【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第十話 黄昏の甘栗、そしてUFO
「ちくしょおおぉおぉおおお!!!!」
がんっ! がんっ!! ……もう何十回木を殴っているのだろうか。
外部と連絡を取ろうとした僕が悪かったんだ。僕のせいでメロンが!
ゴスっと思わず力が入る。鈍い痛みが手の甲に広がって行くが、
そんな事は構うまい。何回も何回も殴り続ける。
もう夜だった。人目に付かない僕の家の近くの木を殴っている僕は、
きっと誰にも見つからないだろう。
八つ当たり、何て事は自分でも分かっている。でも、悔しいんだ!
「メロオォオオォン!!」
いくら叫ぼうがメロンは帰ってこない。僕の頬を涙が伝う。
そろそろ身体が壊れてきたのだろうか。痛みすら感じなくなってきた。
「……僕は……僕は……」
何がしたかったのだろう。ただ自分が助かりたいが為に、逆に
他人を巻き込むことになってしまったなんて。
「くそ……ちくしょう……」
生き延びてやる。何としてでも。
メロンの分まで。そして、僕の為にも。
この腐った村から、生き延びてやる!
空を見上げると、美しい星達が光り輝いている。
……メロンも、星になったのだろうか?
ふと、そんな事を考えた。
頑張ろう。この美しい星空に誓って。
僕は、生きてやるんだ。
その時だった。
ふよふよふよ……と音がした。
僕はそんな事は気にせず、ただ、美しい冬の夜空を見ていた。
「あっ、あれは!!」
その時、視界に入ったのは、……UFO。
青と灰色のUFOが夜空を横切っている。
やっぱり此処は普通じゃない!!
シュゴシュゴシュゴシュゴ……足元で妙な音がする。
だが、僕はあのUFOを凝視していた。
その時、ブスッと言う音と共に、鋭い痛みを足に感じて……
僕は……意識を……失った……
「はっ!?」
目が覚めると、家の前で倒れていた。

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