【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第十五話 さぁ、探索だ



「うん。これなら」

新兵器タコスミパチンコ。このタコスミ玉は強い衝撃を加えると
液体に戻る仕組みだ。これで万が一襲ってくる奴がいても
何とか逃げる事が出来る。視界を潰せるだけで僕には心強い。

「さて……例の滝に行くか」

僕は走った。この滝……丸い形の大きな川に、ドドドドと大きな音を
立てて滝が流れていく。深さは……入れないが、相当に深いようだ。
黒い魚が時折姿を見せる。これはナマズだ。

「うーん……確かにいそうかも。どうやって龍神に会えるかな?」

もっと調査を続けないと。古い歴史を知ってそうな人は……
村長以外には考えられないな。よし、役場に忍び込んでみよう。
……いや、さすがに危険だ。いや、役場の奥にある本の山。
もしかしたらあれに書いてあるのかもしれない。
忍び込むのは……ちょっとやめておこう。堂々と行くべきだ。

「よし、村長に聞いてみよう!」

僕は村長に頼み、村の古い歴史を調べてみた。ドアを開けると
埃で思わずむせる。埃まみれの部屋には、古びた本が山積みに
なっている。どうやら役場の奥の本どころか、本を収納している
部屋があったようだ。相当な量の本。

「ん~……見つからないなぁ」

出てくるのは難しそうな本ばかり。新聞が床に散らばっている。
僕は拾い上げて読んでみた。それには、重大な出来事が書いていた。

『村のダム建設、失敗! 村が水浸し』
『突然謎の嵐が襲来……村には大ダメージ』
『滝から巨大な生物の影が見えたと言う噂。伝承の龍神か?』
『滝を止めて鉱石を取る予定だったが、作業員全員行方不明!』

「……これは!」

かなり有力な手がかりを得た。この新聞は貰っておこう。
かつて村でダムを作る予定だったようだ。しかし、失敗して
村は水浸しになったようだ。二枚目は突然謎の嵐が襲来し、
村が壊滅寸前になったようだ。三枚目は滝から巨大な生物の影が
見えたと言う噂があったらしい。これは……本当に龍神かも。
四枚目。これも気になる。滝を止めて鉱石を取るつもりが
作業員が行方不明……どういう事だ? また「消されている」のか?

……いけない。夢中になりすぎてもう時刻は夕暮れだ。もうそろそろ
帰ろう……。この件はまた家でじっくりと考えてみよう。
さて、帰るか……。僕は後ろを向いた。





「 ど う だ ね ? 」 




(――あああぁぁあ! ヤドキング!)

僕は必死で悲鳴を堪えた。後ろにはヤドキングがいた。
まずい……これは危険だ。後ろは壁、前はヤドキング。
こいつ……思ったより危険だ。どうしよう。
僕は冷静になって考えた。この状況を突破するには……

「この村の歴史……深いですね」

僕は少し興奮気味に言ってみた。あくまでも歴史を調べて驚いている
ようにするためだ。

「そうだろう。もう少し見てなさい」
「え? いや、もういいです」
「いいから」

ヤドキングは、そう言うとドアを閉めた。
僕はもう少し調べて見た。だが、大した物は見つからなかった。
……誰かに見られているような気がする。
怖いからもう出よう。辺りはもう暗くなっている。

「んっ、何だよこれ!」

その時、ようやく自分の状況に気が付いた。
……閉じこめられた!