【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第六話 なおみ



なんとかバイトを終わらせて帰った僕は、やる事もなかったので、
またあのコーヒーを飲むことにした。勿論吐くよ。
だが・・変わっていた。白い犬がいる。彼の名前は「とたけけ」と
言うらしい。此処で土曜日に歌を唄っているそうだ。
せっかくだし、聞いてみる事にした。

「聞いてくれ……『おととい』」

そして、三回目の曲を僕は何気なく聞こうとした……はずだった。
さっきまでの歌は、何語かもさっぱり分からない……だけど心地よい
歌声だった。しかし、今度は違った。

「ナゥ―オゥ―ミィ―マッテ……」
「ナゥ―オゥ―ミィッ……マッテ」

……なおみ、待って? なおみ? 待って? これは今までの歌とは
違う! ハッキリした日本語だ! なおみって誰だ?

「なおみ……なおみ……」

ジャジャン、とギターを弾き、彼の歌は終わった……。もう今日は
終わりだよ、と彼は静かに言った。僕は思いきって聞いてみた。

「ねぇ……    なおみは何処に行ったの?」

彼は少し切なげに……こういった。

「また来てくれよな……待ってるからさ」

そうして僕は喫茶店を出た。僕には新しい目標が出た。
新しいキーワードは「なおみ」。僕の記憶の手がかりかもしれない。
もしかしたら、とたけけはなおみを知っているのかもしれない。
次の土曜日まで、しっかり待ち続けよう……