【ホラー系おい森】絶海の孤島で       ピクミン ◆xr/5N93ZIY /作



第二十話 新しい住民



「……どういう事だ?」

いつものように朝早く、僕は外に出た。午前五時だ。もう桜は散ってしまい、だんだんと躑躅(つつじ)の花が咲き始めている。僕はまた落とし穴の種を栽培していた、のだが。

「魚は走ると逃げる……」

あのユンゲラーと言うどうぶつの家が丸ごと無くなっている。その代わりに木で出来た看板が寂しくぽつんとたっている。看板には「魚は走って近づくと逃げる」と書いてある。どういう事だろう? ……! 確かメロンの手紙では家ごと消されると書いてあった。つまり、ユンゲラーもまた何者かによって「消された」のだろう。

「ん? こんな家あったっけ?」

その代わりに、僕の家のすぐ北には新しい家がある。白い壁に緑の屋根。こんな家はこの村には無かったハズ。僕は地図を見た。やはり、ユンゲラーの家が無くなって、新しい家が建っている。

「なになに、リーフィア……」

リーフィアと言うどうぶつが引っ越してきたらしい。一応どんな奴がチェックしておかなければ。巨大な熊だったりしたらそれこそ大問題だ。

「あ、おはようございます。私は、引っ越してきたリーフィアと言います。貴方は……マロンさんですね!」
「え? 何で知ってるんですか?」
「うーん、何でだろう。昔何処かで会ったような気がして……」

リーフィア。肌色の身体に緑色の葉っぱを思わせる毛並みだ。目はくりっとしていて、見た感じは犬のようだ。小さな口が愛らしい。それにしても……なぜ僕の名前を知っていたのだろう。会ったこともないのに。

「何処の村から来たの?」
「水槽村です」
「――え!? 君の村にはどんなどうぶつがいた?」
「色々居ましたよ。風船みたいな人とか」

















『ねぇ、君の村の住民はどんなの?』
『色々居るよ。風船みたいな奴とか』


















まさか……まさか……







「君の村にはメロンって人はいた?」
「んー、居なかったです。引っ越しちゃったのかなぁ」

僕はその一言で確信した。

――間違いない。リーフィアはメロンだ!!