コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
- 日時: 2015/01/24 21:51
- 名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)
拝啓、天国のお父さんとお母さん。
ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
今日も私の前を、
パンツが飛んでー。
男の怒声が飛び交ってー。
何だか炎まで飛んできてー。
挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
……私、人生間違えましたでしょうか?
***** ***** *****
初めまして、というのもなんですが。一応。
桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
私が誰だか当てられるでしょうk((殴
大変失礼しました。
ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。
☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→
読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
それでは。
お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』
現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
→>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272
『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296
目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575
エピローグ
>>576
あとがき
>>577
お知らせ☆
現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263
期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387
童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412
黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400
企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中
・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516
番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
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- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.457 )
- 日時: 2013/01/04 13:04
- 名前: 北大路 ◆Hy48GP/C2A (ID: CXVRcwYu)
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
そしてご無沙汰です。
久々に一気読みしたらちょっと泣けました。
銀ちゃんきゃわいいよおおおおおお(ry
及川「今年こそたくさん休みたいな☆」
鈴 「いっぱい働きたい? そりゃ助かるぜ」
及川「あぁ? 働きたくないって言ったんだけど」
鈴 「あぁん?」
及川「すんませんした」
鈴 「分かりゃいいんだ」
及川の存在も忘れかけてたのは秘密。
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.458 )
- 日時: 2013/01/06 21:37
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: Mj3lSPuT)
北大路様>>
あけましておめでとうございます、今年も山下は頑張りたいと思います。
ディレッサさんにもきちんと出番を!! てんで、ハイ。頑張りますハイ。ね、ディレッサさんもね!
今年も休みはないと思ってくださいね、ディレッサさんww
江戸時代にタイムスリップ! そしてこんなオチ。
銀ちゃんは健気な娘です。自分が交通事故になって入院しているのに空華の心配か、あの女好きの——
空華「何か言った?」(苦無投げ)
やばい、本気で殺されかけました←
でもいいもんね。次のお話も頑張ります!
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.459 )
- 日時: 2013/01/07 21:51
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: Mj3lSPuT)
第16章裏書き!!
山下愁「久々の裏書きは年越しでこんばんは。山下愁です。最近パソコン変えました。これ2回目です」
神威銀「神威銀です。今回は江戸時代に行きました」
山下愁「ご苦労様です」
神威銀「あなたに言われたくないです」
山下愁「という訳で、さっそく行きたいと思います。今回の反省会。さて、まずはこの方を」
日野宮「銀様、お久しぶりです」
神威銀「日野宮さん!」
日野宮「王良家初代当主様の側近、日野宮です」
山下愁「これは神威鈴所有のキャス様によるものであります」
キャス「ハァ……ハァ……人使いが荒い……」
神威銀「あれ、キャスさんは天使とかそっち方面じゃないんですか?」
キャス「うるさいな! 僕は羅のいう事しか聞かないつもりでいたのに……あいつめ、鈴……恨んでやる」
神威鈴「恨めば?」
キャス「げ」
神威鈴「その代わり、お前をもう1度封印する羽目になるけど?」
キャス「……」
神威銀「ライさんを呼んできましょうか」
キャス「それだけは」
山下愁「怖いねぇ。日野宮さん、感想のほどを」
日野宮「私が頭に仕置きする時と同じような事を言いますね、この子供は」
キャス「子供じゃない!」
日野宮「まず私は頭に正座をさせ、お説教です」
山下愁「普通ですね」
日野宮「いいえ。炎の上で」
山下愁「どこの地獄ですか」
神威銀「拷問以外何もないじゃないですか」
日野宮「そうでしょうか」
神威鈴「だから3代目があんな感じになったんじゃないの?」
日野宮「そうでしょうか……ですが、私がする仕置きは、頭にとっては真夏の気温でしかありませんよ。炎の死神でも呼ぶべきでしょうか」
東翔「俺の事を呼んだか」
日野宮「あ」
東翔「呼んだか? 何だよ」
山下愁「君はお呼びでない」
東翔「んだ? まぁいいが」
神威鈴「どこで聞いていたんだ、あの女顔」
山下愁「知りません」
神威銀「……ついに翔さんも落ちぶれてしまいましたか……」
山下愁「翔君は決してそんな事はさせません! 嫌です、私は断固拒否です!!」
日野宮「先ほどのは、祭りに来たあの死神にそっくりですね」
神威銀「そっくりというか、そのままです」
日野宮「まさか」
神威鈴「この人、現実逃避上手いな」
神威銀「そうでしょうか?」
神威鈴「お前も上手だけどな」
山下愁「山下も上手いですよ! 明日が始業式なのに、現実逃避をしまくっている真っ最中。3学期なんて来なくていいよ」
キャス「時間を戻してやろうか」
山下愁「君がリアルにいてくれたらね」
神威鈴「というかさぁ……最近どうなの。大丈夫なの?」
山下愁「何がですか。勉強がですか。訊かないでください、明日からまた鬼の部活が始まるんです現実逃避したくてもできない状況なんです分かりますか」
神威鈴「分かりたくないね」
山下愁「めっちゃぶっ殺したい!」
神威銀「まぁまぁ」
日野宮「そうですよ。怒っていてはダメです」
山下愁「という訳で、何かもういろいろ面倒くさいんで。次の話をして終わりにしましょうか」
神威銀「次回予告誰ですか?」
神威鈴「え、誰だろう」
日野宮「……?」
王良空華「俺様だよ!」
日野宮「!! 頭!!」
王良空華「え、誰」
神威銀「あぁ、初代さんの側近さんです」
王良空華「へぇ。まぁいいや。次回予告! 次回は秘密結社『リヴァイアサン』がついに解散? その1人、リネ・クラサ・アイリスが黒影寮へやってきた。はたしてまたどたばたお祭り騒ぎが始まるのか!!」
リネ「次回もお楽しみにです」
神威銀「えぇ?!」
山下愁「ハイ、また次回」
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.460 )
- 日時: 2013/01/14 21:48
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)
こんにちは、この小説で文章を語るのは初めてですが、精一杯頑張りたいと思います。
リネ・クラサ・アイリスと申します。以後お見知りおきを。
私はご存じの通り、黒影寮と敵対する秘密結社『リヴァイアサン』に所属しています。その『リヴァイアサン』はボランティアらしく、給料もろくに出ません。
鬼畜でしょう?
鬼でしょう??
そんな会社で私は働いているのです。しかし、社員食堂と寮があるので私は何とか生きていけます。
が、
『本日より、社員食堂は閉めさせてもらいます。長らくのご愛顧、ありがとうございました』
これは一体どういう暴言ですか。私をいじめて楽しいんですか。
私は我慢なりませんでした。これから自炊しろっていうんですか。給料の出ないここで生きていたのだから金なんてありません。
だから私は家出をしました。
『本日で「リヴァイアサン」を辞めさせてもらいます。今までお世話になりました』
辞表を社員食堂に張り付けて、私は飛び出しました。
行くあてなど、もちろんありません。もう野垂れ死んでやります。
第17章 家出少女の死にかけ人生
みなさんお久しぶりです、神威銀です。上の文章はどうやらリネさんがやったようですね。
さて、私は現在、買い物に来ています。ノートとシャーペンの芯が足りなくなってきたので買い足しに行こうとした所存です。「1人で大丈夫?」などと蒼空さんが言ってきましたが、大丈夫ですと言って1人で来ました。
……そして見てしまいました。
何を? 決まっているでしょう。行き倒れている人を。
「……あの」
金色の髪に小柄な体。間違いなくリネさんです。『リヴァイアサン』の。
……一体どうしたのでしょうか。うつ伏せのままピクリとも動きません。まだ残暑も残っていますし、もしかして熱中症とか?!
「だ、大丈夫ですか?!」
敵対しているとはいえ人です。私はリネさんを助け起こしました。
金色のまつ毛を震わせて、黒い瞳でリネさんは私を見上げてきました。
「か、むい、ぎん……」
「大丈夫ですか? 今救急車を——」
「おな、か、へり、ました……ガクッ」
「……え?」
耳を疑いました。
今、彼女は何と言いました? お腹が減りました?
確かにリネさんのお腹からは、空腹を意味するであろう腹の虫が泣いていますが……えぇ?
「……リネさん。黒影寮まで来れますか? 歩けます?」
「……なんで……」
「ご飯、作ってあげようかと思いまして……」
リネさんの瞳がきらりと輝きました。
***** ***** *****
ノートとシャーペンはまたにして、私はリネさんを抱えて黒影寮まで戻りました。
戻った時にはすでに屍状態になっていましたが、料理を前にして飛びつきました。狼の如くご飯を食らっています。
……大丈夫でしょうか。のど詰まらせませんでしょうか。というかかなりの量なんですけど……結構食べてますよね。足りますかね?
「ふぅ……」
大きな丼から顔を上げたリネさんは、満足げに息をつきました。
「ありがとうございます。命を救われました。この恩は一生をかけて返したいと思います」
「あの、どうして道の真ん中で行き倒れていたんですか?」
興味本位で訊いてしまいました。
リネさんは「あぁ、それですか」と何だか平然とした様子で答えました。
「『リヴァイアサン』の社員食堂がなくなってしまいましたので家出をしました。辞表も叩きつけて正式に『リヴァイアサン』を辞めてきました。寝床があっても食事ができないのならいる意味がありません」
フン、と鼻を鳴らして『リヴァイアサン』の文句を言います。
……というか黒影寮の財政も分からないんですけど。どうやら英学園から援助が出ているようですけど……そこはどうなんでしょうね?
月に何円出ているのかを把握しているのは寮長である翔さんと副寮長の昴さんだけです。私は月々の出費を計算して、翔さんに提出しているだけです。
リネさんにも『リヴァイアサン』の文句が募っているのでしょうね。
「ご飯が食べられると聞いたから私は『リヴァイアサン』に所属したのに……何の仕打ちですか。意味が分かりません」
「は、ハァ……要するに、よほど怒っている訳ですね?」
「えぇそうです。あんなクソみたいな会社に所属していた私が馬鹿だったのです。社長の顔すら分からないあの会社に所属する価値すらなかったのに……私の目が曇っていました」
ミシリ、とリネさんの手の中の丼が音を立てます。止めていただけるとありがたいんですけど。
そうとも知らず、リネさんは黒いオーラを立ち上らせています。怖いですよー。
その時です。
「何でお前がこんなところにいるんだ、リネ・クラサ・アイリス!!!」
苦無がどこからか飛んできました。
空華さんです。魔法の記された本を抱えたまま、空華さんは苦無を投げつけました。見事にリネさんのこめかみを狙って。
リネさんは床からダガーナイフを生成しますと、飛んできた苦無を弾き落としました。甲高い音が辺りに響き渡ります。
「……どういうつもりですか。ここの住人はやけに荒っぽいですね」
「また銀を狙ってきたというのなら、黒影寮総出でテメェをぶち殺す。飛んで火にいる夏の虫という訳だ」
今度は炎の刃です。
リネさんはくるりと器用に宙返りをして、炎の刃をよけます。
もちろん炎の刃を投げつけるという攻撃をしてきたのは、翔さんです。我らが寮長、炎の死神です。
「安心してください。私はもう神威銀を狙うつもりはありません」
「嘘つけ。信用ならん。今まで敵として動いていたテメェの、銀を狙わないという言葉を簡単に信じろと言うのか?」
「えぇそうですけど?」
「マジで殺してやろうか」
蒼空、と翔さんが号令をかけますと、蒼空さんが立ち上がらないようにリネさんの体を重量操作で重くしました。
リネさんが舌打ちをして、翔さんを睨みつけます。
「さて、ここでどうしてやろうか。普通なら何の為に来たと拷問して吐かせるが……」
「ま、待ってください! リネさんを連れてきたのは私です! 責めるなら私を責めてください!!」
私は今にも攻撃してきそうな翔さん達黒影寮の皆さんの前に出て、抗議しました。
何だと? とでもいうかのように、翔さんが眉をひそめてきました。
「……道で行き倒れていて……可哀想で」
「まったく、銀ちゃんらしいっていうかなんて言うか」
「神威銀は悪くありません。悪いのは『リヴァイアサン』です。私にご飯を食べさせてくれた神威銀はマジで神様です。あがめてもいいです」
ていうかなんて事を言ってんですか、この人?!
そしてついにリネさんは、爆弾を投下しました。
「そうです。信用できないというのなら監視すればいいでしょう。私は——黒影寮の犬になりましょう」
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。連載1周年突破! ( No.461 )
- 日時: 2013/01/21 22:27
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: RXnnEm2G)
第17章 家出少女の死にかけ人生
ハイ、皆さん久しぶり! 俺の事を覚えているかな?
これだけじゃ分からないよね。神威銀の兄の神威白刃です。まったく、相変わらず出番が少なくてもう……。
さてまぁ……ね。今俺の目の前には大変な人物が行き倒れているんですよ。誰かって、分かりますでしょ? 銀を狙っていたあの秘密結社『リヴァイアサン』の連中ですよ。
しかもあの幻術使いの六道音弥君だった。傷を本当に作っちゃう幻術を使った、あの1人クリスマスのオッドアイを持つあれ。
どうしてこんなところに行き倒れているのかな? とか思ったけど、まぁとりあえず助けてあげる事にした。ほら、俺ってば優しいから。
「……六道音弥君?」
「しにます」
すぐそんな返事が返ってきた。何でだ。
いやいや、「しにます」ってどう考えても「死にます」だよね? ここで死んでどうするの。コンクリートのベッドで死んでどうするの。
俺は音弥君をひっくり返して、じっとその顔を見つめた。目の焦点が合っていない。
「……どうしたの」
「……死んじゃうかもしれないDEATH」
「元気そうだね」
冗談を言う辺り、本当に元気そうで何よりだ。
俺はペチンと音弥君の額を軽く叩いた。うん……なんか、冷たいな。元々冷たかったっけ?
「……こんなところで行き倒れているけど、一体何があったの?」
「……『リヴァイアサン』の社員食堂がつぶれたので、辞めてきた。寝床あっても食えないんじゃ仕方ないし」
「……そんな酷な事がね」
いやぁ、ここで普通なら黒影寮に押し付けるけど、困った事に辞めたとはいえ黒影寮の敵。預ける訳にはいかない。
妹の危機は俺の危機。ここで味方へ敵を押し付けるような事はしないし、可哀想。銀がびっくりしそうだから嫌だ。怖い。
「…………あのさ、提案なんだけど、どうせならうちにおいでよ」
「……え?」
よく聞こえなかったとでも言わんばかりに、音弥君が訊き直してきた。
だから、家に来いと俺は教える。銀に任せるのも嫌だし。ていうかそのあとに黒影寮のメンツから何かやられそうだから、自分が犠牲になるぐらいならいいかー的な感じで。
音弥君は1も2もなく飛びついた。よかったよかった。
***** ***** *****〜零視点〜
渋谷零。知っての通り、英学園特別クラスの教師をしています。空気使い(エアロマスター)と言います。
まぁ、そんな事は置いといて。
俺の目の前には、何故か『リヴァイアサン』の連中が落ちていた。確か、ノア・ウミザキ。王良と同じような力を持っていたような気がする。えーと、
「プランナー?」
「演奏者(プレイヤー)です……ごめんなさい」
ノア・ウミザキは何か知らんけど俺の言葉に答えてきた。
あー、そうか。そうだよな。楽器で相手を操っていたような気がするようなしないでもないような。詳しくは第12章辺りをチェケラ☆
で、俺はむなしく休日出勤をしていた訳ですが、学校の敷地内で倒れているとは一体どういう事だよ?
「……まぁ、その、だな。何があったのか聞いてやらんでもないが。ジュースとか飲めないものと思え。財布を持っていない」
ていうか、1人で無事に職員室にたどり着けるか問題。
ノア・ウミザキは「……大丈夫です」とだけ答えた。お、案外話が分かる奴でして。
「……実は、『リヴァイアサン』の社員食堂が閉まっちゃいまして……。住処がないので家出を……」
そういえば、確か夢折梨央辺りが「『リヴァイアサン』はボランティアでやってんだよ」とか言っていたような気がするな。
なるほど。給料が出ない代わりに社員食堂と社員寮で賄っていたのか。給料が出るならまだ残っていたかもしれないが、給料が出ない上に食事の面が絶たれてしまえば話は別。
このヘタレっぽい演奏者でも、おそらく『リヴァイアサン』を辞めてくる事を決意したのだろう。
「……リネさんも音弥君もみんな出て行っちゃいました……。僕1人だけ残っているのも嫌なんです」
「……他の奴はどうしたんだ?」
「えぇ、みんな辞めていきました。紅さんに至っては『おいしい血を提供してもらえるからここに残ったのに、がっかりだわん』とか言いながら……すみません。似てませんよね」
口調云々じゃねぇよ、俺が言っているのは。
あぁ、でもこいつはよほど辛いんだろうな。何せ、ボランティアでやっていたはずなのに、給料なしでこれから生きていけって言うのだから。
こいつの見た目年齢は、……まぁ奴らと変わらないだろう。何歳なのかはたして分からないが。
「だったら俺が養ってやる」
「……え?」
「基本的な家事はできるか?」
「あ、ハイ……心得ていますが」
それなら安心だ。
特にテスト期間になると、テスト内容を考えるのに時間がかかるから学校にこもりっきりになる。帰るのが基本遅いからな。
だからこそ、こいつに料理とか作っといてもらいたい。独り暮らしだし、ちょうどいいかもな。
「……その代わり、学校には通え。特別クラスに手引きしてやる」
「……本当ですか?」
「本当だ」
何やら泣きそうな顔でありがとうございますと連呼された時は、もうこりゃ末期だったんじゃないかと思ってしまうぐらいだった。
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