【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第五星 ちゃんと三人
「……うぅ、ここは……」
海が見える。後ろの洞窟は閉鎖されている。衝撃などは感じなかったが……地震とか? オレ達は崖にいるようだ。ふわり、と柔らかい風が吹いて緑の草が足をくすぐる。こんなきれいな場所があったなんて知らなかった。まるで楽園だ。中央には大きな果物の木がある。オレは洋梨を一つ取り、かぶりついた。今度はガリッ! とかならなかった。しゃくしゃくした歯ごたえとジューシーな果汁が口の中に広がる。オレは倒れている奴らを見た。ちゃんと三人いる。一人でもあの時やられていたら……。オレは少し背筋が寒くなった。崖を少し進むと、絶大な海が広がっている。オレはその大きさに、自然の一部のようになったような気がして、おもわずふぅ~、と深呼吸した。此処は森でもないのに空気がうまい。梨の木からフィトンチッドが大量に分泌されているのだろうか。左側には結界村が見える。オレは心地よさにどさり、と草の上に大の字になった。気持ちいい。オレはしばらく目を閉じていた……
~χ~
「おい、起きろ!」
「……あぁ」
いつの間にか寝てしまったようだ。
「それにしても、こんな場所があったとは……」
「三人の秘密にしようね!」
ジュカインが周りを見回しながら言う。それにマグマラシが答える。……さて、ここからどうしよう? 帰り道が分からない。しかし、左側に石で出来た階段があった。オレ達はゆっくり下る。段々森が広がってくる。森に階段なんてあったのか! オレは驚いた。階段を下り終わると、完全に森の中へ入ってしまった。此処は……心霊スポット、「終わりの樹海」。入ってしまうと、二度と出てこれないと言う。
「三人で突破するしかないな」
「俺は森では無敵だ。任せておけ」
「そうだね。三人でがんばろ……」
「――」
ぞっ! オレの背筋が凍り付く。反射的に走り出す。
「おい、どうした!」
「ジュカイン!! 道案内頼む! 早く出るぞ!!!!」
「分かった」
ジュカインが左右に超高速で移動する。三つのジュカインが見える。「高速移動」だ。素早さがアップする。オレ達にもその効果がある。
思いっきり走りだす。「あれ」が後ろにいるようで自然とスピードが強くなっている。オレは息切れする。
「おまえらはあの時気絶していたから気づかなかっただろうが――」
「――オレが見た時、一緒に倒れていたのは「三人」だったんだ! つまり、オレを入れて倒れていたのは「四人」!」
「……何!」
あの時は疑問に思わなかったが、「四人」だったのだ。そして、倒れていたのは……血まみれの女! ジュカインやオレはシャドーボールの一部を喰らって出血していたから疑問には思わなかったのだ! 大いなる自然を目にして軽く神経が麻痺していたのだ!
「くそ、出口はまだなのかよ!」
その時、後ろで物音がした。

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