【ホラー系おい森】絶海の孤島で ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作

第三話 お日様とお別れ
「……はい」
「マロンさんだもね? どう? 良い家でしょ?」
「……まぁ」
「さて、それではローン……9000000ベル頂きま~す!」
何だこの狸は。白と黒めの茶色のジグザグした身体。狸だ。狸。
えっ無理ですよ! そう僕は言った。だがこの狸は信じられない事を
言い出した。何とアルバイトをしろなどと言い出した。
おうちのローンはちょっとづつ返せばいいだなも、なんて言って
僕に無理矢理アルバイトを押しつけた。村の左上に行くと、やはり
たぬき商店だった。奴は此処に住んでいるのか。
「よいしょ、よし。まずはヨノワールさんに配達だなも!」
小さな自転車の荷台に、沢山の荷物を乗せられるはず……だった。
なんと狸は、家具を緑色の葉っぱに変えたのだ! 狸だから?
「えっ……どうやったんですか!!」
「別に? マロンさんも使えるだなも」
「……ホントだ」
どうやら、この村に入ってから不思議な力を身につけたようだ。
家具や絨毯などを葉っぱに変えて持ち運ぶ。なんて力だ。
とにかく、その葉っぱを一枚一枚ダンボールに入れた。結局
ダンボールを乗せられた。まぁ軽いから良いか。
「えっとヨノワール、ペリスケ、シェイミ、ハッサム……」
この村は自然が多い。何とか道を通って、ヨノワールの家へ行った。
ヨノワールの家は、不気味だ。W型の口の形をした家だ。ドアは
普通の物だが、何か近寄りがたい。入った瞬間、呪われる……なんて。
「ヨノワールさん、配達便でーす」
ガタ……がたん。中で動いている音がしている。そもそもあいつは
宙に浮いていたからがたがたなんて足音はしないはずだけど……
そんな時、ドアが開いて奴が現れた。大きな紫色の腹はW型の口の
ような形をしていて、穴が開いている。太い二つの腕、小さな頭、
「プッシュしてください」と書いてありそうな頭のてっぺんの黄色い
物。そして特徴的な大きな一つ目。やっぱりバケモノだ。
こんな事で驚いてはいられないが。
「はい、人体模型です」
「……」
何も言わなかった。ただ僕はダンボール箱を渡した。
「君はマロン君だっけ、よろしくね」
……以外と柔らかい性格のようだ。
「うふふ、もうお日様にさよならだねぇ~」
「……ぎゃあぁぁ!!!」
お日様にさよなら、……殺される!! 僕は自転車に乗って
逃げ出した……
辺りはもう夕暮れになっていた。

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