組紹介!(キャラ紹介あり) >>190-202
・春日差す 藤の裏葉の うらとけて >>216-221
・バレンタイン・トロイメライ >>421-423
【長編】
「アイドルロンパ」(ダンガンロンパパロ)
・プロローグ&Chapter1 >>240-247
・Chapter2 >>253-262
・Chapter3 >>277-286
・Chapter4 >>293-303
・Chapter5&エピローグ >>310-315
「ポプって料理対決!」
・ポプって料理対決~どうあがいても、絶望~(準備編) >>7-15
・嫌な予感しかしない試食その1 >>25-31
・嫌な予感しかしない試食その2 >>39-45
・嫌な予感しかしない試食その3 >>55-61
・嫌な予感しかしない試食その4 >>71-78
・嫌な予感しかしない試食その5 >>89-97
・嫌な予感しかしない試食その6 >>107-114
・それなりに平和な結果発表 >>130-136
・修羅場の先は阿鼻叫喚 >>145-153
・オシオキとフィナーレ! >>161-173
「チームで料理対決!!」
・チームで料理対決!!(準備編) >>322-340
・チームで料理対決!!その1(1番~4番) >>347-358
・チームで料理対決!!その2(5番~8番) >>368-378
・チームで料理対決!!その3(9番) >>389-395
・チームで料理対決!!その4(10番~12番) >>404-415
・チームで料理対決!!その5(13番) >>430-439
・チームで料理対決!!その6(14番~16番) >>448-461
・結果発表(前編) >>470-489
・結果発表(後編) >>491-505
・残りのオシオキとフィナーレ >>508-514
「テストネタ おかわりっ!」
・1時間目 >>517-527
・2時間目 >>533-542
・3時間目 >>552-562
「それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA」
・導入編 >>567-573
・準備編 >>574-590(NEW!!)
【夢見草版裸族による裸族のための裸族講座】
・裸族講座1 >>226-232
<タグ>
クロスオーバー ギャグ カオス キャラ崩壊要注意・オリジナル設定あり スマブラ ぷよぷよ ダンガンロンパ 世界樹の迷宮 ストライクウィッチーズ ポップンミュージック うたプリ SB69 QMA オリジナルキャラクター NL クロスオーバーカップリング コラボあり
- バレンタイン・トロイメライ ( No.422 )
- 日時: 2024/02/14 22:58
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: ScqD3.Tj)
……
「見ろ天宮。これは中々拝めるものではないだろう?」
「!?…うわぁ、すごい…!!」
それはとあるSNSの投稿画面だった。そこには手の凝らしたチョコレート菓子が撮影されており、これの製作者は製菓関係者か、そうでなくてもお菓子作りに精通している者であることが一目で理解できる。しかもよく見ると、あるハッシュタグが付いており、賛同を表すマークや拡散を表すマークに大量の数字が付いているのが見えた。
「か、カミュさん、これは…!?」
「ふっ、よく聞け天宮!俺のファンを名乗る愚民ども、及びお嬢様方がわざわざ俺の為に製作したというチョコレート菓子のフォトショットだ!」
「おおおおお〜!?ふぁ、ファンの皆さんが!?すごい、すごいよ!こんなにすごいお菓子を作れるファンの方がいるなんて…!?」
「まあ此奴は投稿された内容を見る限り製菓関係者だそうだ。その力量を生かしての作品の出来栄え、当然といえる。…愚民の自己満足とはいえ、これは称賛に値するものだろう?」
「So Wonderful!!私もこの方にお花を贈りたいくらいすごいわ!…だけどこの人はどうしてSNSにアップしているの?カミュさんに見てもらうため…?ううん、それだけならファンレターにお写真を添えて贈ることだって…?それに、こんなにすごいお菓子ならカミュさん本人に贈ればそれこそとても喜んでくれるはずなのに…!?」
「…よく考えろ天宮。俺はアイドルだ。このクロスオーバーワールドではそうでもないが、俺たちが本来住む元の世界で俺たちは不特定多数のファンに名前と顔、僅かばかりの個人情報を晒している。もちろん正しきファンである愚民ども、及びお嬢様方は過ちを犯すような真似はしないだろうが…。世の中にはどんな考えを持つ輩がいるか分からん。……例えば、プレゼントと称して意図的に毒物や劇物を混入することだってな」
「ひっ…!?」
「…だから、俺たちの属するシャイニング事務所ではいかなる場合であってもファンからの『物』は受け取らない決まりになっている。ファンレターは有り難く受け取っているが…。それにも残念だが、物や綴られている内容によっては処分するものもなくはない。俺たちの手元に届くまでに全て月宮や日向が選別している。あ奴らの手が空かぬ時は俺が愛島や他の後輩どものファンレターを選別することもあるな。…アイドルはステージに立ち観客を魅了する華やかで煌びやかな面が強調されるが、裏ではこういうこともあるということだ」
「……ごめんなさい。私、何も知らなくて」
「謝罪は求めていない。それにあの逃走中で俺たちやアイドルについて詳しく知ったお前が、このような側面を知らずとも無理はないことだ。無知は戒めるべきではあるが、恥じる必要はない」
「……」
「いい加減顔を上げろ。…だからこそ、ファンの間でこのような投稿をするのだろうな。わざわざハッシュタグまで付けて…。少しでも俺の目に届くように、と。ふっ。その心意気は殊勝だと認めてやる。俺が直々に対応せねばならんな」
「…カミュさん。ファンの皆さんにお返事を書くの?」
「返事というより、まあリプライだな。この俺直々に返信したとなれば、全愚民が平伏するだろうよ。…24時までに終わるかどうか」
「…この投稿、今の時間だけでも沢山あるもんね…。えっと、もう123件もあるよ」
「まだまだ増えるだろうよ?この俺に魅了された者がいる限りは、な?…しかし、元となるリプライを作成するのはいいが、流石に全て同じリプライを送り付けるのは不誠実だな。愚民ごとに多少は変えてやらねばならんな。…それにファンの者たちが『愚民』としての対応か、『お嬢様』としての対応を求めるかについても見極めねばならん」
ここで補足しておこう。カミュは元は社長であるシャイニング早乙女の指示により「執事系アイドル」として演出されていた。その際は常に敬語で誰に対してもにこやかに柔和に対応し、ファンの人々(主に女性)を「お嬢様」と呼んでいた。アイドル活動中はその状態をチームメイト兼仲間である嶺二や蘭丸や藍、セシルをはじめとした後輩たちの前でも続け、仮に性格柄常に口論が絶えない蘭丸やセシルとの撮影でも、カメラが回っている仕事中の間だけは柔和に対応していた。単刀直入にいうと本来の彼とは全く違うキャラ付けで売っていたわけだ。…ところが一体なんの心境の変化があったのかクロスオーバーの世界を知って以降、カミュと彼のチームメイトであり同じように本来とは違うキャラで演出されていた藍はそのキャラ付けをやめて、本来の自分のキャラクターをそこまで隠さずに「これが俺(僕)だ」と売ることに決めたのだ。もちろん当時の世間の反発は言うまでもなく、「裏切られた!」と憤慨したのち彼らのファンを辞めると公言する元ファンもいないわけではなかった。だが、少なくとも2人とも表向きは全く動じなかった。…後にそれでも堂々と活躍するカミュと藍に感銘を受けたのか、それとも単に「これもまあ面白い」と彼らの本来のキャラクターもそれなりに受け入れられたのか、少しずつ世間も「本来の彼ら」を受け入れるようになった。むしろ今では「藍くん、『なにアンタ、非効率的が過ぎるんだけど…。あり得ないでしょ』と蔑んだ目で見下ろしてください」「カミュ様、愚民と呼んで罵って下さい」「もういっそ2人で一緒に私のことを踏んでください」などという一風変わった…いや、本来の彼らそのものに魅せられたファンも多く登場しているのだ。
ちなみにカミュと藍も急なキャラ変やかつての「演出された」自分にも魅入られたファンへの対策を考えていなかった訳ではなく、特に握手会などのファンとの交流の際は自分のファンに「どちらの対応をして欲しいか」とわざわざ聞いた上でファンの望む方の対応をしているとか…。中には「途中まではにこやかな執事モードで、最後は『…などと言うと思うたか、愚民めが!』と罵って締めて下さい」などと指示してくる高練度のファンもいるらしい。これには彼らをプロデュースした張本人の社長である早乙女も「ミスター美風もミスターカミュも、ベリー強かデース…」とぼやいたとか、ぼやかなかったとか。
「藍くんもカミュさんも本当にすごいよねぇ…!キャラクターが違ってもこんなに人気があるなんて!…私は2人を知ったのはあの逃走中の時に会ってからなんだけど、少しだけ知っていた美園ちゃんは『本当に、もう今とは別人みたいだったんだから』ってとっても驚いてたわ!」
「ふっ、この俺そのものに魅力があるのだから当然だ!紆余曲折はあったが執事モードも本来の俺もファンに受け入れられたのだ、良しとしよう」
「そうだね!…ねえ、このフォトショットズ、もっと見てもいいかしら?」
「ん?…なんだお前、個別のSNSはやっていないのか?このタグで検索すれば容易に出てくるが」
「うん。真理子ちゃんはすごく詳しいけど、私はSNSはごちゃごちゃしているからよく分からなくて…。前に少しやろうと思ってたんだけど、結局すぐやめちゃった。それにフォトはそのままスマホのカメラで撮ればいいし、LINEがあればみんなに連絡は取れるし」
「……はぁ。仕方あるまい。ほれ」
カミュから彼の携帯電話を手渡され、凛音はスマートフォンの画面に注目する。自分の真横に座るカミュが自分のメモ帳を取り出しファンへのリプライについて考え出す中、画面をゆっくりスクロールしてチョコレート菓子の写真を見ていく。そのどれもが上出来の品であり、キラキラと輝いていた。製作者たちの腕がいいのは当然だが、何より彼女たちは全て自分が魅了されているアイドルを想い、心を込めて丁寧にお菓子を作ったのだろう。
(ファンの皆さんとこのお菓子たち、本当に全部すごいわ!もしチョコレートがお題の料理対決なら全部☆4以上が取れると思う…!それどころか、一部は私が見るのもおこがましいようなプロ級のものだってある…!)
そこまで考えた中で、少女はふとこう思った。
「私の作った素人丸出しのこんなチョコレートは、彼に渡すのに相応しくないのではないか?」と。
感想まだ
- バレンタイン・トロイメライ ( No.423 )
- 日時: 2024/02/14 23:07
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: ScqD3.Tj)
……
「……ねぇ、カミュさん。今日はチョコレートのお菓子に関するお仕事が沢山あったんだよね」
「ん?唐突に、何を当然のことをほざくんだお前は?」
「それは全部、プロの方が作ったお菓子だったんだよね?」
「そうだ、製菓のプロモーションだからな。…ああ、あれは特に美味だったな。さすがは著名なブランドの渾身のものだった。もし余りがあればこのギルドに持ってきてやったものを…」
「…だったら、これは、要らないよね……?」
「……は?」
唐突に、小刻みに震えながらベンチから立ち上がる凛音。横の男の手に今まで持っていた彼のスマートフォンを返し、こっそり自分の後ろに置いていた水色の箱を抱える少女。そんないきなり立ち上がった彼女に驚愕しつつも、常に凛と堂々としている彼にしては珍しくただただ呆けるカミュ。先ほどの和やかに談笑していた空間から一変、彼らを知る人からしても知らない人からしても異様な光景が広がりつつあった。
「ごめんなさい、カミュさんに渡すのにこんなものを作ってきて!?こ、これは今すぐ捨ててくるね!?」
「お、おい待て!?それは一体何だ!?それに捨てる、など…!?」
「その、バレンタインデーだから私もカミュさんへ渡すチョコレートのお菓子を作ってきたんだけど、だけどお仕事で美味しいものを食べてきて、ファンの皆さんからもこんなに素敵なお菓子のフォトやメッセージを頂いているなら、もうこれは要らないかなって!」
「天宮!?お前は俺宛てにチョコレートを作ってきていたのか!?…おい、何故それを捨てるなどと言う!?」
「だって、だって申し訳ないよ…!こんな素人丸出しで、みずぼらしいものなんて…!私、自分が恥ずかしい…!!」
「素人!?みずぼらしい!?…おい話を聞け天宮!…天宮!!」
凛音は自作のチョコマフィン入りの箱を持ってダッシュでギルドの燃えるゴミ箱へ向かおうとしたが、伯爵アイドルの青年はそれを慌てて追いかけ彼女の肩を掴み、自分の方へ振り返らせた。
「…人の話を聞けと言っているだろう、貴様…!!」
「カミュさん!?…でも、こんなもの…」
「でもではない!…それは、お前が俺のための貢物として用意したものだろう!?自分が用意した物を『こんなもの』呼ばわりするな!それに貢物に汚いもみずぼらしいもあるか!!」
「…こんな、素人が作ったってすぐ分かるようなものだよ?」
「普通科の高等部の学生のお前が製菓に関して素人なのは当然だろう!?……それに、お前には俺がプロの製菓と素人が作ったものをわざわざ比較するような、無神経で外道なアイドルに見えるのか?」
「……ううん、カミュさんはそんな人じゃない。カミュさんは、誰に対しても厳しいけど、その分誠実で真摯に向き合ってくれる人……」
「…ふん。誠実かも真摯かも分からんが。…ともかく俺たちQUARTET NIGHTと、後輩どもST☆RISHは『シャイニング事務所の正所属アイドル』としてプレゼントは受け取れん。だが、『WSTinYの正規メンバー』としてならプレゼントを受け取ることは出来る。だから神宮寺らもお前の花などを『プレゼント』として受け取ったのだろう。…それに、お前はこのSNSの奴らとは異なり、俺に直接バレンタインデーに用意したチョコレート菓子を渡すことのできる数少ない権利を持つ者なのだ。それなのに用意した貢物を捨てる気か?……だからほら、早く寄越さんか」
凛音の肩からゆっくり手を離し、顔はそっぽを向きながらも手のひらを少女の方へ差し出すカミュ。そんな彼の様子を見て深呼吸をひとつしたのち、凛音は頬を上気させ、耳まで赤く染めて水色の小型の箱を彼に差し出した。
「…あの、本当にごめんなさい!それに初めて作ったものだから、美味しくないかもしれないけど…!それでもよければ、受け取って下さい!!」
「……ああ」
受け渡される箱を通して、一瞬2人の手が重なる。完全に箱が自分の元へ渡ったあと、伯爵アイドルの青年はゆっくり歩いて元いたベンチに戻り腰を下ろす。それにあわせて少女ももう1度ベンチに腰掛けた。
「…カミュさん?」
「…おい。一応聞くが、これは野外で食べても問題ないものだな?ならこの場で食べるぞ」
「えっ!?あの、飲み物は…」
「問題ない。仕事で持参したボトルの紅茶が残っている。…それにお前のことだ。放っておくとまたこれを捨てにいきかねん」
「うっ…;」
先ほどの自分の起こした珍騒動を思い出し項垂れる凛音の横で、カミュは手慣れた様子で箱のラッピングを解く。箱を開けた彼の目の前に飛び込んできたのは、少し寄ってはいるが四つ葉のクローバーを模したように配置された4個のチョコレートマフィンだった。少し不恰好なそれらはひとつずつ微妙に色が異なり、さらに緑、赤、紫、水色のバランがそれぞれの下に敷かれている。特に水色のバランの上に置かれているマフィンはひとつだけ明確に白い。これは言うまでもなく…。
「…俺たち、QUARTET NIGHTを模したものだな?」
「うん。いつもお世話になっているから、どうしても皆さんには個別で作りたくて…」
「それにこの形…。クローバーを模したものか。世界の平和を守るWSTinYのメンバーとしての心意気か?ふむ、殊勝ではないか」
「…え、えっと…」
凛音が何故か頬も耳も朱に染めて俯く中、カミュはまじまじと自分宛てに作られたチョコレートマフィンを観察している。
「…水色のバランの上に乗せられているのは言うまでもないが…。それ以外も全て微妙に色が違うな。これらはチョコレートマフィンに混ぜたものが違うのではないか?」
「!…そ、そうなの!緑は嶺二さんのイメージで、チョコレートの他に抹茶パウダーを少し入れています!」
「ほう、抹茶か。アレの割には落ち着いたものを…と思ったが、アレでも俺たちの中の最年長者だったな。黒崎のものは赤い果実が入っているようだが、これは?」
「ダークチェリーです!あと少しだけラム酒を入れたのと、ベースのチョコレート自体もビターチョコレートにしてるの。蘭丸さんは甘いものが得意じゃないって言ってたから」
「中々手が込んでいるな。あの阿呆を模した物だと言うのに。もう少し手を抜いても良かったのだぞ?…美風のものは?」
「藍くんのは敢えてチョコレートじゃなくて、シンプルにブルーベリーとクリームチーズを混ぜました!…ほら、チョコレートだけだと飽きちゃうだろうし、前に家庭科の調理実習でブルーベリーとクリームチーズのチーズケーキを作ったことがあって、その時の経験を活かせたらって!」
「かつての自分の経験を活かしたのは評価に値する。…そして、俺のものは唯一白いな。まあ大体予想が付くが、これは何だ?」
「ホワイトチョコレート…!カミュさんの祖国のシルクパレスは美しい北国だって聞いているから、それを少しでも表現出来たらいいなって思ったら、こういった形になりました!あとせっかくだから雪を表そうとしたからホワイトのチョコレートチップも入れたけど、オーブンで熱したら少しこげちゃったかな…。あと、それと…」
「?…何だ?はっきり言ってみろ」
「……カミュさんは、とても綺麗な肌をしているから、少しでもそれも表現できたらなって、思っていたんですけど……」
「……」
暫し、沈黙。数分程度か、それとも体感では数時間か。
「……その、食うぞ」
「あ、はい、どうぞ」
白いチョコレートマフィンを手に取り、ひと口齧り、咀嚼して飲み込む。製作者の少女が固まり息を飲む中、青年はひと息つき、こう溢した。
「…美味い。お前は自分をそんなに卑下するな」
「ほ、本当に!?良かったぁ……!!」
脱力したのかへなへなとベンチに沈む少女と、それを横目で見つつも彼女の手製のチョコレートマフィンを食べ進める青年。彼の視線が柔らかく見えたのは、気のせいか、はたまたそれとも…。
「…あっ!そういえばひとつ気になっていたことがあるんだけど、いいかな?」
「む?なんだ?」
「…カミュさん、さっき余程のことがない限り仕事は選ばないって言ったけど…。もし激辛料理の食レポのお仕事が来たら、受けるの……?」
「受けん。神宮寺に回す」
翌日。クロスオーバーワールドの人気番組、「クロスオーバー・ステーション」の楽屋に彼はいた。現在カミュの傍らにいるのはリーダーの寿嶺二。少し離れて席に腰掛けているのは同じくチームメイトの黒崎蘭丸と美風藍。彼らの話題は昨日彼らが受け取ったチョコレートマフィンのことでもちきりだった。
「職業がら覚悟はしてたからね!まさかプライベートでバレンタインデーのチョコレートを貰えるなんて思ってなかった!後輩ちゃんたちに倣ってマジハッピー1000%だよ!…ねえねえミューちゃん!凛音ちゃんからバレンタインのプレゼント、ちゃーんと貰えて良かったね!」
「ふん、あ奴は仮にも俺のコンビパートナーを名乗る者だ。俺への貢物を用意しているのは当然だろう」
「んな言い方はねぇだろ。アイツ、仕事のテメェが来るまでわざわざ待ってたってのに」
「それにしても、リンネの作品は中々凝っていたね。4個あるマフィンの味を全部変えていたし」
「あー、まあ、そうだな。俺のが全部ビターチョコだったのは驚いたぜ。…まあ、初めて作ったって言ってたが、中々ROCKだったんじゃねえの?」
「それにマフィンの形!とっても可愛かったよね!クラブマークをイメージしたのかな?女の子特有のセンスというか…あー!もし妹が本当にいたらあんな感じなんだろうなぁ…!!」
「…嶺二、テメェがセクハラで捕まる前に忠告しとく。やめろ」
「レイジ、やめなよ。下手しなくてもセクハラになるよ?」
「おい寿貴様、セクハラ発言はやめろ。…ん?クラブ?…おい寿?あれはクローバー型ではないのか?」
「ちょっと、みんなしてドイヒーなんだけど!?歳下の女の子に対して『妹みたいだな』って思うだけでそれ!?…え?それにミューちゃんこそ何言ってるの?だって丸いマフィンを4個並べて詰めたら…ほら、いい感じにクラブ型になるじゃん!」
「……は!?」
一方その同時刻。都内某所、夢が丘高校の授業中、天宮凛音はぼんやりと夢想していた。
(…カミュさんにだけハート型にしたの、もし気付かれていたらどうしよう…?ううっ、すごく、すごく恥ずかしいな……)
おしまい
何はともあれ皆さん、ハッピーバレンタインデーです。もし感想があればどうぞ
- Re: とある彼らの日常日和SP ( No.424 )
- 日時: 2024/02/15 06:53
- 名前: 大瑠璃音葉 (ID: 1i9000J4)
こんにちわ!大瑠璃音葉です!
音葉「カミュ凛最高!」〈●〉〈●〉
優彼「音葉さん、落ち着きましょうね・・・(苦笑)」
音葉「凛音、心こめて作ってくれたものを嫌がる人なんていないよ!こだわりも最高!☆5物だよ!」
優彼「落ち着きましょうね。凛音さん、良く頑張りましたね」
次回も楽しみに待っています!
- Re: とある彼らの日常日和SP ( No.425 )
- 日時: 2024/02/15 10:56
- 名前: ネル (ID: ggLcR1eB)
ども、ネルです
ネル「ヤバい…マジで尊い…」
ドロッチェ「お、バレンタインか。オレもドロシア(ここではドロッチェの恋人。タチカビのラスボス)から貰ったから後でお返ししないとな♪」
のび太「僕もしずかちゃんからもらいました!美味しかったです〜!どんなものでも(食べれるものなら)心を込めて作ったものならなんでも食べれます!というかその人にとって☆5ですよ!」
左右田「…」
ルイージ「?左右田、どーしたの?」
左右田「あ…ソニアさんから貰えたには貰えたんですけど…」
左右田が出したもの:煮干し
ネルサイドほぼ全員(◦ω◦)
ルイージ「…煮干し?」
左右田「はい。煮干し」
ドロッチェ「…煮干し?」
左右田「どーやらソニアさん…2月14日を煮干しの日と…;」
のび太「えぇ…;というかそれ作者がよく見ている動画のやつですよね…;」
左右田「どーやらそれ参考にしちゃったみたいで…;」
ネル「ぶっはwwwwwwwwまじかwwwwwwww」
料理対決も楽しみに待ってまーす。以上です
- Re: とある彼らの日常日和SP ( No.426 )
- 日時: 2024/02/15 22:58
- 名前: 謎の女剣士 ◆7W9NT64xD6 (ID: b.1Ikr33)
初めましてです。
私も、キャラたちを連れて来たので参加します。
ダイ「おれもマァムからチョコもらったよ、前の日までマリンさんに特訓して貰ったんだって」
クラウド「俺はティファからだな。彼女の作るチョコは中々いいぞ」
ノクト「俺はルーナから貰ったからな。ティファに負けないくらい、いい味がでてたぜ」
ダイ「あれ? 1人だけハート型みたいだけど」
ノクト「まっ。作った本人も全力を尽くしたなら、文句はないだろ」
ダイ「そうだね。ネルさんも言ってたけど、料理対決の方も楽しみにしてるね」
次の更新、楽しみにしてます。
それでは。
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