【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第二十五話 起動するは運命の歯車
「はい?」
「あのさ、君……前の村で何してたの?」
僕は言うことにした。リーフィア。確実にメロンが「変えられた」どうぶつだ。まずは遠回りに聞いてみよう。
「えっと、普通に暮らしてましたよ。服屋さんで働いてました」
「へぇ~」
……? どういう事だ? リーフィアは……記憶が無くなっていない。……まさか、偽りの記憶を脳に入れられたのか? 何故? ただ出ようとしただけなのに……。よし、全てを話そう。
僕は辺りを見回すと、小さな声で全てを話した。
「……そうだったんですか」
「うん……一緒に出よう?」
「……はい!」
リーフィアは泣いてしまうかもと思ったが、心の強いどうぶつだった。僕達はとりあえず一度家に帰った。そして、ベッドの上で計画を練る。
まずは出るチャンスを待つ。それまでに出る方法を見つけておく。
まずは落とし銃の二つ目を作った。そして、落とし玉を大量に作っておく。二丁の銃と後はタコスミ弾を大量に作っておいた。そして……危険度は限りなくでかい。だけど、その報酬も限りなくでかい。……行くか!
~χ~
……ココは、「裏」の集会。役場の地下だ。薄暗い部屋で、何匹かのどうぶつがひそひそと話している。
「……おい、どうするんじゃ?」
「仕方ないだも。試作品ver2は処分という設定でいいだもか?」
「いや、待つでしゅ。もう少し待って異常がないか見てみるでしゅ」
「賛成らしい」
そう言うと、全員が階段を上って何処かへ行った。……光がさして、巻き貝やトゲトゲの毛、花や白い尻尾が見えた……
~χ~
「う~ん……」
僕は再び村長に話を付けて、また例の部屋に居た。ガサガサと書類を探し回る。三時間ほど経った後、ようやく目当ての物を見つけることが出来た。それにまつわる古の話も。
「これだ!」
【……ノオト…ゴを三匹…に入…ると、龍神…現れ…】
これに僕の見つけた紙と合わせると……タツノオトシゴを三匹滝に入れると龍神が現れる……か。これは……龍神。新聞に書いてあった龍神の事だったのだ! だけど、ここからどうしよう? 龍神が出たところで僕の脱出を手伝ってくれるとは限らないし……
「……これは?」
僕は、大きな木箱を見つけた。ボロボロの紙がある。
それは、昔話のようだ。
“むかしむかし、滝に龍神様が住んでいました。龍神様は、厄災の竜として村人に恐れられていました。しかし、ある勇者が現れました。その勇者は、雷のように光り輝く木の盾、とても鋭い紅色の剣、そして紅く光る夕日のような石を持っていました。彼は、龍神様をたちまちやっつけてしまいました。そして、龍神様の悪い心は全て消えて無くなってしまいました。今でも、龍神様は紅い石を持ち、雷の盾を紅の剣を持った勇者を待っていると伝えられています……”
「……これの事か」
紙をポケットに入れ、僕は二段重ねになっている底を開けた。それには、紅に光り、柄は黒い剣と、紅い石のネックレスのような物がある。
「これで、後はチャンスを待つだけだ…」
僕は、例の抜け穴からするっと抜けだし、釣りでタツノオトシゴを三匹釣り上げた。そして、成長して大きくなった雷樹を削って、その通り光り輝く盾を作った。
僕はその晩、剣と盾と石を隠した後、疲れのせいかぐっすり寝た。
その後に、暗黒の影が動いていたのだった……

小説大会受賞作品
スポンサード リンク