【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第二十七話 最後のピース



「何で?」

あれはウソだったのだろうか。村長は予めこれを予想してウソの新聞などをばらまいたのだろうか。とにかく、龍神は……でない。僕はぺたんと膝をついた。もう出られる手段はない。遠くで悲鳴や雄叫びが聞こえる。この村は水槽村に乗っ取られるのだろうか。その時、リーフィアが何かを滝に投げ込んだ。

――ボコ……ボコボコボコ……。「何か」の泡が浮かんできた。
そして、「それ」は現れた。

――ザバァ!

「……龍神……」

“我が名はギャラドス。待っていたぞ”

青い背中、白い腹、頭には三つの深い蒼のヒトデを半分に切ったような角が生えている。鋭い牙、白い二つの長いヒゲ。日本の竜そのものだ。
手足はない。鋭い眼光はそれだけで全てを凍らせているようだ。

“外の世界に戻るのか?”

「うん」
「外に……出られるんですね」
「そういえば何を投げ込んだの?」
「コイ。伝承にはもう一つ、コイを入れないといけなかったんです」

“良いだろう。制限時間は三十秒だ”

ギャラドスは尻尾を一振りすると、滝を真っ二つに割った! そして、滝壺に道が現れた。ギャラドスは滝壺に潜っていった。僕はその道を進む。滝の洞窟に足を踏み入れた。洞窟の奥で何かが光っている。

「リーフィア、来て!」
「はい!」




「そこまでだ」




……バカな……。そんな……。リーフィアの後ろに立っているのは……

「ヤドキング……」
「危ない所だった。もう少しで脱出されるところだった……」
「リーフィア!」
「こいつを返して欲しくば……戻れ」
「く……」

外には出たい。だけど……リーフィアと一緒ではないなんて……

「分かった……」
「来ちゃダメ!!」

その時、リーフィアが葉っぱを大量に飛ばした! 葉っぱは、洞窟の壁になった! ……壊れない!! 滝がゆっくりと降りてくる……

「リーフィア!」

その時、フッと葉っぱが……舞った。壁はゆるやかに……崩れた。

「……マロン…貴方ならきっと大丈夫よ。これを受け取って。私は……これからも……貴方と……一緒……」
「黙れ!」

ヤドキングが無慈悲に水のエネルギーを放つ! リーフィアに当たり、爆発を起こした!! リーフィアは倒れた。僕を見てにっこりと笑っている。僕の胸に緑に輝く葉っぱが飛んできた。……これは……形見。

「さ……よなら……」
「リーフィア――!!」

滝はいつも通りに戻った。すごい水流で、目の前は何も見えない。

「くそ……くそ……」

僕は涙を流しながら先へと進む。水晶が所々で青く光っている。……そして、奥にはドアがある。僕はそれを開ける――





「……ここは?」
「気が付いた?」

眼を覚ますと、メロンがいた。体を起こすと、花畑にいた。僕の手の中には、まだ緑色に光る葉っぱがある。

「生きてたんだね……」
「うん……」
「良かった……」

僕はメロンを抱きしめた。


















ココは、鷹山。山のふもとの村の住民が、マロンを探している。
五ヶ月前から、ずっとマロンを探しているのだ。


「おーい、マロンがいたぞ!」
「無事なのか!?」
「それが……」

沼に、マロンが浮かんでいる。

「何て事だ……だから言ったのに……」
「そう言えば、昔此処で少女も消えたよな」
「ああ、まだ遺体は見つかってないが」
「また浮かび上がってくるんじゃないか?」


「そういや、昔此処ではカッパが子供を引きずり込むって伝えられてたな……」


             ― マロン編 / 完 ―