【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第十七話 たまにはのんびり。
「あ~、寒いなぁ」
……時は午前五時。僕はいつものように早起きして、畑を耕して
いた。落とし穴の種の実がなったので、収穫しておいた。一つ
実を植えるだけで、一気に五個に増える。まるで米のようだ。
丸く白い色に、!マークがついたこの落とし穴の種。
実なのか種なのか微妙だが、心強い戦力だ。
「さて、これで良いかな……」
落とし穴の種を飛ばす鉄砲は、村の廃棄物がおいてある場所の
鉄くずが良い感じの形だったので、ちょっと改良して筒型の
鉄砲にしたのだ。一発を撃つには隙が大きめだが、タコスミパチンコ
よりは用途が多い。追いかけてくる住民の足下に撃つだけで
足止めが出来る。大人数ならタコスミ弾で視界をなくす。
うん、我ながら良いできだ。鋼色がかすかに光を反射する。
レバーを引けば、ズンっと音がし、手のひらサイズの落とし玉が
飛んでいく仕掛けだ。ちなみに、これから新兵器の事を
タコスミ弾(たこすみだん)と落とし玉(おとしだま)と
呼ぶことにしよう。お年玉と名前が被ってしまうけれど。
「さて、朝ごはん」
僕は保存しておいたタイと、果物を冷蔵庫から取り出した。
今日は桃。甘い香りが鼻をくすぐる。僕は丁寧に皮をむいた。
そして、種を取って、薄くスライスする。
これを冷凍する。細胞が壊れないか心配だが、……まぁ、
大丈夫だろう。
「さて、タイタイ」
鯛をさばいて刺身にする。残った頭はシンクにあった醤油をみりん、
それに出汁を加えてかぶと煮にした。けっこう高い料理だったりする。
「おっ、トースト」
チン、と音がして一枚トーストが出てきた。それに先日作った
桃のジャムを塗る。冷凍庫からは凍らなかったが良い感じに
冷やされた桃のスライスを取る。
「いっただっきま~す!」
まずは鯛の刺身。新鮮だからじつに美味しい。トースト、桃、それに
鯛。なんだかバランスがおかしい気がするが、このさい気にすまい。
「うん、いける!」
桃のジャムも成功したようだ。甘い味と桃の香りが口に広がる。
それにトーストのサクサクとした歯ごたえが、なかなかの
ハーモニーを作っている。悪くない。
「かぶと煮もなかなか美味しいな」
身を箸でほじほじしながら食べる。かなり面倒くさいが、味は
申し分ない。最後にデザートの桃を食べ、僕はふぅ、と息を吐いた。
「ウナギって餌、いるのかなぁ?」
タコスミ弾を作るために飼育しているウナギ。この村では
餌はいらなさそうだ。しばらくようすを見よう。
「さて、昼ご飯を釣るか」
僕は朝の海へ出かけた。木でピクニックテーブルに座り、
ぼんやりと海を見る。ピクニックテーブルを見つけたおかげで、
ずいぶん釣りが楽になった。だってイスがついているから。
それにしても……困ったな、海沿いなのは良いが、地震とかが
起きて津波が発生したら、確実に家は飲み込まれる。
確か、新聞にも載っていた。
「謎の嵐……一体、何なんだろう?」
ただの嵐なら良いが、もしかしたら何かと関係があるのかも。
その時だった。突然、辺りが真っ暗になった。思わずゾッとする。
立ち上がって上を向いた。空は雲に覆われていた。(おおわれていた)
……そして、ついに現れた。
「えええぇぇえ!?」
空から現れしは……

小説大会受賞作品
スポンサード リンク