【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



六匹目 ご紹介



「ふぅう~終わったあぁあぁ!」
「何もしてないだろ」
「寝ることで君の邪魔をしなかったのさ!」
「……」

えーこちらライム。こちライム。……あっ戻らないで!

「さて、何か食べ……」
「村の奴らを見ておく必要がある。挨拶に回るぞ」

今、僕は目覚めから覚めたばかりだ。木が堅いせいで背中が痛い。この家……というより山小屋だ。訂正しよう。この山小屋はとんでもなく埃まみれ……何年も掃除してないようだった。六畳間の部屋一つだけ。とにかく、おいてあったダンボールにロウソクを乗せ、火を付けた。明かりがポッと灯り出す。僕は(しぶしぶ)家を出た。鍵はすでにレモンが貰っていた。さすがですレモン先輩。

「地図によると、まずカクレオン、と言う奴が一番近いな」
「カクレオン……」



ノックをする。

「はぁぁ~い! ご用件はなんでござ……誰ですか?」
「新しくこの村に来ました。レモンと……こっちがライムです」

とってつけたような相手の「質問」にすでに「答え」を用意していたようにレモンが返す。どうやら、レモンはこの質問が来ることを予想していたようだ。

「はぁ~、新しい人ですかぁ! この村へようこそぉおおぉ! あっ、アクシュして下さい!」
「……」

無言でレモンが握手をする。二人(?)は腹のさぐり合いをするようにたわいもない話をしていた。そして、レモンが「他の人にも挨拶があるので」と返すと、すたすた歩き出した。僕は軽く頭を下げて歩き出した。今から分かった事を述べる。ノーベル。カクレオン……名前の通り、カメレオンそっくりの緑色の身体に、腹に赤いギザギザ模様があった。性格は良く言えばようき、普通に言えばテンション高すぎてウザいくらい。一人称は「ワタクシ」で、舌が長かった。……さて、次のどうぶつは……



再びノックをする。

「……はい、誰でしょうか?」
「あ、新しく引っ越してきたライムです。こっちはレモン」
「へぇ、珍しい。よろしくね」
「はい!」

その後、たわいもない話を軽くして僕は「他の人にも挨拶があるので」とレモンに皮肉を込めて言うと、すたすた歩き出した。へっ。さて、今回のどうぶつは好印象だった。名前はサーナイト。白い肌で僕と同じ緑の髪に、真っ白なドレスを着ているようだ。ニコリと笑う笑顔がステキ……いや、何でもない。一人称は「私」で爽やかな印象を受けた。いや、別にズキュンッてきてないけどね? ホントだからね?



ノックをする。

「……はぁい」
「あ、新しく引っ越してきたライムです。こっちはレモン」
「ふぅん、カワイイわね」

とりあえずこれからよろしくお願いします、と言うと僕は去った。相手の名前はミミロップ。兎の容姿に茶色い毛並み、大きな白いフサフサの耳と眉毛。大人っぽい仕草だった。一人称は私。いや別にドキドキしてないけどね?



ノックするのも疲れたな……

「……」
「新しく来たレモンです。こっちはライム」
「あぁ……」
「これからよろしくお願いします」
「……」

こいつ……無口。不気味。レモンもさすがに無理なのかすぐテキパキとまとめて歩き出した。ブルンゲルと言うらしい。大きな水色のクラゲ。一人称は不明。低い声だ。つねに宙に浮いている。こっちをジロジロと不気味な目で見られた。気持ち悪いな……。



「さて、お疲れ様」
「……寝るぞ」
「え」
「寝ないのか?」
「いや……その……」

レモンはロウソクを消すと、すぐに寝てしまった。しかし僕は……

「眠れないぃい!」

自業自得と言うべきか。たった今から……

僕の、恐怖の夜中の眠れない戦いが始まる!