マジック☆クローバー 作者/蜜◆4S1Ttn1X06

☆25話 ももこのお姉ちゃん
「お姉ちゃん……
この人はね、最近友達になってくれたヒャクパー」
ももこちゃんは、反応のないお姉さんに話しかける。
ここはどこかというと、もちろん、病院。
機械がいっぱいつながれた、ももこちゃんのおねえさん、キャロラインさんをみていると、
ももこちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきて、
アタイも切なくなってくる。
「ほら、ヒャクパー、この人がアタイのお姉ちゃんだよ」
そういいながらも、ももこちゃんの目には涙が溜まっていた。
「……あ」
アタイも、言う言葉がなくて、ただその場にたちつくしていた。
そんなアタイに、ももこちゃんは無理に笑って、いった。
「本当はね、お姉ちゃんを見ていると、泣きたくなる。
もう一生このまま、お姉ちゃんと話できないのかなあ……って。
本当は、本当は……!
お姉ちゃんともっと話したかったよお!」
ももこちゃんの目から、こらえていた涙がこぼれおちた……そのときだった。
「わあ……っ!なに?この光!!!」
ももこちゃんとキャロラインさんを、まばゆい光が包みこみ、
アタイはびっくりしていた。
こんなことがおきるなんて!
「ももこちゃん!お姉ちゃんを助けたい?!
だったら、呪文をとなえて!
『マジック☆クローバー』!!」
光のなかに向かって、アタイは叫ぶ。
そして中から、ももこちゃんの声がした。
「『マジック☆クローバー』!!」
ももこちゃんが呪文をとなえたとたん、
ももこちゃんたちを包んでいた光がはじけ飛び、
『なにが起きたの?!』という顔をしたももこちゃんと、
目を閉じたままのキャロラインさんがでてきた。
「ももこちゃん……そんなにお姉ちゃんを助けたかったんだねえ。
ももこちゃんがもっている、まだ目覚めていないはずの『魔法能力』が発動しちゃったんだよ。
きっと、お姉ちゃんはもうしばらくすると目を開けるはずだよ」
「なにがなんだかわからないけど……
お姉ちゃんは目覚めるんだね?!」
うれしそうな顔をして、アタイを見るももこちゃん。
「ん……?んんん?」
「お姉ちゃん?!
目覚めたんだねえ?!」
キャロラインさんが起きると同時に、ももこちゃんはキャロラインさんに飛びつく。
「ももこ?ももこなのね?!」
感動の再開……といったところかな?
「また明日……」
アタイは静かに、ボソッと小声でいってから、メリヤスちゃんたちがいる、店に帰ったのだった。

小説大会受賞作品
スポンサード リンク