【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第二星 村のみんな
「はっ、はっ……」
オレは走って村中を見回った。おそらくオレの顔は走っているのに青ざめているだろう。そう。「村のみんな」は人間ではないのだ。今までなぜ疑問に思わなかったのか逆に疑問に思う。泳ぐのが得意な大きめの黄色い鼬(いたち)のような外見の漁師のフローゼル。すごいスピードで空を飛べることから配達の仕事をしている灰色のプテラノドンのような外見、プテラ。悪戯好きの黄色と黒の電気ネズミ、ピチュー。薄緑の背中にトゲがいくつもついた身体、ダイヤ型の黒い腹、怪獣のような外見のバンギラス、青い兎のような身体、先端は丸い玉のような尻尾を持つマリルリ。青い身体に二つの目がある短い黒い尻尾、通称変人ソーナンス。背中は黒、腹は白、頭と腰から炎が出ている四つ歩行の鼬のようなどうぶつ、マグマラシ。緑色の身体に、両手に二つづつの刃、パイナップルのような尻尾を持つトカゲのような二足歩行のジュカイン。
「どれも……人間じゃない」
オレはひとまず朝ごはんを食べようとしてハッと気が付いた。テーブルのさくらんぼが腐っていない。二週間前の物なのに。
「防腐剤でも入っているのか?」
オレは仕方なく果物全てを捨て、朝吊った蛸を台所で調理することにした。蛸のヌメリを取り、叩いてミンチにして、塩胡椒で味付けし、手頃な大きさにまとめて焼く。オリジナル料理タコバーグだ。
「うん、うまい」
食材が新鮮なので実に美味い。じゅわりと蛸のうまみエキスが広がる。
すぐに平らげたオレは、まず武器を作ることにした。身を守るため、常に持つことが出来る物が良い。ジュースの缶をハサミで切って、セロハンテープを巻き、穴を開けロープを通し、ロープつきナイフを四つ作った。後はオモチャの小さな大砲を細工し、「落とし穴の種」を発射出来る強力な「落とし砲」を作った。
その時、近くで足音がした。窓にカーテンは付けているので見られては居ないハズだ。オレはポシェットに武器を入れた。
コンコン。ノックがする。ドア穴で見てみるとそこに居たのは……ジュカインとマグマラシ。いつも仲が良かった二人だ。オレは武器を構えながらドアを開けた。
「どうした、こんな早くに?」
「あぁ、オレンジ。お前も疑問に思わないか?」
「僕達、気が付いたんだ。果物は腐らない、斧で殴っても切れないことに」
「え?」
「この村は……おかしいんだ!」

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