【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第十三話 対策



次の日、僕はさっそく金のスコップを使って畑を作り出した。
スコップで家の左側の土を耕している。大きさはせいぜい
五メートルくらいか。今はこれくらいだろう。
季節はもう春で、桜が風に乗ってふわりと僕の前に舞う。

「それにしても、寒いなぁ……」

いくら春と言っても、朝の五時から畑を作るのは寒い。
朝靄(あさもや)が少しかかっているこの村の空気は、ひっそりと
物音一つしない。僕はおもわず震えてしまった。
門番……ウィンディから落とし物で落とし穴の種を沢山貰った。
後はそれを増やして武器にするだけ。僕は未来の脱出のために
何とか畑の畝を作った。

「えっと、最初は九つくらいでいいや」

畝に植えれる種の数は三つ。畝の数も三つ。落とし穴の種は
以外と大きい。とにかく三つ植えて、コップで水をやった。
この村の木は異常で、果物をもぎ取っても3日経つとまた
実がなる、と言うまか不思議な木なのだ。
まぁ、果物を主食としている僕としては喜ばしいことなのだが、
それでも食べるには抵抗がある。

「さて、朝ごはんでも取るか」

僕はルアーを投げた。そして、座り込んで林檎を囓りながら
まったりと待つ。それから、三十分後。ようやく魚がくいついた。

「せいっ!」

釣れたのは……蛸! 紅い腕をうねうねと動かしている。
突然スミを放ってきて、僕の視界は真っ黒に染まる。
それでもなんとかクーラーバッグに詰め込んで、用意していた
タオルで顔を拭く。ようやく見えるようになった。
……ん? 嗅覚が聞かなくなっている。風邪を引いたか? いや、
タコスミだ! タコスミで嗅覚が潰れたんだ!!
これは、脱出に使えるかも知れない。ウィンディにかなり有効だ。

「さて、食べるか」

蛸の足の先には毒があるので切る。頭も美味しくないので切る。
残った足をまず塩でもみ洗いしてから茹でる。
だんだん真っ赤に色づき、良い匂いが辺りに広がる。
今日の朝ごはんは茹で蛸だ!
それから……三十分ほど。僕はたこ足を取り出した。

「よしよし、柔らかく仕上がっているな……」

茹でるとき、椿の葉を入れると柔らかくなる。これがコツだ。

「うん、うまい!」

僕はタコにかぶりついた。