【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第四星 トロッコバトル



「……」

奴が居る。憎しみのこもった強い目だ。しかし、「オレ達を見ていない」。「こっち」をぎろりと睨んでいるが、「オレ達」は眼中にすらない。そんなかんじだ。片手には蒼い波導弾、もう片手には黒いシャドーボールを作っている。そして、それを投げてきた。マグマラシの回転する炎と、ジュカインの光の弾が相殺する。「タネマシンガン」と「火炎車」だ。……しかし、さっきから思っていたが、こいつは威圧感がとてつもなく強い。ただそこにいるだけなのに、思うように身体が動かない。ポケモンと呼ばれる種族のどうぶつには特性というものがあるらしい。こいつの威圧感も特性だろうか。プレッシャーがすごい。

「――とこ――ろでさ――出口―はまだなの――か!!」

トロッコの速度で声が後ろに流される。新幹線並の速度だ。横を見ると、六メートルほど先に奴がいる。シャドーボールを連発してくる。オレは前を見た。後60メートルほど先に光が見える。出口だ。

その時、奴の紫の目が光った。

それを見ていたジュカインは微動だにしない。シャドーボールが目の前に迫る。マグマラシが火炎車でぎりぎり相殺する。ジュカインは動かない。瞬きすらたまにしかしない。

“やられた”
“どうしたんだよお前!”
“身体の自由を奪われた。金縛りにあったみたいだ”

破壊の化け物はすぐ後ろだ。トン、とトロッコの後ろに手を乗せる。……ミシ、とヒビが入る。マグマラシが後ろを向いて火炎放射を放ってブーストにする! ただでさえ速いトロッコは速度をぐんと上げる! 後ろに吹っ飛ばされそうだ! 後30メートルで出れる! そう油断したその時だった。破壊の化け物は瞬間移動して俺たちの10メートル先へ移動している。手は紫のエネルギーに染まっている。

「くそぉおぉ――!!」

オレは落とし砲を発射した。

ズドンと鈍い音がして、破壊の化け物に当たり、カッと光る。すると、破壊の化け物は一瞬で漆黒に染まる底へ落ちていった。どうやら空中にいる相手に当てると強いメテオ効果があるようだ。重力がかかって下に叩き付けるという仕掛けだ。

「やった!」

オレ達は光へと飛び込んだ。