【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第一話 箱庭村



「なっ……」

此処は……何処だ? 確か僕は鷹山に入って、鳥居をくぐって……そこからの記憶がない。……神隠し!? そうだ、自己紹介だ。僕はマロン。山のふもとの村に住んでいたんだ。ついさっき、入っちゃいけない鷹山に入って、変な鳥居をくぐったら此処に居たんだ。

「……あれ?」

此処は何処だろう。役場のような物がある。こんな村は来たことがない。何処の村なんだ? どうやって此処に来たんだ? 確か、僕は鷹山に入って、……?
目の前にはさっきの赤い鳥居があった。消えかけている。僕は急いでそれをくぐってみた。すると、さっきまでの場所に居た。帰って来れた。怖くなって、すぐに山から下りた。走って、転んで。それでも逃げた。得体の知れない何か から逃げるために。そして、十分ほどして、もう山から下りる距離までたどり着いた。僕は走り続けた。夕暮れが後ろから見える。だが、闇が僕を追っているような気がして、後ろを振り向くのはやめておいた。

「……あれ? 沼がある」

沼があった。5メートルほどの小さな沼だ。だけど、僕はそんな事も大して気にとめず、急いで駆け下りた……その時だった。

ざばんっ! 何かが飛び出して来た! その時、僕は意識を……失った……


「……はっ!」

目が覚めると、タクシーに乗っていた。僕はどうやって……あれ? 何だったっけ? 思い出せない。確か僕は……あれ? 思い出せないんだ! どうやって此処までたどり着いたんだ!?

「運転手さん! 僕は何で此処にいるの!?」
「……んだ? おめぇ都会から「箱庭村」に行きてぇって言って
おらを呼んだんだっぺ。おめぇが呼んだんだろ?」

……どういう事だ? 僕は都会から来ていたのか? 僕は何処に住んでいたんだっけ……? 色々質問してみたけど、運転手は「訳が分からない」と言う顔だ。
外へ出ようとドアを開けようとしたが、凍ったように動かない。背中が急激に寒くなる。拉致? それとも
このまま死んでしまうのか? 僕はパニックになって
ドアを殴った。だが、無駄だった。

「……そういや、おめーさん名前はなんてーんだ?」
「……僕はマロン」
「マロンか……なんかよく分かんねーけど、スモウとか強そうな名前だな!」

運転手はそう言うと、一人で笑い出した。良い感じの音楽が流れて、僕の不安は少しは和らいだ。(やわらいだ)運転手の車のカギには、船に乗っているカッパのキーホルダーがある。運転手の髪は、後ろからは見えないが、ヘンな髪型だ。

「運転手さんの名前は?」
「……おらはカッペイだよ」
「――うわあぁぁ!!

僕は心臓が止まりそうになった。運転手の顔が……カッパだったのだ! 叫び声で、運転手はビクッとしたが、やっぱり「訳が分からない」と言う顔で前を向いた。僕は何度も下ろしてと言った。だが、無駄だった。

「……さて、そろそろつくだよ。お? 雨も上がり始めた見たいだっぺ」

――暗いトンネルを抜けると、さっきの村に居た。戻ってきてしまったのだ。