【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第二―二星 破壊の化け物



「やっぱり気づいたのか」
「で、どうする?」

オレはとりあえず(狭いが)家に二人を入れた。ふぅ、と一息してパインベッドに腰掛ける。とりあえず勝手に冷蔵庫のピーチジュースを飲むように言い、なぜか溶けないろうそくにマッチで火を付けようとしたが、勿体ないよの一言でマグマラシが火の粉を放って炎を灯してくれた。

「なぜ気づいたんだ?」
「なぜって?」
「オレは人間だから気が付いたが、どうしてお前らも気づいた?」
「なんでだろうね」

マグマラシはつかみ所がない。ああ言えばこういう。こう言えばああ言う。まるで雲のような男だ。ジュカインはポシェットから茶色と緑の二色の種をオレ達に渡した。この村ではポシェットが一般的なのだ。ましてや素早さが高い身軽なジュカインには、バッグよりもポシェットが似合う。マグマラシは(勝手に)布団に潜り込んだ。猫のようだ。

「これは俺の一族に伝わる特別な木の実、「共鳴種」だ。噛まずに飲み込むと飲み込んだ者とテレパシーで会話が出来る」

効果は一週間だ、と付け足すと、ジュカインはくわえていた木の枝にろうそくで火を付けた。甘い香りが漂う。煙を吸うとなぜか力がわいてきた。この煙は吸った者を活性化させる、と言っている。

「で、どうする?」
「何がだ?」
「今からだよ。脱出出来るような所は……」

ジュカインが考えている事はオレとマグマラシはすぐにぴんと来た。
そう……

「西の洞窟」

声が重なった。

  ~χ~


「入るの?」
「当たり前だ」

ジュカインはビビリまくりのマグマラシの背中を叩くと、燃えている木の棒を前にかざした。真っ暗な洞窟が明るくなる。オレとジュカインが木の棒を前に出し、マグマラシが自らの炎で暗い洞窟を一気に明るくした。すでにオレ達は共鳴種を飲み込んでいる。

「へぇ、こんな感じになっているのか」

ジュカインが驚くように言う。たしかに、此処は「破壊の化け物」が住むと言われ、誰も近寄らなかった。事実、肝試しに行った者が行方不明のままなのだ。洞窟の中は蒼い水晶や赤い水晶でいっぱいだ。奥は水晶だけで出来た細い道がある。下は湖のようだ。きらきら輝く魚が泳いでいる。

「よっ」

竿を下ろすと、簡単に釣れた。新種のようだ。名前は……「クリスタルフィッシュ」と名付けよう。クーラーボックスに入れる。

「そういや、此処は力を溜めるのに適していると聞くな」
「ああ」

ジュカインは此処がずっと気になっていたようだ。なかなか詳しい。俺たちは進む。

「所でさ、此処の……」

オレはそこまで言えなかった。






「伏せろ!!」

言うが早く、ジュカインは地面を叩き、木を呼び出した。その木が一気に伸びて僕達をしゃがませる。

――ズドオォォン!! 強烈な爆発音が洞窟内で反響する! あれは……ゴーストの特殊技、「シャドーボール」! ジュカインとマグマラシはすでに戦闘態勢に入っている。ジュカインの刃が深い緑に染まる。ジュカインの必殺技「リーフブレード」だ。

「お前が……破壊の化け物とやらか」

煙が晴れた。奴は白い人間のような身体、紫色の腹、すこし長めの尻尾、三本の指、妙に人間のような姿をしている。紫色の瞳は何を見つめているのかは分からない。しかし、これだけは分かった。

“こいつはマズイな……”

ジュカインのテレパシーが聞こえる。僕はすでに落とし砲を用意している。その破壊の化け物は今度は蒼いエネルギーの弾を放ってきた。避けても追ってくる。格闘の特殊技、「波導弾」。

「ちっ!」

ジュカインが地面に手を乗せ、木の壁を作る! あいつは木を使役する能力を持っている。一気にオレ達は走る。後ろで爆発音が聞こえる。走って走って、細い水晶の道を走る。

“ここから一気に飛び込むぞ!!”

オレ達の前に広がるのは……





湖。





“マジかよ……”

マグマラシはすでに火を消している。ジュカインは木で壁を作る。

“行くぞ!”
“分かったよ……”

オレ達は真下へ広がる湖に飛び込んだ。