【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



七匹目 暗闇に潜むモノ



「……」
「うぅ……くはぁ……」

眠れない……眠れないぞぉ! 時刻は……十二時ごろか? 毛布も何もないこの家で起きているのは辛すぎる! レモンは案の定ぐっすり寝ている。いや、爆睡している。それに反して僕の目はハッキリしすぎて怖いくらいだ。暗闇にも慣れてぼんやり壁が見える。

何か、いるのか?

そう考えた瞬間、頭がそれで埋まってしまった。実は、ただ暗くて見えないだけで本当は何かがいるのではないか。部屋の隅、天井、自分の目の前。恐怖で身体が暑くなってくる。レモンを見ても安心は出来ない。
……視線を感じる。自己暗示? いや……視線を感じる!! 何処だ? 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

「うずあぃあいえ!」

何語か分からない声を上げながら、思いっきり腕を噛む。痛みで何とか冷静に……なった。



「…ヒヒ…」

ヒヒ……ヒヒヒヒ。ワタクシはヒマどこでしょう? 答えは……「新しく引っ越してきた住民(ニンゲン)のヒエの中」でした~!! ワタクシの擬態能力は村ズヒヒチ! 誰にも見ることは出来なヒ! ヒヒヒヒヒ! ニンゲンだ! 肌は白っぽく、緑色と黄色の髪の毛……ウマソウだ! けど、アヒツからまだ傷つけるなってヒワレテイルから、まっだ、まだじいぃいいぃいいっっっと見てるよ……ヒヒヒヒヒ!!



「――!!」

絶対に何か喋った。極端に抑えた声であったが、臆病者の僕には分かる! すきま風なんかじゃない! 絶対に笑っている! まるで、草食動物が逃げているのを見ている肉食動物のように……。死にたくない!
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう

「……うわあぁあ!!」
「っ!」

僕はレモンを本気で殴った。そして、ポーチを掴むと、家から脱出した! 
……ペタ、ペタ。何かが張り付いているように天井を動いている!

「何考えている!」
「何かがいた! 笑ってた!」
「気のせいだ! さっさと家に戻るぞ!」

家を恐る恐る空ける。

――沈黙の中、すきま風だけがやけに音を立ててひゅーひゅーと音を立てていた……。