二次創作小説(新・総合)
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- とある彼らの日常日和SP
- 日時: 2025/05/25 16:15
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
初めまして、こんにちは。そしてお久しぶりの方はお久しぶりです。元ユリカこと夢見草と申します。改めて小説カキコでクロスオーバー・日常系二次創作小説を書かせて頂くことになりました。何かと至らないところは多いですが、どうぞよろしくお願いします。
<注意>
・このスレッドは「二次創作・クロスオーバー」を中心にしています。
・作品はスマブラ・ぷよぷよ・ダンガンロンパ・ポップンミュージック・オリジナルキャラクター…など様々です。またキャラクターによっては出番数や扱いに差があります、あらかじめご了承ください。
・二次創作ならではの「オリジナル設定」がかなりありますので注意して下さい(一部のキャラクターの不憫設定化、ギャグとカオス大好物組化、「裸族」化など)。また各キャラクターの設定や世界観は随時更新していきます。
・CP要素(男女カップリング/NL)があります。苦手な方は注意して下さい。
・小説の感想などの書き込みは歓迎します。ただし内容とあまり関係ないレスや誹謗中傷、他の人が見て気分を害する書き込みはしないで下さい。
・コラボの依頼やキャラクターの貸し出し・提供などは歓迎します。その時はコメントでお知らせ下さい。ただし、誹謗中傷や他の読者の迷惑となる行為や書き込みなどは絶対にやめて下さい。
・不定期更新です。あらかじめご了承下さい。
最終更新日:5月25日
<目次>
【世界観】
・ご挨拶 >>1
・おおまかな世界観の設定 >>211
・各キャラクターイメージボイス集一覧 >>88
・簡易的なキャラ分類表 >>269
【簡易的なキャラ設定】(随時追加&更新予定)
・矢島、真理子、美園、凛音、奏 >>139-140
・ロッシュ、ミシェル、フレドリカ、ケン >>185
・ニコラス、サイモン、マリー >>186
・ラクーナ、アーサー、ルナ >>187
・宮藤、坂本、バルクホルン、サーニャ >>212
・音也、真斗、那月 >>270
・トキヤ、レン、翔 >>271
・セシル、嶺二、蘭丸 >>272
・藍、カミュ >>273
・苗木、日向、霧切 >>387
・七海、十神、狛枝 >>388
【短編】
・パシフィカ・リベンジ >>122-123
・SP組紹介!(キャラ紹介あり) >>190-202
・春日差す 藤の裏葉の うらとけて >>216-221
・バレンタイン・トロイメライ >>421-423
【長編】
「アイドルロンパ」(ダンガンロンパパロ)
・プロローグ&Chapter1 >>240-247
・Chapter2 >>253-262
・Chapter3 >>277-286
・Chapter4 >>293-303
・Chapter5&エピローグ >>310-315
「ポプって料理対決!」
・ポプって料理対決~どうあがいても、絶望~(準備編) >>7-15
・嫌な予感しかしない試食その1 >>25-31
・嫌な予感しかしない試食その2 >>39-45
・嫌な予感しかしない試食その3 >>55-61
・嫌な予感しかしない試食その4 >>71-78
・嫌な予感しかしない試食その5 >>89-97
・嫌な予感しかしない試食その6 >>107-114
・それなりに平和な結果発表 >>130-136
・修羅場の先は阿鼻叫喚 >>145-153
・オシオキとフィナーレ! >>161-173
「チームで料理対決!!」
・チームで料理対決!!(準備編) >>322-340
・チームで料理対決!!その1(1番~4番) >>347-358
・チームで料理対決!!その2(5番~8番) >>368-378
・チームで料理対決!!その3(9番) >>389-395
・チームで料理対決!!その4(10番~12番) >>404-415
・チームで料理対決!!その5(13番) >>430-439
・チームで料理対決!!その6(14番~16番) >>448-461
・結果発表(前編) >>470-489
・結果発表(後編) >>491-505
・残りのオシオキとフィナーレ >>508-514
「テストネタ おかわりっ!」
・1時間目 >>517-527
・2時間目 >>533-542
・3時間目 >>552-562
「それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA」
・導入編 >>567-573
・準備編 >>574-590(NEW!!)
【夢見草版裸族による裸族のための裸族講座】
・裸族講座1 >>226-232
<タグ>
クロスオーバー ギャグ カオス キャラ崩壊要注意・オリジナル設定あり スマブラ ぷよぷよ ダンガンロンパ 世界樹の迷宮 ストライクウィッチーズ ポップンミュージック うたプリ SB69 QMA オリジナルキャラクター NL クロスオーバーカップリング コラボあり
- それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.577 )
- 日時: 2025/06/02 07:58
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: LL/fGGq1)
ーーー
ゲーマー少女と北国の元ナイトウィッチが無事に奏坂側の協力者を見つけることができた、ちょうどその頃。
美園「……ふふ、やっぱり、アップルパイは格別ね♪」
タロー「うーん!これも、これも、これも美味しいね〜!」
美園「タローくん、あの……3個は食べ過ぎじゃない?」
タロー「全然!むしろもっとモリモリいけるぞー!!」
所変わって、舞ヶ原高校の最寄り駅。こちらでは旋律紡ぎし少女とサーファードラマーの「パシフィカ」学生コンビが駅前の公園のベンチに仲良く並んで座っていた。時間がおやつどきということもあり、彼らはあらかじめ用意していたりコンビニなどで購入した簡単に食べられるおやつや菓子パンを頬張っていた。
美園「あっ、ちょっと待ってタローくん。おべんとが付いてるわ。……はい、取れた」
タロー「え、マジ?ありがと!……ねえ、美園ちゃん!迅はまだ来ないのかな?俺、舞ヶ原がどんなところなのか早く知りたい!ワクワクが止まらないよ!」
美園「タローくん、落ち着いて?とっくに6限終了の時間だから、きっともうすぐ……あっ!」
迅「ぜえ、ぜえ……」
噂をすれば、だろうか。依頼者の1人である赤髪のDJ見習いの少年が息を切らしながらこちらへ走って来た。
迅「お2人ともすみません!遅れてしまって!月鈴……ええと、ちょうど皆さんが本日会う『イロドリミドリ』のメンバーに呼び止められていて……!」
美園「落ち着いて。大丈夫よ、迅くん。私たちもついさっき、到着したところだったの」
タロー「そうそう!俺なんて腹減ったからめっちゃおやつ食べてたし!……あ、水飲む?」
迅「頂きます……ぷはっ。タローさん、ありがとうございました。それに遅れて来たのに、お2人にそう言って貰えるとありがたいです……」
タロー「全然だいじょーぶだって!あと、『さん』付けは別にいいよ!だって俺たち同い年なんでしょ?タローでいいよ!!」
迅「……じゃあ、これからは『タローくん』で!それじゃ、舞ヶ原へ行きましょうか。ここからは俺が案内しますね」
こうして世間話をしながら歩みを進め、美園とタローは舞ヶ原高校に到着したのだが…。
美園「うわぁ……」
タロー「うおおおおー!!すげー!!」
私立舞ヶ原高校。さすがにタローの属する超大規模マンモス学校・ポップン学園ほどの大規模こそないものの、本格的な音楽専門高校らしく、校舎の他にも簡易スタジオであろう建物が見受けられた。
何より、特に注目するべきは舞ヶ原の生徒たちだった。前もって説明されていた通り、行き交う生徒たちは元女子校らしく女子生徒たちの割合が多くを占めているようだ。彼女たちはみな白いワンピース・スタイルを基調としたセーラー服を着用している。一方で近年の共学化により完全に女子生徒のみという訳ではないようで、迅のようにちらほらと男子生徒の姿も見られた。
彼らの多くは大きな楽器のケースを持ち運んだり背負ったりと、それぞれ積極的に音楽活動に励んでいるであろうことが伺える。吹奏楽であろう金管楽器のパート練習を行うもの。バンドだろうか、待ち合わせをしていた様子のグループの男子生徒と女子生徒たち。中には少し変わり種なのだろうか。スマートフォンから流すBGMに乗ってダンスを生徒たちの姿もあった。
美園「ふふっ、素敵ね…!」
迅「まあ、一応音楽大学附属の専門高校なんで、発表活動を行うステージなり、音楽活動を行うのに困らない最低限レベルの設備ならありますね。今回の野外フェスの会場となるステージもそのひとつです。もちろんそれぞれの楽器や、自分の使用するようなDJ器具は自費購入になりますが」
美園「なるほど。それに以前聞いていた通り、強い活気も熱気も、感じられるわね……!」
タロー「すごい!すごくすごいってこんなの!学校にたくさんミニスタジオがあるじゃん!ポップン学園でもこんなにはないよ!!すげー!……俺、何だか舞ヶ原のみんなを見ているだけでワクワクしちゃうよ〜!!」
迅「はは、タローくんたちならうちを絶対に気に入ってくれると思ってましたよ。それじゃ……あ」
ふと迅がある方向を見やった。そこには歩行中のとある女子生徒の姿がある。彼女はギターケースを背負い、奏坂指定の女子制服の上にブラウンのカーディガンを羽織り、ウェーブがかかったアッシュグレーのロングヘア。紫色の瞳が特徴的なこの少女に直接会ったことはないが、タローと美園も彼女のことは知っていた。なぜなら、今回の依頼の重要人物として顔写真をファイリングしていたから。パシフィカの旋律紡ぎし少女はDJ見習いの少年へ思わず耳打ちする。
美園「……ねえ、迅くん。あの人って……」
迅「はい…。彼女が、萩原七々瀬(はぎわら・ななせ)さん、ご本人ですね」
萩風七々瀬。かつての舞ヶ原で起こった事件の被害者であり、迅を始めとする学園野外フェスを運営する生徒たちが気にかけている人物だ。彼女を少し観察すると、かつての出来事が未だ尾を引いているのか、七々瀬はどこか他者を寄せ付けない雰囲気を強く放っている。そのため、美園は少し躊躇ってしまう。
迅「実は、俺も七々瀬さんご本人とお話したことは数度くらいしかないんですよね……。学年や年齢が離れているのもありますけど、元から無駄話を嫌うようなのと、先の出来事の件で他者に対する警戒心がかなり強くなってしまっているようで。もちろん悪い方では無いんですよ。ただ、彼女が自分から親しく会話をされているのが所属している『Hanamina』のグループ内の人や3年生の一部の方くらいで。顔見知り程度の俺は芹那先輩や生徒会長たちを通して、といった形でしか会話したことがないですね……」
美園「そうなんだ。ううん、ぜひご挨拶を……と思ったけれど、あの様子じゃそっとしておいた方がいいかな……」
タロー「うーん……。ねえ、俺、ちょっと行ってくるね!」
迅「はい、タローく……はい!?」
美園「タローくん!?」
七々瀬から放たれる冷たい雰囲気に全く臆することなく、彼女と会話しようとタローは勢いよく走り出した。まあ、タローはこういうやつだったな、うん。
いきなり自分の方向へ突撃して来た謎の部外者の少年に眉をしかめる七々瀬。そんな彼女に全く怯むことなく、パシフィカのサーファードラマーは話しかけた。
タロー「こんにちはー!ええっと、キミが七々瀬さん、だよね?初めまして!俺は連太郎!タローって呼んでね!よろしくー!」
七々瀬「…………」
タロー「それでえっと、ひと月後にここ……舞ヶ原で新しく『野外フェス』ってやるじゃん?知らなかったかもだけど!そこに俺と、あそこの……美園ちゃん!俺たちもフェスに出るんだ!だから、よかったら……」
七々瀬「…………だから?」
タロー「…………え?」
かつての騒動に巻き込まれた少女はタローの言葉を遮り、彼を厳しく睨み付けた。
七々瀬「しつこい。うるさい。初対面なのにいきなり話し掛けられてきても、迷惑なだけ」
タロー「え、あ、ごめんなさい……」
七々瀬「それに、外部の人間だか何だか知らないけれど。……これ以上部外者にズカズカ踏み込まれるのは真っ平ごめん。『私』の邪魔をしないでくれる?」
そうタローに言い放つと、七々瀬はそそくさと立ち去ってしまった。その一部始終を呆然と見ていたが、美園が静かにタローへ駆け寄り、迅も慌ててそれに続く。
美園「……いくら何でも、あれは、ちょっと……」
迅「すみません!お2人とも、本当にすみません!!」
タロー「ううん、俺こそごめん…。ちょっと、調子に乗っちゃったみたい……」
美園「確かに、少し調子に乗っちゃったかもしれないね。だからこそ、この経験を次に活かしましょ?ね?」
タロー「うん……」
美園「……それにしても、あの様子じゃ彼女の心を開くにはだいぶ難航しそうね……」
迅「本当に…。七々瀬さん、活動の様子を見ても音楽が好きなのは間違いないんですけど『よー、迅!』……おっ!」
今度は3人の女子生徒たちが美園、タロー、そして迅の元へ走り寄って来た。青いツインテールが特徴的な快活そう、かつ小柄な少女。大きなリボンにロングヘアの大人しそうな少女。そして緑のロングヘアとケープが特徴的な品の良さそうな少女だ。彼女たちは七々瀬とは異なり、それなりに美園たちに友好的な様子だ。
???1「やーっと来たのかよ!あたしら3人とも待ちくたびれたぜ」
???2「はわわわわ…!ほ、本物の、SONOさんとTAROさん……!!」
???3「なるちゃん、しろちゃん、落ち着いて。…………えっと、なにか取り込み中だった?」
迅「大丈夫だ、むしろちょうどいいところに来た!……タローくん、美園さん。紹介しますね。そこの青くて小さいのがベース担当の箱部なる、デカいリボンの物静かなのがキーボード担当の小仏凪、緑のケープをしているのがチェロ担当の月鈴白奈です。それで……」
???1「そうそうあたしが……って、おい、オイコラチビってどういう意味だ、アアン?」
???3→凪「なるちゃんは落ち着いてってば。……ねえ、迅くん。お二方も。ここだと他の人も来るし、移動しない?」
美園「そうね…。よければご案内頂けます?」
???2→白奈「は、はいっ!もちろんっ!」
案内役の迅に加え、なる、凪、白奈と共にある部屋へ移動する。この部屋は旧校舎にある元軽音部室、現「シンセサイザー同好会」の部屋であり、今は迅の管轄内にあるのだという。中にあった古びた椅子に腰掛けると、なるが口を開いた。
- それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.578 )
- 日時: 2025/05/25 15:17
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
???1→なる「んじゃ、もう1回いくな!あたしは箱部(はこべ)なる!『イロドリミドリ』の最強無敵のベーシスト様だぜ!白奈からお前たちの噂は聞いてるぜ?だから一緒に動画で観た!……お前らの演奏、結構イカしてたぜ!!」
タロー「え、なるちゃんって俺たちのこと知ってるの!?」
なる「んー、まあ、白奈の見つけた動画でちょっとだけどな!日焼けした、ええと、タローだっけ?お前はそこそこドラムやってるっぽいけど……。あっ、そこの青髪のお前!お前はギターは最近始めたばかりだろ?あとなんかベースやってた金髪のデカい男も!お前らの出す音は経験者とはビミョーに違ったんだけど、なのにあのテクニック…!あとは自分の魅せ方も分かってるし、どっちもただモンじゃねーな!!」
美園「!!……あの、少し聞いただけなのに、それが分かったんですか?」
なる「おう!んでもう1人のギターの女と、キーボードの男はバチバチに経験者だろ?」
美園「うん、うん!正解よ!」
凪「……なるちゃんは、とても耳が良いの。」
タロー「そうなの!?だからちょっと聞いただけで分かるんだ!すっげー!!」
なる「おー、いいぜ?ほら、もっとなる様を褒めろ!もっと、もっと!!」
タローに褒められて気分を良くし、ふんぞりかえるなるを迅が制した。
迅「箱部はその辺にしてくれ、あんまり時間がない。…小仏と月鈴も、改めて自己紹介頼む」
凪「……小仏凪(こほとけ・なぎ)です。『イロドリミドリ』のキーボードをしています。よろしく。……これで、いい?」
タロー「うん、凪ちゃんだね!よろしくー!……キーボードかあ。サユリちゃんとか、まさ…MASAと同じだ!」
凪「そうなの?……しろちゃん、ぼーっとしてないで。ほら」
元気いっぱいで多弁のなるに対して、凪は元から大人しく口数が少ないようだ。彼女は最低限の会話ののち、目をキラキラさせて美園とタローをずっと見つめていた白奈に会話を繋いだ。
白奈「え、あ、はい!……舞ヶ原高校2年、月鈴白奈(つきすず・しろな)と申します!『イロドリミドリ』では主にチェロパートを担当しています。……あの、私、以前のパフォーマンスを拝見してから『パシフィカ』の大ファンで…!今回迅くんから野外フェスで皆さんにお会いできると伺って、本当に感無量なんです…!!」
美園「そうなの?私たちの演奏が貴女に気に入ってもらえたなら嬉しいわ。ありがとう」
タロー「やったー!俺、すっごい嬉しいよ!俺たちこそ、野外フェスではよろしくね!」
白奈「はいっ!…先ほどなるちゃんと凪ちゃんも言ってましたが、SONOさん……美園さんはギターは経験者ではないのですよね?『パシフィカ』の活動のためだけに習得されたのですよね!?それなのにあれほどの正確性とテクニック、周囲を見て落ち着いて演奏できる能力は他にも多くいるギタリストたちに決して劣らないと思っています!そしてTARO…タローくんのドラムのリズムは少し疾ることもありますが、とても力強くエネルギッシュで、何より見ている人々全てを明るくさせる素敵なエネルギーを持っています!舞台だとバックに配置されてしまうドラムであれだけの存在感を出せるのは本当にすごいです!それに他のお三方の織りなす三位一体のメロディが組み合わさればまさにフロアはバイブス最高潮!!嗚呼、風光明媚!!素晴らしきかな『パシフィカ』……!!」
凪「しろちゃん、しろちゃん。落ち着いて」
白奈「はっ!……あ、あの、ごめんなさい!私ったら……」
なる「白奈は好きな音楽を話すといっつもこうなるんだよなー。でもコイツがこうなるって言うのは、そのアーティストがイイもん持ってる証拠なんだぜ?」
美園「な、なるほど……;」
タロー「うーんと…。つまり俺たち、褒められてたんだよね?やったー!」
少し見た程度だというなるや反応の薄い凪とは異なり、白奈は既にガッツリタローや美園たちのパフォーマンスの虜になっているようで、早口で捲し立てていた。それだけ演奏に夢中になっていることにタローは素直に喜び、美園は白奈のあまりの熱意に少し引きつつもありがたく受け止めていた。
美園「じゃあこちらも、改めて自己紹介を…。夢ヶ丘市中、陽光学園3年。伊吹美園(いぶき・みその)、と言います。さっき白奈さんが言っていたけど、パシフィカの活動中はSONOというステージネームで活動しています。担当は…一応、ギターボーカル。タローくんと他3人も含めて、よろしくお願いしますね」
タロー「はいはーい!俺も!連太郎!タローだよ!ステージネームはTAROだよ!担当はドラムボーカル!3人とも、俺たちのこともよろしくねー!」
なる「あ!?SONOってあたしらの先輩だったのかよ!?マジか!?」
迅「そうだって言ってんだろ?……この3人は全員高2。タローくんと自分と同学年なんです。美園さんの1学年下ですね。あと、3人の属する音楽グループ、『イロドリミドリ』も野外フェスへ協力の意思表明をされていますね」
美園「ええ。確か、依頼時に言ってたわね。舞ヶ原の野外音楽フェスへの参加グループは3大グループの『イロドリミドリ』、『S.S.L』、そして『Hanamina』……」
タロー「それに、俺たち『パシフィカ』!あとは迅と雷那ちゃんの『THE NAMELESS』!……だよね!!」
迅「はい、正解!」
凪「ええと…。そういえば今いるあなたたちの他に、バンドメンバーはあと3人いるっていうけど…。その人たちは今どこにいるの?」
白奈「私も気になっていました!ぜひCORIEさんやMASAさん、CHRISさんにもお会いしたかったのですが……!」
美園「あー…。彼らはそれぞれの用事があるから、今日はここには来れないのよ」
なる「ふーん?…もしかして全員留年スレスレのヤベー奴らだったりして!用事って、まさか補修とか?にゃははwww」
美園「あはは……;あんまり彼らについて変なことは考えない方がいいわよ?後が怖いから」(なるさんのコレ、もし聞いたら間違いなく絶エモが飛んでくるわね)
迅(そもそもあとの3人は高校生じゃないしなwwwヤッベェwww)
当人たちの詳しい事情を知らないなるの見解はとりあえず軽く流し、全員の紹介が終わり、とうとう野外フェスの話に移る。
タロー「そうだ!迅からちょっとだけ聞いてるけど、舞ヶ原の野外グラウンドのキャパってどれくらいあるの?」
なる「キャパなあ…。うちのライブ用の野外グラウンドはすげー広いぜ。なんせ、生徒会の奴らが今回の野外フェスのために工事の交渉して、急ピッチで拡充したからな!!あとあの人たちの作ったステージは広いし、なんか色々細工してるみたいだぜ?あたしたちも先週のリハで1回上がったけど、あたしら6人がベースとか、それぞれの楽器を持ったままダンスしようとしても全然問題なかったぜ!!」
凪「あくまでうちの芹那先輩伝なんだけど。生徒会長の芒崎(のけさぎ)先輩によると、今回のステージには特設の専用スピーカーがあるから、少し遠くにいる観客の方にも歌声や音声がしっかり届くようにしたとか何とか…。それはあなたたちも活かせるものなんじゃないかと思うけど」
迅「まー、特設の工事のせいで生徒会の皆さんはめちゃくちゃ大変そうだったけどな。……それなんで、今いる生徒全員の倍くらいが収容できるくらいはありますね。うーん、グラウンドのみだとギリギリ1000人、くらいでしょうか」
美園「あ、いち学校にしては意外と多いわね。うちの学校より広いかも……」
白奈「元から野外ライブは行えそうなくらいの規模はあるんです!最も、実際にグラウンドで音楽のイベントを開催するのは今回が初めてのようなんですけどね」
凪「3大グループの中だと、『S.S.L』…生徒会グループの世間的な知名度が1番あるの。あの人たちはストリーミングに楽曲提供をしているから。宣伝ではあなたたち……外部の情報はサプライズにして、ストリーミングでお馴染みの『S.S.L』のシンセミュージックがライブで聴ける!……というところを1番のウリにするみたい」
なる「やっぱし高校行きながらプロの活動してる奴らは違うよな〜…。ま、本番で1番のパフォーマンスをするのは、あたしら『イロドリミドリ』だけどな!」
迅「それと、例の件のような出来事を防ぐために、今回の外部ゲストは完全に招待制にするらしいです。具体的には今回の野外フェス用の観劇用チケットを所持している人のみが入場できるようにするそうですよ。具体的には事前に舞ヶ原の関係者へ渡す分のチケットを準備して、残りのチケットは生徒会の皆さんが作った学園の特設サイトで抽選制にするそうです。先日ギルドの皆さんが指摘された危険人物の入場制限の件も生徒会長に報告したんですが、これに関してはきちんとイベント運営や生徒会の皆さんが中心に対応されるとのことでした」
白奈「あと、そのことに補足して……。ライブ中は出演パフォーマーの皆さんへの歓迎の手拍子なり軽い掛け声はいいけれど、過度な野次やステージ周辺に押しかけるような真似はご遠慮くださいという方針にするようです。まあ、例の件からの教訓ですね。今回の野外フェスの開催にあたってOB・OGの皆さんにも伺ったのですが、あの時は一部の治安の悪い観客が詰め寄ったり過度な野次が原因で暴動に発展してしまったようなので……」
迅「……ああ、もちろん。もしそちらの方が野外フェス観に来られるようなら、俺の名前であらかじめ希望人数分のチケットをその方々へ配布するのでご安心くださいね?」
タロー「わかった!ナカジやサユリちゃん、烈たちに舞ヶ原に行けるかどうか話してみるね!」
美園「私も用事がないようなら矢島や凛ちゃんや奏ちゃんを…。あれ?ごめんなさい。余計なお世話なのだけど、それで外部用のキャパは埋められる?」
なる「それはあたしも思ったんだけどよ!うちの生徒会長が言うには『野外フェスは初めての試みだから、コレくらいがちょうどいい』……んだとよ」
凪「あまり人数が多くても、混雑やトラブルの元になるから……。そう、前のイベントの時のように」
白奈「こういった事情があるので、正直、外部ゲストは100人程度集まればいい方だということのようです!仮に予想以上に観劇したいという人が殺到してしまったら、そこの対策は次回以降の課題にするみたいですね」
迅「一応抽選に外れたゲストのためにも、運営が作った特設サイトから生放送でライブ配信を行うようです。……ですので、皆さんのライブもそこで配信されますね?しかも全国放送で」
白奈「『パシフィカ』の名を全国区に轟かせるチャンスですよ!!」
美園「生放送か…。直接聴く訳ではないにしても、多くの人の耳にパフォーマンスが留まる、というわけね!」
タロー「おおーっ!何だかワクワク、ゾクゾクしてきたぁ…!めちゃくちゃやる気が出るなあ!よーし、やるぞーー!!」
なる「なんだなんだー、あたしも燃えてきたぜー!!」
舞ヶ原の野外グラウンド、及びそこに設営された特設ステージは集客する上で十分な広さがある。さらに舞ヶ原の生徒会の面々が依頼した特設工事により、スピーカーで少し離れた場所にも音楽が問題なく届くとのこと。特設ステージもイベントパフォーマンスを行う上で問題ない仕様になっていることが確認された。例の体育館ジャック騒動の件でWST側が懸念していた生徒の過剰な興奮、及び外部ゲストに対する対策や配慮もしっかり練り込まれており、運営の熱意と手際にタローと美園は感心するばかりだ。それだけ舞ヶ原のイベントに関わる生徒たちが本気だということだろう。
舞ヶ原の生徒たちと外部ゲストに自分たちの最高のパフォーマンスを見せるため、今から武者震いするサーファードラマー。そんな彼を観てにこにこしていた旋律紡ぎし少女だが、ふとあることを思い出し、イロドリミドリのチェロリストに向き直る。
美園「あ、そうだ。話は変わるけど……。白奈さん。先日の深夜番組で特集されていた『月鈴那智』さんのことだけど。……あの方、あなたのご親戚?」
白奈「!!」
白奈「……っ」
美園「白奈、さん?」
タロー「白奈ちゃん?あれ?どしたの?」
迅「月鈴?」
白奈「あ、ええと、その、ですね……」
音楽や学園についてハキハキと楽しそうに喋っていた先ほどとは異なり、急に歯切れが悪くなった白奈。そんな彼女の呟きに被せるかの如く、凪が口を開いた。
凪「……ねえ、迅くん。2人も。そろそろお開きにしない?もう遅いし、私たちも家に帰らなきゃ」
迅「あ?ああ、そうだな…。タローくん、美園さん、本日はわざわざ俺たちの学園までありがとうございました。駅前まで送りますよ」
美園「そ、そう?ならお言葉に甘えようかしら」
白奈「あっ…。改めて、野外フェスへのご参加、本当にありがとうございます!私たちも本番でお2人と仲間のお3方に負けないパフォーマンスを出来れば、と思います!」
なる「おう!そうだな!……タロー、美園!また野外フェスでな!他の奴らのことも、楽しみにしてるぜー!!」
タロー「うん!またねー!!」
凪「……しろちゃん、大丈夫?」
白奈「どうしよう。私、お2人にひどいこと、しちゃったかな」
なる「ん?まー、でも、仕方ねえよ。白奈。……今の『イロドリミドリ』のチェロリストとヴァイオリニストは、お前なんだぜ?もっと胸を張れよ」
白奈「…………」
その後、駅前で迅と別れ、タローと電車で帰還する旋律紡ぎし少女は……。
美園「……タローくん、気付いた?」
タロー「ふああ…。えっ?何が?」
美園「舞ヶ原の秘密。萩原七々瀬に関するかつてのこと、だけじゃないかも」
タロー「えっ……?」
……
- それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.579 )
- 日時: 2025/05/25 15:22
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
「幕間」
真理子「おっ、美園たちが帰ってきたね!お疲れー!」
美園「ただいま。あんたとサーニャちゃんもちょうど今帰ってきたのね」
タロー「たっだいまー!サーニャちゃん、真理子ちゃん!そっちはどんな感じだった?」
サーニャ「うん、私たちの方は中々いい感じよ。えっとね……」
現在時刻、18:45。クロスオーバーワールド内、ギルドにて。4人は無事に帰還した。それと同じ頃合いに。
カミュ「……なんだ貴様ら。揃っていたのか」
コリエンテ「こーんばんはー!……よかった、今日は間に合ったー!」
真斗「こんばんは。…お前たち、今日はそれぞれ舞ヶ原高校と奏坂学園へ向かう予定だったのだろう?どうだった?成果はあったか?」
本日はそれぞれ仕事があった伯爵アイドルのベーシストとスイマーギタリストと和風アイドルのキーボーディストがギルドに現れたのだ。3人とも依頼の件の進展が気になっているようで、到着次第、早速その話題を出してきた。
サーニャ「ふふ、3人ともお疲れ様!……こっちは割と順調よ。雷那ちゃん以外の奏坂の生徒さんの中に、協力してくれる人たちを見つけたの。もちろん現役オンゲキプレーヤーの子よ」
真理子「明日からその子たちがオンゲキの動き方やステップについてレッスンしてくれるんだって!ひと月後の野外フェスまでに何とか、形になるようにね!それにシュータードレス……オンゲキの専用の衣装の会社を紹介してくれるってさ!」
コリエンテ「マジで!?1日でそれって、超順調じゃん!?」
真斗「ふむ、専用の衣装か。そういえば今回の舞台ではこちらでも必要なものだな…。せんぱ…いえ、CHRIS。俺たちの方は社長に打診しましょうかね?TAROはCHRISと上背や体格が近いので衣装を用意することは問題ないと思いますが……」
カミュ「ふむ、俺たちと連の分はそれでいいが…。コリエンテと伊吹はどうする。あくまで此方は男性メインの芸能事務所だ。2人の分は用意できんぞ」
真理子「あー、それなら苗木くんか日向くんを通して舞園さやかちゃんに相談したら?舞園ちゃんはバックアップメンバーの中でもめっちゃ協力的な方だし、『依頼関係で必要』っていえば全然大丈夫っしょ」
真斗「!…そうか、なるほど。舞園か…。感謝する。日向伝で相談してみよう」
コリエンテ「んでんで、タローと園っちの方は、どうだったの?2人は舞ヶ原に行ったんでしょ?」
コリエンテの問いに頷き、旋律紡ぎし少女が答える。
美園「そうね、迅くんの案内で。……まず、萩原七々瀬さんは例の件のせいでかなりの人間不信になってしまっているみたい。あの様子だとまず協力は得られそうにないし、それ以上に彼女の心を動かすことはだいぶ難航しそうね。仮に本番でベストパフォーマンスができても、話を聞いてもらえるかどうか……」
タロー「俺、七々瀬さんに話しかけようとしたら怒られちゃった……」
真斗「何と。萩原の人間不信、か…。例の件の詳細から予想はしていたが、お前たちがそれほど言うとなると、本当に厳しそうだな…。」
コリエンテ「タローが話しかけようとしても全然聞いてくれないって、めっちゃヤバくない!?大丈夫かな〜……」
真理子「……ま、だからこそ、やり甲斐もあるってもんじゃない?だってアウェイほど強いのが『パシフィカ』でしょ!でしょ、でしょ!」
美園「……そう、よね」
カミュ「それは事実だが…。何故貴様がそこまで分かりきったような面をしているんだ…。気に食わん」
コリエンテ「どうどう。他には何かあったー?」
タロー「あとはね、迅のクラスメートの子にも会ったよ!なるちゃんと凪ちゃんと白奈ちゃん!特に白奈ちゃんは俺たちのことを結構知ってるみたいだった!」
美園「彼女たちはぜひあなたたち3人にも会いたいと言っていたわ。特に月鈴白奈さんは相当な音楽好きのようだし、まずあなたたちの本職の方も知っている、と捉えて間違いないわね」
カミュ「ほう?つまり、其奴は俺及び俺たちに魅入られた愚民ということか」
コリエンテ「え、マジ?やった!白奈って子、やるね〜!」
真斗「そのような生徒がいたのか。グループだけでなく、俺たち個人についても知っているとは…。何だか照れてしまうな…」
美園「彼女たちは舞ヶ原の3大グループ・『イロドリミドリ』のメンバーなんだけど…。私、その白奈さんについて、少し気になることがあって……」
サーニャ「?……ねえ、美園ちゃん。気になることって、何?」
首を傾げる元ナイトウィッチの問いに、美園は眉を顰めつつ話し始めた。
美園「たまたま名前を知っていたから出したんだけど…。彼女と同じ苗字の『月鈴那智』さんという人のことについて話題に出したら、白奈さんは急に歯切れが悪くなってしまったの」
真理子「えっ?何で?」
タロー「それは俺たちも分かんないよ〜……」
真斗「月鈴?……む、すまない。どこかで聞いたことが、あるような……?」
サーニャ「真斗くんも?実は私も…。どこでかは、忘れちゃったけど……」
美園「那智さんは深夜の音楽番組に出ていたから、それかもしれないね。……それで、突然なんだけど。コリエンテ、真斗くん、カミュさん。3人は『月鈴那智』についてちょっと調べてくれるかしら?」
カミュ「ん?……何故だ。例の如く、七海に調べさせればいい話だろう。あ奴はここの専属オペレーター、対象捜索の実力は申し分ない」
伯爵ベーシストのそのコメントに旋律紡ぎしギタリストはため息をついて被りを振った。
美園「もちろん千秋ちゃんにも頼む予定だけど、本人の評判についてより詳しく聞くなら、現場の音楽関係者と多く知り合いである貴方たちの方が適任だと思ったのよ。こういうケースの場合、当人の性格や評判も関係あると思って。今回は私やタローくんより貴方たちの方が情報を集めやすいでしょう?」
真斗「なるほど。それは確かに、な。……依頼関係ということで、このことはチームメンバーや月宮さんたちと共有してもいいだろうか?」
美園「うん、お願い」
コリエンテ「オッケー!1週間後にMIDICITYの水バンド組の集会があるから、あたしもそこでちょっくら聞いてくるね!」
カミュ「はあ、仕方あるまい……」
美園「カミュさん?ちゃんと、お願いね!」
カミュ「仕方ないと言っているだろう。何故俺にのみ念を押すんだ」
真理子「うーん。日頃の行い……ってやつじゃない?(笑)」
カミュ「…………骨の髄まで凍てつかせるぞ貴様」
サーニャ「ちょっと、真理子ちゃんってば!……あの、落ち着いて下さいね?」
こうして、彼らの夜は更けて行く……。
……
- それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.580 )
- 日時: 2025/05/25 16:20
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
野外フェス開催まで、あと2週間…。
コリエンテ「こーんにっちはー!」
キンタ「ああ、こんにちは。コリエンテちゃんはいつも元気だね」
リックス「コリエンテ、おっつかれー!リーたちも会いたかったよー♪」
ミックス「お姉ちゃん、落ち着けだし。相変わらずアンタもハイテンションだし。……あれ、他の3人はどうしたし?」
コリエンテ「ウエンディたち?今日はみーんな美味しすぎる水のバイトを入れちゃってたんだって!だからあたしが代表で来ました!どうよ?」(ドヤァ)
リックス「なるほどねー!でもウエンディたちにも会いたかったな」
コリエンテ「次は多分タートルくんたちが行くよ!……あれ?他の……アルカレのみんなとかは?」
キンタ「ああ。アルカレのみんなはオリオンくんのご自宅で彼のお爺さんの記念パーティがあるみたいで、そちらに出席するから、今日の集会への参加は辞退するとのことだよ。ミトミトンさんたちも、ちょうどボックスカーのツアー中だから集会には来れないと話されていた」
コリエンテ「なるほどなるほどー。じゃあ、今日はこの4人だけかな?……あ」
スイマーギタリストはこの日、MIDICITYのしぶバレー、BBR事務所近辺にいた。先日彼女自身が話していた通り、この日はしぶバレーの居酒屋で、水属性バンドキャラの集会兼それぞれのバンドの近況報告があるのだ。今回集会の場にいるのはコリエンテの他に、料理対決でも顔を見せたコリエンテの憧れの先輩アーティストであるガウガストライクスのギターボーカリスト。同じく料理対決で司会を務めたラペッジオートの双子ボーカリスト。そして。
コリエンテ「あっ、リカオくんじゃん!珍しい!今回は来れたんだねー!」
リカオ「ああ、コリエンテさん。お疲れさまっす。……先日はすみませんでした。うちの抱える案件の佳境で、合同イベントの参加を放棄してしまって」
コリエンテ「全然問題ないよ!むしろ、次はカオスな出来事がもっと起こる時に来てねwww」
リックス「そうそう!普通に賑やかなのとカオスなのは楽しいしねー!www」
リカオ「……いや、あの、すみません。遠慮しておくっす……」
キンタ「あー…。まあ、クロスオーバーワールドで起こることは大体カオスなことになるからね;」
ミックス「多少のおかしいことならMIDICITYでもよくあるから目はつむるけど、アレと同じくらいの破壊騒動なり異臭騒動は絶対にごめんだし;」
1人、今までのクロスオーバーワールドのイベントで全く姿を見かけていないミューモンがいた。彼の名前はリカオ。「Yokazenohorizon」というバンドのギターボーカリストであり、本物の弁護士だ。彼のバンドのメンバーは全員バンド業の他にそれぞれ本業を抱えている。そのためかなり多忙であり、MIDICITY全土が盛り上がる大型音楽イベントはまだしも、通常のイベントや集会に顔を出すことは珍しい。今回はたまたま抱えていた仕事が落ち着いていたため、会合に出席しているようだ。彼の存在を捉えたスイマーギタリストはポンと手を叩き、あの話題を出した。
コリエンテ「あっ、そうだ!リカオくんってさ、弁護士なんでしょ?人の情報って調べられる?」
リカオ「はい?人探しっすか?……ええ、まあ。一応はできますよ。それも含めて本職っすから」
キンタ「ん?コリエンテちゃん、リカオくんに調べて欲しい人がいるのかい?」
コリエンテ「うん!……んじゃ、今からちょっくら交渉しようよ!あんたに人探しを依頼しまーす!報酬はWSTから出す依頼金に、水属性の属性宝石にサファイアとアクアマリンとラピスラズリの宝石花!特に宝石花はMIDICITYだと珍しいから友だちや仲間やガールフレンドへのプレゼントにもいいし、もし売ったら結構いい値になるよ!どうよ?」
リカオ「え?ああ、まあ、構わないっすけど…。俺、WSTについてはあまり詳しくないんすけど、確かそういうのを調べる専門の人もいたはずじゃ?」
コリエンテ「それなんだけど、今探してる人はあたし達みたいな、そう!音楽関係者の意見を聞いた方がいいんだってさ。しかも今回の案件はWSTも関わる大きな急ぎの案件のやつなの!……んでさ、受けてくれるよね?」
リカオ「……はあ。承諾しました。雫の皆さんにはまあ、それ相応にお世話になってますから。急ぎならこの集会の間でできるだけ調べるんで。ただ、短時間なんで成果にはそこまで期待しないでくださいね」
コリエンテ「やったー!調べるのは『月鈴那智』っていう女の子でお願い!!なんかヴァイオリニストなんだって!あと、お礼にアンタの食べたいもの、全部あたしが頼んであげるよ!!」
リカオ「すみません。なら烏龍茶と煮物と枝豆サラダを。……んじゃ皆さん、俺はPCで色々やってますけど、気にしないでください。」
リックス「オッケー!じゃ、早速始めよっか!あたし、グレープフルーツサワーと唐揚げとお刺身でお願いしまーす!」
コリエンテ「あたしはとりあえずビールとたこわさでー!!」
キンタ「こ、コリエンテちゃん。リカオくんにリックスちゃんも、それを全部払うの、俺なんだけどな……?;」
ミックス「みんなめちゃくちゃ調子がいいし。いつものことだけど」
こうして、5人の集会が始まった。まず、キンタウルスが指定した居酒屋はやや古いが、接客と腕は確かだった。安価かつ良質なお酒やおつまみ、ご飯ものをかき込みながらの会話は非常に楽しく、全員が笑顔を浮かべる。飲酒を控えて調べ物をしているリカオですら、時々相槌を打ちながら気に入った話題には微かに笑顔を浮かべていた。
音楽好きなミューモンの彼らが話題に出すのはもちろん、MIDICITYやクロスオーバーワールド内で大活躍するトップグループ。1番は相変わらず著名プロデューサーでもあるユーリが率いるカリスマV系アイドルバンドグループ「Deuil」。他の多数の有力グループがそれに食らいつき、下剋上を狙っている……という構図はいまだに変化していないようだ。キンタウルスたち「ガウガストライクス」は彼らとは少し違った路線ではあるが、現状自分たちは彼らの後塵を拝してしまっている……と穏やかな彼にしては珍しく少し悔しさを滲ませながら語っていた。女性ユニットはまた毛色が異なる。こちらは絶対的強者が不在のより混沌とした戦国時代であり、「プラズマジカ」や「クリティクリスタ」、「徒然なる操り無限庵」、「BAD VIRGIN LOGIC」などといった著名グループが月末チャートでトップを奪い合っている。女性オンリーグループといえば、学生ながらもMZDによって認められてポップンワールドに招待され、ちくパ中毒者と熱心なファンを共に増やしながら躍進している「日向美ビタースイーツ♪」の動向も見逃せない。彼らの他にも、舞園さやかやニア、澪田唯吹といったソロでも目覚ましく活躍する期待のアーティストなどの話題でも盛り上がり、話題に出る人物はさまざまだった……。
そんな楽しい飲み会が3時間ほど続き、縁もたけなわ……となったところでPCに向かい合っていたリカオがコリエンテに話しかけてきた。
リカオ「あの、コリエンテさん。そろそろいいっすか?俺が調べられた範囲ですが、『月鈴那智』についてはおおよそ情報が出てきました」
コリエンテ「え?……ええっ、マジで!?」
リカオ「マジです。それであの、これからお伝えしても?」
コリエンテ「もっちろん!あっ、パソコンの写メ撮ってもいい!?ボイスレコーダーも!!」
リカオ「まあ、いいっすけど…。使うのはWSTのその案件のみにしてくださいね。俺の声と私物なんで」
協力者に許可を取り、スイマーギタリストはパソコンの画面へ携帯カメラを向ける。キンタウルスとリミックス姉妹も注目する中、コリエンテが準備できた様子を確認し、リカオは話し始めた。
リカオ「まず、『月鈴那智』は、舞ヶ原高校という音大付属高校の卒業生です。ここは高校としては珍しい……大学のような単位制の授業スタイルを取ってます。さらにバンド活動はもちろん、吹奏楽や声楽やシンセミュージック。マニアックなところだと各国の伝統音楽など、音楽のことなら自由に学べる少し変わった高風の学校っすね。現にここの在校生の一部が既に、ストリーミングでシンセサイザーのオリジナル楽曲を提供しています。このように活動的な生徒は本当に活動的で、彼らのような精力的な生徒は卒業後にプロとしても成果を出す確率が高いそうです」
コリエンテ「あー、その子たちは知ってる!『S.S.L』だね!前に迅がちょっと話してた!」
キンタ「つまり彼らは学生活動中に既にプロに近い活動をしているんだね。凄いな…。俺も学生時代にギターの練習はしていたけど、そこまでではなかったよ」
リックス「学生でも活動してるってのはウワサのしばりんたちやDOSのタツヤくんとかもそうだけど、実際に事務所にまで入ってるのは、それこそロージアちゃんたちクリクリ…MIDI女の生徒会の子たちくらいじゃなかった?」
リカオ「っすね。……んで、コリエンテさんの調べたがってる『月鈴那智』は1年前にこの学校を卒業してます。彼女は在学中には『イロドリミドリ』というガールズバンドのヴァイオリンパートを担当してました」
ミックス「え?バンドなのにヴァイオリン?あれ、結構珍しいし」
リックス「ねー!MIDICITYの著名グループでも……えっと、1個くらいしかないよ」
リカオ「それは俺も思ったんすけど、このバンド、楽器の他にも構成が結構変わってて…。かなり特徴的なんです。MIDICITYの著名バンドだと、構成メンバーが4人組とか5人組、少なくても3人組とかが多いでしょう?まず、ここは元は7人組なんです」
ミックス「うわあ。それは確かに多いし……。バンドグループじゃなくてアイドルグループかと思ったし」
リカオ「このバンドのリーダーであり、現3年生の『明坂芹那』という女子生徒がドラムパート。同じく現3年、『御形アリシアナ』と『天王洲なずな』がギターパート。現2年の『箱部なる』がベースパート。現2年の『小仏凪』がキーボードパートっすね。そこに前述のOG…元3年だった『月鈴那智』がヴァイオリニストとして加わり、7人組のバンドとして活動していました。軽音楽の側面が強いバンドミュージックにヴァイオリンなどの吹奏楽で使われるような弦楽器で本格的な音色が加わり、バンドミュージックとしては新感覚ながらオーケストラを聴きに行ったような特別な感覚が受けて、学内のイベントでは大の人気を博していたようです。」
キンタウルス「なるほどね。確かに軽音楽と吹奏楽の弦楽器の融合は珍しいな。他の競合グループとの個性も出るし、その音楽学校のイベントでは引っ張りだこだったんだろうね」
リックス「え?……あれ?ちょっと待って!7人って言ってたけど、今のだと1人足りないじゃん!」
ミックス「お姉ちゃんの言っていた通りだし。……まさか、仲間割れしたし?」
リカオ「違うっすよリックスさん、ミックスさん。確かにこのバンドは現在は6人組ですが、それは卒業とその後の海外留学で月鈴那智が脱退したからです。……俺はまだこのバンドに関係しているもう1人の名前を出してません。コリエンテさん、もう気付いてるんじゃないっすか?」
コリエンテ「…………そうだね。これはあたしでも分かるよ」
リカオ「…………そういや、那智さんの名前。少し変わってるっすよね。なぜなら……」
そこから続くリカオのコメントにコリエンテは確かに、と納得する。そして、リカオが敢えて言及しなかった人物が今回の依頼の根底の問題にあることを悟った。いつも賑やかなスイマーギタリストが突然静かになったことに何事かとキンタウルスやリミックス姉妹は驚いたが、コリエンテが彼らに「MIDICITYの著名バンド関係者たちへぜひ舞ヶ原の野外フェスの宣伝をしてくれ。生放送もあるようだから」とニッコリと説明したのち、今回の水バンド組の会合は幕を閉じた。
- それは愛と純情のセンチエレトリックってことだろSAGA(準備 ( No.581 )
- 日時: 2025/05/25 15:33
- 名前: 夢見草(元ユリカ) (ID: JC82K/KY)
……
音也&那月「『月鈴那智』?」
真斗「ああ。今回の依頼に関わる重要人物とのことだ。もし2人が彼女について何か知っていることがあるなら、ぜひ教えてくれ」
那月「えっと…。まず、翔ちゃんやトキヤくん、レンくんにセシルくんたちには聞きましたか?特にトキヤくんは物知りさんですから、何か知ってるかも」
音也「そうそう!あ、嶺ちゃんとか、蘭丸先輩とか、藍先輩も!」
真斗「ああ。俺もそう思って一応聞いたのだが、4人とも月鈴那智については知らないと言っていた。先輩方3人の方にはカミュ先輩がお聞きになられたのだが、彼らも知らない、とのことだった」
また別日。クロスオーバーギルドにはST☆RISHの中でも早乙女学園時代の元クラスメートの仲良し3人組の姿があった。この日はたまたま3人ともオフであり、それを思い出した和風アイドルが親友兼チームメイトの2人に情報収集を、と思い付いたのだった。
音也「つきすず……?うーん。マサ、ごめん!俺は知らないや!那月はどう?」
那月「……あの、真斗くんたちが探してるのって間違いなく『月鈴那智』さん、ですよね?」
真斗「ああ。その名前で間違いない」
那月「そうですよね!……確か僕、彼女のインタビュー記事の載っている雑誌を購入したから、知っていますよ〜!」
真斗「!?……それは本当か、四ノ宮!?」
那月「はいっ!那智さんは僕と同い年なのに、遠くの国で1人で頑張っているのはすごいなあって、それで覚えていたんです!真斗くんが今取り組んでいる依頼で必要なんでしょう?僕で知っている事でよかったら何でも教えますね!だから、僕のお部屋でお話しましょう?」
真斗「ああ!四ノ宮、心から感謝する!ありがとう!」
音也「おお、さっすが那月〜!あ、せっかくだし俺も付いてっていい?那月の部屋にある紅茶、美味しいからさ!」
那月「もちろんどうぞ〜♪せっかくだしお紅茶を飲みながら、久々に3人でお話ししましょう!」
音也「やったー!俺、買い置きのクッキー持っていくね!」
何と真斗の所属グループの仲間であり親友の1人でもある四ノ宮那月がたまたま那智の情報を所持していたのだ。嬉しい誤算に思わず大きな声をあげる真斗だったが、那月はいつものマイペースぶりを発揮しつつ、音也も連れたお茶会も兼ねようと、彼らをギルドの自室に案内した。
那月「えっと…。あっ、そうそう!これでした〜!真斗くん、どうぞ!」
可愛いもの好きな那月らしいさまざまな著名なキャラクターやマイナーキャラクターのぬいぐるみやセンスのいい家具や飾り物、綺麗なオーナメントに埋め尽くされた部屋の中。朗らかな天才は本棚から1冊の雑誌を取り出した。
その雑誌は1年前のものであり、中には「天才高校生ヴァイオリニスト!月鈴那智の秘密に迫る!」という記事があった。
音也「あっ、この雑誌が出たのは1年前だから、那智さん?は高校生なのか。……ほえ〜…。にしても天才ヴァイオリニスト、だって!すごいね……」
真斗「ああ。四ノ宮と同い年、ということは、俺たちともそこまで年齢が変わらないのだろう?にも関わらず、海外遠征で実績を上げているとは……」
那月「それより、那智さんが1番すごいのは海外遠征の不安や孤独に負けなかったことだと思います…。僕ならみんなと離れる不安のせいで、海外遠征なんて挑戦できないと思いますから」
単身で外国からも評価される那智に感嘆しつつも、彼らは雑誌を開き、那智についての情報を確認する。
那月「えっと、この記事からの引用になりますけど…。那智さんは近年の中学・高校クラシック界を牽引したすごーい演奏家さんだったようです。実際に3年前、彼女が高校1年生の頃にはヴァイオリンの全国大会で優勝されてますね」
真斗「ふむ。3年前、か」(確か、先の暴動の件で舞ヶ原の体育館ジャックが廃止された年だな……)
音也「へー!3年前っていうと…。俺たち、ギリギリ早乙女学園に通ってた頃だね!あー、懐かしいな。……学園の課題はめちゃくちゃ大変だったけど、あの下積の時間があったからこそ今があるからね!」
那月「そうですね!……あと、彼女は個人の活動だけでなく、『イロドリミドリ』っていうガールズインディーズバンドにも属していたようです。確か、メンバーの皆さんは舞ヶ原高校、だったかな…?そこの学生さんです。……この学校、この間、タローくんと美園ちゃんが行っていましたよね?つまり、依頼に関係する学校なんですよね?」
真斗「舞ヶ原…!ああ!そこで間違いない!」
那月「そこでも、那智さんは得意のヴァイオリンでバンドの演奏を支えていたようですよ。ただこの記事だともう卒業が近いからか、あと少しでそのバンドのヴァイオリニストは引退するって、書いてありますね……」
音也「あれ?OBだっけ?何だっけ…?その人はそれで活動する方法は選ばなかったのかな?」
真斗「一十木、今回の場合はOGだ」
那月「えーっとですね…。記事によると、那智さんはどうやら、自身のレベルアップのために以前から海外での活動を考えていたようです。中学、いや、小学校の頃からかな?それでも彼女にぜひうちの学校に来て欲しいって、舞ヶ原高校の附属の音楽大学や他の日本の音楽大学から推薦をうけていたようですけど、それらを全て断った上で渡欧する、と宣言していますね」
真斗「なるほど。それだと高校卒業後にOGとして『イロドリミドリ』の活動をすることはできないな」
那月「……それに加えて、那智さんは必要以上の束縛や干渉を嫌うタイプのようですね。彼女の演奏に目を留めていた海外の一部の人たちからもスカウトされているんですけど、自分が活動・所属する場所は自分で選びたいって、それらのスカウトは全て断ってますね」
音也「えっ、マジ?俺だったら素直にスカウトされちゃうかも」
那月「ええっと、それで、最後の質問は…。『残していく『イロドリミドリ』のメンバーと日本のファンに、何か伝えることはありますか?』でしたね。それで、那智さんの答えは……」
真斗「『問題ない。どうせ私がいなくなっても、あ奴らの取り組むべきことは変わらんじゃろう。それに、『イロドリミドリ』のヴァイオリニストのポジションは、私の他にも可能だ。事実、あ奴に託してきたからな』……ううん、那智さんは俺たちが思っていた以上に、中々に独創的な人物のようだな」
音也「え?『あ奴』?……マサ、今色々と調べてるんでしょ?その子のこと、分かる?」
真斗「……ああ。確証はないが…………」
……
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