【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第十八話 おさかな、おさかな~♪



ボトッ。目の前に何かが落ちる。上を見ると、雲に覆われた空から
包丁のような物が大量に飛んでくる。

「え……アジ?」

落ちてきたのは、魚のアジ。と……言うことは……

「うええぇえぇえぇ!?」

空から魚が降ってきたのだ! 村中にぴちぴちと音を立てて
魚が落ちてくる。ヒラメ、カレイ、キングサーモン、マグロ。
さっそく僕はバケツを三つ持ってきて、それに魚を集めた。
いや、待てよ……なんでキングサーモンがいるんだ?
今は春だぞ? ……何かがおかしいな。

「ま、いっか。さぁ、おさかな、おさかな~♪」

僕はしばらくの間魚を集めていた。
……そして、雲が晴れ、魚はほとんど降ってこなくなった。
当然のように、役場には人(なのか?)が集まっている。
今回は僕も参加した。食べられるのか気になる。

「え、え、っと、この現象は大変、め、珍しいものでして、
海で発生した、たつま、たつ、つまきによって、空へと飛んだ
魚が降ってくる現象なのです」
「食えるのか?」

カラカラの説明に、ウィンディが舌なめずりをしながら
聞く。やっぱりこいつは危険だ。

「は、はい。腐ってなければ食べられるかも……です」

オドオドしながらカラカラが言う。どうやら臆病な性格のようだ。
その後、それぞれが家へ帰っていった。僕はポケットに入っている
落とし玉を握って、家へ帰った。どうやら今回は襲われなかった。

「さて、そろそろ考えてみるか……」

僕は魚を冷凍庫に入れて、ベッドに寝転がった。窓は東側は壁なので
窓はない。西側にカーテンをつけて、僕は資料を見た。
謎の嵐。ダムの建設。滝で作業員が行方不明。
なぜ、ダムを作る予定だったんだろう……。この村にはあまり
雨は降らないのに……。何か訳がありそうだ。
その時、僕はあるものを見つけた。
ダンボール。引っ越し してきた時にロウソクを置いていたが、
中身はまだ覗いていない。

「……うん」

僕は勇気を出して箱を開いた。それには、封筒がある。中身は……

‘た す けて’

「うっ……うわぁぁ!」

僕は飛び退いた。血で書いたような色だ。きっと前の住民が
書いたのだろう。

「う……ううううぅ」

僕はその一日、恐怖でずっと布団の中にいた。