マジック☆クローバー 作者/蜜◆4S1Ttn1X06

☆42話 ほんとに咲くの?!
「あ~あ……」
ももこが、ため息に近い声をあげた。
「どうしたのさっ。
ももこ、金のバラくらい、
ちゃちゃっとさかせて、次の村いこうぜ!」
セバスチャンが、ももこの背中をドンドンたたく。
「そうだよっ、さ、はやく準備しよー!」
アタイも準備に取りかかる。
「ヒャクパー、あんた軽々依頼受けちゃったけどね、
ガーデニングをあまくみてると、大変だよ?!」
ももこが目をつりあげる。
「そ、そうですよヒャクパーさん、
花の交配って、手間もかかればヒマもかかる、大変な作業がたくさんあるんです!
場所が悪ければ花は咲かないし、水も肥料もかかせないんです!
お母さんもガーデニングやってたので、ちょっとは私もわかります!」
ももこが言い終わると同時に、メリヤスちゃんも言う。
そんなたいへんなものだったんだ……
しょんぼり落ち込むアタイ。
「……ま、アタイも協力してやるから!
そんな落ち込まなくてもできる!」
「うん……ここで魔法能力が使えればいいんだけど」
そんなアタイを見て、ももこが励ましてくれたけど……
魔法能力は、『自分の都合だけで使ってはいけない』って法則があるからなあ。
「じゃ、まず、土に赤のバラの種2つ、それにジョウロ!
そろえよ!」
オリビアさんは、
『まず、金のバラのもとになる黒いバラを作ってきて!
つくれたら、みせにきてね』
って言ってた。
まずは黒いバラ!咲かせるぞー!
――それから1週間。アタイたちは、ついに!ついに――
「黒いバラだあー!!」
真っ黒な、黒いバラ。
そこまできたとき、アタイたちは土だらけ。
「すぐにオリビアさんにみせに行こう!」
――オリビアさん宅――
「オリビアさん!咲きました!
黒いバラが!!」
家に大声で呼びかける。
「ホント?!」
ドアをあけ、オリビアさんが出てきた。
「!!ありがとう!なぜか、黒いバラが咲かなかったのよね。
ここまでくれば大丈夫だと思う……けど」
オリビアさんは、一瞬顔をくもらせた。
「……オリビアさん?」
「ううんっ、なんでもないわ!
とりあえず、ありがとね。
金のバラは、これを枯れさせるの。
枯れたら、またきてね!」
「わかりました!それじゃあ、また!」
――でも、アタイたちはこのとき、オリビアさんのくもった表情の意味に気づかなかった。
うれしさの影に潜む、アイツに――
「……」

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