【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第六星 後ろは見ちゃダメ
「え……」
それは後ろにいた。
ずっ、ずっ……。「それ」は長い髪をたらしながらゆっくりとこっちへ近づいてくる。ゆっくり……それなのに、高速で動くオレ達と同じレベルのスピードだ。後ろは見るな、と叫び、さらにスピードを上げる。……いつの間にか二人に増えている。さらに、もっと近づいてくる。もう周りは真っ暗だ。おかしい……ついさっきまで昼だったのに。
後ろからの足音はどんどん増えていく。オレは汗だくで走り続ける。
「……みんな!?」
気が付くと、隣には何も居ない。……はぐれてしまった。テレパシーを使っても何も聞こえない。ただ、暗い暗い森を延々と走るだけ。オレの体力は0になった。もう、走ることは出来ない。後ろを振り向くと……
顔に髪がかかった。そして、すだれのような髪の奥には……
真っ赤な顔が狂った顔で笑っていた。
「つ か ま え た」
オレは両肩を捕まれた。そして足首も捕まれる。腕を噛みつかれる。背中を切り裂かれる。強烈な痛みが体中に広がる。続いて首を絞められる。
「うおおぉぉおぉぉおおぉぉおぉ!!!」
オレは最後の力を振り絞り、女達を振り払う! 背中をナイフで切り裂かれるが、構わずに走り出す。森をまっすぐ行くのではなく、横に突っ切る! 木の枝をかき分け、走り続ける!
「――はっ!!」
気が付くと、家にいた。……オレの家か。
「気が付いたか!? 全く……驚いたぞ。突然消えたりして」
「本当にびびっ……心配したんだからね」
オレは背中を見てみる。傷跡は残っている。
「それで、気が付くと目の前にいて家に帰った瞬間気絶って……馬鹿か?」
「え……」
つまり、さっきまでこいつらと居たのは一体……?

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