コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。堂々の完結! 皆様ありがとう!
日時: 2015/01/24 21:51
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: zCMKRHtr)

 拝啓、天国のお父さんとお母さん。
 ついでに世界1周旅行へ行っている珊瑚叔母さん。
 私は元気です。とても元気です。元気を分けてあげたいぐらいに元気です。
 今日も私の前を、

 パンツが飛んでー。

 男の怒声が飛び交ってー。

 何だか炎まで飛んできてー。

 挙句の果てに今、恋人になるように強要されています。
 ……私、人生間違えましたでしょうか?

***** ***** *****

 初めまして、というのもなんですが。一応。
 桐生玲(きりゅう/あきら)という者です。まぁ、名前を変えただけですが。
 私が誰だか当てられるでしょうk((殴
 大変失礼しました。

 ちょこっと上で話の内容を書いたつもりなのですが、分かりませんよねww
 私もこれをパッと見て、何だこれって思いますもん。
 では、これに関する注意点をいくつか。行きますよ。

☆この物語は逆ハーレム要素を含みます。苦手な方はお戻りください。
☆駄作に変わりはないです。
☆恋愛50%、バトル45%、シリアス0.05%、後のは勇気と愛。
☆少しドリームっぽいです(が、そんなに気にはなりません)
☆桐生玲誰? あ、お前知ってるでも嫌いな人は出口はあちらです→
☆また、荒らしやチェーンメール、パクリを行う人も出口はあちらです→

 読みましたか? あの、いくつか多いんでゴメンなさい。
 それでは。


お客様(桐生的目線でご紹介)
由羽様『最初のお客様です。逆ハー、ハーレムおkの方ww』
野宮詩織様『2番目のお客様です。リア友であり、神作を生み出しているお方です!』
ヴィオラ様『3番目のお客様です。キャラを送って下さりました! お互い頑張りましょう!』
蓮華様『4番目のお客様です。キャラを送ってくださいました。使いやすいキャラをありがとうございます!』
秋様『銀ちゃんの推しなお客様です! あざっす!!』
翠蓮草様『先生キャラを送ってくださったお客様です。登場はもう少々お待ち下さい!!』
メデューサ様『結構オリキャラでお世話になっている方です。今回もありがとうございます!!』
ジョーカー様『前作に限らず今作も送ってくださいました!! 感謝!!』
あんず様『翔推しのお客様です。翔君は俺の嫁!!』
北大路様『神様の名前を考えてくださった人です! コメもくださいました』
マリ様『ルールを守って読んで下さった人です。さすが!!』
梨花様『企画の祭りに参加してくれてありがとうございます。コメももらいました!』
愛河姫奈様『キャラクターの質問に答えたら、来てくださった人です! 感謝です!』
暁月様『一気読みをしてくださった人です。根気ある!』
闘神のアスラ様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部も見てくださっています』
抹茶猫様『兄弟小説・下剋上☆吹奏楽部の愛読者様。あざっす!!』
藤田光規様『一気読みしてくださった人です。翔君のおし?』
在様『携帯で一気読みしてくださった人です。しにがみのデートがお気に入りだそうでw』
北斗七星様『最初は桐生玲誰と思っていらした方ですが、山下と気づいてくれて幸いです。大丈夫ですよ!』
リア様『下剋上の方も読んでくださりました。ありがとうございます!』
美桜様『この小説をお気に入りにしてくださりました。ありがとうございます!』
粉雪百合様『もう1つの小説「お前なんか大嫌い!!」から来ました方です。ありがとうございます』
miru様『空華推しの人です、ありがとうございます! 一気読みしちゃったんです!』
葵様『こちらは昴君推しですwぜひとも翔君と取り合ってくださいありがとうございます!』
kyon様『こちらも空華推しの方です。なんと、歴代小説を読んでくださった人です!』
凪紗様『黒影寮ではまったお客様です。なんとディレッサさん推しです!!』
結羽凛様『個人的に好きなキャラは翔様だそうで。少し前から見てくださっていたようですよ! Thanksです』

現在劇場版を展開中。
『劇場版。黒影量は今日もお祭り騒ぎです!〜空と海と未来の花嫁〜』
>>229 >>232 >>234 >>237 >>239 >>240 >>242 >>245 >>248 >>249 >>250 >>253 >>254 >>255 >>258 >>262 >>264 >>265 >>266 >>271 >>272

『劇場版。駆け抜けろ! 地獄と天国と幽閉された死神〜複雑ファジー』>>290 NG>>296


目次
登場人物>>02 皆のオリキャラ大集合>>67 新キャラ>>175
プロローグ>>4
第1章『ウェルカム、黒影寮』
>>5 >>6 >>7 >>8 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15
第2話『とある彼女は銀の鈴』
>>16 >>17 >>18 >>23 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30
第3章『銀と白亜と黒影寮』
>>31 >>32 >>33 >>36
第4章『兄より吐き気』
>>39 >>42 >>45 >>47 >>50
第5章『しにがみのデート』
>>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>59 >>60
第6章『俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない』
>>71 >>72 >>77 >>81 >>83 >>86
第7章『英学園の愉快な文化祭』
>>93 >>95 >>102 >>105 >>106 >>115 >>118 >>123 >>126 >>129
第8章『神威銀の誘惑』
>>134 >>135 >>136 >>139 >>140 >>146 >>147
第9章『本当にあった黒影寮の怖い話』
>>149 >>154 >>158 >>159 >>160 >>163 >>170 >>174
第10章『突撃☆隣の中国マフィアさん!』
>>176 >>182 >>185 >>189 >>196 >>199 >>204 >>207 >>215 >>220 >>226
第11章『王良家こんぷれっくす!』
>>278 >>281 >>282 >>284 >>285 >>286 >>287 >>288 >>289 >>300 >>303 >>306 >>309
第12章『君と僕〜オリジナルと亜種〜』
>>314 >>321 >>322 >>323 >>326 >>327 >>328 >>329 >>330 >>333
第13章『黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです』
>>337 >>345 >>346 >>349 >>352 >>353 >>355 >>356 >>360 >>361 >>364 >>365 >>366
第14章『もし黒影寮の管理人代理が町の草野球大会の広告を見たら』
>>372 >>378 >>379 >>382 >>385 >>386 >>390 >>393 >>394 >>397 >>401 >>402 >>405
第15章『皇高校ホスト部!!』
>>416 >>417 >>418 >>419 >>423 >>424 >>427 >>430 >>433 >>434
第16章『カゲロウタイムスリップ』
>>437 >>444 >>445 >>448 >>452 >>453 >>454 >>455 >>456 >>459
第17章『家出少女の死にかけ人生』
>>460 >>461 >>464 >>465 >>466 >>467 >>470 >>474 >>478 >>481
第18章『今日、私は告白します』
>>490 >>494 >>497 >>500 >>503 >>506 >>521 >>524 >>527 >>528
第19章『進撃の巨人〜ヒーローと死神がやってきた〜』
>>532 >>535 >>536 >>537 >>538 >>541 >>542 >>543
第20章『噂の空華さん!』
>>544 >>546 >>549 >>552 >>553 >>554 >>557 >>560 >>561 >>562
第21章『明日は明日の風が——吹いたらいいなぁ』
>>565 >>568 >>569 >>570 >>575

エピローグ
>>576

あとがき
>>577

お知らせ☆

現在部門ごとにオリキャラ募集>>19→終了しました!!
企画開始!!
その1『もしも黒影寮の全員が○○だったら』>>82
その2『みんなで神様の名前を考えよう』>>125
その3『黒影寮フェスティバル! 参加者募集』>>263

期間限定小説
10月31日『ハロウィン』>>46
12月24日『クリスマス』>>94
12月31日『大晦日』>>109
1月1日『お正月』>>112
12月7日『寮長・翔の誕生日』>>130 >>132
2月14日『バレンタイン』>>225
2月23日『都立高校一般入試』>>238
4月1日『エイプリルフール』>>311
7月7日『七夕&銀ちゃんの誕生日』>>387

童話パロディ
『白雪姫』>>63>>68
『赤ずきん』>>87 >>92
『シンデレラ』>>274 >>277
『7匹の子ヤギ』>>409 >>412

黒影寮は今日は作者と質問日和!
神威銀>>124
東翔>>155
椎名昴>>188
王良空華>>241
二条蒼空>>261
堂本睦月>>354
月読怜悟>>357
祠堂悠紀>>400

企画小説『黒影寮主催☆やりたい事は何でもやっちゃうぜふぇすてぃばる!』開催中

・メデューサ様
もしも『黒影寮の住人とその他のキャラの能力』が『ごちゃまぜ』だったら>>85
バレンタイン『お相手:蒼空』>>219
・あんず様
もしも『東翔』が『スクール水着』を着たら>>89
翔が性転換して昴と付き合うことになったらどうなるか>>367
・蓮華様(現:夕遊様)
もしも『黒影寮の全員(つかさ除)と高梨羅』が『性転換』したら>>91
もしも『黒影寮の全員+高梨羅』が『性格ごちゃまぜ』になったら>>114
バレンタイン『お相手:鈴』>>224
・マリ様
『神威鈴が銀の体を乗っ取り東翔にいたずらを仕掛けよう!』>>273
・梨花様
『神威銀を怒らせたらどうなるか?!』>>317
・北斗七星様
『銀ちゃんが幼児化したらどうなるか!!』>>510
『もしも銀ちゃんが本物のビッチだったら(VS翔)』>>513
・kyon様
『銀ちゃんに彼氏がいたら』>>516

番外編
俺は今日、恋を始めます『羅(男)×銀』>>148
翔ちゃんなう!『翔×昴×大地』>>283
どうかこの手でもう1度『蒼空&睦月』>>449
断章『下剋上☆黒影寮!!』
>>485 >>486 >>487 >>488 >>489

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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.352 )
日時: 2012/05/04 16:19
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 私達は蒼空さん達に連れられて、とある高校の1室に来ました。教室のようです。夏休みの為、解放されているようですけど。
 そこには数人の人がいました。背の高い人や低い人、女や男も。傘を持った人もいます。
 一体、蒼空さんとはどういう関係でしょうか?

「蒼空ー、そいつ誰だァ?」

 全身が真っ黒な人が、蒼空さんに問いかけました。
 わ、私達ですよね?

「こいつらはー、黒影寮の奴ら。俺の仲間! そんで黒影寮諸君、こいつらは戦争組のメンバー。まぁ大勢いるから紹介は割愛させてもらう」

「そんな言葉、知ってたんだ」

 昴さんが感心したように言いました。
 蒼空さんはきょとんとした様子で、

「あれ? 割愛ってこういう感じでいいんだよね。理央」

「間違いないよ。馬鹿の蒼空でもそんな言葉を使えるとは驚きだけど。そっちで学んだの?」

「ううん。子海に貸してもらった本に書いてあったから」

「それでか」

 茶髪の人が大きなため息をつきました。
 蒼空さんはけらけらと軽そうな感じで笑います。

「……蒼空さん、あの」

「さぁて戦争組の諸君! 少しここで祭りの事について考えていてくれたまえ!」

「お前その口調止めろよ。吹きそうだから」

 蒼空さんは華麗にその言葉をスルーしますと、私達を連れて教室の外へ出ました。
 出た瞬間に、私達の体に絶大な重力が襲いかかります。体が動きません。思わず座り込んでしまいました。

「どーして帰ってくれなかったのかなぁぁぁぁ?」

 蒼空さんは笑顔で言います。あれ? 蒼空さんってこんなキャラでしたっけ?

「テメェに命令される筋合いはねぇ……!」

 翔さんは蒼空さんを睨み上げました。
 しかし、蒼空さんはそんな睨みをさらりと無視します。慣れているのでしょうか?

「だって……蒼空さんも黒影寮の仲間でしょう?」

「そうだとしても……俺もちゃんと帰るつもりでいるからさ。絶対に帰らないって事はないから。ただ少し、こっちの祭りに用事があるの」

 祭り——?

「夏目祭りって言って、この辺りでは最大の祭りなの。それに俺ら戦争組も参加する事になっている訳。こりゃもう楽しむしかないでしょ! ってんで、俺も参加しに来たの。何せ、戦争組のリーダーですからね!」

 えへん、と胸を張る蒼空さん。肩では妖精さんが同じように腰に手を当てています。
 でしたら何故、黒影寮を出て行くなどと言ってしまったのでしょう?

「う、それは……戦争組の事を馬鹿にされてすごくムカついて……。なんていうの? あいつらはある意味お前らよりも大切な野郎だからさ。どんな馬鹿な事もやって来て、叱られたりして、たくさん笑って来た仲間なんだ。馬鹿にされたら誰だって怒るだろ」

 ま、たとえるなら翔と昴の間柄みたいな感じだよ、と蒼空さんは付け足します。

「確かに、俺も翔ちゃんの事を馬鹿にしたら蹴るね」

「俺も昴の事を馬鹿にしたら炎で焼くわ」

 ただでさえ蹴り技が強力な昴さんが翔さんを馬鹿にすると相手を蹴る——死にますね。
 そして何もかもを焼き尽くす翔さんが昴さんを馬鹿にすると燃やす——死にますね☆
 他にも空華さんは兄弟を馬鹿にすると、多分その瞳を発動しますと思いますし。蒼空さんの気持ちは分かりますね。

「銀ちゃんを心配させないで、さっさと帰ってやれよ」

 羅さんが言いました。
 蒼空さんは申し訳なさそうに頭を下げます。

「ごめん。黒影寮を家出してきちゃったのは本当にごめん。だけど、俺はまだ帰る気ないから。祭りに参加するまで絶対に!」

「でしたら、俺らも参加する」

 翔さんが言いました。え、何で?
 蒼空さんはきょとんとした様子で、「ハァ?」と首を傾げました。

「俺らが参加すれば、蒼空が何をしでかしても大丈夫だしな。その戦争組とやらに入れてもらおうか」

「……え、それはマジで言っているのでせうか?」

 蒼空さんは確認するように言いました。
 寮長である翔さんと、副寮長である昴さんが同時にうなずきました。
 確かに戦争組とやらに参加すれば、蒼空さんと一緒に帰れる事もできますし。

「……でもなぁ。お前ら何やるか分からないもんなー……」

「それはお前もだろうが……」

 空華さんがため息をつきます。

「あ、でも怜悟のシャーマンとか睦月の超能力も使えるよな……。翔は死神だし、鎌持っていれば若干コスプレっぽいし……。蓮は肉体変化で人狼にでも……。銀ちゃんは結構可愛いからそのままでも使えるし、羅は物質分解だし……悠紀は言霊で何でもできそうだし、昴は空飛べるし……空華は忍者だから紫音と一緒に使えるし……」

 ぶつぶつと蒼空さんは言います。そしてポンと手を叩いて、指を弾きました。それだけで重力が解けます。
 蒼空さんは教室の中に呼びかけました。

「お前らー、ちょっとテストみたいなのやんないか?」

「何のテストだよォ? 楽しい事じゃないと俺ァ動かねェぞ」

 真っ黒の人がひょこひょこやってきました。
 蒼空さんは私達を指差して、

「戦争組、入団テストだ。こいつらが本当に使えるかどうか、やってやろうじゃん?」

 入団テスト……?

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.353 )
日時: 2012/05/05 22:29
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


「これよりー、俺ら戦争を開始したいと思いますー」

「「「「「Yeah!!」」」」」

 戦争組の皆さんが悲鳴のような声を上げました。発音がよすぎます。
 蒼空さんは壊れたマイクを持ち、司会者のような口調でルールを説明して行きます。

「ルールは至極簡単。黒影寮VS戦争組の精鋭で小林さんをビビらせる。判定基準は俺・二条蒼空とおり川理央、そして木崎音緒と浅比奈奏人の4人で行います!」

 小林さんって誰でしょうか?
 すると、茶髪の人が話しかけてくれました。

「小林さんはさっきあんたらが追いかけられていた警察官の人。戦争組が結成してからの付き合いでさ、ライバル心の燃やしている訳。俺らもあいつが少し——目障りって言うか、何でもかんでも何もしていないのに突っかかって来るし」

 茶髪の人から負のオーラが立ち込めます。怖いです。
 とにかく、その小林さんを驚かせれば入団できるのですね。頑張りましょう!

「まずはお手本です。戦争組の精鋭、紅海狛君に夜月彩佳ちゃん。小山子海に来栖梓。そして逆羽傘ちゃんになります」

 紹介されていく戦争組のメンバーさん。
 蒼空さんが子海さんにマイクを向けます。

「さぁて子海。何を題材にしてやるかな?」

「そうですね。小林さんは伝説や噂などを信じやすいので、ここはドッペルゲンガーを使ってみようかと思います」

 ドッペルゲンガーとは、自分と瓜二つの人間です。幻——みたいなものでしょうね。
 そのドッペルゲンガーを見てしまうと、自分は必ず死んでしまうという噂があります。絶対に見れませんから、ドッペルゲンガーは。
 子海さんは嬉々とした様子で語ります。

「ですから、風に乗せられてドッペルゲンガーを運んでこようと思います。羽傘さんの能力は風を操る事。僕がドッペルゲンガーをやりましょう。そして運んでもらい、その人の前に現れます。実際に死ぬわけにはいかないので、梓君の絶対殺しで後ろから不意に攻撃します。そして僕は今のうちに彩佳さんの能力を使ってここへ帰ってきます。狛君には小林さんがどこへ行くかなどを見てもらいましょう」

 全ての概要を語ってもらいました。ものすごい長いです。
 とにかく、これを本当にやるのでしょうか?
 子海さんは早速小林さんに変身しました。すごいです、そっくりです。

「では、羽傘ちゃん。お願い」

「メンドクセー」

「面倒くさがらないで。ほら、嵐先輩も見ているからさ!」

 羽傘さんはしぶしぶと言ったような感じで風を起こしました。ふわりと子海さんは浮かび上がります。
 狛さんが言うには、小林さんは「校門の前で待機する」との事です。

「夜月。俺を運べや、あのポリ公の後ろに」

「ハイハイ。分かっていますよ」

 彩佳さんはため息をつきますと、梓さんをどこかに消し飛ばしました。瞬間移動です!

「私の能力は心を読む事と、瞬間移動なの」

 私のモノローグも読めるとはすごいです。
 小林さんは変身した子海さんを目の前にして、すごく驚いています。目を皿のようにしています。その後ろに現れた梓さんが、手袋を外した右手で小林さんの背中に触りました。

「あづぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 悲鳴を上げて飛び跳ねる小林さん。そのすきに彩佳さんが子海さんを瞬間移動させました。ついでに梓さんも瞬間移動させます。
 と、ここまでが戦争組のいたずらでした。

「さて、次は黒影寮ですけど……。一体どんな伝説や噂を使うのでしょうね?」

 にやにやとした様子で、理央さんが見てきます。私達ができないとでも言いたいのでしょうか。
 いいでしょう。こちらはリアルの死神さんにシャーマンもいますし、超能力者もいます。私だって鈴と代われば悪魔だって神様だって降ろせますからね!!
 負けません。戦争組に入るんです!

「そうだな。怜悟、小林に幽霊をお見舞い——っていうのもべただな。よし、空華。この辺一帯を夜にできるか?」

「できるよ。周りに気づかれずに、かつあの人だけ夜だと感じさせる術だね。簡単簡単。我流忍術をなめるんじゃないよ?」

 空華さんは余裕そうに笑いますと、印を結んで何かを唱えました。
 ブツブツと数分唱えますと、辺りがだんだんと暗くなっていきます。そして夜になり、満月が出ました。

「これぞ時送りの術。俺様達とあの人以外は夜だと思っているけど、他の人は昼のまま」

「よくやった、空華。よし——あとは俺と怜悟だな。怜悟、俺の周りに幽霊を取りつかせろ」

 翔さんがあらぬ命令をしました。一体何をする気でしょうか?
 怜悟さんは言われるがままに、翔さんの周りに幽霊を呼び出しました。サチコさんやイチローさん(坊主の奴)。ミドリカワさん(スーツの男)までいます。
 翔さんは死神ルックになりますと、誰もいない校庭に降り立ちました。
 校庭に入り込んでいた小林さんは、翔さんの姿を確認しますとびくりと体を震わせます。

「——貴様は何者かえ?」

 酷く冷たい目で、翔さんは小林さんを睨みつけました。これではひとたまりもありません。
 小林さんはすくみあがりますが、すぐに翔さんに言い返しました。

「貴様こそ……! 炎の死神だな? 貴様がいつの間に夜へ——!」

「黙れ。黙らぬと、貴様の魂を狩るぞえ」

 翔さんは鎌の刃を小林さんの首筋に突き立てました。
 怖いですー、見ている私も怖いですー!

「この者達のようになりたくなければ、今すぐここから去れ。二度目は言わん。去れ」

「は、ハイィィイ!」

 小林さんは悲鳴を上げて逃げ出しました。
 翔さんはVサインを見せました。

「……何してんの?」

 蒼空さんがじとっとした目で見てきました。え、何か悪かったでしょうか?

「ハイ、質問。あれっていたずらに見える?」

「え、見えますけど」

「脅しじゃないの?! 去れって言ったよね? 驚かすどころかもう多分宮園高校に死神が出るって噂されるわ!」

 えー、じゃあどうすればよかったんですか?
 蒼空さんは深いため息をつきますと、

「まぁいいや。その能力は重宝するし……戦闘メンバーとして残ってもらおう。これから頑張って行こう、黒影寮の皆さん」

 蒼空さんはにっこりとした笑顔を見せました。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.354 )
日時: 2012/05/06 22:59
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

黒影寮は今日は作者と質問日和!!


山下愁「と言う訳で、今日はコンサートでした。歌い手さんの。さいたまスーパーアリーナに行ってきました」

堂本睦月「でもお勤めはやるんやな」

山下愁「ハイハイ。今回は時間がないので、質問日和という事になりましたが!」

堂本睦月「今回はワシやね」

山下愁「腕が痛いもんですから、少し短くなるかもしれないかもね」

堂本睦月「ほいじゃ、次行くぞー」


 堂本睦月誕生秘話!


堂本睦月「と言う訳で、ワシが生まれたいきさつ——みたいなもんや」

山下愁「適当です」

堂本睦月「この炎で焼かれたくなければそれで終わらせるな」

山下愁「ごめん。えーとですね、睦月君は二次小説の方で書いている山本雫の兄・山本睦月から取りました。堂本はそういう名前がいいだろうってんで、そういう感じになりました」

堂本睦月「案外早いんやな」

山下愁「それで使われた時が『俺様メイド?!』の時でした。最強の不良・東の舎弟ね」

堂本睦月「実際にはもう、東さんには会っているけどな」

山下愁「あぁ……寮長?」

堂本睦月「それもあるけど……やっぱ劇場版で東さんに会ったのはすごかったな」

山下愁「あそこで睦月を登場させたかったんだけど、さすがにこっちに変態の超能力者がいるからなー、と思いましてですね」

堂本睦月「ハイ、北極に飛ばされたいか?」

山下愁「勘弁してください」

堂本睦月「でも、何で超能力者になったんや? 他にもあったやろ、魔法使いとか」

山下愁「ハッ。ベタな」

堂本睦月「カチン」

山下愁「翔は死神。昴は反閇技を使う。空華は忍者。怜悟はシャーマン。ここまでは大体決まっていたの。あとは図鑑を参照して。超能力者と書いてサイオンだからね?」

堂本睦月「わーっとるわ」

山下愁「本当に?」

堂本睦月「ほんとや」

山下愁「で、言っちゃうとですね。睦月の超能力は、最初に決まりました」

堂本睦月「お」

山下愁「えーとですね、とりあえず何の能力がいいかなぁって思っていたら、超能力がいいかなってなって」

堂本睦月「でも、案外他の本では1種類しか使えないとかあるよな。でも、ワシはそうじゃあらへん。総合的に使える——って感じなんやけど」

山下愁「あー、それ。それね、睦月は天才にしようって感じになったんだよ。超能力に関しては天才的に能力を発揮するっていう感じの。だからスプーン曲げなんてお手の物」

堂本睦月「ふむ」

山下愁「瞬間移動なんて、まぁ黒影寮から荒川までなら何とか」

堂本睦月「ふむ」

山下愁「来歴訪問(サイコメトリー)なんて楽勝。未来予想(テレスコープ)も簡単。遠隔念動力(テレキシス)もお茶の子さいさい」

堂本睦月「へぇ」

山下愁「なんだけどー、あと他に何かあるかなって思って漫画を参考にした」

堂本睦月「えーと……物質転送(アポーツ)と発火能力(パイロキネシス)な」

山下愁「あとは電気能力(エレクトロ)も使えるって設定になっているが、まぁこれはどうでもいいか」

堂本睦月「よくあらへんよ!」

山下愁「ふわぁぁ、山下はもう眠くなった。お休み」

堂本睦月「ちょ、寝るなぁぁぁぁぁあ!」

堂本美月「以上。黒影寮は今日は作者と質問日和でしたー」

堂本睦月「誰ぇ?!」


「いや、誰って。あんたの亜種やけど」
「え、亜種? あ、初めまして」
「堂本美月。美月って呼んで、よろしく」
「あ、ご丁寧に」
「で? 最近ヒロインとはどうなの?」
「え、あの、え?」
「あいまいな答え方をせんでくれへん? ハァ、まったくいつになったら恋が実るのやら」
「お前さんはどうなんや」
「え? 鈴は興味ないよ。眼中にないし」
「そうなん?」
「そうなん」

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.355 )
日時: 2012/05/09 22:27
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 と言う訳で。
 夏目祭りに向けて皆さんが出し物を考えています。出し物って何がいいんでしょうね?

「射的は?」

「あるだろ。林さんのところが毎年射的を出してる」

「じゃあ、りんご飴」

「松本さんのとこ」

「腕相撲」

「やれるものならやってみろ」

 案が次々に出されては一蹴されます。
 私達は、ただその様子を見て黙っているしかありませんでした。戦争組のメンバーの空気が、まだ慣れないからです。
 黙っている私達に、蒼空さんは問いかけてきました。

「銀ちゃん達は何がいいと思う? 特に翔と空華には出してほしいかも。翔は頭いいし、空華は大体の事は何でもできちゃうんだから」

 勝手な決めつけはおかしいと思いますけどね。

「えー、いきなり言われても思いつかないよ。翔は?」

「まったくだ。大体、予算はいくらぐらいあるんだ? それによって材料だの何だのを買って経営するんだぞ」

「うわー、現実的な話は聞きたくないー。ついでに言うと、予算は町長さんが出してくれます。必要経費も大体は」

 蒼空さんは翔さんの言葉に耳をふさぎました。
 でも、一体何がいいんでしょうね?

「鈴は何か思いつきます?」

「思いつかないかも。日出ー、暑いからちょっと氷を出して」

「クーラー代わりにするのは止めようぜ」

 鏡の中から鈴と日出さんの声がします。
 すると、蒼空さんがきらりと目を輝かせました。

「鈴……よし、決めた! 町長さんに連絡して、ガラスを貰って! ていうかあれか。シンデレラの世界に行った時に大量のガラスの手紙が落ちてきたからあれを加工する! 子海! 風鈴の作り方は分かるか?」

「えぇ、本で習得済みです」

「よし! 祭りは大量の風鈴を作って売るぞ! 題して『願いが叶っちゃう☆風鈴商売』大作戦・決行!」

 嵐のように出し物が決まりました。

***** ***** *****

 その日の夕方です。
 蒼空さんに呼ばれて、私達は蒼空さんの実家に行く事になりました。
 小さな1軒家のチャイムを押した蒼空さんの前に、瞳が赤くて黒い髪の女の人が出てきました。

「どうしたの、蒼空。鍵でも忘れた?」

「実際鍵も忘れたし、それに黒影寮の奴らがいるからさぁ。紅姉ちゃん」

 紅?! あの吸血鬼の?!
 赤い瞳の女の人は、私達を見てにっこりと笑いました。

「あたしは二条紅(ニジョウ・クレナイ)よ。この愚弟の姉ね。あ、能力は発火能力(パイロキネシス)だから」

 そう言うと、紅さんは手のひらに炎を生み出しました。
 あとから別の女の人も出てきます。瞳が琥珀色で、そしてこちらも黒い髪です。

「清廉。起きたの?」

「……おやすみしたい」

「ダメよ。弟のお友達も来ているのよ、歓迎しなきゃ」

 琥珀の瞳を持つ女の人は、ぺこりと頭を下げました。

「にじょう、せいれん。ぐていがいつも、おせわになっている」

 清廉さんと言うらしいです。

「のうりょくは、ほうじゅつ。せんにんがつかうじゅつなの」

 ほら、と清廉さんは浮かび上がります。念動力じゃないですよね?
 紅さんと清廉さんは、私達を家に上げてくれました。

「紅姉ちゃん、清廉姉ちゃん。銀ちゃんと羅ちゃんに浴衣を着せてほしいんだ。清廉姉ちゃんは浴衣、たくさん持っているだろ」

「持っているけど……その子達はどうするつもりなの? 蒼空は浴衣なんて持っていないでしょ? 子供サイズのを着せる訳?」

「変態か? 俺は変態か?」

 蒼空さんに押され、私と羅さんは紅さんと清廉さんに連れていかれました。
 えと……一応鈴には見ないでおくように言わなければなりませんね。

 〜蒼空視点〜

 さて、銀ちゃんと羅ちゃんが着替えている間に、俺はこいつらに作戦の概要を説明しないといけない。
 風鈴は町長にかけあってみたところ、古い風鈴が街中から集められたらしい。この町の名産物は風鈴なのだ、えへん。
 と言う訳で、風鈴は作らなくてもよくなった。

「——けど、まだまだ作戦はある。風鈴を売る為には購買意欲をあおらないといけない」

 ふむ、と黒影寮はうなずいた。おぉ、気持ちいい。
 当然買ってくれなきゃ商売にはならない。夏目祭りはたくさんの人が来るのだ。

「なので、叶えられるお願いは叶えてしまおうってのが作戦なのです」

「叶えられる願いってのは具体的にどういう奴なんだ?」

 昴が挙手で質問してきた。

「まぁ、素敵な彼氏とデートがしてみたいだったらまだいける。この町は結構妄想している人がいるから、台詞だけってのもあるかもな。『笑顔で「愛しているよ」って言ってください』ってな」

 俺も言われた事あるし。
 あ、翔が顔をしかめた。さすが女嫌い。

「あとは『嫌いな奴を懲らしめてほしい』とかあるぞ。そう言う時は怜悟、幽霊を少し仕掛けてやれ」

「了解」

「冗談で『世界征服したい』とか言う奴がいると思うから、その時は翔だな。まぁ、こういう事はできないんだぞ的な感じで懲らしめてくれ」

「了解」

「つー訳で。イケメン軍団にはもちろんイケている服を着てもらわなくてはならない! あ、ちょっと皆さん? 女装じゃないから女装じゃ。じいちゃんので悪いけど!」

 俺はビラッとあるものを広げた。
 それを見たみんなは、驚愕の表情を浮かべた。

Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。俺ら戦争が乗っ取った! ( No.356 )
日時: 2012/05/11 22:37
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
参照: 大ヒット御礼! 参照2000突破!

第13章 黒影寮の問題児が妖精を拾ったようです


 〜蒼空視点〜


 俺はリデルを肩に乗せて、話しかけた。

「リデル。今日は何人来るかな」

「わからないの」

 リデルは首を振る。分からないよね、そうだよね!
 俺は苦笑いを浮かべて、頭にお面をつけた。何かじいちゃんに貰った狐のお面だ。

「じゃ、お客さんの人数を数えておいてくれよ」

「わかったの!」

 リデルは勢いよく返事をした。
 俺はリデルにポテチを1枚上げると、窓から飛び出した。

***** ***** *****〜銀視点〜

 夏目祭りは大盛況でした。
 特に、私達が出した風鈴屋さんにはお客さんがたくさん来てくれました。若い女の人とかです。恋人とかもいます。
 まぁ、分かりますけどね。何せこちらは、

「「「「「いらっしゃいませ。願いが叶う風鈴屋へようこそ」」」」」

 黒影寮の皆さん(イケメン)がいますからね。
 羅さんにも男みたいな柄がいいと本人の所望でしたので、紅さんから黒っぽい浴衣を着つけてもらっていました。そのおかげで、羅さんも男だと思い込んで女の人が殺到。羅さん嬉しそう。
 首から下げた鏡から、鈴が不愉快そうに声を上げました。

「納得いかない。どうして羅は女の子なのにあんなに同性からモテるの?」

「嫉妬ですか。自分がモテないからって」

「傷ついた! 俺結構傷ついた!」

 ハイハイ、うるさいですよ。
 ちょうどその時、カップルのお客さんが私に声をかけてきました。

「あの、すみません。これを上にかけたいんですけど」

 上、というのは、頭上にある網棚の事です。これに風鈴をかけるという仕組みになっています。
 金魚が描かれた風鈴を受け取り、私は網棚に手を伸ばします。ですが、これって案外高いんですよね。届きません。
 一生懸命網棚に吊るそうと努力していますと、ふと誰かの手が伸ばされました。

「貸せ」

 私の手から風鈴を分捕り、網棚に吊るします。
 いつものニット帽はしていません。つやのある黒い髪は高くポニーテールに結われており、涼しげな水色の髪紐で留められています。絣の入った黒い浴衣を着ていて、いつもと雰囲気が違うように見えます。
 我らが黒影寮の寮長・翔さんです。
 翔さんはカップルのお客さんに笑顔を向けますと、

「こちらでよろしいでしょうか?」

「ハイ。ありがとうございます」

「あなた方の願いが叶うよう、祈っております」

 まさに店員の鑑です。さすがです、翔さん。
 お客さんが去りますと、翔さんは大きなため息をつきました。

「誰だ、こんなクサイ台詞を考えた奴は」

「俺だけど、何か」

 蒼空さんのお友達である織川理央さんが言いました。彼の手にも青い空が描かれた風鈴が握られています。
 理央さんは小さい子供に向かって笑顔で「転ぶなよ、がきんちょ」と言いました。台詞と顔が合っていませんが。

「銀ちゃんは休んでいても構わないんだぜ! ここは、黒影寮と俺ら戦争組でやるからさ!」

 紹介に預かった博さんが言いました。風鈴を結びつけ、若い女性に向かって「絵を描いてほしくなったら言ってよ☆」と言っていました。
 それに同調してなのか、蒼空さんのお友達である浅比奈奏人さんのお兄さん・嵐さんが言います。

「女にはこの網棚は高すぎるだろ。まぁ……逆は別として」

 私は羽傘さんの方へ目を向けます。
 小さい子供の風鈴を預かり、風の力で浮遊して網棚に吊るしています。風の能力者らしいです。

「そうよ、銀ちゃんはさっきから働いてばかりじゃない。うちのリーダーを見なさいよ」

 彩佳さんが言います。リーダーと言うと蒼空さんでしょうか。
 蒼空さんは仲間である梓さんと奏人さん、そして音緒さんと一緒に何かを話し合っています。とても真面目な顔です。
 ……皆さんがそう言うのでしたら、休憩をいただきましょうか。

「それでは休憩をいただきますので。えーと、何か買って来るものとかありますか?」

 ない、と表現するように皆さんは首を振りました。
 私は下駄をカラコロと鳴らしながら、縁日を歩いて行きます。
 たくさんのお店がありますね。綿あめや焼きそばはもちろん、ドネルケバブや広島風お好み焼きなども売っていますよ。

「お姉さん、きれいだね」

「……?!」

 な、ナンパですか?! わ、私1人じゃ対処しきれませんけど!
 私は振り向いて、誰がナンパをしてきたのか確認しました。
 紺色で裾に白い模様がちりばめられた浴衣を着ています。頭にはお面がつけられており、私を見据える瞳の色は翡翠色です。
 空華さんです。

「空華さん?! どうして、お仕事は?」

「俺様はもうそろそろ昴と交代。あとは睦月が翔と交代して、つかさが子海君——だっけ? その子と交代するって」

 へらりと笑いながら、空華さんは言いました。

「ところでさ、銀ちゃん。この前の京都で披露してくれた歌、あったじゃん?」

「あ、あれですか?」

 題名は分かりませんが、昔にお母さんが歌っていた歌です。とてもきれいな歌声でした。
 それが一体どうしたのでしょう?

「あれを使って、お客さんを呼びこまない?」

「え、えーと……あの歌で、ですか?」

「そうそう。俺様ももちろん演奏者(プレイヤー)の能力を使っちゃうよ。何がいい? 笛がいい?」

 そう言えば空華さんは、演奏者(楽器を演奏する事によって人を惑わせる能力)を持っていますね。京都の時だって、ノアさんに操られた町の住民さんを催眠をぶつける事によって助けていましたし。
 風鈴をかけられないですし、彩佳さんと椛さんが受付をやっていますし、ちょうどいいかもしれません。

「やります。私だって、皆さんのお手伝いがしたいので!」

「お、やっちゃう? でも、今は銀ちゃんは休憩してきなさい。夜ごはんは早めに済ませた方がいいよ。これからお客さんがたくさん来るからね」

 と、アドバイスをもらったので、私は夜ごはんの散策を開始しました。
 空華さんは優しいですね。

「なぁ、銀。あの歌をやるなら、俺が変わるか?」

「大丈夫です。私だって舞えますよ。鈴は確かに舞の名手ですが、私だって鈴には負けませんからね」

 私だって銀の鈴の1部ですから、舞う事ぐらいはできます。

「そーか? ならいいけど。俺も見たいから、鏡は外しておいてくれる?」

「いいですよ。負けませんからね!」

「お、だったら俺もそっちの世界に行こうか? トビラの能力を使えばそっちの世界にいけるんだぜ?」

「考えておきます。でも、それもいいかもしれませんね!」

 心のどこかで、私はわくわくしていました。
 それは舞える楽しみでもありましたし、空華さんの演奏をもう1度聴けると思うと少しだけわくわくしたのです。


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