【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

二匹目 どうして
「……」
誰もいない。僕達は辺りの家を片っ端から探してみたが、物音一つしない。辺りが暗くなる前に寝床を確保しておきたい所なんだが。この村は大抵の家が白と茶色の煉瓦や木で出来ている。さらに探索していくと、村を少しだけ外れた森に井戸があった。だが、辺りが暗くて不気味なうえに僕達が来た瞬間カラスたちが飛び立っていった事もあり、深くは探求しなかった。興味深いのは、橋だ。川に石の橋が出来ていたのだろうが、地震か何か、又は川そのもので崩れてしまっている。しかも、かなりの激流により確実に渡れない。むこうには何があるのだろう? あっちがわに行く方法は全く分からなかった。。
「……おい、ライム」
「何?」
「あれを見ろ」
……。明かりがついている。とても小さな小屋だ。
「行ってみよう」
「マジでか……」
僕はしぶしぶついていった。そして、こっそり聞き耳を立ててみた。しかし、聞こえてきた内容は背筋が凍りそうな物だった。
「また「血の白蛸」が来たか……」
「川も壊れてしまったねっ!」
「どうする、このままでは我々が」
「それなんだが、さっき海辺に「ニンゲン」が流れ着いてきた」
「何!? ニンゲンだと!?」
「二人いたから、一人は人柱、もう一人を供物にしては?」
「それは良い! さっさと捕えるぞ!」
「しかし、相手はニンゲン。何を持っているか分からない。しばらく様子を見てみよう。この村に有害ならば即……」
「退場だ」
(……今の聞いた? ねぇマジで聞いた?)
(聞いている。とにかく、いったん離れるぞ)
僕達は、見つからないようにかがんで急いで離れた。どうして僕達が死なないといけないんだろう……。僕は泣きそうになったが、泣いてる暇なんて無いと割り切り、とりあえずレモンと辺りを探索した。幸いな事に、僕が乗ってきたと思われる船の一部が見つかった。三十分かけて海水に当たらない場所に出した。探っていると、僕達のバッグが引っかかっていた。中を急いで調べてみた。見つかったのは手でハンドルをこいで発電するライト、水浸しのケータイ、クーラーバッグ、ライターだった。レモンからは大きな緑色のビニールシート、ロープ、ナイフ、、ライター。さらに船の中から鍋と包丁が見つかった。とりあえず辺りの木の枝を集め、ビニールシートとロープを使って、簡単なテントを作った。今夜は此処で野宿だ。
「……」
どこかで、誰かの視線を感じた気がした。

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