マジック☆クローバー 作者/蜜◆4S1Ttn1X06

☆36話 セバスチャンの親友
「あれは……たいへいた!」
「た、たいへいた?」
アタイの目の前では、茶色のクマの男の子が、お母さんらしき人としゃべっていた。
「おいらの親友なんだ。
とっても努力家なんだけど、成績が悪くてな……」
『おいらも、幻の村へ行きたい!』
「……?この風景、どっかでみたぞ?
もしかして……」
セバスチャンがいうと、また辺りが光に飲み込まれて……
『では、たいへいたはいかぬのじゃな?』
村長さんかな?今度は役場の前。
なにか地面に変な印がつけてある……
「やっぱり!これ、おいらの村、ブルバード村の過去だ!」
『ホントに行かないのか?
おまえも楽しみにしてたのに……』
『うん……おいらは勉強をがんばるさ!
おまえもあっちで、しっかりやれよ!』
セバスチャンだ!
一体、これからなにが……
『では、はじめる。
幻の村へ行くものは、陣の中へ!』
ぞろぞろと、セバスチャンと同じくらいのコたちが、
印の中へ入っていく。
『……』
そんな中、たいへいたは入らないのだ。
どうして?
「たいへいたは、さっきもいったように成績が悪すぎて、
いくはずだった幻の村……雪祭村にいくのを反対されて、同級生でたった一人、
ブルバード村へ残ったんだ」
そんなアタイの心を読むようにして、セバスチャンが答えた。
そうだったんだあ……
『北の国の神よ……このものたちを幻の村へ導け!
転送!!』
村長さんが叫ぶ。すると、セバスチャンたちはスッと消えた。
『セバスチャン……』
すると、再び光のフラッシュ。
場面がまた変わった。
今度は、必死にたいへいたが勉強している場面。
お母さんに怒られていた。
次は、受験に落ちてしまう場面。
カレンダーをめくるようにして、月日がながれた。
『なんで……おいらだけが!
もう、みんななんてどうでもいい!
村なんて、幻の村なんて!なくなればいいんだ!』
たいへいたの叫びがひびいたとき……
また、元の場所に戻っていた。
「わかった?この子の恨み、そして悲しみを……」
闇の能力者は、静かに言った。

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